JP2012159400A - 診断装置及び診断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】診断装置10は、鋼より線に超音波を入射させ、当該入射させた超音波の反射波を受信する超音波探触子2と、鋼より線において超音波探触子2からの距離が所定の範囲内にある領域からの超音波の反射波である後方散乱成分の強度と、腐食度合いを判定する対象領域からの超音波の反射波の強度とに基づいて、鋼より線の結合効率を含まない判定値を算出する判定値算出部と、判定値算出部により算出された判定値に基づいて、鋼より線の腐食度合いを判定する判定部とを備える。
【選択図】図1
Description
図1は、本実施形態による診断装置10を用いたつり線の腐食診断の様子を示す概略図である。
診断装置10は、検査器1と超音波探触子2とを含んで構成され、つり線100の腐食診断を行う装置である。診断装置10は、つり線100に接触させた超音波探触子2から超音波を入射し、反射エコー(入射させた超音波の反射波)を測定することにより接続端子かん200内にあるつり線100の局部腐食を検出する。つり線100の局部腐食とは、減肉や破断等によるつり線100の局部的な腐食である。つり線100は、7本程度の素線(鋼線)をよった鋼より線であり、電柱間に引かれた電線や光ファイバケーブル等を保持する。接続端子かん200は、つり線100の結線部分を風雨や紫外線から保護する箱である。
接続端子かん200の両端にあるノズル部201の先端にはシーリングテープが巻かれている。シーリングテープ下にあるつり線100は、雨水等がシーリングテープ内に侵入することにより赤錆等が付着し、減肉(腐食)することがある。診断装置10は、このシーリングテープ下にあるつり線100の腐食を診断する。つまり、診断装置10が腐食を診断する(腐食度合いを判定する)腐食診断対象領域は、鋼より線において目視が困難である部分である、シーリングテープ下にあるつり線100である。診断装置10を操作する作業者は、超音波探触子2からこの腐食診断対象領域に向けて超音波uを入射する。腐食診断対象領域に局部腐食110があると、この局部腐食110から反射エコー(反射波)rが反射される。超音波探触子2は、入射した超音波uの反射エコーrを受信する。
本図は、つり線100を長手方向から見た断面を示す。診断装置10を操作する作業者は、つり線100を診断する際には、まず、つり線100にポリマーシート300を貼付する。ポリマーシート300は、超音波の結合効率を向上させる接触媒質である。そして、作業者は、ポリマーシート300を介して、超音波探触子2をつり線100に接触させる。
超音波を鋼より線(つり線100)に入射させると、鋼より線特有の反射ノイズnが発生する。超音波探触子2は、局部腐食110からの反射エコーrとともにこの反射ノイズnも受信する。本実施形態による後方散乱成分とは、つり線100において超音波探触子2からの距離が所定の範囲内(例えば、200mm〜300mm)にある後方散乱成分領域からの反射ノイズnである。
検査器1は、測定部101と、検出部102と、判定値算出部103と、判定部104と、表示部105とを含んで構成される。
測定部101は、超音波探触子2に超音波を出力させ、超音波探触子2を介して出力させた超音波の反射エコーを受信する。検出部102は、測定部101により受信された反射エコーから、局部腐食110からの反射エコーのピーク強度と後方散乱成分の強度とを検出する。具体的には、検出部102は、腐食診断対象領域における最も強い反射エコーの強度をピーク強度とする。また、検出部102は、後方散乱成分領域における反射エコーの強度を後方散乱成分の強度とする。判定値算出部103は、上述した式(3)に対応する判定値を算出する。具体的には、判定値算出部103は、まず、上述した式(2)に対応する後方散乱成分の強度の積算値を算出する。そして、判定値算出部103は、上述した式(1)に対応するピーク強度を、算出した後方散乱成分の強度の積算値で除算した判定値を算出する。なお、判定値算出部103は、ピーク強度を所定の領域の後方散乱成分の強度で除算した値を判定値としてもよい。判定部104は、判定値算出部103により算出された判定値に基づいて、腐食の度合いを判定する。具体的には、判定部104は、判定値に対応する劣化レベルを示す対応テーブルから、算出された判定値に合致する劣化レベルを読み出す。劣化レベルは、腐食度合いを示す。そして、判定部104は、読み出した劣化レベルをつり線100の腐食度合いと判定する。ここで、対応テーブルは予め記憶部(不図示)に記憶されている。表示部105は、判定部104による判定結果(劣化レベル)を表示する。
