以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態によるナイトビューシステム100を説明する。ナイトビューシステム100は、車両に搭載されている。ナイトビューシステム100は、図1及び図2に示されるように、車両のウィンドシールド9に規定される投影範囲10に、複数種類設定される警告像20をのうちの一種類を投影する。この投影範囲10は、ウィンドシールド9において、運転者に最も視認され易い、例えば車両の前後方向において運転席と相対する範囲に規定されている。投影範囲10には、最大三つの警告像20が水平方向に並んで投影される。ナイトビューシステム100によって投影範囲10に投影された光は、ウィンドシールド9によって、車両室内の運転席に向けて反射される。ウィンドシールド9によって反射された光は、運転席に着座する視認者に受け取られる。すると、視認者は、投影範囲10の車両前方に結像された警告像20を視認する。
この警告像20の投影によって、ナイトビューシステム100は、車両の前方に予め設定された検出区域90(図7参照)に存在する例えば歩行者等の検出対象物の存在を、当該警告像20を視認する運転者等の視認者に警告することができる。尚、図1等では、説明のために投影範囲10を二点鎖線で表しているが、実際のウィンドシールド9には、投影範囲10を規定する二点鎖線は形成されていない。また、投影範囲10において、三つの警告像20が投影される範囲を、便宜的に、水平方向左側から順に、左方投影範囲10l、中央投影範囲10c、及び右方投影範囲10rとする。
まず、図2〜図6に基づいて、ナイトビューシステム100の構成を説明する。
ナイトビューシステム100は、近赤外線カメラ30、ナイトビュースイッチ71、表示器40l,40c,40r、及びナイトビュー制御回路70を備えている。加えて、ナイトビューシステム100は、近赤外線投光器31、車内Local Area Network(LAN)60、及びコンビネーションメータ50と接続されている。
近赤外線カメラ30は、撮像素子により近赤外線光の強度を電気信号に変換して出力するイメージセンサである。近赤外線カメラ30は、例えば車両の車内天井とウィンドシールド9との間に設置され(図1参照)、撮像面を車両前方の検出区域90(図7参照)に向けている。近赤外線カメラ30は、夜間や暗所では、近赤外線投光器31より照射された近赤外線光のうち、検出区域90の例えば車両や歩行者等の物体で反射された近赤外線光を検知する。これにより近赤外線カメラ30は、車両の前方、例えば250メートル程度までの検出区域90を映す前方画像80(図7参照)を生成する。近赤外線カメラ30は、日中では、太陽光が含む近赤外線光のうち、例えば車両や歩行者等の物体で反射された近赤外線光を検知することにより、上述した車両前方の検出区域90を映す前方画像80を生成する。以上のように撮像した前方画像80の映像信号を、近赤外線カメラ30は、ナイトビュー制御回路70へ出力する。
ナイトビュースイッチ71は、ナイトビューシステム100の作動を開始させるためのスイッチである。ナイトビュースイッチ71は、車両のステアリング付近に設置されている(図1参照)。ナイトビュースイッチ71は、ナイトビュー制御回路70と接続されている。運転者がナイトビュースイッチ71を操作したとき、所定の条件が満たされている場合に、ナイトビュー制御回路70は、近赤外線カメラ30及び近赤外線投光器31の作動を開始させる。尚、所定の条件とは、例えば車両のイグニッションがON状態であって且つ車両のヘッドライト(図示しない)が点灯している等の条件である。また、近赤外線投光器31の点灯及び消灯は、ヘッドライトの点灯及び消灯に連動していてもよい。
表示器40l,40c,40rは、互いに表示色、大きさ、及び点滅する周期の異なる複数種類の警告像20のうちの一種類を、投影範囲10に投影するための構成である。表示器40l,40c,40rは、インスツルメントパネル8の内部に車両の幅方向に沿って配列されている。表示器40lは、近距離警告像21、中距離警告像22、及び遠距離警告像23を左方投影範囲10l(図1参照)に投影する。表示器40cは、近距離警告像21、中距離警告像22、及び遠距離警告像23を中央投影範囲10c(図1参照)に投影する。表示器40rは、近距離警告像21、中距離警告像22、及び遠距離警告像23を右方投影範囲10r(図1参照)に投影する。これらの警告像20のうち、近距離警告像21及び中距離警告像22は、予め設定された周期で点滅する。近距離警告像21の点滅の周期は、中距離警告像22の点滅の周期よりも短い。
近距離警告像21は、複数種類の警告像20のうちの一種類である(図5(a)参照)。近距離警告像21の表示色は、赤色である。近距離警告像21の大きさは、中距離警告像22及び遠距離警告像23よりも大きくされている。中距離警告像22は、複数種類の警告像20のうちの別の一種類である(図5(b)参照)。中距離警告像22の表示色は、近距離警告像21の表示色とは異なり、黄色である。中距離警告像22の大きさは、近距離警告像21よりも小さく、遠距離警告像23よりも大きい。遠距離警告像23は、複数種類の警告像20のうちのさらに別の一種類である(図5(c)参照)。遠距離警告像23の表示色は、近距離警告像21及び中距離警告像22の表示色とは異なり、緑色である。遠距離警告像23の大きさは、近距離警告像21及び中距離警告像22よりも小さい。
表示器40l,40c,40rは、それぞれ筐体48、近距離像投影部41、中距離像投影部42、遠距離像投影部43、及びダイクロイックプルズム45を有している(図6参照)。
