JP6519147B2 - 1液湿気硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は1液湿気硬化性樹脂組成物に関する。
1液湿気硬化性樹脂組成物は2液型樹脂組成物とは異なり、使用時に2液各々を混合する必要がないため混合技術が不要であり、混合のための作業時間を短縮できる等の大きな利点を有し、シーリング材等、幅広い用途に用いられている。
1液湿気硬化性樹脂組成物としては、従来、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
特開2004−331963号公報
従来、ウレタン系1液湿気硬化性シーリング材について硬化後の硬度を高めるためには、ウレタンプレポリマーの架橋点間距離を短くするか、または架橋点を増やすかのいずれかの手段がとられていた。しかし、その手法を使うと、必然的にイソシアネート濃度が高くなるため、硬化過程で炭酸ガスが発生しやすくなり硬化物に気泡が発生し、強度低下やフクレによる外観不良が生じることが問題であった。
本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、短時間で硬化して高硬度となり、かつ発泡し難い1液湿気硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、本発明の組成物を完成させた。
本発明の組成物は、アミン化合物と反応する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するイミン化合物(B)と、脂肪酸処理された炭酸カルシウム(C)と、アミノシラン化合物(d1)と3官能以上のポリイソシアネート化合物(d2)とを、反応前における前記ポリイソシアネート(d2)のイソシアネート基(NCO)に対する前記アミノシラン(d1)のイミノ基(NH)の当量比(NH/NCO)が、0.2〜0.8となるように反応させて得られる加水分解性アルコキシ基を含むシラン化合物(D)と、を主成分として含有する1液湿気硬化性樹脂組成物である。
本発明によれば、短時間で硬化して高硬度となり、かつ発泡し難い1液湿気硬化性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の組成物が含有する各成分について説明する。
<ウレタンプレポリマー(A)>
本発明の組成物は、アミン化合物と反応する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)(以下では単に「ウレタンプレポリマー(A)」ともいう)を含有する。
ウレタンプレポリマー(A)は、分子内にアミン化合物と反応するイソシアネート基を分子末端に含有する。ウレタンプレポリマー(A)は、取り扱いの観点から室温で液状であるものが好ましい。ウレタンプレポリマー(A)の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法が挙げられる。ウレタンプレポリマー(A)は、例えば、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを、イソシアネート基(NCO基)がヒドロキシ基(OH基)に対して過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。ウレタンプレポリマー(A)は、一般に、0.5質量%以上10質量%以下のNCO基を分子末端に含有するものである。
ウレタンプレポリマー(A)を作製する際に使用されるポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物;これらのイソシアネート化合物のカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物のイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;これらのイソシアネート化合物と後述するポリオール化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマー;などが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、入手し易く、安価である点から、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ウレタンプレポリマーを生成するポリオール化合物は、OH基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格などは特に限定されず、その具体例としては、低分子多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオールなどが挙げられる。
低分子多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3−または1,4−)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;などが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールは、例えば、ポリオール化合物と、ジアルキルカーボネートとのエステル交換反応により得られる。このポリオール化合物としては、具体的には、例えば、上記で例示した各種低分子多価アルコール類のうち、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどが好適に挙げられる。また、このジアルキルカーボネートとしては、例えば、下記式(1)で表されるジアルキルカーボネートを使用することができる。
式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数12以下のアルキル基である。
上記式(1)で表されるジアルキルカーボネートとしては、具体的には、例えば、ジメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートが好適に挙げられる。
上記ポリオール化合物と、上記ジアルキルカーボネートとのエステル交換反応に適した触媒としては、具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物;ナトリウムメチレート、カリウムメチレート、チタンテトライソプロピレート、ジルコニウムテトライソプロピレートなどの金属アルコレート;などが挙げられる。これらのうち、チタンテトライソプロピレート、ジルコニウムテトライソプロピレートが好ましい。
ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールとしては、通常、上記低分子多価アルコール類から導かれるものが用いられるが、さらに芳香族ジオール類、アミン類、アルカノールアミン類から導かれるものも好適に用いることができる。
芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;などが挙げられる。
アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミンなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、アミン類およびアルカノールアミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドおよびスチレンオキサイドなどから選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオールなどが挙げられる。
