JP2017188015A - ワークの良否判定方法およびトレーサビリティシステム - Google Patents

ワークの良否判定方法およびトレーサビリティシステム Download PDF

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Abstract

【課題】検査精度および生産性を向上できるワークの良否判定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の工程において順次処理された複数のワークに対し順次検査を行って良否を判定するようにしたワークの良否判定方法を対象とする。各工程において処理が実施された際の処理条件を各ワーク毎に求めた処理条件データを取得し、ワークに対する検査において不良と判定されたワークにおいて、前記処理条件データに基づいて各工程毎の処理条件を抽出し、その抽出された処理条件の中から不良の原因とされる不良原因の処理条件を特定する。前記処理条件データに基づいて、不良と判定されたワーク以外のワークの中から、前記不良原因の処理条件と同様な処理が実施されたワークを選出し、その選出されたワークを暫定不良のワークであると判断する。
【選択図】図1

Description

この発明は、所定の複数の加工が施されたワークに対して良否を判定するようにしたワークの良否判定方法およびトレーサビリティシステムに関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の電子写真システムにおいて、感光ドラムとして用いられる感光ドラム用基体等の円筒体は、例えば押出加工や引抜加工されたアルミニウム合金製の長尺な管状体(素管)を所定長さに切断して製造される。特許文献1等に示すように、切断後の円筒体(分割品)に対しては、各種の検査によって良否が判定されて、その検査結果を基にして合格品と不合格品とを判別するようにしている。
特開2004−345051号
従来、円筒体(分割品)の良否判定は主として自動検査装置によって自動的に判定するのが通例である。自動検査装置においては例えば変位センサ等によって分割品の変形量を測定したり、画像認識等によって円筒体のキズ等の外観状態を測定したりして、その測定結果を基に良否を判定するようにしている。
しかしながら、上記従来の円筒体(分割品)等のワークの良否判定方法においては、合格品(良品)と判定された円筒体の中に不良の円筒体が混在する場合があり、十分な検査精度を得ることが困難であるという課題があった。
また検査精度を向上させるために、各円筒体に対しより詳細な検査を行ったり、作業者による目視検査を多く採用したりすると、検査時間が長くなり、生産効率が低下するという課題が発生する。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、検査精度および生産効率を向上させることができるワークの良否判定方法およびトレーサビリティシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]複数の工程において順次処理された複数のワークに対し順次検査を行って良否を判定するようにしたワークの良否判定方法において、
各工程において処理が実施された際の処理条件を各ワーク毎に求めた処理条件データを取得し、
ワークに対する検査において不良と判定されたワークにおいて、前記処理条件データに基づいて各工程毎の処理条件を抽出し、
その抽出された処理条件の中から不良の原因とされる不良原因の処理条件を特定する一方、
前記処理条件データに基づいて、不良と判定されたワーク以外のワークの中から、前記不良原因の処理条件と同様な処理が実施されたワークを選出し、その選出されたワークを暫定不良のワークであると判断するようにしたことを特徴とするワークの良否判定方法。
ここで本発明において、ワークに対する処理条件は、一つの工程において複数存在する場合を想定しており、前項1において「各工程において処理が実施された際の処理条件を各ワーク毎に求めた処理条件データを取得し」という記載は、「各工程において処理が実施された際の処理条件であって、各工程毎に複数存在する処理条件を各ワーク毎に求めた処理条件データを取得し」と置き換えることもできる。
処理条件とは例えば、各工程で、処理していた際のワークの位置(場所)、処理に要した時間、処理した際に加わった応力の度合、処理した際の温度等を挙げることができる。具体的には後述するように、ワークを搬送する工程等においては、ワークを支持する部材(支持部材)が複数あるような場合、どの支持部材によってワークが支持されたかが処理条件となり、支持部材が異なれば処理条件が異なることになる。さらにワークを洗浄する工程等においては、どの位置でどれぐらいの温度で洗浄されたのかが処理条件となり、処理した位置や処理時の温度が異なっていれば、処理条件が異なることになる。このように本発明においては各工程毎に複数の処理条件が存在しており、不良原因の特定はどの工程のどの処理条件が不良であるかを特定するものである。例えば本発明はA,B,C・・・の複数の工程を行うに際して仮に、「X」の工程の複数の処理条件x1,x2,x3・・・のうち「xn」という処理条件に不良原因があると特定した場合、良品と判定されたワークであっても、処理条件「xn」が実施されたワークに対しては暫定不良のワークと判断するものの、良品と判定されたワークにおいて、「X」の工程で処理条件「xn」以外の処理条件「x1」「x2」「x3」等を実施したものは良品としてそのまま取り扱うものである。
換言すると、本発明は「X」の工程に仮に不具合があった場合に「X」の工程を行った全てのワークを暫定不良と特定するものとは相違する。
[2]前記暫定不良のワークを、不良と判定されたワークと同等に取り扱うようにした請求項1に記載のワークの良否判定方法。
[3]検査が行われた各ワークを複数ずつ収納箱に箱詰めして箱詰めワーク群を得る箱詰め工程を備え、
各ワークと、各ワークが収納された箱詰めワーク群とを関連付けた箱内ワークデータを取得し、
前記箱内ワークデータに基づいて、複数の箱詰めワーク群の中から前記暫定不良のワークが収納された箱詰めワーク群を層別の箱詰めワーク群として特定するようにした前項1または2に記載のワークの良否判定方法。
[4]前記処理条件データおよび前記箱内ワークデータに基づいて、前記箱詰めワーク群に収納された各ワークに関する情報を取得するとともに、その情報を前記箱詰めワーク群の収納箱に表示するようにした前項3に記載のワークの良否判定方法。
[5]前記箱詰めワーク群の収納箱に表示された表示情報を参照して、前記層別の箱詰めワーク群を選出するようにした前項4に記載のワークの良否判定方法。
[6]ワークに対する検査は、ワークの表面におけるキズ、変色の有無、ワークの変形具合を評価するものである前項1〜5のいずれか1項に記載のワークの良否判定方法。
[7]ワークに対する検査は、各ワークに対し複数の項目別の検査をそれぞれ行ってワーク毎に複数の項目別検査値を取得する項目別検査と、各ワーク毎の複数の項目別検査値を総括して各ワーク毎に総合検査値を取得する総合検査とを含み、
前記総合検査値を基に各ワークの良否を判定するようにした前項1〜5のいずれか1項に記載のワークの良否判定方法。
[8]項目別検査は、ワークの表面におけるキズや変色の有無を評価する外観検査と、ワークの変形具合を評価する変形検査とを含む前項7に記載のワークの良否判定方法。
[9]複数の工程のうち所定の工程において総合検査値と処理条件データとの相関関係を求め、前記所定の工程における処理条件データの中から前記相関関係を乱す処理条件データを見出し、その相関関係を乱す処理条件データを含むワークを不良のワークとして、前記所定の工程以外の工程における処理条件データを基に不良の原因を特定するようにした前項7または8に記載のワークの良否判定方法。
[10]前記複数の工程にはワークを切断する切断工程を含まない前項1〜9のいずれか1項に記載のワークの良否判定方法。
[11]複数の工程において順次処理された複数のワークに対し順次検査を行って良否を判定するようにしたワークのトレーサビリティシステムにおいて、
各工程において処理が実施された際の処理条件を各ワーク毎に求めた処理条件データを取得する手段と、
ワークに対する検査において不良と判定されたワークにおいて、前記処理条件データに基づいて各工程毎の処理条件を抽出する手段とを備え、
その抽出された処理条件の中から不良の原因とされる不良原因の処理条件を特定する一方、前記処理条件データに基づいて、不良と判定されたワーク以外のワークの中から、前記不良原因の処理条件と同様な処理が実施されたワークを選出し、その選出されたワークを暫定不良のワークであると判断するように構成されていることを特徴とするトレーサビリティシステム。
発明[1][2]のワークの良否判定方法によれば、不良と判定されたワーク以外のワークの中から、不良と判定されたワークの不良原因の処理条件と同様な処理が施されたワークを選出し、そのワークを暫定不良であると判断するようにしているため、検査に合格したワークの中でも、不良の可能性が高いワークを確実に見つけ出し必要に応じて不良品と同様に処理でき、検査精度を向上させることができる。さらに不良原因を特定した後は、処理条件データに基づいて、暫定不良のワークを迅速に選出でき、生産効率も向上させることができる。
発明[3]のワークの良否判定方法によれば、各ワークと、各ワークが収納された収納箱とを関連付けた箱内ワークデータを取得するようにしているため、箱内ワークデータに基づいて、暫定不良のワークがどの収納箱に収納されているかを簡単に把握でき、箱詰め後であっても、暫定不良のワークを迅速に見つけ出して除外でき、生産効率を一層向上させることができる。
発明[4][5]のワークの良否判定方法によれば、箱詰めワーク群に収納された各ワークに関する情報を収納箱に表示するようにしているため、その表示情報を基に、暫定不良のワークをより一層簡単かつ迅速に見つけ出すことができ、生産効率をより一層向上させることができる。
発明[6]〜[8]のワークの良否判定方法によれば、ワークの良否判定を正確に行うことができる。
発明[9]のワークの良否判定方法によれば、複数の工程の組み合わせによって生じるような不良原因も特定することができる。
発明[10]のワークの良否判定方法によれば、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
発明[11]のワークのトレーサビリティシステムによれば、上記と同様に検査精度および生産効率を向上させることができる。
図1はこの発明の実施形態であるワークの良否判定方法が採用された円筒体の製造過程の各工程を示すブロック図である。 図2Aは実施形態の長寸円筒体の製造過程における加工前搬送工程および熱処理工程を説明するための図である。 図2Bは実施形態の短寸円筒体の製造過程における加工前搬送工程および熱処理工程を説明するための図である。 図2Cは実施形態の加工前搬送工程に用いられたコンベアを示す概略側面図である。 図2Dは長寸円筒体の製造過程の熱処理工程において熱処理状況を説明するための図である。 図2Eは短寸円筒体の製造過程の熱処理工程において熱処理状況を説明するための図である。 図3Aは実施形態の長寸円筒体の製造過程における口付工程、引抜工程および引抜搬送工程を説明するための図である。 図3Bは実施形態の短寸円筒体の製造過程における口付工程、引抜工程および引抜搬送工程を説明するための図である。 図3Cは実施形態の引抜工程における加工時間と引抜力との関係を説明するためのグラフである。 図3Dは実施形態の引抜搬送工程に用いられたコンベアを示す概略側面図である。 図3Eは実施形態の引抜搬送工程において素管搬送状態を示す概略側面図である。 図4Aは実施形態の長寸円筒体の製造過程における切断工程および洗浄工程を説明するための図である。 図4Bは実施形態の短寸円筒体の製造過程における切断工程および洗浄工程を説明するための図である。 図5Aは実施形態の洗浄工程において長寸円筒体が設置された洗浄槽の温度分布を説明するための図である。 図5Bは実施形態の洗浄工程において短寸円筒体が設置された洗浄槽の温度分布を説明するための図である。 図6Aは実施形態の洗浄工程における長寸円筒体の温度状態を説明するためのブロック図である。 図6Bは実施形態の洗浄工程における短寸円筒体の温度状態を説明するためのブロック図である。 図7Aは製品の総合品質指数と引抜工程時の引抜最大圧力との相関関係を示すグラフである。 図7Bは製品の総合品質指数と洗浄工程時のマトリックス平均温度との相関関係を示すグラフである。 図8は所要の工程における管理範囲を説明するための図であって、図(a)は改善前の管理範囲を示す図、図(b)は改善後の管理範囲を示す図である。 図9は実施形態の箱詰め工程を説明するための図であって、図(a)は通常状態での説明図、図(b)は不合格の円筒体を除外する場合の説明図、図(c)は暫定不良の円筒体を収納する場合の説明図である。
