JP2012163056A - 燃料噴射システム、燃料噴射制御装置およびコンピュータプログラム - Google Patents

燃料噴射システム、燃料噴射制御装置およびコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】コモンレールへの燃料の噴射量の制御性能を向上させる技術を提供する。
【解決手段】本燃料噴射システムは、蓄圧部60と、シリンダと、加圧移動で圧力室53内の容積変化を生じさせることによって燃料を蓄圧部へ圧送するプランジャ51と、蓄圧部に蓄圧された燃料を噴射するインジェクタを有する噴射部と、インジェクタからの燃料の噴射量を制御する制御部と、を備える。制御部は、インジェクタからの燃料の噴射期間中における蓄圧部への燃料の圧送量を算出する圧送量算出部と、噴射期間中における圧送量に基づいて噴射期間の補正量を決定する補正量決定部と、を有し、圧送量算出部は、圧力室53の内周面とプランジャ51の外周面との間の隙間からの燃料の漏洩量を推定し、推定された漏洩量と、加圧移動時のプランジャ51のストロークに応じた圧力室53内の容積変化量と、を使用して圧送量を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料を加圧して噴射する技術に関し、特に内燃機関の燃焼に使用される燃料の噴射に好ましい技術に関する。
内燃機関の燃料噴射システムとして、コモンレール(蓄圧部)式の燃料噴射システムが知られている。この燃料噴射システムは、コモンレールへ燃料を圧送する圧送ポンプを備えている。近年、多種の内燃機関、すなわち気筒数が異なる内燃機関(例えば、4気筒エンジン、5気筒エンジン、6気筒エンジン等)に対し、共通の圧送ポンプを使用する共用化が図られている。この共用化のために、内燃機関の燃焼サイクル(各気筒のインジェクタの噴射サイクル)と、圧送ポンプからの燃料の圧送サイクルとが、必ずしも同期しなくともコモンレールへ燃料圧送を行える非同期化が求められている。しかしながら、一般的に、燃料の圧送とインジェクタの噴射の非同期化は、インジェクタの実噴射量の変動の要因となって気筒間噴射量に差が発生していた。インジェクタの実噴射量の変動は、コモンレールへの燃料の圧送期間とインジェクタの噴射期間とに重複が発生すると、インジェクタの噴射量が変動することに起因していた。このような問題に対して、噴射期間における燃料の圧送量から補正量を算出し、インジェクタの指令噴射量を補正する技術も提案されている(特許文献1)。この補正量は、インジェクタの噴射期間におけるコモンレールへの燃料の圧送量を算出し、その算出量とコモンレール圧力から算出される。
一方、従来は、圧送ポンプの吐出量は、コモンレールへの燃料の圧送を行なう圧送ポンプが容積型ポンプであることを利用して、その内部の圧力室の容積変化に基づいて算出することが出願時の当業者の技術常識として形成されていた。容積型ポンプとは、圧力室の容積を往復運動または回転運動で変化させて液体を吐出するポンプである。
特開2005−127164号公報
しかし、本発明者は、圧送ポンプの吐出圧の高圧化に伴って圧送ポンプにおける、吐出圧送時の漏洩が無視できない量となりつつある点を新たに発見した。
本発明は、上述の従来の課題を解決するために創作されたものであり、コモンレールへの燃料の噴射量の制御性能を向上させる技術を提供することを目的とする。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
請求項1の燃料噴射システムは、燃料を蓄圧する蓄圧部と、内部に圧力室が形成されているシリンダと、前記シリンダ内において加圧方向への移動である加圧移動を行ない、前記加圧移動で前記圧力室内の容積変化を生じさせることによって燃料を前記蓄圧部へ圧送するプランジャと、前記蓄圧部に蓄圧された燃料を噴射するインジェクタを有する噴射部と、前記インジェクタからの燃料の噴射量を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記インジェクタからの燃料の噴射期間中における前記蓄圧部への燃料の圧送量を算出する圧送量算出部と、前記噴射期間中における圧送量に基づいて前記噴射期間の補正量を決定する補正量決定部と、を有し、前記圧送量算出部は、前記シリンダの内周面(圧力室を形成)と前記プランジャの外周面との間の隙間からの燃料の漏洩量を推定し、前記推定された漏洩量と、前記加圧移動時のプランジャのストロークに応じた前記圧力室内の容積変化量と、を使用して前記圧送量を算出する。
上記発明によれば、インジェクタからの燃料の噴射期間中における蓄圧部への燃料の圧送量を算出し、その圧送量に基づいて噴射期間の補正量を予め決定することができるので、フィードフォワード制御を実現することができる。本圧送量は、圧力室を形成するシリンダの内周面とプランジャの外周面との間の隙間からの燃料の漏洩量を推定し、その推定値を利用して圧送量を算出することができるので、その隙間からの燃料の漏洩量に起因する圧送量の誤差を抑制することができる。これにより、コモンレールからの燃料の噴射量の算出精度を向上させることができる。
本発明者の実験によれば、シリンダの内周面とプランジャの外周面との間の隙間からの漏れは、コモンレールへの吐出圧の上昇に応じて非線形(急激)に増大することが見出された。したがって、容積型ポンプとの仮定に基づく算出値を補正する方法では、吐出圧の高圧化に対応できないので、本発明は、コモンレールの超高圧化において重要性を増す技術である。