筐体48は、遮光性の樹脂材料等によって形成されている。筐体48は、互いに対向する側壁48b,48c、及び底壁48dを形成する有底箱状の容器である。筐体48には、ウィンドシールド9の投影範囲10に向かって開口する開口部48aが形成されている。筐体48の内部には、側壁48b,48c及び底壁48dによって囲まれたプリズム設置空間49が形成されている。プリズム設置空間49は、底壁48d及び開口部48a間に位置している。プリズム設置空間49には、ダイクロイックプルズム45が設置されている。加えて、筐体48には、近距離像投影部41、中距離像投影部42、遠距離像投影部43、及びダイクロイックプルズム45が収容されている。
近距離像投影部41、中距離像投影部42、及び遠距離像投影部43は、板状のバックライト40aに、警告像20の意匠を模った印刷を施すことによって形成されている(図4には、中距離像投影部42を示す)。この印刷によってバックライト40aの出射面には、光の出射を遮る遮光部44aと、例えば黄色等の光が出射されるよう着色された透光部44bとが形成される。透光部44bの高さは、例えば30ミリメートル程度である。以上の構成により、近距離像投影部41、中距離像投影部42、及び遠距離像投影部43からは、警告像20を投影するための光が出射される。これら近距離像投影部41、中距離像投影部42、及び遠距離像投影部43は、ナイトビュー制御回路70と接続されており、当該ナイトビュー制御回路70によってバックライト40aの点灯及び消灯を制御されている。
中距離像投影部42は、光の出射面を開口部48aに向けた姿勢にて、筐体48の底壁48dに保持されている。中距離像投影部42は、投影範囲10に向けて黄色の光を出射させることにより、当該投影範囲10に中距離警告像22を投影する。遠距離像投影部43は、光の出射面を側壁48cに向けた姿勢にて、筐体48の側壁48bに保持されている。遠距離像投影部43は、中距離像投影部42と投影範囲との間に位置するプリズム設置空間49に向けて、緑色の光を出射させる。近距離像投影部41は、光の出射面を側壁48bに向けた姿勢にて、筐体48の側壁48cに保持されている。近距離像投影部41は、遠距離像投影部43と対向している。近距離像投影部41は、遠距離像投影部43とは異なる位置からプリズム設置空間49に向けて、赤色の光を出射させる。
ダイクロイックプルズム45は、ガラス又はアクリル樹脂等の透光性の材料によって四角柱状に形成されている。ダイクロイックプルズム45は、筐体48のプリズム設置空間49に配置されている。ダイクロイックプルズム45の軸方向は、中距離像投影部42から出射される光の出射方向に沿っている。ダイクロイックプルズム45には、出射面45a、三つの入射面45b,45c,45d、緑色光反射面46、及び赤色光反射面47が設けられている。
出射面45aは、ダイクロイックプルズム45において、筐体48の開口部48aを通して投影範囲10と対向する頂面である。出射面45aから出射される光は、投影範囲10に投影される。入射面45bは、ダイクロイックプルズム45において、遠距離像投影部43と対向する側面である。遠距離像投影部43からプリズム設置空間49に向けて出射される光は、入射面45bを通じてダイクロイックプルズム45内に入射する。入射面45cは、ダイクロイックプルズム45において、近距離像投影部41と対向する側面である。近距離像投影部41からプリズム設置空間49に向けて出射される光は、入射面45cを通じてダイクロイックプルズム45内に入射する。入射面45dは、ダイクロイックプルズム45において、中距離像投影部42と対向する底面である。中距離像投影部42から投影範囲10に向けて出射される光は、入射面45dを通じてダイクロイックプルズム45内に入射する。
緑色光反射面46及び赤色光反射面47は、ダイクロイックプルズム45の基材であるガラス等に誘電体物質の膜を形成することによって、ダイクロイックプルズム45に設けられている。緑色光反射面46は、出射面45aと入射面45cとの間の辺から、入射面45bと入射面45dとの間の辺に向かって延伸する面である。緑色光反射面46は、中距離像投影部42から出射される黄色の光及び近距離像投影部41から出射される赤色の光を透過させる。一方で、緑色光反射面46は、遠距離像投影部43から出射される緑色の光を投影範囲10に向けて反射させる。これにより、緑色光反射面46は、出射面45aを通じて投影範囲10に遠距離警告像23を投影する。
赤色光反射面47は、出射面45aと入射面45bとの間の辺から、入射面45cと入射面45dとの間の辺に向かって延伸する面である。赤色光反射面47は、緑色光反射面46と交差している。赤色光反射面47は、中距離像投影部42から出射される黄色の光及び遠距離像投影部43から出射される緑色の光を透過させる。一方で、赤色光反射面47は、近距離像投影部41から出射される赤色の光を投影範囲10に向けて反射させる。これにより、赤色光反射面47は、出射面45aを通じて投影範囲10に近距離警告像21を投影する。
以上のダイクロイックプルズム45の特性によって、近距離像投影部41から出射される赤色の光は、緑色光反射面46を透過しつつ、赤色光反射面47によって反射されることにより、投影範囲10に到達する。以上により、投影範囲10には近距離警告像21が投影される。また、中距離像投影部42から出射される黄色の光は、緑色光反射面46及び赤色光反射面47を透過して、投影範囲10に到達する。以上により、投影範囲10には中距離警告像22が投影される。さらに、遠距離像投影部43から出射される緑色の光は、赤色光反射面47を透過しつつ、緑色光反射面46によって反射されることにより、投影範囲10に到達する。以上により、投影範囲10には遠距離警告像23が投影される。また、各投影部41,42,43及びダイクロイックプルズム45は、各投影部41,42,43の各出射面から開口部48aまでの光路の距離が互いに実質的に同一となるように、筐体48内に配置されている。
