JP2012162626A - 1液湿気硬化型樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温時における柔軟性を確保することができる1液湿気硬化型樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の1液湿気硬化型樹脂組成物は、末端にイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー(A)と、大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するイミン化合物(B)と、非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)と、を含む。これにより、液ダレを抑制し、貯蔵安定性を確保しつつ、低温時における柔軟性を確保することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、非金属石鹸からなる表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウムと、ウレタンプレポリマーとを含み、建築物の目地などに対して良好な接着を確保でき、接着剤、シーリング材などに好適に用いることができる1液湿気硬化型樹脂組成物に関する。
シーリング材は、建築物などにおいて各種部材間の接合部や隙間を充填し、水密性・気密性などを確保する目的で幅広く使用されている。代表的な建築物用のシーリング材として、ウレタン樹脂、変成シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリサルファイド樹脂などからなるシーリング材が挙げられる。シーリング材には硬化方法の違いにより、主剤と硬化剤を混合することにより硬化させる2成分形と、空気中の湿気や酸素を利用して硬化させる1成分形とがある。
このうち1成分形シーリング材、特に末端にイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーからなる1成分形ウレタン系シーリング材は、主剤と硬化剤を混合する手間が無く、主剤と硬化剤の計量ミスによる硬化不良もないため、作業性に優れ、安心して使用できる。また、末端にイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーからなる1成分形ウレタン系シーリング材は、硬化後低モジュラスかつ高伸びでゴム弾性などが良好で、接着性や耐久性に優れていることなどから、年々使用量が増加している。
ウレタンプレポリマーを含む1液湿気硬化型樹脂組成物は、ウレタンプレポリマーの末端にあるイソシアネート基が施工時の環境雰囲気中に存在する水分や被着体に含まれる水分と反応して炭酸ガスを生成するため、1液湿気硬化型樹脂組成物が硬化する際に発泡が生じていた。
ウレタンプレポリマーを含む1液湿気硬化型樹脂組成物が硬化する際に発生する発泡を抑制するため、例えば、オキサゾリジン環を有するオキサゾリジン化合物などの潜在性硬化剤を含む1液湿気硬化型樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。オキサゾリジン化合物はウレタンプレポリマーのイソシアネート基より優先して水分と反応する。このため、1液湿気硬化型樹脂組成物は、潜在性硬化剤としてオキサゾリジン化合物を含めることで、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が水分と反応するのを抑制し、炭酸ガスが生成されるのを抑制できるため、1液湿気硬化型樹脂組成物が硬化する際に発泡が生じるのを抑制していた。
特開平7−10949号公報
しかしながら、オキサゾリジン化合物が大気中の水分と反応して生成されるアミンは2級アミンであるため、硬化物中にはイソシアネート基との反応により生じるウレアセグメントが多くなり、凝集力が強くなるため、低温時の柔軟性が著しく低下する、という問題があった。そのため、イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーを配合した組成物を硬化して得られる接着剤などシーリング材は、低温時における柔軟性が低下することにより、追従性を必要とする建築物を構成する目地などにおいて冬季に剥離や破壊などを生じる虞がある。
本発明は、前記問題に鑑み、低温時における柔軟性を確保することができる1液湿気硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、次に示す(1)〜(3)である。
(1) 末端にイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー(A)と、
大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するイミン化合物(B)と、
非金属石鹸からなる表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)と、を含むことを特徴とする1液湿気硬化型樹脂組成物。
(2) 前記非金属石鹸が、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩およびアミン塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)に記載の1液湿気硬化型樹脂組成物。
(3) 前記炭酸カルシウム(C)の含有量が、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して30質量部以上300質量部以下である上記(1)または(2)に記載の1液湿気硬化型樹脂組成物。
(4) 前記イミン化合物(B)が、オキサゾリジン化合物である上記(1)から(3)の何れか1つに記載の1液湿気硬化型樹脂組成物。
本発明によれば、低温時における柔軟性を確保することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態に係る1液湿気硬化型樹脂組成物(以下、「本実施形態に係る組成物」という。)は、末端にイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー(A)と、大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するイミン化合物(B)と、非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)と、を含む。
<ウレタンプレポリマー(A)>
