JP2012160146A - 情報記録媒体及び情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体及び情報記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造コストを抑えつつ、リライト層のヒビ割れも防止することができる技術を提供する。
【解決手段】非接触ICカード10は、アンテナコイル22及びICチップ23を有するインレット20と、インレット20のICチップ23が配置された側に積層された第2接着層32と、第2接着層32に積層された第2紙基材42と、第2紙基材42に積層され、熱に応じて色変化を示すリライト層50とを備える。そして、第2接着層32は、その厚みが、第2接着層32,第2紙基材42及びリライト層50の総厚の29.1%以上93.4%以下の厚みであることを特徴とする。非接触ICカード10は、紙基材を用いているため、製造コストを抑えることができるとともに、第2接着層32がアンテナコイル22やICチップ23の凹凸を吸収する役割を果たしているため、リライト層50にヒビ割れが発生することを防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、非接触ICカード等の情報記録媒体及び情報記録媒体の製造方法に関する。
従来、この種の情報記録媒体として、専用の外部装置に近接させるだけで情報の読み込みや書き込みが可能な非接触ICカードがある。
非接触ICカードは、情報の読み込み処理や書き込み処理を行う場合、カード自体を専用の装置に挿入する必要がなく、取り扱いが便利なこともあり、近年、急速に普及してきている。
このような非接触ICカードの製造方法として、コアシート、インレット、オーバーシート等といったICカードの構成部材をラミネート・プレスすることにより、複数のカード形状部が多面付けされた積層体を得て、その積層体をカード形状に打ち抜く技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
この先行技術では、非接触ICカードの構成部材を積層し、上側プレス板と下側プレス板とで挟み込んで加圧することにより、非接触ICカードを製造している。このため、非接触ICカードの仕上がりの厚みは、上側プレス板や下側プレス板に形成した凹部の深さと突起部の高さとで規制されることとなり、非接触ICカードが多面付けされた状態で、個々のカードについても均一な厚みが実現可能となるものである。
したがって、特許文献1の技術によれば、完成品の非接触ICカードの厚みが均一であり、しかもカードの表面に歪みがなく、印字特性や外観特性等に優れた非接触ICカードを提供することができると考えられる。
特開2010−108230号公報
一般に、非接触ICカードは、カード基材としてプラスチック(合成樹脂)やPET等の材料を用いており、このような材料を用いることによってある程度の硬さを実現するとともに、カード感を出して取り扱い性(ハンドリング性)も向上させている。
しかし、プラスチック(合成樹脂)やPET等の材料を使用すると、その分材料費が上昇してしまい、非接触ICカード全体としての製造コストも上昇してしまう。また、非接触ICカードを大量生産すればするほど、それだけ製造コストが上昇してしまうという問題がある。
そこで、非接触ICカードに用いるカード基材として、上述したプラスチック等の材料に替えて、紙基材を用いる方法が考えられる。紙基材は、プラスチック等の材料と比べて安価であるため、紙基材を用いて非接触ICカードを製造すると、非接触ICカードを安価に製造することができるというメリットがある。
ところで、このような非接触ICカードに、リライト機能を付加することがある。ここで、リライト機能とは、非接触ICカードの表面等に熱に応じて色変化を示すリライト層を形成することにより表示情報の書き換えを可能とする機能である。
そして、このようなリライト機能を採用する場合、上述した先行技術の場合は、カード基材がプラスチック等の材料で構成されているため、ある程度の硬さや平滑さを有しており、特に問題なくカード基材にリライト層を形成することができる。
しかし、製造コストを抑えるために、カード基材として紙基材を用いる場合、紙基材自体は、プラスチック材料のような硬さを有していないため、紙基材上にリライト層を塗工し、積層すると、リライト層にヒビ割れが生じてしまうことがある。
この現象は、非接触ICカードの内部にあるインレットに起因するものと考えられる。すなわち、インレットには、アンテナコイルやICチップが配置されており、アンテナコイルやICチップが配置されている部分には、ある程度の凹凸が存在している。
