以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下の実施形態に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。本実施形態において、タイヤは空気入りタイヤを例として説明するが、本実施形態の適用対象はタイヤ全般であり、空気入りタイヤに限定されるものではない。
以下の説明において、タイヤ赤道面とは空気入りタイヤのタイヤ回転軸に直交するとともに、空気入りタイヤのタイヤ幅の中心を通る平面を意味する。タイヤ幅方向(幅方向)とはタイヤ回転軸と平行な方向を意味し、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる側を意味する。タイヤ径方向(径方向)とは空気入りタイヤ回転軸と直交する方向を意味し、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向においてタイヤ回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とは、タイヤ径方向においてタイヤ回転軸から離れる側を意味する。タイヤ周方向(周方向)とはタイヤ回転軸を中心軸とする周方向を意味する。以下、空気入りタイヤは、必要に応じてタイヤという。
図1は、タイヤの斜視図である。図2は、図1に示すタイヤの子午断面図である。図3は、図1に示すタイヤのトレッド面の概略構成を示す平面図である。図1のY軸がタイヤ回転軸であり、Z軸はタイヤ1が接地する路面と直交する軸であり、X軸はY軸及びZ軸に直交する軸である。図1に示すように、タイヤ1は、タイヤ回転軸を中心として回転する環状構造体である。図2に示すように、タイヤ1の子午断面には、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4及びビードコア5が現れている。タイヤ1のタイヤ径方向外側(路面との接地面側)には、キャップトレッド6が配置されている。タイヤ1は、母材であるゴムを、補強材であるカーカス2、ベルト3、あるいはベルトカバー4等の補強コードによって補強した複合材料の構造体である。カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4等の、金属繊維や有機繊維等のコード材料で構成される補強コードの層をコード層という。
カーカス2は、タイヤ1に気体(例えば、空気)を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、タイヤ1の内部に充填される気体の圧力(内圧)によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐えるようになっている。ベルト3は、キャップトレッド6とカーカス2との間に配置されたゴム引きコードを束ねた補強コードの層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト3は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。
ベルト3の踏面G側には、ベルトカバー4が配置されている。ベルトカバー4は、例えば有機繊維材料を層状に配置したものであり、ベルト3の保護層としての役割や、ベルト3の補強層としての役割を持つ。ビードコア5は、内圧によってカーカス2に発生するコード張力を支えているスチールワイヤの束である。ビードコア5は、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4及びトレッドとともに、タイヤ1の強度部材となる。タイヤ1の側部はサイドウォール8と呼ばれており、ビードコア5とキャップトレッド6との間を接続する。また、キャップトレッド6とサイドウォール8との間はショルダー部Shである。
図2及び図3に示すように、キャップトレッド6の踏面G側(トレッド面)には、タイヤ周方向に延在する4本の主溝7a、7b、7c、7dが形成される。これによって、雨天走行時の排水性を向上させる。また、4本の主溝7a、7b、7c、7dが形成されることで、キャップトレッド6は、主溝7aよりのタイヤ幅方向外側の陸部11aと、主溝7aと主溝7bとの間の陸部11bと、主溝7bと主溝7cとの間の陸部11cと、主溝7cと主溝7dとの間の陸部11dと、主溝7dよりのタイヤ幅方向外側の陸部11eとを有する。陸部11cは、タイヤ赤道面Cを通る位置に形成されている。また、陸部11cは、主溝7a、7b、7c、7dよりも溝幅が狭く、溝深さが小さい飾り溝12を有する。さらに、陸部11bは、タイヤ幅方向に延びて、主溝7aから主溝7bまで延在するラグ溝14を、タイヤ周方向に一定間隔で複数有する。このような構造により、陸部11bは、主溝7aと主溝7bとラグ溝14とで囲われたブロック16が、タイヤ周方向に向かって複数列配置された形状となる。また、陸部11dも、タイヤ幅方向に延びて、主溝7cから主溝7dまで延在するラグ溝14を、タイヤ周方向に向かって一定間隔で複数有する。このような構造により、陸部11dは、主溝7cと主溝7dとラグ溝14とで囲われたブロック16が、タイヤ周方向に向かって複数列配置された形状となる。このように、タイヤ1は、陸部11b、11dに、周方向に一定間隔でラグ溝14を有する。このため、タイヤ1は、タイヤ周方向に不均一な形状、すなわち、タイヤ周方向に向かって凹凸が形成された形状である。また、タイヤ1は、タイヤ周方向に一定間隔でラグ溝14とブロック16とを交互に有する。このような構造により、タイヤ1は、タイヤ周方向において、ピッチP毎に同じ形状が繰り返す形状となっている。すなわち、タイヤ1は、タイヤ回転軸を中心として、ピッチPに対応する一定角度分の形状が繰り返し単位となり、ピッチPに対応する一定角度分の形状周方向に複数個並べた形状となる。