<製造過程の概要>
図1はこの発明の実施形態であるワークの良否判定方法が採用された円筒体製造過程の各工程を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態において製造される円筒体(管状体)は例えば、電子写真システムを構成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等において、感光ドラム、転写ローラ、その他の各部に利用されるものである。
図1に示すように本実施形態において円筒体を製造するに際しては主として、搬入された材料である素管を、コンベア(搬送装置)によって加熱装置(加熱炉)まで搬送する加工前搬送工程(第1搬送工程)と、素管を加熱して放熱する熱処理工程と、熱処理された素管の端部を口付加工装置によって縮径加工する口付工程と、素管に対し引抜装置によって引抜加工を行う引抜工程と、引抜加工後の素管をコンベア(搬送装置)によって切断装置まで搬送する加工後搬送工程(第2搬送工程)と、素管を切断装置によって切断して複数の分割品(切断品)を得る切断工程と、各分割品(円筒体)を洗浄装置によって洗浄する洗浄工程とを含み、その洗浄工程後に各分割品を検査装置により製品検査(分割品に対する検査)を行うようにしている。そして、製品検査で各種の検査項目毎に良否が判定されるとともに、総合的に良否が判定されて、その判定結果に基づき、各円筒体の合否を判定し、必要に応じて不合格品を除外する。その後、各円筒体を箱詰め工程において、箱詰め装置によって複数本ずつ収納箱に収納して、複数の円筒体が収納された収納箱を出荷するようになっている。
一方後に詳述するように、製品検査で不良と判定された場合には、追跡調査によってその不良の原因を特定するようにしている。
また加工前搬送工程および加工後搬送工程で用いられる搬送装置(コンベア)、加熱装置(加熱炉)、口付加工装置、引抜装置、切断装置、洗浄装置、検査装置、箱詰め装置の各駆動部は、マイクロコンピュータ等によって構成される制御装置C1…によって制御されて、各工程での各種の処理が行われるようになっている。さらに各制御装置C1…は、情報データベースDB1と、トレースデータベースDB2とに接続されている。情報データベースDB1には、後述するように各工程での処理条件(状況)に関する情報(処理条件データ)等が保持されるとともに、トレースデータベースDB2には、後述するようにワーク(素管)の分割前後の位置関係に関する情報(分割前後位置データ)や、各円筒体と、各円筒体が収納された収納箱とを関連付けた情報(箱内分割品データ、箱内ワークデータ)が保持されている。そしてデータベースDB1、DB2に保持された情報を基に、不良原因が特定されるようになっている。
なお本実施形態においては、各工程を管理する制御装置C1…を統括して管理するホストコンピュータ等の主制御装置を設けるようにしても良い。
また本実施形態においては、処理条件に関する情報を保持する情報データベースDB1と、トレース情報に関する情報を保持するトレースデータベースDB2との2つのデータベースを用いているが、それだけに限られず、本発明においては、これらの情報を1つのデータベースで統括して管理しても良いし、3つ以上のデータベースに適宜分割して管理するようにしても良い。
また本実施形態において、ワークとは、切断前の素管、切断後の切断品および分割品としての円筒体、最終製品を全て含むものである。
<加工前搬送工程>
図2Aおよび図2Bは長寸円筒体および短寸円筒体の製造過程における加工前搬送工程および熱処理工程を説明するための図、図2Cは加工前搬送工程に採用されたコンベアを示す概略側面図である。なお図2Aおよび図2Bにおいて、素管(ワーク)W1上に記載された破線は、後工程の切断工程における素管W1の切断位置に対応する位置を示している(以下の図3A、図3B、図4Aおよび図4Bにおいても同じ)。
図2A〜図2Cに示すように加工前搬送工程(第1搬送工程)において搬送される素管W1は、例えばアルミニウム合金製の押出管等によって構成されている。
この加工前搬送工程で使用されるコンベア1は、回転駆動する回転ベルト上に左右一対のV受け具11が、搬送方向に沿って所定の間隔おきに複数取り付けられている。そして、ワークとしての素管W1の両端部が一対のV受け具11に支持された状態で回転ベルトが回転することによって、素管W1が搬送されるようになっている。この搬送時に素管W1は、水平に配置され、かつ搬送方向に対し直交するように配置されている。
各V受け具11は、搬送する素管W1よりも柔らかい材料が使用されており、場合によっては、V受け具11の材料不備等により、素管W1に傷が転写されるおそれがある。
また本実施形態においては、搬送される素管W1にそれぞれ個別の番号(ID番号、シリアル番号)が付与されている。
またコンベア1用の制御装置C1(図1参照)は、搬送する素管W1の個別番号を取得できるとともに、コンベア1上における各V受け具11の位置情報を取得できるようになっている。従って制御装置C1はこれらの情報を基に、素管W1毎にどのV受け具11によって搬送されたかの情報(素管・V受け具関連情報)を算出できるようになっており、この情報が情報データベースDB1に保持される。そして必要時に、処理されたいずれの素管Wに対しても、上記の素管・V受け関連情報を情報データベースDB1から切り出せるようになっている。
さらにV受け具11のコンベア1上の位置は、保持する素管W1の長さに応じて、変更されるものと、変更されないものとがあるが、一度設定された位置は、一連の生産中はコンベア1に対するV受け具11の位置は同じ位置に保持される。一方、コンベア1に対する素管W1の位置も一連の生産中は一定である。このV受け具11の位置情報および素管W1の位置情報は、制御装置C1に設定されている。従って制御装置C1は、この情報を基に、素管W1がコンベア1によって搬送された際に、素管W1のどの位置がV受け具11によって保持(接触)されているかの情報(V受け具による保持位置情報)を算出できるようになっており、この情報が、上記の素管・V受け具関連情報と関連付けされて情報データベースDB1に保持されている。
本実施形態においては、V受け具による保持位置情報や、素管・V受け具関連情報は、ワーク位置毎の処理条件に関するデータ(処理条件データ)を構成するものである。さらにこの処理条件データは、既述した通りコンベア用制御装置C1によって取得されるものであるため、この制御装置C1が、処理条件データを取得する手段として機能する。
さらにV受け具11は、コンベア1におけるワーク(素管)と接触する部材を構成するものである。
<熱処理工程>
図2Aおよび図2Bに示すように、熱処理工程は、加熱処理と、その加熱処理後の放熱処理とを含んでいる。加熱処理では、加熱炉2に所定数の素管W1毎にまとめて加熱するバッチ方式で行う場合と、加熱炉2に素管W1を順次通過させつつ加熱する連続方式で行う場合とがある。炉内の温度は、場所によって異なるため、バッチ処理の場合には、素管のどの位置がどの温度領域に配置されているかによって、素管の部位(位置)毎に温度条件が変動する一方、連続処理の場合、素管のどの位置がどの温度領域を、どの程度の速度で通過するかによって、素管の部位(位置)毎に温度条件が変動する。
本実施形態においては、連続方式で加熱するものである。また炉内には複数の温度センサが設置されており、各温度センサからの情報に基づいて、熱処理用の制御装置C1(図1参照)は炉内の領域毎の温度(温度分布)に関する情報(温度分布情報)を取得できるようになっている。また制御装置C1は、加熱される素管W1の個別番号を取得できるようになっている。従って制御装置C1は、この情報と上記温度分布情報とに基づいて、各素管W1毎に、素管W1のどの位置(部位)がどの程度の温度で熱処理されたかの情報(位置毎の温度情報)を算出できるようになっており、この情報が情報データベースDB1に保持されている。そして必要時に、処理されたいずれの素管W1に対しても、上記の部位毎の温度情報を情報データベースDB1から切り出すことができるようになっている。本実施形態において、素管の位置毎の温度情報は、処理条件データを構成するものである。
一方、加熱炉2を通過した後、素管W1は放熱処理されて、素管温度を所定の温度まで低下させるようにしている。さらに制御装置C1は、放熱時の素管W1の環境温度や、放熱時間を取得できるようになっており、これらの情報が、情報データベースDB1に処理条件データとして保持されて、必要時に切り出すことができるようになっている。
なおこの処理条件データは、熱処理工程用制御装置C1によって取得されるものであるため、この制御装置C1が、処理条件データを取得する手段として機能する。
<口付工程>
図3Aおよび図3Bに示すように口付工程における口付加工は後の引抜加工を行うために事前に必要な加工であり、熱処理された素管W1の先端(一端)を縮径加工して口付加工部W0を形成するものであり、この加工によって素管材料に負荷がかかることとなる。
口付加工は、素管W1に対し一連の処理によって行われるが、素管W1に多大な負荷が加わらないように時間調整しながら行われる。例えば素管W1に多大な負荷が加わるような場合には、サイクルタイムを落として低速で稼働させることによって負荷を軽減するようにしている。換言すると、口付加工のサイクルタイムが所定時間以上の場合には、素管W1への負荷が大きくなっている状態であり、口付加工部W0の周辺に異常があったと推定することができる。
本実施形態においては、口付加工装置の制御装置C1(図1参照)は、加工される素管W1の識別番号を取得できるとともに、口付加工のサイクルタイムや、口付加工部W0の位置等に関する情報を取得できるようになっている。そしてそれらの情報に基づいて、口付加工された素管W1の口付加工部周辺に異常があったか否か、つまりサイクルタイムが長いか短いかの情報(口付良否情報)を算出できるようになっており、その情報が情報データベースDB1に保持されている。そして必要時に、処理されたいずれの素管W1に対しても、上記の口付良否情報を情報データベースDB1から切り出すことができるようになっている。本実施形態において、口付良否情報は、処理条件データを構成するものである。
なおこの処理条件データは、口付加工装置の制御装置C1によって取得されるものであるため、この制御装置C1が、処理条件データを取得する手段として機能する。
<引抜工程>
図3Aおよび図3Bに示すように引抜加工においては、素管W1の口付加工部W0をクランプした状態で、引抜ダイス3内を通過させることにより、縮径させつつ引き延ばすように加工する。この引抜加工においては、素管W1を引っ張る際の圧力(引込力)を計測することによって、素管材料に加わる負荷による良否を簡易的に評価することができる。
一方、引抜加工を実施することによって、素管W1は延びて長さ寸法や径寸法が変化するが、延び変化率や径変化率等の変化率(変形率)は設計値であり生産中は一定であるため、素管W1における引抜加工前の長さから、引抜加工後の長さを正確に算出することができる。
本実施形態においては、引抜加工装置の制御装置C1(図1参照)は、加工される素管W1の識別番号を取得できるとともに、図3Cに示すように加工される素管W1の引抜開始時点から終了時点までの引張圧力の経時変化を取得できるようになっている。そしてこれらの情報に基づいて、引抜加工後において各素管W1毎に、素管W1のどの位置(部位)にどの程度の負荷(圧力)が加わったかの情報(位置毎の引張圧力情報)を算出できるようになっており、この情報が情報データベースDB1に保持されている。そして必要時に、処理されたいずれの素管W1に対しても、上記の部位毎の引張圧力情報を情報データベースDB1から切り出すことができるようになっている。