請求項2の発明は、前記蓄圧部の内部圧力を計測するセンサを備え、前記噴射部は、複数のインジェクタを有し、前記制御部は、前記複数のインジェクタのうち前記噴射期間外に前記蓄圧部への燃料の圧送を実行する基準インジェクタを決定する機能と、前記複数のインジェクタのうち前記噴射期間内に前記蓄圧部への燃料の圧送を実行する補正対象インジェクタを決定する機能と、前記噴射期間中における前記蓄圧部の内部圧力に基づいて、前記基準インジェクタの噴射量である基準噴射量と、前記補正対象インジェクタの噴射量である補正噴射量とを実測する噴射量実測部と、前記基準噴射量と前記補正噴射量の差に基づいてフィードバック量を決定する機能と、を有し、前記補正量決定部は、前記フィードバック量に基づいて前記補正量を調整する。
請求項2の発明では、噴射期間中における蓄圧部の内部圧力に基づいて、基準インジェクタの噴射量である基準噴射量と、補正対象インジェクタの噴射量である補正噴射量との差に基づいてフィードバック量を決定することができるので、フィードフォワード補正の予測の誤差を補償して信頼性と精度の高い補正を実現することができる。
請求項3の発明では、前記圧送量算出部は、前記隙間を流れる燃料の流れに対する抵抗値を前記ストロークに基づいて算出し、前記抵抗値を使用して前記漏洩量を推定することを特徴とする。
上記発明によれば、シリンダの内周面とプランジャの外周面との間の隙間からの漏洩の算出において、燃料の流れに対する流路抵抗の抵抗値をストロークに基づいて算出することができるので、漏洩量を簡易かつ正確に推定することができる。
請求項4の発明では、前記圧送量算出部は、前記加圧時の圧力室内の圧力であるプランジャ室圧と、前記蓄圧部の圧力との差に基づいて前記蓄圧部への圧送速度を算出することを特徴とする。
上記発明によれば、プランジャ室圧と蓄圧部の圧力との差に基づいて、高圧通路への圧送速度を算出することができる。この方法は、容積型ポンプとの仮定に基づき容積型ポンプの圧力室の容積変化に応じて圧送量を算出する従来の方法と相違し、圧力室内の容積変化から圧力変化を算出し、その圧力変化に基づいて圧送量を算出することができる。これにより、従来の容積型ポンプとの仮定を必要しないので、超高圧化に伴って忠実性が低下する容積型ポンプの仮定に起因する誤差を排除して正確かつ信頼性の高い計測を超高圧化で実現することができるのである。
請求項5の発明では、前記圧送量算出部は、前記燃料を所定の圧縮性流体とみなし、前記所定の圧縮性流体の体積弾性係数を使用して前記加圧移動に起因する前記加圧時の圧力室内の圧力であるプランジャ室圧の上昇量を算出し、前記所定の圧縮性流体は、前記シリンダと前記プランジャの少なくとも一方の弾性変形と、前記燃料の体積弾性変形の少なくとも一方に基づいて予め決定されている体積弾性係数を有することを特徴とする。
上記発明によれば、燃料がシリンダとプランジャの少なくとも一方の弾性変形と、燃料の体積弾性変形の少なくとも一方に基づいて予め決定されている体積弾性係数を有する所定の圧縮性流体として扱われているので、簡易に弾性変形による圧力室53の拡大を考慮した計算を実現することができる。
なお、本発明は、燃料噴射システムだけでなく、燃料噴射制御装置やその制御方法や制御機能を具現化するコンピュータプログラム、そのプログラムを格納するプログラム媒体あるいはプログラム製品といった形で具現化することもできる。
本実施形態にかかるコモンレール式燃料噴射システム10の構成を示す全体構成図。 コモンレールの圧力と高圧ポンプの吐出量の関係の実験結果を表すグラフ。 高圧ポンプ50の吐出量を計算するための算出式を示す図。 高圧ポンプ50の吐出量を計算するための処理内容を示すフローチャート。 インジェクタの噴射期間とコモンレールへの圧送期間(吐出期間)の重複に起因して噴射量が増加する様子を示す説明図。 本実施形態の噴射補正の内容を比較例と比較して示す説明図。 噴射量補正を実行するための処理内容を示すフローチャート。 本処理の主要な処理の内容を示すブロック図。 噴射量補正に使用される算出式を示す図。 非重複時と重複時の噴射におけるコモンレール内部の燃料の圧力降下の様子を示すチャート。
以下、本発明にかかるコモンレール式燃料噴射システム10を搭載したディーゼルエンジンに適用した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(吐出量算出処理の内容)
図1は、本実施形態にかかるコモンレール式燃料噴射システム10の構成を示す全体構成図である。コモンレール式燃料噴射システム10は、図示しない4サイクル(ストローク)の4気筒ディーゼルエンジン80(以下エンジンと呼ぶ)の各気筒に燃料を噴射するためのシステムである。コモンレール式燃料噴射システム10は、4個のインジェクタ71〜74と、蓄圧容器であるコモンレール60と、コモンレール60に燃料を圧力送する高圧ポンプ50と、高圧ポンプ50に燃料を供給するフィードポンプ30と、フィードポンプ30から高圧ポンプ50への燃料供給量を制御する供給制御弁(SCV)40と、燃料タンク20と、これらを電子制御する電子制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)70とを備えている。