次に、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実行する装置について説明する。図4は、本実施形態に係る解析装置を示す説明図である。解析装置50はコンピュータである。解析装置50は、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実現する装置である。図4に示すように、解析装置50は、処理部52と記憶部54とを有する。この解析装置50は、入出力装置51が電気的に接続されており、ここに備えられた入力手段57を介して、解析モデルの作成に必要な情報、あるいは剛性の算出に用いる演算式、処理プログラム、境界条件等が処理部52や記憶部54へ入力される。また、解析装置50は、入出力装置51の表示手段55に算出結果、入力結果等、種々の情報を表示させる。解析モデル(シミュレーションモデルに相当する)とは、コンピュータを用いて数値解析可能なモデルであり、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む。
入力手段57には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。記憶部54には、タイヤの変形解析や本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を含むコンピュータプログラムが格納されている。また、記憶部54には、シミュレーション方法に用いる各種条件(関数式、各種パラメータと剛性との対応関係、適用条件等)の情報を含むパラメータ情報54aが格納されている。ここで、記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、種々のタイヤのシミュレーション方法を実現できるものであってもよい。また、処理部52の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより構造物の変形解析や本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
処理部52は、モデル作成部52aと、解析部52bと、を有する。モデル作成部52aは、解析対象のタイヤの三次元形状を取得し、取得した形状に基づいて解析モデル(タイヤモデル)を作成し、記憶部54に保存する。モデル作成部52aは、例えば、解析対象のタイヤのCAD(Computer Aided Design)用のデータから、解析モデルを作成する。
解析部52bは、モデル作成部52aで作成されたタイヤモデル(解析モデル)のブロック部の剛性を算出するものである。解析部52bは、ブロック形状取得部53aと、ブロック分割部53bと、パラメータ取得部53cと、短冊剛性算出部53dと、ブロック剛性算出部53eと、を含む。ブロック形状取得部53aは、解析対象のブロックの形状を取得し、記憶部54に格納する。なお、ブロック形状取得部53aは、モデル作成部52aで作成されたタイヤモデルからブロック(ブロックのモデル)を抽出することで、ブロックの形状を取得する。なお、本実施形態では、タイヤモデルからブロックを抽出したが、ブロックの形状のCADデータ等から直接取得してもよい。なお、本実施形態では、ブロック形状のデータをブロックの3次元形状で取得するが、ブロックの形状としては、ブロックの3次元形状が一意に決まるような平面図の組、寸法を取得してもよい。
ブロック分割部53bは、ブロック形状取得部53aで取得され記憶部54に記憶されたブロックの形状を読み出し、読み出したブロックを所定の方向の切断面が形成される向きで切断し、複数の短冊に分割する。ブロック分割部53bは、ブロックを分割して作成した複数の短冊を記憶部54に格納する。
パラメータ取得部53cは、ブロック分割部53bで作成され記憶部54に記憶された複数の短冊を解析し、作成された短冊の各種パラメータ(断面形状、材料パラメータ等)を取得する。つまり、パラメータ取得部53cは、作成された短冊及びブロックに設定されている各種値に基づいて、短冊に関する各種パラメータを取得する。なお、短冊の寸法のパラメータは、上記ブロック形状のデータから幾何学的に算出することができる。なお、パラメータ取得部53cは、ブロック分割部53bで作成した全ての短冊について、それぞれパラメータを取得する。パラメータ取得部53cは、取得したパラメータを記憶部54に格納する。
短冊剛性算出部53dは、パラメータ取得部53cで取得したパラメータ及び記憶部54に記憶されているパラメータ情報54aに基づいて、ブロック分割部53bで作成した短冊の剛性を算出する。短冊剛性算出部53dは、短冊毎に剛性の算出処理を繰り返すことでブロックを構成する全ての短冊の剛性を算出する。短冊剛性算出部53dは、算出した各短冊の剛性を記憶部54に格納する。
