JP2012163189A - 分割ナット装置 - Google Patents

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淳 今井
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徹 今井
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豊 今井
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Abstract

【課題】ボルトへの取り付け作業が容易であるとともに径方向への分離に対する強度が高められた分割ナット装置を提供することである。
【解決手段】径方向に組み合わされる一対のナット片31a,31bからなる分割ナット31をガイドシリンダ32に収容するとともに、このガイドシリンダ32にねじ結合するホルダロックリング33に径方向に移動自在に支持させる。ガイドシリンダ32の内周に大径内周面32d、小径内周面32eおよびガイド側テーパ面32fを設ける。ホルダロックリング33を回転させて分割ナット31を軸方向に移動させることにより、各ナット片31a,31bの外周面31f,31gが大径内周面32dに当接する分離状態から小径内周面32eに当接するとともに被ガイド側テーパ面31d,31eがガイド側テーパ面32fに当接する係合状態に切り替えられる構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、分離状態とすることによりボルトに容易に取り付けることができる分割ナット装置に関する。
発電所等で用いられる熱交換器のエンドプレートをボルトとナットとを用いて締結する作業には、ボルトテンショナーが用いられる。ボルトテンショナーはエンドプレート上に配置される油圧シリンダ機構を備えており、この油圧シリンダ機構に設けられたチャック(ブラーバー)用のナットがエンドプレートから突出したボルトの先端からねじ結合される。一方、ボルトには、予め締結用ナットがエンドプレートに着座させてねじ結合されている。チャック用のナットをボルトにねじ結合させた状態で油圧シリンダ機構に油圧が供給されると、油圧シリンダ機構によりチャックを介してボルトに引っ張り力が加えられ、締結用ナットの座面とエンドプレートの表面との間に隙間が生じる。この状態で締結用のナットを回転させてエンドプレートに再度着座させ、油圧シリンダ機構の油圧を抜くことで、ボルトに高い軸力を発生させてエンドプレートを強固に締結することができる。
ところで、熱交換器のエンドプレートを締結するボルトは、通常、別の装置への取り付けをも兼ねるため、エンドプレートから大きく突出した長い寸法のものが用いられている。そのため、ボルトテンショナーを用いてエンドプレートの締結作業を行う場合には、そのチャック用のナットをボルトの先端から油圧シリンダ機構に着座する位置までの長い区間回し続ける必要があり、その作業が煩雑であった。
このような長いボルトへのナットの取り付け作業を容易にするためのナットとしては、例えば特許文献1に示されるように、径方向に分割された一対のナット片の一端をヒンジで連結するとともに他端をピンで保持させるようにしたヒンジ式の分割ナットが知られている。
特開2009−63070号公報
しかしながら、特許文献1に示されるようなヒンジ式の分割ナットは、その径方向への分離をヒンジとピンとにより保持する構造であるので、径方向への分離に対する強度を十分に高めることが困難である。そのため、ヒンジ式の分割ナットを、ボルトテンショナーのチャック用のナットのように、ボルトから大きな軸力が加えられる部位へ適用することは困難であった。
本発明の目的は、ボルトへの取り付け作業が容易であるとともに径方向への分離に対する強度が高められた分割ナット装置を提供することにある。
