JP2012161853A - 切削工具 - Google Patents

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晃之 本田
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Abstract

【課題】特別な装置を付加することなく、DLC膜付き切削工具で鉄系材料が切削できる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】非晶質炭素被膜20は、緻密に集合された炭素元素21を主体とする。これらの炭素原子21のうち最表層の炭素原子21Tは1本のダングリングボンド22を有している。そして、このダングリングボンド22の先端に、例えばフッ素原子23が結合している。
【効果】ダングリングボンドが鉄以外の元素で終端されているため、ダングリングボンドに鉄が化学的に結合する心配はない。結果、DLC膜中のCがFe中に拡散するのを防止し、DLC膜の摩耗が抑制されるため、切削工具の寿命が確保される。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉄系材料の切削に好適な切削工具に関する。
近年、DLC(Diamond-like Carbon)膜を、コーティングした切削工具が実用に供されている。DLC膜は極めて硬い膜であり、低摩耗及び低摩擦の特性を有する。切削工具の寿命を延ばすことができる。
ところで、DLC膜に含まれるC(炭素)が、鉄系材料に含まれるFe(鉄)と接触すると、化学反応を起こし、Fe中にDLC膜中のCが拡散する。そのため、DLC膜が摩耗し、切削工具の寿命が短くなる。そのため、DLC膜付き切削工具は、鉄系材料の切削には適用できないと考えられてきた。
被切削材の大半が鉄系材料であるから、DLC膜付き切削工具で鉄系材料が切削できることが望まれる。
そこで、DLC膜付き切削工具で鉄系材料を切削することができるようにする技術が、各種提案されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特許文献1の請求項1に「−40〜−200℃の範囲の超低温度とすることによる被切削物を脆弱化させると共にダイヤモンド刃先における化学反応を鈍化させた状態とし、固体潤滑剤を用いて切削することを特徴とするダイヤモンド工具による鉄鋼材料の切削方法。」の記載がある。
しかし、−40〜−200℃の範囲の超低温度を得るには、高価な液体窒素などを使用する必要があり、高価な超低温冷却装置が不可欠となるため、切削コストが高騰する。
また、特許文献2の請求項1第3行〜第5行に「前記被加工材料と前記ダイヤモンド工具のそれぞれに電流電圧発生装置を接続し、前記ダイヤモンド工具には正極、前記被加工材料には負極を接続し、0〜20V(ただし、0を除く)の電圧を印加した状態で加工することを特徴とする加工方法。」の記載がある。
しかし、電流電圧発生装置が必要であるため、切削コストが上がる。
製品コストの引き下げが求められる中、切削コストのアップは好ましくない。
そこで、超低温冷却装置や電流電圧発生装置などの特別な装置を付加することなく、DLC膜付き切削工具で鉄系材料が切削できる技術が、望まれる。
特開平8−323501号公報 特開2010−17781公報
本発明は、特別な装置を付加することなく、DLC膜付き切削工具で鉄系材料が切削できる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、少なくとも刃先に非晶質炭素被膜が施されている切削工具において、前記非晶質炭素被膜の最表層の炭素原子が有するダングリングボンドに、フッ素、水素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基の少なくとも1種が終端されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、非晶質炭素被膜の最表層の炭素原子が有するダングリングボンドに、フッ素、水素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基の少なくとも1種を終端させる。
ダングリングボンドが鉄以外の元素で終端されているため、ダングリングボンドに鉄が化学的に結合する心配はない。結果、DLC膜中のCがFe中に拡散するのを防止し、DLC膜の摩耗が抑制されるため、切削工具の寿命が確保される。
すなわち、本発明により、特別な装置を付加することなく、非晶質炭素被膜付き切削工具で鉄系材料が切削可能となる。
切削工具の一例を示す図である。 図1の2部拡大模式図である。 アークイオンプレーティング装置の原理図である。 膜表面からの深さと検出強度の相関図である。 束縛エネルギーと検出強度の相関図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、切削工具の一種であるバイト10は、ホルダ11と、このホルダ11の一端に留め具12で取り外し可能に固定されるスローアウェイチップ13とからなる。さらに、スローアウェイチップ13の少なくとも刃先14には、次に述べる構成の非晶質炭素被膜が施されている。
図2は図1の2部拡大模式図であり、非晶質炭素被膜20は、緻密に集合された炭素原子21を主体とする。これらの炭素原子21のうち最表層の炭素原子21Tは1本のダングリングボンド22を有している。そして、このダングリングボンド22の先端に、例えばフッ素原子23が結合している。このようにダングリングボンド22の先端に、フッ素原子23が結合することを、ダングリングボンド22に、フッ素が終端されていると言う。以上により終端された非晶質炭素被膜24が得られる。
なお、ダングリングボンド(dangling bond)は、次のように定義される。
表面の欠陥部位にある原子は、内部にある原子と異なり不飽和となるため、一部の結合が切れた状態になる。この切れた結合をダングリングボンドという。そこへ原子や分子が近づくと、容易に結合をつくる。
非晶質炭素被膜20は、DLC膜が好適である。
また、フッ素原子23は、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基であってもよい。
さらには、バイト10はエンドミル、ドリル、フライス、リーマ、ブローチ、ダイス、タップであってもよく、切削工具であれば、種類は問わない。