ナイトビュー制御回路70は、各表示器40l,40c,40rによる警告像20(図1参照)の投影を制御する。ナイトビュー制御回路70は、各種の演算処理を行うプロセッサ、当該演算処理に用いられるプログラム及び車両に関する情報等が格納されたフラッシュメモリ、及び演算の作業領域として機能するRAM等によって構成されている。加えて、ナイトビュー制御回路70は、近赤外線カメラ30から出力された前方画像80(図7参照)の映像信号を取得するための映像入力インターフェース、前方画像80の映像信号をコンビネーションメータ50に逐次出力するための映像出力インターフェース、及び車内LAN60から情報を取得するための情報入力インターフェース等を有している。
近赤外線投光器31は、不可視光である波長900〜1500ナノメートル程度の近赤外線光を発する。近赤外線投光器31は、車両のフロントヘッドライトモジュール(図示しない)に設置されている。近赤外線投光器31は、フロントヘッドライトモジュール内のリフレクタを利用して、近赤外線光を車両前方の検出区域90(図7参照)を含む所定角度範囲に照射する。尚、近赤外線投光器31は、フロントヘッドライトモジュール内に限らず、フロントフロントバンパー等に設置されていてもよい。
車内LAN60は、所定のプロトコルを用いて、車載された装置間での情報のやり取りを実現するための車載ネットワークシステムである。この車内LAN60を通じて、ナイトビュー制御回路70は、車両のイグニッションのON/OFF状態、及びフロントヘッドライトの点灯及び消灯の状態等を取得する。
コンビネーションメータ50は、インスツルメントパネル8内に、運転席と向かい合うように設置されており(図1参照)、車両に関する種々の情報を運転者等の視認者に報知する。コンビネーションメータ50は、液晶ディスプレイ51を有している。コンビネーションメータ50は、ナイトビューシステム100と接続されており、ナイトビュー制御回路70から出力された前方画像80(図7参照)の映像信号を取得する。コンビネーションメータ50は、取得した前方画像80を液晶ディスプレイ51に表示する。
次に、図3及び図7に基づいて、ナイトビュー制御回路70の作動をさらに詳細に説明する。
ナイトビュー制御回路70は、車両に対する検出区域90の左右の相対方向及び相対距離に応じて当該検出区域90を複数に分割して、分割区域90a〜90iを形成している。ナイトビュー制御回路70は、検出対象物を分割区域90a〜90i毎に検出する。そのために、ナイトビュー制御回路70は、近赤外線カメラ30によって映される画像の前方画像80を水平方向及び鉛直方向にそれぞれ三分割することによって、複数の画像領域80a〜80iを規定する。
複数の画像領域80a〜80iのうち、鉛直方向下側に位置するものが、近距離画像領域80a〜80cである。ナイトビュー制御回路70は、複数の分割区域90a〜90iのうち、車両の周辺の分割区域を、近距離分割区域90a〜90cとしている。近距離画像領域80a〜80cに映る区域が、それぞれ近距離分割区域90a〜90cである。
また、複数の画像領域80a〜80iのうち、鉛直方向上側に位置するものが、遠距離画像領域80g〜80iである。ナイトビュー制御回路70は、複数の分割区域90a〜90iのうち、車両に対する相対距離が近距離分割区域90a〜90cよりも遠い区域を、遠距離分割区域90g〜90iとしている。遠距離画像領域80g〜80iに映る区域が、それぞれ遠距離分割区域90g〜90iである。
さらに、複数の画像領域80a〜80iのうち、近距離画像領域80a〜80cと遠距離画像領域80g〜80iとの間に位置するものが、中距離画像領域80d〜80fである。ナイトビュー制御回路70は、複数の分割区域90a〜90iのうち、車両に対する相対距離が近距離分割区域90a〜90cと遠距離分割区域90g〜90iとの中間となる区域を、中距離分割区域90d〜90fとしている。中距離画像領域80d〜80fに映る区域が、それぞれ中距離分割区域90d〜90fである。
第一実施形態において、近距離分割区域90a〜90cは、例えば、車両からの相対距離が約40メートル以内の区域である。また、遠距離分割区域90g〜90iは、車両からの相対距離が約60メートルを超える区域である。さらに、中距離分割区域90d〜90fは、車両からの相対距離が約40〜60メートルの範囲の区域である。
ナイトビュー制御回路70は、近赤外線カメラ30から前方画像80を取得し、画像認識に適したデジタル情報に変換する。そして、ナイトビュー制御回路70は、予め検出対象物として設定されている例えば歩行者等の検出対象物の画像7を、各画像領域80a〜80iから抽出する。以上のような検出対象物の画像7の抽出によって、ナイトビュー制御回路70は、各画像領域80a〜80iに撮影される各分割区域90a〜90iに存在する検出対象物を、分割区域毎に検出する。ここで、前方画像80における検出対象物の画像7の位置は、第一実施形態では、当該検出対象物の画像7の足元を基準とする。
ナイトビュー制御回路70は、各分割区域90a〜90iについて、検出区域90における当該分割区域の左右の相対方向に、投影範囲10における警告像20の左右方向の投影位置を関連付ける。さらに、ナイトビュー制御回路70は、各分割区域90a〜90iについて、検出区域90における当該分割区域の車両に対する相対距離に、投影範囲10に投影される警告像20の表示色の種類を関連付ける。