なお、コモンレール60は、蓄圧部とも呼ばれる。また、電子制御ユニット70は、制御装置や制御部とも呼ばれ、上述の圧送量算出部としても機能している。
コモンレール60は、高圧燃料を蓄圧してインジェクタ71〜74に供給するための蓄圧容器である。コモンレール60には、高圧供給配管16を介して高圧ポンプ50から吐出された高圧燃料が供給されている。高圧供給配管16には、高圧ポンプ50への逆流防止用のチェックバルブ15が装備されている。コモンレール60は、その内部に蓄圧されている高圧燃料の圧力を計測するレール圧センサ61を備えている。レール圧センサ61の出力値Poutは、ECU70に入力されている。ECU70は、レール圧力Poutに基づいてコモンレール60の内部に蓄圧されている高圧燃料の総量の変動量を推定することができる。本推定の詳細については後述する。
ECU70は、エンジン回転数Neやアクセル量に応じて噴射タイミングや噴射量を決定し、4個のインジェクタ71〜74に対して噴射指令を実行する。インジェクタ71〜74は、コモンレール60から供給された高圧燃料を4気筒ディーゼルエンジン80の各気筒に燃料を噴射するための電磁式燃料噴射弁である。噴射量については、さらに噴射タイミングと高圧ポンプ50からコモンレール60への圧送タイミングの重複が発生している場合には補正処理が実行される。補正処理の内容については後述する。なお、インジェクタ71〜74は、噴射部とも呼ばれる。
燃料タンク20には、フィードポンプ30に燃料を供給するための燃料供給配管11とリターン流路17とが接続されている。リターン流路17は、高圧ポンプ50のリーク燃料を燃料タンク20に還流させるための流路である。リターン流路17には、コモンレール60のリーク燃料を還流させるためのリターン流路18と、インジェクタ71〜74のリーク燃料を還流させるためのリターン流路19とが直接的にあるいは間接的に接続されている。
フィードポンプ30は、供給制御弁40と燃料供給配管12,13とを介して高圧ポンプ50に燃料を供給する。燃料供給配管13には、供給制御弁40への逆流防止用のチェックバルブ14が装備されている。供給制御弁40は、高圧ポンプ50への燃料の供給量を調整(絞り調整)するための弁である。供給量の調整は、ECU70からの指令によって行なわれる。
高圧ポンプ50は、円筒状の内壁であるシリンダ壁面54と、シリンダ壁面54に摺動可能に格納されているプランジャ51と、プランジャ51に往復運動させるために駆動するカム52とを備えている。プランジャ51は、シリンダ壁面54とともに圧力室53を形成する平面状の端面56と、円柱外周面の形状を有する外周面55とを有している。外周面55は、シリンダ壁面54との間にミクロンオーダーの微小なクリアランス量Crの隙間を有するような外径に設定されている。外周面55とシリンダ壁面54との間の潤滑性は、燃料の一部が圧力室53から内部リターン流路58にリークすることで実現されている。
高圧ポンプ50の作動内容は以下のとおりである。カム52は、エンジン80のクランクシャフト(図示せず)からの駆動力によって角速度ωで回転する。高圧ポンプ50は、図1では、プランジャ51が下死点からストロークX1だけ圧力室53を狭くする方向に移動した状態である。下死点は、プランジャ51の端面56がシリンダ壁面54の端部面57から距離Lだけ挿入された位置に設定されている。外周面55とシリンダ壁面54との間の摺動面は、軸線方向に長さX2だけ形成されている。長さX2は、端部面57から下死点位置の端面56までの距離Lと、プランジャ51のストロークX1との加算量となる。
高圧ポンプ50は、以下のようにして圧力室53に燃料を吸入する。燃料の吸入は、カム52によって駆動されたプランジャ51が供給制御弁40からの燃料の供給量に応じて下降(圧力室53を拡大する方向)に移動することによって行なわれる。高圧ポンプ50は、以下のようにしてコモンレール60に燃料を圧送する。燃料の圧送は、カム52によって駆動されたプランジャ51が上昇(圧力室53を狭くする方向)に移動して加圧することによって行なわれる。このような移動は、加圧移動とも呼ばれる。
高圧ポンプ50は、プランジャを有するいわゆる容積型ポンプなので、従来は、燃料を非圧縮性流体として捉えて圧力室53の変動量を基礎としてコモンレール60への吐出量Q1を計測していた。しかしながら、本発明者は、コモンレール60の高圧化に伴って、外周面55とシリンダ壁面54との間のクリアランス量Crの隙間からのリーク量Q2が急激に増大することを発見するとともに、リーク量Q2の増大に関わらず吐出量Q1を正確に計測する技術を考案した。
図2は、コモンレールの圧力と高圧ポンプの吐出量(圧送量)の関係の実験結果を表すグラフである。横軸は、コモンレールの圧力であるレール圧Poutの実験時の最大圧力を「1」としてその対比として示している。縦軸は、所定のストロークでの高圧ポンプの吐出量の実験時の最大吐出量を「1」としてその対比として示している。
線C1は、リーク量Q2を考慮しない従来の方法で計測した結果を表している。線C2は、リーク量Q2を考慮する後述の実施形態の方法で計測した結果を表している。線C3は、実測値である。本図から分かるように、従来の方法では、コモンレールの高圧化に伴って誤差が急激に拡大しているのに対して、実施形態の方法は、高圧化に関わらず正確に吐出量を計測可能なことがわかる。