本実施形態に係る組成物に含有されるウレタンプレポリマー(A)は、分子内に複数のイソシアネート基を分子末端に含有するポリマーである。ウレタンプレポリマー(A)は、取り扱いの観点から室温で液状であるものが好ましい。ウレタンプレポリマー(A)の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来より公知の方法が挙げられる。ウレタンプレポリマー(A)は、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、イソシアネート基(NCO基)がヒドロキシ基(OH基)に対して過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。ウレタンプレポリマー(A)は、一般に、0.5質量%以上10質量%以下のNCO基を分子末端に含有するものである。
ウレタンプレポリマー(A)を作製する際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物のカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物と後述するポリオール化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマー;などが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、入手し易く、安価である点から、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ウレタンプレポリマーを生成するポリオール化合物は、OH基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、その具体例としては、低分子多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオールなどが挙げられる。
低分子多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3−または1,4−)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;などが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオール化合物と、ジアルキルカーボネートとのエステル交換反応により得られる。このポリオール化合物としては、具体的には、例えば、上記で例示した各種低分子多価アルコール類のうち、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどが好適に挙げられる。また、このジアルキルカーボネートとしては、例えば、下記式(1)で表されるジアルキルカーボネートを使用することができる。
Figure 2012162626
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、炭素数12以下のアルキル基である。)
上記式(1)で表されるジアルキルカーボネートとしては、具体的には、例えば、ジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートが好適に挙げられる。
上記ポリオール化合物と、上記ジアルキルカーボネートとのエステル交換反応に適した触媒としては、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物;ナトリウムメチレート、カリウムメチレート、チタンテトライソプロピレート、ジルコニウムテトライソプロピレートなどの金属アルコレート;などが挙げられる。これらのうち、チタンテトライソプロピレート、ジルコニウムテトライソプロピレートが好ましい。
ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールとしては、通常、上記低分子多価アルコール類から導かれるものが用いられるが、本実施形態においては、更に芳香族ジオール類、アミン類、アルカノールアミン類から導かれるものも好適に用いることができる。
芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;などが挙げられる。
Figure 2012162626
アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミンなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、アミン類およびアルカノールアミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドおよびスチレンオキサイドなどから選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオールなどが挙げられる。
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ソルビトール系ポリオールなどが挙げられる。
ビスフェノール骨格を有するポリエーテルポリオールの具体例としては、ビスフェノールA(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)に、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、アミン類およびアルカノールアミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物(縮合系ポリエステルポリオール);ラクトン系ポリオール;などが挙げられる。
上記縮合系ポリエステルポリオールを形成する多塩基性カルボン酸としては、具体的には、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、他の低分子カルボン酸、オリゴマー酸、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコールとの反応生成物などのヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体などが挙げられる。
ビスフェノール骨格を有するポリエステルポリオールとしては、上記低分子多価アルコール類に代えて、または低分子多価アルコール類とともに、ビスフェノール骨格を有するジオールを用いて得られる縮合系ポリエステルポリオールが挙げられる。具体的には、ビスフェノールAとヒマシ油とから得られるポリエステルポリオール、ビスフェノールAとヒマシ油とエチレングリコールとプロピレングリコールとから得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素−炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;などが挙げられる。
