JP2012164180A - 生産システムにおける不良容疑物品探索装置 - Google Patents

生産システムにおける不良容疑物品探索装置 Download PDF

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Abstract

【課題】抜き取り検査で不良物品が発見された場合に不良容疑物品を探索する。
【解決手段】工程X〜Zを経て物品に処理を施す生産システム100に、探索装置200を設ける。付番要求部210〜223が各工程時に各物品について付番要求を行うと、付番処理部230は要求順に一連の物品番号を付与し、変遷情報記録部240は、工程間の物品番号の変遷情報を記録する。探索処理部290に、不良物品番号を特定した探索開始指示が与えられると、不良物品番号は格納部270に格納され、トレース探索部250が、その上流もしくは下流を辿り、トレースされた物品の番号を格納部270に格納する。次に、挟込探索部260が、特定の工程後の物品の中から格納部270に格納されている物品番号に挟まれた物品番号をもつ物品の番号を格納部270に格納する。最後に格納部270内の番号を不良容疑物品番号として出力する。
【選択図】図4

Description

本発明は、生産システムにおける不良容疑物品探索装置に関し、特に、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムにおいて、発見された不良物品に基づいて不良容疑物品を探索する技術に関する。
生産効率を向上させるため、工業製品の製造プロセスはもちろんのこと、農林水産業に係る商品の生産プロセスにおいても、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行うシステムが広く利用されている。また、このような生産システムでは、品質確保のため、商品として出荷する最終物品もしくは工程途中における中間物品に対する品質検査を行い、不良品の有無を検査することが行われている。たとえば、下記の特許文献1には、個々の物品にバーコードの形態で識別番号を付与し、個々の工程でこの識別番号を読み取り、生産システム上の物品の流れ、および良品/不良品の情報を生産履歴情報として管理する生産履歴管理システムが開示されている。
良/不良の判断を行うために必要な品質検査としては、当然ながら、すべての物品を対象とした全品検査を行うのが好ましい。しかしながら、実用上は時間やコストを削減するために、一部の物品のみを検査対象とする抜き取り検査を行うことも少なくない。ただ、抜き取り検査を採用した場合、不良物品が発見されたときに適切な対応を採らないと、十分な品質確保を行うことができない。すなわち、抜き取り検査で不良物品が発見された場合、非検査対象の中にも不良物品が混入している可能性が高く、そのような不良物品の探索が必要になる。
もちろん、抜き取り検査で不良物品が発見された場合には、再度、全品について検査をやり直したり、全品を廃棄したりする、という方法を採ることも可能であるが、実用上は、時間やコストの制約から、全品検査や全品廃棄を行うことは困難な場合が多い。このような場合、発見された不良物品に基づいて、不良物品の容疑がある「不良容疑物品」を探索し、この「不良容疑物品」について検査や廃棄を行う方法が採られている。本発明は、このように、抜き取り検査で不良物品が発見された場合に、「不良容疑物品」を探索する技術に関するものである。
発見された「不良物品」に基づいて「不良容疑物品」を探索する技術として、たとえば、下記の特許文献2には、受注単位で工程履歴を記録したトレーステーブルを作成し、工程管理者が、このトレーステーブルに基づいて不具合発生原因を追求することができる製造情報管理システムが開示されている。
特開2003−067032号公報 特開2003−280713号公報
一般に、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムでは、物品の流れに分岐や合流が生じることが少なくない。たとえば、ある工程では、1つの物品が複数に切り分けられ、後続する工程で複数の物品として取り扱われる場合もあれば、別な工程では、複数の物品が1つの物品に合成され、後続する工程で単一の物品として取り扱われる場合もある。このため、下流側で不良物品が発見された場合、当該不良物品に関連する物品を上流側まで遡ってトレースし、トレースされた上流側の物品から逆に下流側へと再トレースし、再トレースされた物品を「不良容疑物品」と推定するトレース探索のアルゴリズムが、従来から一般的な不良容疑物品の探索方法として採用されている。
このようなトレース探索の手法は、基本的に、物品の流れを工程を跨いで追ってゆく手法である。ここで、各工程を世代と捉え、物品の流れを血縁関係と捉え、ある物品のもつ欠陥遺伝子が上流側の工程から下流側の工程へと遺伝するものと考えると、トレース探索の手法は、下流側で欠陥遺伝子が発見された場合に、上流側へと遡るトレースを行って祖先を発見し、当該祖先から下流側へ再トレースすることにより、その子孫を把握し、これら子孫すべてを欠陥遺伝子をもつ「不良容疑物品」と推定する手法と言うことができる。このため、物品自体の欠陥に起因した不良を効果的に検出することが可能である。たとえば、生産システムに搬入された原材料自体が欠陥品であった場合には、当該原材料の一部を組み込んだ1物品が抜き取り検査で不良物品と判定されれば、当該原材料を利用した他のすべての物品が「不良容疑物品」として探索されることになる。
しかしながら、このトレース探索の手法では、血縁関係のない別系統の物品を「不良容疑物品」と推定することはできないので、漏れのない正確な不良容疑物品の探索を行うには不十分である。たとえば、ある工程で用いられる処理装置が、一時的に不具合を生じていたような場合、その不具合が生じていた期間に処理された物品は、すべて不良物品の容疑がある物品である。しかしながら、上述したトレース探索の手法では、抜き取り検査で発見された不良物品と血縁関係をもつ物品しか探索されないので、「不良容疑物品」に漏れが生じるおそれがある。
そこで本発明は、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムにおいて、発見された不良物品に基づいて漏れのない正確な不良容疑物品の探索を行う不良容疑物品探索装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムについて、発見された不良物品に基づいて不良容疑物品を探索する不良容疑物品探索装置において、
生産システムに物品が搬入される際に、搬入される個々の物品について、物品番号の付番要求を送信し、返信されてきた物品番号を受信する初期付番要求部と、
各工程から処理後の物品が搬出される際に、搬出される個々の物品について、処理前の物品番号を特定して処理後の新たな物品番号の付番要求を送信し、返信されてきた物品番号を受信する工程後付番要求部と、
付番要求が送信されてくるたびに、順序づけされた物品番号を送信順に付与し、付与した物品番号を送信元へと返信する付番処理部と、
付番処理部による物品番号の付与履歴に基づいて、複数の工程にわたる物品番号の変遷を示す変遷情報を記録する変遷情報記録部と、
指定された不良物品および探索された不良容疑物品の物品番号を格納する探索結果格納部と、
探索中の工程位置を示すポインタを格納するポインタ格納部と、
不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示が与えられたときに、指定された不良物品の物品番号を探索結果格納部に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置にポインタを設定し、探索処理を開始する探索処理部と、
探索処理部からの指示に基づいて、ポインタを上流側もしくは下流側の工程位置に移動させ、探索結果格納部に格納されている物品番号のうち、ポインタが移動前に示していた移動前工程から搬出された物品に付与されている物品番号について、変遷情報を参照することによりポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索を行うトレース探索部と、
探索処理部からの指示に基づいて、変遷情報を参照することにより、ポインタによって示されている工程から搬出された物品に付与されている物品番号を着目物品番号として抽出し、この着目物品番号の中から探索結果格納部に格納されている物品番号を挟込用物品番号と認識し、この挟込用物品番号が複数存在する場合に、着目物品番号のうち複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納する挟込探索を行う挟込探索部と、
を設け、
探索処理部が、トレース探索部に対してトレース探索指示を与える処理と、挟込探索部に対して挟込探索指示を与える処理と、を所定のアルゴリズムに基づいて組み合わせることにより探索処理を行い、探索処理後に探索結果格納部に格納されている不良容疑物品の物品番号を探索結果として出力するようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
工程後付番要求部が、1つの物品が処理後に複数の物品に分かれる分岐工程については、当該複数の物品のそれぞれについて、処理前の同一物品番号を特定した付番要求を送信し、複数の物品が処理後に1つの物品に合成される合流工程については、当該1つの物品について、処理前の複数物品番号を特定した付番要求を送信し、
変遷情報記録部が、分岐工程および合流工程における分岐および合流を含む物品番号の変遷を示す変遷情報を記録し、
トレース探索部が、分岐工程および合流工程における分岐および合流を含む変遷を辿るトレース処理を行うようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第1または第2の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
トレース探索部が、生産システムへの物品の搬入工程を最初の工程として取り扱い、搬入工程へのポインタの移動を含むトレース処理を行うようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1〜第3の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
工程後付番要求部が、処理が完了した工程を特定する「工程識別コード」と「処理前の物品番号」とを含む付番要求を送信し、
付番処理部が、付番要求に対して「処理後の物品番号」を付与し、これを工程後付番要求部へと返信し、
変遷情報記録部が、「工程識別コード」と、「処理前の物品番号」と、「処理後の物品番号」と、を対応づけた単位変遷情報を逐次記録し、
トレース探索部が、「処理前の物品番号」と「処理後の物品番号」との対応関係を参照しながらポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行うようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第1〜第4の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、オペレータの操作入力を受け付ける操作入力受付部と、この操作入力受付部が操作入力を受け付けたときに付番処理部に対して付番要求を送信する要求送信部と、を有するようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述した第1〜第4の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、工程を実行する処理装置からの処理完了信号を受け付ける完了信号受付部と、この完了信号受付部が処理完了信号を受け付けたときに付番処理部に対して付番要求を送信する要求送信部と、を有するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述した第1〜第6の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号を画面上に表示するディスプレイ装置と、を有するようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述した第7の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番対象となる物品に関する補助情報を入力する補助情報入力部を有し、付番要求とともに補助情報を付番処理部に送信し、
付番処理部が、付与した物品番号と補助情報とを対応づけた補助情報対応表を作成し、物品番号とともに補助情報を返信し、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号および補助情報を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号および補助情報を画面上に表示するディスプレイ装置と、を有するようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述した第1〜第6の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号を印刷するプリンタと、を有するようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述した第9の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番対象となる物品に関する補助情報を入力する補助情報入力部を有し、付番要求とともに補助情報を付番処理部に送信し、
付番処理部が、付与した物品番号と補助情報とを対応づけた補助情報対応表を作成し、物品番号とともに補助情報を返信し、
初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号および補助情報を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号および補助情報を印刷するプリンタと、を有するようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述した第1〜第10の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
探索処理部が、オペレータから探索開始指示および不良物品の物品番号の入力を受け付け、当該入力に基づいて探索処理を実行するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述した第1〜第10の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
探索処理部が、生産システムの一工程に含まれている検査工程を実行する装置から探索開始指示および不良物品の物品番号の送信を受け付け、当該送信に基づいて探索処理を実行するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述した第1〜第12の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
探索処理部が、探索処理の進行状況に応じて複数段階の容疑レベルを設定し、トレース探索部に対してトレース探索指示を与える際、および挟込探索部に対して挟込探索指示を与える際に、それぞれ特定の容疑レベルを伝達し、
トレース探索部および挟込探索部は、不良容疑物品の物品番号を探索結果格納部に格納する際に、伝達された容疑レベルを併せて格納し、
探索処理部が、探索処理後に探索結果を出力する際に、不良容疑物品の物品番号にその容疑レベルを付加して出力するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述した第1〜第13の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置において、