本発明の分割ナット装置は、ボルトにねじ結合するナットであって、複数のナット片を径方向に組み合わせて構成され、内周に前記ボルトにねじ結合する雌ねじを備えた分割ナットと、前記ボルトが挿通される円筒状に形成され、内側に前記分割ナットを収容するガイドシリンダと、前記ガイドシリンダの一端側に同軸にねじ結合され、それぞれの前記ナット片を径方向に移動自在に支持するホルダロックリングと、前記分割ナットに装着され、それぞれの前記ナット片を径方向外側に向けて付勢するばね部材とを有し、前記ガイドシリンダの内周には、一端側から他端側に向けて、大径内周面、該大径内周面よりも小径の小径内周面および該小径内周面に連なるとともに他端側に向けて徐々に縮径するガイド側テーパ面が設けられ、前記ホルダロックリングを前記ガイドシリンダにねじ込むことにより、前記分割ナットが、外周面が前記大径内周面に当接して前記ボルトにねじ結合しない分離状態から外周面が前記小径内周面に当接するとともに先端に設けられた被ガイド側テーパ面が前記ガイド側テーパ面に当接して前記ボルトにねじ結合する係合状態とされることを特徴とする。
本発明の分割ナット装置は、前記ボルトに引っ張り力を加えるボルトテンショナーのチャックとして用いられることを特徴とする。
本発明の分割ナット装置は、前記ガイドシリンダの他端側の軸方向端面を前記ボルトの軸力を支持する座面として配置されることを特徴とする。
本発明によれば、ホルダロックリングを緩めて分割ナットを分離状態としておけば容易にボルトに挿通させることができ、ボルトの所定位置に配置した後は、ホルダロックリングを回すことで分割ナットをボルトに容易にねじ結合させることができるので、この分割ナット装置のボルトへの取り付け作業を容易にすることができる。また、分割ナットがボルトにねじ結合した状態では、分割ナットの外周面がガイドシリンダの小径内周面により径方向外側への移動が規制されるので、ボルトから大きな軸力が加えられても、分割ナットが径方向に分離してボルトとの噛み合いが外れることが防止される。したがって、このナットの径方向の分離に対する強度を高めることができる。さらに、分割ナットがボルトにねじ結合した状態では、分割ナットの先端の被ガイド側テーパ面がガイドシリンダのガイド側テーパ面に当接するので、分割ナットはボルトに対して調芯され、確実にボルトに噛み合わされる。
本発明によれば、この分割ナット装置をボルトテンショナーのチャックとして用いるようにしたので、ボルトテンショナーを用いた締結作業を容易にすることができる。
本発明によれば、この分割ナット装置をガイドシリンダの他端側の軸方向端面を座面として配置するようにしたので、ボルトの軸力をガイド側テーパ面により受けて分割ナットに径方向内側へ向く締め付け力を発生させることができる。これにより、分割ナットをボルトに確実にねじ結合させて、当該分割ナットによりボルトを確実に保持させることができる。
本発明の一実施の形態であるスライドインナットをボルトテンショナーのチャックとして用いた場合を示す断面図である。 図1に示すスライドインナットの断面図である。 図2に示すスライドインナットの分解斜視図である。 分離状態のスライドインナットにボルトを挿通させ、ピストン上部に着座させる手順を示す説明図である。 ピストン上部に着座させたスライドインナットを係合状態とした状態を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すボルトテンショナー11は、発電所等の動力プラントで用いられる熱交換器のエンドプレート12をボルト13と締結用ナット14とを用いて締結する作業に用いられるものである。本発明の分割ナット装置としてのスライドインナット21は、このボルトテンショナー11のチャックとして用いられている。
エンドプレート12にはボルト挿通孔12aが設けられ、このボルト挿通孔12aに挿通されたボルト13の先端側部分がエンドプレート12から突出している。ボルト13には締結用ナット14がねじ結合され、この締結用ナット14はエンドプレート12に着座している。
ボルトテンショナー11はフットピースとも呼ばれるブリッジ22を備えている。ブリッジ22は鋼材により窓付きの円筒状に形成されており、その一端部においてボルト13と同軸となってエンドプレート12に配置されている。締結用ナット14はブリッジ22の内部に収容され、その窓22aから挿入される工具により回転させることができるようになっている。