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ソルビトール系ポリオールなどが挙げられる。
ビスフェノール骨格を有するポリエーテルポリオールの具体例としては、ビスフェノールA(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)に、エチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを付加させて得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記低分子多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、アミン類およびアルカノールアミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物(縮合系ポリエステルポリオール);ラクトン系ポリオール;などが挙げられる。
上記縮合系ポリエステルポリオールを形成する多塩基性カルボン酸としては、具体的には、例えば、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、他の低分子カルボン酸、オリゴマー酸、ヒマシ油、ヒマシ油とエチレングリコールとの反応生成物などのヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。
上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、プロピオンラクトン、バレロラクトンなどの開環重合体などが挙げられる。
ビスフェノール骨格を有するポリエステルポリオールとしては、上記低分子多価アルコール類に代えて、または低分子多価アルコール類とともに、ビスフェノール骨格を有するジオールを用いて得られる縮合系ポリエステルポリオールが挙げられる。具体的には、ビスフェノールAとヒマシ油とから得られるポリエステルポリオール、ビスフェノールAとヒマシ油とエチレングリコールとプロピレングリコールとから得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素−炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;などが挙げられる。
ウレタンプレポリマー(A)においては、以上で例示した種々のポリオール化合物を1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ウレタンプレポリマー(A)は、上述したように、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物を反応させることによって得られるものであり、その具体例としては、上記で例示した各種ポリオール化合物と、各種ポリイソシアネート化合物との組み合わせによるものが挙げられる。
ウレタンプレポリマー(A)の粘度は、一般的に50Pa・s以下であり、3Pa・s以上20Pa・s以下であるのが好ましく、5Pa・s以上15Pa・s以下であるのがより好ましい。
ウレタンプレポリマー(A)の質量平均分子量は、2000以上100000以下であるのが好ましく、3000以上30000以下であるのがより好ましい。ウレタンプレポリマーの質量平均分子量が上記範囲内であると、得られる本発明の組成物の作業性が良好となるため、好ましい。なお、本発明の組成物において、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(Gel permeation chromatography:GPC)によって測定されたものである。
ウレタンプレポリマー(A)を作製する際のポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを混合する割合は、ポリオール化合物中のヒドロキシ(OH)基に対するポリイソシアネート化合物中のイソシアネート(NCO)基の数の比(NCO/OH)が1.05以上2.50以下であるのが好ましく、1.1以上2.3以下であるのがより好ましい。このような範囲の場合、ウレタンプレポリマー(A)の粘度が適度であり、硬化物の伸びが優れている。
ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応は、特に制限されるものではなく、例えば、上述の量比のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、50℃以上130℃以下で加熱し撹拌して製造する方法が挙げられる。
ウレタンプレポリマー(A)の作製方法は、特に制限されるものではなく、ウレタンプレポリマー(A)は、例えば、上述の所定量の比(NCO/OH)のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、50℃以上130℃以下で加熱し撹拌することによって作製することができる。また、必要に応じて、例えば、有機錫化合物、有機ビスマス、アミンのようなウレタン化触媒を用いることができる。
<イミン化合物(B)>
本発明の組成物は、大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するイミン化合物(B)(以下では単に「イミン化合物(B)」ともいう)を含有する。
イミン化合物(B)は、ウレタンプレポリマー(A)など硬化性樹脂に対して使用できるものであれば特に限定されない。イミン化合物(B)は、潜在性硬化剤として用いられ、ウレタンプレポリマー(A)に対する硬化性、配合してから塗布するまでの作業性、貯蔵安定性に優れる。
イミン化合物(B)は、ケトンやアルデヒドなどのカルボニル化合物と、アミンとから導かれる化合物である。具体的には、カルボニル化合物とポリアミンとの反応物であるケチミン類、エナミン類;アミノアルコールとカルボニル化合物との反応物であるオキサゾリジン化合物などが挙げられる。イミン化合物(B)としてオキサゾリジン化合物を使用することが好ましい。
オキサゾリジン化合物をイミン化合物(B)として用いることにより、得られる本発明の組成物は、常温下で湿気硬化が可能であり、貯蔵安定性に優れると共に、硬化性に優れ、硬化速度を調整することができ、硬化時間を大幅に短縮することができる。また、本発明の組成物が、より発泡し難くなる。
オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子とを含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2から6個有する化合物である。オキサゾリジン化合物は、大気中の水分(湿気)と反応して加水分解を受け、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することにより、ウレタンプレポリマー(A)の潜在性硬化剤として機能するものである。ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が湿気と反応すると尿素結合を生成して硬化するが、この際、炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下などの不具合を生じるが、ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物とを混合したものを湿気に暴露した場合は、湿気とイソシアネート基が反応する前にオキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が湿気により加水分解を受けて2級アミノ基とアルコール性水酸基を再生し、これらの活性水素がイソシアネート基と反応して炭酸ガスの発生を抑制しつつ硬化することにより、本発明の組成物の炭酸ガスによる発泡を抑制できるものである。