本実施形態においては、以上で例示した種々のポリオール化合物を1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記ウレタンプレポリマーは、上述したように、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物を反応させることによって得られるものであり、その具体例としては、上記で例示した各種ポリオール化合物と、各種ポリイソシアネート化合物との組み合わせによるものが挙げられる。
このようなウレタンプレポリマーの粘度は、一般的に50Pa・s以下であり、3Pa・s以上20Pa・s以下であるのが好ましく、5Pa・s以上15Pa・s以下であるのがより好ましい。
本実施形態においては、このようなウレタンプレポリマーの質量平均分子量は、2000以上100000以下であるのが好ましく、3000以上30000以下であるのがより好ましい。ウレタンプレポリマーの質量平均分子量が上記範囲内であると、得られる本実施形態に係る組成物の作業性が良好となるため、好ましい。なお、本実施形態においては、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(Gel permeation chromatography:GPC)によって測定されたものである。
ウレタンプレポリマー(A)を作製する際のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを混合する割合は、ポリオール化合物中のヒドロキシ(OH)基に対するポリイソシアネート化合物中のイソシアネート(NCO)基の数の比(NCO/OH)が1.05以上2.50以下であるのが好ましく、1.1以上2.3以下であるのがより好ましい。このような範囲の場合、ウレタンプレポリマー(A)の粘度が適度であり、硬化物の伸びが優れている。
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応は、特に制限されるものではなく、例えば、上述の量比のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、50℃以上130℃以下で加熱し撹拌して製造する方法が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(A)の作製方法は、特に制限されるものではなく、ウレタンプレポリマー(A)は、例えば、上述の所定量の比(NCO/OH)のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、50℃以上130℃以下で加熱し撹拌することによって作製することができる。また、必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミンのようなウレタン化触媒を用いることができる。
<イミン化合物(B)>
本実施形態に係る組成物に含有されるイミン化合物(B)は、大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するものである。イミン化合物(B)は、ウレタンプレポリマー(A)など硬化性樹脂に対して使用できるものであれば特に限定されない。イミン化合物(B)は、潜在性硬化剤として用いられ、ウレタンプレポリマー(A)に対する硬化性、配合してから塗布するまでの作業性、貯蔵安定性に優れる。
上記イミン化合物(B)は、ケトンやアルデヒドなどのカルボニル化合物と、アミンとから導かれる化合物である。具体的には、カルボニル化合物とポリアミンとの反応物であるケチミン類、エナミン類;アミノアルコールとカルボニル化合物との反応物であるオキサゾリジン化合物などが挙げられる。本実施形態に係る組成物の常温下での硬化時間短縮や保存安定性の観点から、イミン化合物(B)としてオキサゾリジン化合物を使用することが好ましい。
オキサゾリジン化合物をイミン化合物(B)として用いることにより、得られる本実施形態に係る組成物は、常温下で湿気硬化が可能であり、貯蔵安定性に優れると共に、硬化性に優れ、硬化速度を調整することができ、硬化時間を大幅に短縮することができる。また、耐発泡性も良好にすることができる。
オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子とを含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2から6個有する化合物である。オキサゾリジン化合物は、大気中の水分(湿気)と反応して加水分解を受け、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することにより、ウレタンプレポリマー(A)の潜在性硬化剤として機能するものである。ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が湿気と反応すると尿素結合を生成して硬化するが、この際、炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下などの不具合を生じるが、ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物とを混合したものを湿気に暴露した場合は、湿気とイソシアネート基が反応する前にオキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が湿気により加水分解を受けて2級アミノ基とアルコール性水酸基を再生し、これらの活性水素がイソシアネート基と反応して炭酸ガスを発生することなく硬化することにより、本実施形態に係る組成物の炭酸ガスによる発泡を防止できるものである。
また、上述のウレタンプレポリマー(A)の合成において、ポリイソシアネート化合物として脂肪族系ポリイソシアネートを用いた場合、水分だけの反応だと硬化速度が極端に遅延してしまうが、オキサゾリジン化合物を併用することにより、これと水分との反応により再生する2級アミノ基と脂肪族系ポリイソシアネート由来のイソシアネート基との反応は、水分との反応より反応速度が大きいため硬化速度を速められ、後述する硬化促進触媒の使用量を低減することができるという効果を有する。
オキサゾリジン化合物としては、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられる。これらのオキサゾリジン化合物は、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、ウレタンプレポリマー(A)のポリイソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させることにより得られる。これらのオキサゾリジン化合物のうち、製造し易く粘度が低いという観点からウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。
