JP2012162204A - 空気入りタイヤおよび、ビードコアの製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤおよび、ビードコアの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ビードコア3に本来的な機能を発揮させてなお、ビード部2の、タイヤ周方向での均質性を高めることにより、タイヤ1のユニフォーミティを改善して、車両の走行時の乗り心地性および操縦安定性の両性能を向上させた空気入りタイヤ1および、ビードコア3の製造方法を提供する。
【解決手段】一対のビードコア3のそれぞれを、一本もしくは複数本のコード11をタイヤ幅方向に複数列に整列させて巻き回すとともに、タイヤ半径方向に複数段に巻き重ねて形成し、タイヤ幅方向のコード整列本数を、タイヤ半径方向の外方に向けて漸減させて、前記ビードコア3で、カーカスプライ4の本体部分4bと折返し部分4aとの間を充満させる。
【選択図】図1

Description

この発明は、ビード部に埋設した一対のビードコアと、各ビードコアの周りで折り返してなる一対の折返し部分および、ビードコアの間にトロイド状に延びる本体部分からなる少なくとも一枚のカーカスプライと、カーカスプライの本体部分のクラウン域の、タイヤ半径方向外側に配設したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に配設したトレッドゴムとを具えてなる空気入りタイヤおよび、ビードコアの製造方法に関するものであり、とくには、ビード部の均質性を高めることにより、タイヤのユニフォーミティ及び動バランスを改善して、車両の走行時の乗り心地性および操縦安定性の両性能を向上させる技術を提案するものである。
空気入りタイヤのビード部に埋設配置されるビードコアは、タイヤをリムに組み付けた場合に、そのリムに対するタイヤの配置位置を安定させるという機能の他に、ビード部の周りでタイヤ幅方向外側に折り返されるカーカスプライを、タイヤのビード部に係留させて、タイヤへの充填内圧、タイヤへの負荷荷重等の作用に起因する、カーカスコードの、ビード部からの引き抜け現象を防止するという機能を有する。
ところで、ビードコアは、たとえば特許文献1、2に記載されたもののように、一本もしくは複数本のスチール製などのコードを、タイヤ幅方向断面内で所定の列数および段数となるように、タイヤ周方向に巻き回すとともにタイヤ径方向に巻き重ねて、環状の、コードの束として形成することが一般に行われている。
そして、このような環状ビードコアの外周側に、補強ゴムとしてのビードフィラゴムを配設して、それらを、タイヤの製造時に、成型ドラム上で成型したカーカスバンドの外周側に組み付け、また、カーカスバンドのそれぞれの端部分をビードコアの周りに折り返すとともに、その他のタイヤ構成部材を成型ドラムの周りに間接的に貼着させた後、成型された生タイヤを加硫することで、空気入りタイヤを製造することができる。
特開平4−221209号公報 特開平5−162513号公報
しかるに、ビードコアの外周面にビードフィラを配設した、このようなビード部構造を採用する空気入りタイヤでは、環状のビードフィラの、端部分同士を連結したジョイント部分で、それの周方向での、重量の変動が生じることになり、とくに、ビードフィラのこのジョイント部分と、ビードコアの巻き始端もしくは巻き終端の位置とがタイヤ周方向で重なり合った場合に、その部分で重量の変動量が大きくなり、このことが、製造した空気入りタイヤのユニフォーミティ及び動バランスに影響を与え、車両の走行時の乗り心地性を損ねることになるという問題があった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、ビードコアに、上述したような本来的な機能を発揮させてなお、ビード部の、タイヤ周方向での均質性を高めることにより、タイヤのユニフォーミティ及び動バランスを改善して、車両の走行時の乗り心地性および操縦安定性の両性能を向上させた空気入りタイヤおよび、ビードコアの製造方法を提供することにある。