さらにナイトビュー制御回路70は、各表示器40l,40c,40rを制御することによって、検出対象物を警告するための警告像20を投影する。ナイトビュー制御回路70は、検出対象物が現在検出されている分割区域に対して関連付けられる投影範囲10の左右方向の投影位置、即ち各投影範囲10l,10c,10rのうちの一つの範囲に、警告像20を投影する。加えて、ナイトビュー制御回路70は、検出対象物が現在検出されている分割区域に対して関連付けられる種類の警告像20を、投影する。
以上により、例えば、水平方向左側の近距離画像領域80aから検出対象物の画像7が抽出された場合、ナイトビュー制御回路70は、近距離分割区域90aに検出対象物が存在するものとして、当該分割区域に、左方投影範囲10l(図1参照)及び近距離警告像21(図5(a)参照)を関連付ける。すると、表示器40lの近距離像投影部41が赤色の光をダイクロイックプルズム45に向けて出射させることにより、近距離警告像21が左方投影範囲10lに投影される。
また、中央の遠距離画像領域80hから検出対象物の画像7が抽出された場合、ナイトビュー制御回路70は、遠距離分割区域90hに検出対象物が存在するものとして、当該分割区域に、中央投影範囲10c(図1参照)及び遠距離警告像23(図5(c)参照)を関連付ける。すると、表示器40cの遠距離像投影部43が緑色の光をダイクロイックプルズム45に向けて出射させることにより、遠距離警告像23が中央投影範囲10cに投影される。
さらに、水平方向右側の中距離画像領域80fから検出対象物の画像7が抽出された場合、ナイトビュー制御回路70は、中距離分割区域90fに検出対象物が存在するものとして、当該分割区域に右方投影範囲10r(図1参照)及び中距離警告像22(図5(b)参照)を関連付ける。すると、表示器40rの中距離像投影部42が黄色の光を投影範囲10に向けて出射させることにより、中距離警告像22が右方投影範囲10rに投影される。
同様に、中央の近距離画像領域80bから検出対象物の画像7が抽出された場合、近距離警告像21(図5(a)参照)が中央投影範囲10c(図1参照)に投影される。水平方向右側の近距離画像領域80cから検出対象物の画像7が抽出された場合、近距離警告像21が右方投影範囲10r(図1参照)に投影される。水平方向左側の遠距離画像領域80gから検出対象物の画像7が抽出された場合、遠距離警告像23(図5(c)参照)が左方投影範囲10l(図1参照)に投影される。水平方向右側の遠距離画像領域80iから検出対象物の画像7が抽出された場合、遠距離警告像23が右方投影範囲10rに投影される。水平方向左側の中距離画像領域80dから検出対象物の画像7が抽出された場合、中距離警告像22(図5(b)参照)が左方投影範囲10lに投影される。中央の中距離画像領域80eから検出対象物の画像7が抽出された場合、中距離警告像22が中央投影範囲10cに投影される。
さらに、近距離画像領域80a〜80cから一旦抽出した検出対象物の画像7が、当該近距離画像領域80a〜80cから中距離画像領域80d〜80fに移動した場合のナイトビュー制御回路70の作動を、以下説明する。この場合、ナイトビュー制御回路70は、近距離画像領域80a〜80cのいずれかから検出対象物の画像7が抽出されていると判定し続ける。これにより投影範囲10には、近距離警告像21が投影され続ける。このような機能を、図8及び図3に基づいて説明する。
図8では、車両前方の検出区域90の路上に描かれている横断歩道を、検出対象物である歩行者が、車両に対して左側から右側に横断する場合を例に説明する。この歩行者は、横断歩道を斜めに横断する。横断歩道を渡る前の歩行者は、左側の近距離分割区域90aに存在しており、前方画像80においては左側の近距離画像領域80aに映る(図8(a)参照)。このとき、ナイトビューシステム100は、左方投影範囲10lに近距離警告像21を投影することにより、左側の近距離分割区域90aに検出対象物が存在していることを表す。
歩行者の横断及び車両の走行の継続によると、当該歩行者は、前方画像80において中央の中距離画像領域80eに映る場合がある。このとき歩行者は、依然として車両と接触する可能性を有する。しかし、歩行者が車両から大きく離れていないにもかかわらず、左側の近距離画像領域80aに位置していた検出対象物の画像7は、中央の中距離画像領域80eに移動してしまう。そこでナイトビュー制御回路70は、前方画像80において中距離画像領域80eの下方に位置する中央の近距離画像領域80bから検出対象物の画像7が検出されていると判定する。これにより、ナイトビューシステム100は、中央投影範囲10cに近距離警告像21を投影することにより、中央の近距離分割区域90bに検出対象物が存在しているかのように表すことができる(図8(b)参照)。
歩行者の横断及び車両の走行のさらなる継続によると、当該歩行者は、前方画像80において右側の近距離画像領域80cに映るようになる。このとき、ナイトビューシステム100は、右方投影範囲10rに近距離警告像21を投影することにより、右側の近距離分割区域90cに検出対象物が存在していることを表す(図8(c)参照)。以上のように、ナイトビューシステム100は、各投影範囲10に近距離警告像21を順に点灯させることにより、車両前方を横切る検出対象物の移動を、警告像20によって的確に表すことができる。
ここまで説明した構成において、投影範囲10に警告像20を投影する処理を、図9に基づいて詳細に説明する。図9に示すフローチャートの処理は、上述した所定の条件下で、運転者等がナイトビュースイッチ71(図1参照)を操作することにより、ナイトビュー制御回路70によって実行される。このナイトビュー制御回路70による処理は、再びナイトビュースイッチ71が操作されるまで、又は車両のイグニッション等がOFFにされるまで繰り返し実行される。