探索処理部が、生産システムの一工程に含まれている配送工程を実行する装置から配送対象物品についての物品番号および配送先を示す情報の送信を受け付け、探索処理後に探索結果格納部に格納されている不良容疑物品の物品番号の中に、配送対象物品についての物品番号が含まれていた場合に、配送対象物品についての配送先を示す情報に基づいて、配送先に不良容疑物品が配送された事実を報知する情報送信を行うようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述した第1〜第14の態様に係る生産システムにおける不良容疑物品探索装置の構成要素となる付番処理部、変遷情報記録部、トレース探索部、挟込探索部、探索結果格納部、ポインタ格納部、および探索処理部を、コンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより構成したものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムの稼働中に不良物品が発見された場合に、不良容疑物品を探索する不良容疑物品探索方法において、
コンピュータが、生産システムに物品が搬入される際および各工程から処理後の物品が搬出される際に、当該物品に対して、順序づけされた物品番号を付与するともに、物品番号の付与履歴に基づいて、複数の工程にわたる物品番号の変遷を示す変遷情報を記録する準備段階と、
コンピュータが、不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示を受けて、変遷情報を参照しながら、不良容疑物品の物品番号を探索する探索段階と、
を行うようにし、
上記探索段階は、
指定された不良物品の物品番号を探索結果格納部に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置にポインタを設定する探索開始ステップと、
ポインタを上流側もしくは下流側の工程位置に移動させ、探索結果格納部に格納されている物品番号のうち、ポインタが移動前に示していた移動前工程から搬出された物品に付与されている物品番号について、変遷情報を参照することによりポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索ステップと、
変遷情報を参照することにより、ポインタによって示されている工程から搬出された物品に付与されている物品番号を着目物品番号として抽出し、この着目物品番号の中から探索結果格納部に格納されている物品番号を挟込用物品番号と認識し、この挟込用物品番号が複数存在する場合に、着目物品番号のうち複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納する挟込探索ステップと、
探索開始ステップの後、トレース探索ステップおよび挟込探索ステップを少なくとも1回ずつ実行して探索処理を終了し、その時点で探索結果格納部に格納されている不良容疑物品の物品番号を探索結果として出力する探索結果出力ステップと、
を有するようにしたものである。
本発明に係る不良容疑物品探索装置では、生産システムに物品が搬入される際および各工程から処理後の物品が搬出される際に、それぞれ順序づけされた物品番号が付与される。そして、抜き取り検査によって不良物品が発見された場合、その上流もしくは下流を辿るトレース探索とともに、物品番号に基づく挟込探索が併せて行われる。
この挟込探索は、同一工程から搬出された着目物品の中から、不良物品もしくは不良容疑物品の物品番号に挟まれた物品番号をもつ物品を新たな不良容疑物品に加える処理である。ここで、物品番号は、工程処理後に付与される番号であるため、2つの物品「甲」および「乙」の物品番号に挟まれた物品番号をもつ物品「丙」は、物品「甲」および「乙」の処理時に近接した時間帯に処理された物品ということになる。したがって、物品「甲」および「乙」が不良物品もしくは不良容疑物品である場合、物品「丙」を不良容疑物品とすることは理にかなっており、挟込探索を併用することにより、漏れのない正確な不良容疑物品の探索を行うことが可能になる。
このように、本発明では、物品の流れに着目して不良可能性のある物品を探索するトレース探索とともに、不良物品もしくは不良容疑物品と近接時間帯に同一工程で処理された物品を探索する挟込探索とを組み合わせた探索が行われる。したがって、発見された不良物品に基づいて漏れのない正確な不良容疑物品の探索を行うことが可能になる。
工程X,Y,Zからなる単純な生産モデルにおける物品の流れを示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルにおける上流へのトレース探索を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルにおける下流へのトレース探索を示すダイアグラムである。 本発明の基本的な実施形態に係る不良容疑物品探索装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す生産モデルに本発明を適用した場合の各物品への付番状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第1段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第2段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第3段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第4段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第5段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第6段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第7段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第8段階の状態を示すダイアグラムである。 図1に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第9段階の状態を示すダイアグラムである。 本発明に係る不良容疑物品探索方法の一実施形態に係る手順を示す流れ図である。 搬入工程Wおよび処理工程X,Y,Zからなる生産モデルにおける物品の流れを示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第1段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第2段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第3段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第4段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第5段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第6段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第7段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第8段階の状態を示すダイアグラムである。 図16に示す生産モデルに本発明を適用して不良容疑物品の探索を行う第9段階の状態を示すダイアグラムである。 図4に示す工程後付番要求部221のより具体的な構成例を示すブロック図である。 本発明に係る不良容疑物品探索装置の付番処理部230に格納される補助情報対応表の一例を示す図である。 図26に示すプリンタ221dによってプリントされたシールの一例を示す平面図である。 図26に示す工程後付番要求部221の変形例221′を示すブロック図である。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.一般的なトレース探索処理 >>>
ここでは、まず、単純な生産モデルを例にとって、一般的なトレース探索処理により不良容疑物品を見つけ出す基本的な手順を説明する。図1は、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行うモデルの一例を示すダイアグラムである。この例では、3つの工程X,Y,Zからなる単純な生産モデルにおける物品の流れが示されており、図の左側が上流、右側が下流となっている。また、図の縦長の矩形は、個々の工程を示しており、個々の円は、各工程に搬入される物品もしくは各工程から搬出される物品を示しており、各円を連結する線は、各工程にわたる物品の流れを示している。
図示の例の場合、物品w1〜w8が工程Xに搬入され、何らかの処理が施された後に、別な物品x1〜x8として搬出される。こうして工程Xから搬出された物品x1〜x8は、次の工程Yに搬入され、何らかの処理が施された後に、別な物品y1〜y8として搬出される。更に、これらの物品y1〜y8は、最後の工程Zに搬入され、何らかの処理が施された後に、別な物品z1〜z5として搬出される。この例のように、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムでは、物品の流れに分岐や合流が生じるケースがあり、図示の例においても、そのような分岐や合流が生じている。
たとえば、2つの物品w1,w2は、工程Xにおいて1つの物品に合成され、物品x1として搬出される。また、物品w3は、工程Xにおいて2つに分けられ、物品x2,x3として搬出される。一方、物品w4は、工程Xを経ても、1つのまま、物品x4として搬出される。このように、図示の工程Xは、物品の流れに分岐や合流を生じさせる工程である。これに対して、工程Yは、物品の流れに分岐や合流を生じさせない工程であり、1つの物品が搬入され、そのまま1つの物品として搬出される。最後の工程Zは、物品の流れに合流を生じさせる工程であり、物品y1,y2は物品z1に合成され、物品y3,y4は物品z2に合成され、物品y5,y6は物品z3に合成されている。ただ、物品y7はそのまま物品z4として搬出され、物品y8はそのまま物品z5として搬出されている。
なお、本発明にいう「物品」とは、工業製品に関する物品のみならず、農林水産業に関する物品など、様々な物品を広く含むものであり、また、完成品に限らず、半製品や仕掛かり品なども含むものである。一方、本発明にいう「工程」とは、搬入された物品に対して何らかの処理を行い、処理後に得られる物品を搬出する工程であれば、どのような工程であってもかまわない。たとえば、物理的な加工工程、化学的な処理工程、加熱冷却工程、露光工程、印刷工程、塗装工程、測定工程、検査工程、梱包工程、出荷積込工程、輸送工程など、様々な工程を工程X,Y,Zとして採用することができる。
ここでは、説明の便宜上、工程Xを物理的な分離/合成工程、工程Yを印刷工程、工程Zを物理的な合成工程としてみよう。より具体的には、物品w1は樹脂基材シート、物品w2は印刷用シートであり、工程Xにおいて両者は貼り合わせられ、物品x1として搬出され、工程Yにおいて、印刷用シート面に印刷が施され、物品y1として搬出されたものとしよう。また、物品w3は、透明保護シートであり、工程Xにおいて2つに切断され、物品x2,x3として工程Yに送られ、表面に印刷が施され、それぞれ物品y2,y3として搬出されたものとしよう。この場合、工程Zでは、物品y1,y2がラミネートされ、最終的に物品z1として搬出される。
一方、物品w4は、厚紙シートであり、工程Xでは何ら実質的処理は施されずに、そのまま物品x4として搬出され、工程Yに送られ、表面に印刷が施され、物品y4として搬出されたものとしよう。この場合、工程Zでは、物品y3,y4がラミネートされ、最終的に物品z2として搬出される。この例のように、各工程において、物品に応じて異なる処理を施す場合も少なくない。また、図示の物品w4に対する工程Xにおける処理のように、物品によっては、実質的な処理が何ら施されない場合もある。本願では、便宜上、実質的な処理が何ら施されない場合でも、当該工程の処理を経たものとし、処理前の物品と処理後の物品とを区別して取り扱うことにする。したがって、図示の例における物品w4とx4とは、実際には同一物品であるが、本発明では別な物品として取り扱うこととし、後述するように、それぞれ異なる物品番号が付与される。
さて、この図1に示すような生産モデルにおいて、工程Zから搬出されてきた各物品を抜き取り検査することを考えてみよう。既に述べたとおり、理論上は、すべての物品を対象とした全品検査を行うのが好ましいが、実用上は時間やコストを削減するため、量産品の場合は抜き取り検査を採用せざるを得ないケースが多い。このような抜き取り検査の結果、問題が生じない限り、生産された物品はすべて良品であるとの推定の下に、通常どおりの出荷を行うことになる。
ところが、抜き取り検査により不良物品が発見された場合、当該不良物品を廃棄するだけでは、対応は不十分である。なぜなら、検査対象とならなかった物品の中にも不良物品が混入している可能性が高いため、そのような不良物品が出荷されないような対策を施す必要がある。このような対策として、最も好ましいのは、再度、全品について検査をやり直したり、全品を廃棄したりすることである。しかしながら、実用上は、時間やコストの制約から、全品検査や全品廃棄を行うことは困難な場合が多い。そこで、次善策として、発見された不良物品に基づいて、不良物品の容疑がある「不良容疑物品」を探索し、この「不良容疑物品」について検査や廃棄を行う方法が採られることになる。
以下、図1に示す単純な生産モデルについて、工程Zを経た物品についての抜き取り検査を行った結果、物品z1と物品z4とが不良物品であることが判明した場合に、当該事実に基づいて、「不良容疑物品」を見つけ出すための一般的なトレース探索処理の手順を説明する。
まず、図2に示すように、上流へのトレース探索を行う。図2において、星印をつけた物品z1,z4は、抜き取り検査により不良物品と判定された物品である。上流へのトレース探索では、これら不良物品z1,z4からダイアグラムを上流側へと辿ってゆき、その経路上にある物品をすべて「不良容疑物品」とする処理が行われる。図に示す太線は、このトレース探索の経路を示し、太線の円は、当該経路上にあるために「不良容疑物品」とされた物品を示している。図示のとおり、不良物品z1に基づく上流へのトレース探索により、物品y1,y2,x1,x2,w1,w2,w3が「不良容疑物品」とされ、不良物品z4に基づく上流へのトレース探索により、物品y7,x7,w8が「不良容疑物品」とされる。これらの「不良容疑物品」は、不良物品z1,z4を生じさせる原因となった可能性のある物品ということになる。
続いて、下流へのトレース探索が行われる。すなわち、上流へのトレース探索で最終的に「不良容疑物品」とされた最上流物品w1,w2,w3,w8を源流として、今度はダイアグラムを下流側へと辿ってゆき、その経路上にある物品をすべて「不良容疑物品」とする処理を行う。図3は、このような下流へのトレース探索を行った結果を示すダイアグラムである。図示のとおり、この下流へのトレース探索によって、新たに物品x3,x8,y3,y8,z2,z5が「不良容疑物品」とされることになる。
かくして、工程Zを経て出荷待ちとなっていた物品のうち、物品z1,z4が抜き取り検査により不良物品と判定され、その事実に基づくトレース探索処理により、物品z2,z5が「不良容疑物品」と認識されたことになる。物品z2,z5が「不良容疑物品」とされる理由は、図3のダイアグラムを見れば理解できよう。すなわち、物品z1が不良物品となった原因の1つとして、物品w3に欠陥があった可能性が考えられる。そして、もし物品w3に欠陥があったとすれば、その欠陥は支流に位置する物品z2にも及ぶため、物品z2も不良物品である可能性がある。同様に、物品z4が不良物品となった原因の1つとして、物品w8に欠陥があった可能性が考えられる。そして、もし物品w8に欠陥があったとすれば、その欠陥は支流に位置する物品z5にも及ぶため、物品z5も不良物品である可能性がある。
このように、下流側で不良物品が発見された場合、当該不良物品に関連する物品を上流側まで遡ってトレースし、トレースされた上流側の物品から逆に下流側へと再トレースし、再トレースされた物品を「不良容疑物品」と推定するトレース探索の手法は、前述したように、物品の流れを血縁関係と捉え、ある物品のもつ欠陥遺伝子が上流側の工程から下流側の工程へと遺伝するという基本的な考え方に立脚するものである。このため、物品自体の欠陥に起因した不良を効果的に検出することが可能であり、実際、図示の例の場合、生産システムに搬入された物品w3,w8が欠陥品であった場合には、その子孫にあたる物品z2,z5にも欠陥遺伝子が受け継がれ、欠陥物品となる。