本図に示すグラフにおいて、縦軸は判定値であり、横軸は超音波探触子2から局部腐食110までの距離である。図に示すとおり、対応テーブルには、超音波探触子2から局部腐食110までの距離応じて各劣化レベルの判定曲線(下限値)が設定されている。図に示す例では、反射エコーのピーク強度の判定値は、劣化レベル3の判定曲線より大きく劣化レベル4の判定曲線より小さい。よって、判定部104は、この反射エコーに対応する腐食の度合いを劣化レベル3と判定する。
本実施例における検査器1の測定部(受信部)101は、局部腐食110からの反射エコーと後方散乱成分とを同時に超音波探触子2を介して受信する。作業者は、接続端子かん200内の腐食診断対象領域に向けて、超音波探触子2から超音波を入射する。
このグラフにおいて、縦軸は反射エコーの強度であり、横軸は超音波探触子2からの距離である。ここで、検出部102は、超音波の反射エコーを受信した時間(超音波を入射してからの時間)に基づいて、距離を算出する。このグラフに示す符号a1が局部腐食110からの反射エコーの強度であり、符号b1が後方散乱成分の強度である。この後方散乱成分は、後方散乱成分領域x1(超音波探触子2からの距離が200mmから300mm)における反射ノイズである。
まず、ステップS101において、測定部101が、超音波探触子2からつり線100の腐食診断対象領域に向けて入射された超音波の反射エコーを受信する(図8参照)。
次に、ステップS102において、検出部102が、受信した反射エコーから、ピーク強度(図8符号a1のピーク値参照)と後方散乱成分の強度(図8符号b1参照)とを検出する。具体的には、検出部102は、最も強い反射エコーの強度をピーク強度とする。また、後方散乱成分領域x1からの反射エコーの強度を後方散乱成分の強度とする。
次に、ステップS103において、判定値算出部103は、後方散乱成分の強度の積算値を算出し、算出した後方散乱成分の強度の積算値Inoiseでピーク強度Iechoを除算した判定値Iを算出する。つまり、判定値I=Iecho/Inoiseである。ここで、判定値は、ピーク強度を所定の領域の後方散乱成分の強度で除算した値を用いてもよい。
最後に、ステップS104において、判定部104が、つり線100の腐食診断対象領域における腐食度合い(劣化レベル)を判定する。具体的には、判定部104は、算出された判定値Iに対応する劣化レベルを対応テーブルから読み出して、読み出した劣化レベルを腐食度合いとする。そして、表示部105が、判定部104に判定された劣化レベルを表示する。
本実験では、同じ局部腐食110に対して、ポリマーシートαを用いて超音波をつり線100に入射した場合と、ポリマーシートαより結合効率の低いポリマーシートβを用いて超音波をつり線100に入射した場合とにおける超音波の反射エコーの強度を測定した。
この図に示すグラフの横軸は超音波探触子2からの距離である。また、実線はポリマーシートαを用いた場合の実験結果であり、破線はポリマーシートβを用いた場合の実験結果である。
本実験では、劣化レベル2から4の局部腐食110夫々に対して、複数種類の結合効率夫々における超音波の反射エコーのピーク強度を測定した。なお、劣化レベルが高いほど腐食の度合いは高く、劣化レベルが低いほど腐食の度合いは低い。
また、本実施例では、局部腐食110からの反射エコーを測定する際に、後方散乱成分も同時に測定する。これにより、局部腐食110からの反射エコーと後方散乱成分とを1回の測定で取得できるため、作業者の手間が掛からない。
本実施例における検査器1は、腐食診断対象領域に対して逆方向に超音波を入射して後方散乱成分を測定するモードを有する。そして、検査器1の測定部101は、このモードにおいて、超音波探触子2を介して後方散乱成分を受信する第1の受信部と、超音波探触子2を介して局部腐食110からの反射エコーを受信する第2の受信部とを備える。図12(a)は、後方散乱成分を測定する様子を示す概略図である。図12(b)は、局部腐食110からの反射エコーを測定する様子を示す概略図である。まず、作業者は、接続端子かん200内の腐食診断対象領域の反対方向に向けて超音波を入射し、後方散乱成分を測定する。次に、作業者は、接続端子かん200内の腐食診断対象領域に向けて超音波を入射し、局部腐食110からの反射エコーを測定する。ここで、作業者は、超音波探触子2を略同じ場所に設置して後方散乱成分と局部腐食110からの反射エコーとを測定する。これにより、局部腐食110からの反射エコーを測定するときと近い結合効率で、後方散乱成分を測定することができる。なお、結合効率がほぼ等しい場所であれば、別の場所で後方散乱成分と局部腐食110からの反射エコーとを測定してもよい。