この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1.0モル以上、好ましくは1.0倍モル以上1.5倍モル以下、更に好ましくは1.0倍モル以上1.2倍モル以下使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去すればよい。
アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。これらはいずれも単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、得られる1成分形室温硬化型シーリング材が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9以上ら1.2以下の範囲、好ましくは0.95以上1.05以下の範囲となるように使用し、有機溶剤の存在下または不存在下に50℃以上120℃以下の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
前記ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物は、前述のポリサルファイド含有プレポリマーの合成に用いられるのと同様のものが挙げられ、このうちウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶化度を低下させ、シーリング材の作業性を良好にできる点で、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
イミン化合物(B)はその製造について特に制限されない。例えば、ケトンやアルデヒドなどのカルボニル化合物と、アミンとを、無溶媒下、またはベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶媒存在下において、加熱環流させ、脱離してくる水を共沸により除きながら反応させることにより得ることができる。
イミン化合物(B)の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)が有するイソシアネート基の数に対する、イミン化合物(B)から発生し得る活性水素の数の比が、0.01以上4.0以下になる量であるのが好ましく、0.05以上2.0以下になる量であるのがより好ましく、0.05以上1.5以下になる量であるのが更に好ましい。イミン化合物(B)の含有量がこの範囲であると、イミン化合物(B)の加水分解反応により硬化反応が進行し、得られる本実施形態の組成物は、硬化性に優れる。
<非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)>
非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)(以下、「炭酸カルシウム(C)」という。)は、非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて炭酸カルシウムを表面処理して得られるものである。ウレタンプレポリマー(A)に炭酸カルシウム(C)を含めることで、優れた揺変性を付与することができる。炭酸カルシウム(C)の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して30質量部以上300質量部以下が好ましく、更に好ましくは50質量部以上200質量部以下である。炭酸カルシウム(C)の含有量が、30質量部以上であると、本実施形態に係る組成物の粘度は高く作業性に優れる。また、炭酸カルシウム(C)の含有量が、300質量部以下であると、本実施形態に係る組成物の粘度が高くなり過ぎず作業性に優れるからである。
表面処理剤を用いて表面処理する炭酸カルシウムは、特に制限はなく、例えばCa(OH)2の水スラリーにCO2ガスを導入して生成させる沈降製炭酸カルシウム、石灰石を機械的に粉砕、分級して得られる重質炭酸カルシウムのいずれの炭酸カルシウムでもよい。一般的には沈降製炭酸カルシウムの方が、より微細な粒子が得られやすい点で好ましく用いることができる。
表面処理剤として用いられる非金属石鹸は、特に限定されるものではないが、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸については特に制限はないが、炭素数は多い方が好ましく、炭素数は8以上であるのが好ましい。炭素数を多くすることで、本実施形態の組成物は、貯蔵安定性に加え、高いチキソ性を兼ね備えることができる。
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸および飽和不飽和混合脂肪酸のアンモニウム塩またはアミン塩としては、具体的には、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、セトレイン酸、ソルビン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化パーム核脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化パーム核脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸などのアンモニウム塩またはアミン塩が挙げられる。また、脂環族カルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩としては、例えば、ナフテン酸、安息香酸、フェニル酢酸などのアンモニウム塩またはアミン塩が挙げられる。また、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩としては、例えば、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸などの樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩の中でも特に好ましいものとしては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、部分硬化パーム核脂肪酸、極度硬化パーム核脂肪酸、ヤシ脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸などの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩が挙げられる。