この発明の空気入りタイヤは、ビード部に埋設した一対のビードコアと、各ビードコアの周りで折り返してなる一対の折返し部分および、ビードコアの間にトロイド状に延びる本体部分からなる少なくとも一枚のカーカスプライと、カーカスプライの本体部分のクラウン域の、タイヤ半径方向外側に配設したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に位置するトレッドゴムとを具えてなるものであって、一対のビードコアのそれぞれを、一本もしくは複数本の、たとえば、スチールもしくは有機繊維等からなる、撚りコードもしくはモノフィラメントコードをタイヤ幅方向に複数列に整列させて巻き回すとともに、タイヤ半径方向に複数段に巻き重ねて形成し、タイヤ幅方向のコード整列本数を、タイヤ半径方向の外方に向けて漸減させ、たとえば三角形状のタイヤ幅方向の断面形状とし、前記ビードコアで、カーカスプライの本体部分と前記折返し部分との間を充満させてなるものである。
この明細書で「漸減」というときは、ビードコアを形成するコードを、タイヤ半径方向に1段巻き重ねる度に、タイヤ幅方向のコード整列本数を一本ずつ減少させる場合のみならず、たとえば、同じ列数の段が、タイヤ半径方向に複数段存在する場合をも含むことを意味し、ビードコア全体として見たときに、タイヤ半径方向外側に向かうに従ってコード整列本数が傾向的に減少していればよい。
また、ここでいう「充満」とは、カーカスプライの本体部分と折返し部分との間を、ビードコアを形成するコードのみで隙間なく満たすことを意味するものではなく、単に、一般的な空気入りタイヤでビードコアのタイヤ半径方向の外側に配設するビードフィラを設けないことを意味するものである。
ここで好ましくは、ビードコアを形成する前記コードを、ゴム被覆してなるモノフィラメントコードとするとともに、そのゴム被覆コードの直径に対する、ゴム被覆前のコードの直径の比を、0.33以上かつ0.75以下とする。
上記の空気入りタイヤに用いて好適なビードコアの製造方法は、一本もしくは複数本のゴム被覆したコードを、整列させて複数列に巻き回すとともに、コードの整列本数を漸減しつつ、たとえば、最外周の段のみでコード列数を1列として、外周側に複数段に巻き重ねて、ビードコア素材を形成して、該ビードコア素材を加硫し、しかる後、加硫工程の途中で加硫を終了させるにある。
ここで、コードをゴム被覆コードとする場合で、「ビードコア」というときは、環状に巻回したコードであって、そのコードの被覆ゴムの架橋反応が少しでも進行したものを意味するものとし、また、「ビードコア素材」というときは、環状に巻回したコードであって、そのコードの被覆ゴムの架橋反応が全く生じていないものを意味するものとする。
またここで、「加硫工程の途中」とは、コードの被覆ゴムの架橋反応が生じたときから、その架橋反応の進行が終了するまでの間のいずれかの時期をいうものとする。
この発明の空気入りタイヤによれば、一対のビードコアのそれぞれを、コードを巻回して形成し、そのビードコアで、カーカスプライの本体部分と折返し部分との間を充満させたこと、すなわち、ビードコアの外周面にビードフィラゴムを配設しないものとしたことにより、上述したような、ビードフィラのジョイント部の存在に起因する、周方向での重量変動が生じないことから、ビード部の均質性を高めることができ、この結果として、タイヤのユミフォーミティ、ひいては、車両への乗り心地性および、タイヤのビード部剛性の増加とも相俟って操縦安定性が向上されることになる。
ここで、ビードコアを形成するコードをゴム被覆コードとしたときは、タイヤを製造する際の加硫により、ビードコアの、隣接するコードの被覆ゴムの相互が接着されて、ビードコアが強固に一体化されるので、断面形状が略三角形をなす不安定なビードコアの形状が十分確実に維持されることになり、この結果として、タイヤの、改善されたユニフォーミティが確保されるとともに、ビードコアに、先述したような本来的な機能を十分に発揮させることができる。