ブロック剛性算出部53eは、短冊剛性算出部53dで算出した短冊の剛性に基づいて、ブロックの剛性を算出及び評価する。具体的には、ブロックを構成する全ての短冊の剛性を合計することで、ブロックの剛性を算出する。ブロック剛性算出部53eは、算出したブロックの剛性を記憶部54に格納する。
処理部52は、例えば、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。処理部52は、剛性解析時には、モデル作成部52aが作成した解析モデルや入力データ等に基づいて、解析部52bが前記コンピュータプログラムを解析部52bに組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、演算途中の数値を記憶部54に適宜格納し、また記憶部54へ格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアによって、その機能を実現するものであってもよい。
表示手段55には、液晶表示装置等を使用することができる。また、シミュレーションの結果やシミュレーションの条件等は、必要に応じて設けられた印刷機により、紙等の被記録媒体に出力することもできるので、表示手段55として印刷機を用いてもよい。記憶部54は、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。例えば、解析装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。
次に、図5から図8を用いて、本実施形態に係るシミュレーションモデル作成方法及びタイヤのシミュレーション方法を説明する。なお、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法は、上述した解析装置50により実現できる。図5は、本実施形態に係るタイヤのシミュレーション方法の手順を示すフローチャートである。図6は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。図7及び図8は、それぞれ短冊の剛性の算出に用いる対応関係の一例を示す説明図である。
まず、図4に示す解析装置50の処理部52は、モデル作成部52aによりタイヤモデルを作成する。なお、タイヤモデルは、トレッド部にブロック部を有するタイヤモデルである。また、処理部52は、タイヤモデル及びブロックは、三次元形状で作成する。処理部52は、モデル作成部52aによりタイヤモデルを作成したら、解析部52bでの処理を実行する。
まず、解析部52bは、ステップS12として、ブロック形状取得部53aにより計算するブロック形状のデータ、つまり剛性を算出し、評価する対象のブロックの形状のデータを用意する。本実施形態では、ブロック形状取得部53aがモデル作成部52aで作成したタイヤモデルから対象のブロックを特定し、特定したブロックをタイヤモデルから抽出することで、ブロック形状のデータを用意する。
解析部52bは、ステップS12でブロック形状のデータを用意したら、ステップS14としてブロック分割部53bによりブロックを短冊に分割する。具体的には、図6に示すように、解析対象のブロック60を切断面62a、62b、62c、62d、62e(以下、切断面を特に特定しない場合は切断面62という。)で分割する。これにより、ブロック60は、切断面62aと切断面62bで切り取られた短冊64aと、切断面62bと切断面62cで切り取られた短冊64bと、切断面62cと切断面62dで切り取られた短冊64cと、切断面62dと切断面62eで切り取られた短冊64dとに、分割される。なお、図6は、ブロック60の一部の切断面のみを示したが、ブロック60は、全域が切断面により切断され複数の短冊に分割されている。ここで、切断面は、ブロックの突出方向(高さ方向)、つまりタイヤの径方向に平行な面である。つまりブロック等で構成されるトレッド表面に対して直交する面である。また、複数の切断面は、互いに平行な面である。また、切断面は一定間隔でブロック60を切断している。このような複数の切断面でブロック60を分割することで、短冊64a、64b、64c、64d(以下、短冊を特に特定しない場合は短冊64という。)は、幅方向(切断面に直交する方向)の長さ(幅)が同一となる。
ここで、本実施形態のブロック60は、タイヤ径方向の最も外側の面が正方形となり、タイヤ径方向内側に向かうに従ってタイヤ径方向に直交する断面の正方形が大きくなる形状である。つまり、側面がタイヤ径方向に対して傾斜している面である。また、切断面62は、ブロック60のタイヤ径方向の最も外側の面が正方形に対して傾斜している。このため、例えば短冊64cは、タイヤ径方向の最も外側の面70が台形となり、2本の切断面によって挟まれた側面72、74が、タイヤ径方向に対して傾斜した傾斜面となっている。