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアミン塩として使用される水溶性アミン化合物としてはアルキル置換アミンとアルカノールアミンが挙げられる。具体的には、炭素数が1以上4以下のアルキル基で置換されたアミン化合物としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミンが挙げられ、炭素数が1以上3以下のアルカノール基で置換されたアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミンが挙げられ、炭素数が1以上4以下のアルキル基および炭素数が1以上3以下のアルカノール基で置換されたアルキルアルカノールアミンとしては、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミンが挙げられる。その他の水溶性アミン化合物としては、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパンなどが挙げられ、それらの中でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンが一般的で好ましく用いることができ、特に、トリエタノールアミンが最も好適に用いることができる。
従来より一般的に使用されている脂肪酸ナトリウム石鹸、脂肪酸カリウム石鹸、樹脂酸アルカリ石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸石鹸などの界面活性剤を表面処理剤として用いて表面処理された炭酸カルシウムを、ウレタン系ポリマーを含む1液湿気硬化型樹脂組成物に配合した場合、表面処理剤に起因するナトリウム(Na)およびカリウム(K)の影響や、界面活性剤の親水性の影響により、貯蔵安定性が悪化する。これらアルカリ金属を水洗により除去すれば貯蔵安定性が得られるが、大量の洗浄水と除去設備が必要となり、コストが増大する。また、洗浄によってアルカリ金属を完全に除去するのは困難であるため、1液湿気硬化型樹脂組成物における貯蔵安定性は不十分である。一方、脂肪酸単独で表面処理した場合においても、水可溶性の塩に比べれば表面処理状態は十分でない。これに対して、炭酸カルシウム(C)のように、非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した場合、水洗の必要がなく、また、表面処理剤は水可溶性であるため、表面処理状態も良好である。また、脂肪酸エステルで炭酸カルシウムを表面処理して使用した場合、貯蔵安定性は良好であるが、炭酸カルシウムとの結合力が弱いため、脂肪酸エステルが配合中に溶け出し、悪影響を及ぼす場合がある。これに対し、炭酸カルシウム(C)のように、表面処理剤に含まれる非金属石鹸は、炭酸カルシウム表面との結合力が強いため、配合中への溶出もなく、貯蔵安定性に有効である。
非金属石鹸はそのまま、または、例えば、非金属石鹸を温水に溶かし混合撹拌することにより非金属石鹸の水溶液として使用される。
炭酸カルシウムの表面処理の方法としては、例えば、沈降性炭酸カルシウムの場合は気液反応であるため、調整した非金属石鹸を沈降性炭酸カルシウムの水スラリー中に加え撹拌するか、沈降性炭酸カルシウムの含水ケーキ中に混練することにより炭酸カルシウムの表面に炭非金属石鹸を含む表面処理剤を吸着させる方法が挙げられる。また、水スラリー中または含水ケーキ中に予めアンモニア水溶液もしくはアミン化合物を添加しておき、均一に撹拌、混合した後に飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸および樹脂酸を投入してもよい。または、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸および樹脂酸を投入した後または同時にアンモニア水溶液もしくはアミン化合物を添加してもよい。重質炭酸カルシウムの場合は乾式で粉砕することが多いことから、乾式で表面処理するのが好ましい。乾式で粉砕する場合、例えばヘンシェルミキサーなどの加熱・撹拌装置を使用するのがよい。
水スラリー中で表面処理する場合の沈降性炭酸カルシウムの水スラリーは、濃度が10gCaCO3/L以上300gCaCO3/L以下が好ましい。濃度が10gCaCO3/Lより低いと生産性の面で不利となり、一方、300gCaCO3/Lより高いと水スラリーの粘度が高くなり作業性が悪くなる。また、非金属石鹸水溶液の濃度は、0.5%以上30%以下(酸換算)が好ましい。非金属石鹸水溶液の濃度が0.5%より低いと多量の水が必要となり生産性の面で不利となり、一方、30%より高いと非金属石鹸水溶液の粘度が高くなり、均一に溶解されにくくなるため処理状態が悪くなるおそれがある。
水スラリー中で表面処理する場合の表面処理温度については、好ましくは20℃以上98℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下、更に好ましくは50℃以上80℃以下である。表面処理温度が20℃より低いと、炭酸カルシウムへの吸着結合が起こりにくくなり、表面処理が不均一になるため好ましくない。また、98℃より高いと、本実施形態に係る組成物の効果は十分得られるが、煮沸するおそれがあり危険であるばかりでなく、耐圧性装置を準備する必要があるので好ましくない。
含水ケーキ、もしくは乾式処理の場合、好ましくは20℃以上150℃以下、より好ましくは40℃以上130℃以下、更に好ましくは50℃以上120℃以下である。表面処理温度が20℃より低いと、炭酸カルシウムへの吸着結合が起こり難くなり、表面処理が不均一になるおそれがあるため好ましくない。また、150℃より高いと、非金属石鹸が熱劣化し、変質するおそれがあるため好ましくない。
表面処理前の原料となる炭酸カルシウム、および非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)は、窒素吸着法によるBET法で測定した場合の比表面積Swが3m2/g以上100m2/g以下が好ましく、8m2/g以上60m2/g以下がより好ましく、10m2/g以上40m2/g以下がさらに好ましい。比表面積が3m2 /gより小さい(粒子が大きい)と、たとえ非金属石鹸を表面処理剤として表面処理した炭酸カルシウム(C)を配合した樹脂組成物であっても、優れた貯蔵安定性、接着性は得られるものの、チキソ性が不十分となる場合がある。また、比表面積が100m2 /gより大きい(粒子が小さい)と、粒子の凝集が強く、たとえ非金属石鹸を表面処理剤として用いて表面処理したとしても、樹脂組成物中での分散性が悪くなり、目的とする十分な性能が発揮されない場合がある。通常、表面処理前後で比表面積は若干下がる傾向にあるが、十分に分散されていればほぼ同じ比表面積となる。
非金属石鹸を含む表面処理剤の表面処理量は、下記式(i)により示されるように、単位比表面積当たりの表面処理剤量As[mg/m2]を炭酸カルシウムの比表面積(粒度)Swに応じて変量するのが好ましい。なお、ここでは便宜上、Swは表面処理後の炭酸カルシウムの比表面積を用いることとする。
