JP2004178432A - Icカード及びicカードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【解決手段】第1のシート材1と第2のシート材2との間に、接着剤層6,7を介在させてICチップ3a2及びアンテナ3a1を有するICモジュールを設けたICカードにおいて、第1のシート材1の第2のシート材2の少なくとも一面側に筆記層9aを有し、この筆記層9aが樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有している。
【選択図】図2
【解決手段】第1のシート材1と第2のシート材2との間に、接着剤層6,7を介在させてICチップ3a2及びアンテナ3a1を有するICモジュールを設けたICカードにおいて、第1のシート材1の第2のシート材2の少なくとも一面側に筆記層9aを有し、この筆記層9aが樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有している。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ICチップ及びアンテナを有するICモジュールを内蔵した自動車免許証等の免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等のICカード及びICカードの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、身分証明書カードや、キャッシュカード、クレジットカード等のIDカードには、磁気記録方式によりデータを記録する磁気カードが広く利用される場合が多い。磁気カードはデータの書き換えが比較的容易にできるため、データの改ざん防止が十分でないこと、媒体が磁気のため外的な影響を受けやすく、データの保護が十分でないこと、更には、記録できる容量が少ないなどの問題点がある。
【0003】
そこで、近年、ICチップを内蔵したICカードが普及し始めている。ICカードは、表面に設けられた電気接点や、カード内部のループアンテナを介して外部の機器とデータの読み書きをするようになされる。ICカードは磁気カードに比べて記憶容量が大きく、安全性も大きく向上している。
【0004】
このようなICカードとして、例えば表面シート材と裏面シート材とが接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップ及びアンテナを有するICモジュールを封入するものがある。
【0005】
特に、ICカードはICチップ、アンテナを実装した回路基板を有するインレットを、2枚のPETベースの間に挿入し、湿気硬化型接着剤やUV硬化型、2液混合型接着剤などを用いて貼り合わせ、硬化後にカード型に打ち抜いて作成され、カードの少なくとも一面にはサインパネルなどの筆記面のついた筆記層を有することが一般的である。
【0006】
これらの筆記層は一般にインキなどを受容するために、無機顔料や樹脂を多く含有している。しかしながら、従来技術においては筆記性を向上するために筆記層に用いられるシリカや酸化チタンなどの無機顔料物質が多く用いられるため、全体的に脆くなる傾向がある。樹脂の割合を高めると逆に筆記性が劣化するといった問題が生じ、樹脂の割合を高めずに全体が脆くならない組成の探索が必要となってきている。
【0007】
また、筆記層面にかかる圧力を軽減する目的でワックスを添加して滑り性を向上させる手段が知られているが(例えば特許文献1、特許文献2)、不純物を添加することになるため、筆記層自体の強度が不足していることに変わりはなく、筆記層とその下面の基材との間に剥離が生じ本格的な解決手段とはならなかった。また、剥離の生じない実施例も存在するが(例えば特許文献3)、これは受像シートの場合であり筆記層ではない。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−79618号公報(第1〜第6頁、図1)
【0009】
【特許文献2】
特開平5−278320号公報(第1〜第5頁、図1〜図6)
【0010】
【特許文献3】
特開平8−238876号公報(第1〜第8頁、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、ICカード基材は従来の塩化ビニルシートや紙などと異なり、製造方法からPETシートが多く用いられる傾向があり、筆記層と基材シートとの密着性が低い。そのため財布の中でお金や他のカードと接触した場合に基材から筆記層が剥がれやすく、解決方法が強く求められていた。
【0012】
またPETシートを貼り合わせるために湿気硬化型接着剤が用いられると、筆記層の密着性を上げたためにPETの湿気透過性が悪くなり、湿気硬化型接着剤の硬化進行が遅れるといった重大な問題が発生していた。
【0013】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカード及びICカードの製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0015】
請求項1に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に、接着剤層を介在させてICチップ及びアンテナを有するICモジュールを設けたICカードにおいて、
前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側に筆記層を有し、この筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有していることを特徴とするICカードである。
【0016】
この請求項1に記載の発明によれば、筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記筆記層がエージング処理されていることを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
【0018】
この請求項2に記載の発明によれば、筆記層がエージング処理されてなることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることを特徴とする請求項2に記載のICカードである。
【0020】
この請求項3に記載の発明によれば、エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング温度が80℃以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のICカードである。
【0022】
この請求項4に記載の発明によれば、エージング処理は、エージング時間が所定の時間であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0023】
請求項5に記載の発明は、前記フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカードである。
【0024】
この請求項5に記載の発明によれば、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であり、カード剛性が上がってカード耐久性が向上する。
【0025】
請求項6に記載の発明は、前記フィラーが、筆記層全量において占める割合が5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードである。
【0026】
この請求項6に記載の発明によれば、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であり、筆記層の擦過性、筆記性、カード耐久性が向上する。
【0027】
請求項7に記載の発明は、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードである。
【0028】
この請求項7に記載の発明によれば、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、ICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0029】
請求項8に記載の発明は、前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側と前記筆記層の間にアンカーコート層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のICカードである。
【0030】
この請求項8に記載の発明によれば、アンカーコート層を有することで、筆記層の擦過性、筆記性が向上する。
【0031】
請求項9に記載の発明は、前記第1のシート材と第2のシート材の少なくとも一面側に氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、この個人識別情報の上面に透明保護層を設け、前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカードである。
【0032】
この請求項9に記載の発明によれば、個人識別情報を設けた上面に透明保護層を設けることで、個人識別情報が保護され、耐久性が向上する。
【0033】
請求項10に記載の発明は、前記ICチップが前記顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカードである。
【0034】
この請求項10に記載の発明によれば、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
【0035】
請求項11に記載の発明は、前記ICモジュールを有し、非接触式カードであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカードである。
【0036】
この請求項11に記載の発明によれば、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【0037】
請求項12に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に、接着剤層を介在させてICチップ及びアンテナを有するICモジュールを設けるICカードの製造方法において、
前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側に筆記層を設け、この筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有していることを特徴とするICカードの製造方法である。
【0038】
この請求項12に記載の発明によれば、筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0039】
請求項13に記載の発明は、前記筆記層をエージング処理して設けることを特徴とする請求項12に記載のICカードの製造方法である。
【0040】
この請求項13に記載の発明によれば、筆記層をエージング処理することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0041】
請求項14に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることを特徴とする請求項13に記載のICカードの製造方法である。
【0042】
この請求項14に記載の発明によれば、エージング処理のエージング時間が1時間以上72時間以下であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0043】
請求項15に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング温度が80℃以上であることを特徴とする請求項13または請求項14に記載のICカードの製造方法である。
【0044】
この請求項15に記載の発明によれば、エージング処理のエージング時間が所定の時間であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0045】
請求項16に記載の発明は、前記フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0046】
この請求項16に記載の発明によれば、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることで、カード剛性が上がってカード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0047】
請求項17に記載の発明は、前記フィラーが、筆記層全量において占める割合が5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0048】
この請求項17に記載の発明によれば、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であり、筆記層の擦過性、筆記性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0049】
請求項18に記載の発明は、比表面積規定が0.001m2/g以上20 m2/g以下であることを特徴とする請求項12乃至請求項17のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0050】
この請求項18に記載の発明によれば、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、ICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0051】
請求項19に記載の発明は、前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側と前記筆記層の間にアンカーコート層を設けることを特徴とする請求項12乃至請求項18のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0052】
この請求項19に記載の発明によれば、アンカーコート層を有することで、筆記層の擦過性、筆記性が向上するICカードを得ることができる。
【0053】
請求項20に記載の発明は、前記第1のシート材と第2のシート材の少なくとも一面側に氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、この個人識別情報の上面に透明保護層を設け、前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項12乃至請求項19のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0054】
この請求項20に記載の発明によれば、個人識別情報を設けた上面に透明保護層を設けることで、個人識別情報が保護され、耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0055】
請求項21に記載の発明は、前記ICチップが前記顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置することを特徴とする請求項12乃至請求項20のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0056】
この請求項21に記載の発明によれば、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上するICカードを得ることができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のICカード及びICカードの製造方法の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。
【0058】
図1はICカードの作成工程の概略構成図である。
【0059】
このICカードの作成工程では、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)1が第1のシート材供給部Aに配備され、長尺シート状の第2のシート材(表シート)2が第2のシート材供給部Bに配備される。第2のシート材2に接着剤供給部Cから接着剤を供給して塗工し、接着剤加熱部Dで加熱してインレット供給部Eへ送る。
【0060】
インレット供給部Eでは、ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品のインレット3が供給され、第2のシート材2の所定位置に載置され、この第2のシート材2をバックローラ部Fへ送る。
【0061】
第1のシート材1に接着剤供給部Gから接着剤を供給して塗工し、接着剤加熱部Hで加熱してバックローラ部Fへ送る。
【0062】
バックローラ部Fは、温度調節可能なラミネートローラ4を有し、このラミネートローラ4を用いて第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる。
このラミネートローラ4の対ローラ4a,4bの温度差が0℃以上100℃以下である。この実施の形態では、第2のシート材2が受像層を有し、第1のシート材1が筆記層を有し、対ローラ4a,4bは、受像層側のローラの温度が筆記層側のローラの温度より低い温度である。
【0063】
このバックローラ部Fの後段に加熱部Iが配置され、バックローラ部Fにより貼り合わせ後に加熱部Iの対ローラ5a,5bにより加熱する。このように、第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる前にシート材の塗工された接着剤層を再加熱し、キャタピラプレス部Jへ送る。
【0064】
