JP2012163811A - 画像加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱体表面の形状に凹凸を設けて加熱体の表層の汚れを防止し、定着性の向上、トルクの低減を図り、定着ローラの傷防止、および定着ローラ表層の磨耗を防止する画像加熱装置を提供する。
【解決手段】定着ローラ側の加熱体表面の三次元表面粗さの最大の表面凹凸高さSzを2〜85μmの範囲にする。
【選択図】図1
【解決手段】定着ローラ側の加熱体表面の三次元表面粗さの最大の表面凹凸高さSzを2〜85μmの範囲にする。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、電子写真方式を採用した複写機やプリンター、あるいはファクシミリ等の記録材上に画像形成可能な画像形成装置に搭載される画像加熱装置に関する。画像加熱装置としては、記録材に形成された未定着画像を定着する定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を向上させる光沢処理加熱装置等が挙げられる。
電子写真方式で用いられるトナーの定着装置(加熱装置)には、従来から熱ローラ方式、定着フィルム加熱方式などが知られている。近年では、更なる立ち上げ時間の短縮、高速化や低消費電力化のために、上記の定着方式に対して種々の改善が試みられている。一つとしては、加熱体を定着ローラ外表面に配置し、定着ローラの外表面のみを加熱する定着方式(以下、外部加熱定着方式と記す)が提案されている(特許文献1)。定着ローラの外表面のみを加熱することで、所定温度に立ち上げるまでの時間を短縮すると共に、消費電力を低減することが可能である。
また、この外部加熱定着方式の定着装置としては、加熱体を定着ローラ外表面に接触させる接触式と、ハロゲン加熱体などで接触せずに定着ローラの外表面を加熱する非接触式とに大別される。接触式の外部加熱定着装置は、セラミック加熱体などの熱源を直接定着ローラに接触させ熱を伝えるため非接触式に比べ、熱の伝搬効率が高い。更に、接触式の中には、定着ローラ外表面に加熱体を摺動させる摺動接触式と、加熱体が定着ローラ表面と共に回転移動する移動接触式に分けられる(特許文献2)。
摺動接触方式の外部加熱定着装置は、加熱体を定着ローラに接触させ加熱する接触加熱部を有しているため、加熱体と定着ローラとの挟持部上下側に紙紛やオフセットトナーなどの不要異物が汚れとして溜まる場合がある。また、その汚れが加熱体に固着することで汚れが定着ローラ表層を傷つける場合がある。また、定着ローラと加熱体が密着しながら摺動接触しているため、加熱体と定着ローラのとの摺擦で定着ローラ表層の磨耗が発生する場合がある。
それを回避するために、接触加熱部にクリーニングウェブを用い、接触加熱部の汚れが酷くなる前に接触加熱部の更新を行なう機構を設けたりしている。或いは、定着ローラの回転を正逆切り替えるなどで接触加熱部の汚れを吐き出すクリーニングモードを設けたりして接触加熱部に汚れが溜まらないようにし、接触加熱部の汚れにより発生する画像不良の防止を行なっている。
ところで、以上の従来技術とは別に、エンドレスの定着フィルムの外表面あるいは内表面に当接するように加熱体とその支持部材を設けた定着装置がある。即ち、定着フィルムを介した定着ローラと加圧ローラ、あるいは定着フィルムと加圧ローラとで形成されるニップ部で定着させるものである。前者は外部加熱定着方式である一方、後者は内部加熱定着方式となる。
この定着装置では、定着フィルムの外表面あるいは内表面と、加熱体の摺動層の表面との摺擦によって、トルクの高い状態が発生する可能性がある。その回避策として、摺擦部にグリースを塗布してトルクダウンを図っている。
しかしながら、前述したクリーニングウェブを用いた装置では、ウェブを巻いておく部品・領域が必要になり、かつ巻き取るための部材・領域が必要になり装置の大型化と共にコストが高い装置になる可能性がある。また、ウェブを巻き取る為の制御が装置の状況やプリントモードなどによって複雑になり、多くの制御を盛り込む必要性が生じ、さらにコストが高い装置になる可能性がある。また、モータの正逆回転を行なうことで装置にかかる負荷が増大し、装置の剛性を高くする必要があり、高価な部品を持いる必要が出てくる可能性がある。
また、エンドレスの定着フィルムを用いた装置では、長期間使用することでグリースの劣化が発生したり、定着フィルム内面の磨耗が発生する場合がある。そして、フィルム粉やグリースなどの不要異物が汚れとして溜まる場合がある。また、その汚れが定着フィルムに固着することで定着フィルムを傷つける場合がある。また、エンドレスの定着フィルムの外表面あるいは内表面と、加熱体の摺動層の表面との摺擦によって、トルクの高い状態が発生する装置も存在する。
本発明の目的は、加熱体の摺動層の表面形状を考慮することで、前述したコストアップや磨耗、傷の発生、トルク高を抑制し、画像加熱性能を向上させる画像加熱装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係わる画像加熱装置の代表的な構成は、回転部材と、前記回転部材の表面に当接し前記回転部材を加熱する加熱体と、を有し、前記加熱体からの熱エネルギーを前記回転部材に接触する記録材であって画像を担持した記録材に前記回転部材を介して付与する画像加熱装置において、前記加熱体の前記表面に接する摺動層の表面領域に前記回転部材の回転に伴って不要異物がすり抜ける凹部を備えた凹凸構造を有し、前記凹凸構造の凸部による前記回転部材の表層への引っかき傷を抑制するように、前記凹凸構造における三次元表面粗さの最大の表面凹凸高さSzを、2μm≦ Sz ≦85μm の範囲としたことを特徴とする。