As=Tg/Sw [mg/m2] ・・・(i)
Swは、窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)であり、Tgは、200℃以上500℃以下の表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量(mg/g)である。
一般的に、上記式(i)において、表面処理剤量Asは0.20mg/m2以上7.50mg/m2以下が好ましく、より好ましくは0.80mg/m2以上7.00mg/m2以下、更に好ましくは1.50mg/m2以上6.00mg/m2以下である。0.20mg/m2以上の場合、表面処理の効果が十分であり、7.50mg/m2以下とすることで経済的に優れる。
<添加剤>
本実施形態に係る組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、可塑剤、シランカップリング剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、安定剤、分散剤、防カビ剤、イミン化合物の開環触媒等が挙げられる。
充填剤としては、各種形状の有機または無機のものが挙げられる。例えば、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;ケイ砂、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;珪藻土;炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;カーボンブラックなどの有機または無機充填剤;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル処理物、脂肪酸エステルウレタン化合物処理物が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール(B)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジペンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル;アルキルスルホン酸フェニルエステル(例えば、Bayer社製のメザモール);連鎖移動剤を用いず、150℃以上350℃以下の重合温度で重合され、数平均分子量が500以上5000以下のアクリル重合体;高分子可塑剤;等が挙げられる。高分子可塑剤とは、数平均分子量(Mn)が、500以上100,000以下、好ましくは500以上100,000以下、より好ましくは500以上50,000以下、更に好ましくは500以上20,000以下、特に好ましくは500以上10,000以下の高分子量で極性基を有する室温で液状の希釈用樹脂をいう。希釈用樹脂の使用量は、硬化速度、硬化物の物性などの点から、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0質量部よりも大きく200質量部以下が好ましく、10質量部以上100質量部以下がより好ましい。希釈用樹脂としては、具体的には、例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂、低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体樹脂、これらの混合物などが挙げられる。前記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシエチレンモノオールやポリオキシプロピレンモノオール等のポリオキシアルキレンモノオールのアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂などが挙げられる。これらはいずれも単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。本実施形態においては、可塑剤は、本実施形態に係る組成物を希釈して粘度を下げ、作業性を向上させるとともに、硬化後のモジュラス、伸び等のゴム弾性物性を調節するためなどに使用されるものであるとの観点から、特に高分子可塑剤を用いることが好ましい。高分子可塑剤を本実施形態に係る組成物に含める場合、高分子可塑剤は希釈用樹脂として用いられる。
シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、特に湿潤面への接着性を向上させる効果に優れ、更に汎用化合物であることから好適に挙げられる。
顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれでも両方でもよい。例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料などの有機顔料などを用いることができる。
染料は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、黒色染料、黄色染料、赤色染料、青色染料、褐色染料が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
安定剤としては、例えば、脂肪酸シリルエステル、脂肪酸アミドトリメチルシリル化合物などが挙げられる。
分散剤は、固体を微細な粒子にして液中に分散させる物質をいい、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム、界面活性剤等が挙げられる。
本実施形態に係る組成物を製造する方法は特に限定されないが、例えば、上記各必須成分と任意性分とを減圧下または窒素などの不活性ガス雰囲気下で、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機、混合ミキサーなどの撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させるなどにより混合する方法が挙げられる。
このように、本実施形態に係る組成物は、ウレタンプレポリマー(A)とイミン化合物(B)とに、非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)を含むことで、低温時における柔軟性を確保することができる。また、炭酸カルシウム(C)は、充填剤として用いられるもので、揺変性を付与し良好な作業性を実現するとともに、貯蔵安定性を確保することができる。
本実施形態に係る組成物は、湿気硬化型であり、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型の硬化性組成物として使用することができる。また、硬化剤として別途硬化触媒、充填剤、可塑剤、水などの成分を予め配合しておき、該配合剤(材)と重合体組成物とを使用前に混合する2成分型として使用することもできる。