バックローラ部F、加熱部I、キャタピラプレス部Jは、貼り合わせの同一ライン上にキャタピラプレス部Jが配置され、キャタピラプレス部Jは、加熱プレス部J1と冷却プレス部J2とを有し、加熱加圧した後に冷却加圧する。キャタピラプレス部Jにより加熱加圧、冷却加圧された後に、貼り合わせ品が裁断部Kへ送られる。裁断部Kでは、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁する。その後に、打ち抜き部Lへ送り、カード状に打ち抜く。この打ち抜き部Lでカード状に打ち抜く前に、第1のシート材1と第2のシート材2のいずれか一方にフォーマット印刷を施す。
【0065】
カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁すること、取扱が容易で、かつ打ち抜き精度が向上する。また、カード状に打ち抜く前に、フォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
【0066】
図2はICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。ICカードの貼り合わせ品のICカード基材は、第1のシート材1と第2のシート材2との間に所定の厚みの電子部品3aを備えている。電子部品3aは、アンテナ3a1、ICチップ3a2等からなり、この電子部品3aのICモジュールはインレット3に備えられている。第1のシート材1と第2のシート材2との間にインレット3を配置し、接着剤層6,7を介在して積層した積層構造である。ICチップ3a2は補強板3bで覆われ、この補強板3bはICチップ3a2より大きな形状であり、ICチップ3a2を保護している。
【0067】
この第1のシート材1または第2のシート材2の、少なくとも片面に、この実施の形態では第2のシート材2の片面に受像層8aを有し、熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けている。また、氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cが転写箔の転写によって設けられ、この透明保護層8cが活性光線硬化樹脂からなる。
個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cを設けることで、個人識別情報8bが保護され、耐久性が向上する。
【0068】
また、この実施の形態では第1のシート材1の片面に、アンカーコート層9bを介して筆記可能な筆記層9aを設けている。また、ICチップ3aは、顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置し、ICチップ3aが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上するICカードを得ることができる。
【0069】
このように、ICカードは、ICモジュールを有し、非接触式カードであり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【0070】
この実施の形態では、筆記層9aが樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有しており、筆記層9aの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0071】
また、筆記層9aがエージング処理され、このエージング時間が1時間以上72時間以下であることが好ましく、エージング温度が80℃以上であることが好ましく、エージング処理を行ない、しかもエージング時間が1時間以上72時間以下であり、エージング温度が80℃以上であることで、筆記層9aの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0072】
エージング処理が不足していると有機溶剤などが残留して耐薬品性が劣化し、薬品類などを取り扱った人の手や、化粧品などに触れた場合などでも表面に剥離を起こすことがある。
【0073】
また、筆記層9aが樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有しており、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることが好ましく、このアスペクト比によりカード剛性が上がってカード耐久性が向上する。
【0074】
また、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であることが好ましく、このフィラーが筆記層全量において占める割合により筆記層9aの擦過性、筆記性、カード耐久性が向上する。
【0075】
また、ICカードの比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、この比表面積規定によりICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0076】
次に、この発明の構成を詳細に説明する。
[樹脂]
樹脂は、バインダー樹脂として、廃棄後の分解性を考慮するのであれば加水分解されやすい親水性樹脂が好ましいが、カードとしての耐水性を考慮するのであれば疎水性樹脂が好ましく、各種カード類の用途に応じてバインダー樹脂を使い分けることができる。また、親水性樹脂と疎水性樹脂を適宜割合で混合して使用してもよい。なお、このときに用いられるバインダー樹脂は、水性インク(水性ペン、水性スタンプ、インクジェット等)に対応した被記録材については親水性樹脂を使用し、油性インク(一般的な印刷インク、熱転写、油性のインクジェット等)に対応した被記録材については疎水性樹脂を使用するようにしてもよい。
【0077】
このような親水性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、デンプン、カゼイン等が挙げられる。
【0078】
また、疎水性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、飽和共重合ポリエステル、塩ビ−酢ビ共重合体、アルキッド樹脂等が挙げられる。
[ワックス]
ワックスとしては合成系のワックスが好ましく用いられ、代表的なものとしてポリエチレンワックスが好ましく用いられる。その他パラフィンワックスやカルナバワックス等の一般的なワックスを用いることができる。WAX含有率は備考層全量中の0.5重量%以上50重量%以下であり、好ましくは1重量%以上20重量%以下である。
[フィラー]
繊維状、針状のフィラーの種類としては一般に代表的にあげられる以下の種類のものが好ましく用いられる。
【0079】
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ウオラストナイト、ゾノトライト、PMF、石膏繊維、MOS、ドーソナイト、セピオライト。これらは一種類で用いられても良いし、併用されて用いられても良い。
【0080】
フィラーの筆記層全量において占める割合の含有量は5重量%以上50重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以上40重量%以下、更に好ましくは5重量%以上20重量%以下である。
[比表面積規定]
比表面積とは以下に示すBET吸着式によって以下のように表される。
【0081】
p/(V(p0−p))=1/(VmC)+(C−1)p/(VmC*p0)
p:気体の圧力
p0:測定温度における気体の蒸気圧
V:吸着された気体の全体積
Vm:全吸着面が単分子層で覆われたと仮定した場合の吸着気体の体積
複雑な表面構造を持った吸着媒体の表面積を求める時に応用され、ガスを吸着させて、1g当たりの表面積を求めるのに用いられる。
【0082】
比表面積の値は0.001(m2/g)以上20(m2/g)以下が、この発明の範囲であり、好ましくは0.001(m2/g)以上5(m2/g)以下である。
[エージング処理]
エージング処理は筆記層に含まれる樹脂を硬化させるために必要であり、エージング処理を行なわない場合ではICカードにした場合、使用中に折り曲げられたり擦られたりして剥離が生じ、またひっかき傷が生じやすくなり、使用に耐えられなくなる。
【0083】
この発明のように針状のフィラーが入っていると硬化させる樹脂の割合が少なくなり、針状のフィラーのない場合より樹脂に温度が伝わりやすくなり、硬化しやすい。樹脂の硬化を促進させるためには充分な温度と時間が必要であり、エージング処理の温度は80℃以上であるが、好ましくは80℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上170℃以下、さらに好ましくは120℃以上170℃以下である。
【0084】
またエージング処理の時間はムラなく充分に熱が行き渡るようにするため少なくとも1時間以上が必要であり、1時間以上72時間以下が好ましい範囲であり、より好ましくは1時間以上24時間以下である。
[アンカーコート層]
アンカーコート層を構成する主成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等を用いる。特に樹脂の組成がアクリル系、ポリエステル系からなる樹脂を主成分として使用すると密着性がよいため特に好ましい。
【0085】
熱可塑性樹脂としては、例えば酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、天然ゴム、ゼラチン、ニカワ、アビエチン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノールホルマリン系樹脂、石油樹脂、マレイン酸共重合体、等の単独、混合体、共重合体等がある。
【0086】
熱硬化性樹脂としては、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート等のアクリル系モノマー、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアマイド、スチレン、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、無水マレイン酸等の重合物、硬化剤として酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属塩架橋、グリシジル基含有樹脂はアミン等のエポキシ硬化剤、例えばブチル化メラミン樹脂硬化剤、ポリイソシアネート硬化剤等を用いる。
【0087】
紫外線硬化性モノマーとしては、公知の材料を使用してよいが、例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、フェノキシアクリレート、ステアリルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレートエトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート等のモノアクリレート、1、3−ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトール、ヘキサアクリレート等の3官能以上のアクリレート、メタアクリル酸、メタアクリル酸メチル、ラウリルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、2−ヒドロキシルメタアクリレート等のメタクリレート、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、ビニルトルエン、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。
[ICカード製造方法]
ここでホットメルト接着剤を使用したこの発明のICカードの製造方法の一例を挙げる。ICカードの作製に当たっては、先ず表裏のシートにアプリケーターでホットメルト接着剤を所定の厚さに塗工する。塗工方法としてはローラー方式、Tダイ方式、ダイス方式などの通常の方法が使用される。
【0088】
この発明でストライプ状に塗工する場合、Tダイスリットを間欠に開口部を持たせる等の方法があるが、これに限られるものではない。また、この発明の接着剤表面を凹凸形状にする方法としては、上記方法により塗工した接着剤表面をエンボシングロールで加圧処理する方法がある。接着剤を塗工した上下のシートの間にIC部材を装着する。装着する前に塗工した接着剤を予めヒーター等で加熱させておいてもよい。その後上下シート間にIC部材を装着したものを接着剤の貼り合わせ温度に加熱したプレスで所定時間プレスするか、又はプレスでの圧延の替わりに所定温度の恒温層中でシートを搬送しながらロールで圧延してもよい。又、貼り合わせ時に気泡が入るのを防止するために真空プレスしてもよい。プレス等で貼り合わせた後は所定形状に打ち抜くなり、カード状に断裁するなりしてカード化する。接着剤に反応型接着剤を用いた場合は所定時間硬化反応させた後にカード状に断裁する。硬化促進のために貼り合わせたシートのカードサイズの周囲に反応に必要な水分供給のための穴を開ける方法も有効な手段の一つである。
【0089】
この発明において、カード状サイズに基材を作成する場合、製造方法として、例えば第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わせ、接着後積層されたシート基材をカード状サイズに成形する方法する選択される。カード状サイズに成形する方法としては打ち抜く方法、断裁する方法等が主に選択される。
[第1のシート材と、第2のシート材との間に電子部品とを備える方法]
この発明において第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品とを備えるために製造方式としては、熱貼合法、接着剤貼合法及び射出成形法が知られているが、いずれの方法で貼り合わせてもよい。また、第1のシート材と第2のシート材は貼り合わせる前後いずれかにフォーマット印刷、または情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができる。
【0090】
この発明のIC搭載カード基材の製造方法は、特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開2000−219855、特開平10−316959、特開平11−5964等のように貼り合わせ、塗設方法が開示されている。いずれの貼り合わせ方式、塗設方式方法等を用いることができ、この発明には特に制限はない。
【0091】
また、特定の位置に接着剤部材を配置させる方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより、所定位置に接着剤を塗布することにより製造することができる。また、ホットメルト接着剤を使用する場合には、ハンドガンタイプのホットメルトアプリケーターにより、ノズルから接着剤をビード状に塗布することでそれぞれの配置へ塗布することも可能である。
【0092】
或いは、フィルム状に加工された該接着剤を、所定の配置に設置するべく断裁し、それぞれの配置へ設置した後に、加熱、加圧処理を施して貼り合わせることもできる。
[ICカード基材用シート材]
ICカード基材用シート材の基材としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは30〜300μm望ましくは50〜200μmである。
【0093】
この発明においては支持体の熱による収縮、反りなどによるカード基材搬送性の観点から低温接着剤の他にシート部材として150℃/30minにおける熱収縮率が縦(MD)で1.2%以下、横(TD)で0.5%以下が好ましい。また、上記支持体上に後加工上密着性向上のため易接処理を行っていても良く、チップ保護のために帯電防止処理を行っていても良い。具体的には、帝人デュポンフィルム株式会社製のU2シリーズ、U4シリーズ、ULシリーズ、東洋紡績株式会社製クリスパーGシリーズ、東レ株式会社製のE00シリーズ、E20シリーズ、E22シリーズ、X20シリーズ、E40シリーズ、E60シリーズQEシリーズを好適に用いることができる。
【0094】
この発明第2のシート材は、当該カード利用者の顔画像を形成するため受像層のほかにクッション層を設けてもよい。個人認証カード基体表面には画像要素が設けられ、顔画像等の認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷から選ばれる少なくとも一つが設けられたものであってもよく、また全く印刷部分のないホワイトカードであってもよい。
[貼り合せ]
貼り合わせ時には、基材の表面平滑性、第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品の密着性を向上するために加熱及び加圧を行うことが好ましく、上下プレス方式、ラミネート方式等で製造することが好ましい。加熱は、10〜180℃が好ましく、より好ましくは30〜150である。加圧は、1.0〜300kgf/cm2が好ましく、より好ましくは1.0〜200kgf/cm2である。これより圧が高いとICチップが破損する。加熱及び加圧時間は好ましくは、0.001〜90secより好ましくは0.001〜60secである。これより時間が長いと製造効率が低下する。
【0095】
前記第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップ及びアンテナを有するICモジュールを有するICカード用のシートは、所定の条件下で保管された後に、ICカード用のシートを打ち抜き金型に供給し、前記打ち抜き金型によって、ICカード用のシートからICカードを打ち抜くことによって、ICカードは製造される。この場合、打ち抜き加工の前に、認証識別画像や書誌事項を記録してもよい
[ICカード基材作成用接着剤]
この発明の貼り合わせ材料としては、ホットメルト接着剤、熱可塑性樹脂等を用いることが好ましい。例えば、ホットメルト接着剤は、一般に使用されているものを用いることができる。ホットメルト接着剤の主成分としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系などが挙げられる。但しこの発明においては、低温接着剤の中でも具体的には湿気硬化型接着剤が好ましい。
