JP2012163747A - 反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い視野領域にわたり、高い光学性能を有し、しかも環境変化があっても高い光学性能を維持することができる反射屈折光学系を得る。
【解決手段】物体103の中間像IMを形成する第1結像光学系G1と、中間像を像面105に結像させる第2結像光学系G2を有し、第1結像光学系は光透過部M1Tと裏面反射部とした第1の光学素子M1と、光透過部M2Tと裏面反射部とした第2の光学素子M2を有し、第1の光学素子と第2の光学素子は互いに裏面反射部M1a、M2bが対向するように配置されており、物体からの光束は、順に第1の光学素子の光透過部、第2の光学素子の裏面反射部、第1の光学素子の裏面反射部、第2の光学素子の光透過部を介した後に第2結像光学系に出射しており、第2結像光学系を構成する少なくとも3つのレンズ成分L1,L9,L10は環境変化によって生ずる収差変動を補正するために光軸方向に移動可能である。
【選択図】図2
【解決手段】物体103の中間像IMを形成する第1結像光学系G1と、中間像を像面105に結像させる第2結像光学系G2を有し、第1結像光学系は光透過部M1Tと裏面反射部とした第1の光学素子M1と、光透過部M2Tと裏面反射部とした第2の光学素子M2を有し、第1の光学素子と第2の光学素子は互いに裏面反射部M1a、M2bが対向するように配置されており、物体からの光束は、順に第1の光学素子の光透過部、第2の光学素子の裏面反射部、第1の光学素子の裏面反射部、第2の光学素子の光透過部を介した後に第2結像光学系に出射しており、第2結像光学系を構成する少なくとも3つのレンズ成分L1,L9,L10は環境変化によって生ずる収差変動を補正するために光軸方向に移動可能である。
【選択図】図2
Description
本発明は試料(物体)を拡大し、観察する際に好適な反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置に関するものである。
現在の病理検査では、光学顕微鏡を用いて病理標本(試料)を直接、人の目で観察している。近年、病理標本を画像データとして取り込み、ディスプレイ上で観察するバーチャル顕微鏡と呼ばれるものが利用されている。バーチャル顕微鏡では病理標本の画像データをディスプレイ上で観察できるため、複数人で同時に観察することができる。またこのバーチャル顕微鏡を用いると画像データを遠方の病理医と共有して診断を仰ぐこともできるなど多くの利点がある。しかし、この方法は病理標本を撮像して画像データとして取り込むためには時間がかかるという問題があった。
時間がかかる原因の1つとして、大きな撮像範囲の病理標本を顕微鏡の狭い撮像領域を用いて画像データとして取り込まねばならないことが挙げられる。顕微鏡の撮像領域が狭い場合、複数回撮像して、もしくはスキャンしながら撮像してそれらを繋げることで一枚の画像とする必要がある。従来より撮像回数を少なくして画像データを取り込む時間を短縮するために、広い撮像領域を持った光学系(撮像光学系)が求められている。
この他、病理標本を観察する上で、広い撮像領域が求められていると同時に可視領域(広い波長域)での高い解像力を持った光学系が要望されている。通常、顕微鏡は種々な環境下で用いられる。一般に環境変化があると顕微鏡で用いられている撮像光学系は、収差変動が生じ光学性能が変化してくる。
とくに高い解像力を持ち、かつ、広い撮像領域を持った撮像光学系は、使用環境の温度が少しでも変化するとコマ収差や非点収差等の諸収差が発生し画質が低下してくる。このため従来より環境が変化したときに生ずる光学性能の低下を軽減する補正手段を設けた撮像光学系が種々と提案されている。例えば試料の温度変化や、試料内部の観察位置に応じて、変動する撮像光学系の球面収差を補正レンズを光軸方向に移動させて軽減するようにした顕微鏡装置が知られている(特許文献1)。
また、顕微鏡の使用者が、試料の温度や、試料内部の観察位置などのパラメータを入力し、そのパラメータに基づいて収差補正用レンズを移動させて撮像光学系の収差の変動を低減するようにした顕微鏡制御装置が知られている(特許文献2)。また、周囲の温度の変化に伴って撮像光学系自体の温度が変化したことにより発生するフォーカス位置ずれをオートフォーカス機構により補正するようにした顕微鏡システムが知られている(特許文献3)。