また、上述のウレタンプレポリマー(A)の合成において、ポリイソシアネート化合物として脂肪族系ポリイソシアネートを用いた場合、水分だけの反応だと硬化速度が極端に遅延してしまうが、オキサゾリジン化合物を併用することにより、これと水分との反応により再生する2級アミノ基と脂肪族系ポリイソシアネート由来のイソシアネート基との反応は、水分との反応より反応速度が大きいため硬化速度を速められ、後述する硬化促進触媒の使用量を低減することができるという効果を有する。
オキサゾリジン化合物としては、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられる。これらのオキサゾリジン化合物は、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、ウレタンプレポリマー(A)のポリイソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させることにより得られる。これらのオキサゾリジン化合物のうち、製造し易く粘度が低いという観点からウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。
この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1.0モル以上、好ましくは1.0倍モル以上1.5倍モル以下、さらに好ましくは1.0倍モル以上1.2倍モル以下使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去すればよい。
アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。これらはいずれも単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが入手のしやすさから好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9以上1.2以下の範囲、好ましくは0.95以上1.05以下の範囲となるように使用し、有機溶剤の存在下または不存在下に50℃以上120℃以下の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
前記ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物は、前述のポリサルファイド含有プレポリマーの合成に用いられるのと同様のものが挙げられ、このうちウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶化度を低下させ、シーリング材の作業性を良好にできる点で、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
イミン化合物(B)はその製造方法について特に制限されない。例えば、ケトンやアルデヒドなどのカルボニル化合物と、アミンとを、無溶媒下、またはベンゼン、トルエン、キシレンなどの溶媒存在下において、加熱環流させ、脱離してくる水を共沸により除きながら反応させることにより得ることができる。
イミン化合物(B)の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)が有するイソシアネート基の数に対する、イミン化合物(B)から発生し得る活性水素の数の比が、0.01以上4.0以下になる量であるのが好ましく、0.05以上2.0以下になる量であるのがより好ましく、0.05以上1.5以下になる量であるのがさらに好ましい。イミン化合物(B)の含有量がこの範囲であると、イミン化合物(B)の加水分解反応により硬化反応が進行し、得られる本発明の組成物は、硬化性に優れる。
<脂肪酸処理された炭酸カルシウム(C)>
本発明の組成物は脂肪酸処理された炭酸カルシウム(C)(以下では「表面処理炭酸カルシウム(C)」ともいう)を含有する。
表面処理炭酸カルシウム(C)は、脂肪酸を含む表面処理剤を用いて炭酸カルシウムを表面処理して得られるものである。ウレタンプレポリマー(A)に表面処理炭酸カルシウム(C)を含めることで、優れた揺変性を付与することができる。表面処理炭酸カルシウム(C)の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して30質量部以上300質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以上200質量部以下である。表面処理炭酸カルシウム(C)の含有量が、30質量部以上であると、本発明の組成物の粘度は高く作業性に優れる。また、表面処理炭酸カルシウム(C)の含有量が、300質量部以下であると、本発明の組成物の粘度が高くなり過ぎず作業性に優れるからである。
表面処理炭酸カルシウム(C)の製造に用いられる炭酸カルシウムは、特に制限はなく、例えばCa(OH)2の水スラリーにCO2ガスを導入して生成させる沈降性炭酸カルシウム、石灰石を機械的に粉砕、分級して得られる重質炭酸カルシウムのいずれの炭酸カルシウムでもよい。一般的には沈降性炭酸カルシウムの方が、より微細な粒子が得られやすい点で好ましく用いることができる。
表面処理剤は脂肪酸として、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を好ましく用いることができる。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸については特に制限はないが、炭素数は多い方が好ましく、炭素数は8以上であるのが好ましい。炭素数を多くすることで、本発明の組成物は、貯蔵安定性に加え、高いチキソ性を兼ね備えることができる。
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸および飽和不飽和混合脂肪酸のアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩としては、具体的には、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、2−エチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、ネオデカン酸、イソトリデカン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、セトレイン酸、ソルビン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化パーム核脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化パーム核脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸などのアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩が挙げられる。