本発明によれば、不要異物は凹凸構造の凹部ですり抜けることで蓄積しなくなり、凹凸構造の凸部による回転部材の表層への引っかき傷が抑制される。また加熱効率を保つように加熱体と回転部材との摺擦面積が減ることで、摺動部における摩擦抵抗が低くなりトルクの低減につながり、回転部材の表層の磨耗を抑制することができる。また、加熱体が回転部材に摺動する構成の場合は、摺擦のため、モータサイズが大きくなったり、トルク出力の高いモータが必要になったり、画像加熱装置自体が大型化したりする場合があるが、コスト高を生ずることなく改善を図ることができる。
《第1の実施形態》
(画像形成装置)
被加熱体である記録材P上の未定着トナー像を形成する画像形成装置を、図15に示す概略図を用いて説明する。本実施形態における画像形成装置50は、記録材搬送ベルト9上に担持した記録材P上に、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像を順次転写することで、一つの画像を形成する方式である。像担持体である感光ドラム1の周面には、回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電器2、レーザ光をドラム1に照射する露光装置3、現像器5、記録材搬送ベルト9を介して転写ローラ10、および、感光ドラムクリーナー16が配置されている。
(画像形成装置)
被加熱体である記録材P上の未定着トナー像を形成する画像形成装置を、図15に示す概略図を用いて説明する。本実施形態における画像形成装置50は、記録材搬送ベルト9上に担持した記録材P上に、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像を順次転写することで、一つの画像を形成する方式である。像担持体である感光ドラム1の周面には、回転方向(矢印R1方向)に沿って順に、帯電器2、レーザ光をドラム1に照射する露光装置3、現像器5、記録材搬送ベルト9を介して転写ローラ10、および、感光ドラムクリーナー16が配置されている。
まず、ドラム1は、その表面が帯電器2によって負極性に帯電される。次に帯電されたドラム1は、露光手段3の露光Lにより表面に静電潜像が形成(露光された部分は表面電位が上がる)される。1色目のイエロートナーが入った現像器5によって、ドラム1上の静電潜像部にトナーを付着させ、トナー像を形成する。本実施形態ではカラープリンタで記載しているが、画像形成装置はモノクロプリンタであってもよい。
一方、記録材搬送ベルト9は、二つの支持軸(駆動ローラ12、テンションローラ14)に支持され、図中矢印R4方向に回転する駆動ローラ12によって、矢印R3方向に回転する。記録材Pは、給紙ローラ4によって給紙されると、正極性のバイアスが印加された吸着ローラ6によって帯電され、記録材搬送ベルト9上に静電吸着し搬送される。記録材Pが転写挟持N1に搬送されると、記録材搬送ベルト9に従動回転する転写ローラ10に、不図示の電源から正極性の転写バイアスが印加され、ドラム1上のイエロートナー像は、転写挟持部N1において記録材P上に転写される。
転写後のドラム1は、弾性体ブレードを有する感光ドラムクリーナー16によって表面の転写残トナーが除去される。以上の帯電、露光、現像、転写、クリーニングの一連の画像形成プロセスを、2色目マゼンタM30、3色目シアンC30、4色目ブラックK30の各現像カートリッジについても順次行ない、記録材搬送ベルト9上の記録材Pに4色のトナー像を形成する。4色のトナー像を担持した記録材Pは、定着装置100に搬送され、表面のトナー像の定着が行なわれる。
(定着装置)
次いで、図1に基づいて本実施形態の画像加熱装置である定着装置100を説明する。本実施形態の定着装置100は、上述のように立ち上げ時間の短縮や低消費電力化を目的とした摺動接触式の外部加熱定着装置である。図1は本実施形態における定着装置の概略断面図を示す。回転部材としての定着ローラ110の外周面には、加熱体として、加熱部材112を接触摺動させ、接触加熱部N1を形成している。一方、定着ローラ110と接触してニップ部を形成するバックアップ部材としての加圧ローラ111が定着ローラ110に接触し、定着挟持部N2を形成している。
次いで、図1に基づいて本実施形態の画像加熱装置である定着装置100を説明する。本実施形態の定着装置100は、上述のように立ち上げ時間の短縮や低消費電力化を目的とした摺動接触式の外部加熱定着装置である。図1は本実施形態における定着装置の概略断面図を示す。回転部材としての定着ローラ110の外周面には、加熱体として、加熱部材112を接触摺動させ、接触加熱部N1を形成している。一方、定着ローラ110と接触してニップ部を形成するバックアップ部材としての加圧ローラ111が定着ローラ110に接触し、定着挟持部N2を形成している。
定着ローラ110は、外径φ20mmであり、φ12mmの鉄製の芯金117の外側に、シリコーンゴムを発泡した厚さ4mmの弾性層116(発泡ゴム)が形成されている。定着ローラ110は、熱容量が大きく、熱伝導率が大きいと、外表面から受ける熱が定着ローラ110内部へ吸収され易く、表面温度が上昇しにくくなる。すなわち、できるだけ低熱容量で熱伝導率が低く、断熱効果の高い材質の方が、定着ローラ110表面温度の立ち上がり時間を短縮できる。
上記シリコーンゴムを発泡した発泡ゴムの熱伝導率は0.11〜0.16W/m・Kであり、0.25〜0.29W/m・K程度のソリッドゴムよりも熱伝導率が低い。また、熱容量に関係する比重はソリッドゴムが約1.05〜1.30であるのに対して、発泡ゴムが約0.75〜0.85であり、低熱容量でもある。従って、この発泡ゴムは、上記定着ローラ110の表面温度の立ち上がり時間を短縮できる。さらに、弾性層116の上にそれよりも熱伝導率の高いゴム層を設ける構成においてもより熱効率がよい。そのため、本実施形態では熱伝導率の高いゴム層を設けた構成の定着ローラを用いた。