特許文献1に開示されている顕微鏡装置は、試料の温度や、試料内部の観察位置等に応じて、撮像光学系と結像部との間に配置した補正レンズを光軸に沿って移動させることで球面収差を低減している。しかしながら、コマ収差や非点収差を補正することができず、広い視野領域を持つ対物レンズにおいて視野領域全域で良好な画質を得るには必ずしも十分ではない。
また、特許文献2に開示されている顕微鏡制御装置は、顕微鏡の使用者が、試料の温度や、試料内部の観察位置などパラメータを入力し、そのパラメータに応じて撮像光学系に装備された収差補正用レンズを移動し、収差を低減している。しかしながら、撮像光学系自体の温度変化による収差変動を補正することができず、広い使用温度範囲で良好な画質を得るには必ずしも十分ではない。
また、特許文献3に開示されている顕微鏡システムは、撮像光学系自体の温度変化によるフォーカス位置のずれをオートフォーカス機構により補正している。しかしながら、撮像光学系の収差変化を補正することができず、広い使用温度範囲で良好な画質を得るには必ずしも十分ではない。一般に、バーチャル顕微鏡用の撮像光学系では、広い視野領域にわたり高い光学性能を有し、また環境変化があったときに生ずる球面収差、コマ収差、非点収差等の変動を効率的に補正することができる機構を有していることが重要である。
本発明は、広い視野領域にわたり、高い光学性能を有し、しかも環境変化があっても高い光学性能を維持することができる反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
本発明の反射屈折光学系は、物体からの光束を集光して前記物体の中間像を形成する反射屈折部を含む第1結像光学系と、前記中間像を像面に結像させる屈折部を含む第2結像光学系を有する反射屈折光学系であって、前記第1結像光学系は、光軸周辺が光透過部、周辺部のうち物体側の面に反射膜を施し、裏面反射部とした第1の光学素子と、光軸周辺が光透過部、周辺部のうち像側の面に反射膜を施し、裏面反射部とした第2の光学素子を有し、前記第1の光学素子と前記第2の光学素子は互いに裏面反射部が対向するように配置されており、前記物体からの光束は、順に前記第1の光学素子の光透過部、前記第2の光学素子の裏面反射部、前記第1の光学素子の裏面反射部、前記第2の光学素子の光透過部を介した後に前記第2結像光学系に出射しており、前記第2結像光学系は複数のレンズ成分を有し、前記第2結像光学系を構成する少なくとも3つのレンズ成分は環境変化によって生ずる収差変動を補正するために光軸方向に移動可能であることを特徴としている。
本発明によれば、広い視野領域にわたり、高い光学性能を有し、しかも環境変化があっても高い光学性能を維持することができる反射屈折光学系が得られる。
本発明の撮像装置1000は、光源手段101と、光源手段101からの光束で物体103を照明する照明光学系102と、物体103を結像する反射屈折光学系104を有している。更に反射屈折光学系104によって結像された物体像を光電変換する撮像素子105と、撮像素子105からのデータより画像情報を生成する画像処理系106と画像処理系106で生成した画像データを表示する表示手段107とを有する。
また少なくとも3つのレンズの移動量と収差変動に関するデータを予め記憶する記憶手段110と、反射屈折光学系が置かれている環境の温度を測定する温度測定手段108を有する。更に、温度測定手段108で得られた温度情報と記憶手段110に記憶されているデータより、少なくとも3つのレンズ成分の環境変化によって生ずる収差変動を補正するための移動量を算出する算出手段109を有する。更に算出手段109で算出された移動量を用いて少なくとも3つのレンズ成分を移動可能とする駆動手段111を有する。
また本発明の反射屈折光学系104は、物体からの光束を集光して物体の中間像IMを形成する反射屈折部を含む第1結像光学系G1と、中間像IMを像面に結像させる屈折部を含む第2結像光学系G2を有する。そして第1結像光学系G1は、光軸周辺が光透過部、周辺部のうち物体側の面に反射膜を施し、裏面反射部とした第1の光学素子M1と、光軸周辺が光透過部、周辺部のうち像側の面に反射膜を施し、裏面反射部とした第2の光学素子M2とを有する。