【0096】
反応型ホットメルト接着剤として湿気硬化型の材料で特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開2000−219855、特願2000−369855で開示されている。これら接着剤のいずれも使用してもよく、低温接着ができれば特に制限はなくいずれの材料も用いることができる。
【0097】
接着剤の膜厚は、電子部品と含めた厚さで100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、更に好ましくは150μ〜450μmである。
[電子部品]
電子部品とは、情報記録部材のことを示し具体的には当該電子カードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及び該ICチップに接続されたコイル状のアンテナ体である。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。この発明はこれに限定されず情報記録部材に必要な電子部品であれば特に限定はない。
【0098】
ICモジュールはアンテナコイルを有するものであるが、アンテナパターンを有する場合、導電性ペースト印刷加工、或いは銅箔エッチング加工、巻線溶着加工等のいずれかの方法を用いてもよい。プリント基板としては、ポリエステル等の熱可塑性のフィルムが用いられ、更に耐熱性が要求される場合はポリイミドが有利である。ICチップとアンテナパターンとの接合は銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤(日立化成工業のEN−4000シリーズ、東芝ケミカルのXAPシリーズ等)や、異方性導電フィルム(日立化成工業製アニソルム等)を用いる方法、或いは半田接合を行う方法が知られているがいずれの方法を用いてもよい。
【0099】
予めICチップを含む部品を所定の位置に載置してから樹脂を充填するために、樹脂の流動による剪断力で接合部が外れたり、樹脂の流動や冷却に起因して表面の平滑性を損なったりと安定性に欠けることを解消するため、予め基板シートに樹脂層を形成しておいて該樹脂層内に部品を封入するために該電子部品を多孔質の樹脂フィルム、多孔質の発泡性樹脂フィルム、可撓性の樹脂シート、多孔性の樹脂シート又は不織布シート状にし使用されることが好ましい。例えば特願平11−105476号等の記載されている方法等を用いることができる。
【0100】
また、ICチップは点圧強度が弱いためにICチップ近傍に補強板を有することも好ましい。電子部品の全厚さは10〜300μmが好ましく、より好ましくは30〜300μm、更に好ましくは30〜250μmが好ましい。
[筆記層]
筆記層は、ICカードの裏面に筆記をすることができるようにした層である。
このような備考層としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、ケイソウ土、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を熱可塑性樹脂(ポリエチレン等のポリオレフィン類や、各種共重合体等)のフィルムに含有せしめて形成することができる。特開平1−205155号公報に記載の「書き込み層」をもって形成することができる。前記筆記層は支持体における、複数の層が積層されていないシート材に形成される。
[受像層]
シート材に有する受像層は、バインダーと各種の添加剤で形成することができる。受像層は、昇華型熱転写方式により階調情報含有画像を形成すると共に、昇華型熱転写方式または溶融型熱転写方式により文字情報含有画像を形成するので、昇華性色素の染着性、または昇華性色素の染着性とともに熱溶融性インクの接着性も良好でなければならない。かかる特別な性質を受像層に付与するには、後述するように、バインダー、及び各種の添加剤の種類及びそれらの配合量を適宜に調整することが必要である。
【0101】
以下、受像層を形成する成分について詳述する。
【0102】
受像層用のバインダーは、通常に知られている昇華型感熱転写記録受像層用のバインダを適宜に用いることができる。主なバインダとしては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂などさまざまのバインダを使用することができる。
【0103】
また、受像層を形成するに際して、必要に応じて、例えば金属イオン含有化合物を含有させるのが好ましい場合がある。特に熱移行性化合物がこの金属イオン含有化合物と反応してキレートを形成する場合である。
【0104】
また受像層には、離型剤を添加することが好ましい。有効な離型剤としては、用いるバインダと相溶性のあるものが好ましく、具体的には変性シリコーンオイル、変性シリコーンポリマーが代表的であり、例えばアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂などが挙げられる。このなかでもポリエステル変性シリコーンオイルはインクシートとの融着を防止するが、受像層の2次加工性を妨げないという点で特に優れている。受像層の2次加工性とは、マジックインキでの筆記性、できた画像を保護する際に問題となるラミネート性などを指す。この他離型剤としてはシリカ等の微粒子も有効である。
2次加工性を問題としない場合は融着防止策として硬化型シリコーン化合物の使用も有効である。紫外線硬化型シリコーン、反応硬化型シリコーンなどが入手可能であり、大きな離型効果が期待出来る。
【0105】
この発明における受像層は、その形成成分を溶媒に分散あるいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し、その受像層用塗工液を前記支持体の表面に塗布し、乾燥する塗工法によって製造することができる。
【0106】
支持体の表面に形成される受像層の厚みは、一般に1μm以上50μm以下、好ましくは2μm以上10μm以下程度である。この発明においては、支持体と受像層との間にクッション層あるいはバリヤー層を設けることもできる。クッション層を設けると、ノイズが少なくて、画像情報に対応した画像を再現性良く転写記録することができる。クッション層を構成する材質としては例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、特願2001−16934等に記載の光硬化型樹脂等が挙げられる。クッション層の厚さは通常、1μm以上50μm以下、好ましくは3μm以上30μm以下である。
[情報坦持体層]
この発明においては、受像層上にフォーマット印刷からなる情報坦持体層を設けることができる。フォーマット印刷からなる情報坦持体とは、識別情報及び書籍情報を記録した複数の選ばれる少なくとも一つが設けられた情報坦持体を表し、具体的には、罫線、社名、カード名称、注意事項、発行元電話番号等を表す。
【0107】
フォーマット印刷からなる情報坦持体の形成には、日本印刷技術協会出版の「平版印刷技術」、「新・印刷技術概論」、「オフセット印刷技術」、「製版・印刷はやわかり図鑑」等に記載されている一般的なインキを用いて形成することができ、光硬化型インキ、油溶性インキ、溶剤型インキなどにより形成される。
【0108】
また、場合により目視による偽造防止の為に透かし印刷、ホログラム、細紋等が採用されてもよく、偽造変造防止層としては印刷物、ホログラム、バーコード、マット調柄、細紋、地紋、凹凸パターンなどで適時選択され、可視光吸収色材、紫外線吸収材、赤外線吸収材、蛍光増白材、金属蒸着層、ガラス蒸着層、ビーズ層、光学変化素子層、パールインキ層、隣片顔料層、帯電防止層などから表シートに印刷等で設けることも可能である。
[クッション層]
クッション層を形成する材料としては、ポリオレフィンが好ましい。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエン、光硬化型樹脂層の様な柔軟性を有し、熱伝導性の低いものが適する。具体的には、特開2001−16934等のクッション層を使用することができる。
【0109】
この発明でいうクッション層とは、受像層と電子部品の間にクッション層を有するかいずれの形態であれば特に制限はないが、前記基体と実質的に同質の別支持体の第2のシート材もしくは第1、第2のシート材両面上に塗設あるいは貼合されて、形成されることが特に好ましい。
[ICカード上への転写箔付与方法]
転写箔の被転写材への転写は通常サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプマシンなどの加熱しながら加圧を行える手手段を用い転写を行う。
[転写箔用支持体」
支持体としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは10〜200μm望ましくは15〜80μmである。10μm以下であると支持体が転写時に破壊してしまい問題である。この発明の特定離型層においては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0110】
この発明の支持体は必要に応じて凹凸を有することができる。凹凸作成手段としては、マット剤練り込み、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、マットコーティング、もしくはケミカルエッチング等が挙げられる。マットコーティングの場合有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。マット剤の付着方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。又複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。この発明で凹凸加工する場合、転写面、背面のいずれか片面以上に施すことが可能である。
[実施例]
以下、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明するが、この発明の態様はこれに限定されない。尚、以下において「部」は「重量部」を示す。
[接着剤]
用いる接着剤は、
積水化学工業(株)製 エスダイン9632
を使用した。
<第1のシート材(裏シート)の作成>
裏シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレード188μmを使用した。
(筆記層の作成)
前記支持体裏シート188μmに下記組成の第1筆記層形成用塗工液、第2筆記層形成用塗工液及び第3筆記層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが5μm、15μm、0.2μmになる様に積層することにより筆記層を形成した。
〈第1筆記層形成用塗工液〉アンカー層
ポリエステル樹脂〔東洋紡績(株)製:バイロン200〕 8部
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
カーボンブラック 微量
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2筆記層形成用塗工液〉コート層
ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製:バイロナールMD1200) 3部
シリカ 5部
針状フィラー(表1に示す種類) 表1に示す含有量となる量
ワックス(表1に示す種類) 筆記層全量の10重量%となる量
水 ポリエステル樹脂、シリカ、針状フィラー、ワックスと併せて100部となる量
〈第3筆記層形成用塗工液〉オーバーコート層
ポリアミド樹脂〔三和化学工業(株)製:サンマイド55〕 5部
メタノール 95部
得られた筆記層の中心線平均粗さは1.34μmであった。
(筆記層へのフォーマット印刷層の形成)
オフセット印刷法により、フォーマット印刷(罫線、発行者名、発行者電話番号)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(IC隠蔽層の作成)
樹脂凸印刷法により、筆記層とは反対側の支持体最表面に透かし印刷を行った。印刷紋様は図3又は図4の何れかで行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。膜厚は1.0μmであった。
<第2のシート材(表シート)の作成>
表シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレードを使用した。
【0111】
PETシートの厚みは表裏とも188μmである。
(表シートの作成)
前記支持体表シート188μmに下記組成物からなるクッション層、受像層を順次塗工乾燥してなる第2シート部材(表面シート1)を形成した。
(光硬化型クッション層) 膜厚10μm
ウレタンアクリレートオリゴマー
(新中村化学社製:NKオリゴUA512) 55部
ポリエステルアクリレート
(東亞合成社製:アロニックスM6200) 15部
ウレタンアクリレートオリゴマー
(新中村化学社製:NKオリゴUA4000) 25部
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ:イルガキュア184) 5部
メチルエチルケトン 100部
塗布後の活性光線硬化性化合物は、90℃/30secで乾燥を行い、次いで水銀灯(300mJ/cm2)で光硬化を行った。
(受像層)
上記クッション層上に下記組成の第1受像層形成用塗工液、第2受像層形成用塗工液及び第3受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが0.2μm、2.5μm、0.5μmになる様に積層することにより受像層を形成した。
〈第1受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 9部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBL−1〕
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 6部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBX−1〕
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第3受像層形成用塗工液〉
ポリエチレンワックス 2部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックE1000〕
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254〕
メチルセルロース〔信越化学工業(株)製:SM15〕 0.1部
水 90部
(フォーマット印刷層からなる情報坦持体形成)
受像層上にオフセット印刷法により、フォーマット印刷(従業員証、氏名)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(透明樹脂層形成)
下記組成物からなる印刷インキを用いロールミルにより混合し、印刷インキを作成した。オフセット印刷法により受像層上に印刷を行った。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(透明樹脂層組成物1)
ウレタンアクリレートオリゴマー 50部
脂肪族ポリエステルアクリレートオリゴマー 35部
ダイロキュア1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製) 5部
トリメチロールプロパンアクリレート 10部
(IC隠蔽層の作成)
樹脂凸印刷法により、受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷を行った。印刷紋様は図3又は図4の何れかで行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。膜厚は1.0μmであった。
<ICカード用画像記録体の作成>
上記作成された、図5の第1のシート材(裏シート)と、図6の第2のシート材(表面シート)を用い、図7または図8に記載のIC搭載カード基材及び受像層付きICカード基材の作成装置を用いてICカード基材を作成した。
【0112】
実施形態としてのICカード基材作成について説明をする。図7または図8はICカード基材作成装置を示す概略構成図である。
【0113】
第1のシート材(裏シート)は第1のシート供給部、第2のシート材(表シート)は第2のシート供給部に設置する。ホットメルト剤供給部に接着剤を投入した。
【0114】
このように、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)と、枚葉シートの第2のシート材(表シート)とが配備され、第2のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、厚さ270μmの図9乃至図11から構成される電子部品を配置した。接着剤の温度低下を防ぐために加熱部材を加熱し加温した。
【0115】
図9はICカード用材料のICモジュールの模式図であり、銅線を巻いたアンテナコイルのアンテナ3a1にICチップ3a2が接合され、電子部品3aのICモジュールである。
【0116】
図10のインレットの構造は、不織布タイプであり、プリントパターンが形成された不織布3a4とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。日立マクセル株式会社製ICカードシート「FTシリーズ」も使用することも可能である。
【0117】
図11はプリント基板タイプであり、プリントパターンが形成されたプリント基板3a5とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。
【0118】
第1のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、この第1のシート材と第2のシート材に湿気硬化型接着剤とICモジュールのIC/固定部材とからなる複合体を加熱加圧ロール、(圧力3kg/cm2、ロール表面温度70℃)膜厚制御ロールにより貼合され740μmに制御されたICカード基材原版が作成された。このICカード基材原版を図12及び図13に示す。