次に、弾性層116の上には、トナーの離型層として、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)からなる離型層118が形成されている。離型層118はチューブを被覆させたものでも表面を塗料でコートしたものであっても良いが、本実施形態では、耐久性の優れるチューブを使用した。離型層118の材質としては、PFAの他に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン樹脂(FEP)等のフッ素樹脂や、離型性の良いフッ素ゴムやシリコーンゴム等を用いても良い。
定着ローラ110の表面硬度は、低ければ軽圧でも接触加熱部N1の幅が得られるが、低すぎると定着性が劣化するため、本実施形態では、Asker−C硬度(4.9N荷重)で、40〜45°とした。定着ローラ110は、不図示の回転手段により、図中矢印R2方向に、表面移動速度60mm/secで回転するようになっている。この構成での加熱挟持N1の幅は2mmである。
加圧ローラ111は、定着ローラ110の熱を奪わないように、低熱容量で低熱伝導率のものが好ましく、本実施形態では、定着ローラ110と同様の構成のものを用いた。外径はφ20mmであり、φ12mmの鉄製の芯金121の外側に、厚さ4mmの発泡ゴム弾性層122が形成され、最表層にはPFAからなる離型層123が設けられている。加圧ローラ111は、不図示の加圧ローラ加圧バネによって軸受け125を介し、図中矢印A2方向に147Nの力で加圧され、幅7mmの定着挟持N2を形成し、定着ローラ110に従動回転(図中矢印R3)する。
(摺動層を備えた加熱部材)
加熱部材112は、熱源である加熱体113を備え、加熱部材112は加熱部材支持部材である加熱体ホルダー119に保持され、加熱部材112が定着ローラ110と接触する部分には、加熱体摺動層120を設けている構成となっている。加熱部材112は、不図示の加圧バネによって図中矢印A1方向に117.6 Nの力で加圧され、幅2mmの接触加熱部N1が形成されている。
加熱部材112は、熱源である加熱体113を備え、加熱部材112は加熱部材支持部材である加熱体ホルダー119に保持され、加熱部材112が定着ローラ110と接触する部分には、加熱体摺動層120を設けている構成となっている。加熱部材112は、不図示の加圧バネによって図中矢印A1方向に117.6 Nの力で加圧され、幅2mmの接触加熱部N1が形成されている。
加熱体113は、幅12mmで厚さ1mmのアルミナの基板表面に、Ag/Pd(銀パラジウム)の発熱体を基板中央部にスクリーン印刷により幅4mm、厚さ10μm塗工し、その上に加熱体摺動層としてガラスを50μmの厚さで覆ったものを用いた。この加熱体113の加熱体摺動層120を直接定着ローラ110表面に接触させ、定着ローラ110表面を加熱している。この加熱体摺動層120は、定着ローラ110の表面にオフセットしたトナーが加熱部材120へ付着するのを抑制すると共に、定着ローラ110との摺動による摩擦力を低減させる。
加熱体摺動層120のガラス材の上にさらにトナーとの離型性に優れたPFAや、摺動性に優れたPTFE等のフッ素樹脂を用いた摺動層(不図示)を設けるとなお良い。摺動層120は、厚すぎると加熱体113の熱が定着ローラ110に伝わりにくくなり定着性の妨げとなり、反対に薄すぎると摩擦により削られて耐久性が不足する。そのため、厚さは30〜100μm程度が好ましい。
また、摺動層120を直接定着ローラに接触させる替わりに、耐久性と表面性が良好なPFAやPTFEなどのフッ素樹脂がコートされたシート状部材を摺動層120と定着ローラ110との間に介在させても同様の効果が得られる。このシート状部材を用いた場合、加熱体113の上下流エッジ部を覆うように設置できるため、加熱体113のエッジから定着ローラ110を保護できる利点がある。本実施形態においては、摺動層120にはPFAなどのコーティングを用いず、ガラスを直接接触摺動させ、加熱体の発熱体からの熱エネルギーを効率よく伝達させる構成とした。
本実施形態では、加熱体113の加熱体摺動層120の表面領域に形成される所定の凹凸構造に特徴をもたせたものである。この特徴については改めて別途後述し、引き続き定着装置の説明を行なう。加熱体113の背面には発熱体の発熱に応じて昇温したセラミック基板の裏の温度を検知するための温度検知素子115が配置されている。この温度検知素子115の信号に応じて、
搬送方向に直交する長手方向の端部にある不図示の電極部から発熱部に流す電流を適切に制御することで、加熱体113の温度を調整している。そして、加熱体113の熱は、接触加熱狭持部N1を介して、定着ローラ110の表面を加熱する。
搬送方向に直交する長手方向の端部にある不図示の電極部から発熱部に流す電流を適切に制御することで、加熱体113の温度を調整している。そして、加熱体113の熱は、接触加熱狭持部N1を介して、定着ローラ110の表面を加熱する。
未定着トナー像Tが転写された記録材Pが、不図示の搬送手段により、定着挟持部N2に搬送されると、定着ローラ110の表面の熱は、未定着トナー像Tと記録材Pに移り、記録材P表面にトナー像Tが定着され、長期に渡って固着されるようになる。
次いで、図2に摺動層120の表面の形状の一例について説明を行なう。本実施形態の加熱体の加熱体摺動層120には、形状は半径r=200μmの球体を半分にした半球状のガラスの塊129をガラス表面に一様に配置しており、そのガラスの塊を加熱体の摺動層120に付着させて、剥がれない状態にしている。この半球状の分散状態は半球の中心と半球の中心との距離Lを400μm離して配置させている。この凹凸の表面部分は少なくとも定着ローラ110と加熱体113が摺動接触する領域に施している。