本発明の反射屈折光学系104は直径3mm以上の視野領域を撮像する。図1は本発明の撮像装置の要部概略図である。図2は本発明の反射屈折光学系の実施例1の要部概略図である。図3は本発明の反射屈折光学系の実施例1の収差図である。本実施例の反射屈折光学系は、例えば反射屈折型顕微鏡対物レンズとして好適なものである。図4は本発明の実施例の波面収差RMS値を示した図である。図5は本発明の実施例の収差補正レンズで温度変化があったときの収差を補正する収差補正フローを示すフローチャートである。
以下、図1を参照して、本発明の反射屈折光学系104を有する撮像装置1000の構成について説明する。撮像装置1000は、光源手段101からの光を照明光学系102によって集光して試料としての物体103を均一に照明する。このとき使用する光は可視光(例えば、波長400nm〜波長700nm)が用いられる。結像光学系は物体103の像を撮像素子105上に結像する反射部と反射部を有する反射屈折光学系104より成っている。
撮像素子105で取得したデータ(画像情報)は、画像処理系106によって画像データを生成し、生成した画像データを表示手段107などに表示する。この他、記憶手段110に記憶している。画像処理系106では反射屈折光学系104で補正しきれなかった収差を補正したり、または、撮像位置の異なった画像データを繋げて一枚の画像データに合成したりするなど用途に応じた処理が行われる。
反射屈折光学系104内に配置された収差補正用のレンズ成分112、113、114は、各々を光軸に沿って移動させる駆動系(駆動手段)111を備えた保持機構(不図示)によって保持されている。レンズ成分は単一レンズ又は複数のレンズより成っている。使用環境の温度の変化などにより反射光学系104の温度が変化した場合、温度変化による収差変化は光軸を中心とした回転対称である。このため、レンズ成分112〜114を光軸に沿って移動することで補正している。
ここで、その温度に応じて少なくとも3つのレンズ成分を光軸に沿って移動させることにより、球面収差、コマ収差、非点収差などの諸収差の変動を低減している。これにより広い視野領域全域に渡って良好な画質を得ている。また、反射屈折光学系104の収差が良好に低減されることで、画像処理系106における収差補正の処理が不要になるなど、画像処理の計算負荷を低減している。
図2は図1の本発明に係る反射屈折光学系104の要部断面図である。図2において、104Aは反射屈折光学系、103は試料としての物体面である。105は撮像素子であり、像面に配置されている。ASは開口絞り、IMは中間像である。AXは反射屈折光学系104Aの光軸である。反射屈折光学系104Aは物体103からの光束を集光し、所定面に中間像IMを形成する反射面を含む第1結像光学系G1を有する。そして中間像IMを撮像素子105に結像する屈折面と開口絞りASと遮光部SHを含む第2結像光学系G2を有する。
第1結像光学系G1は、物体側から順に第1の光学素子(マンジャンミラー)M1、第2の光学素子(マンジャンミラー)M2、及び、レンズ群(フィールドレンズ)G11を有している。第2結像光学系G2は、物体側から順にレンズ群G21、開口絞りAS、レンズ群G22〜レンズG25を有している。ここで開口絞りASを第1結像光学系G1側に設けても良い。レンズ群G21は前群、レンズ群G22〜レンズG25は後群を構成している。図2は、物体面103から像面105に至る軸外光束が模式的に示されている。第1結像光学系G1の第1の光学素子M1は、物体103側の面が凸形状で、光軸周辺が正の屈折力の光透過部M1T、周辺部のうち物体側の面M1aに反射膜を施し、裏面反射部としている。
第2の光学素子M2は物体側に凹面を向けたメニスカス形状で、光軸周辺が負の屈折力の光透過部M2T、周辺部のうち像側の面M2bに反射膜を施し、裏面反射部としている。レンズ群G11は正の屈折力を有する。第1の光学素子M1と第2の光学素子M2は互いに裏面反射部M1a、M2bが対向するように配置されている。第2の結像光学系G2は物体103からの光束のうち光軸近傍の光束を遮光し、撮像素子105に入射するのを防止する遮光板SHが開口絞りAS又はその近傍に配置されている。
図2に示す反射屈折光学系104では、照明光学系102からの光束で照明され、物体103から出射した光束は第1の光学素子M1の中央透過部M1Tを通過する。その後、第2の光学素子M2の屈折面M2aに入射し、その後裏面反射部M2bで反射し、屈折面M2aを通過して第1の光学素子M1の屈折面M1bに入射する。その後、第1の光学素子M1の裏面反射部M1aで反射する。そして屈折面M1bを通過し、第2の光学素子M2の中央透過部M2Tを通過し、第2結像光学系G2側へ出射してレンズ群G11の内部に試料103の中間像IMを形成する。レンズG11はフィールドレンズの作用をしている。