なおここで、所要の断面輪郭形状を有するビードコアをモノフィラメントコードによって形成したときは、そのようなビードコアの形成に当って、無撚りの、単一のフィラメントからなるモノフィラメントコードが、複数のフィラメントを撚り合わせてなるコードよりも巻き重ねやすいことによって、ビードコアの形成、ひいては、この発明の空気入りタイヤの製造が容易なものとなる。
またこの場合は、モノフィラメントコードの伸張量が、撚りコードに比して小さいことに基き、たとえば、タイヤのビードコアが、先に述べたような本来的な機能を十分に発揮し得ることになるので、タイヤの製造に際し、製品タイヤの品質をコントロールすることが容易となる。これはすなわち、タイヤの製造に際しては、製品タイヤで、ビードコアに所望の機能を発揮させるべく、ビードコアを構成するコードの伸張率が0.14%程度となるように、コードの伸び量を管理することが望ましいが、ビードコアを、モノフィラメントコードに比して伸張しやすい撚りコードにて形成した場合は、製品タイヤでの、上記の伸張率が0.5%前後となって、製品タイヤの品質維持が困難となる懸念がある。
なおここで、前記ゴム被覆コードの直径に対する、ゴム被覆前のコードの直径の比を、0.33以上かつ0.75以下とした場合には、不安定なビードコア形状を十分確実に維持することができ、また、ビードコアの付近への空気の封入を防止することができる。
いいかえれば、前記直径比を0.33未満とした場合は、被覆ゴムの量が多すぎることによって、ビードコアの形状の維持が困難となり、この一方で、この比を、0.75を超えるものとした場合は、被覆ゴムの量が少なすぎることによって、ビードコアを形成するゴム被覆コード間や、ビードコアとカーカスプライとの間に大きな隙間が生じて、そこに空気が封じ込められるおそれがある。
そしてまた、この発明の、ビードコアの製造方法によれば、ゴム被覆したコードを環状に巻回して、タイヤ幅方向の断面形状をほぼ三角形として加硫し、しかる後、加硫工程の途中で加硫を終了させることにより、その後のタイヤ素材としての配設に至るまでの間、ビードコアの形状を確実に維持してなお、ビードコアをタイヤ素材として配設して製造したグリーンタイヤを加硫するに際して、ビードコアが、それに隣接する他のタイヤ構成部材に十分強固に加硫接着することになるので、製造されるタイヤの耐久性能を有効に向上させることができる。
ここで、ゴム被覆したコードを環状に巻回した後に、完全に加硫した場合は、その後のグリーンタイヤの加硫時に、ビードコアの、他のタイヤ構成部材への加硫接着が強固になされないことがある他、ビードコアの過加硫の故に、ビードコアを形成するコードの被覆ゴムが劣化するおそれがある。
この発明の一の実施の形態を、タイヤの半部について示す幅方向断面図である。 タイヤ素材としての配設前のビードコア素材およびその変形例を示す断面斜視図である。 図2に示すビードコア素材を形成するゴム被覆コードの横断面図である。 従来例タイヤにおける、タイヤ素材としての配設前のビードコア素材を示す断面斜視図である。 実施例2で用いた実施例タイヤを示す、図1と同様の図である。
以下に図面を参照しつつ、この発明の実施の形態について説明する。
図1に示す空気入りタイヤ1は、ビード部2に埋設した一対のビードコア3と、それらのビードコア3の間でトロイド状に延びる少なくとも一枚、図では一枚のカーカスプライ4と、カーカスプライ4のクラウン域の、タイヤ半径方向外側に配設したベルト5と、ベルト5のタイヤ半径方向外側に配設したトレッドゴム6とを具えてなる。