ガラスの塊129は、後述する本発明に特徴的な凹凸構造より大きな表面凹凸高さを備える第2の凹凸構造を形成することとなる。本発明に特徴的な凹凸構造は、後述するようにガラスの塊129の上にサンドブラスト処理等により形成される。
次に、図3乃至図5で摺動層120の表面形状として異なる形状を説明する。図3乃至図5に記載している加熱体は、それぞれ形状に応じてBn(Bumps−n種類目)、Sn (Slit−n種類目)、BLn(Blast−n種類目)と呼ぶ。図3(a)は、突起物であるバンプ形状の種類B1である。半球はr=100μmの球体を半分にカットしたもので、加熱体113の摺動層120の全領域に施している。半球と半球の間は300μm離れており、半球と半球の裾野の間隔は図のように200μm離れているようなバンプ形状をしている。
次に、図3(b)は、バンプ形状の種類B2で、半球はr=200μmの球体を半分にカットした状態のものを摺動層120の全領域に施している。半球と半球の間は300μm離れており、半球と半球の裾野の間隔は図のように100μm離れているようなバンプ形状をしている。次に、図3(c)は、バンプ形状の種類B3である。半球はr=300μmの球体を半分にカットした状態のものを摺動層120の全領域に施している。半球と半球の間は500μm離れており、半球と半球の裾野の間隔は図のように200μm離れているようなバンプ形状をしている。
次に、図3(d)は、バンプ形状の種類B4である。半球はr=300μmの球体を半分にカットした状態のものを摺動層120の全領域に施している。半球と半球の間は400μm離れており、半球と半球の裾野の間隔は図のように100μm離れているようなバンプ形状をしている。次に、図3(e)は、バンプ形状の種類B5である。半球はr=300μmの球体を半分にカットした状態のものを摺動層120の全領域に施している。半球と半球の間は500μm離れており、半球と半球の裾野の間隔は図のように200μm離れているようなバンプ形状をしている。
次に、図3(f)は、バンプ形状の種類B6である。半球はr=400μmの球体を半分にカットした状態のものを摺動層120の全領域に施している。半球と半球の間は500μm離れており、半球と半球の裾野の間隔は図のように100μm離れているようなバンプ形状をしている。
ここで、半球と半球の間は、定着部材の回転に伴って不要異物がすり抜けて吐き出されるように、逃げ道となっている。例えばスリット状の直線的な逃げ道や、後戻りすることなく搬送方向に順次進むような曲線形状の逃げ道が形成されている。
次に、図4(a)は、バンプ形状の替わりにスリット形状とした種類S1である。搬送方向に直交する方向の曲率半径はr=200μmの円柱を縦方向に半分にカットした半円柱形状のものを摺動層120の全領域に施している。円柱の中心と隣の円柱との間は300μm離れており、円柱と円柱との裾野の間隔は図のように100μm離れているような形状をしている。次に、図4(b)は、スリット形状の種類S2である。半球はr=300μmの円柱を縦方向に半分にカットした状態のものを加熱体全領域に施している。円柱の中心と隣の円柱との間は400μm離れており、円柱と円柱との裾野の間隔は図のように100μm離れているような形状をしている。
(摺動層の表面粗さ)
図5(a)(b)は、スリット形状の種類BL1、BL2の斜視図で、図4に示す略完成した加熱体の摺動層120がサンドブラスト(小粒径のアルミナなど硬い粉末を部材表面に吹き付けて表面を荒らす加工方法)を用いて表面が荒らされている。ここで、加熱体表面の粗し量をSzと定義している。このSzとは、二次元のRzを三次元に拡張したもので、最大のピーク(頂上)高さと最大のピット(窪底)深さの和で表される最大の表面凹凸高さを意味している。即ち、三次元表面粗さの最大の表面凹凸高さをSzとする。後述するが、本発明においてこのSzについては2〜85μmの範囲とすることを特徴とする。
図5(a)(b)は、スリット形状の種類BL1、BL2の斜視図で、図4に示す略完成した加熱体の摺動層120がサンドブラスト(小粒径のアルミナなど硬い粉末を部材表面に吹き付けて表面を荒らす加工方法)を用いて表面が荒らされている。ここで、加熱体表面の粗し量をSzと定義している。このSzとは、二次元のRzを三次元に拡張したもので、最大のピーク(頂上)高さと最大のピット(窪底)深さの和で表される最大の表面凹凸高さを意味している。即ち、三次元表面粗さの最大の表面凹凸高さをSzとする。後述するが、本発明においてこのSzについては2〜85μmの範囲とすることを特徴とする。
このSzを測定する測定器としては、レーザーテック社の型番S130を用いて測定を行った。測定したエリアは1.4mm×1.0mmの領域である。その結果、図4、図5に示したスリット形状の種類BL1、BL2の加熱体の表面粗さSzは、BL1が3.8μm、BL2が89μmであった。後述するように、BL1は好ましい形態となる一方、BL2は好ましくない形態となる。
なお、本実施形態では荒らした領域を摺動層側の全領域に行なったが、本発明の目的を達成する為には、図6のように少なくとも加熱体と定着ローラとの摺動接触する領域Rのみに荒らし形状を施すことで同様の効果を生ずる。
(摺動層の表面粗さと定着特性)
上記説明した表面状態の指標であるSzの異なる複数種の加熱体を用い,定着性、定着ユニットトルク、定着ローラ傷、定着ローラ表層磨耗、ヒータ汚れに関してそれぞれ比較評価を行った。以下に比較方法と結果を記載する。
上記説明した表面状態の指標であるSzの異なる複数種の加熱体を用い,定着性、定着ユニットトルク、定着ローラ傷、定着ローラ表層磨耗、ヒータ汚れに関してそれぞれ比較評価を行った。以下に比較方法と結果を記載する。