解析部52bは、ステップS14でブロックを短冊に分割したら、ステップS16としてパラメータ取得部53cにより、短冊の断面形状・材料パラメータを取得する。つまり、解析部52bのパラメータ取得部53cは、ステップS14で作成した短冊64の断面形状・材料パラメータ等、剛性の算出に必要な各種パラメータを取得する。なお、解析部52bは、タイヤモデル作成時に設定された材料の情報や、寸法の情報、ブロック分割部53bでの分割条件の情報等から、各種情報を取得または算出する。また、パラメータ取得部53cは、必要に応じて取得した情報に対応するパラメータをパラメータ情報54aから読み出す。なお、断面形状としては、短冊の幅、高さ、長さ、各面形状等が例示される。材料パラメータとしては、短冊の弾性率、材料構成比等が例示される。
解析部52bは、ステップS16で各種条件を取得したら、ステップS18として短冊剛性算出部53dにより短冊の剛性を算出する。具体的には、短冊剛性算出部53dは、パラメータ情報54aに格納されている情報の中から、ステップS16で取得した短冊の断面形状や材料パラメータ等に対応する剛性を特定し、特定した剛性を当該短冊の剛性とする。
以下、図7及び図8を用いて短冊の剛性の算出方法を説明する。なお、図7は、複数のパラメータを種々の組み合わせとして剛性を算出した結果をまとめた複数のパラメータと剛性との対応関係を示す表である。また、図8は、寸法パラメータと剛性との関係を示すグラフである。図8は、縦軸を剛性、横軸を寸法パラメータとした。例えば、パラメータ情報54aには、図7に示すように複数のパラメータと、そのパラメータの組み合わせに対応する剛性とが対応付けられた表が格納されている。なお、図7の表のパラメータとしては、短冊の断面形状や材料パラメータであり、短冊の幅、高さ、長さ、各面形状、短冊の弾性率、材料構成比等である。短冊剛性算出部53dは、パラメータ取得部53cで取得した短冊のパラメータの組み合わせと、図7に示す表のパラメータとを比較してパラメータの組み合わせが一致する項目に対応付けられた剛性を、当該短冊の剛性として算出する。
ここで、短冊のパラメータが、パラメータ情報54aの表に対応付けられているパラメータの間の値である場合は、隣接したパラメータの値に基づいて補間する。つまり、図8に示すようにパラメータ情報54aの表に対応付けられている寸法のパラメータがAとBの2つであり、短冊の寸法のパラメータがAとBの間の値であるCである場合は、補間近似(図8では直線近似)し、剛性を算出すればよい。これにより、表のパラメータと短冊のパラメータとが完全に一致しない場合でも剛性を算出することができる。なお、表の夫々の項目のパラメータは、数値に一定の幅を持たせるようにしてもよい。これにより、用意するパラメータと剛性との関係の数を少なくすることができる。
解析部52bは、ステップS18で剛性を算出したら、ステップS20として全ての短冊を計算したか、つまりブロックを構成する全ての短冊の剛性を算出したかを判定する。解析部52bは、ステップS20で全ての短冊を計算していない(No)、つまり剛性を算出していない短冊があると判定したら、ステップS16に進む。その後、解析部52は、ステップS14で作成した短冊のうち、剛性を算出していない短冊を特定し、当該短冊を対象としてステップS16、ステップS18の処理を実行する。
解析部52bは、ステップS20で全ての短冊を計算した(Yes)、つまり、全ての短冊の剛性を算出したと判定したら、ステップS22として、ブロック剛性算出部53eにより短冊ごとの剛性を計算してブロック全体の剛性を計算する。解析部52bは、ブロック全体の剛性を算出したら、本処理を終了する。また、処理部52は、ブロック全体の剛性を算出したら、算出結果を表示手段55に表示させてよい。
解析装置50は、解析対象のブロックを短冊に分割し、単純な形状の短冊の剛性を算出することで、ブロックの剛性を算出することができる。これにより、単純な形状に分割した短冊のパラメータ(例えば短冊の形状の寸法パラメータと材料の弾性率)を用いた剛性の計算の合計で、複雑なタイヤのブロック形状の剛性を算出することができる。これにより、計算の負荷が軽減できる。なお、本実施形態では、剛性を算出したのみであるが、算出した剛性をさらに評価(剛性が設定した条件、基準を満足しているか等)してもよい。
また、本実施形態は、短冊の形状パラメータを変数とした関数(算出関数)を用いて短冊の剛性を計算するため、簡単な計算または簡単な処理(対応付け、条件の照合)で短冊の剛性を算出することができる。つまり、本実施形態によれば、FEM等の数値計算法を用いて短冊の剛性を算出する場合よりも少ない計算量で短冊の剛性を算出することができる。ブロック形状を複数の短冊に分割するため、一定パターンの短冊の剛性に基づいて種々の形状のブロックの剛性を算出することができる。なお、関数としては、上記実施形態のように、入力(パラメータ)と出力(剛性)が離散的に表形式以外にも、ニューラルネットや、数式(演算式)も用いることができる。また、短冊剛性算出部53dは、本実施形態のように、補間近似を用いて剛性を算出する、つまり用意されたパラメータとパラメータとの間に短冊のパラメータがある場合、近接の2つのパラメータの剛性に基づいて短冊の剛性を算出することが好ましい。