このため、リライト層を形成した紙基材を、上記先行技術の方法にてラミネート・プレスすると、紙基材はPETやPETG等の材料に比べて形状変形性が高いため、内部にあるICチップの跡が紙基材の表面に現れてしまい、紙基材の表面に形成したリライト層にヒビ割れが発生するという問題がある。
そこで本発明は、製造コストを抑えつつ、リライト層のヒビ割れも防止することができる技術の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明は、第1に情報記録媒体を提供する。第2に本発明は、情報記録媒体の製造方法を提供する。
〔情報記録媒体〕
解決手段1:本発明の情報記録媒体は、アンテナコイル及びそのアンテナコイルに接続されたICチップを有するインレットと、インレットのICチップが配置された側に積層された接着層と、接着層に積層された紙基材と、紙基材に積層され、熱に応じて色変化を示すリライト層とを備え、接着層は、その厚みが、接着層,紙基材及びリライト層の総厚(接着層の厚みと、紙基材の厚みと、リライト層の厚みとを合計した厚み)の29.1%以上93.4%以下の厚みであることを特徴とする情報記録媒体である。
解決手段1によれば、紙基材を用いた情報記録媒体としているため、カード基材としてプラスチック(合成樹脂)やPET等を用いた非接触ICカードと比較して、製造コストを抑えることができる。
また、接着層は、その厚みが、接着層,紙基材及びリライト層の総厚の29.1%以上93.4%以下の厚みであるため、接着層がアンテナコイルやICチップの凹凸を充分に吸収する役割(クッションの役割)を果たし、リライト層にヒビ割れが発生することを防止することができる。
これに対して、接着層の厚みが、接着層,紙基材及びリライト層の総厚の29.1%未満の厚みである場合、接着層がアンテナコイルやICチップの凹凸を充分に吸収することができず、リライト層にヒビ割れが発生してしまう。
また、接着層の厚みが、接着層,紙基材及びリライト層の総厚の93.4%よりも大きい値である場合、接着層の厚みが厚くなりすぎて、製造効率が低下するという問題がある。
例えば、情報記録媒体を非接触ICカードに適用した場合、非接触ICカード全体の厚みは、非接触ICカードの規格により、840μmまでと定められている。そこで、非接触ICカードを製造する際に、非接触ICカードを製造可能な最薄の材料として、厚みが25μmの紙基材(第1紙基材及び第2紙基材)と、厚みが30μm(接着層として使用するシート等の最薄の厚み)の第1接着層と、厚みが40μmのインレットと、厚みが24μmのリライト層とを採用した場合、残りの第2接着層の厚みは、840μm(非接触ICカードの総厚)−25μm(第1紙基材)−30μm(第1接着層)−25μm(第2紙基材)−40μm(インレット)−24μm(リライト層)=696μm(第2接着層)となる。
そして、第2接着層,第2紙基材及びリライト層の総厚(696μm+25μm+24μm=745μm)に占める第2接着層の割合は、696μm÷745μm×100=93.4%となる。
したがって、第2接着層の厚みが、第2接着層,第2紙基材及びリライト層の総厚の93.4%以下の厚みであることが好ましいことが分かった。
解決手段2:本発明の情報記録媒体は、解決手段1において、紙基材は、その表面粗さが、1.7μm以下であることを特徴とする情報記録媒体である。
解決手段2によれば、紙基材は、その表面粗さが、1.7μm以下であるので、紙基材が平滑なものとなり、紙基材に積層するリライト層も平滑なものとすることができ、リライト層の印字カスレ(発色不良)等を防止することができる。
これに対して、紙基材の表面粗さが、1.7μmよりも大きい値である場合、紙基材が平滑なものとならず、紙基材に積層するリライト層にも凹凸が発生してしまい、印字カスレ(発色不良)等の問題が発生してしまう。
〔情報記録媒体の製造方法〕
解決手段3:本発明の情報記録媒体の製造方法は、解決手段1又は2に記載の情報記録媒体を製造する情報記録媒体の製造方法であって、紙基材に対してリライト層となるべき材料を塗工することにより、リライト層を形成するリライト層形成工程と、インレット、接着層、リライト層形成工程によりリライト層が形成された紙基材をリライト層を最外層にしてこの順に積層する積層工程と、積層工程で積層した各部材を結合させる結合工程とを備える情報記録媒体の製造方法である。
解決手段3によれば、リライト層を塗工によって形成するので、紙基材に直接リライト層を形成することができ、製造コストを削減するとともに、情報記録媒体の製造効率を高めることができる。