ブリッジ22には、ボルト13に軸力を加えるための油圧シリンダ機構23が同軸に重ねて配置されている。この油圧シリンダ機構23は、軸心にボルト13が挿通される円筒状のシリンダブロック24を備えており、このシリンダブロック24の円筒状の内壁24aと外壁24bとの間にシリンダ室24cが設けられている。シリンダ室24cには円筒状のピストン25が配置され、このピストン25の上端面25aはシリンダブロック24から上方に突出している。シリンダブロック24の側部の下方側には油圧供給口26が設けられている。この油圧供給口26に接続される図示しないホースを介して図示しない油圧供給源からシリンダ室24c(ピストン25のボス部25bとシリンダ24の下端の押さえフランジ24dとの隙間部分)に油圧が供給される。
シリンダ室24cに油圧が供給されると、ピストン25が油圧により押されて図中上方に駆動される。ピストン25と外壁24bとの間にはリターンスプリング27が配置されている。このリターンスプリング27の両端部は、それぞれピストン25の下端に設けられたボス部25bとシリンダブロック24の上端側に設けられた鍔部24eとに支持されている。シリンダ室24cへの油圧の供給が停止されると、リターンスプリング27のばね力によりピストン25は下方に向けて駆動され、シリンダブロック24の内部に収容された初期位置とされる。
ボルトテンショナー11のチャックとして用いられるスライドインナット21はピストン25の上端面25aに配置される。ピストン25の上端面25aに配置されたスライドインナット21をボルト13にねじ結合させることで、ピストン25をボルト13に固定し、油圧シリンダ機構23の出力をボルト13に伝達することができる。
スライドインナット21によりピストン25をボルト13に固定した状態で油圧供給口26からシリンダ室24cに油圧が供給され、ピストン25が図中上方に駆動されると、ピストン25とともに上方に駆動されるスライドインナット21により引かれてボルト13は軸力を受け、伸びた状態となる。これにより、締結用ナット14はボルト13とともに上方つまりエンドプレート12から離れる方向に移動し、エンドプレート12との間に隙間を生じさせる。ブリッジ22の窓22aから挿入した工具を用いて締結用ナット14を回転させ、これをエンドプレート12に強く着座させるとともに、油圧シリンダ機構23から油圧を抜くことにより、軸力が加えられたままのボルト13と締結用ナット14によりエンドプレート12を締結することができる。
次に、スライドインナット21の構造を説明する。
図2、図3に示すように、スライドインナット21は分割ナット31、ガイドシリンダ32およびホルダロックリング33を備えている。
分割ナット31は、それぞれ鋼材により半円筒形状(セグメント形状)に形成された一対のナット片31a,31bを径方向に組み合わせて構成されている。例えば、分割ナット31は円筒状のナットをワイヤーカット等の方法で径方向に2分割して形成される。これらの一対のナット片31a,31bを径方向に組み合わせて円筒状の分割ナット31に構成すると、その内周にはボルト13にねじ結合する雌ねじ31cが形成されるようになっている。
なお、分割ナット31の分割部分における雌ねじ31cとボルト13のねじ山との山谷の干渉を少なくして分割ナット31のボルト13への装着を容易にするために、分割前の円筒状のナットの内周に雌ねじ31cを加工後、分割する線を中心にエンドミル等の工具による加工またはスロッター加工により雌ねじのねじ山の分割端面部分を切除し、その後、当該円筒状のナットを分割線に沿って分割するようにしている。
また、分割ナット31の分割面の部分は、ボルト13を挟んでナット片31a,31bを組み合わせたときに、これらのナット片31a,31bの分割面の間に僅かに隙間が生じるように僅かに切除されている。
ナット片31a,31bの一端側にはそれぞれ被ガイド側テーパ面31d,31eが設けられている。これらの被ガイド側テーパ面31d,31eは、対応するナット片31a,31bの外周面31f,31gに連なるとともに、先端側に向けて徐々に径が小さくなるように形成されている。また、被ガイド側テーパ面31d,31eの軸方向に対する角度は45度以下の鋭角に設定されている。
次に、ガイドシリンダ32は鋼材により底付きの円筒状に形成されており、その底壁32aにはボルト13が挿通される挿通孔32bが設けられている。また、ガイドシリンダ32の開口側となる一端側には、その外周に雄ねじ32cが形成されている。