図3は、高圧ポンプ50の吐出量を計算するための算出式を示す図である。算出式F1〜F4は、従来の圧力室53の容量変化に基づく方法とは本質的に相違し、圧力に基づいて算出する点を特徴としている。算出式F1は、チェックバルブ15をオリフィスとみなして流量を計算する算出式である。算出式F1は、圧力室53の圧力であるプランジャ室圧Proomと、コモンレール60の内部圧力であるレール圧Poutの差圧を利用して瞬間吐出量(流量レートあるいは流速)ΔQ1を算出する。
チェックバルブ15の下流の圧力は、高圧供給配管16における圧力降下がチェックバルブ15における圧力降下に比べて無視できる量であるとしてレール圧Poutで代用している。レール圧Poutは、レール圧センサ61によって計測可能な値である。流量係数Cqは、実験値であり、既知の固定値として利用される。吐出弁開口面積Aは、チェックバルブ15のオリフィス面積(既知)である。燃料密度ρは、既知の固定値である。ただし、プランジャ室圧Proomは、プランジャ室圧の瞬時変化量(変化レート)ΔProomの積算(あるいは積分)によって算出される。
プランジャ室圧の瞬時変化量ΔProomは、算出式F2,F3を使用して算出することができる。算出式F2は、理想気体(圧縮性流体)の状態方程式と同じ考え方によるものである。すなわち、プランジャ室圧の瞬時変化量ΔProomは、燃料加圧量ΔQroomを圧力室53の内容積である圧力室容積Vで除し、体積弾性係数κを乗ずることによって算出される。圧力室容積Vは、プランジャストロークX1に基づいて算出される量である。燃料加圧量ΔQroomは、圧力室容積Vの減少分に相当する燃料が流入したとみなすことによって現れる仮想流量レート(流速)である。
体積弾性係数κは、燃料の体積弾性係数(既知)を利用することができる。ただし、燃料の体積弾性係数だけでなく、シリンダ壁面54の変形やプランジャ51の少なくとも一方の弾性変形による圧力室53の拡大を燃料の体積弾性変形の一部とみなして取り扱うようにしてもよい。すなわち、圧力室53の弾性変形による拡大を燃料の圧縮とみなして体積弾性係数κを決定し、体積弾性係数κを有する所定の流体を燃料の代わりに使用するようにしてもよい。こうすれば、簡易に弾性変形による圧力室53の拡大を考慮した計算を実現することができる。弾性変形は、有限要素法による計算や実験等によって決定することができる。
算出式F3は、燃料加圧量(流速)ΔQroomを計算する算出式である。燃料加圧量ΔQroomでは、プランジャストロークX1の時間微分値と圧力室内面積S1との積として圧力室容積Vの減少分を算出し、その減少分に相当する燃料が流入したとみなされている。一方、圧力室容積Vの減少の際には、外周面55とシリンダ壁面54との間のクリアランス量Crの隙間からのリークも発生するので、リーク量(レート)ΔQ2を上述の仮想流量から減じている。
リーク量ΔQ2は、算出式F4を使用して算出することができる。算出式F4は、円筒の隙間流れ(層流の粘性流)を想定した算出式である。π×d(プランジャ径)は、プランジャ51の外周長なので既知の固定値である。クリアランス量Crは、外周面55とシリンダ壁面54との間の既知の固定値である。μは、燃料の粘性係数なので既知の固定値である。X2は、クリアランス量Crの隙間の軸線方向の長さ(隙間長)であり、プランジャストロークX1に距離L(図1参照)を加算することによって求めることができる。なお、クリアランス量Crは、プランジャ室圧Proomに応じて増大する量として取り扱ってもよい。
算出式F4において、プランジャ室圧Proomの係数の逆数は、流路抵抗の抵抗値として把握することもできる。すなわち、円筒の隙間を流路として把握し、その流路抵抗として考えることができるので、流路抵抗は、流路長X2に比例する値としてプランジャストロークX1の関数として取り扱うこともできる。
外周面55とシリンダ壁面54との間の円筒隙間(クリアランス量Cr)は、ミクロンオーダーの極めて狭い隙間なので、その中の流体の流れは一般に層流となる。乱流判別に利用可能なレイノルズ数Reが極めて小さくなるからである。レイノルズ数Reは、数値が大きくなると流れが乱流に遷移することが知られているが、その計算式(=特性長さL×特性速度v/動粘性係数ν)において特性長さLが隙間の厚さなので数値が極めて小さくなるからである。ただし、乱流となる場合も乱流用の周知の計算式が利用可能であり、リーク量ΔQが隙間長X2に反比例する点で共通している。
図4は、高圧ポンプ50の吐出量を計算するための処理内容を示すフローチャートである。本計算処理は、専用ツール(たとえばAME−Simモデル)や数値積分法(あるいは積算法)を使用してECU70によって実行される。本実施形態では、説明を分かり易くするために最も簡略化された積算方法を例示して説明する。本積算方法は、たとえば10マイクロ秒毎に実行される繰り返し計算処理を含んでいる。
ステップS1では、ECU70は、初期値を入力する。初期値は、加圧開始時の圧力室53の初期圧力Proom0とプランジャ51のプランジャストロークX1である。初期圧力Proom0は、加圧開始時なのでゲージ圧ゼロとなる。プランジャストロークX1は、供給制御弁40によって調量される高圧ポンプ50への燃料の吸入量に基づいて決定される。