ここにおいて、カーカスプライ4は、有機繊維コード等をラジアル方向に延在させてなるものとすることができ、図では一枚としたこのカーカスプライ4は、ビードコア3の周りで、タイヤ幅方向の内側から外側に向けて折返してなる折返し部分4aおよび、ビード部2からサイドウォール部7およびトレッド部8を経てトロイド状に延びる本体部分4bからなる。
なお、カーカスプライの折返し部分は、図示は省略するが、タイヤ幅方向の外側から内側に向けて折返して形成することもできる。
また、図に示す実施の形態では、ベルト5を、カーカスプライ4のタイヤ半径方向外側に位置する内側ベルト層9および、その内側ベルト層9のタイヤ半径方向外側に配設した外側ベルト層10からなる2層構造としているが、このベルトを、1層または、3層以上のベルト層から形成することもできる。
そしてここでは、内側ベルト層9と外側ベルト層10とのそれぞれを形成する、スチール製等のコードを、たとえば、タイヤ赤道面Cに対して、互いに交差する向きに傾斜させる。
ここにおいて、ビードコア3は、一本もしくは複数本のコード、たとえばモノフィラメントコード11をタイヤ幅方向に整列させて巻き回すとともに、タイヤ半径方向に巻き重ねて形成し、図1に示すように、タイヤ幅方向のコード11の整列本数を、タイヤ半径方向の外方に向けて漸減させ、ここでは、最外周の段のみでコード11の列数を1列として、略三角形状のタイヤ幅方向の断面形状とする。なお、ビードコアを形成するコードは、複数のフィラメントを撚り合わせてなる撚りコードとすることもでき、また、図示は省略するが、最外周の段の、コードの列数を2列とすることも可能である。
そして、カーカスプライ4の本体部分4bと折返し部分4aとの間の、一般的な空気入りタイヤではビードフィラゴムを配設する領域Afまでを、このビードコア3で充満させる。
なお、図1に示すタイヤ1に配設したビードコア3は、図2(a)に、断面斜視図で示すような、略二等辺三角形の断面形状をなすビードコア素材3aを加硫してなるものである。このビードコア素材3aは、ゴム被覆を施したコード11の、タイヤ幅方向の整列本数を、タイヤ半径方向の内側から外側に向けて4、4、3、3、3、2、2、1本の順に漸減させて巻き重ねて形成する。
また、ビードコア素材3aの断面形状は、図2(b)に変形例を例示するように、タイヤ幅方向内側に位置することとなる底角が90度の略直角三角形とすることもできる。なお、図2(b)に示すビードコア素材3aでは、タイヤ幅方向のコード11の整列本数の、タイヤ半径方向の外側への漸減態様を、図2(a)に示すものと同様とした。
そしてまた、ビードコアを形成するコード11は、図2(c)に示すように、タイヤ半径方向の外側に位置する、タイヤ幅方向のコード整列部分を、それの内側のコード整列部分に対してタイヤ幅方向にずらして、内側の、隣り合うコード間に嵌め合わせた姿勢で巻き重ねることもできる。
ところで、ビードコア素材3aを形成するコード11は、スチールや有機繊維などからなるものとすることができる。
また、図3に、ビードコア素材3aを形成するコード11を横断面図で示すように、コード11はゴム被覆コードとすることが好ましく、より好適には、ゴム被覆コード11の直径D1に対する、ゴム被覆前のコード11aの直径D2の比D2/D1を0.33以上かつ0.75以下とする。
コード11をゴム被覆コードとすることにより、タイヤ1の重量の大きな増加を招くことなしに、図1に示す、カーカスプライ4の本体部分4bと折返し部分4aとの間を、通常はビードフィラゴムを配設する領域Afまでを、ビードコア3で充満させることができる。
以上のようなビードコアを製造するに当っては、ゴム被覆したモノフィラメントコードを所定の段数および列数となるように巻回して環状のビードコア素材を形成し、そのビードコア素材を加硫し、その後、加硫工程の途中で加硫を終了させることが好ましい。これにより、タイヤ素材としての配設に至るまでの間、略三角形状に高く積み上げた環状のビードコアの形状を、十分確実に維持させることができる。
次に、この発明の空気入りタイヤを試作し、その性能を評価したので以下に説明する。