また本実施形態において制御装置C1は、図3Cに示すように引抜加工装置に設置された振動センサからの情報を基に、引抜加工中にビビリ振動が発生したか否かを検出できるようになっている。さらにビビリ振動が発生した際には、引抜開始時点からの経過時間を基に、ビビリ欠陥が加工後の素管W1のどの位置で発生したかの情報を算出できるようになっており、その情報が情報データベースDB1に保持される。本実施形態において、ビビリの発生位置に関する情報や、上記の素管の位置毎の引張圧力情報は、処理条件データを構成するものである。
なおこの処理条件データは、引抜装置の制御装置C1によって取得されるものであるため、この制御装置C1が、処理条件データを取得する手段として機能する。
ところで本実施形態においては、引抜加工による延び率(変化率)を基に、引抜加工後の素管W1の各位置(各部位)が引抜加工前の素管W1のどの位置(部位)に対応するかの情報(引抜前後の対応位置情報)を算出するようにしている。ここで、引抜加工による延び率は、素管材料、引抜ダイス、加工条件の公差等の各種の要因によって微妙に変化するが、所定の公差を考慮した計算式を用いることによって、引抜加工後の各位置が引抜加工前のどの位置に対応するかを正確に把握することができる。さらに引抜加工後にセンサ等を用いて素管長さを測定するようにすれば、その実測値を基に、引抜前後の対応位置をより正確に把握することができる。
なお本実施形態において、算出された引抜前後の対応位置情報は、トレースデータベースDB2に保持される。そして必要時に、トレースデータベースDB2から、引抜加工されたいずれの素管W1に対しても、引抜加工後の各位置(部位)が引抜加工前のどの位置に対応するかの情報を切り出すことができるようになっている。
<加工後搬送工程>
図3Dおよび図3Eに示すように加工後搬送工程で使用されるコンベア4は、搬送方向に沿って配置されており、回転ベルト上にV受け具41が、回転方向(搬送方向)に沿って所定の間隔おきに複数取り付けられている。そして引抜加工された素管W1を搬送する際には、複数のV受け具41のうち、前後に並んで配置され、かつ素管W1に対応する2つのV受け具41が上昇して素管W1を下側から支持し、その支持された状態で、回転ベルトが回転することによって、素管W1が搬送されるようになっている。この搬送時に素管W1は、水平に配置され、かつ長さ方向が搬送方向に対し一致するように配置されている。
本実施形態においては、コンベア用の制御装置C1(図1参照)は、搬送される素管W1の識別番号を取得できるとともに、コンベア4上における各V受け具41の位置情報を取得できるようになっており、これらの情報に基づいて、素管W1毎にどのV受け具41によって搬送されたかの情報(素管・V受け具関連情報)を算出できるようになっている。
さらに制御装置C1は、素管W1に対するV受け具41の保持位置に関する情報(V受け具による保持位置情報)を設計値として有している。
従って制御装置C1は、上記の素管・V受け関連情報およびV受け具による保持位置情報を基に、素管W1のどの位置がどのV受け具によって保持(接触)されたかの情報を算出できるとともに、その情報が情報データベースDB1に保持されている。本実施形態において、この情報、すなわち素管W1のどの位置がどのV受け具によって保持(接触)されたかの情報は、処理条件データを構成するものである。
そして必要時に、処理されたいずれの素管W1に対しても、素管のどの位置がどのV受け具によって保持されたかの情報を情報データベースDB1から切り出すことができるようになっている。
なおこの加工後搬送工程においては、既述した通り、素管がコンベア4のV受け具41によって支持される際に、V受け具41が上昇する。この上昇時にV受け具41が素管W1に対し長さ方向に位置ずれする場合がある。本実施形態において、この位置ずれの発生の有無に関する情報を制御装置C1は取得できるようなっており、位置ずれが発生した際には、素管W1のどの位置でどのV受け具との間で位置ずれが発生したかの情報が算出されるとともに、その情報が情報データベースDB1に保持されるようになっている。本実施形態において、この情報、すなわち素管W1のどの位置でどのV受け具との間で位置ずれが発生したかの情報は、処理条件データを構成するものである。さらに処理条件データは、コンベア用制御装置C1によって取得されるものであるため、この制御装置C1が、処理条件データを取得する手段として機能する。
またV受け具41は、コンベア4におけるワーク(素管)と接触する部材を構成するものである。
<切断工程>
図4Aおよび図4Bに示すように切断工程においては、素管W1の先端部における口付加工部W0と、後端部における終端部WEとを切除するとともに、残りの中間部を製品長さに合わせて複数の円筒体W2…に分割するように切断する。例えば本実施形態においては、3本の長寸の円筒体W2に分割する場合と、5本の短寸の円筒体W2に分割する場合とがある。長寸の円筒体W2は長さが250mmであり、短寸の円筒体W2は150mmである。後に詳述するが本実施形態においては、長寸の円筒体W2はAタイプと称され、短寸の円筒体W2はBタイプと称される。参考までに長寸のAタイプの円筒体Wは、引抜前の寸法が200mm相当であり、短寸のBタイプの円筒体W2は、引抜前の寸法が120mm相当である。
切断工程においては、素管W1を鋸刃等で切断するものであるが、この切断時の圧力(切断圧力)を計測することによって、素管材料に加わる負荷による良否を簡易的に評価することができる。
本実施形態においては、切断装置の制御装置C1は、予め設定された素管W1の切断位置情報を基に、素管W1を複数の箇所で切断するものであるが、各切断時の切断圧力を取得できるようになっている。さらに制御装置C1は、切断加工する素管W1の識別番号や、切断位置等を取得できるようになっており、これらの情報と、上記切断圧力に関する情報とに基づいて、各素管W1毎に、素管W1の切断位置にどの程度の負荷(圧力)が加わったかの情報(位置毎の切断圧力情報)を算出できるようになっており、この情報が情報データベースDB1に保持される。そして必要時に、処理されたいずれの素管W1に対しても、上記の部位毎の切断圧力情報を情報データベースDB1から切り出すことができるようになっている。本実施形態において、素管W1の位置毎の切断圧力情報は、処理条件データを構成するものである。さらにこの処理条件データは、既述した通り切断装置の制御装置C1によって取得されるものであるため、この制御装置C1が、処理条件データを取得する手段として機能する。
また本実施形態において制御装置C1は、切断位置情報等を基に、切断後の各円筒体(分割体)W2…が、切断前の素管W1のどの位置に対応するかの情報(切断前後の対応位置情報)を算出できるようになっている。さらに切断後の円筒体W2が切断前のどの素管W1から切り出されたかの情報が、上記の切断前後の対応位置情報と関連付けされて、トレースデータベースDB2に保持される。従って必要時に、処理されたいずれの円筒体W2に対しても、円筒体W2が切断前のどの素管W1のどの部位に相当するかの情報をトレースデータベースDB2から切り出すことができるようになっている。本実施形態において、この情報すなわち、円筒体W2が切断前のどの素管W1のどの部位に相当するかの情報は、分割前後位置データを構成するものである。さらにこの分割前後位置データは、切断装置の制御装置C1によって取得されるものであるため、この制御装置C1が、分割前後位置データを取得する手段として機能する。
さらにトレースデータベースDB2には既述したように、引抜後の素管W1の各位置が引抜前のどの位置に対応するかの情報(引抜前後位置データ)が保持されているため、この引抜前後位置データと、上記の切断前後の対応位置情報(分割前後位置データ)とに基づいて、切断されたいずれの円筒体W2に対しても、円筒体W2が引抜前のどの素管W1のどの部位に相当するかの情報を算出して切り出すことができるようになっている。
<洗浄工程>
図4A〜図5Bに示すように洗浄工程は、例えば前工程の加工によって残存する油等を除去するために行うものであり、複数の円筒体W2を縦向き状態でパレット55上に前後左右に所定間隔おきに配置し、そのパレット55を洗浄槽5内の洗浄液に浸漬することによって行う。この洗浄時において、洗浄槽5内の温度分布は均一でない場合が多く、パレット55上の円筒体W2の位置によっては温度が異なり、その温度差に伴って洗浄性も異なる。従って洗浄温度を基に、洗浄性の良否を評価することができる。
本実施形態において、洗浄装置の制御装置C1(図1参照)は、洗浄槽5に設置された複数の温度計(温度センサ)や、赤外線サーモグラフからの情報に基づいて、洗浄槽内の温度分布に関する情報(温度分布情報)を取得できるとともに、各分割体W2がパレット55上のどの位置に搭載されているかの情報(搭載位置情報)を取得できるようになっている。従って制御装置C1は、上記の温度分布情報と搭載位置情報とに基づいて、各分割体W2に対し、円筒体W2の位置(部位)毎に、どの程度の温度で洗浄されたかの情報、つまり各分割体W2に対し、円筒体W2の位置毎における洗浄性の良否に関する情報(洗浄良否情報)を算出できるとともに、この情報が情報データベースDB1に保持される。そして必要時に、処理されたいずれの円筒体W2に対しても、上記の洗浄良否情報を情報データベースDB1から切り出せるようになっている。
なお、洗浄槽内は、洗浄液が流動するため、温度分布は固定値とならない場合がある。そこで本実施形態においては、図5Aおよび図5Bの破線に示すように洗浄槽内を複数のエリアに仕切って、各エリア毎がそれぞれ一つの温度域となるようにマトリックス代表値(平均値)を採用している。例えば洗浄槽内を、縦向き状態で水平方向に並んで配置される各円筒体W2毎に、上下方向に3つのエリア(上エリア51、中間エリア52、下エリア53)および左右方向に3つのエリア(「左」エリア、「中」エリア、「右」エリア)にそれぞれに区分けして、各エリアをそれぞれ1つの温度域として捉えている。
ここで本実施形態においては、図5B等に示すように短寸の円筒体「B01−1」〜「B01−5」は短く、洗浄槽55の上エリア51から中間エリア52にかけて配置されるため、洗浄槽55の下エリア53には配置されていない。従って、短寸の円筒体は、洗浄槽55の下エリア53からの温度の影響は受け難くなっている。
<製品検査>
図1に示すように製品検査においては、項目別の検査と、後に詳述する総合検査とがある。項目別の検査(項目別検査)は主として円筒体W2の変形曲がりの検査(変形検査)と、円筒体W2の外観品質の検査(外観検査)とが並行して行われる。なお本実施形態においては、最終的な検査結果の判定(合否判定)は総合検査を基に行うようにしている。
変形曲がり検査は、円筒体W2を軸心回りに回転させながら、変位センサ等により円筒体W2の径方向の変位量を計測し、1回転(360度)の変位の偏差量を変形曲がり量とする。なお、変位センサを計測したい位置毎に複数個設置することにより、円筒体W2の複数の位置毎に変形曲がり量を計測することができる。
本実施形態においては後述するように、変形曲がり検査の計測値を基準値からの変形指数で表している。すなわち変形曲がりが全くない場合の計測値(基準値)が「100」となり、曲がり量が多くなるに従って、その計測値(変形指数)が次第に小さくなる。
外観品質検査は、円筒体W2を軸心回りに回転させながら、外周面に照明を照射して、その反射光量をカメラ等によって計測することにより、スリキズやスジ、変色等の外観異常を検出することができる。さらにカメラに取り込まれた画像から、画像変動の発生位置を算出できるとともに、発生位置毎の画像変動値を積算することで、外観異常の発生位置を正確に特定することができる。
本実施形態においては後述するように、外観品質検査の計測値を基準値からの外観指数で表している。すなわち外観異常が全くない場合の計測値(基準値)が「100」となり、外観異常の度合が多くなるに従って、その計測値(外観指数)が次第に小さくなる。なお外観異常の種類は、変動値を基に特定することができ、複数種類の外観異常を同時に検出することができる。