ステップS2では、ECU70は、算出式F2〜F4を使用してプランジャ圧上昇量ΔProomを算出する。ECU70は、先ず、算出式F3を使用して燃料加圧量ΔQroomを算出する。プランジャストロークX1の積算量ΔX1は、カム52の角速度ωとカム52のカムプロファイルに基づいて10マイクロ秒の間に進むプランジャストロークX1として算出される。一方、初期圧力Proom0がゲージ圧ゼロなので、リーク量ΔQ2はゼロとなる。最後に、ECU70は、算出された燃料加圧量ΔQroomを使用してプランジャ圧上昇量ΔProomを算出する。
ステップS3では、ECU70は、プランジャ圧上昇量ΔProomを初期圧力Proom0(ゲージ圧ゼロ)に加算してプランジャ室圧Proomを決定する。なお、プランジャ圧上昇量ΔProomの算出時には、算出式F3から分るようにコモンレール60への吐出量は考慮されないが、その理由については後述する。
ステップS4では、ECU70は、プランジャ室圧Proomとレール圧Poutとを比較し、プランジャ室圧Proomがレール圧Pout以下のときには、処理をステップS8に進めて、ステップS5〜ステップS7をスキップする。一方、ECU70は、プランジャ室圧Proomがレール圧Poutよりも大きいときには、処理をステップS5に進める。レール圧Poutは、前述のようにレール圧センサ61(図1参照)の計測値を使用することができる。
ステップS5では、ECU70は、高圧ポンプ50からコモンレール60への燃料の瞬間吐出量ΔQ1を算出する。吐出量の算出は、算出式F1を使用して行われる。瞬間吐出量ΔQ1は、コモンレール60に10マイクロ秒間で吐出される燃料の量である。
ステップS6では、ECU70は、プランジャ圧降下量ΔProomを算出する。プランジャ圧降下量ΔProomは、瞬間吐出量ΔQ1の吐出に起因して降下するプランジャ室圧Proomの変動量である。プランジャ圧降下量ΔProomは、算出式F2を使用して燃料加圧量ΔQroomの代わりに瞬間吐出量ΔQ1を代入することによって算出することができる。
ステップS7では、ECU70は、プランジャ圧降下量ΔProomをプランジャ室圧Proom(ステップS3での決定値)から減算することによってプランジャ室圧Proomを決定する。このように、本計算処理では、プランジャ51の上昇に起因するプランジャ室圧Proomの上昇、コモンレール60への瞬間吐出量ΔQ1の燃料吐出、および燃料吐出(圧送)に起因するプランジャ室圧Proomの降下といった挙動をモデル化している。
ただし、現実には、プランジャ51の上昇に起因するプランジャ室圧Proomの上昇は、燃料吐出に起因するプランジャ室圧Proomの降下によって相殺されつつ発生する。しかしながら、計算処理の時間刻み(この例では10マイクロ秒毎)を適切に小さな値とすることによって、現実の挙動とモデルの差に起因する算出誤差を十分に小さな値とすることができる。これにより、算出式F2,F3を簡略化して簡易な積算を実現している。
このような計算処理(ステップS2〜S7)は、プランジャ51が上死点に達するまで継続して実行され、上死点に達した時点で算出された数値が全てクリアされる。本計算処理は、高圧ポンプ50からコモンレール60への燃料の吐出が現実に開始される前に実行することが可能なので、以下に説明するようにインジェクタ71〜74からの燃料噴射のフィードフォワード制御処理に利用することもできる。
このように、本実施形態の吐出量算出処理は、外周面55とシリンダ壁面54との間の円筒隙間(クリアランス量Cr)から漏れる燃料の量である漏洩量を算出して、コモンレール60への燃料の圧送量(吐出総量)を算出することができる。これにより、コモンレール60の噴射圧(蓄圧)の圧力の上昇に応じて漏れが増大しても、吐出量(圧送量)の算出精度を維持させることができる。
さらに、本実施形態の吐出量算出処理は、プランジャ室圧Proomとコモンレール60の内部圧力であるレール圧Poutの差圧を利用して瞬間吐出量ΔQ1を算出することができるので、レール圧Poutが変動する噴射期間中の吐出についても正確に算出することができる。本発明者は、このような特徴を活かした噴射量補正処理を新たに創作した。
(噴射量補正処理の内容)
図5は、インジェクタの噴射期間とコモンレールへの圧送期間(吐出期間)の重複に起因して噴射量が増加する様子を示す説明図である。図5(a)は、両期間の重複である圧送重複期間が発生しない同期システムを示している。図5(b)は、圧送重複期間が発生する非同期システムを示している。本図中の#1,#2,#3,#4は、エンジン80の各気筒の番号である。
本実施形態では、同期と非同期は、インジェクタ71〜74の噴射期間とコモンレール60への圧送期間の同期性に着目した概念である。一方、高圧ポンプ50を駆動するカム52は、エンジン80のクランクシャフト(図示せず)によって駆動されて、カム52とクランクシャフトの回転は同期している。これにより、ECU70は、非同期システムにおいても噴射期間と圧送期間のタイミングの関係を予測することができる。
図5(a)の同期システムでは、エンジン80のサイクルが完了して4個全ての気筒の噴射が完了する間において、ポンプの圧送回数が4回となっている。図5(a)では、たとえば周知の構成である2個の高圧ポンプ50をカム52の両側から挟む構成とし、カム52の2回転で4回の圧送が行なわれている。一方、エンジン80は、4ストロークの内燃機関なので、クランクシャフトが2回転する毎に1サイクルが完了し、全気筒の噴射が完了することになる。すなわち、ポンプ回転数NPとエンジン回転数Neの回転比は、1:1であり、カム52が1回転する毎にクランクシャフトが1回転することになる。