しかしながら、このトレース探索の手法では、血縁関係のない別系統の物品を「不良容疑物品」と推定することはできないので、ある工程で用いられる処理装置が、一時的に不具合を生じていたために不良物品が生じたような場合、「不良容疑物品」の探索に漏れが生じるおそれがある。
たとえば、図3に示す例の場合、物品z3は「不良容疑物品」になっていないが、これは不良物品z1,z4とは血縁関係のない(ダイアグラムにおいて、線で結合されていない)別系統の物品であるためである。もちろん、不良物品z1,z4の欠陥の原因が、物品w3,w8のもつ欠陥遺伝子である場合には、図3に示す探索結果は妥当な結果と言うことができる。ところが、不良物品z1,z4の欠陥の原因が、工程Yで用いられる処理装置(この例の場合は印刷機)の不具合であった場合、物品y5,y6にも欠陥が生じており、物品z3も不良物品である可能性が高い。
このように、従来から一般に行われているトレース探索の手法では、「不良容疑物品」の探索に漏れが生じるおそれがあり、正確な不良容疑物品の探索を行うことができないという問題がある。
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本発明の目的は、§1で述べた一般的なトレース探索処理のもつ問題点を解消し、漏れのない正確な不良容疑物品の探索を行う不良容疑物品探索装置を提供することにある。以下、この不良容疑物品探索装置の構成および動作を詳述する。
<2−1:不良容疑物品探索装置の構成>
はじめに、図4のブロック図を参照しながら、本発明の基本的な実施形態に係る不良容疑物品探索装置の全体構成を説明する。
図4に一点鎖線で囲って示す生産システム100は、同じく一点鎖線で囲って示す本発明に係る不良容疑物品探索装置200の適用対象となるシステムである。すなわち、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システム100について、不良容疑物品探索装置200は、発見された不良物品に基づいて不良容疑物品を探索する処理を行う装置ということになる。
図4に示す生産システム100は、§1で述べた単純な生産モデルに対応したシステムであり、工程Xを行うための処理装置110、工程Yを行うための処理装置120、工程Zを行うための処理装置130、によって構成されている。ここで、工程Xが上流側の工程であり、工程Zが下流側の工程となる。生産システム100に搬入された物品wは、まず処理装置110において施される工程Xを経て物品xとなり、次に処理装置120において施される工程Yを経て物品yとなり、更に、処理装置130において施される工程Zを経て物品zとなり、最後に、この物品zが生産システム100から搬出される。§1で述べたとおり、各工程X,Y,Zは、搬入された物品に対して何らかの処理を行い、処理後に得られる物品を搬出する工程であれば、どのような工程であってもかまわない。
一方、本発明に係る不良容疑物品探索装置200は、図示のとおり、初期付番要求部210、工程後付番要求部221〜223、付番処理部230、変遷情報記録部240、トレース探索部250、挟込探索部260、探索結果格納部270、ポインタ格納部280、探索処理部290を備えている。
これらの各構成要素のうち、初期付番要求部210、工程後付番要求部221〜223、付番処理部230、変遷情報記録部240は、生産システム100が通常の生産活動を行っている間に動作する構成要素であり、不良容疑物品探索の準備段階を行う機能を果たす。これに対して、トレース探索部250、挟込探索部260、探索結果格納部270、ポインタ格納部280、探索処理部290は、抜き取り検査によって不良物品が発見された際に、発見された不良物品に基づいて不良容疑物品探索処理を行う際に動作する構成要素である。以下、各構成要素の機能を順に説明する。
<2−2:準備段階を行うための構成要素>
はじめに、不良容疑物品探索の準備段階を行うための構成要素を説明する。まず、初期付番要求部210は、生産システム100に物品wが搬入される際に、搬入される個々の物品wについて、付番処理部230に対して物品番号の付番要求を送信し、付番処理部230から返信されてきた物品番号を受信する機能を果たす。別言すれば、初期付番要求部210は、生産システム100に搬入される個々の物品w(すなわち、図示の例の場合、最初の工程Xを行う処理装置110に搬入される個々の物品)についての採番処理を行うことになる。
一方、工程後付番要求部221,222,223は、それぞれ工程X,Y,Zから処理後の物品x,y,zが搬出される際に、搬出される個々の物品x,y,zについて、付番処理部230に対して処理前の物品番号を特定して処理後の新たな物品番号の付番要求を送信し、付番処理部230から返信されてきた物品番号を受信する機能を果たす。別言すれば、工程後付番要求部221は、工程Xから搬出される物品x(すなわち、処理装置110から搬出される物品)について搬出時に採番する処理を行い、工程後付番要求部222は、工程Yから搬出される物品y(すなわち、処理装置120から搬出される物品)について搬出時に採番する処理を行い、工程後付番要求部223は、工程Zから搬出される物品z(すなわち、処理装置130から搬出される物品)について搬出時に採番する処理を行う。
付番処理部230は、各付番要求部210,221,222,223から付番要求が送信されてくるたびに、順序づけされた物品番号を送信順(付番要求の送信があった順)に付与し、付与した物品番号を送信元となる付番要求部へと返信する処理を行う。ここで述べる実施例の場合、物品番号として、「001」,「002」,「003」,... という3桁のシリアル番号を用いているが、順序づけされたコードであれば、どのようなコードを物品番号として用いてもかまわない。たとえば、「aaa」,「aab」,「aac」,... のようにアルファベットからなるコードを用いてもよいし、「002」,「004」,「006」,... のように偶数番号のみを抽出したコードを用いてもかまわない。あるいは、付番要求が送信されてきた日時、たとえば、「2011年2月26日14時12分13秒」のようなコードを用いてもよい。なお、秒単位で付番要求があるようなケースでは、「日時+枝番号α」の形式のコードを用いて、たとえば「2011年2月26日14時12分13秒−001」のような物品番号を付与して、必ず一意性が確保できるようにすればよい。もっとも、実用上は、数字からなるシリアル番号を物品番号として用いるのが最も効率的である。
付番処理部230は、いずれの付番要求部210,221,222,223からの付番要求であるかにかかわらず、付番要求があるたびに、当該付番要求に応じて、若い順に新たな物品番号を発生させ、これを送信元となる付番要求部へ返信する処理を行う。したがって、時間的に先になされた付番要求に対しては、それだけ若い物品番号が付与されることになる。別言すれば、時間軸上に付番要求を並べた場合、この時間軸に沿った順序で物品番号が若い順に並ぶことになる。
図5は、図1に示す生産モデルに本発明を適用した場合の各物品への付番状態を示すダイアグラムである。図1の説明でも述べたとおり、図の縦長の矩形は、個々の工程を示しており、個々の円は、各工程に搬入される物品もしくは各工程から搬出される物品を示しており、各円を連結する線は、各工程にわたる物品の流れを示している。そして、各円の右上に付加された矩形タグ内の3桁の数字は、各物品に付与された物品番号を示している。ここで述べる実施例では、上述したように、「001」,「002」,「003」,... という3桁の連続した番号を物品番号として用いており、図5に示す例の場合、「001」〜「029」までの連続番号が個々の物品に物品番号として付与されている。
付番処理部230は、付番要求があるたびに、若い順に物品番号を付与する処理を行うことになるので、図5に示す「001」〜「029」までの連続番号は、付番要求があった時間軸上の順番を示している。すなわち、最終的に図5に示すような付番がなされることになった履歴は、次のとおりである。
まず、この生産システム100に、物品w1,w2が搬入され、その時点で、初期付番要求部210による付番要求がなされ、物品w1には「001」,物品w2には「002」なる物品番号が付与される。続いて、物品w1,w2に対して工程Xが実行され、合成物品x1が搬出された時点で、工程後付番要求部221による付番要求がなされ、物品x1に対して「003」なる物品番号が付与される。そして、この物品x1に対して工程Yが実行され、処理後の物品y1が搬出された時点で、工程後付番要求部222による付番要求がなされ、物品y1に対して「004」なる物品番号が付与される。
次に、この生産システム100に、物品w3,w4が搬入され、その時点で、初期付番要求部210による付番要求がなされ、物品w3には「005」,物品w4には「006」なる物品番号が付与される。続いて、物品w3に対して工程Xが実行され、2つに分離された物品x2,x3が搬出された時点で、工程後付番要求部221による付番要求がなされ、物品x2に対して「007」なる物品番号が、物品x3に対して「008」なる物品番号が、それぞれ付与される。一方、物品w4は、工程Xを経て(実質的に、何ら加工処理は行われずに)、物品x4として搬出される。その時点で、工程後付番要求部221による付番要求がなされ、物品x4に対して「009」なる物品番号が付与される。
次に、この生産システム100に、物品w8が搬入され、その時点で、初期付番要求部210による付番要求がなされ、物品w8には「010」なる物品番号が付与される。続いて、物品x2に対して工程Yが実行され、処理後の物品y2が搬出された時点で、工程後付番要求部222による付番要求がなされ、物品y2に対して「011」なる物品番号が付与される。続いて、物品w8に対して工程Xが実行され、2つに分離された物品x7,x8が搬出された時点で、工程後付番要求部221による付番要求がなされ、物品x7に対して「012」なる物品番号が、物品x8に対して「013」なる物品番号が、それぞれ付与される。
続いて、物品y1,y2に対して工程Zが実行され、合成物品z1が搬出された時点で、工程後付番要求部223による付番要求がなされ、物品z1に対して「014」なる物品番号が付与される。以下、同様にして、時間の経過とともに、付番要求に対して「015」〜「029」までの付番が順番になされた状態が、図5に示す結果である。このように、時間軸に沿って一連の物品番号を付与することは、後述するように、挟込探索を行う上で重要な役割を果たす。
一方、図4に示す変遷情報記録部240は、付番処理部230による物品番号の付与履歴に基づいて、複数の工程にわたる物品番号の変遷を示す変遷情報を記録する処理を行う。たとえば、図5に示す生産モデルの場合、物品番号の変遷は、「001」と「002」とが工程Xで合流して「003」となり、更に工程Yを経て「004」となり、その一方で、「005」が工程Xで分岐して「007」と「008」になり、「007」は工程Yを経て「011」となり、「004」と「011」とが工程Zで合流して「014」となり、... という物品番号の変遷が見てとれる。変遷情報記録部240は、このような物品番号の変遷を変遷情報として記録する機能を果たす。
変遷情報記録部240が変遷情報の記録を行うことができるのは、工程後付与要求部221,222,223が、搬出される個々の物品について、処理前の物品番号を特定して処理後の新たな物品番号の付番要求を送信するためである。たとえば、工程後付与要求部221は、図5に示す物品x1についての付番要求を送信する場合、当該物品x1についての工程Xの処理前の物品番号である「001」,「002」を特定した付番要求を付番処理部230に送信することになる。変遷情報記録部240は、こうして付番処理部230に送信されてきた付番要求の情報を参照して、変遷情報の記録を行う。
変遷情報記録部240が変遷情報を記録する際のデータ形式は、複数の工程にわたる物品番号の変遷を示すことができれば、どのような形式のものでもかまわない。ここに示す実施例の場合、工程後付番要求部221〜223は、処理が完了した工程を特定する「工程識別コード」と「処理前の物品番号」とを含む付番要求を付番処理部230に送信する。一方、付番処理部230は、この付番要求に対して「処理後の物品番号」を付与し、これを送信元の工程後付番要求部へと返信する処理を行う。そこで、この実施例では、変遷情報記録部240が、工程後付番要求部221〜223から送信されてきた「工程識別コード」および「処理前の物品番号」と、付番処理部230が付与した「処理後の物品番号」と、を対応づけたデータ形式をもつ単位変遷情報を逐次記録するようにしている。
たとえば、図5に示す例の場合、工程Xの処理が完了して物品x1が搬出された時点で、工程後付番要求部221は、この物品x1についての付番要求を付番処理部230に対して送信する。この付番要求には、処理が完了した工程を特定する工程識別コード「X」と処理前の物品番号「001」,「002」とが含まれている。要するに、複数の物品w1,w2が処理後に1つの物品x1に合成される合流工程については、当該1つの物品x1について、処理前の複数物品番号「001」,「002」を特定した付番要求が送信されることになる。
付番処理部230は、このような付番要求に応じて、処理後の物品番号「003」を付与することになるが、変遷情報記録部240は、このような付番処理部230による付番処理に基づいて、「X:001/003」および「X:002/003」という2つの単位変遷情報を作成して記録する。ここで、単位変遷情報「X:001/003」は、工程Xにおける物品番号「001」から「003」への変遷(図5に示す物品w1からx1への流れ)を示す情報であり、単位変遷情報「X:002/003」は、工程Xにおける物品番号「002」から「003」への変遷(図5に示す物品w2からx1への流れ)を示す情報である。
続いて、工程Yの処理が完了して物品y1が搬出された時点で、工程後付番要求部222は、この物品y1についての付番要求を付番処理部230に対して送信する。この付番要求には、処理が完了した工程を特定する工程識別コード「Y」と処理前の物品番号「003」とが含まれている。付番処理部230は、このような付番要求に応じて、処理後の物品番号「004」を付与することになるが、変遷情報記録部240は、このような付番処理部230による付番処理に基づいて、「Y:003/004」という単位変遷情報を作成して記録する。この単位変遷情報は、工程Yにおける物品番号「003」から「004」への変遷(図5に示す物品x1からy1への流れ)を示す情報である。
更に、工程Xの処理が完了して2つの物品x2,x3が搬出された時点で、工程後付番要求部221は、これら物品x2,x3について、それぞれの付番要求を付番処理部230に対して送信する。物品x2についての付番要求には、処理が完了した工程を特定する工程識別コード「X」と処理前の物品番号「005」とが含まれており、物品x3についての付番要求にも、全く同様に、処理が完了した工程を特定する工程識別コード「X」と処理前の物品番号「005」とが含まれている。要するに、1つの物品w3が処理後に複数の物品x2,x3に分かれる工程については、当該複数の物品x2,x3のそれぞれについて、処理前の同一物品番号「005」を特定した付番要求が送信されることになる。
付番処理部230は、このような付番要求に応じて、それぞれ処理後の物品番号「007」および「008」を付与することになるが、変遷情報記録部240は、このような付番処理部230による付番処理に基づいて、「X:005/007」および「X:005/008」という単位変遷情報を作成して記録する。ここで、単位変遷情報「X:005/007」は、工程Xにおける物品番号「005」から「007」への変遷(図5に示す物品w3からx2への流れ)を示す情報であり、単位変遷情報「X:005/008」は、工程Xにおける物品番号「005」から「008」への変遷(図5に示す物品w3からx3への流れ)を示す情報である。
同様に、工程Xの処理が完了して物品x4が搬出された時点で、工程後付番要求部221は、この物品x4についての付番要求を付番処理部230に対して送信する。この付番要求には、処理が完了した工程を特定する工程識別コード「X」と処理前の物品番号「006」とが含まれている。付番処理部230は、このような付番要求に応じて、処理後の物品番号「009」を付与する。前述したとおり、この例の場合、実際には、物品w4に対する実質的な加工処理は行われないため、物品x4は物品w4と同一物品であるが、工程Xの前後で別々の物品番号が用いられるようにするため、新たな物品番号「009」が付与されることになる。変遷情報記録部240は、このような付番処理部230による付番処理に基づいて、「X:006/009」という単位変遷情報を作成して記録する。