また、短冊剛性算出部53dで用いる関数は、代表的な短冊の形状について剛性を計算した結果に基づいて予め作成しておくことが好ましい。代表的な形状の剛性を算出して、パラメータと剛性とが対応付けられた関数を用意しておくことで、種々の形状の短冊の剛性を算出することができる。なお、代表的な形状の剛性の算出は、FEM等の数値計算により算出することができる。また、代表的な短冊形状は、想定される短冊の形状パラメータの範囲から複数抽出したパラメータを総当りで組み合わせて決定してもよいし、実験計画法をはじめとするサンプリングでパラメータから決定してもよい。また、パラメータと剛性との関係の関数は、パラメータを変化させつつ繰り返し計算で当該パラメータの形状の剛性を算出することで作成することができる。
ここで、短冊剛性算出部53dで用いる関数を、代表的な短冊の形状について剛性を計算した結果に基づいて予め作成する場合、短冊と剛性との対応付け時に、形状パラメータと短冊の剛性との関係を確認し、非線形性が強い場合はパラメータの間隔を詳細にして更に計算して関数を作成することが好ましい。このように、関数を用意することで、精度を向上することができる。ここで、図9は、短冊の剛性の算出に用いる対応関係の一例を示す説明図である。また、図9は、寸法パラメータと剛性との関係を示すグラフである。図9は、縦軸を剛性、横軸を寸法パラメータとした。例えば、図9に示すように、サンプル1の点数で剛性と寸法パラメータとの関係を検出した場合は、寸法パラメータの中間領域に剛性の変化速度が変化する非線形部分があることが検出される。この場合は、非線形部分の寸法パラメータと剛性との関係をサンプル2の点数で、検出することで、寸法パラメータと剛性との関係を示す関数をより正確な関数とすることができる。なお、非線形であるかの判定は、設定された条件と近似線との関係に基づいて判定することができる。
また、上記実施形態では、短冊の剛性を、短冊のパラメータと予め用意した関数との関係に基づいて算出したが、有限要素法(Finite Element Method:FEM)等の数値計算で算出してもよい。なお、短冊の剛性を数値計算で算出すると、関数を用いる場合よりも、短冊を要素に分割する処理等により処理時間が増加したり、短冊の剛性の算出のための計算量が増加したりするが、ブロックをそのままの形状で数値計算により算出する場合よりも計算量、処理時間を低減することができる。なお、数値計算としては有限要素法以外にも有限差分法(Finite Difference Method:FDM)や境界要素法(Boundary Element Method:BEM)等の解析手法も使用できる。また、境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することもできる。なお、有限要素法は、構造解析に適した解析手法なので、特にタイヤのような構造体に対して好適である。有限要素法に基づいてブロックのモデルを作成する場合、ブロック形状取得部53aは、CAD用データによって特定されるブロックを、複数かつ有限個の要素に分割して、ブロックのモデルを作成する。なおブロックのモデルには、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む。
ここで、切断面は、ブロックを短冊に分割できればよく特に限定されない。なお、切断面は、ブロックを短冊に分割する面であるため、それぞれの短冊に分割する切断面は互いに平行な面となる。つまり、切断面は、切断面に直交する方向に移動しながらブロックを切断することで短冊を形成する。また、後述するが短冊をさらに分割する場合は、当該切断面とは異なる向きの切断面が設けられる。ここで、切断面は、タイヤ径方向に平行な面、つまりブロックの径方向外側の面を平面とみなした場合のタイヤ周方向とタイヤ幅方向とに平行な面に直交する面とすることが好ましい。これにより、ブロックの構成を適切に算出することができる。また、切断面は、タイヤ幅方向に直交する面またはタイヤ周方向に直交する面とすることがより好ましい。切断面をタイヤ幅方向に直交する面とすることで、ブロックのタイヤ周方向の剛性を好適に評価することができ、切断面をタイヤ周方向に直交する面とすることで、ブロックのタイヤ幅方向の剛性を好適に評価することができる。これにより、ブロックの剛性のうちより必要性が高い方向の剛性を評価することができ、ブロックの性能をより適切に評価することができる。
ここで、前記ブロックが、せん断変形により変形する場合は、前記ブロック分割部53bは、切断面をせん断方向と平行な面とすることが好ましい。ここで、図10は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。図10に示すようにせん断方向が矢印80に示す方向の場合は、切断面62a、62b、62c、62d、62eを矢印80の方向に延在することが好ましい。これにより、切断面により分割されて作成される短冊64a、64b、64c、64dの長手方向がせん断方向と平行な方向となり、せん断方向の剛性を短冊で好適に算出し、評価することができる。これにより、ブロックの剛性として重要なせん断剛性を的確に評価することができる。