ここで、リライト層を塗工によって形成する場合、リライトシールを貼り付けてリライト層を形成する場合と異なり、リライト層にヒビ割れが生じやすくなってしまう。
しかし、本発明において、接着層は、その厚みが、接着層,紙基材及びリライト層の総厚の29.1%以上93.4%以下の厚みであるため、接着層がアンテナコイルやICチップの凹凸を充分に吸収する役割を果たし、リライト層にヒビ割れが発生することを防止することができる。
解決手段4:本発明の情報記録媒体の製造方法は、解決手段3に記載の情報記録媒体の製造方法において、結合工程では、積層工程で積層した各部材を熱ラミネートすることにより、積層工程で積層した各部材を結合させることを特徴とする情報記録媒体の製造方法である。
解決手段4によれば、インレット、接着層、リライト層を形成した紙基材をリライト層を最外層にしてこの順に積層し、積層した各部材を熱ラミネートすることにより、各部材を結合させるので、インレットに配置されているアンテナコイルやICチップの凹凸が浮き出てしまうことを最小限に抑えることができる。
すなわち、本解決手段の製造方法では、「熱プレス」ではなく、「熱ラミネート」を採用している点に特徴がある。
ここで、「熱プレス」と「熱ラミネート」とでは、熱を加えて加圧する点に関しては共通しているが、「熱プレス」では、上側プレス板と下側プレス板との間に、プレス対象物を挟み込んで、プレス対象物をプレスする方法であるのに対して、「熱ラミネート」では、ロールとロールとの間に、プレス対象物を通過させて、プレス対象物をプレスする方法である。したがって、「熱ラミネート」では、プレスを行うローラとプレス対象物とが「熱プレス」のように全体的に面接触するのではなく、ローラの部分でのみ接触することになるため、アンテナコイルやICチップの凹凸が紙基材に浮き出てしまうことを最小限に抑えることができる。
また、「熱プレス」に関しては、プレス対象物を加圧しながら長時間にわたって保持することになるため、紙基材の表面にICチップやコイルアンテナの凹凸が顕著に発生する可能性がある。また、「熱プレス」に用いるプレス機を動作させる場合には、内部の空気を抜いて真空状態とし、その真空状態を維持しながら熱を加えて加圧するので、情報記録媒体を構成する各部材同士が必要以上に密着してしまい、紙基材の表面にアンテナコイルやICチップの凹凸が出現しやすくなってしまう。
これに対して、本解決手段では、「熱ラミネート」による手法を採用することにより、このような悪影響を可能な限り低減させ、アンテナコイルやICチップの凹凸を紙基材に極力発生させないこととしている。これにより、紙基材の平滑性が保たれ、紙基材に積層するリライト層についても平滑性が保たれることとなる。
本発明によれば、紙基材を用いた情報記録媒体としているため、製造コストを抑えることができる。また、接着層は、その厚みが、接着層,紙基材及びリライト層の総厚の29.1%以上93.4%以下の厚みであるため、接着層がアンテナコイルやICチップによる凹凸を充分に吸収する役割を果たし、リライト層にヒビ割れが発生することを防止することができる。
本発明の実施形態に係る情報記録媒体を概略的に示す分解斜視図である。 図1のII−II線に沿った断面を示す断面図である。 非接触ICカードの製造方法について説明する工程図である。 実施例及び比較例の各材料について説明する図である。 第2紙基材の表面粗さについて説明する図である。
以下、本発明の情報記録媒体、及び情報記録媒体の製造方法の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報記録媒体を概略的に示す分解斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面を示す断面図であって、図2(A)は各層を結合させて示した図であり、図2(B)は各層を分解して示した図である。
〔非接触ICカード〕
図1及び図2に示すように、非接触ICカード10は、情報記録媒体の一例として挙げる非接触IC媒体である。非接触ICカード10は、企業における社員証や、定期券又は乗車券といった交通系のカード、通行証のカード、利用者に特典(ポイント)を付与する流通系のカード等に用いることができる。
〔インレット〕
非接触ICカード10の中心部分には、インレット20が配置されている。
インレット20は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PET−G(非結晶性ポリエチレンテレフタレート)等で形成されたフィルム基板21を備える。
フィルム基板21の裏面には、フィルム基板21の外周に沿って数重に巻かれたアンテナコイル(アンテナ線)22が形成されている(図1中では1重巻で示している)。