図4の変遷情報記録部240に楕円で示されている6組の単位変遷情報は、上述のような処理により記録された情報である。以下、具体的な説明は省略するが、図5に示す物品x1〜x8,y1〜y8,z1〜z5のそれぞれについて、付番要求がなされた時点で、変遷情報記録部240内に上例のような単位変遷情報が記録されることになる。このようにして記録された変遷情報は、後述するように、トレース探索部250によるトレース処理に利用される。変遷情報記録部240は、分岐工程および合流工程における分岐および合流を含む物品番号の変遷を示す変遷情報を記録しているので、トレース探索部250は、分岐工程および合流工程における分岐および合流を含む変遷を辿るトレース処理を行うことができる。
以上、生産システム100が通常の生産活動を行っている間に動作する初期付番要求部210、工程後付番要求部221〜223、付番処理部230、変遷情報記録部240の処理機能を説明した。これらの構成要素は、不良容疑物品探索の準備段階を行うことになる。
<2−3:不良容疑物品探索処理を行うための構成要素>
続いて、抜き取り検査によって不良物品が発見された際に、発見された不良物品に基づいて不良容疑物品探索処理を行う際に動作する、トレース探索部250、挟込探索部260、探索結果格納部270、ポインタ格納部280、探索処理部290の処理機能を説明する。
まず、探索処理部290は、探索処理プロセスを統括制御する中枢機能を果たす構成要素であり、不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示が与えられたときに、指定された不良物品の物品番号を探索結果格納部270に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置にポインタを設定し、後述する手順に従って探索処理を開始する。ポインタ格納部280は、現在探索中の工程位置を示すポインタを格納する構成要素であり、ポインタの最初の位置は、探索処理部290によって設定される。
また、探索結果格納部270は、探索開始指示が与えられたときに指定された不良物品の物品番号と、探索処理によって探索された不良容疑物品の物品番号とを格納する機能を果たす構成要素である。図4には、2つの物品番号「014」,「027」が格納されている状態が示されている。探索処理部290が探索処理を進めてゆくと、探索結果格納部270内に、新たに探索された不良容疑物品の物品番号が逐次格納されてゆくことになる。こうして探索結果格納部270内に格納された不良容疑物品の物品番号は、探索終了時に、探索処理部290によって探索結果として出力されることになる。
トレース探索部250および挟込探索部260は、探索処理部290からの指示に基づいて、実際の探索処理を請け負う構成要素である。ここで行われる実際の探索処理は、ポインタ格納部280に格納されているポインタによって示される工程位置に関して、探索結果格納部270内にその時点で格納されている物品番号および変遷情報記録部240内にその時点で格納されている変遷情報を参照し、不良容疑物品の物品番号を見つける処理であり、見つかった不良容疑物品の物品番号は、探索結果格納部270へと逐次格納されることになる。ただ、トレース探索部250と挟込探索部260とは、それぞれ異なる方法を用いた探索機能を有しており、これら2通りの方法に基づく探索処理が所定の順番で選択的に実行される。
トレース探索部250によって実行されるトレース探索の基本概念は、既に§1で説明したとおりである。トレース探索部250は、探索処理部290からの指示に基づいて、ポインタ格納部280に格納されているポインタを上流側もしくは下流側の工程位置に移動させ、探索結果格納部270に格納されている物品番号のうち、ポインタが移動前に示していた移動前工程から搬出された物品に付与されている物品番号について、変遷情報記録部240内に格納されている変遷情報を参照することにより、ポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索を行う機能を有する。
ここに示す実施例の場合、図4に例示したように、変遷情報記録部240内には、「工程識別コード:処理前の物品番号/処理後の物品番号」というデータ形式をもつ単位変遷情報が格納されているので、トレース探索部250は、「処理前の物品番号」と「処理後の物品番号」との対応関係を参照しながらポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行うことができる。
トレース探索部250が、上流側への探索処理を行うと、探索結果格納部270に物品番号が格納されている不良物品および不良容疑物品の上流側の物品を辿ることができ、辿った物品を新たに探索された不良容疑物品として、探索結果格納部270に登録する(物品番号を格納する)ことができる。同様に、トレース探索部250が、下流側への探索処理を行うと、探索結果格納部270に物品番号が格納されている不良物品および不良容疑物品の下流側の物品を辿ることができ、辿った物品を新たに探索された不良容疑物品として、探索結果格納部270に登録する(物品番号を格納する)ことができる。
一方、挟込探索部260によって実行される挟込探索は、本発明に固有のものであり、その基本概念は、同一時間帯に同一工程の処理が施された複数の物品があり、その中から不良物品が発見された場合には、当該複数の物品はいずれも不良物品の可能性が高いであろう、という考え方である。この考え方に立脚すれば、たとえば、図5に示す生産モデルにおいて、工程Yから搬出された物品y4が不良物品(あるいは、不良容疑物品でもよい)であった場合、同じ工程Yにおいて、当該物品y4に対する処理が行われた時間帯に近接した時間帯に処理が行われた別な物品も、不良物品である可能性が高い、ということになる。
このような挟込探索の基本的な考え方は、工程Yを実施する処理装置120に何らかの支障が生じていた場合には、極めて理にかなったものである。たとえば、工程Yが印刷工程の場合、処理装置120は印刷機ということになるが、何らかの原因で印刷ローラに油汚れが付着していたとすると、当該汚れが印刷対象物品へ転写され、搬出される物品は不良品になる。この場合、印刷ローラに油汚れが付着した時点から、当該油汚れが印刷対象物品へ転写されて自然消滅する時点までの期間に、処理装置120から搬出されたすべての物品に油汚れが付着し、不良品になる可能性が高い。
このような事態は、印刷機の不良に限られるものではなく、加工機械の刃の不良、加熱処理装置の温度異常、ラミネート処理装置で用いる接着剤不良など、様々なケースで起こり得る。また、作業員の手作業が加わる工程の場合であれば、「不慣れな作業員による担当」という人的な要因によっても、ある特定の時間帯に処理された物品がすべて不良物品になる、という事態が起こり得る。したがって、上記挟込探索の基本概念は、様々な分野の生産工程で有効である。
このような基本概念に基づいて、挟込探索では、具体的に次のような探索処理が行われる。いま、ある1つの工程から搬出された複数の物品に着目し、これら複数の着目物品の中に、「不良物品もしくは既に探索されている不良容疑物品」(ここでは「挟込用物品」と呼ぶ)が複数含まれていたものとしよう。このような場合、これら複数の「挟込用物品」の物品番号に挟まれた物品番号をもつ物品を、新たな不良容疑物品とするのである。
たとえば、図5に示す生産モデルにおいて、工程Yから搬出された物品に着目してみる。この場合、8個の物品y1〜y8が着目物品ということになる。これらの着目物品のうち、たとえば、2つの物品y4,y7が不良物品もしくは不良容疑物品であった場合を考えよう。別言すれば、この挟込探索の時点において、探索結果格納部270内に「021」(物品y4の物品番号)および「024」(物品y7の物品番号)が格納されていた場合ということになる。この場合、2つの物品y4,y7は「挟込用物品」となり、8個の着目物品y1〜y8のうち、「挟込用物品」の物品番号「021」,「024」に挟まれた物品番号をもつ物品、すなわち、物品y5(物品番号「022」)と物品y6(物品番号「023」)とが、新たに探索された不良容疑物品となり、物品番号「022」,「023」が探索結果格納部270内に新たに格納されることになる。
このように、物品番号「022」,「023」をもつ物品y5,y6を、新たに不良容疑物品に加える理由は、これらの物品は、その物品番号が「021」と「024」とに挟まれており、物品y4(物品番号「021」)の処理時と物品y7(物品番号「024」)の処理時との間に処理が施された物品であるためである。すなわち、工程Yの処理装置120に何らかのトラブルが発生したために物品y4およびy7が不良物品になったと仮定すると、当該トラブルは、少なくとも物品y4の処理時から物品y7の処理時まで継続していた可能性が高く、そうだとすれば、その間に処理が行われた物品y5,y6にも同様の不良が生じている可能性が高い。したがって、物品y5,y6を新たな不良容疑物品に加えることは理にかなっている。
付番処理部230が、付番要求があるたびに、時間軸に沿って順序づけされた物品番号を付与する理由は、このような挟込探索を行うために他ならない。各物品に付与された物品番号は、所定の工程において当該物品に対して処理が施された時点を示すパラメータになっている。このため、2つの物品番号による挟み込みは、所定の時間帯を規定する意味をもつことになり、挟込探索は、この所定の時間帯に同じ工程処理が施された物品を不良容疑物品として拾い出す処理ということになる。
結局、挟込探索部260は、探索処理部290からの指示に基づいて、変遷情報記録部240内の変遷情報を参照することにより、ポインタ格納部280内のポインタによって示されている工程から搬出された物品に付与されている物品番号を着目物品番号として抽出し、この着目物品番号の中から探索結果格納部270内に格納されている物品番号を挟込用物品番号と認識し、この挟込用物品番号が複数存在する場合に、着目物品番号のうち当該複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納する挟込探索を行うことになる。
なお、この挟込探索では、挟込用物品番号に挟まれた物品番号の必ずしもすべてを不良容疑物品の物品番号として格納する必要はなく、場合によっては、挟込用物品番号に挟まれた物品番号の一部のみを不良容疑物品の物品番号として格納するようにしてもかまわない。
§1で述べたとおり、トレース探索部250によって行われるトレース探索の手法は、物品の流れを血縁関係と捉え、ある物品のもつ欠陥遺伝子が上流側の工程から下流側の工程へと遺伝するという基本的な考え方に立脚するものであり、物品自体の欠陥に起因した不良を効果的に検出することが可能である。しかしながら、血縁関係のない別系統の物品を「不良容疑物品」と推定することはできないので、不良容疑物品の探索に漏れが生じるおそれがある。これに対して、挟込探索部260による挟込探索は、上述したように、特定の工程のトラブルに起因して発生した不良物品を効果的に検出することが可能である。
本発明の特徴は、トレース探索部250による探索と、挟込探索部260による探索とを併用することにより、両者でそれぞれの長所および短所を補い合うようにし、漏れのない正確な不良容疑物品の探索を可能にした点にある。そのために、探索処理部290は、トレース探索部250に対してトレース探索指示を与える処理と、挟込探索部260に対して挟込探索指示を与える処理と、を所定のアルゴリズムに基づいて組み合わせることにより探索処理を行い、探索処理後に探索結果格納部270に格納されている不良容疑物品の物品番号を探索結果として出力する統括制御処理を行うことになる。
<2−4:実用上の装置構成>
これまで、図4のブロック図を参照しながら、本発明の基本的な実施形態に係る不良容疑物品探索装置200の構成および動作を説明したが、実用上、この不良容疑物品探索装置200は、汎用のコンピュータに専用のプログラムを組み込むことによって実現することが可能である。
たとえば、図4に示す構成において、初期付番要求部210,工程後付番要求部221〜223は、それぞれ所定位置に設置されたコンピュータ用端末装置によって構成することができ、付番処理部230,変遷情報記憶部240,トレース探索部250,挟込探索部260,探索結果格納部270,ポインタ格納部280,探索処理部290は、上記端末装置とネットワーク接続されたコンピュータによって構成することができる。この場合、個々の構成要素の機能は、コンピュータに組み込まれた専用プログラムによって実現される。
なお、この装置におけるポインタは、いずれかの工程を指し示す役割を果たすものであるから、その実体は、いずれかの工程を特定するデータによって構成することができ、ポインタ格納部280は、そのようなデータを格納するメモリなどの記憶装置によって実現することができる。たとえば、図4に示す例の場合、ポインタ格納部280は、工程X,Y,Zのいずれかを示すデータを格納するメモリによって実現することができ、ポインタの上流もしくは下流への移動処理は、当該データを書き換える処理ということになる。
また、変遷情報記録部240や探索結果格納部270も、メモリなどの記憶装置を利用して実現されることになる。なお、記憶装置の容量に制限がある場合には、探索処理部290に、不要になったデータを適宜削除する機能を設けておけばよい。この不良容疑物品探索装置200は、抜き取り検査によって不良物品が発見された場合に、不良容疑物品を探索する装置であるから、たとえば、始業時から終業時までに不良物品が発見されなかった場合、あるいは、発見された場合でも不良容疑物品の探索が完了した場合には、変遷情報記録部240や探索結果格納部270内のデータは役割を終えたことになる。このような場合は、必要に応じて、不要なデータを削除するようにすれば、記憶装置の容量を有効利用することができる。
<<< §3.具体的な生産モデルへの適用例 >>>
続いて、図4に示す不良容疑物品探索装置を具体的な生産モデルに適用して、実際に不良容疑物品を探索する手順をいくつかの例について説明する。なお、本願で例示する生産モデルは、説明の便宜上、いずれも極めて単純な生産モデルとなっており、生産システムから最終的に搬出される製品数はわずか数個になっているが、実際の生産システムでは、数百〜数万といった大量の製品が生産されることになる。
<3−1:第1の生産モデルへの適用例>
はじめに、図5に示す第1の生産モデルへの適用例を説明しよう。この図5は、§2ー2で述べたとおり、本発明の準備段階において、図1に示す生産モデルの各物品に付番がなされた状態を示すダイアグラムである。物品を示す各円の右上に付加された矩形タグ内に、「001」〜「029」までの連続番号が付与されている。
ここでは、工程Zから搬出された物品に対して抜き取り検査を行った結果、物品z1およびz4が不良物品と判定された場合を考えてみよう。実際の生産システムでは、たとえば、100個に1個とか、1000個に1個といった割合で抜き取り検査が行われるので、大量の物品が未検査状態である。したがって、2つの物品z1,z4が不良物品であることが判明した場合、当然ながら、未検査物品の中にも不良物品が含まれていることが疑われる。そこで、この不良容疑物品探索装置を用いて、未検査物品の中から、不良容疑物品(すなわち、不良物品である可能性が所定基準以上の物品)を探索する処理が行われる。
図6は、このような不良容疑物品の探索を行う第1段階の状態を示すダイアグラムである。図に星印が付された物品z1,z4は、抜き取り検査によって発見された不良物品である。物品z1,z4についての物品番号「014」,「027」が太枠で囲われているのは、これらの物品番号が探索結果格納部270内に格納されたことを示している。また、工程Zの矩形の下に示された矢印Pは、この時点でのポインタの位置を示している。すなわち、図6の場合、ポインタPは工程Zを示していることになる。
この図6に示すような探索の第1段階の設定は、探索処理部290によって行われる。すなわち、§2で述べたとおり、探索処理部290は、不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示が与えられたときに、指定された不良物品の物品番号を探索結果格納部270に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置にポインタを設定し、探索処理を開始する機能を有する。