ブロック分割部53bは、短冊の幅が、ブロックの代表サイズの10%以下となる幅で分割することが好ましい。ブロック分割部53bは、短冊の幅が、ブロックの代表サイズの5%以下となる幅で分割することがより好ましく、1%以下となる幅で分割することがより好ましい。このように、分割した短冊の幅をブロックの幅に対して十分小さくすることで、短冊上面の形状を略長方形とみなすことができ、剛性の算出の精度を維持したまま、関数の短冊のパラメータを簡略化することができる。なお、短冊の寸法パラメータには、短冊切断面両側における値の平均、あるいは短冊切断面のいずれか片側の面の寸法を用いることができる。また、本実施形態のように切断面の間隔は、等間隔とすることが好ましい、つまり短冊の幅は、同一とすることが好ましい。これにより、代表形状として算出する短冊の形状の幅を1つとすることができ、用意する代表形状を少なくすることができる。ここで、ブロックの代表サイズは、ブロックの切断面に直交する方向の長さを基準として算出される。具体的には、ブロックの切断面に直交する方向の長さ(切断面をせん断方向と平行な面とする場合はせん断方向と直交する方向のブロックの幅)を代表サイズとしてもよい。ここで、図11は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。図11に示すように切断面81を矢印82の方向に移動させてブロック60を分割してブロック60の剛性を算出し、かつ、切断面83を矢印84の方向に移動させてブロック60を分割してブロック60の剛性を算出し場合、つまりブロックの剛性を複数方向について算出する場合(ブロックを異なる方向に切断して複数回剛性を算出する場合)は、ブロックの切断面に直交する方向の長さに加え、剛性を算出する他の方向に基づいた長さの平均値、または小さい方の寸法を用いることができる。また、複数のブロックの剛性を同時に算出する場合は、ブロックの切断面に直交する方向の長さに加え、他のブロックに基づいた長さの平均値、または小さい方の寸法を用いることができる。また、幅成分を固定値とできるため計算効率を向上させることができる。また、短冊の幅は、0.1mm以上1mm以下とすることが好ましい。短冊の幅を上記幅とすることで、ブロックの剛性をより正確に算出することができる。
短冊剛性算出部53dは、短冊の寸法のパラメータに、少なくとも短冊断面の高さと長さの比を含むことが好ましい。ここで、図12は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。具体的には、図12に示すように短冊64の高さhと長さlとの比をパラメータの1つとして用いることが好ましい。このように、短冊の長さと高さの比をパラメータとすることで、パラメータと剛性との関係が線形になり、より少ないサンプル数で精度の良い関数を作成することができる。
また、ブロックが、タイヤ幅方向に平行な面に対して傾斜した傾斜部を含む形状である場合、短冊剛性算出部53dは、短冊が傾斜部のみを分割した部分である場合、算出された剛性に係数をかける処理を実行することが好ましい。図13Aは、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図であり、図13Bは、図13Aの側面図である。例えば、図13Aに示すようにブロックが傾斜部90を含む形状である場合、短冊剛性算出部53dは、傾斜部90を切断面91で分割した短冊(例えば短冊94)の剛性の算出時に、パラメータと関数とに基づいて算出した剛性にさらに係数をかけることが好ましい。このように、係数を掛けることで、傾斜部の影響を精度よく反映させることができ、ブロックの剛性をより高い精度で算出することができる。ここで、傾斜部は路面と直接接触しないため、一般的なブロックのせん断変形の計算では直接変位を与えられていないが、短冊の剛性を算出することで、傾斜部がブロック剛性に対する寄与を反映することができる。さらに、傾斜部に対しては、係数を掛けて剛性を調整することで、ブロックの剛性をより高い精度で算出することができる。
ここで、係数は、ブロック全体の高さに対する当該短冊の高さに基づいて算出することが好ましい。例えば、図13Bに示すように、傾斜部ではない領域の短冊(踏み面を有する短冊)92の高さ(ブロック全体の高さ)をaとし、傾斜部のみを分割した部分である短冊94の高さ(短冊94の最大高さ、図13B中点線95までの高さ)をbとした場合、係数はb/aとすることが好ましい。このように係数を高さに基づいた値、より具体的には高さに比例した値とすることで、傾斜部の短冊の剛性をより高い精度で算出することができる。
ブロック分割部53bは、短冊の断面内に異なる弾性率の材料がある場合、少なくとも弾性率が異なる境界を切断面としてさらに分割することが好ましい。ここで、図14は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。例えば、図14に示すように、短冊102の領域104と領域106とが異なる弾性率である場合、領域104を1つの短冊、領域106を1つの短冊として、それぞれの剛性を算出することが好ましい。なお、この場合の切断面の方向は、種々の方向とすることができ、例えば、本実施形態のようにタイヤ幅方向に平行な面としてもよい。これにより、ブロックが異なる弾性率の材料で構成されている場合、より具体的には、高さ方向(タイヤ径方向)に複数の異なる弾性率を持つ場合も、高い精度でブロックの剛性を算出することができる。なお、後述するが、ブロック分割部53bは、材料の違いに基づいて分割した後に、断面形状に基づいて短冊をさらに分割してもよい。