本実施形態においては各種の検査は、製品検査装置の制御装置C1(図1参照)によって自動的に行われるようになっている。
後述するが、これらの項目別検査および総合検査の後、オペレータが目視で行う最終検査としての抜き取り検査を行うようにしている。
<箱詰め工程>
図9(a)に示すように、検査後の円筒体W2は自動箱詰め装置によって所定の本数ずつ収納箱6に収納されて梱包される。こうして梱包された箱詰め円筒体群(箱詰め分割体群、箱詰めワーク群)が出荷されるものである。
なお自動箱詰め装置の制御装置C1(図1参照)は、各円筒体W2を識別する個別番号(ID番号)および各収納箱6を識別する個別番号(ID番号)を取得できるようになっている。さらに制御装置C1は、円筒体W2毎の個別番号と収納箱6毎の個別番号とを関連付けして、その関連付けされた箱内円筒体データ(箱内分割体データ、箱内ワークデータ)に基づいて、各円筒体W2に対してどの収納箱6に収納されているかの情報を事後的に算出できるようになっており、その箱内円筒体データがトレースデータベースDB2に保持されている。従って必要時には、処理されたいずれの円筒体W2に対しても箱内円筒体データを基にどの円筒体W2がどの収納箱6に収納されているかの情報をトレースデータベースDB2から切り出せるようになっている。
なお本実施形態においては、各円筒体W2が収納箱2のどの位置に収納したかの情報も算出できるようになっており、この情報も上記箱内円筒体データに含まれている。つまりいずれの円筒体W2に対しても箱内円筒体データに基づいてどの円筒体W2がどの収納箱6のどの位置に収納されるかの情報をトレースデータベースDB2から切り出せるようになっている。
<不良原因特定方法>
製品検査で不合格となった円筒体W2は図9(b)の「×」印が付与された円筒体W2のように必要に応じて除外される。そして不合格の円筒体W2に対してはトレーサビリティによる追跡調査が行われて、不良となった原因(不良原因)を特定するようにしている。
すなわち、ある特定の円筒体W2に製品検査において不良が認められた場合、後に詳述するようにその円筒体W2に対して、各工程においてどのような処理がどのような条件で行われていたかを追跡して調査する。この場合、切断工程前の調査では、当該円筒体W2を含む素管W1の全体を調査対象とするのではなく、素管W1のうち、不良と判定された円筒体W2に相当する部位だけを調査対象とする。
<不良品の推定(暫定不良品の特定)>
後に詳述するが、本実施形態においては、不良原因が特定されると、製品検査で合格となった円筒体W2であっても事後的に、追跡調査において不良原因が生じた工程で不良原因となった処理条件(加工条件)と同じ条件で処理された円筒体W2を選出し、当該円筒体W2を不良品と推定する。本実施形態においては不良品と推定された円筒体W2を暫定不良の円筒体W2と称している。
暫定不良の円筒体W2は、図9(c)の「△」印が付与された円筒体W2のように検査は合格しているため、他の円筒体W2と同様に所定の収納箱6に収納されるが、上記箱内円筒体データに基づいて暫定不良の円筒体W2がどの収納箱6のどの位置に収納されているかの情報を取得できるようになっている。
<不良原因特定の詳細な説明>
以下、円筒体W2に不良が発生した際に、その不良原因を特定する方法について詳細に説明する。
Figure 2017188015
表1Aは素管W1にける各円筒体W2に相当する各部位(各製品単位部位)毎の各工程での処理条件を示す表である。
表1Aの左端に記載された括弧付きの番号は製品単位番号であって、図2Aおよび図2Bに示すように、素管W1のうち製品(円筒体)を構成する製品単位部位(分割品単位部位)を示す番号である。例えば「A01−1」「B01−1」等のハイフンより前側の「A01」「B01」は素管の個別番号に相当し、ハイフンより後側の「1」は当該素管のどの位置かを示すものである。また最初の文字が「A」の素管は、Aタイプ(機種1)の素管であり、後に3本の長寸の分割体(円筒体)に分割される(図4A参照)。最初の文字が「B」の素管は、Bタイプ(機種2)の素管であり図2Bに示すように、後に5本の分割体(円筒体)に分割される(図4B参照)。換言すると、製品単位番号は、素管切断後の分割品(円筒体)の個別番号としても用いられる。例えば図2Aおよび図4Aに示すように「A01−1」の円筒体とは、「A01」の素管の1番目の製品単位部位「1」によって構成され、「A01−2」の円筒体とは、「A01」の素管の2番目の製品単位部位「2」によって構成され、「A01−3」の円筒体とは、「A01」の素管の3番目の製品単位部位「3」によって構成されることになる。同様に図2Bおよび図4Bに示すように、「B01−1」の円筒体とは図2Bに示すように、「B01」の素管の1番目の製品単位部位「1」によって構成され、「B01−2」の円筒体とは、「B01」の素管の2番目の製品単位部位「2」によって構成され、「B01ー3」の円筒体とは、「B01」の素管の3番目の製品単位部位「3」によって構成され、「B01−4」の円筒体とは、「B01」の素管の4番目の製品単位部位「4」によって構成され、「B01−5」の円筒体とは、「B01」の素管の5番目の製品単位部位「5」によって構成されることになる。なお既述した通り、表1Aにおいては、素管の口付加工部「A01−0」「B01−0」や終端部「A01−E」「B01−E」は切除されるため、その部分は除外されている(以下の各表においても同じ)。
表1Aにおいて「加工前搬送」の項目は、加工前搬送工程での素管の各製品単位部位毎の搬送条件(搬送状況)を示すものである。この項目における「左接触有無」とあるのは、加工前搬送工程においてコンベア1によって搬送される際に、対象となる素管の製品単位部位の左側にV受け具11が接触したか否かを示すものである。すなわち図2A〜図2Cに示すように、加工前搬送工程においてはコンベア1によって素管が搬送される際には、図2Aに向かって素管「A01」の左側部位「1」の左側にV受け具11が接触するため、この場合には表1Aに示すように、製品単位部位「A01−1」に対して左接触が「有」となる。同様に、素管「A01」の右側部位「3」に右側のV受け具が接触するため、この場合には、製品単位部位「A01−3」に対して右接触が「有」となる。
また「V受番号」とあるのは、各V受け具の個別の番号であり、例えば図2Cのコンベア1には、22個のV受け具が取り付けられており、各V受け具には「1」から「22」までの番号が順番に割り当てられている。従って表1Aにおいて製品単位部位「A01−1」に対しては、V受番号「4」のV受け具が左側に接触していたということになる。さらに製品単位部位「A01−3」に対しては、V受番号「1」のV受け具が右側に接触していたということになる。
また各V受け具は、左右で一対となっており、左接触「有」の場合は、一対のV受け具のうち左側のV受け具が接触していたということであり、右接触「有」の場合は、一対のV受け具のうち右側のV受け具が接触していたということである。
またこれらの搬送条件(搬送状況)に関する情報は、既述した通り、情報データベースDB1に保持されており、これらの情報は、必要時に必要な部分だけを取り出せるようになっている。
なお本実施形態において、実際には、各工程を経た全ての素管の各製品単位部位についての各工程での処理条件が測定されているが、発明の理解を容易にするため、表1Aには必要な測定値のみを抜粋して掲載している。例えば製品単位部位「A01−2」「A01−3」に対しても、実際は「左接触有無」「右接触有無」の測定(判定)は行っているが、表1Aからはこれらの測定値(判定結果)は除いている。
表1Aの熱処理の項目では、熱処理工程での熱処理条件(熱処理状況)を示すものである。すなわち図2Dおよび図2Eに示すように、本実施形態での熱処理工程における加熱処理は、各素管W1を加熱炉に順次通過させて連続的に加熱する連続方式の加熱処理であり、加熱炉内が、素管搬送方向の上流側から下流側にかけて4つのエリア(1〜4エリア)に区分けされている。そして各エリア毎において図2Dに示すように、Aタイプの素管に対しては、素管長さ方向に3つの領域、例えば製品単位部位「A01−1」に対応する領域と、製品単位部位「A01−2」に対応する領域と、製品単位部位「A01−3」に対応する領域との3つの領域に区分けされる。さらに図2Eに示すようにBタイプの素管に対しては、素管長さ方向に5つの領域、例えば製品単位部位「B01−1」に対応する領域と、製品単位部位「B01−2」に対応する領域と、製品単位部位「B01−3」に対応する領域と、製品単位部位「B01−4」に対応する領域と、製品単位部位「B01−5」に対応する領域との5つの領域に区分けされる。そして搬送方向および素管長さ方向に区分けされた領域毎の温度と各領域(エリア)の通過時間とが測定されている。
さらに搬送方向に並ぶ4つのエリアを通過して加熱炉から搬出された後は、放熱エリアを通過してそのエリアにおける温度(放熱エリア温度)と通過時間(放熱時間)とが測定されている。
例えば図2Dおよび表1Aに示すように製品単位部位「A01−1」は、1番目のエリア「1エリア」で98℃で16時間加熱され、2番目のエリア「2エリア」で95℃で5時間加熱され、3番目のエリア「3エリア」で95℃で6時間加熱され、4番目のエリア「4エリア」で102℃で4時間加熱され、その後、42℃で122時間放熱されたことになる。
また表1Aに示すように製品単位部位「A10−3」は、「1エリア」で98℃で16時間加熱され、「2エリア」で98℃で5時間加熱され、「3エリア」で97℃で6時間加熱され、「4エリア」で102℃で4時間加熱され、その後、42℃で120時間放熱されたことになる。
なおこの熱処理工程においては、100℃以上での加熱が、温度が高過ぎる過熱状態となり、その過熱状態での累積時間が多い製品単位部位、例えば「A131−2」等が、不良原因となる場合を想定している。
また図2Eおよび表1Aに示すように製品単位部位「B01−1」は、1番目のエリア「1エリア」で97℃で16時間加熱され、2番目のエリア「2エリア」で96℃で5時間加熱され、3番目のエリア「3エリア」で98℃で6時間加熱され、4番目のエリア「4エリア」で109℃で4時間加熱され、その後、42℃で122時間放熱されたことになる。
なおこれらの熱処理条件(熱処理状況)に関する情報は、既述した通り、情報データベースDB1に保持されており、必要時に必要な部分だけを取り出せるようになっている。
表1Aの口付加工の項目では、口付工程での加工条件(加工状況)を示すものである。すなわち口付加工の「挿入」は素管の先端部を加工装置にセットする際のサイクルタイムであり、「加工」は素管を口付加工する際のサイクルタイムであり、「抜き」は素管の口付加工部を加工装置から抜き取る際のサイクルタイムであり、「搬送」は素管を加工装置から搬出する際のサイクルタイムである。このうち「挿入」「抜き」「搬送」のサイクルタイムは、いずれの素管に対してもほぼ等しくなっており、素管の品質等への影響はほとんど認められない。つまり口付工程においては「加工」のサイクルタイムが重要であり、このサイクルタイムが長い場合には、既述した通り素管への負荷が大きくなり、口付加工部周辺に異常があったと推定されるものである。
例えば素管「A26」「A51」「A133」は、口付加工のサイクルタイムが3s以上で長くなっている。さらにこれらの素管のうち、口付加工部に隣接している製品単位部位「A26−1」「A51−1」は異常があったと推定される。
表1Aの引抜加工の項目では、引抜工程での加工条件(加工状況)を示すものである。すなわち引抜工程においては、ビビリ振動(ビビリ欠陥)の発生の有無を測定するとともに、引抜力の最大値「max」、最小値「min」、最大値および最小値の差(大小差)を測定している。例えば製品単位部位「A10−3」「A131−2」「B01−3」等はビビリ欠陥がある。さらに製品単位部位「A51−2」「A92−3」等は引抜力の最大値が大き過ぎ、特に「A51−2」は引抜力の大小差も大き過ぎて、負荷が大きくなり、異常があったと推定される。