【0119】
断裁工程は接着剤の初期硬化、支持体との密着性が十分に行われたてから化粧断裁することが好ましい。断裁性を考慮すると接着剤は必ずしも完全に硬化させる必要はない。作成されたICカード基材原版はローターリカッターにより55mm×85mmサイズのICカード用画像記録体を得ることができた。仕上がったカード基材表裏面にフォーマット印刷部がない場合は、カード印刷機により樹脂凸版印刷法で、ロゴとOPニスを順次印刷した。
[ICカード作成方法]
次に、ICカードへ認証識別画像、属性情報画像の記載方法を説明する。
(昇華型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を各々の厚みが1μmになる様に設け、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクシートを得た。
〈イエローインク層形成用塗工液〉
イエロー染料(三井東圧染料(株)製MSYellow) 3部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈マゼンタインク層形成用塗工液〉
マゼンタ染料(三井東圧染料(株)製 MS Magenta) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈シアンインク層形成用塗工液〉
シアン染料(日本化薬(株)製 カヤセットブルー136) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 20部
(溶融型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のインク層形成用塗工液を厚みが2μmになる様に塗布乾燥してインクシートを得た。
〈インク層形成用塗工液〉
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
〔三井デュポンケミカル社製:EV40Y〕
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂〔荒川化学工業(株)製:タマノル521〕 5部
メチルエチルケトン 90部
(顔画像の形成)
受像層又は透明樹脂部、情報印刷部と昇華型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより画像に階調性のある人物画像を受像層に形成した。この画像においては上記色素と受像層のニッケルが錯体を形成している。
(文字情報の形成)
透明樹脂部又は鱗片顔料含有層と溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報をICカード用画像記録体上に形成した。
【0120】
上記により顔画像と属性情報を設けた。
[ICカード表面保護層添加樹脂合成例]
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタアクリル酸メチル73部、スチレン15部、メタアクリル酸12部とエタノール500部、α、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、トリエチルアンモニウムクロライド3部、グリシジルメタクリレート1.0部を加え、3時間反応させ目的のアクリル系共重合体の合成バインダー1を得た。
[保護層]
(透明樹脂転写箔の作成)
ダイアホイルヘキスト(株)製ポリエチレンテレフタレート(S−25)の片面に下記処方をワイヤーバーコーティングにて塗工乾燥して、保護層を形成した。
(離型層) 膜厚0.5μm
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、ダイアナールBR−87) 5部
ポリビニルアセトアセタール(SP値:9.4)
(積水化学(株)、KS−1) 5部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 50部
塗布後、90℃/30secで乾燥を行った。
〈中間層形成塗工液〉 膜厚0.3μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕 5部
タフテックスM−1913(旭化成) 3.5部
硬化剤
ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1.5部
メチルエチルケトン 20部
トルエン 70部
塗布後、90℃/30secで乾燥を行い、硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
<バリヤー層形成塗工液> 膜厚0.5μm
BX−1(ポリビニルブチラール樹脂) 4部
〔積水化学(株)製:エスレックBシリーズ〕
タフテックスM−1913(旭化成) 4部
硬化剤
ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 2部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 40部
塗布後、70℃/30secで乾燥を行った。
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.3μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体
〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕 2部
水 45部
エタノール 45部
塗布後、70℃/30secで乾燥を行った。
【0121】
上記の組成の剥離層、中間層、接着層で構成される透明樹脂転写箔1を作成した。
【0122】
さらに画像、文字が記録された前記受像体上に前記構成からなる透明保護層を有する各実施例、比較例記載の転写箔を用いて表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけて転写を行なった。
【0123】
前記転写箔1が転写された前記受像体上に前記紫外線硬化樹脂含有塗布液を20g/m2の塗布量になるように特定の地模様を持つグラビアロールコーターにより塗布し、下記の硬化条件にて紫外線硬化樹脂含有塗布液を硬化させて紫外線硬化保護層を形成した。
【0124】
硬化条件
光照射源 60w/cm2の高圧水銀ランプ
照射距離 10cm
照射モード 3cm/秒で光走査
[紫外線硬化樹脂含有塗布液]
ビス(3,4−エポキシー6−メチルシクロヘキシルメチル)
アジパート 70部
ビスフェノールAグリシジルエーテル 10部
1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル 13部
トリアリールスルホニウムフルオロアンチモン 7部
ここまでのカードへの印字、画像形成、転写箔掛けまでの工程は、図13に示すカード印字プリンタを用いて行なった。
【0125】
図14は、ICカードの作成装置としてのカードプリンタであり、カードプリンタには、上方位置にカード基材供給部10及び情報記録部20が配置され、下方位置に、透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置され、この後更に透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置され、画像記録体としてカードを作成する。
【0126】
カード基材供給部10には、例えば、図1で作成されたカード使用者の個人情報を書き込むために予め枚葉状にカットされた複数枚のカード基材50が、顔写真を記録する面を上に向けてストックされている。この例では、カード基材50が支持体と受像層からなり、このカード基材50は1枚ずつカード基材供給部10から所定のタイミングで自動供給される。
【0127】
情報記録部20には、イエローリボンカセット21、マゼンタリボンカセット22、シアンリボンカセット23、ブラックリボンカセット24が配置され、それぞれに対応して記録ヘッド25〜28が配置されている。イエローリボン、マゼンタリボン、シアンリボン等の熱転写シートによる熱転写で、カード基材50が移動されている間に、その受像層の所定領域にカード使用者の顔写真等の諧調を有する画像領域が記録される。
【0128】
また、文字リボンカセット31及び記録ヘッド32が配置され、文字リボン等の熱転写シートによる熱転写で、その氏名やカード発行日等の認証識別情報が記録され、画像記録層が形成される。この情報記録部20では、イメージワイズに加熱して前記受像層に諧調情報画像を形成し、画像を形成する際の記録ヘッド条件は0.01〜0.3kg/cm2の範囲で加圧し、ヘッドの温度50〜500℃で形成する。
【0129】
透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70では、転写箔カセット71が配置され、この転写箔カセット71に対応して熱転写ヘッド72が配置されている。光学変化素子転写箔43及び/又は透明保護転写箔64、硬化型転写箔66を転写し、光学変化素子転写層及び/透明保護転写層、硬化型済保護層含有転写層が設けられる。
【0130】
上記のようにして得られたカードに市販の印刷機を用いてカード印刷を施した。また、切り欠き等の加工はパンチ台を改造して作成した器具で行なった。
【0131】
この実施例の評価を以下に示す。
[比表面積の測定]
完全に硬化した接着剤を粉末状に砕き、カンタクローム社製オートソーブI型を用い、接着剤サンプルにN2ガスを吸着させ、BET吸着式を用いてBET5点法により比表面積を測定した。
[カード耐久性]
このように最後まで作成された個人認証カードを、図15に示すように、カードの長辺方向:たわみ35mm、カードの短辺方向:たわみ15mmとなるように、125回毎に長辺方向、短辺方向を周期30/minの条件で合計1000回のテストを行った。その後市販のリーダーライターでIC機能を確認し、3段階で評価を行った。得られた結果を表1に示す。
○:変形がなく、IC機能も問題ない。
△:変形はないが、IC機能が失われている。
×:折れ曲がってしまい、IC機能が失われている。
[筆記性]
水性ペン、油性ペン、ボールペンを用いて筆記テストをおこない24時間40℃80%環境下に放置したのちインク滲みの度合いを総合評価した。
5:インク滲みなし。
4:全体的に滲みはないが、一部にわずかな滲みがみられる。
3:わずかに滲みが見られる。
2:全体に滲みが発生している。
1:全体に滲みが発生し、文字かつぶれている。
4以上が良好なレベルである。
[擦過性]
カードを水道水に24時間浸漬させた後、耐摩耗性試験機(HEIDON−18)を用い、0.1mmφのサファイア針で50gから250gと荷重を変化させて、作成されたカードの備考層面を摺動させた。その時のカード表面の傷が付き始めた部分を測定し、何gで傷が付くか測定を行った。
[耐薬品性]
仕上がったカードの備考層面をトルエンに浸した綿棒で擦り、アンカー層の下の基材が見えるまでの擦り往復回数を測定した。
【0132】
結果を表1に示す。
表1
この表1の結果によりこの発明においては比較例に対し優れた効果を示す結果となり、発明の効果が認められる。
【0133】
【発明の効果】
前記したように、請求項1及び請求項12に記載の発明では、筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0134】
請求項2及び請求項13に記載の発明では、筆記層がエージング処理されてなることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0135】
請求項3及び請求項14に記載の発明では、エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0136】
請求項4及び請求項15に記載の発明では、エージング処理は、エージング時間が所定の時間であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0137】
請求項5及び請求項16に記載の発明では、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であり、カード剛性が上がってカード耐久性が向上する。
【0138】
請求項6及び請求項17に記載の発明では、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であり、筆記層の擦過性、筆記性、カード耐久性が向上する。
【0139】
請求項7及び請求項18に記載の発明では、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、ICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0140】
請求項8及び請求項19に記載の発明では、アンカーコート層を有することで、筆記層の擦過性、筆記性が向上する。
【0141】
請求項9及び請求項20に記載の発明では、個人識別情報を設けた上面に透明保護層を設けることで、個人識別情報が保護され、耐久性が向上する。
【0142】
請求項10及び請求項21に記載の発明では、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
【0143】
請求項11に記載の発明では、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICカードの作成工程の概略構成図である。
【図2】ICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。
【図3】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図4】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図5】第1のシート材(裏シート)を示す図である。
【図6】第2のシート材(表面シート)を示す図である。
【図7】ICカード基材作成装置を示す概略構成図である。
【図8】ICカード基材作成装置を示す概略構成図である。
【図9】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図10】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図11】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図12】ICカード基材原版の断面図である。
【図13】ICカード基材原版の断面図である。
【図14】ICカードの作成装置としてのカードプリンタを示す図である。
【図15】カード耐久性の試験を説明する図である。
【符号の説明】
1 第1のシート材(裏シート)
2 第2のシート材(表シート)
3 インレット
3a 電子部品
3a1 アンテナ
3a2 ICチップ
3b 補強板
6,7 接着剤層
8a 受像層
8b 個人識別情報
8c 透明保護層
9a 筆記層
9b アンカーコート層
A 第1のシート材供給部
B 第2のシート材供給部
C,G 接着剤供給部
D,H 接着剤加熱部
E インレット供給部
F バックローラ部
I 加熱部
J キャタピラプレス部
K 裁断部
L 打ち抜き部
【発明の属する技術分野】
この発明は、ICチップ及びアンテナを有するICモジュールを内蔵した自動車免許証等の免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等のICカード及びICカードの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、身分証明書カードや、キャッシュカード、クレジットカード等のIDカードには、磁気記録方式によりデータを記録する磁気カードが広く利用される場合が多い。磁気カードはデータの書き換えが比較的容易にできるため、データの改ざん防止が十分でないこと、媒体が磁気のため外的な影響を受けやすく、データの保護が十分でないこと、更には、記録できる容量が少ないなどの問題点がある。
【0003】
そこで、近年、ICチップを内蔵したICカードが普及し始めている。ICカードは、表面に設けられた電気接点や、カード内部のループアンテナを介して外部の機器とデータの読み書きをするようになされる。ICカードは磁気カードに比べて記憶容量が大きく、安全性も大きく向上している。
【0004】
このようなICカードとして、例えば表面シート材と裏面シート材とが接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップ及びアンテナを有するICモジュールを封入するものがある。
【0005】
特に、ICカードはICチップ、アンテナを実装した回路基板を有するインレットを、2枚のPETベースの間に挿入し、湿気硬化型接着剤やUV硬化型、2液混合型接着剤などを用いて貼り合わせ、硬化後にカード型に打ち抜いて作成され、カードの少なくとも一面にはサインパネルなどの筆記面のついた筆記層を有することが一般的である。
【0006】
これらの筆記層は一般にインキなどを受容するために、無機顔料や樹脂を多く含有している。しかしながら、従来技術においては筆記性を向上するために筆記層に用いられるシリカや酸化チタンなどの無機顔料物質が多く用いられるため、全体的に脆くなる傾向がある。樹脂の割合を高めると逆に筆記性が劣化するといった問題が生じ、樹脂の割合を高めずに全体が脆くならない組成の探索が必要となってきている。
【0007】
また、筆記層面にかかる圧力を軽減する目的でワックスを添加して滑り性を向上させる手段が知られているが(例えば特許文献1、特許文献2)、不純物を添加することになるため、筆記層自体の強度が不足していることに変わりはなく、筆記層とその下面の基材との間に剥離が生じ本格的な解決手段とはならなかった。また、剥離の生じない実施例も存在するが(例えば特許文献3)、これは受像シートの場合であり筆記層ではない。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−79618号公報(第1〜第6頁、図1)