ブロック分割部53bは、短冊を切断面に直交する方向にさらに分割して分割短冊とし、短冊剛性算出部53dは、分割短冊毎に、当該分割短冊の寸法のパラメータに基づいて当該分割短冊の剛性を算出し、算出した分割短冊の剛性から前記短冊の剛性を算出することが好ましい。ここで、図15は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。具体的には、図15に示すように、ブロック分割部53bは、短冊110の断面形状(切断面の形状、切断面に平行な面の形状)が複数の凹凸で構成される場合は、その断面形状に基づいて、短冊110を複数の分割短冊120、122、124、126、128、130に分割する。また、短冊剛性算出部53dは、分割した分割短冊120、122、124、126、128、130のそれぞれについて別々に剛性を算出し、算出した分割短冊120、122、124、126、128、130の剛性を合計して短冊110の剛性を算出する。なお、ブロック分割部53bは、分割短冊が予め剛性を算出してある代表的な短冊に対応する形状となるように短冊を分割する。なお、図15に示す例は、ブロック110の(i)の線に示す溝111の深さが異なる凹部の位置を、切断面112で切断し、短冊断面水平方向に短冊を分割する。また、(ii)の線に示す凸形状の端部(溝底との連結部)となる位置を、切断面114で切断し、垂直方向に断面を分割する。これにより、ブロック110を分割短冊120、122、124、126、128、130に分割する。これにより、分割短冊120、122、124、126、128、130は、いずれも断面形状(切断面に平行な面の形状)が四角形(上面と底面が平行な台形)となる。このように、短冊を分割し、分割短冊の形状を単純な形状とすることで、短冊(分割短冊)の形状を定義するパラメータの数を増やさずに、様々な断面形状の短冊を計算することができる。
なお、短冊剛性算出部53dは、分割短冊の形状パラメータを変数として剛性を出力する算出関数を用いて、前記分割短冊の剛性を計算することが好ましい。より具体的には、分割短冊は、短冊と同一の算出関数を用いて剛性を算出することが好ましい。これにより、分割短冊の剛性を簡単に算出することができる。
また、分割短冊は、境界条件毎に、別々の算出関数を設定することが好ましい。また、短冊剛性算出部53dは、分割短冊の剛性を計算する算出関数を、境界条件の種類毎に、代表的な短冊の形状について剛性を計算した結果に基づいて予め複数作成することが好ましい。ここで、図16は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。例えば、図16に示す分割短冊120、122、124、126、128、130のうち、分割短冊120、122、124で構成される領域140a、140b、140cは、同一の境界条件(踏み面となる領域がある分割短冊)として同一の算出関数を用いる。なお、分割短冊120、122、124は、1つの分割短冊として剛性を算出することができる。また、分割短冊126で構成される領域142aと、分割短冊126および分割短冊128で構成される領域142bは、同一の境界条件(両端が領域140に含まれる分割短冊と連結している分割短冊)として、同一の算出関数を用いる。なお、領域140a、140b、140cで用いる算出関数と、領域142a、142bで用いる算出関数とは異なる算出関数となる。さらに、分割短冊130で構成される領域144は、領域140a、140b、140cで用いる算出関数とも領域142a、142bで用いる算出関数とも異なる算出関数を用いる。このように、境界条件が異なる毎に算出関数を設定することで、より高い精度でブロックの剛性を算出することができる。特に、上面にせん断変位を与える条件の関数(1つ)と、上面にせん断変位を与えない条件の関数(本実施形態では境界条件に応じて2つ)と、を用いることで、より高い精度でブロックの剛性を算出することができる。なお、境界条件としては、隣接している領域にブロックがあるか、接地面であるか(せん変位が与えられているか)等である。
また、解析装置50の処理部52(の解析部52b)は、上述したステップS12(形状取得ステップ)と、ステップS14(分割ステップ)と、ステップS16からステップS20(短冊剛性算出ステップ)と、ステップS22(評価ステップ)と、を複数回繰り返し、複数のブロックについて、ブロックの全体の剛性を評価した後、複数のブロックの全体の剛性の評価結果に基づいて、複数のブロックを纏めたブロック群の剛性を評価(ブロック群評価ステップ)してもよい。つまり、解析装置50は、タイヤを構成する複数のブロックについて剛性の算出処理を繰り返し、タイヤ全体やブロック群の剛性を算出するようにしてもよい。これにより、ブロック単体だけではなく、複数のブロックで構成されるブロック群の剛性や、タイヤパターン全体の剛性を計算することができる。ここで、図17は、タイヤのシミュレーション方法の処理を説明するための説明図である。図17に示すタイヤ200は、タイヤ幅方向(図中タイヤ周方向に直交する方向)において、中央部に2つのブロック202が配置され、ブロック202のタイヤ幅方向の両端に2つのブロック204が配置されている。また、それぞれのブロック202、ブロック204は、タイヤ周方向に列状に配置されている。ここで、ブロック204は、タイヤ幅方向の中央側の領域204aと隣接する領域204aとの間の領域204cが底上げ領域となっている。また、ブロック204の領域204aよりもタイヤ幅方向の外側の領域204bは、ブロック202と同様の溝となっている。解析装置50は、タイヤ周方向をせん断方向としてタイヤ周方向の剛性を算出する場合、ブロック202を含むタイヤ幅方向中央側の区域220とブロック204の領域204cを含むタイヤ幅方向端部の区域224とはブロック毎に剛性を算出し、ブロック204の領域204a及び領域204bを含み区域220と区域224との間の区域222は上述した境界条件が異なる領域毎に異なる関数を用いて剛性を算出する方法で剛性を算出する。このように、各ブロックの剛性の算出を複数回繰り返すことで、タイヤ全体の剛性や、接地しているブロックの剛性を好適に算出することができる。