ここに示す例の場合、探索処理部290には、不良物品z1,z4の物品番号「014」,「027」を伴う探索開始指示が与えられるので、探索処理部290は、まず、これら物品番号「014」,「027」を、不良物品の物品番号として探索結果格納部270に格納する処理を行う(図4には、物品番号「014」,「027」が格納された状態が示されている)。続いて、探索処理部290は、変遷情報記録部240内の変遷情報を検索する。すると、「Z:004/014」,「Z:011/014」,「Z:024/027」という単位変遷情報に基づいて、物品番号「014」,「027」を搬出した工程が工程Zであることが認識できるので、ポインタ格納部280に工程Zを示すポインタを設定する。
もちろん、抜き取り検査が常に工程Zから搬出された物品に対して行われるようなケースでは、探索処理部290が、無条件で工程Zを示すポインタを設定するようにしておいてもかまわない。
こうして、探索結果格納部270に不良物品の物品番号「014」,「027」が格納され(図6の太枠で囲われた番号)、ポインタ格納部280に工程Zを示すポインタが設定されたら(図6の矢印P)、探索処理を行う準備は完了である。なお、図6の左端には、工程Wと記された矩形が描かれているが、この工程Wは生産システムへの物品の搬入処理を1つの工程として捉えたものである。すなわち、ここに示す実施形態の場合、トレース探索部250は、生産システムへの物品の搬入工程を最初の工程Wとして取り扱い、この搬入工程WへのポインタPの移動を含むトレース処理を行うことになる。別言すれば、図示の矢印Pは、トレース探索部250によって、工程W,X,Y,Zという4工程のいずれかに移動させられることになる。
さて、探索処理部290は、トレース探索部250に対してトレース探索指示を与える処理と、挟込探索部260に対して挟込探索指示を与える処理と、を所定のアルゴリズムに基づいて組み合わせることにより探索処理を行う。どのようなアルゴリズムを採用するかは、実際の生産システムに適合するように予め設定しておく必要がある。ここでは、次のようなアルゴリズムが設定されていたものとしよう。
(1) 工程Zから工程Yへのトレース探索(ポインタを上流側へ移動)
(2) 工程Yについての挟込探索
(3) 工程Yから工程Xへのトレース探索(ポインタを上流側へ移動)
(4) 工程Xから工程Wへのトレース探索(ポインタを上流側へ移動)
(5) 工程Wから工程Xへのトレース探索(ポインタを下流側へ移動)
(6) 工程Xから工程Yへのトレース探索(ポインタを下流側へ移動)
(7) 工程Yから工程Zへのトレース探索(ポインタを下流側へ移動)
上記アルゴリズムにおいて、(1) ,(3) 〜(7) のステップは、§1で述べた一般的なトレース探索処理である。すなわち、下流側の工程Zから上流側の工程Wまで遡った後、上流側の工程Wから下流側の工程Zまで下るトレース探索が行われる。ただ、上記アルゴリズムでは、この一般的なトレース探索処理の途中に、ステップ(2) として、挟込探索が挿入されている。このような挟込探索を併用することにより、漏れのない正確な不良容疑物品の探索が可能になる。
以下、上記ステップ(1) 〜(7) を、図7〜図14に示すダイアグラムで追ってみよう。これらの図において、星印が付された物品は、抜き取り検査によって発見された不良物品を示し、太丸の物品は、探索された不良容疑物品を示し、太線はトレースされた経路を示している。また、太枠で囲われた物品番号は、探索結果格納部270内に格納されている物品番号であることを示し、工程を示す矩形の下に示された実線の矢印Pは、現時点でのポインタの位置を示し、破線の矢印P′は移動前のポインタの位置を示している。
(1) 工程Zから工程Yへのトレース探索(ポインタを上流側へ移動)
まず、探索処理部290からトレース探索部250に対して、上流側へのトレース探索指示が与えられる。トレース探索部250は、当該指示に基づいて、ポインタ格納部280に格納されているポインタPを工程Zから工程Yへと移動させる(ポインタ格納部280内のデータを書き換える)。そして、探索結果格納部270に格納されている物品番号のうち、ポインタPが移動前に示していた移動前工程Zから搬出された物品に付与されている物品番号について、変遷情報記録部240内の変遷情報を参照することによりポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を探索結果格納部270に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索を行う。
具体的には、図7に示すとおり、まず、ポインタPを工程Zから工程Yへと移動する処理が行われる。そして、この時点で探索結果格納部270に格納されている物品番号は、不良物品の番号「014」,「027」であるから、変遷情報記録部240内の単位変遷情報「Z:004/014」,「Z:011/014」,「Z:024/027」を参照することにより、ポインタPの移動に応じた工程Zから工程Yへの変遷を辿るトレース処理を行う。その結果、物品番号「004」,「011」,「024」がトレースされ、これらの物品番号が探索結果格納部270に不良容疑物品の物品番号として格納される。
図7に太線矢印で示されている経路は、このような上流側へのトレース経路を示している。このようなトレース探索により、物品y1,y2,y7が新たに不良容疑物品として登録される。すなわち、これらの物品の物品番号が、探索結果格納部270に格納されることになる。この時点で、探索結果格納部270に格納されている物品番号は、「014」,「027」,「004」,「011」,「024」(図に太枠で囲って示された物品番号)ということになる。
(2) 工程Yについての挟込探索
探索処理部290は、トレース探索部250からトレース探索完了の報告を受けると、続いて、挟込探索部260に対して、挟込探索指示を与える。挟込探索部250は、当該指示に基づいて、変遷情報記録部240内の変遷情報を参照することにより、ポインタ格納部280内のポインタPによって示されている工程から搬出された物品に付与されている物品番号を着目物品番号として抽出し、この着目物品番号の中から探索結果格納部270に格納されている物品番号を挟込用物品番号と認識し、この挟込用物品番号が複数存在する場合に、着目物品番号のうち当該複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号を探索結果格納部270に不良容疑物品の物品番号として格納する挟込探索を行う。
具体的には、図8に示すとおり、ポインタPによって示されている工程Yから搬出された物品y1〜y8が着目物品R(図では、太い破線で囲って示してある)と認識され、これら物品y1〜y8に付与されている物品番号が着目物品番号として抽出される。そして、この着目物品番号の中から探索結果格納部270に格納されている物品番号が挟込用物品番号と認識される。すなわち、着目物品Rのうち、太枠で囲われた物品番号をもつ3つの物品y1,y2,y7(いずれも、上記(1) のトレース探索処理で不良容疑物品とされた物品)が挟込用物品と認識され、これら挟込用物品の物品番号「004」,「011」,「024」が、挟込用物品番号と認識される。
この例では、挟込用物品番号が複数(3個)存在するので、挟み込みを行うことが可能である(挟込用物品番号が複数存在しない場合は、挟み込みを行うことができないので、挟込探索処理はそこで打ち切りとなる)。そこで、着目物品番号のうち当該複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号が新たに不良容疑物品の物品番号として追加され、探索結果格納部270に格納される。この例のように、挟込用物品番号が3個以上ある場合には、最小番号と最大番号とを決定し、着目物品番号のうち最小番号と最大番号とによって挟まれた物品番号のうち、まだ探索結果格納部270に格納されていない物品番号を、新たな不良容疑物品の物品番号として、探索結果格納部270に格納すればよい。
具体的には、図示の例の場合、3つの挟込用物品番号「004」,「011」,「024」に基づいて、最小番号「004」と最大番号「024」とが決定され、着目物品番号のうち両番号によって挟まれ、まだ探索結果格納部270に格納されていない物品番号として、「020」,「021」,「022」,「023」が認識され、これらの物品番号が、探索結果格納部270に新たな不良容疑物品の物品番号として格納されることになる。図9は、このような挟込探索処理が完了した時点の状態を示している。8個の着目物品y1〜y8のうち、物品y8を除く7個が、不良容疑物品として認識され、その物品番号が探索結果格納部270に格納されたことになる。
ここで、物品y8だけが除かれた理由は、物品y8の物品番号「028」が、上記挟込範囲に入っていないためであり、別言すれば、物品y8の搬出時点が、不良容疑物品y7の搬出時点よりも遅かったためである。もちろん、工程Yに何らかのトラブルが発生していた場合、物品y8が不良物品である可能性もあるが、物品y7の搬出後にトラブルが解消したということも考えられるため、本発明では、物品y8については、この時点では不良容疑物品とはしない取り扱いをする。すなわち、本発明では、物品z1,z4が不良物品であったという事実に基づいて、少なくとも最小番号「004」に係る物品y1の処理時点から、最大番号「024」に係る物品y7の処理時点までの期間に、工程Yに何らかのトラブルが発生していたものと推定し、これらの期間内に処理対象となった物品のみについて、不良物品としての容疑をかけることになる。
この挟込探索処理の特徴は、不良物品z1,z4とは全く血縁のない別系統の物品y5,y6が、新たに不良容疑物品として探索される点である。図9を見ればわかるとおり、不良物品z1,z4から線を辿っていったとしても、別系統の物品y5,y6にたどり着くことはできない。したがって、トレース探索だけでは、図3の結果に示されているとおり、別系統への探索が全くなされず、物品z3が不良容疑物品となることはない。挟込探索処理を行えば、このような別系統の物品y5,y6へも探索の手を伸ばすことができる。
(3) 工程Yから工程Xへのトレース探索(ポインタを上流側へ移動)
探索処理部290は、挟込探索部260から挟込探索完了の報告を受けると、続いて、トレース探索部250に対して、再び上流側へのトレース探索指示を与える。トレース探索部250は、当該指示に基づいて、ポインタ格納部280に格納されているポインタPを工程Yから工程Xへと移動させる。そして、探索結果格納部270に格納されている物品番号のうち、ポインタPが移動前に示していた移動前工程Yから搬出された物品に付与されている物品番号について、変遷情報記録部240内の変遷情報を参照することによりポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を探索結果格納部270に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索を行う。
具体的には、図10に示すとおり、ポインタPが工程Yから工程Xへと移動し、物品y1〜y7(移動前工程Yから搬出された物品のうち、物品番号が探索結果格納部270に格納されている物品)について、ポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理が行われ、トレースされた物品x1〜x7が新たな不良容疑物品となる。かくして、物品番号「003」,「007」,「008」,「009」,「017」,「019」,「012」が新たに探索結果格納部270に格納される。図10に太線矢印で示されている経路は、このような上流側へのトレース経路を示している。
(4) 工程Xから工程Wへのトレース探索(ポインタを上流側へ移動)
探索処理部290は、トレース探索部250からトレース探索完了の報告を受けると、続いて、トレース探索部250に対して、再び上流側へのトレース探索指示を与える。トレース探索部250は、当該指示に基づいて、ポインタ格納部280に格納されているポインタPを工程Xから工程Wへと移動させ、このポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行う。
具体的には、図11に示すとおり、物品x1〜x7(移動前工程Xから搬出された物品のうち、物品番号が探索結果格納部270に格納されている物品)について、ポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理が行われ、トレースされた物品w1〜w8が新たな不良容疑物品となる。かくして、物品番号「001」,「002」,「005」,「006」,「015」,「016」,「018」,「010」が新たに探索結果格納部270に格納される。図11に太線矢印で示されている経路は、このような上流側へのトレース経路を示している。
(5) 工程Wから工程Xへのトレース探索(ポインタを下流側へ移動)
探索処理部290は、トレース探索部250からトレース探索完了の報告を受けると、今度はトレースの方向を逆転させ、トレース探索部250に対して、下流側へのトレース探索指示を与える。トレース探索部250は、当該指示に基づいて、ポインタ格納部280に格納されているポインタPを工程Wから工程Xへと移動させ、このポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行う。
具体的には、図12に示すとおり、物品w1〜w8(移動前工程Wから搬出された物品のうち、物品番号が探索結果格納部270に格納されている物品)について、ポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理が行われ、物品x1〜x8へのトレースが行われる。ここで、物品x8が新たにトレースされた物品ということになるので、物品番号「013」が新たに探索結果格納部270に格納される。図12に太線矢印で示されている経路は、このような下流側へのトレース経路を示している。
(6) 工程Xから工程Yへのトレース探索(ポインタを下流側へ移動)
探索処理部290は、トレース探索部250からトレース探索完了の報告を受けると、続いて、トレース探索部250に対して、再び下流側へのトレース探索指示を与える。トレース探索部250は、当該指示に基づいて、ポインタ格納部280に格納されているポインタPを工程Xから工程Yへと移動させ、このポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行う。
具体的には、図13に示すとおり、物品x1〜x8(移動前工程Xから搬出された物品のうち、物品番号が探索結果格納部270に格納されている物品)について、ポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理が行われ、物品y1〜y8へのトレースが行われる。ここで、物品y8が新たにトレースされた物品ということになるので、物品番号「028」が新たに探索結果格納部270に格納される。図13に太線矢印で示されている経路は、このような下流側へのトレース経路を示している。
(7) 工程Yから工程Zへのトレース探索(ポインタを下流側へ移動)
探索処理部290は、トレース探索部250からトレース探索完了の報告を受けると、続いて、トレース探索部250に対して、再び下流側へのトレース探索指示を与える。トレース探索部250は、当該指示に基づいて、ポインタ格納部280に格納されているポインタPを工程Yから工程Zへと移動させ、このポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行う。
具体的には、図14に示すとおり、物品y1〜y8(移動前工程Yから搬出された物品のうち、物品番号が探索結果格納部270に格納されている物品)について、ポインタPの移動に応じた変遷を辿るトレース処理が行われ、物品z1〜z5へのトレースが行われる。ここで、物品z2,z3,z5が新たにトレースされた物品ということになるので、物品番号「025」,「026」,「029」が新たに探索結果格納部270に格納される。図14に太線矢印で示されている経路は、このような下流側へのトレース経路を示している。
(8) 探索処理の完了