まず定着性の測定条件として、本実施形態の画像形成装置を用い、雰囲気温度15℃、湿度10%とした。そして、記録材としては、トナーが記録材へ固着する様態を評価しやすい、表面性が良くなく定着のしにくいFoxRiverPaper社のFoxRiverBond75g/m2を用い、サイズはLTRを用いた。この条件で、さらに定着装置が測定室温に冷え切っている状態で電圧120V/50Hzを入力し、加熱体の抵抗値を25Ω、つまり576Wを加熱体に入力して熱エネルギーを発生させる。
その後、加熱体裏面に配置した温度検知素子であるサーミスタで加熱体の温度を190℃に温調しながら連続プリントし、そのうち初期1枚目から5枚目の定着性を測定する。測定方法は、定着性評価前の濃度を測定し、測定画像を規定の回数摺擦し、摺擦し終わった時の濃度の低下率で定着性の評価を行なう。濃度測定は、マクベス社のMacbeth濃度計を用い、測定画像パターンは600dpiの画像において、3dot四方をトナーで埋めた画像を千鳥状に配置したものを用いる。
摺擦方法は、Nikon社製のシルボン紙に200gfの加重をかけながら印字した千鳥格子画像を10往復摺擦させる方法である。定着性の規格として、今回は15%以内をOKとし、それより大きいものをNGとする。次に、定着ユニットトルクの測定方法は、定着ローラを印字の際の回転速度で回転駆動させ、そのときのトルク値を計測する。トルクの規格として、今回は1.5kgf・cm以下をOKとし、それより大きいものをNGとする。
次に、定着ローラ傷は、同上の環境下において、記録材として表面性が粗く充填剤が複数種類入っているFoxRiverPaper社のFoxRiverBond75g/m2でサイズがLTRを連続でプリントする。そして、200枚毎に記録材一面にトナーを載せた画像を印刷して、トナー画像に発生する画像不良、この場合、定着ローラ表面が異物などで発生した傷がトナー画像に転写される状態を確認する。プリント枚数は合計300000枚印字する。連続プリントを行なう際の画像は1dot200spaceの横線画像を印字する。傷の規格として、傷の無いものをOKとし、傷のあるものをNGとする。
次に表層磨耗は、上記定着ローラ傷の200枚毎の定期サンプルの際に定着ローラ表層の膜厚を測定し、その膜厚変化状況をモニターする。磨耗の規格として、5μm以内をOKとし、それより多いものをNGとする。最後にヒータ汚れに関しても同様に200枚毎の定期サンプルの際に加熱体表層の汚れ状態を確認して行なう。汚れの規格として、今回は汚れの滞留なしをOKとし、汚れがあった場合をNGとする。以上の条件のもとで比較した結果を下の表1に記載する。
以上のように本実施形態では表面粗さSzがBシリーズのものにおいては2〜85μm、Sシリーズでは67μm、BLシリーズでは3.8μmと2〜85μmの表面粗さの加熱体において結果が「Good」つまり、問題の発生が無いという状態となった。
次に、Sシリーズのスリット形状のものに関しては、記録材の搬送方向との関係が諸性能に影響するため、図7(a)〜(f)のようにスリット長手方向と搬送方向との角度を変えて同様の比較を行なった。角度は以下の表2のように角度をつけたものをそれぞれSθ1〜Sθ6とし、それぞれを0〜50°の範囲で角度をつけたものである。ここでのSθ1〜Sθ6は表1と同様に形状を変えることで表面粗さを変化させるようにして評価を行った。
上記表2は、各性能評価を表1のときと同じように実施した結果である。表2のようにスリット角度が0〜45°の範囲で、且つ粗さが2〜28μmの範囲において結果がGoodな状態にあることがわかる。Sθ6では、表面粗さが2μmであるが、角度が大きすぎると良くない結果が出ているため、角度も大きいパラメータの一つであることが判る。
以上の様に、加熱体の摺動層120の表面粗さおよびスリットの角度のある範囲において良好な結果が得られるメカニズムに関して以下に説明を行なう。Sシリーズに関しては、角度は0〜45°、表面粗さは前述した表1を含めて「2〜85μm」の表面粗さが良いという、バンプ形状の場合と同じ結果になった。なお、BLシリーズについては、表面粗さを表1以外の値に変えて確認を行ったが、Bnシリーズと同様のSzの表面粗さの範囲が良いという結果が得られた。
定着性に関しては、表面性の良い、つまり表面粗さの小さい方が良好な結果となっているが、定着性は加熱体からの熱エネルギーをいかに定着ローラに伝達させるかで良否が決まっている。即ち、図8(a)のように加熱体摺動層の粗さが小さい場合には加熱体と定着ローラは密着するため、熱伝達が良くなる。一方、図8(b)のように粗さが大きい場合は加熱体と定着ローラとの間に隙間が発生し、熱伝達を阻害する方向になる。
以上のことより、より多くの形状では図示しないが、表面粗さと形状を変えて評価を行っても、バンプ、スリット、及びブラストのいずれの場合においても「2〜85μm」の表面粗さが良いという結果になった。
(各定着特性が現れたメカニズム)
以下に、これらの形状によって各定着性能が現れたメカニズムを説明する。まず、トルクが変動するメカニズムに関して説明を行なう。先の定着性でも述べたが、トルク値が大きくなる要因としては、加熱体113と定着ローラ110との摩擦抵抗が影響しており、この摩擦抵抗が大きくなるとトルク値は上昇する。本実施形態では、加熱体の表面粗さの大小によってトルク値に影響が現れることがわかる。加熱体摺動層120の表面粗さSzが小さい場合には、定着ローラ110との密着性が高くなり、その分摩擦抵抗が大きくなり、トルクも上昇するという現象が発生する。
以下に、これらの形状によって各定着性能が現れたメカニズムを説明する。まず、トルクが変動するメカニズムに関して説明を行なう。先の定着性でも述べたが、トルク値が大きくなる要因としては、加熱体113と定着ローラ110との摩擦抵抗が影響しており、この摩擦抵抗が大きくなるとトルク値は上昇する。本実施形態では、加熱体の表面粗さの大小によってトルク値に影響が現れることがわかる。加熱体摺動層120の表面粗さSzが小さい場合には、定着ローラ110との密着性が高くなり、その分摩擦抵抗が大きくなり、トルクも上昇するという現象が発生する。