以上に述べた切削工具10の製造に好適なアークイオンプレーティング装置、及び同装置を用いて実施する製造方法を次に説明する。
図3に示す通り、アークイオンプレーティング装置30は、気密容器であるチャンバ31と、このチャンバ31内部を真空にする真空ポンプ32と、チャンバ31へフッ素を含むガス(又は水素、塩素、臭素を含むガス、水酸基生成ガス)を供給する添加元素ガス供給部33と、チャンバ31内に置かれる固体炭素34とチャンバ31間にアーク電流を供給するアーク電源35と、チャンバ31内に置かれる基板36(図1に示すスローアウェイチップ13など)とチャンバ31間にバイアス電圧を掛けるバイアス電源37と、チャンバ31内に置かれるプラズマ発生器38にプラズマ生成エネルギーを供給する商用高周波電源39とからなる。
先ず、チャンバ31へ基板36を投入する。真空ポンプ32を作動して、チャンバ31内を高真空にする。以降を高真空を維持するために、真空ポンプ32を運転し続ける。
バイアス電源37により、基板36に100Vのバイアス電圧を印可する。同時にアーク電源35により、固体炭素34に50Aのアーク電流を流す。
すると、アークイオンプレーティング法に基づき、DLC膜が基板36に成膜される。成膜後、バイアス電源37及びアーク電源35を停止する(DLC膜成膜工程)。
次に、チャンバ31内を真空に保ったままで、添加元素ガス供給部33により、毎分100ccの割合でチャンバ31内へ添加元素ガスを導入する。ガス導入後に商用高周波電源39により、プラズマ発生器38に13.56MHzの周波数で、200W程度の電力を10分間程度印可する。すると、プラズマ発生器38により添加元素ガスがプラズマ化し、結合反応が活性化され、炭素が持つダングリングボンドに添加原子または分子が終端される(終端処理工程)。
以上により、図2に示す、終端された非晶質炭素被膜24ができあがる。
以上の製造方法で製造した切削工具の技術的評価を確認するために、次に述べる実験を行った。
(実験例)
本発明に係る実験例を以下に述べる。なお、本発明は実験例に限定されるものではない。
○供試材1の作製:
アークイオンプレーティング法により、K10種超硬合金表面にDLC膜を成膜し、チャンバの真空を維持した状態で、Cガスを導入し、プラズマ化してDLC膜表面にフッ素原子を化学的に結合させ、供試材1を得た。
○質量分析:
供試材1のDLC膜表面を、TOF−SIMS(飛行時間型質量分析計)で分析した。結果を図4に示す。
図4は横軸が膜表面からの深さ、縦軸がIntensity(検出強度)を示し、表面はFのみである。最表面(0〜4nm)は、F(フッ素)が主体であり、それ以外(4nmより深い部位)は、C(炭素)が主体である。
○スペクトル分析:
また、供試材1のDLC膜表面を、XPS(X線光電子分光法)で分析した。結果を図5に示す。
図5に示すように、C−F結合を示すスペクトルピークが認められた。
図4及び図5から、図2の構造が確認された。
供試材の種類を増やすために、導入ガスを変更した。
○供試材2の作製:
アークイオンプレーティング法により、K10種超硬合金表面にDLC膜を成膜し、チャンバの真空を維持した状態で、水酸基発生ガスを導入し、プラズマ化してDLC膜表面に水酸基を化学的に結合させ、供試材2を得た。
○供試材3の作製:
アークイオンプレーティング法により、K10種超硬合金表面にDLC膜を成膜し、チャンバの真空を維持した状態で、水素ガスを導入し、プラズマ化してDLC膜表面に水素原子を化学的に結合させ、供試材3を得た。
○供試材4の作製:
アークイオンプレーティング法により、K10種超硬合金表面にDLC膜を成膜した。
プラズマ処理は行わない。
○摩擦試験:
供試材1〜4に対して、次の条件で摩擦試験を実施して、摩擦係数を調べた。
・方式:ボールオンディスク
・ボール材質:SUJ2
・荷重:5N
・回転半径:4mm
・摩擦速度:1cm/sec
・潤滑油:無し
得られた摩擦係数を、表1に示す。
Figure 2012161853
本発明品(供試材1〜3)は、比較品(供試材4)より摩擦係数が小さかった。比較品(供試材4)を1として、相対比を調べたところ、供試材1は0.83、供試材2は0.98、供試材3は0.86であった。摩擦係数は小さいほど好ましいので、評価は、供試材1、供試材3、供試材2、供試材4の順になる。
フッ素、水素、水酸基は何れも荷電子数が1である。荷電子数が1であり且つフッ素と同族のハロゲンには、塩素、臭素、ヨウ素が含まれる。塩素、臭素、ヨウ素にも同様の試験を施したところフッ素と同様な、好ましい結果が得られた。
このように、本発明は、少なくとも刃先に非晶質炭素被膜が施されている切削工具であって、非晶質炭素被膜の最表層の炭素原子が有するダングリングボンドに、フッ素、水素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基の少なくとも1種が終端されていることを特徴とする。
非晶質炭素被膜の最表層の炭素原子が有するダングリングボンドに、フッ素、水素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基の少なくとも1種を終端された。ダングリングボンドが鉄以外の元素で終端されているため、ダングリングボンドに鉄が化学的に結合する心配はない。結果、DLC膜中のCがFe中に拡散するのを防止し、DLC膜の摩耗が抑制されるため、切削工具の寿命が確保される。
すなわち、本発明により、特別な装置を付加することなく、非晶質炭素被膜付き切削工具で鉄系材料が切削可能となる。
本発明は、DLC付き切削工具に好適である。
10…切削工具(バイト)、13…スローアウェイチップ、14…刃先、20…非晶質炭素被膜(未終端)、21…炭素原子、21T…最表層の炭素原子、22…ダングリングボンド、23…フッ素原子、24…終端された非晶質炭素被膜。

Claims (1)

  1. 少なくとも刃先に非晶質炭素被膜が施されている切削工具において、
    前記非晶質炭素被膜の最表層の炭素原子が有するダングリングボンドに、フッ素、水素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基の少なくとも1種が終端されていることを特徴とする切削工具。
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