一方、ガイドシリンダ32の内側には分割ナットが収容される。ガイドシリンダ32の内周には、その開口側となる一端側から他端側に向けて大径内周面32d、小径内周面32eおよびガイド側テーパ面32fが並べて設けられている。大径内周面32dと小径内周面32eは、それぞれガイドシリンダ32の軸方向に平行に形成されており、小径内周面32eは大径内周面32dよりも小径となっている。ガイド側テーパ面32fは小径内周面32eに連なるとともに小径内周面32eから離れる方向つまりガイドシリンダ32の底壁32aが設けられた他端側に向けて徐々に径が小さくなる(縮径する)ように傾斜して形成されている。このガイド側テーパ面32fの軸方向に対する角度は45度以下の鋭角に設定されている。
ガイドシリンダ32の他端側の軸方向端面つまり底壁32aの側の底面は座面32gとなっており、スライドインナット21はこの座面32gにおいてピストン25の上端面25aに配置される。
ホルダロックリング33は鋼材により底付きの円筒状に形成されており、その底壁33aにはボルト13が挿通される貫通孔33bが設けられている。また、ホルダロックリング33の開口側となる一端側には、その内周に雌ねじ33cが形成されている。ホルダロックリング33は、この雌ねじ33cを雄ねじ32cにねじ結合させることにより、ガイドシリンダ32の一端側にこれと同軸にねじ結合されている。ホルダロックリング33は、ガイドシリンダ32に対するねじ込み量を調整することにより、ガイドシリンダ32に対して軸方向に移動自在である。
ホルダロックリング33の底壁33aには、互いに平行となる6つの長穴33dが、3つセットとされるとともに互いのセットが底壁33aの軸心を中心として対称に配置されるように設けられている。
これらの長穴33dに対応して、各ナット片31a,31bの上端部には、それぞれ3つのボルト穴31hが設けられている。各ナット片31a,31bは、ホルダロックリング33の底壁33aにその外側から挿通されたボルト34がボルト穴31hにねじ結合されることにより、ホルダロックリング33の底壁33aに支持されている。このとき、各ナット片31a,31bの上端面とホルダロックリング33の底壁33aとの間には僅かな隙間が設けられ、これにより、ボルト34が長穴33dを移動する範囲で、各ナット片31a,31bはホルダロックリング33に対して径方向に移動自在となっている。つまり、各ナット片31a,31bは、その間隔を径方向に増減させる方向に移動自在となってホルダロックリング33に支持されている。
ホルダロックリング33がガイドシリンダ32にねじ結合されると、分割ナット31はガイドシリンダ32の内部に配置される。ガイドシリンダ32の内部に配置された分割ナット31には、ばね部材としてのスプリング35が装着されている。スプリング35はピアノ線等を分割ナット31の内周に形成された溝部31iに巻き込んで形成されており、各ナット片31a,31bを径方向外側に付勢している。
なお、ばね部材としては、ピアノ線により形成されたスプリング35に限らず、各ナット片31a,31bを径方向外側に付勢することができるものであれば、他の形状のスプリングやゴム等の弾性体を用いるようにしてもよい。
各ナット片31a,31bは、ホルダロックリング33のガイドシリンダ32へのねじ込み量が小さいときには、スプリング35により付勢されて互いに離れる径方向に移動し、その外周面31f,31gがガイドシリンダ32の大径内周面32dに当接する。このとき、分割ナット31は、各ナット片31a,31bの間隔がボルト13の外径よりも大きくなってボルト13にねじ結合しない分離状態とされる。
一方、ホルダロックリング33がガイドシリンダ32にねじ込まれると、分割ナット31は、ガイドシリンダ32の内部を他端側に向けて移動し、被ガイド側テーパ面31d,31eにおいて大径内周面32dと小径内周面32eとの間の段差を乗り越えて各ナット片31a,31bの外周面31f,31gがガイドシリンダ32の小径内周面32eに当接する位置まで移動する。これにより、各ナット片31a,31bの間隔が小径内周面32eによりボルト13にねじ結合する間隔に規制される。