本実施形態に係る組成物は1成分型であり、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。本実施形態に係る組成物は、湿気にさらすと、イミン化合物(B)が加水分解により硬化反応が進行し、アミノ基を生じるため、硬化性に優れる。そのため、得られた本実施形態に係る組成物は密閉容器中で貯蔵され、使用時に空気中の湿気により常温で硬化物を得ることができる。また、適宜水分を供給して、硬化反応を進行させることもできる。
本実施形態に係る組成物の用途は特に限定されないが、本実施形態に係る組成物は、以上のような優れた特性を有することから、土木建築用、コンクリート用、木材用、金属用、ガラス用、プラスチック用などのシーリング材、接着剤、シール剤、ポッティング剤、弾性接着剤、コーティング材、ライニング材、コンクリートやモルタル中の構造用接着剤、ひび割れ注入材などの用途に好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る組成物を実施例により具体的に説明する。ただし、本実施形態に係る組成物はこれらに限定されるものではない。
<合成例1>
[ウレタンプレポリマー(A)の合成]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレンジオール(商品名「エクセノール3020」、数平均分子量3,200、旭硝子社製)を220gと、ポリオキシプロピレントリオール(商品名「エクセノール5030」、数平均分子量5,100、旭硝子社製)を100gとを仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(商品名「デスモジュールH」、分子量168、バイエル社製)を33.5gと、ジブチル錫ジラウレートを0.05gとを加えた後、加温して70℃から80℃で2時間攪拌して反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.37質量%)以下となった時点で室温まで冷却して反応を終了させ、末端にイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー(A)を合成した。得られたウレタンプレポリマー(A)は、滴定によるイソシアネート基の含有量が2.15質量%であり、常温で粘稠な液体であった。
<合成例2>
[イミン化合物(B)の合成]
攪拌機、温度計、エステル管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435gとトルエンを183g仕込み、攪拌しながら2−メチルペンタナール(分子量100.2)を455.8g添加した後、加温して110℃から150℃で3時間、副生する水を系外に除去しながら還流脱水反応をおこなった。除去した水の量は74.5gであった。次いで、50hPaから70hPaに減圧しながら加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物である3−ヒドロキシエチル−2−(1-メチルブチル)−オキサゾリジンを得た。得られた3−ヒドロキシエチル−2−(1-メチルブチル)−オキサゾリジン775.4gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348g加え、80℃で8時間反応させた。滴定による実測NCO含有量が0.0質量%となった時点を反応終点とし、イミン化合物(B)として分子内にウレタン結合とオキサゾリジン環2個を有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物を得た。得られたウレタン結合含有オキサゾリジン化合物「OX−1」は、室温で半透明の液体であった。
<合成例3>
[カルボン酸シリルエステル化合物の合成]
カルボン酸成分としてステアリン酸133.3質量部と、ラウリン酸219.0質量部とに、トルエンを濃度50質量%となるように添加した後、3質量%濃度の塩化白金イソプロピルアルコール溶液を所定量(Si−H基含有ポリシロキサン100gに対して10μL)を添加し、80℃のカルボン酸混合溶液を調製した。次いで、調製したカルボン酸混合溶液に、当量のSi−H基含有ポリシロキサン(商品名「KF99」、Si−H0.0156当量/g、信越化学工業社製)100.0質量部をゆっくり滴下し、滴下終了後、反応温度を90℃に上げ、水素の発生が認められなくなるまで撹拌した。その後、トルエンを留去することにより、カルボン酸シリルエステル化合物(商品名「CS−1」)を得た。
<1.組成物の作製>
[実施例1]
攪拌機、窒素導入管および加熱・冷却装置付き混練容器に、窒素ガス気流下で、合成例1で得たウレタンプレポリマー(A)を100g仕込み、攪拌しながら、予めそれぞれ100℃から110℃の乾燥機中で乾燥した非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C1)(商品名「ビスコライトMBP」、白石工業社製)を100g、内容物が均一になるまで混合した。次いで、予めイミン化合物(B)としてウレタン結合含有オキサゾリジン化合物(製品名「OX−1」、横浜ゴム社製)を8g、イミン開環触媒としてカルボン酸シリルエステル化合物(製品名「CS−1」、横浜ゴム社製)を0.2g、希釈用樹脂として希釈用ポリオキシアルキレン系樹脂(商品名「GPA3000」、三洋化成工業社製)を32g、及び有機溶剤(商品名「エクソールD40」、エクソンモービル社製)18gを仕込み、さらに内容物が均一になるまで混合した。次いで、50hPaから70hPaで減圧脱泡し、ペーパーカートリッジ容器に充填、密封して、組成物を調製した。得られた組成物は、室温で硬化する白色ペースト状液体であった。本発明の1液湿気硬化型樹脂組成物の各成分の質量部を表1に示す。
[実施例2、3]
上述した実施例1で用いた各成分において、炭酸カルシウム(C1)の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の1液湿気硬化型樹脂組成物を作製した。実施例2、3における組成物の各成分の質量部を表1に示す。
[比較例1〜3]
上述した実施例1で用いた炭酸カルシウム(C1)に代えて、脂肪酸エステルを含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C2)、脂肪酸石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C3)、脂肪酸石鹸とウレタンとを含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型樹脂組成物を作製した。比較例1〜3における1液湿気硬化型樹脂組成物の各成分の質量部を表1に示す。
<2.評価>