本実施例において、第1結像光学系G1の構成はこれに限定されるものではない。例えば、マンジャンミラーより成る第1、第2の光学素子M1、M2の替わりに、中心部に透過部を有する表面反射ミラーとレンズとの組み合わせで構成しても構わないし、また、レンズ群G11を配置せずに中間像IMを形成する構成としても構わない。
ここで、第1結像光学系G1に含まれる第1の光学素子M1の裏面反射部M1aと第2の光学素子M2の裏面反射部M2bはいずれも非球面形状より成っている。これにより、色収差の発生を抑えつつ、球面収差を良好に補正している。また高NA(口径比)でも、可視の広波長帯域に渡って諸収差を良好に低減している。
また、第1の光学素子M1の裏面反射部M1aと第2の光学素子M2の裏面反射部M2bは、いずれも正の屈折力の反射面としている。これにより、第2結像光学系G2のレンズの正の屈折力を強くして光学系全長を短くしたときのペッツバール和の増大を軽減している。これはペッツバール和への効き方が反射面と屈折面で反対となるためである。
中間像IMからの光は、順に、正の屈折力のレンズ群G21(レンズL2〜L8)、開口絞りAS、負の屈折力のレンズ群G22(レンズL9)、正の屈折力のレンズ群G23(レンズL10〜L11)を通過する。更に負の屈折力のレンズ群G24(レンズL12〜L13)、正の屈折力のレンズ群G25(レンズL14〜L15)を通過する。そして撮像素子105上に物体103を拡大結像している。
さらに、遮光部SHは、レンズL9の物体103側の面をRa面、撮像素子105側の面をRb面としたとき、レンズL9のRb面上に配置されている。そして、物体103からの光が、第1の光学素子M1、及び、第2の光学素子M2で反射されることなく、第1、第2の光学素子M1、M2の中心透過部M1T、M2Tを通過して直接撮像素子105に到達することを防いでいる。
この実施例1の反射屈折光学系104Aにおいて、物体側の開口数NAは0.7、視野領域は直径28.2mmである。瞳の中抜けの割合は面積比で3割以下に抑えられている。また、図3は実施例1の反射屈折光学系104Aの設計値の軸上物高(Y=0mm)、及び、最軸外物高(Y=14.1mm)の収差図を示している。実施例1の反射屈折光学系104Aは、波長656.3nm、波長587.6nm、波長486.1nm、波長435.8nmの各波長において収差は良好に抑えられている。物体103の撮像領域は直径3mm以上〜直径30mm以下である。
図4は、実施例1の反射屈折光学系104Aの設計値の波面収差RMS値、及び、実施例1の反射屈折光学系104Aの温度が10℃上昇したときの波面収差を、物体距離の変更やレンズ成分の移動により補正した後の波面収差RMS値を示している。図4に示す従来例の曲線は、物体距離のみを変更してフォーカスを合わせた後の波面収差RMS値である。図4に示す、実施例1の曲線は、物体距離の変更に加え、レンズ成分L1、L9、L10を光軸に沿って移動させて収差補正した後の波面収差RMS値である。
実施例1では、温度が10℃上昇したとき、物体側から像側への向きを+として、レンズL1を−7.0μm、レンズL9を+2.0μm、レンズL10を+1.5μm、それぞれ光軸に沿って移動させている。また、フォーカス合わせのために、物体距離を+4.3μm変更している。
物体距離のみを合わせた従来例に比べ、3つのレンズ成分を光軸に沿って移動させたことにより、波面収差RMSの視野領域全域の最悪値は16%以上低減できている。なお、光軸方向に移動させる収差補正用のレンズ成分は、球面収差、コマ収差、非点収差を補正するため少なくとも3つあれば良いが、それ以上増やしてもよい。収差補正用のレンズ成分の数を増やすと、収差補正の自由度が上がるため、より良好な収差低減が容易になる。
しかしながら、一方で、移動させる収差補正用のレンズ成分の数が増えると、反射屈折光学系104Aに備える駆動系の数が増えるため、光学系の鏡筒が複雑化し、大型化してしまう。よって、収差補正用のレンズ成分の数は3〜5つが好ましい。