実施例1では、供試タイヤのサイズを、実施例タイヤ1、2および従来例タイヤ1のそれぞれについて、195/65R15の乗用車用タイヤとした。
実施例タイヤ1は、図1に示す構成を有するものであり、ビード部2にビードフィラゴムを配設せず、図2(a)に示すビードコア素材3a、すなわち、モノフィラメントコード11を巻回して、高さ30mmの略二等辺三角形の断面形状をなす8層構造のビードコア素材3aを用いたものである。
また、ビードコア素材3aのこのモノフィラメントコード11は、ゴム被覆前のコード11aの直径が1.25mmであり、ゴム被覆コード11の直径D2に対する、ゴム被覆前のコード11aの直径D1の比D1/D2を0.63とした。
実施例タイヤ2は、ビードコア素材3aを形成するゴム被覆コード11の直径D2に対する、ゴム被覆前のコード11aの直径D1の比D1/D2を0.45とし、このことに起因して、断面形状が、高さ35mmの略二等辺三角形をなすビードコア素材3aを用いたことを除いて、実施例タイヤ1と同様に構成したものである。
従来例タイヤ1は、ビードコア素材を、図4に示すように、モノフィラメントコードを4本整列させてゴム被覆し、これを4段に巻き重ねて、高さが35mmの略方形の断面形状とし、ビードコアの外周側にビードフィラゴムを配設したことを除いて、実施例タイヤ1と同様に構成したものである。
ここで、ビードコア素材のモノフィラメントコードの、ゴム被覆前のコードの直径を1.25mmとするとともに、ゴム被覆コード11の直径D2に対する、ゴム被覆前のコード11aの直径D1の比D1/D2を0.91とした。
これらの各供試タイヤのそれぞれについて、サイズ15x5.5Jのリムに組み付けて225kPaの空気圧を充填し、JIS D4233に準拠するユニフォーミティ試験を行い、ラジアルフォースバリエーション(RFV)およびラテラルフォースバリエーション(LFV)を測定するとともに、動バランス試験を行い、動バランス、すなわち、タイヤの重量の、左右のビード部の、周方向での偏在を測定した。
また、上記のリムに組み付けた各供試タイヤを、1800ccのセダン型乗用車両に装着して、車両の操縦安定性能を評価した。
そしてまた、各供試タイヤを上記のリムに組付けるとともに、タイヤ内圧を次第に上昇させて、各ビード部が、対応する、リムのそれぞれのビードシート部にフィットしたことを示す音が生じた際のタイヤ内圧(ビードFIT圧)を測定した。
なお、一般に、このビードFIT圧が大きすぎる場合は、リム組み時のビード部の故障が生じ易く、また、リムとのフィット性が良好ではないとされており、この一方で、ビードFIT圧が小さすぎる場合は、タイヤの走行時の、タイヤとリムとの間での回転によりバランスが悪化するとされている。
これらの測定値をいずれも、従来例タイヤ1をコントロールとする指数で評価し、その結果を表1に示す。なお、表1中のいずれの数値も、数値が大きいほどその項目の性能が高いことを表す。
Figure 2012162204
続いて、実施例2では、供試タイヤのサイズを、実施例タイヤ3、4および従来例タイヤ1のそれぞれについて、120/70ZR17M/Cの自動二輪車用タイヤとした。
実施例タイヤ3は、図5に示す構成を有するものであり、ビード部にビードフィラゴムを配設せず、図2(b)に示すように、モノフィラメントコード11を巻回して形成され、断面形状が、高さが15mmでタイヤ幅方向内側の底角が90°をなす略直角三角形の8層構造のビードコア素材3aを用いた。
また、ビードコア素材3aのモノフィラメントコード11は、ゴム被覆前のコード11aの直径が0.80mmであり、ゴム被覆コード11の直径D2に対する、ゴム被覆前のコード11aの直径D1の比D1/D2を0.50とした。
実施例タイヤ4は、ビードコア素材3aを形成するゴム被覆コード11の直径D2に対する、ゴム被覆前のコード11aの直径D1の比D1/D2を0.33とし、このことに起因して、断面形状が、高さが20mmの略二等辺三角形をなすビードコア素材3aを用いたことを除いて、実施例タイヤ3と同様に構成したものである。