表1Aの加工後搬送の項目では、加工後搬送工程での製品単位部位の搬送条件(搬送状況)を示すものである。この項目における「接触V受け」とあるのは、接触したV受け具を示すものである。各V受け具には「V1」から「V6」までの番号が順番に割り当てられており、例えば製品単位部位「A01−1」に対しては、番号「V1」のV受け具が接触していたということになる。さらに既述した通り、各V受け具が素管を支持する際に、V受け具が素管に対し前後に位置ずれがあったか否かを測定できるようになっている。すなわち前方への位置ずれがあった場合には「ズレ左」の項目が「有」となり、後方への位置ずれがあった場合には「ズレ右」の項目が「有」となる。例えば製品単位部位「A10−3」に対しては、「接触V受け」が「V2」で、「ズレ左」が「有」となっているため、番号「V2」のV受け具によって支持された際に、V受け具が前方に位置ずれしていたことを示している。
後述するが本実施形態では、搬送装置のモーターの回転異常により「V2」「V4」のV受け具が素管に接触した際に振動が発生して前方に位置ずれし、製品単位部位にキズが付く場合を想定している。
表1Aの切断の項目では、切断工程での製品単位部位毎の切断条件(切断状況)を示すものである。この項目における「左min」「左max」とあるのは、対象となる製品単位部位の左端部を切断する際の切断圧力の最小値および最大値を示している。例えば「A93−3」「A132−3」の製品単位部位のように、切断圧力の最大値が大き過ぎる場合には、負荷が大きく異常があったと推定されて、「左加工時異常」の項目に「有」と記入される。さらに「右min」「右max」とあるのは、対象となる製品単位部位の右端部を切断する際の切断圧力の最小値および最大値を示している。例えば「A91−2」「A133−1」の製品単位部位のように、切断圧力の最大値が大き過ぎる場合には、負荷が大きく異常があったと推定されて、「右加工時異常」の項目に「有」と記入される。
Figure 2017188015
表1Bは生産される円筒体(製品)毎の加工条件および検査結果を示す表である。
表1Bの左端に記載された格好付きの番号は、製品番号(分割品番号)であり、既述した通り、素管の製品単位番号に対応するものであり、例えば製品番号「A01−1」は、素管「A01」の前側部位「1」を構成していたことが判る。
表1Bの「洗浄」の項目では、洗浄工程での温度条件(温度状況)を示すものである。すなわち図4A〜図5Bに示すように洗浄工程においては、洗浄槽内においては複数の円筒体が縦向きに配置した状態で前後左右に所定間隔おきにパレット上に配置されており、「上マトリックス温度」「中マトリックス温度」「下マトリックス温度」は、図6Aおよび図6Bに示すように洗浄槽内の上部、中間部および下部の温度を示すものである。マトリックス平均値は、円筒体が浸漬されている部分(エリア)のマトリックスの平均温度であり、例えば長寸の円筒体「A01−1」〜「A01−3」では、上部エリア、中間部エリアおよび下部エリアの3つのエリアの平均温度であり、短寸の円筒体「B01−1」〜「B01−5」は、下部エリアの除いた、上部エリアおよび中間部エリアの2つのエリアの平均温度である。つまりAタイプの長寸の円筒体とBタイプの短寸の円筒体とでは平均するエリア数が異なっている。さらに「洗浄」の項目において、「場所」とはるのは、円筒体が洗浄槽のどの位置に配置されているかを示すものであり、例えば「左」とあるのは洗浄槽の左位置、「右」とあるのは洗浄槽の右位置、「中」とあるのは洗浄槽の中間位置に配置されている(図6Aおよび図6B等参照)。
例えば図5Aおよび図6Aに示すように長寸の円筒体「A01−1」〜「A01−3」では、上部が上マトリックス温度の50℃、中間部が中マトリックス温度の46℃〜48℃、下部が下マトリックス温度の45℃で洗浄されている。さらに平均温度(マトリックス平均)は、46℃〜47℃となっている。
また図5Bおよび図6Bに示すように短寸の円筒体「B01−1」〜「B01−5」は短い(低い)ため、下端部が洗浄槽の下部(下マトリックス温度の部分)には達していない。このため短寸の円筒体「B01−1」〜「B01−5」では、上部が上マトリックス温度の50℃、中間部および下部が中マトリックス温度の46℃〜48℃で洗浄されている。さらに平均温度(マトリックス平均)は、47℃〜50℃となっている。
<項目別検査>
表1Bに示すように検査(項目別検査)においては、円筒体の全体的な曲がり変形の有無を判定する「変形1(曲がり)」、円筒体の端部の変形の有無を判定する「変形2(端部変形)」、円筒体の左側部(先端部)のキズ(スリキズ)の有無を判定する「外観1(スリキズ左)」、円筒体の中間部のキズ(スリキズ)の有無を判定する「外観2(スリキズ中)」、円筒体全体の変色の有無を判定する「外観3(全体変色)」、円筒体の部分的な変色の有無を反映する「外観4(部分変色)」、円筒体のスジキズの有無を判定する「外観5(スジ)」の各種検査が行われる。これらの検査は上記の検査装置によって自動的に行われるものである。さらに各検査の検査結果は既述した通り、検査指数で表示されており、最良の場合が「100」となり、曲がり量が多くなるに従って、その値(検査指数)が次第に小さくなる。具体的に例えば円筒体(A21−1)における変形1(曲がり)の検査においては、検査装置によって実際に測定された曲がり量(実測値)が「4」であり、基準値「100」からその曲がり量「4」を差し引いた値「96」が変形1(曲がり)の検査結果(検査指数)となる。さらに変形2(端部変形)の検査においては、実測の端部変形量の「5」を基準値の「100」から差し引いた値「95」が変形2の検査指数となる。同様に外観1〜5の検査においては、実測値の「24」「2」「1」「1」「3」を基準値の「100」からそれぞれ差し引いた値「76」「98」「99」「99」「97」が外観1〜5の検査指数となる。
なお実測値が「100」を超えるような例えば「120」となった場合、上記の計算方法に従うと検査指数は「−20」となるが、指数が「0」未満となる場合には「0」で固定するのが良い。すなわち指数にマイナス値や小数点が含まれていると、データベースDB1,2上での計算を高速かつ軽快に行うことが困難になるからである。
本実施形態では、各検査結果(検査指数)が「80」以上の場合「良好」、「80」未満の場合「不良」と判定するようにしている。
Figure 2017188015
表1Bの検査結果の測定値を基に、良好「OK」か不良「NG」かを判定した結果を表1Cに示す。なお表1Bと、表1Cとでは、検査項目の記載順序が異なっている。
後に詳述するように本実施形態においては、各項目別検査での良好や不良の単純数等から、製品の合否を判定するのではなく、各検査結果の値(検査指数)を総合的に判断して各製品の合否を決定するものである。
<具体例1>
次に検査結果において不良と判定された円筒体を基に、その不良原因の特定方法の具体例について説明する。
例えば表1Bの「外観1(スリキズ左)」の検査で不良と判定された円筒体(分割体)は「A01−1」「A21−1」「A26−1」「A51−1」「A134−1」「B01−1」である。これに対応する製品単位部位(不良対応の製品単位部位)を表1Aおよび表1Bから抽出したものを表2Aに示し、それ以外の製品単位部位(外観1の検査では良好な製品単位部位)を抽出したものを表2Bに示す。
ここで本実施形態において、検査工程における各種の検査は既述した通り、製品検査装置の制御装置C1(図1参照)によって自動的に行われるようになっている。この制御装置C1は、その良否の判定結果と、トレースデータベースDB2に保持された分割前後位置データおよび引抜前後位置データとを基に、不良と判定された円筒体を構成していた素管の部位を特定することができる。よってこの制御装置C1は、不良対応の製品単位部位(分割品単位部位)を選出する手段として機能する(以下の具体例2〜7においても同じ)。さらに本実施形態においては、オペレータが制御装置C1に指令を与えるだけで、表2Aに示すように不良対応の製品単位部位に対する各工程毎の処理条件を自動的に抽出することができる。よってこの制御装置C1は、その処理条件を抽出する手段として機能する(以下の具体例2〜7においても同じ)。
Figure 2017188015
Figure 2017188015
「外観1(スリキズ左)」の検査による不良判定基準としてのキズは、浅いスリキズであるため、熱処理工程や、洗浄工程等で発生したとは考え難く、素管の搬送中に発生したものと考えられる。またこのスリキズは素管の端部のみに発生し、中央部には発生していないので、長さ方向に連続した加工キズの可能性は低いものである。これらの事情を踏まえつつ、表2Aおよび表2Bを比較検討すると、この不良対応の製品単位部位に対して、加工前搬送工程で接触するV受け具は、V受け番号が「4」で左側のV受け具に限られている。さらに良好な(左スリキズのない)製品単位部位は、加工前搬送工程において、番号「4」の左側のV受け具とは全く接触していない。さらに表2Aの不良対応の製品単位部位において、口付加工、引抜加工、切断加工等、加工後搬送工程以外の加工では、不良原因となりそうな共通の特徴的な事象(異常)は認められない。
この検討結果から、「外観1(スリキズ左)」の検査による不良原因は、加工前搬送工程において、番号「4」の左側のV受け具に接触したためと特定することができる。
こうして不良原因が特定されると、その原因を取り除くことにより、例えば加工前搬送工程に用いられるコンベアにおける番号「4」の左側のV受け具を補修したり、交換することによって、不良の発生を防止することができる。よって歩留まりや生産効率の向上等を図ることができる。
<具体例2>
次に表1Bの「外観2(スリキズ中)」の検査で不良と判定された場合の不良原因の特定方法について説明する。この検査で不良判定された製品単位番号は「A10−3」「A91−3」「A92−3」「A93−3」「A94−3」「A132−3」「B01−4」「B01−5」である。これに対応する不良対応の製品単位部位を表1Aおよび表1Bから抽出したものを表3Aに示し、それ以外の素管単位部位を抽出したものを表3Bに示す。
Figure 2017188015
Figure 2017188015
「外観2(スリキズ中)」の検査による不良判定基準としてのキズは、浅いスリキズであるため、熱処理工程や、洗浄工程等で発生したとは考え難く、素管の搬送中に発生したものと考えられる。またこのスリキズは素管の中間部のみに発生し、端部には発生していないので、長さ方向に連続した加工キズの可能性は低いものである。これらの事情を踏まえつつ、表3Aおよび表3Bを比較検討すると、不良対応の製品単位部位は、加工前搬送工程において右側のV受け具が接触しているものの、V受け番号が不特定であり、加工前搬送工程で発生したスリキズとは考え難い。さらに不良対応の製品単位部位において、加工後搬送工程で接触するV受け具は、番号「V2」「V4」のものに限られており、この検査で良好な製品単位部位は、加工後搬送工程で番号「V2」「V4」のV受け具には接触していない。さらに検査不良の製品単位部位において、口付加工、引抜加工、切断加工等、加工前搬送工程以外の加工では、不良原因となりそうな共通の特徴的な事象(異常)は認められない。
この検討結果から、「外観2(スリキズ中)」の検査による不良原因は、加工後搬送工程において、番号「V2」「V4」のV受け具に接触したためと特定することができる。
なお本実施形態においては既述した通り、番号「V2」「V4」のV受け具は素管に接触した際に、素管に対し前方に位置ずれすることを想定しており、その位置ずれによって、素管にキズが形成されたことになる。
<具体例3>
次に表1Bの「外観3(全体変色)」の検査で不良と判定された場合の不良原因の特定方法について説明する。この検査で不良と判定された製品(円筒体)の製品番号は「A131−2」「A132−3」「A133−1」「A134−1」である。これに対応する不良対応の製品単位部位を表1Aおよび表1Bから抽出したものを表4Aに示し、それ以外の製品単位部位を抽出したものを表4Bに示す。
Figure 2017188015
Figure 2017188015