以上で、探索処理は完了である。探索処理部290は、トレース探索部250からトレース探索完了の報告を受けると、その時点で探索結果格納部270に格納されている不良容疑物品の物品番号を探索結果として出力する。図14に示す例の場合、物品番号「014」,「027」は探索開始時に設定された不良物品の番号であるから、これらを除いたすべての物品番号が、不良容疑物品の物品番号として出力されることになる。
なお、図示の単純な生産モデルの場合、工程Zから搬出された全物品z1〜z5が不良物品もしくは不良容疑物品(太枠で囲まれた物品)となっているが、実際には、工程Zからは数百〜数万という大量の製品が搬出され、そのうちの一部が、この不良容疑物品探索装置200によって不良容疑物品と認定されることになる。このように不良容疑物品と認定された物品は、必ずしも不良物品と断定されたわけではなく、あくまでも不良物品の可能性がある物品である。したがって、その取り扱い方については、個々の生産システムにおける運用に委ねられる。たとえば、不良容疑物品については全品検査により良/不良の判定を行い、良品のみを出荷する、という運用を採ることも可能であるし、そのような全品検査がコストに見合わない場合には、不良容疑物品を不良物品とともに全品廃棄する、という運用を採ることも可能である。
<3−2:実際の生産モデルに適用する探索アルゴリズム>
上述した第1の生産モデルの場合、探索処理部290は、工程Zから工程Wまで上流へ向かってトレースした後、工程Wから工程Zへと下流へ向かってトレースする一連のトレース探索処理の間に、1回だけ挟込探索処理を行うような探索アルゴリズムを採用していた。本発明において、探索処理部290が採用する探索アルゴリズムは、トレース探索部250によるトレース探索と、挟込探索部260による挟込探索とを組み合わせたアルゴリズムであれば、どのようなアルゴリズムでもかまわないが、基本的には、図15の流れ図に示す手順に従ったアルゴリズムを採用するのが好ましい。
この流れ図に示す手順では、まず、ステップS1において、不良物品の物品番号を探索結果格納部270に格納する処理と、ポインタ格納部280に対するポインタの初期位置を設定する処理とが行われる。ここで、ポインタの初期位置は、不良物品を搬出した工程を示す位置に設定される。なお、異なる工程から搬出された複数の物品を不良物品とする探索(たとえば、図14において、物品z1と物品y7とを不良物品とする探索)も可能であるが、その場合、いずれかの不良物品を搬出した工程を示す位置をポインタの初期位置とすればよい。
続くステップS2,S3では、1工程分のトレース探索処理が行われる。まず、ステップS2において、ポインタが上流もしくは下流に1工程分だけ移動させられる。続いて、ステップS3において、ポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理が行われ、新たにトレースされた物品番号が探索結果格納部270に不良容疑物品の物品番号として格納される。
次のステップS4では、現在のポインタ位置において挟込探索を行うか否かが判断され、肯定的な判断がなされた場合にはステップS5において挟込探索処理が実行される。すなわち、着目物品番号のうち複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号が不良容疑物品の物品番号として探索結果格納部270に格納される。なお、このとき、必ずしも、挟まれた全物品番号を格納する必要はなく、少なくともその一部を格納するようにすれば、本発明の効果が得られる。一方、ステップS4で否定的な判断がなされた場合には、挟込探索は行われない。このような手順が、ステップS6を経て、探索完了と判断されるまで繰り返し実行されることになる。
ここで、ステップS2において、ポインタの移動方向を上流側にするか、下流側にするかは、所定の規則を予め定めておくようにする(探索処理部290に規則を設定しておけばよい)。たとえば、上流/下流のいずれか一方を示すフラグを用意しておき、初期状態では、このフラグをたとえば「上流」に設定しておくようにし、もはや上流には進めない場合(すなわち、ポインタが最上流の工程に位置する場合)にはフラグを「下流」に逆転させ、もはや下流には進めない場合(すなわち、ポインタが最下流の工程に位置する場合)にはフラグを「上流」に逆転させる、というような規則を定めておくことができる。
あるいは、3回上流へ移動したら、フラグを「下流」に逆転させ、3回下流へ移動したら、フラグを「上流」に逆転させる、というような規則を定めてもよい。もちろん、「工程Z→Y→X→Y→Z」というように、特定の工程を指定した具体的な移動規則を定めることも可能である。また、場合によっては、ランダムに「上流」か「下流」かを決めるようにしてもよい。
一方、ステップS4において、挟込探索を行うか否かの判断も、予め定めた所定の規則に基づいて行うようにすればよい。前述したとおり、挟込探索は、特定の工程にトラブルが発生した場合に不良容疑物品を見つけ出すのに有効な探索方法である。したがって、もともとトラブルが発生する可能性の低い工程については、挟込探索を行う必要はなく、むしろ挟込探索を行わない方が正確な探索が可能になる。したがって、一般的には、探索処理部290内に、挟込探索を行う工程を予め設定しておき、ステップS4の判断を行うようにすればよい。たとえば、「工程Yについてのみ挟込探索を行う」という設定をしておいた場合、探索処理部290は、ポインタ格納部280内のポインタを参照して、工程Yを示していた場合にのみ、挟込探索指示を与えるようにすればよい。
また、ステップS6において、探索処理を完了するか否かの判断も、予め定めた所定の規則に基づいて行うようにすればよい。たとえば、上述した「上流/下流を示すフラグ」を用いる場合、「フラグが2回反転したら探索処理完了」というような規則を定めることができる。あるいは「ステップS6からステップS2へ戻る繰り返し処理を5回行ったら探索処理完了」というような規則を定めることもできる。また、「新たな不良容疑物品が探索されない収束状態になった場合に探索処理完了」というような規則を定めることもできる。具体的には、たとえば、ステップS6からステップS2へ戻る繰り返し処理を3回行ったにもかかわらず、新たな不良容疑物品が1つも探索されなかった場合には、収束状態になったと判断し、探索処理を完了すればよい。
§3−1で例示した第1の生産モデルへの適用例は、「上流/下流を示すフラグ」を用いて「フラグが2回反転する直前に探索処理完了」という規則を定め、工程Yについてのみ、かつ、「上流/下流を示すフラグ」が「上流」を示している場合にのみ、挟込探索を行う、という規則を定めた例ということができる。
<3−3:第2の生産モデルへの適用例>
続いて、第2の生産モデルへの適用例を説明する。図16は、この第2の生産モデルを示すダイアグラムであり、搬入工程Wおよび処理工程X,Y,Zからなる生産モデルにおける物品の流れが示されている。図の縦長の矩形は、個々の工程を示しており、3桁の数字が記入された小さな矩形は、各物品に付された物品番号を示している(これまで円で示した物品自体の表示は省略している)。
図16に示す各工程間の矢印は、分岐や合流を含む物品の流れを示している。たとえば、物品番号「001」が付された物品は、工程Xにおいて2つに分離して加工され、物品番号「002」,「006」が付された2つの物品に分岐している。このとき、物品番号「006」が付された物品は、物品番号「001」が付された物品の一部と物品番号「004」が付された物品とを合成することにより得られた物品であり、物品番号「006」は、分岐と合流との双方に関わるものになる。これまで述べた実施例と同様に、これらの物品番号「001」〜「031」は、付番要求の送信があった順に付与される順序づけされた物品番号であり、時間軸上に順に並べることができる。
ここでは、工程Yから搬出された物品に対して抜き取り検査を行った結果、物品番号「008」,「030」の物品が不良物品と判定された場合を考えてみよう。前述した第1の生産モデルの場合、最終工程である工程Zから搬出された物品に対して抜き取り検査を行っていたが、ここに示す第2の生産モデルの場合、途中の工程Yから搬出された物品に対して抜き取り検査が行われている。このように、最終製品ではなく、中間品に対して抜き取り検査を行う手法は、実際の生産システムにおいてもよく利用される手法である。たとえば、工程Yを経た中間品が良品である場合には、その後の最終工程Zにおいて不良品に転じる可能性が極めて低い、というような事情がある場合には、工程Yを経た中間品に対して抜き取り検査を行う方法を採用することができる。
なお、実際の生産システムでは、抜き取り検査による良/不良の判定結果が出るまでに時間を要するようなケースも少なくない。たとえば、対象物品の表面を撮影し、その画像を解析して判定を行う検査方法を採る場合や、対象物品の一部を採取し、試薬に対する化学反応を見る検査方法を採る場合などでは、良/不良の判定結果を得るまでに一定の時間が必要になる。このような場合、抜き取り検査の対象となった物品についての良/不良の判定結果が出た時点では、既に当該物品は後続する工程へと流れてしまっている事態が発生する。図16に例示する生産モデルは、このような事態を想定したモデルとなっており、工程Yから搬出された物品に対して抜き取り検査を行い、その結果が判明した時点において、各物品は既に後続する工程Zから搬出されていることになる。
図17は、このような不良容疑物品の探索を行う第1段階の状態を示すダイアグラムである。図に星印が付された物品番号「008」,「030」は、抜き取り検査によって発見された不良物品の物品番号である。この第2の生産モデルの説明においても、不良物品の物品番号を星印で囲って示し、探索により見つかった不良容疑物品の物品番号を太線の矩形枠で囲って示すことにする。また、工程の矩形の下に示された実線の矢印Pは、現時点でのポインタの位置を示し、破線の矢印P′は移動前のポインタの位置を示すものとし、太線の矢印はトレース経路を示すものとする。
既に述べたとおり、探索処理部290は、不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示が与えられると、指定された不良物品の物品番号を探索結果格納部270に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置にポインタを設定し、探索処理を開始する機能を有する。図示の例の場合、探索処理部290には、物品番号「008」,「030」を伴う探索開始指示が与えられるので、探索処理部290は、まず、これら物品番号「008」,「030」を、不良物品の物品番号として探索結果格納部270に格納する処理を行い、更に、ポインタ格納部280に工程Yを示すポインタを設定する。これで探索処理を行う準備は完了である。
続いて、探索処理部290は、図15の流れ図に示すアルゴリズムに従って、探索処理を開始する。ここでは、ステップS2におけるポインタ移動の規則として、「工程Y→X→W→X→Y→X→W→X→Y」なる具体的な規則を定め、ステップS4の判断を行う規則として、「→Y」および「→W」というポインタ移動があった場合のみ、挟込探索を行う」という規則を定め、ステップS6の判断を行う規則として、「上記ポインタ移動規則に基づくポインタ移動が完了した時点で探索処理を完了する」という規則を定めた場合について、具体的にどのような探索処理が行われるかを図17〜図25に示すダイアグラムで追ってみよう。
まず、図17に示すとおり、ポインタPを工程Yから工程Xへと移動するトレース処理が行われ、物品番号「006」,「029」が探索結果格納部270に不良容疑物品の物品番号として格納される。
なお、図におけるL0,L1等の符号は、各物品の容疑レベルを示すものであり、探索処理の進行状況に応じて、L0,L1,L2,... と数字が増加してゆく。ここに示す実施例の場合、探索処理の源となる不良物品については、L0なる容疑レベルが付与されているが、その後の上流側へのトレース処理で探索された不良容疑物品については、L1なる容疑レベルが付与される。後述するように、容疑レベルはL0が最も高く、L1,L2,... と数字が増加してゆくに従って、容疑レベルは低下してゆく。
さて、上述した規則によれば、「→X」というポインタ移動があった場合には、挟込探索は行われないので、続いて、図18に示すとおり、ポインタPを工程Xから工程Wへと移動するトレース処理が行われ、物品番号「001」,「004」,「022」が新たな不良容疑物品の物品番号として格納される。上述したように、これらの物品についての容疑レベルはL1である。
ここで、「→W」というポインタ移動が生じたので、上述した規則により、工程Wについて挟込探索が行われる。図18に示す例の場合、3つの挟込用物品番号「001」,「004」,「022」に基づいて、最小番号「001」と最大番号「022」とが決定され、これらに挟み込まれた新たな不良容疑物品の物品番号「005」,「007」,「012」が探索結果格納部270に格納される。図19は、このような挟込探索が完了した状態を示している。なお、ここに示す実施例の場合、トレース探索から挟込探索に移行した時点、あるいは、挟込探索からトレース探索に移行した時点で、容疑レベルを1段階下げるような運用を行っている。したがって、この挟込探索処理で新たに探索された物品番号「005」,「007」,「012」についての容疑レベルは、図示のとおりL2になっている。
次に、図20に示すとおり、ポインタPを工程Wから工程Xへと移動するトレース処理が行われ、物品番号「002」,「009」,「010」,「013」,「014」が新たな不良容疑物品の物品番号として格納される。上述したとおり、挟込探索からトレース探索に移行した時点でも、容疑レベルを1段階下げる運用を行っているため、このトレース探索処理で新たに探索された物品番号「002」,「009」,「010」,「013」,「014」についての容疑レベルは、図示のとおりL3になっている。
ここで、「→X」というポインタ移動があった場合には、挟込探索は行われないので、続いて、図21に示すとおり、ポインタPを工程Xから工程Yへと移動するトレース処理が行われ、物品番号「003」,「011」,「015」,「016」,「017」が新たな不良容疑物品の物品番号として格納される。上述したように、これらの物品についての容疑レベルはL3である。
次に、「→Y」というポインタ移動が生じたので、上述した規則により、工程Yについて挟込探索が行われる。図21に示す例の場合、7つの挟込用物品番号「003」,「008」,「011」,「015」,「016」,「017」,「030」に基づいて、最小番号「003」と最大番号「030」とが決定され、これらに挟み込まれた新たな不良容疑物品の物品番号「025」が探索結果格納部270に格納される。図22は、このような挟込探索が完了した状態を示している。上述したとおり、トレース探索から挟込探索に移行した時点で、容疑レベルを1段階下げるような運用を行っているため、この挟込探索処理で新たに探索された物品番号「025」についての容疑レベルは、図示のとおりL4になっている。
次に、図23に示すとおり、ポインタPを工程Yから工程Xへと移動するトレース処理が行われ、物品番号「024」が新たな不良容疑物品の物品番号として格納される。上述したとおり、挟込探索からトレース探索に移行した時点で、容疑レベルを1段階下げる運用を行っているため、このトレース探索処理で新たに探索された物品番号「024」についての容疑レベルは、図示のとおりL5になっている。
ここで、「→X」というポインタ移動があった場合には、挟込探索は行われないので、続いて、図24に示すとおり、ポインタPを工程Xから工程Wへと移動するトレース処理が行われ、物品番号「023」が新たな不良容疑物品の物品番号として格納される。当該物品についての容疑レベルはL5である。
更に、工程Wについての挟込探索、工程Wから工程Xへのトレース処理、工程Xから工程Yへのトレース処理、工程Yについての挟込探索が順次行われることになるが、図示の生産モデルの場合、これらの各探索処理によって新たに探索される不良容疑物品はないので、探索結果格納部270の格納内容に変わりはない。
以上の探索処理により、抜き取り検査が行われた工程Yから搬出された各物品が、不良容疑物品であるか否かの判定結果が得られる。ここでは、単純な生産モデルを例にとったため、工程Yから搬出された全物品が不良容疑物品となる結果が得られているが、実際には、工程Yから搬出された数百〜数万といった多量の物品について、不良容疑物品か否かのふるいがかけられることになる。