従来例タイヤ2は、ビードコア素材を、図4に示すように、モーフィラメントコードを4本整列させてゴム被覆し、これを4段に巻き重ねて、高さが20mmの略方形の断面形状とし、ビードコアの外周側にビードフィラゴムを配設したことを除いて、実施例タイヤ1と同様に構成したものである。
ここで、ビードコア素材のモノフィラメントコードの、ゴム被覆前のコードの直径を0.96mmとするとともに、ゴム被覆コードの直径に対する、ゴム被覆前のコードの直径の比を0.91とした。
これらの各供試タイヤのそれぞれについて、サイズ17xMT3.5のリムに組み付け、250kPaの空気圧を充填して、実施例1と同様に、ユニフォーミティ試験方法を行うとともに動バランス試験を行った。
また、上記のリムに組み付けた各供試タイヤを、1000ccの整地用カウル付オートバイに装着して、車両の操縦安定性能を評価した。
さらに、供試タイヤを上記のリムに組付けた際のビードFIT圧を測定した。
これらの測定値をともに、従来例タイヤ2をコントロールとする指数で評価し、その結果を表2に示す。なお、表2中のいずれの数値も、数値が大きいほどその項目の性能が高いことを表す。
Figure 2012162204
実施例1の表1および、実施例2の表2のそれぞれの結果から、従来例タイヤ1、2に比して、実施例タイヤ1、3では、ラジアルフォースバリエーション、動バランスおよび操縦安定性が良好であり、とくに実施例タイヤ2、4ではラテラルフォースバリエーションをも改善されており、これらのことから、この発明の空気入りタイヤによれば、車両の乗り心地性および操縦安定性の両性能を向上させ得ることが解かった。
1 空気入りタイヤ
2 ビード部
3 ビードコア
3a ビードコア素材
4 カーカスプライ
4a 折返し部分
4b 本体部分
5 ベルト
6 トレッドゴム
7 サイドウォール部
8 トレッド部
9 内側ベルト層
10 外側ベルト層
11 モノフィラメントコード
11a ゴム被覆前のコード
C タイヤ赤道面
Af 一般的な空気入りタイヤでビードフィラゴムを配設する領域
D1 ゴム被覆コードの直径
D2 ゴム被覆前のコードの直径

Claims (3)

  1. ビード部に埋設した一対のビードコアと、各ビードコアの周りで折り返してなる一対の折返し部分および、ビードコアの間にトロイド状に延びる本体部分からなる少なくとも一枚のカーカスプライと、カーカスプライの本体部分のクラウン域の、タイヤ半径方向外側に配設したベルトと、該ベルトのタイヤ半径方向外側に位置するトレッドゴムとを具えてなる空気入りタイヤにおいて、
    一対のビードコアのそれぞれを、一本もしくは複数本のコードをタイヤ幅方向に複数列に整列させて巻き回すとともに、タイヤ半径方向に複数段に巻き重ねて形成し、タイヤ幅方向のコード整列本数を、タイヤ半径方向の外方に向けて漸減させ、
    前記ビードコアで、カーカスプライの本体部分と前記折返し部分との間を充満させてなる空気入りタイヤ。
  2. ビードコアを形成する前記コードを、ゴム被覆してなるモノフィラメントコードとし、該ゴム被覆コードの直径に対する、ゴム被覆前のコードの直径の比を、0.33以上かつ0.75以下としてなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. ゴム被覆したコードを巻回して環状のビードコアを製造するに当り、
    一本もしくは複数本のゴム被覆したコードを、整列させて複数列に巻き回すとともに、コードの整列本数を漸減しつつ、外周側に複数段に巻き重ねて、ビードコア素材を形成して、該ビードコア素材を加硫し、しかる後、加硫工程の途中で加硫を終了させるビードコアの製造方法。
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