また、脂環族カルボン酸のアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩としては、例えば、ナフテン酸、安息香酸、フェニル酢酸などのアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩が挙げられる。また、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩としては、例えば、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸などの樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記の飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩の中でも特に好ましいものとしては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、部分硬化パーム核脂肪酸、極度硬化パーム核脂肪酸、ヤシ脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸などの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアンモニウム塩またはアミン塩またはナトリウム塩が挙げられる。
飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸、樹脂酸のアミン塩として使用される水溶性アミン化合物としてはアルキル置換アミンとアルカノールアミンが挙げられる。具体的には、炭素数が1以上4以下のアルキル基で置換されたアミン化合物としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミンが挙げられ、炭素数が1以上3以下のアルカノール基で置換されたアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミンが挙げられ、炭素数が1以上4以下のアルキル基および炭素数が1以上3以下のアルカノール基で置換されたアルキルアルカノールアミンとしては、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミンが挙げられる。その他の水溶性アミン化合物としては、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジエチル−1,3−ジアミノプロパンなどが挙げられ、それらの中でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンまたはトリエタノールアミンが一般的で好ましく用いることができ、特に、トリエタノールアミンが最も好適に用いることができる。
炭酸カルシウムの表面処理の方法としては、例えば、沈降性炭酸カルシウムの場合は気液反応であるため、脂肪酸を沈降性炭酸カルシウムの水スラリー中に加え撹拌するか、沈降性炭酸カルシウムの含水ケーキ中に混練することにより炭酸カルシウムの表面に金属石鹸を含む表面処理剤を吸着させる方法が挙げられる。また、水スラリー中または含水ケーキ中に予めアンモニア水溶液もしくはアミン化合物を添加しておき、均一に撹拌、混合した後に飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸および樹脂酸を投入してもよい。または、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環族カルボン酸および樹脂酸を投入した後または同時にアンモニア水溶液もしくはアミン化合物を添加してもよい。重質炭酸カルシウムの場合は乾式で粉砕することが多いことから、乾式で表面処理するのが好ましい。乾式で粉砕する場合、例えばヘンシェルミキサーなどの加熱・撹拌装置を使用するのがよい。
水スラリー中で表面処理する場合の沈降性炭酸カルシウムの水スラリーは、濃度が10gCaCO3/L以上300gCaCO3/L以下が好ましい。濃度が10gCaCO3/Lより低いと生産性の面で不利となり、一方、300gCaCO3/Lより高いと水スラリーの粘度が高くなり作業性が悪くなる。また、脂肪酸の濃度は、0.5%以上30%以下(酸換算)が好ましい。脂肪酸の濃度が0.5%より低いと多量の水が必要となり生産性の面で不利となり、一方、30%より高いと脂肪酸水溶液の粘度が高くなり、均一に溶解されにくくなるため処理状態が悪くなるおそれがある。
水スラリー中で表面処理する場合の表面処理温度については、好ましくは20℃以上98℃以下、より好ましくは40℃以上90℃以下、更に好ましくは50℃以上80℃以下である。表面処理温度が20℃より低いと、炭酸カルシウムへの吸着結合が起こりにくくなり、表面処理が不均一になるため好ましくない。また、98℃より高いと、本発明の組成物の効果は十分得られるが、煮沸するおそれがあり危険であるばかりでなく、耐圧性装置を準備する必要があるので好ましくない。
含水ケーキ、もしくは乾式処理の場合、好ましくは20℃以上150℃以下、より好ましくは40℃以上130℃以下、更に好ましくは50℃以上120℃以下である。表面処理温度が20℃より低いと、炭酸カルシウムへの吸着結合が起こり難くなり、表面処理が不均一になるおそれがあるため好ましくない。また、150℃より高いと、脂肪酸が熱劣化し、変質するおそれがあるため好ましくない。
表面処理前の原料となる炭酸カルシウム、および脂肪酸を含む表面処理剤を用いて表面処理した表面処理炭酸カルシウム(C)は、窒素吸着法によるBET法で測定した場合の比表面積Swが3m2/g以上100m2/g以下が好ましく、8m2/g以上60m2/g以下がより好ましく、10m2/g以上40m2/g以下がさらに好ましい。比表面積が3m2/gより小さい(粒子が大きい)と、たとえ脂肪酸を表面処理剤として表面処理した表面処理炭酸カルシウム(C)を配合した樹脂組成物であっても、優れた貯蔵安定性、接着性は得られるものの、チキソ性が不十分となる場合がある。また、比表面積が100m2/gより大きい(粒子が小さい)と、粒子の凝集が強く、たとえ脂肪酸を表面処理剤として用いて表面処理したとしても、樹脂組成物中での分散性が悪くなり、目的とする十分な性能が発揮されない場合がある。通常、表面処理前後で比表面積は若干下がる傾向にあるが、十分に分散されていればほぼ同じ比表面積となる。
脂肪酸を含む表面処理剤の表面処理量は、下記式(i)により示されるように、単位比表面積当たりの表面処理剤量As[mg/m2]を炭酸カルシウムの比表面積(粒度)Swに応じて変量するのが好ましい。なお、ここでは便宜上、Swは表面処理後の炭酸カルシウムの比表面積を用いることとする。
As=Tg/Sw[mg/m2] ・・・(i)
Swは、窒素吸着法によるBET比表面積(m2/g)であり、Tgは、200℃以上500℃以下の表面処理炭酸カルシウム1g当たりの熱減量(mg/g)である。
一般的に、上記式(i)において、表面処理剤量Asは0.20mg/m2以上7.50mg/m2以下が好ましく、より好ましくは0.80mg/m2以上7.00mg/m2以下、さらに好ましくは1.50mg/m2以上6.00mg/m2以下である。0.20mg/m2以上の場合、表面処理の効果が十分であり、7.50mg/m2以下とすることで経済的に優れる。
<シラン化合物(D)>