図4に示す実施例2の曲線は、物体距離の変更に加え、レンズL1、L2〜L3(貼り合わせレンズ)、L6、L11の4つの収差補正用のレンズ成分を光軸に沿って移動させて収差補正した後の波面収差RMS値である。実施例2では、温度が10℃上昇したとき、物体側から像側への向きを+として、レンズL1を−18.9μm、レンズL2〜L3を−3.5μm、レンズL6を−19.7μm、レンズL11を−30.1μm、それぞれ光軸に沿って移動させている。また、フォーカス合わせのために、物体距離を+7.9μm変更している。
波面収差RMSの視野領域全域の最悪値は、従来例に比べて43%以上低減できており、補正後の波面収差RMS値は、設計値とほぼ同等となっている。このように、反射屈折光学系の周囲の温度に応じて、少なくとも3つの収差補正用のレンズ成分を光軸方向に沿って移動させることにより、球面収差、コマ収差、非点収差などの諸収差を良好に低減している。これによって、広い視野領域を持つ反射屈折光学系であっても、広い温度範囲において使用でき、しかも視野領域全域に渡って良好な画質を得ることが出来る。
収差補正用のレンズ成分の光軸方向の移動は、顕微鏡使用者が表示手段107などに表示される画像データを確認しながら所望の画質が得られるよう手動で行ってもよいし、また、以下の図5に示す収差補正フローに基づいて制御してもよい。
以下、図1と図5を参照して、反射屈折光学系104又はその周囲の温度が変化したときの収差補正フローについて説明する。以下のステップS201〜S205は、物体103の撮像前に行われる。まず、ステップS201において、反射屈折光学系104に備えられた温度測定系108は反射屈折光学系104又はその周囲の温度を測定する。ステップS202では、温度測定系108は、ステップS201で測定した温度のデータを制御系(算出手段)109に送信する。
記憶手段110には予め反射屈折光学系104の温度に対する収差補正用のレンズ成分の光軸方向の移動量と収差変動に関するデータが記憶されている。ステップS203では、制御系109は、温度測定系108から送信されてきた温度のデータと、記憶部(記憶手段)110に予め格納(記憶)された収差補正用のレンズ成分の最適移動量のデータから、各収差補正用のレンズ成分の最適移動量を算出する。
ここで、格納する最適移動量データは、公知の光学ソフトを用いたシミュレーションなどから予め求めておく。例えば、公知の光学ソフトを用いて、各収差補正用のレンズ成分が光軸に沿ってある量だけ設計値から移動したときの収差変化量(収差敏感度)を算出する。さらに、各温度における設計値の収差も算出する。これによって、その収差敏感度と各温度の設計値の収差から線形計画法などを用いて、反射屈折光学系104の収差を良好に低減できる収差補正用のレンズ成分の最適移動量を求めている。
ステップS204では、制御系109は、ステップS203で算出された最適移動量のデータに基づいた電気信号を駆動系(駆動手段)111に送信する。ステップS205では、駆動系111は、制御系109から送信された電気信号によって少なくとも3つの収差補正用のレンズ成分112〜114を光軸に沿って移動させる。駆動系111は、PTZ素子などのアクチュエータを備えた駆動機構でもよい。また、このとき同時に物体距離を変化させて、フォーカス合わせを行ってもよい。
物体距離の最適値は、収差補正用のレンズ成分の最適移動量データと同様に、公知の光学ソフトによるシミュレーションで予め求めておき、記憶部110に格納しておいてもよい。以上の各ステップにより反射屈折光学系104の収差補正が完了する。以上の収差補正は、物体を撮像する前に毎回行ってもよいし、また、前回の収差補正時からの反射屈折光学系の温度変化量の閾値を予め定めておき、それを超えた場合にだけ行ってもよい。
その場合は、ステップS202の後で、測定した温度(前回収差補正時からの変化量)と予め定めた閾値を比較するステップS202’(不図示)を行う。ここで前回収差補正時からの温度変化量が閾値を超えた場合はステップS203へすすみ、閾値以下の場合は収差補正を行わずに撮像を行う。
本実施例において、収差補正用のレンズ成分は、次の諸条件を満足するレンズ成分を選択するようにしている。材料の温度変化に対する屈折率の変化率をdn/dTとするとき、少なくとも3つのレンズ成分を構成するレンズの材料の変化率dn/dTはいずれも
-7.0×10-6/℃<dn/dT<6.0×10-6/℃ ・・・(1)
を満足する。
-7.0×10-6/℃<dn/dT<6.0×10-6/℃ ・・・(1)
を満足する。
この他、材料の温度に対する熱膨張係数をσTとするとき、少なくとも3つのレンズ成分を構成するレンズの材料の熱膨張係数σTは