上記のようにして得られた各1液湿気硬化型樹脂組成物を用いて、各1液湿気硬化型樹脂組成物の粘度、物性を各々評価した。
[貯蔵安定性]
貯蔵安定性は、得られた各1液湿気硬化型樹脂組成物の混練後23℃で1日放置した後(初期)、70℃で1日加熱促進した後、および50℃で14日間加熱促進した後における粘度(Pa・s)により評価した。混練後、23℃で1日放置後(初期)、70℃で1日間加熱促進した後、および50℃で14日間加熱促進した後における各1液湿気硬化型樹脂組成物の粘度は、BS型粘度計(東機産業株式会社製)、No7ロータを用いて、23℃の条件下で回転数を1、10rpmとして測定した。
(チクソトロピーインデックス(TI))
得られた各1液湿気硬化型樹脂組成物の調製後、23℃で1日放置した後(初期)、70℃で1日加熱促進した後、および50℃で14日間加熱促進した後に、上記のようにして23℃の条件下で回転速度1rpmおよび10rpmで測定し、得られた粘度の値を下記式にあてはめてTIを求めた。TIは、下記式に示すように、回転数が10rpmの時の粘度の値に対する回転数が1rpmの時の粘度の値の比である。
TI=(回転数が1rpmの時の粘度の値)/(回転数が10rpmの時の粘度の値)
回転数が1、10rpmの時の粘度の測定結果と、TIを表1に示す。1液湿気硬化型樹脂組成物の調製後、23℃で1日放置後(初期)と、70℃で1日加熱促進後における1液湿気硬化型樹脂組成物の粘度は増粘率が200%以下、TIは4.5以上であれば、貯蔵安定性が高く、作業性が良好であると判断した。また、50℃で14日間加熱促進した後における1液湿気硬化型樹脂組成物の粘度は増粘率が200%以下、TIは4.5以上であれば、貯蔵安定性が高く、作業性が良好であると判断した。
[柔軟性(引張特性)]
柔軟性は、得られた各1液湿気硬化型樹脂組成物の硬化物の50%引張応力(M50)、および150%引張応力(M150)の引張特性により評価した。引張特性の評価は、JIS A 1439:2010に準じて行った。すなわち、アルミニウム板にプライマー(商品名「プライマーNo.40」、横浜ゴム社製)を塗布し、H型試験片を作製し、これに得られた各1液湿気硬化型樹脂組成物を打設し、23℃で7日間、30℃で7日間養生した後の硬化物の50%引張応力(M50)[N/mm2]、および150%引張応力(M150)[N/mm2]を、23℃および−20℃において測定した。硬化物の50%引張応力(M50)、および150%引張応力(M150)の測定結果を表1に示す。−20℃での50%引張応力(M50)が85以下であり、150%引張応力(M150)が120以下であれば、モジュラスを適度に低く保たれ、柔軟性が良好であると判断した。
[発泡性]
得られた各樹脂組成物1液湿気硬化型樹脂組成物50gを、円筒形紙コップ(直径:50mm、容量:100ml)に泡を巻き込まないように充填し、40℃、90%RH(相対湿度)の恒温恒湿器中に5日間放置して硬化させた。硬化後、硬化物を恒温恒湿器から取り出して、発泡状態を目視により観察した。発泡状態の確認は、硬化物を垂直方向にカットし、内部に存在する気泡の有無を確認することにより行い、発泡が多数認められるものを「×」と評価し、発泡が認められないか、極めて少ないものを「○」と評価した。試験結果を表1に示す。
Figure 2012162626
上記表1に示される各成分は、以下の通りである。
・炭酸カルシウム(C1):表面が非金属脂肪酸石鹸処理された炭酸カルシウム(商品名「カルフォシール15A 」、丸尾カルシウム社製)
・炭酸カルシウム(C2):表面が脂肪酸エステル処理された炭酸カルシウム(シーレッツ200、丸尾カルシウム社製)
・炭酸カルシウム(C3):表面が脂肪酸石鹸処理された炭酸カルシウム(カルファイン200、丸尾カルシウム社製)
・炭酸カルシウム(C4):表面が脂肪酸石鹸とウレタンとで処理された炭酸カルシウム(Viscolite−MBP、白石工業社製)
表1に示すように、実施例1〜3から得られた1液湿気硬化型樹脂組成物は、比較例2から得られた1液湿気硬化型樹脂組成物よりも、70℃で1日間加熱促進後、および50℃で14日間加熱促進後における増粘率は低く、貯蔵安定性は良好なものであった。実施例1〜3から得られた1液湿気硬化型樹脂組成物は、比較例1、3から得られた1液湿気硬化型樹脂組成物よりも−20℃における50%引張応力(M50)、および150%引張応力(M150)は低かった。また、実施例1〜3から得られた1液湿気硬化型樹脂組成物のいずれも発泡は見られなかった。
よって、非金属石鹸で表面処理された炭酸カルシウムを含有する1液湿気硬化型樹脂組成物は、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウム、または脂肪酸石鹸とウレタンとで表面処理された炭酸カルシウムを含有する1液湿気硬化型樹脂組成物と比較すると、低温時におけるモジュラスは低く保たれ、柔軟性に優れることが確認された。また、非金属石鹸で表面処理された炭酸カルシウムを含有する1液湿気硬化型樹脂組成物は、脂肪酸石鹸処理で表面処理された炭酸カルシウムを含有する1液湿気硬化型樹脂組成物と比較し貯蔵安定性が良好であることを見出した。したがって、非金属石鹸で表面処理された炭酸カルシウムを含めることにより得られる湿気硬化型樹脂組成物は、貯蔵安定性が高く、作業性が良好であり、低温時における柔軟性に優れることから、接着剤、シーリング材などの組成物として信頼性の高い1液湿気硬化型樹脂組成物を得ることができることが判明した。

Claims (4)

  1. 末端にイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマー(A)と、
    大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するイミン化合物(B)と、
    非金属石鹸を含む表面処理剤を用いて表面処理した炭酸カルシウム(C)と、を含むことを特徴とする1液湿気硬化型樹脂組成物。
  2. 前記非金属石鹸が、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩およびアミン塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の1液湿気硬化型樹脂組成物。
  3. 前記炭酸カルシウム(C)の含有量が、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して30質量部以上300質量部以下である請求項1または2に記載の1液湿気硬化型樹脂組成物。
  4. 前記イミン化合物(B)が、オキサゾリジン化合物である請求項1から3の何れか1つに記載の1液湿気硬化型樹脂組成物。
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