なお、前述したとおり、ここに示す第2の生産モデルは、工程Yから搬出された物品に対して抜き取り検査を行い、その結果が判明した時点において、各物品は既に後続する工程Zから搬出されている事例となっている。そこで、最後に、工程Yから搬出された物品についての探索結果を工程Zへとトレースする最終トレース処理を行うようにしている。具体的には、たとえば、トレース元に不良物品が1つでも含まれている場合には、トレース先の物品を不良物品とし、トレース元に不良物品は含まれていないが不良容疑物品が1つでも含まれている場合には、トレース先の物品を不良容疑物品とすればよい。
図25は、このような最終トレース処理を行った結果を示すダイアグラムである。物品番号「018」,「031」は、トレース元に不良物品を含むため不良物品とされ、物品番号「019」,「020」,「021」,「026」,「027」,「028」は、トレース元に不良物品は含まれていないが不良容疑物品が含まれているため不良容疑物品とされている。また、ここに示す実施例の場合、容疑レベルについては、トレース元の容疑レベルをそのまま引き継ぐものとし、トレース元が複数ある場合には、より高い方の容疑レベルを引き継ぐようにしている。
結局、工程Zから搬出された物品のうち、物品番号「018」,「031」が付与された物品は不良物品とされ、その余の各物品はいずれも不良容疑物品とされる。もちろん、このような最終トレース処理の結果は、探索結果格納部270に格納され、探索処理部290によって探索結果として出力される。
この第2の生産モデルへの適用例では、探索処理部290が、探索処理の進行状況に応じて複数段階の容疑レベルを設定し、トレース探索部250に対してトレース探索指示を与える際、および挟込探索部260に対して挟込探索指示を与える際に、それぞれ特定の容疑レベルを伝達する処理を行い、トレース探索部250および挟込探索部260は、不良容疑物品の物品番号を探索結果格納部270に格納する際に、伝達された容疑レベルを併せて格納する処理を行う。
具体的には、上述した実施例の場合、探索処理の源となる不良物品については、L0なる容疑レベルを付与し、その後のトレース処理で探索された不良容疑物品については、L1なる容疑レベルを付与し、トレース探索から挟込探索に移行した時点、あるいは、挟込探索からトレース探索に移行した時点で、容疑レベルを1段階下げるような運用を行っている。したがって、探索結果格納部270に格納される物品番号には、すべて容疑レベルが付与されていることになり、探索処理部290は、探索処理後に探索結果を出力する際に、不良容疑物品の物品番号にその容疑レベルを付加して出力することができる。
この容疑レベルは、探索処理の進行状況に応じた複数段階のレベルを示すものであり、L0は容疑レベルが最も高い「ズバリ不良物品」であることを示し、以下、L1,L2,L3,... とLに続く数字が大きくなるに従って、容疑レベルが徐々に低下してゆく。別言すれば、容疑レベルは、発見された不良物品との関連度を示すパラメータということになり、一般論として、容疑レベルが高いほど、不良物品である可能性が高いと考えることができる。したがって、各不良容疑物品の容疑レベルは、当該物品をどのように処分するかを検討するための材料として利用できる。たとえば、容疑レベルがL2以上(すなわち、L0,L1,L2)の物品については無条件で廃棄するようにし、L3以下の不良容疑物品については全品再検査の対象にする、というような対応を採ることができる。
<<< §4.各部の具体的な構成例および変形例 >>>
ここでは、図4に示す不良容疑物品探索装置200を構成する各部のより具体的な構成例と、いくつかの変形例を述べる。
<4−1:付番要求部の構成例>
図26は、図4に示す工程後付番要求部221のより具体的な構成例を示すブロック図である。§2で説明したとおり、工程後付番要求部221は、工程Xから処理後の物品が搬出される際に、搬出される個々の物品について、処理前の物品番号を特定して処理後の新たな物品番号の付番要求を送信し、返信されてきた物品番号を受信する機能をもった構成要素である。
図26に示す構成例の場合、工程後付番要求部221は、操作入力受付部221a,補助情報入力部221b,ディスプレイ装置221c,プリンタ221d,要求送信部221e,情報受信部221fによって構成されている。
ここで、操作入力受付部221aは、オペレータの操作入力を受け付ける機能を果たす構成要素であり、具体的には、工程Xから搬出される物品についての処理前の物品番号と、当該物品についての処理後の新たな物品番号の付番要求指示と、を操作入力として受け付ける役割を果たす。これらの操作入力は、工程Xから物品が搬出された時点で行うようにする。
たとえば、図5に示す例の場合、工程Xから物品x1が搬出された時点で、当該物品x1の処理前の物品番号「001」,「002」(物品x1から読み取ってもよいし、物品w1,w2の工程Xへの搬入時にメモしておいてもよい)を、操作入力受付部221aに備わっているテンキーなどを利用して入力し、更に、操作入力受付部221aに備わっている「付番要求」ボタンを操作して、付番要求を行う旨の指示を与えるようにすればよい。なお、処理前の物品番号については、物品w1,w2の工程Xへの搬入時に入力できるようにしておいてもかまわない。
一方、補助情報入力部221bは、付番対象となる物品に関する補助情報を入力するための構成要素である。本発明を実施するにあたり、補助情報の入力は必ずしも必要なものではないが、実用上は、任意の補助情報を入力できるようにしておくのが好ましい。補助情報入力部221bとして、キーボードを備えた入力装置を用意しておけば、オペレータは、付番要求を行う際に、任意の文字列を補助情報として入力することができる。
要求送信部221eは、操作入力受付部221aが操作入力を受け付けたときに、付番処理部230に対して付番要求および補助情報を送信する機能を果たす。このような付番要求の送信を受けた付番処理部230は、既に述べたとおり、受け付け順に新たな物品番号を付与し、これを送信元へ返信する処理を行う。ここに示す実施例の場合、付与した物品番号とともに補助情報も返信するようにしている。
情報受信部221fは、こうして、付番処理部230から返信されてきた物品番号と補助情報とを受信する構成要素である。この情報受信部221fが受信した物品番号および補助情報は、ディスプレイ装置221cによって画面上に表示されるとともに、プリンタ221dによってシールに印刷される(貼付する必要がない場合は、シールでなく通常の帳票に印刷してもよい。)。オペレータは、ディスプレイ画面上で新たに付与された物品番号(たとえば、「003」)を確認することができ、確認した物品番号をメモに記載し、工程Xから搬出された物品x1に添付することができる。もっとも、実用上は、新たに付与された物品番号「003」をプリンタ221dによってシールに印刷し、このシールを物品x1に貼り付けるようにすれば、効率的である。
以上、図4に示す工程後付番要求部221を例にとって、その具体的な構成例を説明したが、図26に示す構成例は、他の工程後付番要求部222,223についてもそのまま適用できる。また、初期付番要求部210についても同様に適用することができる(但し、初期付番要求部210では、処理前の物品番号の入力は不要である)。
なお、実用上は、付番処理部230に、付与した物品番号と補助情報とを対応づけた補助情報対応表を作成して保存する機能をもたせておくのが好ましい。図27は、このようにして作成された補助情報対応表の一例を示す図である。この対応表に収録されている補助情報を構成する文字列は、オペレータが補助情報入力部221bに入力した任意の文字列であり、既存のコード体系に制約されることなく自由な情報を設定することが可能である。
図示の例は、オペレータが各物品を識別するのに適した物品名を補助情報として入力した例である。オペレータにとっては、「001」という物品番号よりも「A社○○型番1234」といった物品名の方が、物品w1を把握しやすい。したがって、実用上、オペレータに対して物品番号を提示する際には、この補助情報対応表を参照して、常に対応する補助情報を同時に提示するようにするのが好ましい。
図28は、プリンタ221dによって印刷されたシールの一例を示す平面図である。図示のとおり、物品番号「001」に補助情報「A社○○型番1234」が併記されており、このようなシールを物品x1に貼付けておくようにすれば、オペレータは、当該物品に付与された物品番号を認識することができるとともに、当該物品がどのような物品であるのかを容易に識別することができる。なお、シール上に印刷される物品番号は、バーコードやQRコードなど、光学的に読取可能な形態にしておくことも可能である。
補助情報としては、この他にも、製品スペック、作業中のメモ、商品の流通過程で利用する販促用情報など、様々な情報を用いることができる。もちろん、補助情報は必ずしも文字列である必要はないので、画像や写真などを補助情報として用いてもかまわない。
なお、補助情報入力部221bが入力した補助情報を、そのまま情報受信部221fに与えるような構成にすれば、補助情報を付番処理部230に送信しなくても、ディスプレイ装置221cやプリンタ221dは補助情報を出力することが可能である。ただ、実用上は、付番処理部230に、補助情報を送信して補助情報対応表を作成して保存させ、補助情報の一元管理が行われるようにするのが好ましい。
<4−2:付番要求部の変形例>
図29は、図26に示す工程後付番要求部221の変形例221′を示すブロック図である。図26に示す工程後付番要求部221との相違点は、操作入力受付部221aの代わりに、完了信号受付部221gが設けられている点のみであり、その余の構成は全く同一である。
前述したとおり、操作入力受付部221aは、オペレータの操作入力を受け付ける機能を果たす構成要素であり、基本的に、オペレータによる何らかの手動操作が行われることを前提とする構成要素である。これに対して、完了信号受付部221gは、工程Xを実行するために用意された処理装置110から処理完了信号を受け付ける構成要素である。したがって、この図29に示す変形例を採用するためには、工程Xを実行する処理装置110に、特定の物品についての処理が完了した時に処理完了信号を送信する機能をもたせておく必要がある。
このように、処理装置110から処理完了信号が得られる場合は、これを完了信号受付部221gによって受け付けるようにしておく。そして、完了信号受付部221gが処理完了信号を受け付けたときに、要求送信部221eが付番処理部230に対して付番要求を自動的に送信するようにすれば、オペレータによる操作入力を行うことなしに、自動的に付番要求を行うことができる。
もちろん、この図29に示す構成は、工程後付番要求部221のみでなく、他の工程後付番要求部222,223についてもそのまま適用でき、また、初期付番要求部210についても適用することができる。なお、工程後付番要求部221,222,223に適用する場合は、付番処理部230に対して付番要求とともに処理前の物品番号を送信する必要があるので、完了信号受付部221gに処理前の物品番号を取得する機能をもたせておく必要がある。
具体的には、たとえば、個々の物品に貼付けるシール上に、バーコードやQRコードなど、光学的に読取可能な形態で物品番号を印刷しておくようにしておき、工程に搬入される個々の物品に対して光学的なスキャンを行い、物品番号を自動的に読み取る装置を設けておくようにすればよい。そして、この読取装置が自動的に読み取った物品番号を完了信号受付部221gに伝達するようにしておけば、完了信号受付部221gは、処理装置110から処理完了信号を受け取ったときに、読取装置から伝達された処理前の物品番号を要求送信部221eに伝えることができるので、要求送信部221eは、付番要求とともに処理前の物品番号を付番処理部230に送信することができる。
あるいは、シールの代わりにICタグを物品に貼付けるようにし、プリンタ221dの代わりに、ICタグに対する無線交信機を用いるようにすれば、物品番号をICタグに書き込むことができ、また、無線交信機を用いて、ICタグに書き込まれている物品番号を読み出すこともできる。したがって、処理前の物品番号を無線交信機を用いて自動的に読み出すことが可能になる。
<4−3:探索開始指示の自動付与>
既に述べたとおり、図4に示す不良容疑物品探索装置200における探索処理部290は、探索処理プロセスを統括制御する中枢機能を果たす構成要素であり、不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示に基づいて探索処理を開始することになる。
これまで述べてきた実施例は、探索処理部290が、オペレータから探索開始指示および不良物品の物品番号の入力を受け付け、当該入力に基づいて探索処理を実行する構成を採っていた。すなわち、抜き取り検査の結果を踏まえて、オペレータが探索処理部290に対して、不良物品の物品番号を入力するとともに探索開始指示を与える作業を行うと、探索処理が実行されることになる。
しかしながら、不良物品の物品番号を伴う探索開始指示は、必ずしもオペレータによって与える必要はない。たとえば、生産システムの一工程に検査工程を含ませておき、この検査工程を実行する装置が不良物品を検出した場合に、探索開始指示および不良物品の物品番号を自動的に送信するようにしておけば、オペレータの指示を待たずに探索を自動的に開始することができる。すなわち、探索処理部290に、生産システムの一工程に含まれている検査工程を実行する装置から探索開始指示および不良物品の物品番号の送信を受け付け、当該送信に基づいて探索処理を実行する機能を設けておけばよい。
個々の物品に、バーコードなどの形態で物品番号を付与するようにしておけば、検査工程を実行する装置は、不良物品を発見した場合に、当該不良物品の物品番号を自動的に読み取ることができるので、探索処理部290に対して、読み取った不良物品の物品番号を伝えて探索開始指示を与えることができる。したがって、オペレータの介在なしに、自動的に抜き取り検査を行い、不良物品が検出されたときには、自動的に不良容疑物品の探索を行うことができる。また、物品をベルトコンベアなどで自動搬送する生産システムであれば、探索された不良容疑物品を自動的に弁別して、再検査処理へまわしたり、廃棄場所へと自動搬送するようなことも可能になる。
<4−4:その他の変形例>
前述したとおり、抜き取り検査の結果が出るまでには時間が必要になるケースもあり、そのようなケースでは、不良容疑物品が探索された時には、既に、当該不良容疑物品は出荷され、顧客のもとへ配送されてしまっているという事態も起こりうる。
このような場合にも対処できるようにするには、探索処理部290が、生産システムの一工程に含まれている配送工程を実行する装置から配送対象物品についての物品番号および配送先を示す情報の送信を受け付けるようにしておくとよい。そうすれば、探索処理後に探索結果格納部270に格納されている不良容疑物品の物品番号の中に、配送対象物品についての物品番号が含まれていた場合に、当該配送対象物品についての配送先を示す情報に基づいて、配送先に不良容疑物品が配送された事実を報知する情報送信を行うことができる。
たとえば、配送先を示す情報として、電子メールのアドレスを利用すれば、万一、不良容疑物品が配送されてしまっていたとしても、配送先の顧客に、電子メールによってその事実を迅速に報知することができ、不測の事態を未然に防ぐことができる。
また、近年は、商品に関するトレーサビリティを確保するために、個々の商品にシリアル番号を付与しておき、ユーザがWebページを利用して特定の商品についての生産から流通に関する情報にアクセスできるようにするサービスも行われている。そこで、このようなサービスを利用して、不良容疑物品に関する情報を、Webページに公開して報知することも可能である。
本発明では、個々の工程から搬出されるたびに物品に新たな物品番号が付番されることになるので、これを利用して、様々な生産管理を行うこともできる。特に、物品番号として、連続したシリアル番号を付与するようにしておけば、単位時間あたりの付番回数を把握することができる。また、個々の工程ごとの付番回数をカウントすることも可能である。したがって、たとえば、ある工程では、平均して1日に100番程度の付番がなされる、というような統計をとっておけば、当該工程で、1日に50番程度の付番しかなされていない場合には、何らかのトラブルが発生したか、材料の横流しや盗難などの不正行為が発生した、との推定を行うこともできる。また、工程同士で付番状況を比較するようなことも可能であるし、もちろん、工場全体の付番数に基づいて生産管理を行うこともできる。
<<< §5.本発明に係る不良容疑物品探索方法 >>>