「外観3(全体変色)」の検査による不良判定基準としての変色は、材料または環境/雰囲気に関する不具合であると考えられる。例えば熱処理工程において、温度が100℃で長時間処理された場合、変色する傾向がある。これらの事情を踏まえつつ、表4Aおよび表4Bを比較検討すると、不良対応の製品単位部位は、熱処理工程で100℃以上の高温で長時間(15時間以上)処理されて、過熱状態と思われる。また洗浄工程では、不良原因となりそうな共通の特徴的な事象(異常)は認められない。同様に、加工前搬送工程、口付加工、引抜加工、切断加工、加工後搬送工程等では、不良原因となりそうな共通の特徴的な事象(異常)は認められない。従って、不良対応の製品単位部位は、熱処理工程で100℃以上の温度で15時間以上処理されたためと特定される。
<具体例4>
次に表1Bの「外観4(部分変色)」の検査で不良と判定された場合の不良原因の特定方法について説明する。この検査で不良判定された製品番号は「B01−1」「B01−2」「B01−3」「B01−5」である。これに対応する不良対応の製品単位部位を表1Aおよび表1Bから抽出したものを表5Aに示し、それ以外の製品単位部位を抽出したものを表5Bに示す。
Figure 2017188015
Figure 2017188015
「外観4(部分変色)」の検査による不良判定基準としての変色は、材料または環境/雰囲気に関する不具合であると考えられる。例えば熱処理工程や、洗浄工程が高温の環境で行われた場合等、この変色が発生する傾向がある。よって熱処理工程や洗浄工程に不良原因があると考えられる。これらの事情を踏まえつつ、表5Aおよび表5Bを比較検討すると、不良の円筒体(分割体)は、洗浄工程でマトリックス平均値(浸漬部の平均温度値)が48℃以上と高温で、かつ洗浄槽内の左位置または右位置で洗浄されている。また熱処理工程においては、不良原因となりそうな共通の特徴的な事象(異常)は認められない。さらに他の工程においても、不良原因となりそうな共通の特徴的な事象(異常)は認められない。従って不良の円筒体(分割体)は、洗浄工程で平均温度が48℃以上で、かつ洗浄槽内の左位置または右位置で処理していたためと特定することができる。
なおこの「外観4(部分変色)」の検査で不良と判定された円筒体「B01−1」「B01−2」「B01−3」「B01−5」は、短寸の円筒体であるため、長寸の円筒体に比べて温度による影響を受け易くなっている。
<具体例5>
次に表1Bの「外観5(スジ)」の検査で不良と判定された場合の不良原因の特定方法について説明する。この検査で不良判定された製品番号は「A10−3」「A131−2」「A132−3」「B01−3」である。これに対応する不良対応の製品単位部位を表1Aおよび表1Bから抽出したものを表6Aに示し、それ以外の製品単位部位を抽出したものを表6Bに示す。
Figure 2017188015
Figure 2017188015
「外観5(スジ)」の検査による不良判定基準としてのスジは、鋭利なスジであるため、ワークに負荷を加える加工中に発生したものと考えられる。特にこのスジは長さ方向に連続して形成されているため、引抜加工中に発生した可能性が高い。これらの事情を踏まえつつ、表6Aおよび表6Bを比較検討すると、不良対応の製品単位部位は、引抜加工中にビビリが発生していたものに限られている。さらに不良対応の製品単位部位において、口付加工、切断加工において不良原因となるような特徴的な事象(異常)は認められない。
この検討結果から、「外観5(スジ)」の検査による不良原因は、引抜加工においてビビリが発生したためと特定することができる。
<具体例6>
次に表1Bの「変形1(曲がり)」の検査で不良と判定された場合の不良原因の特定方法について説明する。この検査で不良判定された製品番号は「A26−1」「A51−1」「A133−1」である。これに対応する不良対応の製品単位部位を表1Aおよび表1Bから抽出したものを表7Aに示し、それ以外の製品単位部位を抽出したものを表7Bに示す。
Figure 2017188015
Figure 2017188015
表7Aおよび表7Bを比較検討すると、この検査による不良は、口付加工において「加工(口付加工)」のサイクルタイムが3.2sと長いものに発生している。さらに詳細に検討すると、「口付加工」のサイクルタイムが長いものであっても、口付加工部に隣接していない製品単位部位、例えば「A51−2」の製品単位部位には、この検査による不良が発生していない。さらに口付加工以外の加工において、不良原因となるような特徴的な事象(異常)は認められない。
よってこの検討結果から「変形1(曲がり)」の検査による不良原因は、口付加工のサイクルタイムが3.2以上で、口付加工部に隣接している製品単位部位であったためと特定することができる。
<具体例7>
次に表1Bの「変形2(端部変形)」の検査で不良と判定された場合の不良原因の特定方法について説明する。この検査で不良判定された製品番号は「A91−2」「A94−3」「A132−3」「A133−1」である。これに対応する不良対応の製品単位部位を表1Aおよび表1Bから抽出したものを表8Aに示し、それ以外の製品単位部位を抽出したものを表8Bに示す。
Figure 2017188015
Figure 2017188015
「変形2(端部変形)」の検査による不良判定基準としての端部変形は、円筒体の端部に発生しているため、切断加工に関連していると考えられる。この点を踏まえつつ、表8Aおよび表8Bを比較検討すると、この検査による不良は、切断加工において切断圧力が230以上で負荷が大きい場合に発生している。さらに切断加工以外の加工において、不良原因となるような特徴的な事象(異常)は認められない。
よってこの検討結果から「変形2(端部変形)」の検査による不良原因は、切断加工の切断圧力が200程度以上で、負荷が大きかったためと特定することができる。
以上の具体例から明らかなように、本実施形態の良否判定方法においては、素管を分割して得た円筒体(分割品)の検査において発生した不良の原因を特定するに際して、素管の位置毎における各工程での処理条件を取得しておき、分割前の素管のうち、不良原因のある分割品を構成していた部位を算出し、その不良対応の製品単位部位に関するデータと、前記ワーク位置毎の処理条件に関するデータとを照合して、不良対応の製品単位部位に対する各工程毎の処理条件を抽出し、その抽出データを基に不良の原因を特定しているため、分割前の素管単位ではなく、素管を構成する製品単位での追跡調査を行うことができ、製品単位毎の詳細な情報を基に、不良原因を正確に特定することができる。
また本実施形態においては、素管に対し引抜加工を行った後、その変形率を基に、不良原因のある円筒体を構成していた部位を算出するようにしているため、不良対応の製品単位部位を正確に算出でき、不良原因をより一層正確に特定することができる。
<総合検査>
本実施形態においては、上記項目別検査で得られた項目別検査値(項目別検査指数)を基に、総合検査値(総合品質指数)を算出し、その総合品質指数を基に円筒体(分割品)の合否を判定するようにしている。表9Aは項目別検査と総合検査との対比関係を示す表である。
Figure 2017188015
表9Aに示すように総合検査において「総合変形指数」は円筒体(製品)として幾何学的および形状的な「できばえ」を評価するものあり、製品として形状的に使用できるか否かを判断するための指標となる。本実施形態において「総合変形指数」は項目別検査の「変形1(曲がり)の測定値(検査指数)」と、「変形2(端部変形)の検査指数」と、「外観1(スリキズ左)の検査指数」と、「外観2(スリキズ中)の検査指数」との4項目の検査指数の平均値である。例えば円筒体(A21−1)では変形1,2、外観1,2の検査指数が「96」「95」「76」「98」であるため、その平均値の総合変形指数は「91.3」となる。なお外観1(スリキズ左)および外観2(スリキズ中)の検査では、表面に形成される凹凸形状の影響も受けるため、本実施形態ではこれらの項目(外観1,2)の検査も総合変形指数の評価に加えるようにしている。ここで本実施形態においては変形1,2の検査が変形検査を構成するものである。
「総合外観指数」は製品としての外観状態の「できばえ」を評価するものであり、キズや変色具合の程度が製品として使用できるか否かを判断するための指標となる。本実施形態において「総合外観指数」は「外観1(スリキズ左)の検査指数」と、「外観2(スリキズ中)の検査指数」と、「外観3(全体変色)の検査指数」と、「外観4(部分変色)の検査指数」と、「外観5(スジ)の検査指数」との5項目の検査指数の平均値である。例えば円筒体(A21−1)では外観1〜5の検査指数が「76」「98」「99」「99」「97」であるため、その平均値の総合外観指数は「93.8」となる。ここで本実施形態においては外観1〜5の検査が外観検査を構成するものである。
「総合品質指数」は製品として全体的(総合的)な「できばえ」を評価するものであり、製品として使用できるか否か(製品の合否)を判断するための指標となる。本実施形態において「総合品質指数」は項目別検査の7項目(変形1,2および外観1〜5)の全ての検査指数の平均値である。例えば円筒体(A21−1)では変形1,2、外観1〜5の検査指数が「96」「95」「76」「98」「99」「99」「97」であるため、その平均値の総合品質指数は「94.3」となる。ここで本実施形態においては、総合品質指数が総合検査値を構成し、各項目別検査の指数、すなわち変形1、変形2、外観1、外観2、外観3、外観4および外観5の各検査の指数が項目別検査値を構成するものである。
上記の表9Aは、各製品(分割品)毎の検査結果に関するデータを示す図であり、総合検査における総合品質指数が高い製品から順に上から並ぶようにソートしたものである。例えば1番上の列に記入された円筒体「A21−1」が総合品質指数が最も高く、1番下の列に記入された円筒体「A132−3」が総合品質指数が最も低くなっている。
そして本実施形態においては総合品質指数が「85」以上の場合「合格(良好)」、「85」未満の場合「不合格(不良)」と判定するようにしている。なお本実施形態において総合変形指数、総合外観指数、総合品質指数は、自動的に測定された上記項目別検査の結果から、制御装置C1によって自動的に算出されるようになっている。
表9Aの総合検査における「最終目視判定」はオペレータが目視により検査して製品の全体的な「できばえ」を評価するものである。この最終目視判定は最も信頼性が高く評価の基本となるものであるが、多くの時間と労力を必要とするため通常、全ての製品(円筒体)に対して実施されることはなく、いわゆる抜き取り検査によるものである。本実施形態においては最終目視判定を基準にして自動的に算出された上記総合品質指数の信頼性を評価するようにしている。最終目視判定において「○」は製品としてほとんど問題のない良好な品質であると判定されたものであり、「◆」は製品として最低限のレベルをクリアしていると判定されたものであり、「×」は製品として不良の可能性が高いと判定されたものである。
表9Aにおいてまず、総合品質指数と最終目視判定とを比較すると、総合品質指数は最終目視判定に対し非常に近似しているのが判る。例えば総合品質指数で合格「85以上」のものは、最終目視判定によって製品として提供可能なレベル「○」「◆」であり、両者の評価結果には大きな違いはない。従って総合品質指数は最終目視判定と同様、高い信頼性を有していることが判る。
なお本実施形態において、総合品質指数は、項目別検査指数を単純に平均した値で算出するようにしているが、評価したい指数に合わせて、項目別検査指数を適宜組み合わせるように計算式を変更するようにしても良い。つまり総合品質指数を最終目視判定の結果により近づけるように計算式を適宜変更するようにしても良い。
一方、総合品質指数(または最終目視判定)と項目別検査の各検査指数とを比較すると、項目別検査指数で良好であると判定されていても、総合品質指数で良くないと判定されている製品がある。例えば円筒体(A51−2)は、各項目別検査指数が全て「80」以上で良好と判定されているにもかかわらず、総合品質指数は「85」未満(最終目視判定は「×」)であり不良と判定されている。また項目別検査指数で不良が含まれていても、総合品質指数で良好と判定されている製品もある。例えば円筒体(A51−1)は、項目別検査指数において変形1(曲がり)および外観1(スリギズ左)の検査指数がそれぞれ「80」未満で不良の項目が含まれているにもかかわらず、総合品質指数は「85」以上(最終目視判定は「◆」)であり良好と判定されている。