【0009】
【特許文献2】
特開平5−278320号公報(第1〜第5頁、図1〜図6)
【0010】
【特許文献3】
特開平8−238876号公報(第1〜第8頁、図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
さらに、ICカード基材は従来の塩化ビニルシートや紙などと異なり、製造方法からPETシートが多く用いられる傾向があり、筆記層と基材シートとの密着性が低い。そのため財布の中でお金や他のカードと接触した場合に基材から筆記層が剥がれやすく、解決方法が強く求められていた。
【0012】
またPETシートを貼り合わせるために湿気硬化型接着剤が用いられると、筆記層の密着性を上げたためにPETの湿気透過性が悪くなり、湿気硬化型接着剤の硬化進行が遅れるといった重大な問題が発生していた。
【0013】
この発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカード及びICカードの製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0015】
請求項1に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に、接着剤層を介在させてICチップ及びアンテナを有するICモジュールを設けたICカードにおいて、
前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側に筆記層を有し、この筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有していることを特徴とするICカードである。
【0016】
この請求項1に記載の発明によれば、筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記筆記層がエージング処理されていることを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
【0018】
この請求項2に記載の発明によれば、筆記層がエージング処理されてなることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることを特徴とする請求項2に記載のICカードである。
【0020】
この請求項3に記載の発明によれば、エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0021】
請求項4に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング温度が80℃以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のICカードである。
【0022】
この請求項4に記載の発明によれば、エージング処理は、エージング時間が所定の時間であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0023】
請求項5に記載の発明は、前記フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカードである。
【0024】
この請求項5に記載の発明によれば、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であり、カード剛性が上がってカード耐久性が向上する。
【0025】
請求項6に記載の発明は、前記フィラーが、筆記層全量において占める割合が5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードである。
【0026】
この請求項6に記載の発明によれば、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であり、筆記層の擦過性、筆記性、カード耐久性が向上する。
【0027】
請求項7に記載の発明は、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカードである。
【0028】
この請求項7に記載の発明によれば、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、ICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0029】
請求項8に記載の発明は、前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側と前記筆記層の間にアンカーコート層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のICカードである。
【0030】
この請求項8に記載の発明によれば、アンカーコート層を有することで、筆記層の擦過性、筆記性が向上する。
【0031】
請求項9に記載の発明は、前記第1のシート材と第2のシート材の少なくとも一面側に氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、この個人識別情報の上面に透明保護層を設け、前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカードである。
【0032】
この請求項9に記載の発明によれば、個人識別情報を設けた上面に透明保護層を設けることで、個人識別情報が保護され、耐久性が向上する。
【0033】
請求項10に記載の発明は、前記ICチップが前記顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカードである。
【0034】
この請求項10に記載の発明によれば、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
【0035】
請求項11に記載の発明は、前記ICモジュールを有し、非接触式カードであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカードである。
【0036】
この請求項11に記載の発明によれば、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【0037】
請求項12に記載の発明は、第1のシート材と第2のシート材との間に、接着剤層を介在させてICチップ及びアンテナを有するICモジュールを設けるICカードの製造方法において、
前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側に筆記層を設け、この筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有していることを特徴とするICカードの製造方法である。
【0038】
この請求項12に記載の発明によれば、筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0039】
請求項13に記載の発明は、前記筆記層をエージング処理して設けることを特徴とする請求項12に記載のICカードの製造方法である。
【0040】
この請求項13に記載の発明によれば、筆記層をエージング処理することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0041】
請求項14に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることを特徴とする請求項13に記載のICカードの製造方法である。
【0042】
この請求項14に記載の発明によれば、エージング処理のエージング時間が1時間以上72時間以下であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0043】
請求項15に記載の発明は、前記エージング処理は、エージング温度が80℃以上であることを特徴とする請求項13または請求項14に記載のICカードの製造方法である。
【0044】
この請求項15に記載の発明によれば、エージング処理のエージング時間が所定の時間であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0045】
請求項16に記載の発明は、前記フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0046】
この請求項16に記載の発明によれば、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることで、カード剛性が上がってカード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0047】
請求項17に記載の発明は、前記フィラーが、筆記層全量において占める割合が5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0048】
この請求項17に記載の発明によれば、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であり、筆記層の擦過性、筆記性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0049】
請求項18に記載の発明は、比表面積規定が0.001m2/g以上20 m2/g以下であることを特徴とする請求項12乃至請求項17のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0050】
この請求項18に記載の発明によれば、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、ICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0051】
請求項19に記載の発明は、前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側と前記筆記層の間にアンカーコート層を設けることを特徴とする請求項12乃至請求項18のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0052】
この請求項19に記載の発明によれば、アンカーコート層を有することで、筆記層の擦過性、筆記性が向上するICカードを得ることができる。
【0053】
請求項20に記載の発明は、前記第1のシート材と第2のシート材の少なくとも一面側に氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、この個人識別情報の上面に透明保護層を設け、前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項12乃至請求項19のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0054】
この請求項20に記載の発明によれば、個人識別情報を設けた上面に透明保護層を設けることで、個人識別情報が保護され、耐久性が向上するICカードを得ることができる。
【0055】
請求項21に記載の発明は、前記ICチップが前記顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置することを特徴とする請求項12乃至請求項20のいずれか1項に記載のICカードの製造方法である。
【0056】
この請求項21に記載の発明によれば、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上するICカードを得ることができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のICカード及びICカードの製造方法の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。
【0058】
図1はICカードの作成工程の概略構成図である。
【0059】
このICカードの作成工程では、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)1が第1のシート材供給部Aに配備され、長尺シート状の第2のシート材(表シート)2が第2のシート材供給部Bに配備される。第2のシート材2に接着剤供給部Cから接着剤を供給して塗工し、接着剤加熱部Dで加熱してインレット供給部Eへ送る。
【0060】
インレット供給部Eでは、ICチップ、アンテナを有するICモジュールを含む部品のインレット3が供給され、第2のシート材2の所定位置に載置され、この第2のシート材2をバックローラ部Fへ送る。
【0061】
第1のシート材1に接着剤供給部Gから接着剤を供給して塗工し、接着剤加熱部Hで加熱してバックローラ部Fへ送る。
【0062】
バックローラ部Fは、温度調節可能なラミネートローラ4を有し、このラミネートローラ4を用いて第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる。
このラミネートローラ4の対ローラ4a,4bの温度差が0℃以上100℃以下である。この実施の形態では、第2のシート材2が受像層を有し、第1のシート材1が筆記層を有し、対ローラ4a,4bは、受像層側のローラの温度が筆記層側のローラの温度より低い温度である。
【0063】
このバックローラ部Fの後段に加熱部Iが配置され、バックローラ部Fにより貼り合わせ後に加熱部Iの対ローラ5a,5bにより加熱する。このように、第1のシート材1と第2のシート材2とを貼り合わせる前にシート材の塗工された接着剤層を再加熱し、キャタピラプレス部Jへ送る。
【0064】
バックローラ部F、加熱部I、キャタピラプレス部Jは、貼り合わせの同一ライン上にキャタピラプレス部Jが配置され、キャタピラプレス部Jは、加熱プレス部J1と冷却プレス部J2とを有し、加熱加圧した後に冷却加圧する。キャタピラプレス部Jにより加熱加圧、冷却加圧された後に、貼り合わせ品が裁断部Kへ送られる。裁断部Kでは、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁する。その後に、打ち抜き部Lへ送り、カード状に打ち抜く。この打ち抜き部Lでカード状に打ち抜く前に、第1のシート材1と第2のシート材2のいずれか一方にフォーマット印刷を施す。
【0065】
カード状に打ち抜く前に、貼り合わせ品を枚葉シート状に断裁すること、取扱が容易で、かつ打ち抜き精度が向上する。また、カード状に打ち抜く前に、フォーマット印刷を施すことで、取扱が容易で、かつフォーマット印刷の精度が向上する。
【0066】
図2はICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。ICカードの貼り合わせ品のICカード基材は、第1のシート材1と第2のシート材2との間に所定の厚みの電子部品3aを備えている。電子部品3aは、アンテナ3a1、ICチップ3a2等からなり、この電子部品3aのICモジュールはインレット3に備えられている。第1のシート材1と第2のシート材2との間にインレット3を配置し、接着剤層6,7を介在して積層した積層構造である。ICチップ3a2は補強板3bで覆われ、この補強板3bはICチップ3a2より大きな形状であり、ICチップ3a2を保護している。
【0067】
この第1のシート材1または第2のシート材2の、少なくとも片面に、この実施の形態では第2のシート材2の片面に受像層8aを有し、熱転写方式またはインクジェット方式による氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けている。また、氏名、顔画像を含む個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cが転写箔の転写によって設けられ、この透明保護層8cが活性光線硬化樹脂からなる。
個人識別情報8bを設けた上面に透明保護層8cを設けることで、個人識別情報8bが保護され、耐久性が向上する。
【0068】
また、この実施の形態では第1のシート材1の片面に、アンカーコート層9bを介して筆記可能な筆記層9aを設けている。また、ICチップ3aは、顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置し、ICチップ3aが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上するICカードを得ることができる。
【0069】
このように、ICカードは、ICモジュールを有し、非接触式カードであり、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【0070】
この実施の形態では、筆記層9aが樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有しており、筆記層9aの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0071】
また、筆記層9aがエージング処理され、このエージング時間が1時間以上72時間以下であることが好ましく、エージング温度が80℃以上であることが好ましく、エージング処理を行ない、しかもエージング時間が1時間以上72時間以下であり、エージング温度が80℃以上であることで、筆記層9aの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0072】
エージング処理が不足していると有機溶剤などが残留して耐薬品性が劣化し、薬品類などを取り扱った人の手や、化粧品などに触れた場合などでも表面に剥離を起こすことがある。
【0073】
また、筆記層9aが樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有しており、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることが好ましく、このアスペクト比によりカード剛性が上がってカード耐久性が向上する。