ECU70は、ポンプのカムリフトに基づいて駆動電流波形のタイミングを調整して、噴射期間とポンプの圧送期間を同期させることができる。これにより、ポンプの圧送期間を噴射期間から外すことができるので、噴射期間とポンプの圧送期間の重複(圧送重複期間)に起因する噴射量のばらつきを排除することができる。
図5(b)の同期システムでは、ポンプ回転数NPとエンジン回転数Neの回転比は、3:4であり、カム52が3回転する毎にクランクシャフトが4回転することになる。この例では、エンジン80のサイクルが完了して4個全ての気筒の噴射が完了する間において、ポンプの圧送回数が3回となる。このような例は、たとえば比較的に小排気量のエンジンに高圧ポンプ50を共用させる際に、過大な高圧ポンプ50の容量を考慮して圧送回数を削減することによって発生する。
このような非同期システムでは、ECU70は、ポンプのカムリフトに基づいて駆動電流波形のタイミングを調整して、噴射期間とポンプの圧送期間を同期させることができない。この結果、圧送期間の重複(圧送重複)に起因する噴射量のばらつき(増大)が発生し、気筒間噴射量差が発生することになる。
図6は、本実施形態の噴射補正の内容を比較例(上述の例)と比較して示す説明図である。比較例に示されるように、非同期システムでは、圧送重複に起因して噴射量が増大していることが分る。この増大は、駆動電流波形が噴射時において、燃料噴射に起因するレール圧の低下の発生を想定しているにも関わらず、高圧ポンプ50からの燃料の圧送によってレール圧が上昇してしまうことに起因している。
本実施形態では、ポンプの圧送に起因するレール圧の上昇を想定した波形の補正(TQ補正、すなわち閉弁タイミングを早くする補正)を行なうことによって重複吐出量を抑制することによって実現されている。重複吐出量とは、ポンプの圧送に起因する噴射量の増大を意味している。
図7は、噴射量補正を実行するための処理内容を示すフローチャートである。図8は、本処理の主要な処理の内容を示すブロック図である。図9は、噴射量補正に使用される算出式を示す図である。本計算処理は、ECU70によって実行される。本処理は、エンジン80の気筒毎に一定の周期で実施される処理である。
ステップS11では、ECU70は、エンジン80の運転状態が定常であるか否かを判定する。処理の結果、アクセルが踏み込まれて加速中であるといった非定常状態であると判定されると、処理がステップS12に進められて全ての補正処理がスキップされる。非定常状態では、噴射タイミングが刻々と変動するのでフィードフォワード制御処理の前提となっている予測が崩れて補正処理によって却って悪影響を発生させる可能性があるからである。一方、定常であると判定されると、処理がステップS13とステップS14とに進められる。
ECU70は、ステップS13とステップS14の処理を並行して実行する。ステップS13では、噴射期間が算出される。噴射期間は、エンジン80の回転数Neと負荷とによって決定される。具体的には、たとえば噴射期間の始期はエンジン80の回転数Neによって決定され、噴射期間の終期は負荷によって決定される。一方、ステップS14では、ポンプ吐出期間が算出される。ポンプ吐出期間の始期は、高圧ポンプ50の吐出量に基づいて決定される(図8のステップS14参照)。
ステップS15では、ECU70は、噴射期間と吐出期間の有無を判定する。本実施形態では、#1,#2,#3の気筒は、常に重複が発生することになる。一方、#4の気筒は、重複が発生しないことになる。したがって、本実施形態のエンジン80では、ステップS15は不用とも考えられるが、カム52とクランクシャフトの回転比やエンジン80の噴射特性によっては必要となるステップである。
ステップS16では、ECU70は、重複期間を算出する。重複期間の算出は、ステップS13とステップS14の算出値を使用して行われる。これにより、重複期間の始期と終期とが算出される。
ステップS17では、ECU70は、重複時吐出量Qoutを算出する。重複時吐出量Qoutは、算出式F5(図9参照)を使用し、上述の方法(図3,図4)の処理方法を利用して算出することができる。この際に、重複時吐出量Ooutに起因するレール圧Poutの変動(上昇)をも考慮した計算によって算出精度を向上させるようにしてもよいし、あるいは重複時吐出量Ooutに起因するレール圧Poutの変動(上昇)を考慮しない簡易な計算方法としても良い。
ステップS18では、ECU70は、フィードバックがあるか否かを判定する。この判定は、後述するフィードバックフラグに基づいて判定される。フィードバックがある場合には、フィードバック量Qfbが加算(ステップS19)された後に処理がステップS21に進められる。一方、フィードバックがない場合には、フィードバック量Qfbが非加算(ステップS20)で処理がステップS21に進められる。
ステップS21では、ECU70は、レール圧変化量ΔPoutを算出する。レール圧変化量ΔPoutは、算出式F6(図9参照)を使用して算出することができる。算出式F6は、上述の算出式F2と同様の考え方に基づく式である。レール圧変化量ΔPoutは、たとえば重複時吐出量Ooutとフィードバック量Qfbの加算量(あるいは非加算)に基づいて算出することができる(図8参照)。