このように項目別検査の結果(項目別検査指数)を基に不良製品を特定するよりも、総合品質指数を基に不良製品を特定する方が信頼性が高い。このため本実施形態においては総合検査の結果から不良の製品としての円筒体(分割品)を特定し、その不良の円筒体に対応する素管の部位に対し、上記と同様に追跡調査を実施することによって、不良原因をより一層正確に特定することができる。
また本実施形態において総合品質指数は、製品としての「できばえ」を数値として捉えることができるため、製品の合否の判定を適正かつスムーズに行うことができ、生産効率の向上を図ることができる。
ところで本実施形態においては、不良原因を特定するだけでなく、その不良原因を取り除くように各工程での処理条件を修正することによって、各工程において最適な処理条件を見出すことができ、不良製品の排出が少なくて歩留まりの良い製造ラインを構築することができる。不良原因を取り除くということは換言すると、総合品質指数を全体的に向上させることであるが、総合品質指数による評価の信頼性をより一層高めるために、総合品質指数による評価方法を各製造ラインに合わせて修正するのが好ましい。
すなわち上記表9Aを例に挙げて説明すると、各円筒体毎のデータのうち、製品検査の課程での不具合要因を含むデータを除外する。例えば円筒体(A21−1)〜(A26−3)に対し製品検査を行っている際に、その時間帯では検査装置(検査設備)の異常発生等によって項目別検査や総合検査が正確に実施されなかった可能性が高い場合には、その製品(A21−1)〜(A26−3)に関するデータを除外する(表9Aにおける右端の「検査設備異常発生で除外」の項目を参照)。
さらに上記したように推定された不良原因の中から、加工以外の処理で不具合要因を含むデータを除外する。例えば表1Aに示すように加工前搬送で異常があった製品単位部位(A21−1)(A26−1)(A01−1)(A51−1)(A134−1)(B01−1)に関するデータを除外する(表9Aにおける右端の「加工以外の不具合を除外」の項目を参照)。なお本実施形態では、加工前搬送で異常があった製品単位部位に関するデータを除外するようにしているが、必要に応じて図1Aに示すように加工後搬送で異常があった製品単位部位に関するデータも除外するようにしても良い。
これら以外に除外するデータとしては、加工機自体の不具合等が分かっているような場合には、その加工機によって加工された製品に関するデータも除外する。
このように除外されるデータは、加工以外の処理で不良が発生した製品に関連するデータであり、不良の発生がイレギュラーであり、本来の正しい条件で処理されていない可能性がある状態で測定されたデータである。つまり本実施形態の製品検査で無関係な数値(要素)が付加されて検査精度の低下を避けるためにこれらのデータを除外するようにしている。
こうして不具合要因を含むデータを除外したデータを以下の表9Bに示す。
Figure 2017188015
表9Bにおいては、製品検査で無関係な数値が付加されていないため、この製品検査での評価結果(項目別検査指数および総合品質指数)を参照して、その評価結果を向上できるように各工程での加工条件を見直すことによって、既述した通り不良製品の排出を極力抑制できて歩留まりの良い製造ラインを構築することができる。
また本実施形態においては、総合品質指数を基にして、複数の工程の組み合わせによって生じる不良原因を特定することができ、この不良原因を取り除くように、組み合わされた各工程の処理条件の許容範囲である管理範囲を修正することによって、より一層安定した製造ラインを構築することができる。
すなわち表9Bに示すように、製品検査で無関係なデータを除外したデータを参照して、複数の工程のうち所定の工程において複数の製品(分割品)の各総合品質指数と各処理条件データとの相関関係を算出し、所定の工程における処理条件データの中から相関関係を乱す処理条件データを見出す。さらにその相関関係を乱す処理条件データを含む製品を不良の製品とし、その不良の製品に対して、上記所定の工程以外の工程における処理条件データを抽出し、その抽出データを基に不良の原因として特定するものである。
例えば図7Aに示すように縦軸に総合品質指数、横軸に引抜加工時の引抜圧力MAX(引抜最大圧力)をとり、各製品のデータをプロットして、総合品質指数と引抜圧力MAX(引抜最大圧力)との相関関係を示すグラフを作成する。このグラフから理解できるように基本的には引抜最大圧力が小さくなるに従って総合品質指数(製品品質)が次第に向上するという相関関係が成立している。ところが同グラフ中には一点鎖線P1で囲まれる部分で示すように上記の相関関係が成立せず、その相関関係を乱すデータ(要因)が含まれている。このデータを含む製品を調査すると、この製品は全て熱処理工程(図1、表1A参照)での累積時間が15以上のものであることが判明した。このように引抜工程を行うに際して、その前処理(前工程)として熱処理工程を行うような場合には、熱処理工程を単独で行う場合と比較して、管理範囲を制限する必要がある。つまり熱処理工程および引抜工程を組み合わせて行う場合、熱処理工程での累積時間が5以下の場合には、上記の相関関係を乱すことなく想定通りに総合品質指数を上昇させることができるため、最終製品で良品を生産し易くなる。
また図7Bに示すように縦軸に総合品質指数、横軸に洗浄工程でのマトリックス平均温度(洗浄マトリックス平均温度)をとり、各製品のデータをプロットして、総合品質指数と洗浄マトリックス平均温度との相関関係を示すグラフを作成する。このグラフから理解できるように基本的には洗浄マトリックス平均温度が低くなるに従って総合品質指数(製品品質)が次第に向上するという相関関係が成立している。ところが同グラフ中には一点鎖線P2,P3で囲まれる部分で示すように上記の相関関係を乱すデータ(要因)が含まれている。これのデータを含む製品を調査すると、一点鎖線P2で示すデータを含む製品は、熱処理工程(図1、表1A参照)での累積時間が15以上のものであることが判明した。さらに一点鎖線P3で示すデータを含む製品は、引抜工程(図1、表1A参照)での引抜最大圧力が102以上のものであることが判明した。このように洗浄工程を行うに際して、その前処理(前工程)として熱処理工程や引抜工程を行うような場合には、熱処理工程や引抜工程を単独で行う場合と比較して、各工程の管理範囲を制限する必要がある。つまり洗浄工程、熱処理工程および引抜工程を組み合わせて行う場合、熱処理工程での累積時間が5以下の場合には、上記の相関関係を乱すことなく想定通りに総合品質指数を上昇させることができるため、最終製品で良品を生産し易くなるとともに、引抜工程での引抜最大圧力が102以下の場合には、上記の相関関係を乱すことなく想定通りに総合品質指数を上昇させることができるため、最終製品で良品を生産し易くなる。
図7Aおよび図7Bの分析結果を踏まえると、例えば図8(a)に示すように従前(改善前)の熱処理工程での累積時間の管理範囲の上限は15以上であったが、同図(b)に示すようにその累積時間を「良品が生産され易いゾーン」に含まれるように累積時間の上限を5以下に変更するのが好ましい。同様に同図(a)に示すように改善前の引抜工程での引抜最大圧力の管理範囲の上限が102以上であったが、同図(b)に示すようにその引抜最大圧力を「良品が生産され易いゾーン」に含まれるように引抜最大圧力の上限を102以下に変更するのが好ましい。
以上のように複数の工程を組み合わせて製品を製造するような場合、所定の工程おいて処理条件データと総合品質指数との相関関係を求め、所定の工程の処理条件データの中から上記相関関係を乱す処理条件データを見出し、その相関関係を乱す処理条件データを含む製品を不良の製品と推定する。さらにその不良製品に対して上記所定の工程以外の工程の処理条件データを抽出し、その抽出データを基に不良の原因を特定する。そしてその不良原因を取り除くように所定の工程以外の工程における処理条件の許容範囲(管理範囲)を調整していくことによって、各工程を組み合わせた時の各工程の管理範囲を最適な状態に設定でき、不良製品が排出され難く歩留まりの良い生産ラインを確実に構築することができる。
また本実施形態においては、量産以外で特別に実施される面倒な実験等を経ずに、各工程の処理条件を最適な状態に設定することができる。すなわち通常の生産ラインにおいては、不具合が出ない加工条件等を導き出すため予め、各工程において様々なテスト条件を故意に設定するという実験を繰り返し行って最適な条件を導き出す必要があるが、本実施形態においては、量産動作を行いながら、量産中の様々な加工条件(処理条件)のデータを自動で算出して大量に保管できて、そのデータを分析することによって各処理条件を自動的に正確に検証することができる。このように特別な実験等を経ずに、生産ラインの各工程において自動で正確な実施検証を行うことができるため、量産を行いつつ、より信頼性の高い処理条件を確実に見出すことができる。
<暫定不良品特定の詳細な説明>
本実施形態においては所定の検査で円筒体W2が不良と判定されて、その不良原因が特定されると、上記所定の検査で不良と判定されなかった円筒体W2であっても、追跡調査によって不良原因が生じた工程において不良原因となった処理条件と同じ条件で処理された円筒体W2を選出し、当該円筒体W2を暫定不良と特定して、検査で不合格の不良品と同様に取り扱う。
例えば図9(b)に示すように所定の検査で不良と判定された円筒体W2(×印を付与したもの)の不良原因が、追跡調査によって切断前の引抜工程における引抜最大値がM以上で過大であった場合と特定され、さらに当該円筒体W2は切断前における素管W1の中間位置の製品単位部位「Ax1−2」であった場合と想定する。このような場合まず、切断前の引抜工程における引抜最大値がM以上の条件で処理された製品単位部位を抽出する。なお抽出された製品単位部位のうち、対応する円筒体が上記所定の検査で不良と判定されたものは除外する。つまり上記所定の検査で不良ではなく良好であると判定された円筒体に対応する製品単位部位のうち、引抜工程において、不良原因である引抜最大値がM以上で処理された製品単位部位を抽出する。例えば図9(c)の△印で示すように素管W1の製品単位部位「Ax2−2」が引抜最大値がM以上で処理されてその製品単位部位「Ax2−2」が抽出された場合には、その製品単位部位「Ax2−2」に対応する円筒体W2(△印を付与したもの)を暫定不良の円筒体W2と特定する。このとき不良原因の条件と同様に処理された素管W1において暫定不良の製品単位部位「Ax2−2」以外の部位「Ax2−1」「Ax2−3」に対応する円筒体W2は、暫定不良とは特定されず、暫定不良でない分割体(良品等)として処理される。
本実施形態において暫定不良の特定作業は製品検査の制御装置C1(図1参照)等によって自動的に行われるようになっている。例えばオペレータが制御装置C1に不良原因等の情報を入力して、暫定不良の特定を開始する旨の指令を与えることによって、制御装置C1が作動して暫定不良の円筒体W2が自動的に算出されるようになっている。
なお以上の説明においては、不良原因が引抜最大値が過大であるという場合であるが、他の不良原因例えば、熱処理工程で加熱温度が高過ぎたり加熱時間が長過ぎたりした場合、口付工程でサイクルタイムが長過ぎる場合、引抜工程でビビリが発生した場合、引抜最大値および最小値間の差が大き過ぎる場合、切断工程で切断圧力最大値が大き過ぎる場合等が不良原因であると特定した場合でも上記と同様に暫定不良の円筒体Wを決定することができる。
ここで暫定不良と特定された円筒体Wは必要に応じて製造ラインから除外すれば良いが、暫定不良の円筒体Wは、不良原因が特定される前に生産されているのが通例であるため、暫定不良の円筒体Wは多くの場合図9(c)の△印に示すように、他の合格品と同様に収納箱6に箱詰めされて、その箱詰め円筒体群(箱詰めワーク群)が送り出されていくことになる。