【0074】
また、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であることが好ましく、このフィラーが筆記層全量において占める割合により筆記層9aの擦過性、筆記性、カード耐久性が向上する。
【0075】
また、ICカードの比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、この比表面積規定によりICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0076】
次に、この発明の構成を詳細に説明する。
[樹脂]
樹脂は、バインダー樹脂として、廃棄後の分解性を考慮するのであれば加水分解されやすい親水性樹脂が好ましいが、カードとしての耐水性を考慮するのであれば疎水性樹脂が好ましく、各種カード類の用途に応じてバインダー樹脂を使い分けることができる。また、親水性樹脂と疎水性樹脂を適宜割合で混合して使用してもよい。なお、このときに用いられるバインダー樹脂は、水性インク(水性ペン、水性スタンプ、インクジェット等)に対応した被記録材については親水性樹脂を使用し、油性インク(一般的な印刷インク、熱転写、油性のインクジェット等)に対応した被記録材については疎水性樹脂を使用するようにしてもよい。
【0077】
このような親水性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、デンプン、カゼイン等が挙げられる。
【0078】
また、疎水性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、飽和共重合ポリエステル、塩ビ−酢ビ共重合体、アルキッド樹脂等が挙げられる。
[ワックス]
ワックスとしては合成系のワックスが好ましく用いられ、代表的なものとしてポリエチレンワックスが好ましく用いられる。その他パラフィンワックスやカルナバワックス等の一般的なワックスを用いることができる。WAX含有率は備考層全量中の0.5重量%以上50重量%以下であり、好ましくは1重量%以上20重量%以下である。
[フィラー]
繊維状、針状のフィラーの種類としては一般に代表的にあげられる以下の種類のものが好ましく用いられる。
【0079】
ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素ウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ウオラストナイト、ゾノトライト、PMF、石膏繊維、MOS、ドーソナイト、セピオライト。これらは一種類で用いられても良いし、併用されて用いられても良い。
【0080】
フィラーの筆記層全量において占める割合の含有量は5重量%以上50重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以上40重量%以下、更に好ましくは5重量%以上20重量%以下である。
[比表面積規定]
比表面積とは以下に示すBET吸着式によって以下のように表される。
【0081】
p/(V(p0−p))=1/(VmC)+(C−1)p/(VmC*p0)
p:気体の圧力
p0:測定温度における気体の蒸気圧
V:吸着された気体の全体積
Vm:全吸着面が単分子層で覆われたと仮定した場合の吸着気体の体積
複雑な表面構造を持った吸着媒体の表面積を求める時に応用され、ガスを吸着させて、1g当たりの表面積を求めるのに用いられる。
【0082】
比表面積の値は0.001(m2/g)以上20(m2/g)以下が、この発明の範囲であり、好ましくは0.001(m2/g)以上5(m2/g)以下である。
[エージング処理]
エージング処理は筆記層に含まれる樹脂を硬化させるために必要であり、エージング処理を行なわない場合ではICカードにした場合、使用中に折り曲げられたり擦られたりして剥離が生じ、またひっかき傷が生じやすくなり、使用に耐えられなくなる。
【0083】
この発明のように針状のフィラーが入っていると硬化させる樹脂の割合が少なくなり、針状のフィラーのない場合より樹脂に温度が伝わりやすくなり、硬化しやすい。樹脂の硬化を促進させるためには充分な温度と時間が必要であり、エージング処理の温度は80℃以上であるが、好ましくは80℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上170℃以下、さらに好ましくは120℃以上170℃以下である。
【0084】
またエージング処理の時間はムラなく充分に熱が行き渡るようにするため少なくとも1時間以上が必要であり、1時間以上72時間以下が好ましい範囲であり、より好ましくは1時間以上24時間以下である。
[アンカーコート層]
アンカーコート層を構成する主成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂等を用いる。特に樹脂の組成がアクリル系、ポリエステル系からなる樹脂を主成分として使用すると密着性がよいため特に好ましい。
【0085】
熱可塑性樹脂としては、例えば酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、オレフィン系樹脂、ジエン系樹脂、天然ゴム、ゼラチン、ニカワ、アビエチン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド系樹脂、アルキッド樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノールホルマリン系樹脂、石油樹脂、マレイン酸共重合体、等の単独、混合体、共重合体等がある。
【0086】
熱硬化性樹脂としては、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタアクリレート等のアクリル系モノマー、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアマイド、スチレン、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、無水マレイン酸等の重合物、硬化剤として酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属塩架橋、グリシジル基含有樹脂はアミン等のエポキシ硬化剤、例えばブチル化メラミン樹脂硬化剤、ポリイソシアネート硬化剤等を用いる。
【0087】
紫外線硬化性モノマーとしては、公知の材料を使用してよいが、例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、フェノキシアクリレート、ステアリルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレートエトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート等のモノアクリレート、1、3−ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトール、ヘキサアクリレート等の3官能以上のアクリレート、メタアクリル酸、メタアクリル酸メチル、ラウリルメタアクリレート、グリシジルメタアクリレート、2−ヒドロキシルメタアクリレート等のメタクリレート、マレイン酸、イタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、ビニルトルエン、スチレンスルホン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル等が挙げられる。
[ICカード製造方法]
ここでホットメルト接着剤を使用したこの発明のICカードの製造方法の一例を挙げる。ICカードの作製に当たっては、先ず表裏のシートにアプリケーターでホットメルト接着剤を所定の厚さに塗工する。塗工方法としてはローラー方式、Tダイ方式、ダイス方式などの通常の方法が使用される。
【0088】
この発明でストライプ状に塗工する場合、Tダイスリットを間欠に開口部を持たせる等の方法があるが、これに限られるものではない。また、この発明の接着剤表面を凹凸形状にする方法としては、上記方法により塗工した接着剤表面をエンボシングロールで加圧処理する方法がある。接着剤を塗工した上下のシートの間にIC部材を装着する。装着する前に塗工した接着剤を予めヒーター等で加熱させておいてもよい。その後上下シート間にIC部材を装着したものを接着剤の貼り合わせ温度に加熱したプレスで所定時間プレスするか、又はプレスでの圧延の替わりに所定温度の恒温層中でシートを搬送しながらロールで圧延してもよい。又、貼り合わせ時に気泡が入るのを防止するために真空プレスしてもよい。プレス等で貼り合わせた後は所定形状に打ち抜くなり、カード状に断裁するなりしてカード化する。接着剤に反応型接着剤を用いた場合は所定時間硬化反応させた後にカード状に断裁する。硬化促進のために貼り合わせたシートのカードサイズの周囲に反応に必要な水分供給のための穴を開ける方法も有効な手段の一つである。
【0089】
この発明において、カード状サイズに基材を作成する場合、製造方法として、例えば第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わせ、接着後積層されたシート基材をカード状サイズに成形する方法する選択される。カード状サイズに成形する方法としては打ち抜く方法、断裁する方法等が主に選択される。
[第1のシート材と、第2のシート材との間に電子部品とを備える方法]
この発明において第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品とを備えるために製造方式としては、熱貼合法、接着剤貼合法及び射出成形法が知られているが、いずれの方法で貼り合わせてもよい。また、第1のシート材と第2のシート材は貼り合わせる前後いずれかにフォーマット印刷、または情報記録を行ってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、シルク印刷、スクリーン印刷、凹版印刷、凸版印刷、インクジェット方式、昇華転写方式、電子写真方式、熱溶融方式等のいずれの方式によって形成することができる。
【0090】
この発明のIC搭載カード基材の製造方法は、特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開2000−219855、特開平10−316959、特開平11−5964等のように貼り合わせ、塗設方法が開示されている。いずれの貼り合わせ方式、塗設方式方法等を用いることができ、この発明には特に制限はない。
【0091】
また、特定の位置に接着剤部材を配置させる方法としては、スクリーン印刷法、グラビア印刷法などにより、所定位置に接着剤を塗布することにより製造することができる。また、ホットメルト接着剤を使用する場合には、ハンドガンタイプのホットメルトアプリケーターにより、ノズルから接着剤をビード状に塗布することでそれぞれの配置へ塗布することも可能である。
【0092】
或いは、フィルム状に加工された該接着剤を、所定の配置に設置するべく断裁し、それぞれの配置へ設置した後に、加熱、加圧処理を施して貼り合わせることもできる。
[ICカード基材用シート材]
ICカード基材用シート材の基材としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、生分解性脂肪族ポリエステル、生分解性ポリカーボネート、生分解性ポリ乳酸、生分解性ポリビニルアルコール、生分解性セルロースアセテート、生分解性ポリカプロラクトン等の生分解性樹脂、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは30〜300μm望ましくは50〜200μmである。
【0093】
この発明においては支持体の熱による収縮、反りなどによるカード基材搬送性の観点から低温接着剤の他にシート部材として150℃/30minにおける熱収縮率が縦(MD)で1.2%以下、横(TD)で0.5%以下が好ましい。また、上記支持体上に後加工上密着性向上のため易接処理を行っていても良く、チップ保護のために帯電防止処理を行っていても良い。具体的には、帝人デュポンフィルム株式会社製のU2シリーズ、U4シリーズ、ULシリーズ、東洋紡績株式会社製クリスパーGシリーズ、東レ株式会社製のE00シリーズ、E20シリーズ、E22シリーズ、X20シリーズ、E40シリーズ、E60シリーズQEシリーズを好適に用いることができる。
【0094】
この発明第2のシート材は、当該カード利用者の顔画像を形成するため受像層のほかにクッション層を設けてもよい。個人認証カード基体表面には画像要素が設けられ、顔画像等の認証識別画像、属性情報画像、フォーマット印刷から選ばれる少なくとも一つが設けられたものであってもよく、また全く印刷部分のないホワイトカードであってもよい。
[貼り合せ]
貼り合わせ時には、基材の表面平滑性、第1のシート材と第2のシート材との間に所定の電子部品の密着性を向上するために加熱及び加圧を行うことが好ましく、上下プレス方式、ラミネート方式等で製造することが好ましい。加熱は、10〜180℃が好ましく、より好ましくは30〜150である。加圧は、1.0〜300kgf/cm2が好ましく、より好ましくは1.0〜200kgf/cm2である。これより圧が高いとICチップが破損する。加熱及び加圧時間は好ましくは、0.001〜90secより好ましくは0.001〜60secである。これより時間が長いと製造効率が低下する。
【0095】
前記第1のシート材と第2のシート材が接着剤を介して貼り合わされ、その接着剤層中にICチップ及びアンテナを有するICモジュールを有するICカード用のシートは、所定の条件下で保管された後に、ICカード用のシートを打ち抜き金型に供給し、前記打ち抜き金型によって、ICカード用のシートからICカードを打ち抜くことによって、ICカードは製造される。この場合、打ち抜き加工の前に、認証識別画像や書誌事項を記録してもよい
[ICカード基材作成用接着剤]
この発明の貼り合わせ材料としては、ホットメルト接着剤、熱可塑性樹脂等を用いることが好ましい。例えば、ホットメルト接着剤は、一般に使用されているものを用いることができる。ホットメルト接着剤の主成分としては、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系などが挙げられる。但しこの発明においては、低温接着剤の中でも具体的には湿気硬化型接着剤が好ましい。
【0096】
反応型ホットメルト接着剤として湿気硬化型の材料で特開2000−036026、特開2000−219855、特開2000−211278、特開2000−219855、特願2000−369855で開示されている。これら接着剤のいずれも使用してもよく、低温接着ができれば特に制限はなくいずれの材料も用いることができる。
【0097】
接着剤の膜厚は、電子部品と含めた厚さで100〜600μmが好ましく、より好ましくは150〜500μm、更に好ましくは150μ〜450μmである。
[電子部品]
電子部品とは、情報記録部材のことを示し具体的には当該電子カードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及び該ICチップに接続されたコイル状のアンテナ体である。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。この発明はこれに限定されず情報記録部材に必要な電子部品であれば特に限定はない。
【0098】
ICモジュールはアンテナコイルを有するものであるが、アンテナパターンを有する場合、導電性ペースト印刷加工、或いは銅箔エッチング加工、巻線溶着加工等のいずれかの方法を用いてもよい。プリント基板としては、ポリエステル等の熱可塑性のフィルムが用いられ、更に耐熱性が要求される場合はポリイミドが有利である。ICチップとアンテナパターンとの接合は銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤(日立化成工業のEN−4000シリーズ、東芝ケミカルのXAPシリーズ等)や、異方性導電フィルム(日立化成工業製アニソルム等)を用いる方法、或いは半田接合を行う方法が知られているがいずれの方法を用いてもよい。
【0099】
予めICチップを含む部品を所定の位置に載置してから樹脂を充填するために、樹脂の流動による剪断力で接合部が外れたり、樹脂の流動や冷却に起因して表面の平滑性を損なったりと安定性に欠けることを解消するため、予め基板シートに樹脂層を形成しておいて該樹脂層内に部品を封入するために該電子部品を多孔質の樹脂フィルム、多孔質の発泡性樹脂フィルム、可撓性の樹脂シート、多孔性の樹脂シート又は不織布シート状にし使用されることが好ましい。例えば特願平11−105476号等の記載されている方法等を用いることができる。
【0100】
また、ICチップは点圧強度が弱いためにICチップ近傍に補強板を有することも好ましい。電子部品の全厚さは10〜300μmが好ましく、より好ましくは30〜300μm、更に好ましくは30〜250μmが好ましい。
[筆記層]
筆記層は、ICカードの裏面に筆記をすることができるようにした層である。
このような備考層としては、例えば炭酸カルシウム、タルク、ケイソウ土、酸化チタン、硫酸バリウム等の無機微細粉末を熱可塑性樹脂(ポリエチレン等のポリオレフィン類や、各種共重合体等)のフィルムに含有せしめて形成することができる。特開平1−205155号公報に記載の「書き込み層」をもって形成することができる。前記筆記層は支持体における、複数の層が積層されていないシート材に形成される。
[受像層]
シート材に有する受像層は、バインダーと各種の添加剤で形成することができる。受像層は、昇華型熱転写方式により階調情報含有画像を形成すると共に、昇華型熱転写方式または溶融型熱転写方式により文字情報含有画像を形成するので、昇華性色素の染着性、または昇華性色素の染着性とともに熱溶融性インクの接着性も良好でなければならない。かかる特別な性質を受像層に付与するには、後述するように、バインダー、及び各種の添加剤の種類及びそれらの配合量を適宜に調整することが必要である。