アンテナコイル22は、アルミ箔や銅箔をフィルム基板21に貼り付け、エッチングでコイル形状を形成する方法、スクリーン印刷にて銀ペーストを印刷してコイル形状を形成する方法、ワイヤーを引き回してコイル形状を形成する方法、アンテナコイル用の転写箔を転写させてコイル形状を形成する方法等で形成することができる。
フィルム基板21の裏面には、アンテナコイル22に接続されたICチップ23が配置されている。ICチップ23は、CPUやRAM、ROM、EEPROM等の半導体メモリを搭載したチップである。
なお、ここでは特に図示していないが、ICチップ23の下面部分、又は、フィルム基板21の表面であってICチップ23の真裏の部分に、ステンレス等の金属材料によって構成される補強板を配置してもよい。補強板を配置すれば、ICチップ23を補強する役割を果たすことがきる。
〔接着層〕
インレット20の上層には、第1接着層31が配置されており、インレット20の下層には、第2接着層32が配置されている。第2接着層32は、インレット20のICチップ23が配置された側に積層された接着層である。
第1接着層31及び第2接着層32は、インレット20と後述する紙基材41,42とを接着する役割を果たす。
第1接着層31及び第2接着層32に用いる接着剤としては、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等を使用した一般的なホットメルト接着剤を使用することができる。なお、第1接着層31(リライト層50が設けられていない側の接着層)は、30μm(接着層として最も薄い厚み)以上の厚みを有することが好ましく、第2接着層32は、100μm以上の厚みを有することが好ましい。
〔紙基材〕
第1接着層31の上層には、第1紙基材41が配置されており、第2接着層32の下層には、第2紙基材42が配置されている。
第1紙基材41及び第2紙基材42は、紙を用いて形成されたカード基材であり、第2紙基材42は、アンテナコイル22やICチップ23を被覆して保護する役割を果たしている。
また、第1紙基材41及び第2紙基材42は、非接触ICカードとしての厚みを持たせるために、150μm以上の厚みを有するものが好ましい。
このように、本実施形態では、第1紙基材41及び第2紙基材42といったように紙基材を用いた非接触ICカード10としているため、カード基材としてプラスチック(合成樹脂)やPET等を用いた非接触ICカードと比較して、製造コストを抑えることができる。
〔リライト層〕
第2紙基材42の下層には、リライト層50が配置されている。
リライト層50は、熱に応じて色変化を示す層であり、例えばUV(紫外線)硬化型の樹脂を主成分とする層、又は熱硬化型の樹脂を主成分とする層が好ましい。
〔その他の構成〕
非接触ICカード10の基本的な構成は、上述した通りであるが、例えば、リライト層50の下層に、文字や図形等を印刷した印刷層や、リライト層50を保護する保護層、磁気テープ等の磁気層を別途形成してもよい。
本実施形態では、第2接着層32の厚みを適宜調整することにより、リライト層50のヒビ割れを防止している。第2接着層32の具体的な厚みについては後述する実施例で詳細に説明するが、基本的には、第2接着層32,第2紙基材42及びリライト層50の総厚をZとした場合に、第2接着層32の厚みZ’が、総厚Zの29.1%以上93.4%以下の厚みとなるように第2接着層32の厚みZ’を調整している(図2中(A)参照)。
次に、本実施形態に係る非接触ICカード10の製造方法について説明する。
図3は、非接触ICカード10の製造方法について説明する工程図である。
〔リライト層形成工程;ステップS100〕
まず、第2紙基材42を用意して、第2紙基材42の下層(裏面)に、リライト層50となるべき材料をコーター等によって塗工することによりリライト層50を形成する。
〔積層工程;ステップS200〕
次に、アンテナコイル22及びICチップ23を搭載したインレット20の両面に、第1接着層31及び第2接着層32を積層する。
第1接着層31及び第2接着層32の積層は、接着剤の塗工や、反応性ホットメルトの積層、熱可塑性のホットメルトの積層により実現する。
ついで、第1接着層31の上層に第1紙基材41を積層し、第2接着層32の下層に第2紙基材42を積層する。このとき、第2紙基材42は、リライト層形成工程(ステップS100)により形成されたリライト層50を最外層にして積層する。
この積層工程により、下から順に、リライト層50、第2紙基材42、第2接着層32、インレット20、第1接着層31、第1紙基材41が積層される(図2(A)に示す状態)。