ステップS22では、ECU70は、噴射期間TQの補正量TQcを決定する。補正量TQcの決定は、予め準備されているマップ(図8のステップS22参照)を使用して行われる。本マップは、実験によって求められたものである。これにより、フィードフォワード制御による噴射量の補正処理の準備が噴射前に完了したことになる。
ステップS23では、ECU70は、噴射処理を実行する。噴射処理は、補正量TQcを使用して補正された駆動電流波形を使用して駆動することによって実行される。補正量TQcは、噴射期間の短縮量の決定に利用される。
ステップS24では、ECU70は、噴射前後のレール圧を実測する。レール圧の実測は、レール圧センサ61を使用して行われる。レール圧の実測は、次回のサイクルの噴射量補正のためにフィードバック処理(図8のステップS24,S25参照)を実現するために実行される。
ステップS25では、ECU70は、気筒差検出処理を実行する。気筒差検出処理は、高圧ポンプ50への圧送期間(吐出期間)と噴射期間の重複がない#4の気筒の噴射量の実測値Qi(基準噴射量)と、重複がある他の#1〜#3の気筒の噴射量の実測値Q‘i(補正噴射量)とを比較し、これにより重複の有無に起因する噴射量の気筒差を検出する処理である。各気筒の噴射量は、コモンレール60の内部燃料の圧力降下の実測値に基づいて算出される。
図10は、非重複時と重複時の噴射におけるコモンレール60の内部燃料の圧力降下の様子を示すチャートである。非重複時においては、噴射開始時の噴射圧P1から噴射終了時の噴射圧P2までコモンレール60の内部燃料の圧力が降下する。この圧力は、噴射に起因するものなので、この圧力降下量を使用して噴射量を計測することができる。具体的には、重複がない#4の気筒の噴射量Qiは、図9の算出式F7を使用してECU70によって算出される。
一方、重複時においては、噴射開始時の噴射圧P’1から噴射終了時の噴射圧P’2までコモンレール60の内部燃料の圧力が降下する。ただし、圧力降下量は、重複時吐出量Ooutに起因するΔPoutによって減殺されているのでΔPoutが加算されている。この結果、重複がある#1〜#3の気筒の噴射量の実測値Q’iは、図9の算出式F8を使用してECU70によって算出されることになる。
気筒差検出処理は、重複がない#4の気筒の噴射量Qiを基準とし、その基準値と重複がある#1〜#3の気筒の噴射量Q’iの各々との差を検出(図9の算出式F9参照)して、フィードバック量Qfbを算出する処理である。これにより、#1〜#3の気筒の各々についてフィードバック量Qfbが算出されることになる。なお、重複がない#4の気筒に燃料を噴射するインジェクタ74は、基準インジェクタとも呼ばれる。重複がある#1〜#3の気筒に燃料を噴射するインジェクタ71〜73、補正対象インジェクタとも呼ばれる。
ステップS26では、ECU70は、フィードバック量Qfbが閾値以内(すなわち所定の範囲内)であるか否かを判定する。この判定の結果、フィードバック量Qfbが閾値以内であるときには、フィードバックフラグを「フィードバック有り」にし、ECU70が有する図示しないメモリにフィードバック量Qfbを格納する。一方、フィードバック量Qfbが閾値以外であるときには、フィードバックフラグを「フィードバック無し」にする。
フィードバックフラグは、上述のステップS18(フィードバックの有無の判定)において使用される。フィードバック量ΔQfbは、上述のステップS19(フィードバック量加算)で使用される。これにより、次回の噴射では、フィードバック量ΔQfbを使用することによって実測値に基づいた補正がなされた駆動電流波形で噴射することができる。
本発明者は、フィードバック量ΔQfbを使用する補正は、特に実使用環境(燃料粘性)変化によるフィードフォワード補正量のズレの補償に利用することができるという顕著な効果を奏することを見出した。
このように、本実施形態の噴射量補正処理は、コモンレール60への圧送期間と噴射期間が重複してもコモンレール60への圧送量(吐出量)を予測して、フィードフォワード補正を行なって重複圧送に起因する噴射誤差を補償することができる。さらに、本実施形態の噴射量補正処理は、噴射時の噴射圧を監視することによって、気筒差検出処理によってフィードバック量ΔQfbを生成することができるので、フィードフォワード補正の予測の誤差をも補償して信頼性と精度の高い補正の実現にも成功している。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、ポンプ回転数NPとエンジン回転数Neの回転比は、3:4のシステムであるが、これに限られず、本発明は、インジェクタの噴射期間とポンプの圧送期間とが重複するシステムに広く適用することができる。
(2)上記実施形態では、高圧ポンプの調量方式は絞り調整であるが、たとえば溢流方式といった他の調量方式にも適用することができる。
10…コモンレール式燃料噴射システム、16…高圧供給配管、20…燃料タンク、30…フィードポンプ、40…供給制御弁、50…高圧ポンプ、51…プランジャ、52…カム、53…圧力室、54…シリンダ壁面、60…コモンレール、61…レール圧センサ、70…ECU。

Claims (7)

  1. 燃料を蓄圧する蓄圧部と、
    内部に圧力室が形成されているシリンダと、