本実施形態においては、各円筒体W2に対してどの収納箱6のどの位置に収納されているかの上記箱内円筒体データがトレースデータベースDB2に保持されているため、その箱内円筒体データに基づいて、事後的に暫定不良の円筒体W2(暫定不良品)がどの箱詰め円筒体群のどの位置に収納されているかの情報を簡単に入手することができる。従って本実施形態においては暫定不良品を含む箱詰め円筒体群(層別の箱詰め円筒体群)を見つけ出すことができる。このため例えばオペレータは層別の箱詰め円筒体群(層別の箱詰めワーク群)をピックアップして、箱ごと製造ラインから除外しても良いし、層別の箱詰め円筒体群から暫定不良品のみを取り出して再検査して、良好な場合は箱に戻して通常通り次工程に送り出すとともに、不良の場合はその不良品のみを除外するようにしても良い。
なお本実施形態においては箱詰め工程において、箱詰めされる円筒体W2に関する情報例えば、箱詰めされた各円筒体W2に対し各工程においてどのような条件でどのような処理が実施されたかのトレース情報等が収納箱6の外表面に印刷されて表示されている。従ってオペレータは、収納箱6に表示されたトレース情報等を読み取るだけで簡単に、その箱詰め円筒体群に暫定不良品が収納されているか否かを把握することができ、暫定不良品や層別の箱詰め円筒体群を素早く適確に除外することができる。
以上のように本実施形態の円筒体の良否判定方法によれば、製品検査で合格した円筒体W2の中から、追跡調査によって不良原因が生じた工程において不良原因と同じ条件で処理された円筒体W2を選出し、その円筒体W2を暫定不良として、検査で不合格な円筒体W2と同様に取り扱うようにしている。このため検査に合格した円筒体W2の中でも、不良の可能性が高い円筒体W2を確実に見つけ出して除外することができ、歩留まりを向上させることができる。このように検査をすり抜けた円筒体W2であっても、不良の可能性が高い円筒体W2を確実に除外できるため、検査精度を向上させることができる。
また本実施形態においては、不良原因を特定することができれば、データベースDB1,DB2に保持された分割前後位置データおよび処理条件データに基づいて、暫定不良品を自動的かつ迅速に算出することができ、検査に手間取る等の不具合も解消でき、生産効率を向上させることができる。
さらに本実施形態においては、円筒体W2を箱詰めする際に、各円筒体W2と、各円筒体W2が収納された収納箱6とを関連付けた箱内分割品データを保持するようにしているため、箱内円筒体データに基づいて、暫定不良品がどの収納箱に収納されているかを簡単に把握することができ、箱詰め後であっても、不良品(暫定不良品)が収納された箱詰め円筒体群を、あるいは不良品(暫定不良品)のみを簡単かつ迅速に取り出して、必要に応じて除外することができ、生産効率を一層向上させることができる。
<暫定不良品特定の具体例>
上記表2Aおよび表2Bの<具体例1>の項目で説明した通り、本実施形態においては「外観1(スリキズ左)」の検査結果がNGの場合例えば、その不良原因は、加工前搬送工程におけるV受け番号「4」の左側のV受け具に接触したことであるためと特定した事例を示している。ここではそのV受け具の接触が不良原因として特定された際に、暫定不良の円筒体W2を選出する手順を具体的に説明する。
Figure 2017188015
表10は加工前搬送工程の処理条件データと、「外観1(スリキズ左)」の項目別検査による判定結果とを抜粋した表である。さらにこの表10には工程異常の発生により製造中止(設備停止)した際に、その設備停止以前に加工された所定量のワークのデータを抽出して、時系列的に上方から下方に順次掲載している。具体的に説明するとまずBタイプの短寸の円筒体W2の生産を完了する直前のワーク(B99−1)〜(B99−5)のデータと、その後段取り替え(n番目の段取り替え)を行ってAタイプの長寸の円筒体W2を生産した際のワーク(A01−1)〜(A134−3)のデータと、その後段取り替え(n+1番目の段取り替え)を行ってBタイプの短寸の円筒体Wの生産を開始してから、工程異常による製造中止(設備停止)までのワーク(B01−1)〜(B01−5)のデータとが掲載されている。
表10に示すようにn番目の段取り替え前では、加工前搬送工程におけるV受け番号「4」の左側のV受け具による接触の有無にかかわらず、「外観1(スリキズ左)」の検査は良好(OK)であり、当該V受け具に関連する設備には異常はないと考えられる。
ところがn番目の段取り替えからn+1番目の段取り替えまでの間では、「外観1(スリキズ左)」の検査でいくつかの円筒体W2に対し不良(NG)が発生した。例えば(A01−1)(A134−1)に相当する円筒体W2にNGが発生していた。
さらにn+1番目の段取り替え以降においても、(B01−1)に相当する円筒体W2等に「外観1(スリキズ左)」の検査で不良(NG)が発生していたため、製造ラインに異常があると判断し、設備を停止した。異常があると考えられる時間帯(層別時間範囲)は、n番目の段取り替え以降から設備停止までの間であり、その間で処理したワークに対し上記と同様の追跡調査を行って不良原因を特定した。その結果、上記表2Aおよび表2Bの<具体例1>の項目で詳述した通り、不良原因は加工前搬送工程におけるV受け番号「4」の左側のV受け具に接触したことであるためと特定した。
続いて暫定不良品を特定した。すなわち「外観1(スリキズ左)」の検査で良好(OK)と判定された円筒体W2の製品単位部位の中から、追跡調査を行って加工前搬送工程におけるV受け番号「4」の左側のV受け具に接触していた製品単位部位を抽出する。例えば表10の例では「A112−1」の製品単位部位が該当する。従って本具体例においてはこの「A112−1」に対応する円筒体W2を暫定不良の円筒体であると特定し、既述したように暫定不良品として取り扱うことになる。例えば表10の右側の枠外に示すように当該円筒体W2を再評価して、評価結果を良好(OK)から不良(NG)に変更し、不良品として取り扱う。
このように検査で合格した円筒体W2であってもその中から、不良の可能性が高い暫定不良の円筒体W2を確実に見つけ出すことができ、その暫定不良の円筒体W2に対し必要に応じて再検査や廃棄処理等を行うことにより、不良の円筒体(不良製品)が出荷されるのを未然に確実に防止でき、製造品全てにおいて高品質を保持することができる。
<変形例>
なお上記実施形態においては素管(ワーク)に対し実施される工程に切断工程が含まれており、素管を切断してその分割品(切断品)を製品として用いる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、ワークに対し実施される工程に切断工程を含まず、ワークを切断せずに種々の工程で処理して製品として採用するような場合にも適用することができる。
また上記実施形態においては、ワーク形状変形工程として、引抜工程を採用する場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、ワーク形状変形工程として、押出加工を行う押出工程、圧延加工を行う圧延工程、引張加工を行う引張工程等を採用するようにしても良い。
また上記実施形態においては、管状の素管や分割体を用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明においては、素管や分割体等のワークの形状は限定されるものではなく、どのような形状のワークにも対応することができる。例えばワークとして、中実棒状の棒材や、長板状の板材、さらには異形断面の長尺材等を用いるようにしてもよい。
また本実施形態では、項目別検査や総合検査等を検査装置によって自動的に検査するようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、作業者の手動によって、例えば目視によって検査するようにしても良いし、自動検査と手動検査とを併用するようにしても良い。
この発明のワークの良否判定方法は例えば、ワークに対し複数の加工が順次実施されるようにした製造ラインに適用することができる。
W1:素管(ワーク)
W2:円筒体(ワーク)

Claims (11)

  1. 複数の工程において順次処理された複数のワークに対し順次検査を行って良否を判定するようにしたワークの良否判定方法において、
    各工程において処理が実施された際の処理条件を各ワーク毎に求めた処理条件データを取得し、
    ワークに対する検査において不良と判定されたワークにおいて、前記処理条件データに基づいて各工程毎の処理条件を抽出し、
    その抽出された処理条件の中から不良の原因とされる不良原因の処理条件を特定する一方、
    前記処理条件データに基づいて、不良と判定されたワーク以外のワークの中から、前記不良原因の処理条件と同様な処理が実施されたワークを選出し、その選出されたワークを暫定不良のワークであると判断するようにしたことを特徴とするワークの良否判定方法。
  2. 前記暫定不良のワークを、不良と判定されたワークと同等に取り扱うようにした請求項1に記載のワークの良否判定方法。
  3. 検査が行われた各ワークを複数ずつ収納箱に箱詰めして箱詰めワーク群を得る箱詰め工程を備え、
    各ワークと、各ワークが収納された箱詰めワーク群とを関連付けた箱内ワークデータを取得し、
    前記箱内ワークデータに基づいて、複数の箱詰めワーク群の中から前記暫定不良のワークが収納された箱詰めワーク群を層別の箱詰めワーク群として特定するようにした請求項1または2に記載のワークの良否判定方法。
  4. 前記処理条件データおよび前記箱内ワークデータに基づいて、前記箱詰めワーク群に収納された各ワークに関する情報を取得するとともに、その情報を前記箱詰めワーク群の収納箱に表示するようにした請求項3に記載のワークの良否判定方法。
  5. 前記箱詰めワーク群の収納箱に表示された表示情報を参照して、前記層別の箱詰めワーク群を選出するようにした請求項4に記載のワークの良否判定方法。
  6. ワークに対する検査は、ワークの表面におけるキズ、変色の有無、ワークの変形具合を評価するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載のワークの良否判定方法。
  7. ワークに対する検査は、各ワークに対し複数の項目別の検査をそれぞれ行ってワーク毎に複数の項目別検査値を取得する項目別検査と、各ワーク毎の複数の項目別検査値を総括して各ワーク毎に総合検査値を取得する総合検査とを含み、
    前記総合検査値を基に各ワークの良否を判定するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載のワークの良否判定方法。
  8. 項目別検査は、ワークの表面におけるキズや変色の有無を評価する外観検査と、ワークの変形具合を評価する変形検査とを含む請求項7に記載のワークの良否判定方法。
  9. 複数の工程のうち所定の工程において総合検査値と処理条件データとの相関関係を求め、前記所定の工程における処理条件データの中から前記相関関係を乱す処理条件データを見出し、その相関関係を乱す処理条件データを含むワークを不良のワークとして、前記所定の工程以外の工程における処理条件データを基に不良の原因を特定するようにした請求項7または8に記載のワークの良否判定方法。
  10. 前記複数の工程にはワークを切断する切断工程を含まない請求項1〜9のいずれか1項に記載のワークの良否判定方法。
  11. 複数の工程において順次処理された複数のワークに対し順次検査を行って良否を判定するようにしたワークのトレーサビリティシステムにおいて、
    各工程において処理が実施された際の処理条件を各ワーク毎に求めた処理条件データを取得する手段と、
    ワークに対する検査において不良と判定されたワークにおいて、前記処理条件データに基づいて各工程毎の処理条件を抽出する手段とを備え、
    その抽出された処理条件の中から不良の原因とされる不良原因の処理条件を特定する一方、前記処理条件データに基づいて、不良と判定されたワーク以外のワークの中から、前記不良原因の処理条件と同様な処理が実施されたワークを選出し、その選出されたワークを暫定不良のワークであると判断するように構成されていることを特徴とするトレーサビリティシステム。
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