一方、加熱体摺動層120の表面粗さSzが大きい場合は、摩擦抵抗が少なくなり、トルクが低くなる。本実施形態では、表面粗さSzが2μm以上であれば先に述べたトルクの規格値よりも小さい値にすることが可能となり、反対にそれ以下になると摩擦抵抗が大きくなりトルクが上昇する。
次に、定着ローラ110の磨耗や定着ローラ110の表層の削れ量に関して説明する。削れ量は、上記のトルクの変動と密接な関係があり、トルクが高い場合は、それだけ加熱体113の表面と定着ローラ110が密着していることを示しているため、定着ローラの表層磨耗が多い、つまり、つまり削れ量が多い傾向になる。反対にトルクが低い場合は定着ローラの表層磨耗が少ない、つまり削れ量が少ない傾向になる。
次に、定着ローラ110の傷の発生メカニズムを説明する。不要異物である紙紛やトナー固着による汚れが図9(a)のように摺動層120に付着すると、摺動層120と摺擦している定着ローラ110の表層に汚れYによって引っかき傷Kが発生して、定着ローラ110の表層が傷つけられる。この現象は、表面粗さSzが小さい場合には不要異物のすり抜けが発生しないため、摺動層120に付着したままになるために発生する。一方、図9(b)のような適度な粗さを摺動層120の表面にもたせた場合は、不要異物は摺動層120の凹部である定着ローラとの隙間を通過し、搬送し、吐き出されてしまう。これにより、摺動層120の表面には付着しないため、定着ローラ表層への引っかきが発生しない。
但し、表面粗さがあまりにも大きい場合は、図9(b)のように摺動層120の凹凸構造の粗さの隙間から異物Yがすり抜けることで摺動層120への不要異物の引っかかりはなく、定着ローラ傷は防止できる。しかし、摺動層120の凸部である大きい粗さA部分が自ら定着ローラ表層にひっかき傷Kをつけてしまうことがある。よって、摺動層120の凹凸構造として表面粗さを大きくしすぎるのもよくない。
(スリットの角度)
次にスリットの角度について説明を行なう。図10(a)のようにスリットの角度が0°の場合は加熱体表層に付着した紙紛やトナーなどの不要異物Yは定着ローラの回転に伴ってスムーズに運び出されて掻きだされる為、不要異物Yは加熱体表面には一切存在しない状態となる。しかし、その角度θを徐々に大きくしていくと図10(b)のように不要異物Yを塞き止める側の力が大きくなり加熱体表面へ不要異物の付着がおきやすくなる。つまり、傷に関しては、上記検討結果から角度θが0°〜45°の範囲においては、不要異物の吐き出しが行なわれて、何の不都合は発生していないことがわかる。
次にスリットの角度について説明を行なう。図10(a)のようにスリットの角度が0°の場合は加熱体表層に付着した紙紛やトナーなどの不要異物Yは定着ローラの回転に伴ってスムーズに運び出されて掻きだされる為、不要異物Yは加熱体表面には一切存在しない状態となる。しかし、その角度θを徐々に大きくしていくと図10(b)のように不要異物Yを塞き止める側の力が大きくなり加熱体表面へ不要異物の付着がおきやすくなる。つまり、傷に関しては、上記検討結果から角度θが0°〜45°の範囲においては、不要異物の吐き出しが行なわれて、何の不都合は発生していないことがわかる。
即ち、角度θが45°の場合は、スリット壁面に入射する不要異物Yがスリット壁面で反射して搬送方向と直交する側方向へ変位されて吐き出しが困難になると考えられる。また角度θが45°を超えるとスリット壁面に入射する不要異物Yがスリット壁面で反射して搬送方向とは逆方向に戻されて吐き出しが困難になると考えられる。このため、角度θは45°を超えないように設計されている。角度θが45°を超えた領域では、不要異物Yのすりぬけが阻害されて、摺動層120の表面へ不要異物が付着してしまい、最終的に定着ローラ110の表層に傷が発生してしまう結果となる。
なお、本実施形態の構成は図1のような定着装置に限られない。例えば、加圧ローラ111の替わりに、図11に示すような、ローラ部を固定する形式のパッド部材150を用い、パッド部材と定着ローラでニップ部を形成し、ニップ部に未定着トナー像を載せた記録材を搬送するような外部加熱定着装置でも同様の効果がある。さらにこの構成であれば、装置の肥大化を防止できたり、定着ユニットや装置全体のコストを低く抑えたりすることができる。
《第2の実施形態》
本実施形態は、図12(a)のように外部加熱定着装置として摺動層120を備えた加熱部材112と定着ローラ110の間に回転するエンドレスの定着フィルムFを介在させたことを特徴とする。即ち、加熱部材112と定着ローラ110の間に回転可能な定着フィルムFを有し、加熱部材112は定着フィルムFの内表面に当接すると共に回転部材である定着ローラ110の表面に定着フィルムFを介して当接する。これにより、従来のフィルム系の定着ユニットよりも定着ユニットのトルク軽減や定着フィルムの傷を防止することができる。
本実施形態は、図12(a)のように外部加熱定着装置として摺動層120を備えた加熱部材112と定着ローラ110の間に回転するエンドレスの定着フィルムFを介在させたことを特徴とする。即ち、加熱部材112と定着ローラ110の間に回転可能な定着フィルムFを有し、加熱部材112は定着フィルムFの内表面に当接すると共に回転部材である定着ローラ110の表面に定着フィルムFを介して当接する。これにより、従来のフィルム系の定着ユニットよりも定着ユニットのトルク軽減や定着フィルムの傷を防止することができる。