〔結合工程;ステップS300〕
そして、ステップS200の積層工程で積層した各部材を熱ラミネートすることにより、ステップS200の積層工程で積層した各部材を結合させる。
熱ラミネートは、2つの対向するラミネートローラの間に、ステップS200の積層工程で積層した積層体を通過させ、ラミネートローラによって積層体を加熱・加圧することにより各部材を結合させる。ラミネート時の加熱の温度は、80〜140℃程度であることが好ましい。
次に、具体的な実施例を挙げて説明する。
図4は、実施例及び比較例の各材料について説明する図である。
まず、実施例1,2及び比較例1〜3について、各層の厚み〔μm〕、総厚Z〔μm〕、割合〔%〕を以下に示す。
ここで、「各層の厚み」とは、非接触ICカード10に用いられる各層自体の厚みを示している。また、「総厚Z」とは、第2接着層32の厚みと第2紙基材42の厚みとリライト層50の厚みとを合計した厚みを示している。さらに、「割合」とは、総厚Zに対する第2接着層32の厚み(Z’)の割合を示している。
〔実施例1〕
(1)第1紙基材 :220
(2)第1接着層 :100
(3)インレット :40
(4)第2接着層 :120
(5)第2紙基材 :220
(6)リライト層 :24
(7)総厚Z :364
(8)割合 :33.0
〔実施例2〕
(1)第1紙基材 :220
(2)第1接着層 :100
(3)インレット :40
(4)第2接着層 :100
(5)第2紙基材 :220
(6)リライト層 :24
(7)総厚Z :344
(8)割合 :29.1
〔比較例1〕
(1)第1紙基材 :220
(2)第1接着層 :100
(3)インレット :40
(4)第2接着層 :90
(5)第2紙基材 :220
(6)リライト層 :24
(7)総厚Z :334
(8)割合 :26.9
〔比較例2〕
(1)第1紙基材 :220
(2)第1接着層 :100
(3)インレット :40
(4)第2接着層 :60
(5)第2紙基材 :220
(6)リライト層 :24
(7)総厚Z :304
(8)割合 :19.7
〔比較例3〕
(1)第1紙基材 :220
(2)第1接着層 :100
(3)インレット :40
(4)第2接着層 :30
(5)第2紙基材 :220
(6)リライト層 :24
(7)総厚Z :274
(8)割合 :10.4
実施例1,2及び比較例1〜3において、第1紙基材41及び第2紙基材42には、王子製紙株式会社製のミラーコート(登録商標)プラチナを用いた。
また、第1接着層31には、倉敷紡績株式会社製のG−6(ポリエステル系)を用い、第2接着層32には、東亞合成株式会社製のPES111EE(ポリエステル系)を用いた。
さらに、インレット20には、ソニー株式会社製のFelica(登録商標)Liteインレットを用いた。リライト層50には、下記の組成の可逆性感熱記録材料を塗工し、乾燥させ、紫外線照射を行って形成した可逆性感熱記録層を用いた。
(1)ロイコ染料:(3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン:山本化成(株)製、商品名「ODB」):5重量部
(2)顕減色剤:N−(p−ヒドロキシフェニル)−N’−n−オクタデシル尿素:15重量部
(3)バインダー樹脂:熱可塑性樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体に、アクリル酸をエステル重合させた樹脂、固形分30%):66重量部
(4)光重合開始剤:(チバスペシャリティ・ケミカル(株):商品名ダロキュア184):2重量部
(5)溶剤(MEK(メチルエチルケトン):トルエン=1:1(重量比):114重量部
なお、リライト層50は、下記組成の塗料を塗布し、100℃で2分間乾燥させ、紫外線照射(160W/cm、30m/分、1パス)を行って形成した保護層によって保護してもよい。ただし、各実施例においては、保護層は形成していない。
(1)紫外線硬化型塗料(大日本インキ化学工業(株)製 商品名「ユニディックC3‐374」:20重量部
(2)シリカ(水澤科学工業(株)製、商品名「ミズカシルP‐603」):1重量部
(3)溶剤(MEK:トルエン=1:1(重量比):20重量部
〔評価方法〕
そして、上述した製造方法にて、実施例1,2及び比較例1〜3に係る非接触ICカードを製造し、完成した非接触ICカードの評価を行った。なお、ラミネート温度は、約100℃に設定した。
完成した非接触ICカードを肉眼観察し、リライト層50のヒビ割れについて評価した。評価方法は、以下の通りである。
リライト層のヒビ割れが認められない場合 :判定結果「○(良好)」