最後に、本発明を不良容疑物品探索方法として捉えた場合に、その基本手順を説明しておく。この不良容疑物品探索方法は、上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムの稼働中に不良物品が発見された場合に、不良容疑物品を探索する方法であり、コンピュータによって実行される。
すなわち、この不良容疑物品探索方法は、コンピュータが、生産システムに物品が搬入される際および各工程から処理後の物品が搬出される際に、当該物品に対して、順序づけされた物品番号を付与するともに、物品番号の付与履歴に基づいて、複数の工程にわたる物品番号の変遷を示す変遷情報を記録する準備段階と、コンピュータが、不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示を受けて、変遷情報を参照しながら、不良容疑物品の物品番号を探索する探索段階と、を有している。
そして、この探索段階は、指定された不良物品の物品番号を探索結果格納部に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置にポインタを設定する探索開始ステップと、ポインタを上流側もしくは下流側の工程位置に移動させ、探索結果格納部に格納されている物品番号のうち、ポインタが移動前に示していた移動前工程から搬出された物品に付与されている物品番号について、変遷情報を参照することによりポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索ステップと、変遷情報を参照することにより、ポインタによって示されている工程から搬出された物品に付与されている物品番号を着目物品番号として抽出し、この着目物品番号の中から探索結果格納部に格納されている物品番号を挟込用物品番号と認識し、この挟込用物品番号が複数存在する場合に、着目物品番号のうち複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号を探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納する挟込探索ステップと、探索開始ステップの後、トレース探索ステップおよび挟込探索ステップを少なくとも1回ずつ実行して探索処理を終了し、その時点で探索結果格納部に格納されている不良容疑物品の物品番号を探索結果として出力する探索結果出力ステップと、を有している。
100:生産システム
110:工程Xを行うための処理装置
120:工程Yを行うための処理装置
130:工程Zを行うための処理装置
200:不良容疑物品探索装置
210:初期付番要求部
221,221′:工程後付番要求部
221a:操作入力受付部
221b:補助情報入力部
221c:ディスプレイ装置
221d:プリンタ
221e:要求送信部
221f:情報受信部
221g:完了信号受付部
222:工程後付番要求部
223:工程後付番要求部
230:付番処理部
240:変遷情報記録部
250:トレース探索部
260:挟込探索部
270:探索結果格納部
280:ポインタ格納部
290:探索処理部
L0〜L5:容疑レベル
P:ポインタ
P′:移動前のポインタ
R:着目物品
S1〜S6:流れ図の各ステップ
W:搬入工程
w,w1〜w8:物品
X:処理工程
x,x1〜x8:物品
Y:処理工程
y,y1〜y8:物品
Z:処理工程
z,z1〜z5:物品

Claims (16)

  1. 上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムにおいて、発見された不良物品に基づいて不良容疑物品を探索する不良容疑物品探索装置であって、
    前記生産システムに物品が搬入される際に、搬入される個々の物品について、物品番号の付番要求を送信し、返信されてきた物品番号を受信する初期付番要求部と、
    各工程から処理後の物品が搬出される際に、搬出される個々の物品について、処理前の物品番号を特定して処理後の新たな物品番号の付番要求を送信し、返信されてきた物品番号を受信する工程後付番要求部と、
    付番要求が送信されてくるたびに、順序づけされた物品番号を送信順に付与し、付与した物品番号を送信元へと返信する付番処理部と、
    前記付番処理部による物品番号の付与履歴に基づいて、複数の工程にわたる物品番号の変遷を示す変遷情報を記録する変遷情報記録部と、
    指定された不良物品および探索された不良容疑物品の物品番号を格納する探索結果格納部と、
    探索中の工程位置を示すポインタを格納するポインタ格納部と、
    不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示が与えられたときに、指定された不良物品の物品番号を前記探索結果格納部に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置に前記ポインタを設定し、探索処理を開始する探索処理部と、
    前記探索処理部からの指示に基づいて、前記ポインタを上流側もしくは下流側の工程位置に移動させ、前記探索結果格納部に格納されている物品番号のうち、前記ポインタが移動前に示していた移動前工程から搬出された物品に付与されている物品番号について、前記変遷情報を参照することにより前記ポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を前記探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索を行うトレース探索部と、
    前記探索処理部からの指示に基づいて、前記変遷情報を参照することにより、前記ポインタによって示されている工程から搬出された物品に付与されている物品番号を着目物品番号として抽出し、この着目物品番号の中から前記探索結果格納部に格納されている物品番号を挟込用物品番号と認識し、この挟込用物品番号が複数存在する場合に、前記着目物品番号のうち前記複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号を前記探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納する挟込探索を行う挟込探索部と、
    を備え、
    前記探索処理部が、前記トレース探索部に対してトレース探索指示を与える処理と、前記挟込探索部に対して挟込探索指示を与える処理と、を所定のアルゴリズムに基づいて組み合わせることにより探索処理を行い、探索処理後に前記探索結果格納部に格納されている不良容疑物品の物品番号を探索結果として出力することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  2. 請求項1に記載の不良容疑物品探索装置において、
    工程後付番要求部が、1つの物品が処理後に複数の物品に分かれる分岐工程については、当該複数の物品のそれぞれについて、処理前の同一物品番号を特定した付番要求を送信し、複数の物品が処理後に1つの物品に合成される合流工程については、当該1つの物品について、処理前の複数物品番号を特定した付番要求を送信し、
    変遷情報記録部が、前記分岐工程および前記合流工程における分岐および合流を含む物品番号の変遷を示す変遷情報を記録し、
    トレース探索部が、前記分岐工程および前記合流工程における分岐および合流を含む変遷を辿るトレース処理を行うことを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  3. 請求項1または2に記載の不良容疑物品探索装置において、
    トレース探索部が、生産システムへの物品の搬入工程を最初の工程として取り扱い、前記搬入工程へのポインタの移動を含むトレース処理を行うことを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    工程後付番要求部が、処理が完了した工程を特定する「工程識別コード」と「処理前の物品番号」とを含む付番要求を送信し、
    付番処理部が、前記付番要求に対して「処理後の物品番号」を付与し、これを前記工程後付番要求部へと返信し、
    変遷情報記録部が、前記「工程識別コード」と、前記「処理前の物品番号」と、前記「処理後の物品番号」と、を対応づけた単位変遷情報を逐次記録し、
    トレース探索部が、前記「処理前の物品番号」と前記「処理後の物品番号」との対応関係を参照しながらポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行うことを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、オペレータの操作入力を受け付ける操作入力受付部と、この操作入力受付部が操作入力を受け付けたときに付番処理部に対して付番要求を送信する要求送信部と、を有することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、工程を実行する処理装置からの処理完了信号を受け付ける完了信号受付部と、この完了信号受付部が処理完了信号を受け付けたときに付番処理部に対して付番要求を送信する要求送信部と、を有することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号を画面上に表示するディスプレイ装置と、を有することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  8. 請求項7に記載の不良容疑物品探索装置において、
    初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番対象となる物品に関する補助情報を入力する補助情報入力部を有し、付番要求とともに前記補助情報を付番処理部に送信し、
    付番処理部が、付与した物品番号と補助情報とを対応づけた補助情報対応表を作成し、物品番号とともに補助情報を返信し、
    前記初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号および補助情報を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号および補助情報を画面上に表示するディスプレイ装置と、を有することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号を印刷するプリンタと、を有することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  10. 請求項9に記載の不良容疑物品探索装置において、
    初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番対象となる物品に関する補助情報を入力する補助情報入力部を有し、付番要求とともに前記補助情報を付番処理部に送信し、
    付番処理部が、付与した物品番号と補助情報とを対応づけた補助情報対応表を作成し、物品番号とともに補助情報を返信し、
    前記初期付番要求部もしくは工程後付番要求部またはその双方が、付番処理部から返信されてきた物品番号および補助情報を受信する情報受信部と、この情報受信部が受信した物品番号および補助情報を印刷するプリンタと、を有することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    探索処理部が、オペレータから探索開始指示および不良物品の物品番号の入力を受け付け、当該入力に基づいて探索処理を実行することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    探索処理部が、生産システムの一工程に含まれている検査工程を実行する装置から探索開始指示および不良物品の物品番号の送信を受け付け、当該送信に基づいて探索処理を実行することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    探索処理部が、探索処理の進行状況に応じて複数段階の容疑レベルを設定し、トレース探索部に対してトレース探索指示を与える際、および挟込探索部に対して挟込探索指示を与える際に、それぞれ特定の容疑レベルを伝達し、
    トレース探索部および挟込探索部は、不良容疑物品の物品番号を探索結果格納部に格納する際に、伝達された容疑レベルを併せて格納し、
    探索処理部が、探索処理後に探索結果を出力する際に、不良容疑物品の物品番号にその容疑レベルを付加して出力することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置において、
    探索処理部が、生産システムの一工程に含まれている配送工程を実行する装置から配送対象物品についての物品番号および配送先を示す情報の送信を受け付け、探索処理後に探索結果格納部に格納されている不良容疑物品の物品番号の中に、前記配送対象物品についての物品番号が含まれていた場合に、前記配送対象物品についての配送先を示す情報に基づいて、配送先に不良容疑物品が配送された事実を報知する情報送信を行うことを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索装置。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の不良容疑物品探索装置における付番処理部、変遷情報記録部、トレース探索部、挟込探索部、探索結果格納部、ポインタ格納部、および探索処理部としてコンピュータを機能させるプログラム。
  16. 上流側の工程から下流側の工程へと、複数の工程に物品を流しながら所定の処理を施して生産を行う生産システムの稼働中に不良物品が発見された場合に、不良容疑物品を探索する不良容疑物品探索方法であって、
    コンピュータが、前記生産システムに物品が搬入される際および各工程から処理後の物品が搬出される際に、当該物品に対して、順序づけされた物品番号を付与するともに、物品番号の付与履歴に基づいて、複数の工程にわたる物品番号の変遷を示す変遷情報を記録する準備段階と、
    コンピュータが、不良物品の物品番号の指定を伴う探索開始指示を受けて、前記変遷情報を参照しながら、不良容疑物品の物品番号を探索する探索段階と、
    を有し、
    前記探索段階は、
    指定された不良物品の物品番号を探索結果格納部に格納するとともに、当該不良物品を搬出した工程を示す位置にポインタを設定する探索開始ステップと、
    前記ポインタを上流側もしくは下流側の工程位置に移動させ、前記探索結果格納部に格納されている物品番号のうち、前記ポインタが移動前に示していた移動前工程から搬出された物品に付与されている物品番号について、前記変遷情報を参照することにより前記ポインタの移動に応じた変遷を辿るトレース処理を行い、新たにトレースされた物品番号を前記探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納するトレース探索ステップと、
    前記変遷情報を参照することにより、前記ポインタによって示されている工程から搬出された物品に付与されている物品番号を着目物品番号として抽出し、この着目物品番号の中から前記探索結果格納部に格納されている物品番号を挟込用物品番号と認識し、この挟込用物品番号が複数存在する場合に、前記着目物品番号のうち前記複数の挟込用物品番号に挟まれた物品番号を前記探索結果格納部に不良容疑物品の物品番号として格納する挟込探索ステップと、
    前記探索開始ステップの後、前記トレース探索ステップおよび前記挟込探索ステップを少なくとも1回ずつ実行して探索処理を終了し、その時点で前記探索結果格納部に格納されている不良容疑物品の物品番号を探索結果として出力する探索結果出力ステップと、
    を有することを特徴とする生産システムにおける不良容疑物品探索方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017188015A (ja) * 2016-04-08 2017-10-12 昭和電工株式会社 ワークの良否判定方法およびトレーサビリティシステム
CN109375593A (zh) * 2012-09-21 2019-02-22 株式会社东芝 制造管理系统以及制造管理方法

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