本発明の組成物は、アミノシラン化合物(d1)と3官能以上のポリイソシアネート化合物(d2)とを、反応前における前記ポリイソシアネート(d2)のイソシアネート基(NCO)に対する前記アミノシラン(d1)のイミノ基(NH)の当量比(NH/NCO)が、0.2〜0.8となるように反応させて得られる加水分解性アルコキシ基を含むシラン化合物(D)(以下では単に「シラン化合物(D)」ともいう)を含有する。
アミノシラン化合物(d1)は下記式(2)で表される構造を備えるものであることが好ましい。
式(2)中、R1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12の炭化水素基である。また、R2およびR3は、それぞれ独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12の炭化水素基である。mは1〜3の整数である。
上記式(2)のアミノシラン化合物(d1)のR1は、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12の炭化水素基である。R1として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらの炭化水素基の中でも、メチル基、エチル基、ブチル基が好ましい。このような炭化水素基であると、アミノシラン化合物(d1)と後述するポリイソシアネート化合物(d2)との反応を制御しやすいからである。より好ましくは、メチル基、エチル基である。
上記式(2)中のR2およびR3は、それぞれ独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12の炭化水素基である。R2およびR3としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらの炭化水素基の中でも、メチル基、エチル基が好ましい。このような炭化水素基であると、本発明の組成物としたときに、耐熱性、耐水性および耐候性が優れたものになることに加えて、接着性の発現が速い。より好ましくは、メチル基である。
上記式(2)中のシリル基のmは、1〜3の整数である。即ち、ケイ素原子に結合する置換基であるアルコキシ基が、少なくとも一つ存在すればよい。したがって、すべてがアルコキシ基であってもよいし、一つがアルキル基で二つがアルコキシ基、または一つがアルコキシ基で二つがアルキル基であってもよい。このアルコキシ基は加水分解性を備える。mとして好ましくは、2または3である。このようなシリル基であると、本発明の組成物としたときに、組成物の架橋密度を制御しやすい。また、このほかに接着性の発現が速いという効果もある。
アミノシラン化合物(d1)は下記式(3)で表される構造を備えるものであることがより好ましい。
上記式(3)で表される構造を備えるアミノシラン化合物(d1)の具体例として、Momentive社製のSilquest A−Link15が挙げられる。
次に、ポリイソシアネート化合物(d2)について説明する。ポリイソシアネート化合物(d2)は、3個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限されない。ポリイソシアネート化合物(d2)が有するイソシアネート基は3〜4個であるのが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(d2)としては、例えば、脂環族、芳香族、脂肪族のポリイソシアネートが挙げられる。
具体的なポリイソシアネート化合物(d2)としては、例えば、イソシアネート基を3個以上有するチオホスフェートが挙げられる。
チオホスフェートはイソシアネート基と炭化水素基を介して結合することができる。炭化水素基としては、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基(例えば、フェニレン基)、これらの組み合わせが挙げられる。
チオホスフェートとしては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
S=P−(OR)3
式中、Rはイソシアネート基を有する炭化水素基である。
イソシアネート基を3個以上有するチオホスフェートとしては、例えば、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェートが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(d2)は、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェートを含有するのが好ましく、トリス(p−イソシアネートフェニル)チオホスフェートがより好ましい。
トリス(p−イソシアネートフェニル)チオホスフェートは下記式(4)で表される。
また、ポリイソシアネート化合物(d2)としては、例えば、イソシアヌレート体が挙げられる。イソシアヌレート体としては、例えば、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、トリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとのイソシアヌレートが挙げられる。
トリレンジイソシアネート(TDI)のイソシアヌレートとしては、例えば、下記構造(5)で表されるものが挙げられる。
ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレートとしては、例えば、下記構造(6)で表されるものが挙げられる。
イソホロンジイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレートとしては、例えば、下記式(7)で表されるものが挙げられる。
トリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとのイソシアヌレートとしては、例えば、下記式(8)で表されるものが挙げられる。
ポリイソシアネートは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリイソシアネート化合物(d2)は、下記式(9)で表されるビウレット結合を含むものであることが好ましい。
式(9)において、R1、R2およびR3は、各々、炭素原子数2〜6の酸素原子を有してもよい鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、それぞれは同一であっても、異なっていてもよい。
式(9)で表される、分子中にビウレット結合を含む化合物として、次式(10)で表されるHDIビウレットが好適例として挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物(d2)は、下記式(11)で表されるアロファネート結合を含むものであることが好ましい。
式(11)において、R1、R2およびR3は、各々、炭素原子数2〜6の酸素原子を有してもよい鎖状脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、それぞれは同一であっても、異なっていてもよい。
式(11)で表される、分子中にビウレット結合を含む化合物として、次式(12)で表されるHDIアロファネートが好適例として挙げられる。