【0101】
以下、受像層を形成する成分について詳述する。
【0102】
受像層用のバインダーは、通常に知られている昇華型感熱転写記録受像層用のバインダを適宜に用いることができる。主なバインダとしては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂などさまざまのバインダを使用することができる。
【0103】
また、受像層を形成するに際して、必要に応じて、例えば金属イオン含有化合物を含有させるのが好ましい場合がある。特に熱移行性化合物がこの金属イオン含有化合物と反応してキレートを形成する場合である。
【0104】
また受像層には、離型剤を添加することが好ましい。有効な離型剤としては、用いるバインダと相溶性のあるものが好ましく、具体的には変性シリコーンオイル、変性シリコーンポリマーが代表的であり、例えばアミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ポリエステル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂などが挙げられる。このなかでもポリエステル変性シリコーンオイルはインクシートとの融着を防止するが、受像層の2次加工性を妨げないという点で特に優れている。受像層の2次加工性とは、マジックインキでの筆記性、できた画像を保護する際に問題となるラミネート性などを指す。この他離型剤としてはシリカ等の微粒子も有効である。
2次加工性を問題としない場合は融着防止策として硬化型シリコーン化合物の使用も有効である。紫外線硬化型シリコーン、反応硬化型シリコーンなどが入手可能であり、大きな離型効果が期待出来る。
【0105】
この発明における受像層は、その形成成分を溶媒に分散あるいは溶解してなる受像層用塗工液を調製し、その受像層用塗工液を前記支持体の表面に塗布し、乾燥する塗工法によって製造することができる。
【0106】
支持体の表面に形成される受像層の厚みは、一般に1μm以上50μm以下、好ましくは2μm以上10μm以下程度である。この発明においては、支持体と受像層との間にクッション層あるいはバリヤー層を設けることもできる。クッション層を設けると、ノイズが少なくて、画像情報に対応した画像を再現性良く転写記録することができる。クッション層を構成する材質としては例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、特願2001−16934等に記載の光硬化型樹脂等が挙げられる。クッション層の厚さは通常、1μm以上50μm以下、好ましくは3μm以上30μm以下である。
[情報坦持体層]
この発明においては、受像層上にフォーマット印刷からなる情報坦持体層を設けることができる。フォーマット印刷からなる情報坦持体とは、識別情報及び書籍情報を記録した複数の選ばれる少なくとも一つが設けられた情報坦持体を表し、具体的には、罫線、社名、カード名称、注意事項、発行元電話番号等を表す。
【0107】
フォーマット印刷からなる情報坦持体の形成には、日本印刷技術協会出版の「平版印刷技術」、「新・印刷技術概論」、「オフセット印刷技術」、「製版・印刷はやわかり図鑑」等に記載されている一般的なインキを用いて形成することができ、光硬化型インキ、油溶性インキ、溶剤型インキなどにより形成される。
【0108】
また、場合により目視による偽造防止の為に透かし印刷、ホログラム、細紋等が採用されてもよく、偽造変造防止層としては印刷物、ホログラム、バーコード、マット調柄、細紋、地紋、凹凸パターンなどで適時選択され、可視光吸収色材、紫外線吸収材、赤外線吸収材、蛍光増白材、金属蒸着層、ガラス蒸着層、ビーズ層、光学変化素子層、パールインキ層、隣片顔料層、帯電防止層などから表シートに印刷等で設けることも可能である。
[クッション層]
クッション層を形成する材料としては、ポリオレフィンが好ましい。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−水素添加イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリブタジエン、光硬化型樹脂層の様な柔軟性を有し、熱伝導性の低いものが適する。具体的には、特開2001−16934等のクッション層を使用することができる。
【0109】
この発明でいうクッション層とは、受像層と電子部品の間にクッション層を有するかいずれの形態であれば特に制限はないが、前記基体と実質的に同質の別支持体の第2のシート材もしくは第1、第2のシート材両面上に塗設あるいは貼合されて、形成されることが特に好ましい。
[ICカード上への転写箔付与方法]
転写箔の被転写材への転写は通常サーマルヘッド、ヒートローラー、ホットスタンプマシンなどの加熱しながら加圧を行える手手段を用い転写を行う。
[転写箔用支持体」
支持体としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、等のポリフッ化エチレン系樹脂、ナイロン6、ナイロン6.6等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体、三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙、金属箔等の単層体或いはこれら2層以上の積層体が挙げられる。この発明の支持体の厚みは10〜200μm望ましくは15〜80μmである。10μm以下であると支持体が転写時に破壊してしまい問題である。この発明の特定離型層においては、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0110】
この発明の支持体は必要に応じて凹凸を有することができる。凹凸作成手段としては、マット剤練り込み、サンドブラスト加工、ヘアライン加工、マットコーティング、もしくはケミカルエッチング等が挙げられる。マットコーティングの場合有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号等に記載のアルカリ土類金属又はカドミウム、亜鉛等の炭酸塩、等をマット剤として用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。マット剤の付着方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。又複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。この発明で凹凸加工する場合、転写面、背面のいずれか片面以上に施すことが可能である。
[実施例]
以下、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明するが、この発明の態様はこれに限定されない。尚、以下において「部」は「重量部」を示す。
[接着剤]
用いる接着剤は、
積水化学工業(株)製 エスダイン9632
を使用した。
<第1のシート材(裏シート)の作成>
裏シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレード188μmを使用した。
(筆記層の作成)
前記支持体裏シート188μmに下記組成の第1筆記層形成用塗工液、第2筆記層形成用塗工液及び第3筆記層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが5μm、15μm、0.2μmになる様に積層することにより筆記層を形成した。
〈第1筆記層形成用塗工液〉アンカー層
ポリエステル樹脂〔東洋紡績(株)製:バイロン200〕 8部
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
カーボンブラック 微量
二酸化チタン粒子〔石原産業(株)製:CR80〕 1部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2筆記層形成用塗工液〉コート層
ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製:バイロナールMD1200) 3部
シリカ 5部
針状フィラー(表1に示す種類) 表1に示す含有量となる量
ワックス(表1に示す種類) 筆記層全量の10重量%となる量
水 ポリエステル樹脂、シリカ、針状フィラー、ワックスと併せて100部となる量
〈第3筆記層形成用塗工液〉オーバーコート層
ポリアミド樹脂〔三和化学工業(株)製:サンマイド55〕 5部
メタノール 95部
得られた筆記層の中心線平均粗さは1.34μmであった。
(筆記層へのフォーマット印刷層の形成)
オフセット印刷法により、フォーマット印刷(罫線、発行者名、発行者電話番号)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(IC隠蔽層の作成)
樹脂凸印刷法により、筆記層とは反対側の支持体最表面に透かし印刷を行った。印刷紋様は図3又は図4の何れかで行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。膜厚は1.0μmであった。
<第2のシート材(表シート)の作成>
表シートとして帝人デュポンフィルム株式会社製U2L98W低熱収グレードを使用した。
【0111】
PETシートの厚みは表裏とも188μmである。
(表シートの作成)
前記支持体表シート188μmに下記組成物からなるクッション層、受像層を順次塗工乾燥してなる第2シート部材(表面シート1)を形成した。
(光硬化型クッション層) 膜厚10μm
ウレタンアクリレートオリゴマー
(新中村化学社製:NKオリゴUA512) 55部
ポリエステルアクリレート
(東亞合成社製:アロニックスM6200) 15部
ウレタンアクリレートオリゴマー
(新中村化学社製:NKオリゴUA4000) 25部
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ:イルガキュア184) 5部
メチルエチルケトン 100部
塗布後の活性光線硬化性化合物は、90℃/30secで乾燥を行い、次いで水銀灯(300mJ/cm2)で光硬化を行った。
(受像層)
上記クッション層上に下記組成の第1受像層形成用塗工液、第2受像層形成用塗工液及び第3受像層形成用塗工液をこの順に塗布乾燥して、それぞれの厚みが0.2μm、2.5μm、0.5μmになる様に積層することにより受像層を形成した。
〈第1受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 9部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBL−1〕
イソシアネート 1部
〔日本ポリウレタン工業(株)製:コロネートHX〕
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第2受像層形成用塗工液〉
ポリビニルブチラール樹脂 6部
〔積水化学工業(株)製:エスレックBX−1〕
金属イオン含有化合物(化合物MS) 4部
メチルエチルケトン 80部
酢酸ブチル 10部
〈第3受像層形成用塗工液〉
ポリエチレンワックス 2部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックE1000〕
ウレタン変性エチレンアクリル酸共重合体 8部
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254〕
メチルセルロース〔信越化学工業(株)製:SM15〕 0.1部
水 90部
(フォーマット印刷層からなる情報坦持体形成)
受像層上にオフセット印刷法により、フォーマット印刷(従業員証、氏名)を行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(透明樹脂層形成)
下記組成物からなる印刷インキを用いロールミルにより混合し、印刷インキを作成した。オフセット印刷法により受像層上に印刷を行った。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。
(透明樹脂層組成物1)
ウレタンアクリレートオリゴマー 50部
脂肪族ポリエステルアクリレートオリゴマー 35部
ダイロキュア1173(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製) 5部
トリメチロールプロパンアクリレート 10部
(IC隠蔽層の作成)
樹脂凸印刷法により、受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷を行った。印刷紋様は図3又は図4の何れかで行った。印刷インキはUV墨インキを用いた。印刷時のUV照射条件は、高圧水銀灯で200mj相当であった。膜厚は1.0μmであった。
<ICカード用画像記録体の作成>
上記作成された、図5の第1のシート材(裏シート)と、図6の第2のシート材(表面シート)を用い、図7または図8に記載のIC搭載カード基材及び受像層付きICカード基材の作成装置を用いてICカード基材を作成した。
【0112】
実施形態としてのICカード基材作成について説明をする。図7または図8はICカード基材作成装置を示す概略構成図である。
【0113】
第1のシート材(裏シート)は第1のシート供給部、第2のシート材(表シート)は第2のシート供給部に設置する。ホットメルト剤供給部に接着剤を投入した。
【0114】
このように、長尺シート状の第1のシート材(裏シート)と、枚葉シートの第2のシート材(表シート)とが配備され、第2のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、厚さ270μmの図9乃至図11から構成される電子部品を配置した。接着剤の温度低下を防ぐために加熱部材を加熱し加温した。
【0115】
図9はICカード用材料のICモジュールの模式図であり、銅線を巻いたアンテナコイルのアンテナ3a1にICチップ3a2が接合され、電子部品3aのICモジュールである。
【0116】
図10のインレットの構造は、不織布タイプであり、プリントパターンが形成された不織布3a4とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。日立マクセル株式会社製ICカードシート「FTシリーズ」も使用することも可能である。
【0117】
図11はプリント基板タイプであり、プリントパターンが形成されたプリント基板3a5とICチップ3a2がボンディング等で接合され、ICチップ3a2には補強板3bがICチップ3a2を50%以上覆うようにして介在している模式図である。
【0118】
第1のシート材に特定温度で窒素下で湿気硬化型の接着剤供給部からTダイ塗布方式により接着剤を供給し、この第1のシート材と第2のシート材に湿気硬化型接着剤とICモジュールのIC/固定部材とからなる複合体を加熱加圧ロール、(圧力3kg/cm2、ロール表面温度70℃)膜厚制御ロールにより貼合され740μmに制御されたICカード基材原版が作成された。このICカード基材原版を図12及び図13に示す。
【0119】
断裁工程は接着剤の初期硬化、支持体との密着性が十分に行われたてから化粧断裁することが好ましい。断裁性を考慮すると接着剤は必ずしも完全に硬化させる必要はない。作成されたICカード基材原版はローターリカッターにより55mm×85mmサイズのICカード用画像記録体を得ることができた。仕上がったカード基材表裏面にフォーマット印刷部がない場合は、カード印刷機により樹脂凸版印刷法で、ロゴとOPニスを順次印刷した。
[ICカード作成方法]
次に、ICカードへ認証識別画像、属性情報画像の記載方法を説明する。
(昇華型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のイエローインク層形成用塗工液、マゼンタインク層形成用塗工液、シアンインク層形成用塗工液を各々の厚みが1μmになる様に設け、イエロー、マゼンタ、シアンの3色のインクシートを得た。
〈イエローインク層形成用塗工液〉
イエロー染料(三井東圧染料(株)製MSYellow) 3部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈マゼンタインク層形成用塗工液〉
マゼンタ染料(三井東圧染料(株)製 MS Magenta) 2部
ポリビニルアセタール 5.5部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 2部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 70部
トルエン 20部
〈シアンインク層形成用塗工液〉
シアン染料(日本化薬(株)製 カヤセットブルー136) 3部
ポリビニルアセタール 5.6部
〔電気化学工業(株)製:デンカブチラールKY−24〕
ポリメチルメタアクリレート変性ポリスチレン 1部
〔東亜合成化学工業(株)製:レデダGP−200〕
ウレタン変性シリコンオイル 0.5部
〔大日精化工業(株)製:ダイアロマーSP−2105〕
メチルエチルケトン 20部
(溶融型感熱転写記録用のインクシートの作成)
裏面に融着防止加工した厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートシートに下記組成のインク層形成用塗工液を厚みが2μmになる様に塗布乾燥してインクシートを得た。
〈インク層形成用塗工液〉
カルナバワックス 1部
エチレン酢酸ビニル共重合体 1部
〔三井デュポンケミカル社製:EV40Y〕
カーボンブラック 3部
フェノール樹脂〔荒川化学工業(株)製:タマノル521〕 5部
メチルエチルケトン 90部
(顔画像の形成)
受像層又は透明樹脂部、情報印刷部と昇華型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.23W/ドット、パルス幅0.3〜4.5m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより画像に階調性のある人物画像を受像層に形成した。この画像においては上記色素と受像層のニッケルが錯体を形成している。