S101では、近赤外線カメラ30から検出区域90の前方画像80を取得して、S102に進む。S102では、S101にて取得した前方画像80から、歩行者等の検出対象物の画像7を抽出し、S103に進む。このS102では、抽出した検出対象物の画像7の形状及び前方画像80における位置を示す情報もあわせて取得する。
S103では、S102において歩行者等の検出対象物の画像7を抽出できた否かを判定する。S103において、検出対象物の画像7を抽出できなかったと判定した場合、S111に進む。このS111では、全ての表示器40l,40c,40rを消灯することを決定する。一方、S102において検出対象物の画像7を抽出できたと判定した場合、S104に進む。
S104では、フラッシュメモリを参照し、前回の処理におけるS113(後述する)にて記憶された情報であって、前回の前方画像80から抽出された検出対象物の形状及び位置を示す情報を取得する。そして、S105に進む。S105では、S102において取得した現在の検出対象物の情報と、S104において取得した過去の検出対象物の情報とを比較し、S106に進む。
S106では、S105において比較した情報により、現在抽出されている検出対象物の中に、過去に抽出された検出対象物と同じものが含まれているか否かを判定する。S106において、現在抽出されている検出対象物の中に、過去に抽出された検出対象物と同じものが含まれていない場合、S110に進む。一方、S106において、現在抽出されている検出対象物の中に、過去に抽出された検出対象物と同じものが含まれている場合、S107に進む。
S107では、S106において同一であると判定された検出対象物の画像7について、前回の前方画像80における位置と、今回の前方画像80における位置とを比較し、S108に進む。S108では、S106において同一であると判定された検出対象物の画像7が、前方画像80において、近距離画像領域80a〜80cのから中距離画像領域80d〜80fに移動したか否かを判定する。S107において、検出対象物の画像7が、前回の前方画像80において近距離画像領域80a〜80cのいずれかに位置し、且つ今回の前方画像80において中距離画像領域80d〜80fのいずれかに位置していた場合に、S109に進む。これ以外の場合に、S110に進む。
S109では、S106において同一であると判定された検出対象物について、今回の前方画像80における、当該検出対象物の画像7の位置を示す情報を変更する。具体的には、検出対象物の画像7が近距離画像領域80a〜80cから抽出されているように、当該検出対象物の画像7の位置を示す情報を変更する。そして、S110に進む。以上のような位置を示す情報の変更によって、検出対象物の画像7は近距離画像領域80a〜80cから抽出されていると判定され続ける。
S110では、車両に対する検出対象物の相対位置を示す情報であって、S102で取得した検出対象物の位置を示す情報及びS110で変更した検出対象物の位置を示す情報に基づいて、点灯させる投影部を決定する。これにより、警告像20の投影位置は、車両に対する検出対象物の相対方向に関連付けられると共に、警告像20の種類は、車両に対する検出対象物の相対距離に関連付けられる。そして、S112に進む。
S112では、S110又はS111の決定に基づいて、各表示器40l,40c,40rの投影部の点灯及び消灯を制御し、S113に進む。これにより各表示器40l,40c,40rは、検出対象物の車両に対する相対位置に関連付けられた警告像20を投影する。
S113では、S102で取得した検出対象物の情報及びS110で変更された検出対象物の情報をフラッシュメモリに記憶し、再びS101に戻る。S113で記憶された情報は、次回の処理におけるS104にて参照され、次回のS106及びS108の判定に用いられる。
ここまで説明した第一実施形態によれば、警告像20は、投影範囲10に投影される種類及び左右方向の投影位置によって、検出対象物が現在検出されている分割区域の検出区域90における位置、ひいては当該検出対象物の車両に対する相対位置を表す。故に、警告像20の投影範囲10を狭くしても、当該警告像20は、種類及び左右方向の投影位置によって、検出対象物の相対位置を表し得る。そのため、ウィンドシールド9において視認者の視認し易い範囲内に、警告像20の投影範囲10を収めることが可能になる。以上により、警告像20は、視認者に見逃され難くなる。したがって、ナイトビューシステム100は、検出区域90における検出対象物の位置を表すことができる警告像20を、視認者に視認され易く投影することができる。
加えて第一実施形態によれば、警告像20は、検出対象物の車両に対する相対距離を、表示色の違いによって表すことができる。表示色の違いは、一般に視認者に知覚され易い。したがって、ナイトビューシステム100は、互いに表示色の異なる複数種類の警告像20のうちの一種類を投影することにより、検出対象物の車両に対する相対距離を分かり易く表す警告像20を、視認され易い位置に投影することができる。
また第一実施形態によれば、各表示器40l,40c,40rには、緑色光反射面46及び赤色光反射面47を有するダイクロイックプルズム45が用いられている。緑色光反射面46と赤色光反射面47とを組み合わせることにより、互いに表示色の異なる近距離警告像21、中距離警告像22、及び遠距離警告像23を同一の各投影範囲10l,10c,10rの中に投影することが可能になる。加えて、各投影部の出射面から開口部48aまでの光路距離が揃えられていることにより、投影される警告像20の種類が変更されても、警告像20の結像される位置は実質的に移動しない。故に、視認者は、視点移動を伴うことなく、種類の異なる警告像20を視認することができる。したがって、ナイトビューシステム100は、検出対象物の車両に対する相対距離を表示色によってさらに分かり易く表すことのできる警告像20を、視認され易い位置に確実に投影することができる。