さらにホルダロックリング33がガイドシリンダ32にねじ込まれると、分割ナット31の被ガイド側テーパ面31d,31eがガイドシリンダ32のガイド側テーパ面32fに当接し、各ナット片31a,31bが径方向内側に向けて押し込まれ、ボルト13に確実にねじ結合されるとともにボルト13に対して調芯される。これにより、分割ナット31は、ボルト13にねじ結合する係合状態とされる。
次に、ボルト13へのスライドインナット21の取り付け手順を説明する。
図4に示すように、まず、ホルダロックリング33を緩めて、分割ナット31を各ナット片31a,31bがボルト13とねじ結合しない位置まで分離した分離状態とする。
次に、この状態でスライドインナット21をボルト13の先端から組み込み、ピストン25の上端面25aに向けてスライド式に移動させる。このとき、分割ナット31は分離状態となってボルト13とはねじ結合しないので、スライドインナット21をボルト13に対して回転させることなく容易にピストン25の上端面25aにまで移動させることができる。
次に、ピストン25の上端面25aにまで移動させたスライドインナット21をその上端面25aに配置する。そして、ホルダロックリング33を手で回転させて分割ナット31を係合状態に切り替え、ボルト13にねじ結合させる。このとき、ボルト13と各ナット片31a,31bが噛み合う位置を調整しながらホルダロックリング33を締め付け、各ナット片31a,31bの外周面31f,31gがガイドシリンダ32の小径内周面32eに当接する位置まで分割ナット31を移動させる。
各ナット片31a,31bの外周面31f,31gが小径内周面32eに当接することにより各ナット片31a,31bつまり分割ナット31の雌ねじ31cがボルト13にねじ結合したことが確認される。したがって、分割ナット31がボルト13にねじ結合されないままボルト13に軸力が加えられることを防止することができる。
次に、さらにホルダロックリング33をガイドシリンダ32に対して締め付け、分割ナット31の被ガイド側テーパ面31d,31eをガイドシリンダ32のガイド側テーパ面32fに当接させる。被ガイド側テーパ面31d,31eがガイド側テーパ面32fに当接した状態でボルトテンショナー11による締結用ナット14の締結作業を行なわれると、分割ナット31の被ガイド側テーパ面31d,31eとガイドシリンダ32のガイド側テーパ面32fとの当接部分によりボルト13の軸力が支持されることになる。つまり、ホルダロックリング33にはボルト13の軸力が加えられることがない。したがって、ホルダロックリング33を、分割ナット31を移動させるための小型・軽量なものとすることができる。
また、分割ナット31の被ガイド側テーパ面31d,31eとガイドシリンダ32のガイド側テーパ面32fとの当接部分によりボルト13の軸力が支持されると、各テーパ面31d,31e,32fによりボルト13の軸力が径方向へ分割され、各ナット片31a,31bは径方向内側に向けて押し付けられることになる。これにより、ボルト13の軸力が加えられることにより、分割ナット31はその軸力により、さらに強固にボルト13に噛み合わされることになる。したがって、このスライドインナット21によりボルト13の軸力を確実に支持することができる。
このように、本発明のスライドインナット21では、分割ナット31を分離状態としてボルト13に容易に取り付けることができるとともに、スライドインナット21をピストン25の上端面25aに配置した後は、ホルダロックリング33を回す簡単な操作で分割ナット31をボルト13にねじ結合させることができるので、このスライドインナット21のボルト13への取り付け作業を容易にすることができる。
また、本発明のスライドインナット21では、分割ナット31の外周面31f,31gがガイドシリンダ32の小径内周面32eに当接することで分割ナット31がボルト13にねじ結合したことを確認することができるので、分割ナット31とボルト13との噛み合いの確認作業を容易にして、その作業性を高めることができる。