    前記シリンダ内において加圧方向への移動である加圧移動を行ない、前記加圧移動で前記圧力室内の容積変化を生じさせることによって燃料を前記蓄圧部へ圧送するプランジャと、
    前記蓄圧部に蓄圧された燃料を噴射するインジェクタを有する噴射部と、
    前記インジェクタからの燃料の噴射量を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記インジェクタからの燃料の噴射期間中における前記蓄圧部への燃料の圧送量を算出する圧送量算出部と、
    前記噴射期間中における圧送量に基づいて前記噴射期間の補正量を決定する補正量決定部と、
    を有し、
    前記圧送量算出部は、前記圧力室の内周面と前記プランジャの外周面との間の隙間からの燃料の漏洩量を推定し、前記推定された漏洩量と、前記加圧移動時のプランジャのストロークに応じた前記圧力室内の容積変化量と、を使用して前記圧送量を算出する燃料噴射システム。
  2. 前記蓄圧部の内部圧力を計測するセンサを備え、
    前記噴射部は、複数のインジェクタを有し、
    前記制御部は、
    前記複数のインジェクタのうち前記噴射期間外に前記蓄圧部への燃料の圧送を実行する基準インジェクタを決定する機能と、
    前記複数のインジェクタのうち前記噴射期間内に前記蓄圧部への燃料の圧送を実行する補正対象インジェクタを決定する機能と、
    前記噴射期間中における前記蓄圧部の内部圧力に基づいて、前記基準インジェクタの噴射量である基準噴射量と、前記補正対象インジェクタの噴射量である補正噴射量とを実測する噴射量実測部と、
    前記基準噴射量と前記補正噴射量の差に基づいてフィードバック量を決定する機能と、
    を有し、
    前記補正量決定部は、前記フィードバック量に基づいて前記補正量を調整する請求項1記載の燃料噴射システム。
  3. 前記圧送量算出部は、前記隙間を流れる燃料の流れに対する抵抗値を前記ストロークに基づいて算出し、前記抵抗値を使用して前記漏洩量を推定する請求項1又は2に記載の燃料噴射システム。
  4. 前記圧送量算出部は、前記加圧時の圧力室内の圧力であるプランジャ室圧と、前記蓄圧部の圧力との差に基づいて前記蓄圧部への圧送速度を算出する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の燃料噴射システム。
  5. 前記圧送量算出部は、前記燃料を所定の圧縮性流体とみなし、前記所定の圧縮性流体の体積弾性係数を使用して前記加圧移動に起因する前記加圧時の圧力室内の圧力であるプランジャ室圧の上昇量を算出し、
    前記所定の圧縮性流体は、前記シリンダと前記プランジャの少なくとも一方の弾性変形と、前記燃料の体積弾性変形の少なくとも一方に基づいて予め決定されている体積弾性係数を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料噴射システム。
  6. 燃料を蓄圧する蓄圧部と、内部に圧力室が形成されているシリンダと、前記シリンダ内において加圧方向への移動である加圧移動を行ない、前記加圧移動で前記圧力室内の容積変化を生じさせることによって燃料を前記蓄圧部へ圧送するプランジャと、前記蓄圧部に蓄圧された燃料を噴射するインジェクタを有する噴射部と、を有する燃料噴射装置を制御する燃料噴射制御装置であって、
    前記インジェクタからの燃料の噴射期間中における前記蓄圧部への燃料の圧送量を算出する圧送量算出部と、
    前記噴射期間中における圧送量に基づいて前記噴射期間の補正量を決定する補正量決定部と、
    前記補正された噴射量に基づいて前記インジェクタからの燃料の噴射量を制御する噴射量制御部と、
    を有し、
    前記圧送量算出部は、前記圧力室の内周面と前記プランジャの外周面との間の隙間からの燃料の漏洩量を推定し、前記推定された漏洩量と、前記加圧移動時のプランジャのストロークに応じた前記圧力室内の容積変化量と、を使用して前記圧送量を算出する燃料噴射制御装置。
  7. 燃料を蓄圧する蓄圧部と、内部に圧力室が形成されているシリンダと、前記シリンダ内において加圧方向への移動である加圧移動を行ない、前記加圧移動で前記圧力室内の容積変化を生じさせることによって燃料を前記蓄圧部へ圧送するプランジャと、前記蓄圧部に蓄圧された燃料を噴射するインジェクタを有する噴射部と、を有する燃料噴射装置の制御を制御装置に実現させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記インジェクタからの燃料の噴射期間中における前記蓄圧部への燃料の圧送量を算出する圧送量算出機能と、
    前記噴射期間中における圧送量に基づいて前記噴射期間の補正量を決定する補正量決定機能と、
    前記補正された噴射量に基づいて前記インジェクタからの燃料の噴射量を制御する噴射量制御機能と、
    を前記制御装置に実現させるプログラムを備え、
    前記圧送量算出機能は、前記圧力室の内周面と前記プランジャの外周面との間の隙間からの燃料の漏洩量を推定し、前記推定された漏洩量と、前記加圧移動時のプランジャのストロークに応じた前記圧力室内の容積変化量と、を使用して前記圧送量を算出する機能を含んでいるコンピュータプログラム。
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