リライト層のヒビ割れが若干認められる場合 :判定結果「△(やや不良)」
リライト層のヒビ割れが認められる場合 :判定結果「×(不良)」
図4から以下の点が明らかである。
(1)実施例1,2はいずれも、「○(良好)」との判定結果を得ることができた。
(2)これに対し、比較例1は、「△(やや不良)」との判定結果となり、比較例2,3は、「×(不良)」との判定結果となった。したがって、比較例1〜3の非接触ICカードは、完成品の非接触ICカードとして適切でないことが分かる。以下、この点について具体的に検証する。
〔実施例1,2〕
実施例1,2はいずれも、「○(良好)」との判定結果を得ている。
これは、実施例1,2については、第2接着層32が充分な厚みを有しているため、アンテナコイル22やICチップ23の凹凸を吸収する役割を果たしているからであると考えられる。したがって、実施例1,2は、判定結果が「○(良好)」になったものと考えられる。
〔比較例1〜3〕
比較例1は、「△(やや不良)」との判定結果を得ており、比較例2,3は、「×(不良)」との判定結果を得ている。
判定結果が「△(やや不良)」や「×(不良)」となった原因としては、比較例1〜3は、実施例1,2と比べて、第2接着層32の厚みが薄いため、アンテナコイル22やICチップ23の凹凸を吸収する役割を充分に果たすことができできなかったことが挙げられる。
これら実施例と比較例との対比から以下の事項が明らかである。
(1)第2接着層32の厚みを、第2接着層32,第2紙基材42及びリライト層50の総厚の29.1%以上の厚みとすると、リライト層50にヒビ割れが発生することを防止することができる。ただし、第2接着層32の厚みを、第2接着層32,第2紙基材42及びリライト層50の総厚の93.4%よりも大きい値とすると、第2接着層32の厚みが厚くなりすぎてしまい、製造効率が低下する。
(2)第2接着層32の厚みを、第2接着層32,第2紙基材42及びリライト層50の総厚の29.1%未満の厚みとすると、リライト層50にヒビ割れが発生してしまう。
これらの結果から、第2接着層32の厚みは、第2接着層32,第2紙基材42及びリライト層50の総厚の29.1%以上93.4%以下の厚みとすることが好ましいことが分かった。
図5は、第2紙基材の表面粗さについて説明する図である。
第2紙基材42については、様々な紙基材を適用することができるが、非接触ICカードの品質をより向上させるために、特定の紙基材を用いることが好ましい。
以下、第2紙基材42に適用しうる10個の材料について説明する。紙基材1〜10の品名(材質)、表面粗さ〔μm〕の関係は、以下の通りである。なお、品名(材料)については、紙基材1,5,10を除き、すべて三菱製紙株式会社製のものである。また、表面粗さの測定方法は、CJRC規格のE21にある測定方法にて測定を行っており、各パラメーターに関しては、JISB0601(表面粗さに関する規格)に基づいた算術平均粗さRaである。
〔紙基材1〕
品名 :GAスピリット(登録商標):株式会社竹尾製
表面粗さ :3.0
〔紙基材2〕
品名(材料):上質紙
表面粗さ :2.0
〔紙基材3〕
品名 :金菱(登録商標)
表面粗さ :1.8
〔紙基材4〕
品名 :ホワイトエクセルケント
表面粗さ :1.7
〔紙基材5〕
品名 :ミラーコート(登録商標)N:王子製紙株式会社製
表面粗さ :1.2
〔紙基材6〕
品名 :カサナディアグロス
表面粗さ :0.5
〔紙基材7〕
品名 :パールコートN
表面粗さ :0.4
〔紙基材8〕
品名 :M特アートポスト
表面粗さ :0.3
〔紙基材9〕
品名 :特菱アート両面N
表面粗さ :0.3
〔紙基材10〕
品名 :ミラーコート(登録商標)プラチナ:王子製紙株式会社製
表面粗さ :0.1
〔評価方法〕
そして、上述した製造方法にて、第2紙基材42に紙基材1〜10を適用し、紙基材1〜10を適用した非接触ICカードを製造し、完成した非接触ICカードの評価を行った。第2紙基材42に、紙基材1〜10を採用した以外の点は、上記実施例1と同様の条件で製造した。
完成した非接触ICカードを肉眼観察し、リライト層50に印字カスレが発生するか否かについて評価した。評価方法は、以下の通りである。
リライト層に印字カスレが発生しない場合 :判定結果「○(良好)」
リライト層に印字カスレが発生する場合 :判定結果「×(不良)」
ここで、「印字カスレ」とは、リライト層50を実際に機能させた場合の不具合を意味しており、具体的には印字(発色)のカケ(欠損)が発生することをいう。