6.5×10-6/℃<σT<15.0×10-6/℃ ・・・(2)
を満足する。以上のように本実施例によれば、広い温度範囲において、広い波長域で、かつ、広い視野領域に渡って収差が良好に低減された高い光学性能を有する反射屈折光学系が得られる。
6.5×10-6/℃<σT<15.0×10-6/℃ ・・・(2)
を満足する。以上のように本実施例によれば、広い温度範囲において、広い波長域で、かつ、広い視野領域に渡って収差が良好に低減された高い光学性能を有する反射屈折光学系が得られる。
以下、実施例1の数値実施例を示す。実施例2の数値実施例は実施例1と同じである。面番号は物体面(試料面)から像面まで数えた光学面の順である。rは第i番目の光学面の曲率半径である。dは第i番目と第i+1番目の間隔である(符号は物体側から像面側へ測ったときを(光が進行するときを)正、逆方向を負としている)。Nd、νdは波長587.6nmに対する材料の屈折率とアッベ数をそれぞれ示している。非球面の形状は、以下の式に示す一般的な非球面の式で表される。以下の式において、Zは光軸方向の座標、cは曲率(曲率半径rの逆数)、hは光軸からの高さ、kは円錐係数、A、B、C、D、E、F、G、H、J・・・は各々、4次、6次、8次、10次、12次、14次、16次、18次、20次、・・・の非球面係数である。
「E−X」は「10-X」を意味する。前述した各条件式と数値実施例との関係を(表−1)、(表−2)に示す。
(数値実施例)
面番号 r d Nd νd
物体面 3.00
1 783.74 28.01 1.49 70.24
2 -797.06 81.57
3 -102.12 7.77 1.52 64.14
4 -140.83 -7.77 1.52 64.14
5 -102.12 -81.57
6 -797.06 -28.01 1.49 70.24
7 783.74 28.01 1.49 70.24
8 -797.06 81.57
9 -102.12 7.77 1.52 64.14
10 -140.83 3.49
11 -154.32 7.05 1.64 55.38
12 -72.36 0.50
13 63.71 17.64 1.44 94.95
14 -50.65 5.00 1.67 38.15
15 531.40 7.25
16 134.93 13.56 1.70 48.52
17 -176.29 0.50
18 54.79 12.36 1.60 65.44
19 118.83 14.42
20 234.49 11.45 1.75 35.28
21 -144.57 3.61
22 99.73 17.43 1.60 65.44
23 -54.76 5.00 1.67 38.15
24 -392.90 1.00
25 0.00 3.84
26 -82.47 5.00 1.61 43.71
27 106.23 26.38
28 -475.21 23.33 1.72 43.69
29 -65.34 0.50
30 136.04 26.85 1.49 70.24
31 -132.13 44.13
32 -86.09 5.00 1.74 32.26
33 175.53 29.93
34 -56.65 5.00 1.49 70.24
35 -1735.21 11.41
36 -183.59 29.63 1.76 40.10
37 -85.12 6.37
38 456.98 31.46 1.68 50.72
39 -468.94 10.50
像面 0
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形、及び、変更が可能である。例えば、本発明は大画面をスキャンする顕微鏡装置にもスキャンしない顕微鏡装置にも適用可能である。
101 光源 102 照明光学系 103 試料 104 結像光学系
105 撮像素子 106 画像処理系
107 表示手段 108 測定手段 109 算出手段
110 記憶手段 111 駆動手段
112〜114 収差補正レンズ
AS 開口絞り IM 中間像 AX 光軸 G1 第1結像光学系
G2 第2結像光学系 G11、G21〜G25 レンズ群
L1〜L15 レンズ M1、M2 マンジャンミラー SH 遮光部
105 撮像素子 106 画像処理系
107 表示手段 108 測定手段 109 算出手段
110 記憶手段 111 駆動手段
112〜114 収差補正レンズ
AS 開口絞り IM 中間像 AX 光軸 G1 第1結像光学系