さらに第一実施形態によれば、赤色は、重要度の高い警告を示す色として一般に認知されている。故に、近距離警告像21の表示色を赤色とすることにより、近距離警告像21は、車両の周辺に検出対象物があるという重量度の高い警告は、表示色によって分り易く表され得る。また、緑色は、赤色よりも重要度の低い情報を示す色として一般に認知されている。故に、近距離分割区域90a〜90cよりも相対距離の遠い遠距離分割区域90g〜90iに検出対象物が存在する際に投影される遠距離警告像23の表示色は、緑色とされている。以上により、遠距離警告像23は、車両から離れた位置に検出対象物があるという重要度の低い情報を、表示色によって分り易く表すことができる。さらに、黄色は、赤色よりも重要度が低く且つ緑色よりも重要度の高い注意を示す色として一般に認知されている。故に、近距離分割区域90a〜90cと遠距離分割区域90g〜90iとの中間である中距離分割区域90d〜90fに検出対象物が存在する際に投影される中距離警告像22の表示色は、黄色とされている。以上により、中距離警告像22は、車両から少し離れた位置に検出対象物があるという中程度の重要度の注意を、表示色によって分り易く表すことができる。
以上の構成では、車両に対する検出対象物の相対距離が近くなるに従って、警告像の表示色は、緑色、黄色、及び赤色と順に変化する。このような警告像20の表示色の規則は、例えばコンビネーションメータ50に表示されるインジケータの重要度を示す表示色の規則と対応している。したがって、ナイトビューシステム100は、検出対象物の車両に対する相対距離を表示色によって直感的に分り易く表す警告像20を、視認され易い位置に投影することができる。
また加えて第一実施形態によれば、視認者の視界において、実際の検出対象物は、車両に対して近接するほど大きくなる。故に、近距離警告像21の大きさを中距離警告像22よりも大きくすると共に、中距離警告像22の大きさを遠距離警告像23よりも大きくすることにより、実際の検出対象物の大きさの変化と、警告像20の大きさの変化とが対応する。加えて、点滅の周期が短くなるほど、重要度の高い警告が警告像によってなされていると、視認者は認知し易い。故に、近距離警告像21の点滅の周期は、中距離警告像22の点滅の周期よりも短くされている。以上により、近距離警告像21は、車両の周辺に検出対象物があるという重量度の高い警告を、中距離警告像22よりも短い周期の点滅によって分り易く表すことができる。これらにより、ナイトビューシステム100は、検出対象物の車両に対する相対距離をさらに直感的に分かり易く表すことができる。
さらに加えて第一実施形態によれば、ナイトビュー制御回路70は、近赤外線カメラ30によって映される前方画像80から、検出対象物の画像7を抽出することにより、検出対象物を検出する。このように、検出対象物の画像7を抽出する構成により、ナイトビュー制御回路70は、検出区域90に存在する物体から、検出対象物を正確に選別して検出することができる。加えて、前方画像80を分割することによって規定される各画像領域80a〜80iから、検出対象物の画像7を抽出することにより、ナイトビュー制御回路70は、各分割区域に存在する検出対象物を当該分割区域毎に検出できる。以上により、ナイトビュー制御回路70は、検出対象物を分割区域毎に正確に検出し得る。このような検出対象物の正確な検出に基づいて投影される警告像20は、投影される投影範囲10が限られていても、当該投影範囲10における投影位置及び警告像20の種類によって、当該検出対象物の車両に対する相対位置を的確に表すことができる。
またさらに第一実施形態によれば、近距離画像領域80a〜80cから一旦抽出した検出対象物の画像7は、中距離画像領域80d〜80fに移動する場合がある。この場合、ナイトビュー制御回路70は、検出対象物の画像7が近距離画像領域80a〜80cから抽出されていると、判定し続ける。このナイトビュー制御回路70の判定によって、各表示器40l,40c,40rは、投影範囲10に、近距離警告像21を投影し続けることができる。故に、車両前方の検出区域90を横切る検出対象物の移動に対して、当該検出対象物が車両から離れたかのように警告像20の種類が変更されてしまう事態は、防がれ得る。したがって、警告像20は、検出区域90を横切る検出対象物に対しても、種類及び左右方向の投影位置によって、当該検出対象物の車両に対する相対位置を的確に表し続けることができる。
尚、第一実施形態において、ナイトビュー制御回路70が特許請求の範囲に記載の「検出手段」、「関連付け手段」、「投影手段」、「規定部」、及び「抽出部」に相当し、近赤外線カメラ30が特許請求の範囲に記載の「検出手段」及び「撮像部」に相当し、表示器40l,40c,40rが特許請求の範囲に記載の「投影手段」に相当し、黄色が特許請求の範囲に記載の「第一表示色」に相当し、緑色が特許請求の範囲に記載の「第二表示色」に相当し、赤色が特許請求の範囲に記載の「第三表示色」に相当し、中距離警告像22が特許請求の範囲に記載の「第一警告像」に相当し、遠距離警告像23が特許請求の範囲に記載の「第二警告像」に相当し、近距離警告像21が特許請求の範囲に記載の「第三警告像」に相当し、中距離像投影部42が特許請求の範囲に記載の「第一投影部」に相当し、遠距離像投影部43が特許請求の範囲に記載の「第二投影部」に相当し、近距離像投影部41が特許請求の範囲に記載の「第三投影部」に相当し、プリズム設置空間49が特許請求の範囲に記載の「中間空間」に相当し、緑色光反射面46が特許請求の範囲に記載の「半透過部材」、「第一半透過部材」に相当し、赤色光反射面47が特許請求の範囲に記載の「第二半透過部材」に相当し、近距離画像領域80a〜80cが特許請求の範囲に記載の「周辺画像領域」に相当し、中距離画像領域80d〜80f及び遠距離画像領域80g〜80iが特許請求の範囲に記載の「遠方画像領域」に相当し、ナイトビューシステム100が特許請求の範囲に記載の「車両用表示装置」に相当する。