(文字情報の形成)
透明樹脂部又は鱗片顔料含有層と溶融型感熱転写記録用のインクシートのインク側を重ね合わせインクシート側からサーマルヘッドを用いて出力0.5W/ドット、パルス幅1.0m秒、ドット密度16ドット/mmの条件で加熱することにより文字情報をICカード用画像記録体上に形成した。
【0120】
上記により顔画像と属性情報を設けた。
[ICカード表面保護層添加樹脂合成例]
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタアクリル酸メチル73部、スチレン15部、メタアクリル酸12部とエタノール500部、α、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、トリエチルアンモニウムクロライド3部、グリシジルメタクリレート1.0部を加え、3時間反応させ目的のアクリル系共重合体の合成バインダー1を得た。
[保護層]
(透明樹脂転写箔の作成)
ダイアホイルヘキスト(株)製ポリエチレンテレフタレート(S−25)の片面に下記処方をワイヤーバーコーティングにて塗工乾燥して、保護層を形成した。
(離型層) 膜厚0.5μm
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、ダイアナールBR−87) 5部
ポリビニルアセトアセタール(SP値:9.4)
(積水化学(株)、KS−1) 5部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 50部
塗布後、90℃/30secで乾燥を行った。
〈中間層形成塗工液〉 膜厚0.3μm
ポリビニルブチラール樹脂〔積水化学(株)製:エスレックBX−1〕 5部
タフテックスM−1913(旭化成) 3.5部
硬化剤
ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 1.5部
メチルエチルケトン 20部
トルエン 70部
塗布後、90℃/30secで乾燥を行い、硬化剤の硬化は、50℃、24時間で行った。
<バリヤー層形成塗工液> 膜厚0.5μm
BX−1(ポリビニルブチラール樹脂) 4部
〔積水化学(株)製:エスレックBシリーズ〕
タフテックスM−1913(旭化成) 4部
硬化剤
ポリイソシアネート[コロネートHX 日本ポリウレタン製] 2部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 40部
塗布後、70℃/30secで乾燥を行った。
〈接着層形成塗工液〉 膜厚0.3μm
ウレタン変性エチレンエチルアクリレート共重合体
〔東邦化学工業(株)製:ハイテックS6254B〕 8部
ポリアクリル酸エステル共重合体
〔日本純薬(株)製:ジュリマーAT510〕 2部
水 45部
エタノール 45部
塗布後、70℃/30secで乾燥を行った。
【0121】
上記の組成の剥離層、中間層、接着層で構成される透明樹脂転写箔1を作成した。
【0122】
さらに画像、文字が記録された前記受像体上に前記構成からなる透明保護層を有する各実施例、比較例記載の転写箔を用いて表面温度200℃に加熱した、直径5cmゴム硬度85のヒートローラーを用いて圧力150kg/cm2で1.2秒間熱をかけて転写を行なった。
【0123】
前記転写箔1が転写された前記受像体上に前記紫外線硬化樹脂含有塗布液を20g/m2の塗布量になるように特定の地模様を持つグラビアロールコーターにより塗布し、下記の硬化条件にて紫外線硬化樹脂含有塗布液を硬化させて紫外線硬化保護層を形成した。
【0124】
硬化条件
光照射源 60w/cm2の高圧水銀ランプ
照射距離 10cm
照射モード 3cm/秒で光走査
[紫外線硬化樹脂含有塗布液]
ビス(3,4−エポキシー6−メチルシクロヘキシルメチル)
アジパート 70部
ビスフェノールAグリシジルエーテル 10部
1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル 13部
トリアリールスルホニウムフルオロアンチモン 7部
ここまでのカードへの印字、画像形成、転写箔掛けまでの工程は、図13に示すカード印字プリンタを用いて行なった。
【0125】
図14は、ICカードの作成装置としてのカードプリンタであり、カードプリンタには、上方位置にカード基材供給部10及び情報記録部20が配置され、下方位置に、透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置され、この後更に透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70が配置され、画像記録体としてカードを作成する。
【0126】
カード基材供給部10には、例えば、図1で作成されたカード使用者の個人情報を書き込むために予め枚葉状にカットされた複数枚のカード基材50が、顔写真を記録する面を上に向けてストックされている。この例では、カード基材50が支持体と受像層からなり、このカード基材50は1枚ずつカード基材供給部10から所定のタイミングで自動供給される。
【0127】
情報記録部20には、イエローリボンカセット21、マゼンタリボンカセット22、シアンリボンカセット23、ブラックリボンカセット24が配置され、それぞれに対応して記録ヘッド25〜28が配置されている。イエローリボン、マゼンタリボン、シアンリボン等の熱転写シートによる熱転写で、カード基材50が移動されている間に、その受像層の所定領域にカード使用者の顔写真等の諧調を有する画像領域が記録される。
【0128】
また、文字リボンカセット31及び記録ヘッド32が配置され、文字リボン等の熱転写シートによる熱転写で、その氏名やカード発行日等の認証識別情報が記録され、画像記録層が形成される。この情報記録部20では、イメージワイズに加熱して前記受像層に諧調情報画像を形成し、画像を形成する際の記録ヘッド条件は0.01〜0.3kg/cm2の範囲で加圧し、ヘッドの温度50〜500℃で形成する。
【0129】
透明保護層及び/又は光学変化素子転写層付与部/又は樹脂層付与部70では、転写箔カセット71が配置され、この転写箔カセット71に対応して熱転写ヘッド72が配置されている。光学変化素子転写箔43及び/又は透明保護転写箔64、硬化型転写箔66を転写し、光学変化素子転写層及び/透明保護転写層、硬化型済保護層含有転写層が設けられる。
【0130】
上記のようにして得られたカードに市販の印刷機を用いてカード印刷を施した。また、切り欠き等の加工はパンチ台を改造して作成した器具で行なった。
【0131】
この実施例の評価を以下に示す。
[比表面積の測定]
完全に硬化した接着剤を粉末状に砕き、カンタクローム社製オートソーブI型を用い、接着剤サンプルにN2ガスを吸着させ、BET吸着式を用いてBET5点法により比表面積を測定した。
[カード耐久性]
このように最後まで作成された個人認証カードを、図15に示すように、カードの長辺方向:たわみ35mm、カードの短辺方向:たわみ15mmとなるように、125回毎に長辺方向、短辺方向を周期30/minの条件で合計1000回のテストを行った。その後市販のリーダーライターでIC機能を確認し、3段階で評価を行った。得られた結果を表1に示す。
○:変形がなく、IC機能も問題ない。
△:変形はないが、IC機能が失われている。
×:折れ曲がってしまい、IC機能が失われている。
[筆記性]
水性ペン、油性ペン、ボールペンを用いて筆記テストをおこない24時間40℃80%環境下に放置したのちインク滲みの度合いを総合評価した。
5:インク滲みなし。
4:全体的に滲みはないが、一部にわずかな滲みがみられる。
3:わずかに滲みが見られる。
2:全体に滲みが発生している。
1:全体に滲みが発生し、文字かつぶれている。
4以上が良好なレベルである。
[擦過性]
カードを水道水に24時間浸漬させた後、耐摩耗性試験機(HEIDON−18)を用い、0.1mmφのサファイア針で50gから250gと荷重を変化させて、作成されたカードの備考層面を摺動させた。その時のカード表面の傷が付き始めた部分を測定し、何gで傷が付くか測定を行った。
[耐薬品性]
仕上がったカードの備考層面をトルエンに浸した綿棒で擦り、アンカー層の下の基材が見えるまでの擦り往復回数を測定した。
【0132】
結果を表1に示す。
表1
この表1の結果によりこの発明においては比較例に対し優れた効果を示す結果となり、発明の効果が認められる。
【0133】
【発明の効果】
前記したように、請求項1及び請求項12に記載の発明では、筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有することで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0134】
請求項2及び請求項13に記載の発明では、筆記層がエージング処理されてなることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0135】
請求項3及び請求項14に記載の発明では、エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0136】
請求項4及び請求項15に記載の発明では、エージング処理は、エージング時間が所定の時間であることで、筆記層の擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0137】
請求項5及び請求項16に記載の発明では、フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であり、カード剛性が上がってカード耐久性が向上する。
【0138】
請求項6及び請求項17に記載の発明では、フィラーが、筆記層全量において占める割合が5%以上50%以下であり、筆記層の擦過性、筆記性、カード耐久性が向上する。
【0139】
請求項7及び請求項18に記載の発明では、比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であり、ICカードの擦過性、筆記性、耐熱性、耐水性、カード耐久性が向上する。
【0140】
請求項8及び請求項19に記載の発明では、アンカーコート層を有することで、筆記層の擦過性、筆記性が向上する。
【0141】
請求項9及び請求項20に記載の発明では、個人識別情報を設けた上面に透明保護層を設けることで、個人識別情報が保護され、耐久性が向上する。
【0142】
請求項10及び請求項21に記載の発明では、ICチップが顔画像部分と重なる位置に存在しないことで、表面の平滑性がよくなり、印字性が向上する。
【0143】
請求項11に記載の発明では、安全性に優れることから、データの機密性と偽変造防止性を高く要求する用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICカードの作成工程の概略構成図である。
【図2】ICカードの貼り合わせ品の画像形成体の断面図である。
【図3】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図4】受像層面とは反対側の支持体最表面に透かし印刷の印刷紋様を示す図である。
【図5】第1のシート材(裏シート)を示す図である。
【図6】第2のシート材(表面シート)を示す図である。
【図7】ICカード基材作成装置を示す概略構成図である。
【図8】ICカード基材作成装置を示す概略構成図である。
【図9】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図10】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図11】ICカード用材料のICモジュールの模式図である。
【図12】ICカード基材原版の断面図である。
【図13】ICカード基材原版の断面図である。
【図14】ICカードの作成装置としてのカードプリンタを示す図である。
【図15】カード耐久性の試験を説明する図である。
【符号の説明】
1 第1のシート材(裏シート)
2 第2のシート材(表シート)
3 インレット
3a 電子部品
3a1 アンテナ
3a2 ICチップ
3b 補強板
6,7 接着剤層
8a 受像層
8b 個人識別情報
8c 透明保護層
9a 筆記層
9b アンカーコート層
A 第1のシート材供給部
B 第2のシート材供給部
C,G 接着剤供給部
D,H 接着剤加熱部
E インレット供給部
F バックローラ部
I 加熱部
J キャタピラプレス部
K 裁断部
L 打ち抜き部
Claims (21)
- 第1のシート材と第2のシート材との間に、接着剤層を介在させてICチップ及びアンテナを有するICモジュールを設けたICカードにおいて、
前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側に筆記層を有し、この筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有していることを特徴とするICカード。 - 前記筆記層がエージング処理されていることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
- 前記エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることを特徴とする請求項2に記載のICカード。
- 前記エージング処理は、エージング温度が80℃以上であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のICカード。
- 前記フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のICカード。
- 前記フィラーが、筆記層全量において占める割合が5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード。
- 比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のICカード。
- 前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側と前記筆記層の間にアンカーコート層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のICカード。
- 前記第1のシート材と第2のシート材の少なくとも一面側に氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、この個人識別情報の上面に透明保護層を設け、前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のICカード。
- 前記ICチップが前記顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置したことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のICカード。
- 前記ICモジュールを有し、非接触式カードであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のICカード。
- 第1のシート材と第2のシート材との間に、接着剤層を介在させてICチップ及びアンテナを有するICモジュールを設けるICカードの製造方法において、
前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側に筆記層を設け、この筆記層が樹脂とワックスと繊維状もしくは針状のフィラーを含有していることを特徴とするICカードの製造方法。 - 前記筆記層をエージング処理して設けることを特徴とする請求項12に記載のICカードの製造方法。
- 前記エージング処理は、エージング時間が1時間以上72時間以下であることを特徴とする請求項13に記載のICカードの製造方法。
- 前記エージング処理は、エージング温度が80℃以上であることを特徴とする請求項13または請求項14に記載のICカードの製造方法。
- 前記フィラーは、アスペクト比が1.5以上5以下であることを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載のICカードの製造方法。
- 前記フィラーが、筆記層全量において占める割合が5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれか1項に記載のICカードの製造方法。
- 比表面積規定が0.001m2/g以上20m2/g以下であることを特徴とする請求項12乃至請求項17のいずれか1項に記載のICカードの製造方法。
- 前記第1のシート材の第2のシート材の少なくとも一面側と前記筆記層の間にアンカーコート層を設けることを特徴とする請求項12乃至請求項18のいずれか1項に記載のICカードの製造方法。
- 前記第1のシート材と第2のシート材の少なくとも一面側に氏名、顔画像を含む個人識別情報を設け、この個人識別情報の上面に透明保護層を設け、前記透明保護層が活性光線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項12乃至請求項19のいずれか1項に記載のICカードの製造方法。
- 前記ICチップが前記顔画像の部分と重なる位置以外の位置に配置することを特徴とする請求項12乃至請求項20のいずれか1項に記載のICカードの製造方法。
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JP2007090591A (ja) * | 2005-09-28 | 2007-04-12 | The Inctec Inc | 隠蔽性スクラッチ印刷物およびその製造方法 |
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2002
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