ここで、回転可能なエンドレスフィルム(定着フィルム)Fの説明を図12(b)を用いて行なう。エンドレスフィルム(定着フィルム)Fの外径はφ18で基層、中間層、表層と三層構造をしている。基層はポリイミドやポリアミドイミドなどの耐熱性があり、柔軟性を持つ樹脂を用いている。基層の厚みは60μmであり、回転に伴うストレスに耐え、定着フィルム破れなどの発生を防止できる厚みとしている。その基層の外側にカーボンを分散させ抵抗を低く抑え、定着フィルムの電位を調整している接着層を形成している。中間層の厚みは5μmであり、抵抗調整と表層との接着性を向上させる目的で配置している。
最後に表層であるが、表層はPFAやPTFEなどの離型性の良い樹脂を10μm配置させている。表層は離型成の確保を目的としている。次に、定着フィルムFと加熱部材112との間には摺動性を確保するためにフッ素グリースやシリコーングリースGを塗布している。グリースの塗布領域は図13のように加熱部材112と定着フィルムFが接触する内面全域Zであり、塗布量は400mgで装置の寿命内で定着フィルムFと加熱部材112との摺動性を確保する量を塗布している。
本実施形態では、加熱部材112が定着ローラ110と直接に摺動接触していないため、加熱領域での異物の停滞がなくなり、第1の実施形態に比べてより画像上に傷が発生しなくなる構成となる。また、第1の実施形態と比較して、定着ローラ110との接触摺擦部が無くなることで定着ローラ110を回転させるためのトルクや定着ローラ110の表層の傷の発生を少なくすることができる。しかしながら、画像形成装置の室内の状態が良くなく、異物やゴミ・ケバなどの浮遊部が舞っていたり、記録材表面上に不要異物が付着していたりする環境下においては、装置内に不要異物である浮遊物が舞い込むことがある。
さらには定着フィルムFの内部に不要異物が進入してしまう場合がある。このような状況では、図14のように前述した摺動グリースGに不要異物Yが混在してしまうことが発生する。すると、定着フィルムFの内部では、グリースGは循環されるものの、不要異物は加熱体摺動層120と定着フィルムFとの間に挟まってしまい、その位置で停滞してしまう状態になることがある。
この時、この不要異物Yによって、定着フィルムFの内面を引っかくことがあり、定着フィルムFの内面に傷がつき、定着フィルム強度が落ちて定着フィルムが破れるという不都合が発生してしまう場合がある。そして、傷が広範囲にわたった状態になると傷ついた部分と傷のつかなかった部分が長手方向に発生し、定着フィルムの膜厚ムラが発生し、定着ローラへ伝達する熱にムラが生じてしまい定着後の画像にスジ状の不良画像が発生してしまうことがある。
しかしながら、本実施形態では、第1の実施形態で述べた形状の加熱体摺動層120の凹凸構造を備えた加熱体を用いることで、定着フィルムFの内表面に残留する不要異物による定着フィルムFの内表面の傷を防止することができる。また、定着フィルムの強度ダウンを防止したり、さらには熱ムラを防止したりすることが可能となる。これについては、第1の実施形態について述べたメカニズムと同様である。
《第3の実施形態》
本実施形態は、図12(c)に示すようにエンドレスの定着フィルムFの内表面に加熱部材112が当接し、加熱体からの熱エネルギーを定着フィルムFを介して画像を担持した記録材Pに付与する内部加熱定着方式の定着装置である。ここで、第2の実施形態で述べたように、定着フィルムFの内部に不要異物が進入してしまう場合がある。このような状況では、図14のように前述した摺動グリースGに不要異物Yが混在してしまうことが発生する。すると、定着フィルムFの内部では、グリースGは循環されるものの、不要異物は加熱体摺動層120と定着フィルムFとの間に挟まってしまい、その位置で停滞してしまう状態になることがある。
本実施形態は、図12(c)に示すようにエンドレスの定着フィルムFの内表面に加熱部材112が当接し、加熱体からの熱エネルギーを定着フィルムFを介して画像を担持した記録材Pに付与する内部加熱定着方式の定着装置である。ここで、第2の実施形態で述べたように、定着フィルムFの内部に不要異物が進入してしまう場合がある。このような状況では、図14のように前述した摺動グリースGに不要異物Yが混在してしまうことが発生する。すると、定着フィルムFの内部では、グリースGは循環されるものの、不要異物は加熱体摺動層120と定着フィルムFとの間に挟まってしまい、その位置で停滞してしまう状態になることがある。
この時、この不要異物Yによって、定着フィルムFの内面を引っかくことがあり、定着フィルムFの内面に傷がつき、定着フィルム強度が落ちて定着フィルムが破れるという不都合が発生してしまう場合がある。そして、傷が広範囲にわたった状態になると傷ついた部分と傷のつかなかった部分が長手方向に発生し、定着フィルムの膜厚ムラが発生し、定着ローラへ伝達する熱にムラが生じてしまい定着後の画像にスジ状の不良画像が発生してしまうことがある。
しかしながら、本実施形態では、第1の実施形態で述べた形状の加熱体摺動層120の凹凸構造を備えた加熱体を用いることで、定着フィルムFの内表面に残留する不要異物による定着フィルムFの内表面の傷を防止することができる。また、定着フィルムFの強度ダウンを防止したり、さらには熱ムラを防止したりすることが可能となる。これについては、第1の実施形態について述べたメカニズムと同様である。
(変形例)
上述した実施形態では、本発明に係る凹凸構造は、より大きな表面凹凸高さを備えるガラスからなる第2の凹凸構造の上にサンドブラスト処理により付与したが、本発明はこれに限らない。サンドブラスト処理以外の表面処理を用いても良く、第2の凹凸構造をガラス以外の材質で形成しても良い。またガラス等からなる第2の凹凸構造を無くし、サンドブラスト処理により本発明に係る凹凸構造を第2の凹凸構造を介さずに直接付与しても良い。