(第二実施形態)
図10及び図11に示す本発明の第二実施形態は、上述した第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、複数の画像領域を規定するための、ナイトビュー制御回路70による前方画像80の分割の方法が、第一実施形態とは異なっている。加えて、投影範囲10に表示される警告像20の表示態様も、前方画像80の分割方法が異なることに伴って、第一実施形態から変更されている。以下、図10及び図11に基づいて、図1及び図3を適宜参照しつつ、第二実施形態について詳細に説明する。
図10に示されるように、本発明の第二実施形態では、ナイトビュー制御回路70は、近赤外線カメラ30によって映される前方画像80を、水平方向において三つに分割すると共に、鉛直方向に二つに分割する。これにより、ナイトビュー制御回路70は、複数の画像領域280a〜280fを規定する。
複数の画像領域280a〜280fのうち、鉛直方向下側に位置するものが、近距離画像領域280a〜280cである。ナイトビュー制御回路70は、近距離画像領域280a〜280cに映る区域を、近距離分割区域290a〜290cとしている。また、複数の画像領域280a〜280fのうち、近距離画像領域280a〜280cの鉛直方向上側に位置するものが、第二実施形態では、遠距離画像領域280d〜280fである。ナイトビュー制御回路70は、遠距離画像領域280d〜280fに映る区域を、遠距離分割区域290d〜290fとしている。
図11に示されるように、表示器240l,240c,240rは、第一実施形態の表示器40l,40c,40rに相当する構成である。表示器240lは、第一実施形態の中距離警告像22と実質的に同一の近距離警告像221(図5(b)参照)と、遠距離警告像23(図5(c)参照)とを左方投影範囲10lに投影する。表示器240cは、近距離警告像221及び遠距離警告像23を中央投影範囲10cに投影する。表示器240rは、近距離警告像221及び遠距離警告像23を右方投影範囲10rに投影する。
表示器240l,240c,240rは、それぞれ筐体48、遠距離像投影部43、第一実施形態の中距離像投影部42(図6参照)と実施的に同一の近距離像投影部241、及びハーフミラー245を有している。第二実施形態の近距離警告像221(図5(b)参照)は、各表示器240l,240c,240rの近距離像投影部241によって投影される。
ハーフミラー245は、ガラス又はアクリル樹脂等の透光性の材料によって板状に形成されている。ハーフミラー245は、筐体48のミラー設置空間249に配置されている。尚、ミラー設置空間249は、第一実施形態のプリズム設置空間49(図6参照)と実質的に同一の空間である。ハーフミラー245の板面方向は、側壁48cから側壁48bに向かうに従い、開口部48aから底壁48dに向かっている。ハーフミラー245には、透過面245d及び緑色光反射面246が設けられている。
透過面245dは、ハーフミラー245の板厚方向において、緑色光反射面246とは反対側に形成されている。透過面245dは、近距離像投影部241と対向する背面である。近距離像投影部241から投影範囲10に向けて出射される光は、透過面245dからハーフミラー245に入射する。
緑色光反射面246は、ハーフミラー245の基材であるガラス等に誘電体物質の膜を形成することによって、ハーフミラー245に設けられている。緑色光反射面246は、遠距離像投影部43と対向している。緑色光反射面246は、緑色光反射面246は、遠距離像投影部43から出射される緑色の光を投影範囲10に向けて反射させる。これにより、緑色光反射面246は、投影範囲10に遠距離警告像23を投影する。一方で、近距離像投影部241から出射される黄色の光を透過させる。
以上のハーフミラー245の特性によって、近距離像投影部241から出射される黄色の光は、緑色光反射面246を透過して、投影範囲10に到達する。以上により、投影範囲10には近距離警告像221(図5(b)参照)が投影される。また、遠距離像投影部43から出射される緑色の光は、緑色光反射面246によって反射されることにより、投影範囲10に到達する。以上により、投影範囲10には遠距離警告像23が投影される。また、各投影部241,43及びハーフミラー245は、各投影部241,43の各出射面から開口部48aまでの光路の距離が互いに実質的に同一となるように、筐体48内に配置されている。
以上により、水平方向左側の近距離画像領域280aから検出対象物の画像7が抽出された場合、近距離警告像221(図5(b)参照)が左方投影範囲10lに投影される。中央の近距離画像領域280bから検出対象物の画像7が抽出された場合、近距離警告像221が中央投影範囲10cに投影される。水平方向右側の近距離画像領域280cから検出対象物の画像7が抽出された場合、近距離警告像221が右方投影範囲10rに投影される。