さらに、ポリイソシアネート化合物(d2)は、アダクト体であることが好ましい。アダクト体とは、例えばイソシアネートモノマーと2官能以上の低分子活性水素含有化合物とを反応させてなる2官能以上のイソシアネート化合物をいい、具体的には、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、1,6−ヘキサンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物などが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(d2)として、次式(13)で表される、TMP(トリメチロールプロパン)とHDI(トリレンジイソシアネート)とのアダクト体(TMP HDIアダクト)が好適例として挙げられる。
また、ポリイソシアネート化合物(d2)として、次式(14)で表される、TMP(トリメチロールプロパン)とXDI(キシリレンジイソシアネート)とのアダクト体(TMP XDIアダクト)が好適例として挙げられる。
さらに、ポリイソシアネート化合物(d2)として、次式(15)で表される、TMP(トリメチロールプロパン)と水添XDI(キシリレンジイソシアネート)とのアダクト体(TMP 水添XDIアダクト)が好適例として挙げられる。
シラン化合物(D)はアミノシラン化合物(d1)と、ポリイソシアネート化合物(d2)とを反応させて得られる化合物である。この反応は、アミノシラン化合物(d1)におけるイミノ基(NH)と、ポリイソシアネート化合物(d2)の少なくとも一つのイソシアネート基(NCO)とが付加して結合するので、分子構造として一つの化合物のみが得られなくてもよい。即ち、反応するポリイソシアネート化合物(d2)のイソシアネート基の部位および基数に対して、反応するアミノシラン化合物(d1)の分子数により、多様な化合物が生成してもよい。このような化合物のすべてが、シラン化合物(D)である。したがって、シラン化合物(D)は、1分子中に一つのシリル基と、少なくとも一つのイソシアネート基とを有することになる。
このとき、反応前における前記ポリイソシアネート(d2)のイソシアネート基(NCO)に対する前記アミノシラン(d1)のイミノ基(NH)の当量比(NH/NCO)が0.2〜0.8となるように反応させる。この当量比は0.3〜0.8であることが好ましい。このような範囲の当量比とすると、本発明の組成物は、短時間で硬化して高硬度となり、かつ発泡し難いからである。
シラン化合物(D)を合成する方法に特に制限はなく、広く公知の方法を用いることができる。具体的には、上記のポリイソシアネート化合物(d2)をアミノシラン化合物(d2)に付加させる方法等が挙げられる。
より具体的には、ポリイソシアネート化合物(d2)に、アミノシラン化合物(d1)を滴下しながら加えて付加反応を行う方法、ポリイソシアネート化合物(d2)に、アミノシラン化合物(d1)を加え、更に触媒を添加して反応させる方法、ポリイソシアネート化合物(d2)を溶媒に溶解させた溶液に、アミノシラン化合物(d1)を滴下しながら反応させる方法、ポリイソシアネート化合物(d2)を溶媒に溶解させた溶液にアミノシラン化合物(d1)を加え、更に縮合触媒を添加して反応させる方法が挙げられる。
シラン化合物(D)の含有量は、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましい。
本発明の組成物は、ウレタンプレポリマー(A)、イミン化合物(B)、表面処理炭酸カルシウム(C)およびシラン化合物(D)を主成分として含有する。
ここで「主成分」とは、本発明の組成物が含有する不揮発分(固形分)の合計量に対する割合(含有率)として50質量%以上であることを意味する。すなわち、本発明の組成物において、ウレタンプレポリマー(A)、イミン化合物(B)、表面処理炭酸カルシウム(C)およびシラン化合物(D)の合計量の、本発明の組成物が含有する全不揮発分(固形分)の合計量に対する割合(含有率)は50質量%以上である。この含有率は55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることがさらに好ましい。
<添加剤>
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で(具体的には例えば50質量%以下の範囲で)、上述した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、可塑剤、シランカップリング剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、安定剤、分散剤、防カビ剤、イミン化合物の開環触媒等が挙げられる。
充填剤としては、各種形状の有機または無機のものが挙げられる。例えば、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;ケイ砂、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;珪藻土;重質炭酸カルシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;カーボンブラックなどの有機または無機充填剤;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル処理物、脂肪酸エステルウレタン化合物処理物が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール(B)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP);アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジペンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル;アルキルスルホン酸フェニルエステル(例えば、Bayer社製のメザモール);連鎖移動剤を用いず、150℃以上350℃以下の重合温度で重合され、数平均分子量が500以上5000以下のアクリル重合体;高分子可塑剤;等が挙げられる。高分子可塑剤とは、数平均分子量(Mn)が、500以上100,000以下、好ましくは500以上100,000以下、より好ましくは500以上50,000以下、更に好ましくは500以上20,000以下、特に好ましくは500以上10,000以下の高分子量で極性基を有する室温で液状の希釈用樹脂をいう。希釈用樹脂の使用量は、硬化速度、硬化物の物性などの点から、ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0質量部よりも大きく200質量部以下が好ましく、10質量部以上100質量部以下がより好ましい。希釈用樹脂としては、具体的には、例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂、低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体樹脂、これらの混合物などが挙げられる。前記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシエチレンモノオールやポリオキシプロピレンモノオール等のポリオキシアルキレンモノオールのアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂などが挙げられる。これらはいずれも単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。本発明の組成物において、可塑剤は、本発明の組成物を希釈して粘度を下げ、作業性を向上させるとともに、硬化後のモジュラス、伸び等のゴム弾性物性を調節するためなどに使用されるものであるとの観点から、特に高分子可塑剤を用いることが好ましい。高分子可塑剤を本発明の組成物に含める場合、高分子可塑剤は希釈用樹脂として用いられる。
シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシビニルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、特に湿潤面への接着性を向上させる効果に優れ、更に汎用化合物であることから好適に挙げられる。
顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれでも両方でもよい。例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料などの有機顔料などを用いることができる。
染料は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、黒色染料、黄色染料、赤色染料、青色染料、褐色染料が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂が挙げられる。
安定剤としては、例えば、脂肪酸シリルエステル、脂肪酸アミドトリメチルシリル化合物などが挙げられる。
分散剤は、固体を微細な粒子にして液中に分散させる物質をいい、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、縮合ナフタレンスルホン酸ナトリウム、界面活性剤等が挙げられる。
本発明の組成物を製造する方法は特に限定されないが、例えば、上記各必須成分と任意性分とを減圧下または窒素などの不活性ガス雰囲気下で、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機、混合ミキサーなどの撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させるなどにより混合する方法が挙げられる。
本発明の組成物は、湿気硬化性であり、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型の硬化性組成物として使用することができる。また、硬化剤として別途硬化触媒、充填剤、可塑剤、水などの成分を予め配合しておき、該配合剤(材)と重合体組成物とを使用前に混合する2成分型として使用することもできる。
本発明の組成物は1成分型であり、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。本発明の組成物は、湿気にさらすと、イミン化合物(B)が加水分解により硬化反応が進行し、アミノ基を生じるため、硬化性に優れる。そのため、得られた本発明の組成物は密閉容器中で貯蔵され、使用時に空気中の湿気により常温で硬化物を得ることができる。また、適宜水分を供給して、硬化反応を進行させることもできる。
本発明の組成物の用途は特に限定されないが、以上のような優れた特性を有することから、土木建築用、コンクリート用、木材用、金属用、ガラス用、プラスチック用などのシーリング材、接着剤、シール剤、ポッティング剤、弾性接着剤、コーティング材、ライニング材、コンクリートやモルタル中の構造用接着剤、ひび割れ注入材などの用途に好適に用いられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。
<合成例1>
[ウレタンプレポリマー(A)の合成]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、エクセノール3020、数平均分子量3,200)を220gと、ポリオキシプロピレントリオール(旭硝子社製、エクセノール5030、数平均分子量5,100)を100g仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(住化バイエルウレタン社製、デスモジュールH、分子量168)を33.5gと、ジブチル錫ジラウレートを0.05g加えた後、加温して70〜80℃で2時間攪拌して反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.37質量%)以下となった時点で室温まで冷却して反応を終了させ、ウレタンプレポリマー(A)を合成した。
得られたウレタンプレポリマー(A)は、滴定によるイソシアネート基含有量2.15質量%、常温で粘稠な液体であった。
<合成例2>
[イミン化合物(B)の合成]
攪拌機、温度計、エステル管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435gとトルエンを183g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328g添加した後、加温して110〜150℃で3時間、副生する水を系外に除去しながら還流脱水反応をおこなった。除去した水の量は74.5gであった。次いで、50〜70hPaに減圧しながら加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物である2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンを得た。
得られた2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン659gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348g加え、80℃で8時間反応させた。滴定による実測NCO含有量が0.0質量%となった時点を反応終点とし、分子内にウレタン結合とオキサゾリジン環2個を有するイミン化合物(B)を得た。
得られたイミン化合物(B)は、室温で半透明の液体であった。
<合成例3>
[シラン化合物(D1)の合成]
上記式(3)で表される化合物(Silquest A−Link15、Momentive社製)と、HDIイソシアヌレート体(スミジュールN3300、住化バイエルウレタン社製)とを、イミノ基(NH)/イソシアネート基(NCO)=1/2となるように配合して反応させ、シラン化合物(D1)を得た。
このシラン化合物(D1)は、本発明の組成物が含有するシラン化合物(D)に該当する。
<合成例4>
[シラン化合物(D2)の合成]
上記式(3)で表される化合物(Silquest A−Link15、Momentive社製)と、HDIビウレット体(官能基数2、スミジュールN3200、住化バイエルウレタン社製)とを、イミノ基(NH)/イソシアネート基(NCO)=1/2となるように配合して反応させ、シラン化合物(D2)を得た。
このシラン化合物(D2)は、本発明の組成物が含有するシラン化合物(D)に該当する。
<合成例5>
[シラン化合物(X1)の合成]
上記式(3)で表される化合物(Silquest A−Link15、Momentive社製)と、ヘキサメチレンジイソシアネートとを、イミノ基(NH)/イソシアネート基(NCO)=1/2となるように配合して反応させ、シラン化合物(X1)を得た。
このシラン化合物(X1)は、本発明の組成物が含有するシラン化合物(D)に該当しない。
<合成例6>
[シラン化合物(X2)の合成]
上記式(3)で表される化合物(Silquest A−Link15、Momentive社製)と、HDIイソシアヌレート体(スミジュールN3300、住化バイエルウレタン社製)とを、イミノ基(NH)/イソシアネート基(NCO)=1/1となるように配合して反応させ、シラン化合物(D1)を得た。