例えば、非接触ICカードが交通系のカードであれば、定期の有効期間や乗車区間等の情報をリライト層50に書き込むことになる。この際、非接触ICカードを発券機に挿入して、リライト層50への印字(書き込み、発色)を行うことになるが、この印字処理は、発券機の内部に配置されている印字ヘッド(サーマルヘッド)によって熱を加えながら行われる。
この際、印字ヘッドは高速で駆動しているため、リライト層50に何かしらの出っ張り等があると、その出っ張りによって印字ヘッドが浮き上がってしまい、上述した印字カスレ(印字抜け)等が発生する場合がある。図5においては、このような印字カスレが発生するか否かで評価を行っている。
図5から以下の点が明らかである。
(1)紙基材1〜3は、「×(不良)」との判定結果となった。したがって、紙基材1〜3は、リライト層50に印字カスレが発生することが分かった。
(2)これに対し、紙基材4〜10は、「○(良好)」との判定結果を得ることができた。したがって、紙基材4〜10は、完成品の非接触ICカードとして、より適切であることが分かる。以下、これらの判定結果について具体的に検証する。
〔紙基材1〜3〕
紙基材1〜3は、「×(不良)」との判定結果を得ている。
判定結果が「×(不良)」となった原因としては、紙基材1〜3は、表面粗さの値が大きいため、紙基材1〜3の表面には比較的大きな凹凸が存在しており、紙基材1〜3に積層するリライト層50にも凹凸が発生してしまったためであると考えられる。
〔紙基材4〜10〕
一方、紙基材4〜10はいずれも、「○(良好)」との判定結果を得ている。
これは、紙基材4〜10は、紙基材1〜3と比較して、表面粗さの値が小さく、紙基材4〜10は平滑なものとなり、紙基材4〜10に積層するリライト層50も平滑なものとすることができたからであると考えられる。
したがって、これらの結果から以下の事項が明らかである。
(1)第2紙基材42の表面粗さを、1.7μm以下とすると、印字カスレが発生することを防止することができる。このため、完成品の非接触ICカードとしても高品質の非接触ICカードを提供することができる。
(2)第2紙基材42の表面粗さを、1.7μmよりも大きな値とすると、印字カスレが発生する。
これらの結果から、第2紙基材42の表面粗さは、1.7μm以下とすることが好ましいことが分かった。
本発明は、上述した一実施形態に制約されることなく、各種の変形や置換を伴って実施することができる。
上述した実施形態では、リライト層50は、第2紙基材42の下層にのみ形成している例で説明しているが、第1紙基材41の上層にもリライト層50を形成してもよい。
また、一実施形態で挙げたインレット及び非接触ICカード等の構成はいずれも好ましい例示であり、これらを適宜変形して実施可能であることはいうまでもない。
10 非接触ICカード
20 インレット
21 フィルム基板
22 アンテナコイル
23 ICチップ
31 第1接着層
32 第2接着層
41 第1紙基材
42 第2紙基材
50 リライト層

Claims (4)

  1. アンテナコイル及びそのアンテナコイルに接続されたICチップを有するインレットと、
    前記インレットに積層された接着層と、
    前記接着層に積層された紙基材と、
    前記紙基材に積層され、熱に応じて色変化を示すリライト層とを備え、
    前記接着層は、
    その厚みが、前記接着層,前記紙基材及び前記リライト層の総厚の29.1%以上93.4%以下の厚みであることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 請求項1に記載の情報記録媒体において、
    前記紙基材は、
    その表面粗さが、1.7μm以下であることを特徴とする情報記録媒体。
  3. 請求項1又は2に記載の情報記録媒体を製造する情報記録媒体の製造方法であって、
    前記紙基材に対して前記リライト層となるべき材料を塗工することにより、前記リライト層を形成するリライト層形成工程と、
    前記インレット、前記接着層、前記リライト層形成工程により前記リライト層が形成された前記紙基材を前記リライト層を最外層にしてこの順に積層する積層工程と、
    前記積層工程で積層した各部材を結合させる結合工程とを備える情報記録媒体の製造方法。
  4. 請求項3に記載の情報記録媒体の製造方法において、
    前記結合工程では、
    前記積層工程で積層した各部材を熱ラミネートすることにより、前記積層工程で積層した各部材を結合させることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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