(評価例)
次に、図18から図20Bを用いて、本実施形態のタイヤのシミュレーション方法を実行した評価例について説明する。ここで、図18は、測定に用いるタイヤのトレッド部のブロックの概略構成を示す斜視図である。図19Aは、測定に用いるタイヤのトレッド部のブロックの概略構成を示す斜視図である。図19Bは、図19Aに示すブロックの上面図である。図20Aは、測定に用いるタイヤのトレッド部のブロックの概略構成を示す斜視図である。図20Bは、図20Aに示すブロックの上面図である。
まず、図18に示すブロック250を解析対象として本実施形態のシミュレーション方法による解析を行った。ここで、ブロック250は、XZ平面の形状が台形となり、台形形状がY方向に延在した形状である。また、ブロック250は、矢印254の方向にせん断変形している場合として解析を行った。本評価例では、傾斜部のみを含む短冊の剛性の算出時に係数を掛けない場合と、係数を掛けた場合のそれぞれの場合についての剛性を算出した。なお、係数としては、高さに比例した値を用いた。また、比較のためにFEMを用いた解析でも剛性を算出した。なお、FEMを用いた解析では、ブロック250を図18のメッシュに示すように複数の要素252に分割して解析を行った。
解析を行った結果、傾斜部のみを含む短冊の剛性の算出時に係数を掛けないで算出した剛性は、11.54、係数を掛けて算出した剛性は、10.69であった。また、FEMで解析を行い算出した剛性は、10.47であった。したがって、FEMで解析を行い算出した剛性を基準とすると、係数を掛けないで算出した剛性の誤差は10.2%、係数を掛けて算出した剛性の誤差は2.1%であった。以上より、傾斜面のみの短冊の剛性の算出時に係数を掛けることで剛性をより高い精度で算出できることがわかる。
次に、図19A及び図19Bに示すブロック260を解析対象として本実施形態のシミュレーション方法による解析を行った。ここで、ブロック260は、Z方向の高さが一定で、XY平面の形状が四角形となる形状である。また、ブロック260は、矢印264の方向にせん断変形している場合として解析を行った。また、ブロック260は、矢印264に直交する方向の幅が23mmである。本評価例では、ブロック260を、矢印264に平行な切断面265により0.1mm間隔で分割して短冊を作成し、剛性を算出した。また、比較のためにFEMを用いた解析でも剛性を算出した。なお、FEMを用いた解析では、ブロック260を図19Aのメッシュに示すように複数の要素262に分割して解析を行った。
解析を行った結果、本実施形態のシミュレーション方法による解析で算出された剛性は、47.18であり、FEMで解析を行い算出した剛性は、48.84であった。以上より、本実施形態の算出結果と、FEMの算出結果との誤差は、−3.4%(本実施形態の方が3.4%低い剛性)であり、略同様の算出結果を得ることができる。また、FEMでの解析の作業時間を100(モデル作成時間を70、計算時間を30)とすると、本実施形態の解析の作業時間は、8(モデル作成時間を5、計算時間を3)であった。
次に、図20A及び図20Bに示すブロック270を解析対象として本実施形態のシミュレーション方法による解析を行った。ここで、ブロック270は、Z方向の高さが一定で、XY平面の形状が四角形となる形状である。また、ブロック270は、矢印274の方向にせん断変形している場合として解析を行った。また、ブロック270は、矢印274に直交する方向の幅が30mmである。本評価例では、ブロック270を、矢印274に平行な切断面275により0.1mm間隔で分割して短冊を作成し、剛性を算出した。また、比較のためにFEMを用いた解析でも剛性を算出した。なお、FEMを用いた解析では、ブロック270を図20Aのメッシュに示すように複数の要素272に分割して解析を行った。
解析を行った結果、本実施形態のシミュレーション方法による解析で算出された剛性は、73.27であり、FEMで解析を行い算出した剛性は、74.97であった。以上より、本実施形態の算出結果と、FEMの算出結果との誤差は、−2.3%(本実施形態の方が2.3%低い剛性)であり、略同様の算出結果を得ることができる。また、図20A及び図20Bのブロック270を解析した場合も、FEMでの解析の作業時間を100(モデル作成時間を70、計算時間を30)とすると、本実施形態の解析の作業時間は、8(モデル作成時間を5、計算時間を3)であった。以上より、作業時間を削減しつつ、ブロックを一体としてFEMで解析した場合と同様の精度で剛性を算出できることがわかる。