G2 第2結像光学系 G11、G21〜G25 レンズ群
L1〜L15 レンズ M1、M2 マンジャンミラー SH 遮光部
Claims (6)
- 物体からの光束を集光して前記物体の中間像を形成する反射屈折部を含む第1結像光学系と、前記中間像を像面に結像させる屈折部を含む第2結像光学系を有する反射屈折光学系であって、前記第1結像光学系は、光軸周辺が光透過部、周辺部のうち物体側の面に反射膜を施し、裏面反射部とした第1の光学素子と、光軸周辺が光透過部、周辺部のうち像側の面に反射膜を施し、裏面反射部とした第2の光学素子を有し、前記第1の光学素子と前記第2の光学素子は互いに裏面反射部が対向するように配置されており、前記物体からの光束は、順に前記第1の光学素子の光透過部、前記第2の光学素子の裏面反射部、前記第1の光学素子の裏面反射部、前記第2の光学素子の光透過部を介した後に前記第2結像光学系に出射しており、前記第2結像光学系は複数のレンズ成分を有し、前記第2結像光学系を構成する少なくとも3つのレンズ成分は環境変化によって生ずる収差変動を補正するために光軸方向に移動可能であることを特徴とする反射屈折光学系。
- 材料の温度変化に対する屈折率の変化率をdn/dTとするとき、前記少なくとも3つのレンズ成分を構成するレンズの材料の変化率dn/dTはいずれも
-7.0×10-6/℃<dn/dT<6.0×10-6/℃
を満足することを特徴とする請求項1の反射屈折光学系。 - 材料の温度に対する熱膨張係数をσTとするとき、前記少なくとも3つのレンズ成分を構成するレンズの材料の熱膨張係数σTは
6.5×10-6/℃<σT<15.0×10-6/℃
を満足することを特徴とする請求項1又は2の反射屈折光学系。 - 前記第1の光学素子は物体側の面が凸でメニスカス形状であり、前記第2の光学素子は物体側の面が凹でメニスカス形状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の反射屈折光学系。
- 光源手段と、前記光源手段からの光束で物体を照明する照明光学系と、前記物体を結像する請求項1乃至4のいずれか1項の反射屈折光学系と該反射屈折光学系によって結像された物体像を光電変換する撮像素子と、該撮像素子からのデータより画像情報を生成する画像処理系とを有することを特徴とする撮像装置。
- 前記少なくとも3つのレンズの移動量と収差変動に関するデータを予め記憶する記憶手段と、前記反射屈折光学系が置かれている環境の温度を測定する温度測定手段と、該温度測定手段で得られた温度情報と前記記憶手段に記憶されているデータより、前記少なくとも3つのレンズ成分の移動量を算出する算出手段と、該算出手段で算出された移動量を用いて前記少なくとも3つのレンズ成分を移動させる駆動手段を有することを特徴とする請求項5の撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011023700A JP2012163747A (ja) | 2011-02-07 | 2011-02-07 | 反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011023700A JP2012163747A (ja) | 2011-02-07 | 2011-02-07 | 反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012163747A true JP2012163747A (ja) | 2012-08-30 |
Family
ID=46843188
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011023700A Withdrawn JP2012163747A (ja) | 2011-02-07 | 2011-02-07 | 反射屈折光学系及びそれを有する撮像装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012163747A (ja) |
-
2011
- 2011-02-07 JP JP2011023700A patent/JP2012163747A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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