さらに、本発明のスライドインナット21では、分割ナット31がボルト13にねじ結合した状態では、分割ナット31の被ガイド側テーパ面31d,31eがガイドシリンダ32のガイド側テーパ面32fに当接し、ボルト13の軸力が各ナット片31a,31bに径方向内側に向く荷重として加えられるので、分割ナット31をボルト13の軸力を用いてさらに確実にボルト13に噛み合わせることができる。これにより、このスライドインナット21をボルト13に確実に固定することができる。また、分割ナット31の被ガイド側テーパ面31d,31eがガイドシリンダ32のガイド側テーパ面32fに当接することにより、分割ナット31がボルト13に対して調芯され、その噛み合いをさらに確実にすることができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態においては、分割ナット31を一対のナット片31a,31bから構成するようにしているが、これに限らず、分割ナット31を、円筒状のナットを3分割した3つのナット片から構成したり、円筒状のナットを4分割した4つのナット片から構成したりするなど、その分割数は任意に設定することができる。
また、前記実施の形態においては、スライドインナット21をボルトテンショナー11のチャックとして用いるようにしているが、これに限らず、例えば締結用ナット14など、別の用途にスライドインナット21を用いるようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、ホルダロックリング33を手で回転させるようにしているが、これに限らず、ホルダロックリング33の外周に工具穴を設け、この工具穴に差し込んだ工具でホルダロックリング33を回転させたり、ナット片31a,31bをホルダロックリング33に支持させるためのボルト34としてアイボルトを用い、このアイボルトの部分を手または工具を用いて回転させたりする構成としてもよい。
11 ボルトテンショナー
12 エンドプレート
12a ボルト挿通孔
13 ボルト
14 締結用ナット
21 スライドインナット(分割ナット装置)
22 ブリッジ
22a 窓
23 油圧シリンダ機構
24 シリンダブロック
24a 内壁
24b 外壁
24c シリンダ室
24d 押さえフランジ
24e 鍔部
25 ピストン
25a 上端面
25b ボス部
26 油圧供給口
27 リターンスプリング
31 分割ナット
31a,31b ナット片
31c 雌ねじ
31d,31e 被ガイド側テーパ面
31f,31g 外周面
31h ボルト穴
31i 溝部
32 ガイドシリンダ
32a 底壁
32b 挿通孔
32c 雄ねじ
32d 大径内周面
32e 小径内周面
32f ガイド側テーパ面
32g 座面
33 ホルダロックリング
33a 底壁
33b 貫通孔
33c 雌ねじ
33d 長穴
34 ボルト
35 スプリング(ばね部材)

Claims (3)

  1. ボルトにねじ結合する分割ナット装置であって、
    複数のナット片を径方向に組み合わせて構成され、内周に前記ボルトにねじ結合する雌ねじを備えた分割ナットと、
    前記ボルトが挿通される円筒状に形成され、内側に前記分割ナットを収容するガイドシリンダと、
    前記ガイドシリンダの一端側に同軸にねじ結合され、それぞれの前記ナット片を径方向に移動自在に支持するホルダロックリングと、
    前記分割ナットに装着され、それぞれの前記ナット片を径方向外側に向けて付勢するばね部材とを有し、
    前記ガイドシリンダの内周には、一端側から他端側に向けて、大径内周面、該大径内周面よりも小径の小径内周面および該小径内周面に連なるとともに他端側に向けて徐々に縮径するガイド側テーパ面が設けられ、
    前記ホルダロックリングを前記ガイドシリンダにねじ込むことにより、前記分割ナットが、外周面が前記大径内周面に当接して前記ボルトにねじ結合しない分離状態から外周面が前記小径内周面に当接するとともに先端に設けられた被ガイド側テーパ面が前記ガイド側テーパ面に当接して前記ボルトにねじ結合する係合状態とされることを特徴とする分割ナット装置。
  2. 請求項1記載の分割ナット装置において、前記ボルトに引っ張り力を加えるボルトテンショナーのチャックとして用いられることを特徴とする分割ナット装置。
  3. 請求項1または2記載の分割ナット装置において、前記ガイドシリンダの他端側の軸方向端面を前記ボルトの軸力を支持する座面として配置されることを特徴とする分割ナット装置。
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