上述した実施形態では、本発明に係る凹凸構造は、より大きな表面凹凸高さを備えるガラスからなる第2の凹凸構造の上にサンドブラスト処理により付与したが、本発明はこれに限らない。サンドブラスト処理以外の表面処理を用いても良く、第2の凹凸構造をガラス以外の材質で形成しても良い。またガラス等からなる第2の凹凸構造を無くし、サンドブラスト処理により本発明に係る凹凸構造を第2の凹凸構造を介さずに直接付与しても良い。
119・・加熱体支持部材(フィルムガイド)、F・・定着フィルム、110・・定着ローラ、112・・加熱体、111・・加圧部材、120・・加熱体摺動層、115・・加熱体温度検知素子(サーミスター)、P・・記録材、B1〜B6・加熱体表層の模式図、S1〜S2・・加熱体表層の模式図、BL1〜BL2・・加熱体表層の模式図、r・・半径、Y・・トナーや紙紛などの異物、K・・定着ローラ上の傷
Claims (12)
- 回転部材と、
前記回転部材の表面に当接し前記回転部材を加熱する加熱体と、
を有し、前記加熱体からの熱エネルギーを前記回転部材に接触する記録材であって画像を担持した記録材に前記回転部材を介して付与する画像加熱装置において、
前記加熱体の前記表面に接する摺動層の表面領域に前記回転部材の回転に伴って不要異物がすり抜ける凹部を備えた凹凸構造を有し、
前記凹凸構造の凸部による前記回転部材の表層への引っかき傷を抑制するように、前記凹凸構造における三次元表面粗さの最大の表面凹凸高さSzを、
2μm≦ Sz ≦85μm の範囲としたことを特徴とする画像加熱装置。 - 前記回転部材が定着ローラであり、前記加熱体が前記定着ローラの外表面に当接することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
- 前記回転部材が定着フィルムであり、前記加熱体が前記定着フィルムの内表面に当接することを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
- 回転可能なエンドレスのフィルムと、
前記エンドレスのフィルムの内表面に当接し前記エンドレスのフィルムを加熱する加熱体と、
前記エンドレスのフィルムと当接する回転部材と、
を有し、前記加熱体からの熱エネルギーを前記回転部材に接触する記録材であって画像を担持した記録材に前記エンドレスのフィルムおよび前記回転部材を介して付与する画像加熱装置において、
前記加熱体の前記エンドレスのフィルムの内表面に接する摺動層の表面領域に前記エンドレスのフィルムの回転に伴って不要異物がすり抜ける凹部を備えた凹凸構造を有し、
前記凹凸構造の凸部による前記エンドレスのフィルムの表層への引っかき傷を抑制するように、前記凹凸構造における三次元表面粗さの最大の表面凹凸高さSzを、
2μm≦ Sz ≦85μm の範囲としたことを特徴とする画像加熱装置。 - 前記凹凸構造は、より大きな表面凹凸高さを備える第2の凹凸構造の上に付与されたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
- 前記第2の凹凸構造は凸部がガラスで形成され、その上に付与される前記凹凸構造はサンドブラスト処理がなされていることを特徴とする請求項5に記載の画像加熱装置。
- 前記第2の凹凸構造は凸部が半球状からなるバンプ形状をしていることを特徴とする請求項5に記載の画像加熱装置。
- 前記第2の凹凸構造は凸部が円柱を半分にした半円柱形状からなるスリット形状をしていることを特徴とする請求項5に記載の画像加熱装置。
- 前記スリット形状の長手方向と前記記録材の搬送方向とのなす角度θは、
0≦θ≦45°であることを特徴とする請求項8に記載の画像加熱装置。 - 前記回転部材と接触してニップ部を形成するバックアップ部材を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
- 前記バックアップ部材が回転可能な加圧ローラであることを特徴とする請求項10に記載の画像加熱装置。
- 前記バックアップ部材が回転しないパッド部材であることを特徴とする請求項10に記載の画像加熱装置。
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JP2011024902A JP2012163811A (ja) | 2011-02-08 | 2011-02-08 | 画像加熱装置 |
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JP2018016861A (ja) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | Jfeスチール株式会社 | リン酸亜鉛処理亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 |
-
2011
- 2011-02-08 JP JP2011024902A patent/JP2012163811A/ja not_active Withdrawn
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WO2018021007A1 (ja) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | Jfeスチール株式会社 | リン酸亜鉛処理亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 |
CN109477222A (zh) * | 2016-07-29 | 2019-03-15 | 杰富意钢铁株式会社 | 磷酸锌处理镀锌钢板及其制造方法 |
CN109477222B (zh) * | 2016-07-29 | 2020-11-10 | 杰富意钢铁株式会社 | 磷酸锌处理镀锌钢板及其制造方法 |
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