このシラン化合物(X2)は、本発明の組成物が含有するシラン化合物(D)に該当しない。
[実施例1]
攪拌機、窒素導入管および加熱・冷却装置付き混練容器に、窒素ガス気流下で、合成例1で得たウレタンプレポリマー(A)を100g仕込み、攪拌しながら、予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム25gと酸化チタン10gを仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、予めジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤1.5gとヒンダードフェノール系酸化防止剤1.5gを溶解した溶解液8g、表面処理炭酸カルシウム(C)100g、合成例2で得たイミン化合物(B)8g、希釈用ポリオキシアルキレン系樹脂32g、および有機溶剤(1)18gを仕込み、さらに内容物が均一になるまで混合した。その後、合成例3で得たシラン化合物(D1)10gと、可塑剤10gと、有機溶剤(2)10gとの混合物を加えて、さらに内容物が均一になるまで混合した。
次いで、50〜70hPaで減圧脱泡し、ペーパーカートリッジ容器に充填、密封して、組成物を調製した。
得られた組成物は、室温で硬化する白色ペースト状であった。
[実施例2]
実施例1ではシラン化合物(D1)の使用量を10gとしたが、これを3gとすること以外は、すべて実施例1と同様とした操作を行い、組成物を得た。
[実施例3]
実施例1ではシラン化合物(D1)を10g用いたが、代わりに合成例4で得たシラン化合物(D2)を3g用いること以外は、すべて実施例1と同様とした操作を行い、組成物を得た。
[比較例1]
実施例1ではシラン化合物(D1)を10g用いたが、代わりにHDIイソシアヌレート体(スミジュールN3300、住化バイエルウレタン社製、第1表において「シラン化合物(X3)と記す)を3g用いること以外は、すべて実施例1と同様とした操作を行い、組成物を得た。
[比較例2]
実施例1ではシラン化合物(D1)を10g用いたが、これを用いないこと以外は、すべて実施例1と同様とした操作を行い、組成物を得た。
[比較例3]
実施例1ではシラン化合物(D1)を10g用いたが、代わりに上記式(3)で表される化合物(Silquest A−Link15、Momentive社製、第1表において「シラン化合物(X4)と記す)を3g用いること以外は、すべて実施例1と同様とした操作を行い、組成物を得た。
[比較例4]
実施例1ではシラン化合物(D1)を10g用いたが、代わりに合成例6で得たシラン化合物(X2)を3g用いること以外は、すべて実施例1と同様とした操作を行い、組成物を得た。
[比較例5]
実施例1ではシラン化合物(D1)を10g用いたが、代わりに合成例5で得たシラン化合物(X1)を3g用いること以外は、すべて実施例1と同様とした操作を行い、組成物を得た。
[比較例6]
実施例2ではイミン化合物(B)を8g用いたが、これを用いないこと以外は、すべて実施例2と同様とした操作を行い、組成物を得た。
実施例1〜3および比較例1〜6の各々における各成分の配合量を第1表に示す。
また、以下に各成分について具体的に記す。
・表面処理炭酸カルシウム(C):カルフォシール15B、丸尾カルシウム社製
・重質炭酸カルシウム:スーパーS、丸尾カルシウム社製
・酸化チタン:R−820、石原産業社製
・ヒンダードアミン系光安定剤:チバ・スベシャルティ・ケミカルズ社製、TINUVIN 765、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX 1010、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
・ジメチルカーボネート:DMC、三井化学ファイン社製
・希釈用ポリオキシアルキレン系樹脂:サンフレックス GPA3000、三洋化成社製
・有機溶剤(1):エクソールD40、エクソンモービル社製
・可塑剤:DINP、ジェイプラス社製
・有機溶剤(2):ミネラルスピリット、JX日鉱日石エネルギー社製
次に、実施例1〜3および比較例1〜6において得られた各々の組成物について、硬化性、発泡性および硬度を評価した。評価方法について以下に記す。
<硬化性>
樹脂組成物表面の硬化時間は、硬化反応開始後に樹脂組成物の表面タックがある時間、即ちタックフリータイムを硬化時間とした。実施例1〜3および比較例1〜6において得られた各々の組成物について、縦10cm×横1cm×高さ1cmのポリエチレン製の枠の中に気泡が入り込まないように流し込み、上端の大気に触れている表面を平らにならした試験体を作成する。この試験体を20℃、55%湿度条件下におき、このときの時間を、硬化時間を測定するための開始時間とする。次に、硬化反応中の試験体について、24時間後に表面をポリエチレン製のフィルムで軽く触れ、試験体がフィルムに付着しなくなっていれば硬化性を○とし、逆に試験体がフィルムに付着すれば硬化性を×とした。
<発泡性>
モルタル製の型枠(50mm×50mm×深さ25mm)を23±2℃×50±5%RHの雰囲気内に24時間以上放置する。その後、50mm幅のガムテープ(布製)でモルタル製の型枠の側面を捲いてカバーし、さらに、25mm幅のガムテープ(布製)が型枠の上側へ5〜7mm余るように、側面を捲いてカバーする。次に、モルタル製の型枠の内部へ、エアーを含まないように組成物を充填し、直ちに40℃のオーブンで3日養生する。その後、カッターナイフで切れ目を入れ、硬化した組成物をモルタル製の型枠から手剥離し、それらの界面について目視により観察し、発泡の有無を確認する。そして、泡の数が0〜1個のものを○、2〜3個のものを△、4個以上のものを×と評価した。
<硬度>
日本ゴム協会標準規格(SRIS)0101に準じてアスカーC(ASKER C)硬度を測定した。アスカーC硬度は、得られた各組成物を40℃×95%RHの雰囲気に5日間放置して硬化させた後の硬度を、アスカーC型硬度計(高分子計器社製)を用いて、それぞれ測定した。そして、アスカーC硬度が40以上であれば硬度が高いと判断して○、40未満であれば硬度が高くないとして×と評価した。
硬化性、発泡性および硬度の評価結果を第1表に示す。
実施例1〜3における組成物は、硬化性、発泡性および硬度のいずれも優れた結果を示した。これに対して、比較例1〜6における組成物は、硬化性、発泡性および硬度の少なくとも1つが劣っていた。

Claims (1)

  1. アミン化合物と反応する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と、
    大気中の水分と反応しアミン化合物を生成するオキサゾリジン化合物(B)と、
    脂肪酸処理された炭酸カルシウム(C)と、
    アミノシラン化合物(d1)と3官能以上のポリイソシアネート化合物(d2)とを、反応前における前記ポリイソシアネート(d2)のイソシアネート基(NCO)に対する前記アミノシラン(d1)のイミノ基(NH)の当量比(NH/NCO)が、0.2〜0.8となるように反応させて得られる加水分解性アルコキシ基を含むシラン化合物(D)と、を主成分として含有し、
    前記オキサゾリジン化合物(B)の含有量が、前記ウレタンプレポリマー(A)が有するイソシアネート基の数に対する前記オキサゾリジン化合物(B)から発生し得る活性水素の数の比が0.01以上2.0以下になる量である1液湿気硬化性樹脂組成物。
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