また、水平方向左側の遠距離画像領域280dから検出対象物の画像7が抽出された場合、遠距離警告像23(図5(c)参照)が左方投影範囲10lに投影される。中央の遠距離画像領域280eから検出対象物の画像7が抽出された場合、遠距離警告像23(図5(c)参照)が中央投影範囲10cに投影される。水平方向右側の遠距離画像領域280fから検出対象物の画像7が抽出された場合、遠距離警告像23が右方投影範囲10rに投影される。
ここまで説明した第二実施形態でも、警告像20は、投影範囲10に投影される種類及び左右方向の投影位置によって、検出対象物が現在検出されている分割区域の車両に対する相対位置を表すことができる。故に、警告像20の投影範囲10を狭くしても、当該警告像20は、種類及び左右方向の投影位置によって、検出対象物の相対位置を表し得る。そのため、ウィンドシールド9において視認者の視認し易い範囲内に、警告像20の投影範囲10を収めることが可能になる。以上により、警告像20は、視認者に見逃され難くなる。したがって、第二実施形態によるナイトビューシステムでも、検出区域90における検出対象物の位置を表すことができる警告像20が、視認者に視認され易く投影される。
尚、第二実施形態において、表示器240l,240c,240rが特許請求の範囲に記載の「投影手段」に相当し、近距離警告像221が特許請求の範囲に記載の「第一警告像」に相当し、近距離像投影部241が特許請求の範囲に記載の「第一投影部」に相当し、ミラー設置空間249が特許請求の範囲に記載の「中間空間」に相当し、緑色光反射面246が特許請求の範囲に記載の「半透過部材」に相当し、近距離画像領域280a〜280cが特許請求の範囲に記載の「周辺画像領域」に相当し、遠距離画像領域280d〜280fが特許請求の範囲に記載の「遠方画像領域」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記実施形態では、近赤外線カメラ30によって撮影した前方画像80から検出対象物の画像7を抽出することによって、ナイトビュー制御回路70は、車両前方の検出区域90に存在する検出対象物を検出していた。しかし、検出対象物を検出するための構成は、近赤外線カメラ30を用いたものに限定されない。例えば、ナイトビューシステムは、近赤外線カメラに換えて、遠赤外線カメラ及び可視光カメラ等を備えていてもよい。又は、ミリ波レーダー等を用いて車両前方の検出区域90を走査することによって検出対象物の車両に対する相対位置を検出するレーダー装置を、ナイトビューシステムは、検出手段として備えていてもよい。
上記実施形態では、前方画像を複数の分割区域に分割する分割方法について、複数の例が示されていた。しかし、前方画像を複数の分割区域に分割する分割方法は、上記実施形態にて説明したものに限定されることなく、適宜変更されてよい。例えば、前方画像は、鉛直方向及び水平方向に四つ以上に分割されていてもよい。
上記実施形態では、近距離画像領域から一旦抽出された検出対象物の画像が中距離画像領域に移動しても、ナイトビュー制御回路70は、当該検出対象物の画像7は近距離画像領域から検出されていると判定し続けるようプログラムされていた。しかし、ナイトビュー制御回路70は、上記実施形態のような検出対象物の画像を追跡する機能を備えていなくてもよい。
上記実施形態では、近距離分割区域の検出対象物を警告する近距離警告像は、遠距離分割区域の検出対象物を警告する遠距離警告像よりも大きくされていた。しかし、近距離警告像、遠距離警告像、及び中距離警告像の表示色が互いに異なっていれば、これら警告像の大きさは、互いに同一であってもよい。加えて、近距離警告像、遠距離警告像、及び中距離警告像の大きさが互いに異なっていれば、これら警告像の表示色は、互いに同一であってもよい。さらに、警告像の表示色は、赤色、黄色、及び緑色に限定されることなく、適宜変更されてよい。また、近距離警告像及び中距離警告像は、点滅しなくてもよい。或いは、近距離警告像及び中距離警告像に加えて、遠距離警告像が、近距離警告像及び中距離警告像よりも長い周期にて点滅してもよい。
上記実施形態では、バックライト40aに所定の印刷を施した投影部を用いることにより、警告像20は投影されていた。しかし、警告像を投影するための構成は、上述した投影部に限定されない。例えば、インスツルメントパネル8の内部に埋め込まれた所謂ヘッドアップディスプレイ装置によって、警告像は、ウィンドシールドに投影されてもよい。尚、ヘッドアップディスプレイ装置とは、具体的には、警告像の意匠画像を形成する液晶パネル部と、当該液晶パネル部を透過照明するバックライトと、液晶パネル部を透過した光をウィンドシールドに向けて反射する複数の反射鏡とを備える装置である。
上記実施形態では、ダイクロイックプルズム45を用いた表示器40l,40c,40r、又はハーフミラー245を用いた表示器240l,240c,240rといった同一の構成が、表示色の異なる警告像20を同一の投影範囲10に投影しいた。しかし、種類の異なる警告像は、互いに異なる構成から投影範囲に投影されていてもよい。
上記第一実施形態では、筐体48の底壁48dに中距離像投影部42が保持され、側壁48cに近距離像投影部41が保持され、側壁48bに遠距離像投影部43が保持されていた。しかし、「第一半透過部材」及び「第二半透過部材」の特性を変更することにより、これら投影部の配置は、適宜変更されていてもよい。
上記実施形態では、ナイトビュー制御回路70は、ナイトビューシステムに係わる種々の処理を行うための専用の構成であった。しかし、ナイトビュー制御回路によって実行される処理は、車両に搭載されている例えばカーナビゲーションシステムの演算回路によって実行されてもよい。即ち、ナイトビュー制御回路は、カーナビゲーションシステムの機能ブロックとして構成されていてもよい。又は、プログラムの実行によらないアナログ回路によって、ナイトビュー制御回路は構成されていてもよい。