このグラフにおいて、縦軸は反射エコーの強度であり、横軸は超音波探触子2からの距離である。図13(a)は、後方散乱成分を測定した際の反射エコーの強度を示すグラフである。このグラフに示す符号b2が後方散乱成分の強度である。この後方散乱成分は、後方散乱成分領域x2(超音波探触子2からの距離が200mmから300mm)における反射ノイズである。また、図13(b)は、局部腐食110からの反射エコーを測定した際の反射エコーの強度である。このグラフに示す符号a1が局部腐食110からの反射エコーの強度である。
まず、ステップS201において、測定部101が、後方散乱成分を測定する。つまり、測定部101は、超音波探触子2からつり線100の腐食診断対象領域の反対方向に向けて入射された超音波の反射エコー(後方散乱成分)を受信する(図13(a)参照)。
次に、ステップS202において、検出部102が、ステップS201において受信した反射エコーから後方散乱成分の強度を検出する。具体的には、検出部102は、後方散乱成分領域x2からの反射エコーの強度を後方散乱成分の強度とする。
次に、ステップS203において、測定部101が、局部腐食110からの反射エコーを測定する。つまり、測定部101は、超音波探触子2からつり線100の腐食診断対象領域に向けて入射された超音波の反射エコーを受信する(図13(b)参照)。
次に、ステップS204において、検出部102が、ステップS203において受信した反射エコーからピーク強度を検出する。具体的には、検出部102は、最も強い反射エコーの強度をピーク強度とする。
最後に、ステップS205において、判定部104が、つり線100の腐食診断対象領域における腐食度合い(劣化レベル)を判定する。具体的には、判定部104は、算出された判定値Iに対応する劣化レベルを対応テーブルから読み出して、読み出した劣化レベルを腐食度合いとする。そして、表示部105が、判定部104に判定された劣化レベルを表示する。
また、本実施例では、1つの超音波探触子2で後方散乱成分と局部腐食110からの反射エコーとを2回に分けて測定しているが、例えば、2つの超音波探触子2を用いて後方散乱成分と局部腐食110からの反射エコーとを同時に測定してもよい。この場合、第1の受信部は、一方の超音波探触子2を介して受信した反射エコーを後方散乱成分として受信し、第2の受信部は、他方の超音波探触子2を介して受信した反射エコーを局部腐食110からの反射エコーとして受信する。
また、ステップS201で後方散乱成分を測定する前に、表示部105が「腐食診断対象領域の逆方向に向けて超音波を入射してください」等、腐食診断対象領域に対して逆方向に超音波を入射することを促す表示をしてもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
例えば、本実施形態では、接続端子かん200内にあるつり線100の腐食を診断しているが、腐食診断対象領域は、例えば、吊架金物や分岐金物等と接続する部分等、鋼より線において人の目から見え難い(目視による点検が困難である)部分であればよい。
Claims (8)
- 鋼より線に超音波を入射させ、当該入射させた超音波の反射波を受信する探触子と、
前記鋼より線において前記探触子からの距離が所定の範囲内にある領域からの超音波の反射波である後方散乱成分の強度と、腐食度合いを判定する対象領域からの超音波の反射波の強度とに基づいて、前記鋼より線の結合効率を含まない判定値を算出する判定値算出部と、
前記判定値算出部により算出された判定値に基づいて、前記鋼より線の腐食度合いを判定する判定部と、
を備えることを特徴とする診断装置。 - 前記対象領域からの反射波と前記後方散乱成分とを同時に前記探触子を介して受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記対象領域からの反射波の強度と、前記受信部により受信された前記後方散乱成分の強度とを検出する検出部と、
を備え、
前記判定値算出部は、前記検出部により検出された前記対象領域からの反射波の強度を、前記検出部により検出された前記後方散乱成分の強度又は強度の積分値で除算する
ことを特徴とする請求項1に記載の診断装置。 - 前記対象領域に対して逆方向に超音波を入射して後方散乱成分を測定するモードにおいて、
前記探触子を介して前記後方散乱成分を受信する第1の受信部と、
前記探触子を介して前記対象領域からの反射波を受信する第2の受信部と、
前記第1の受信部により受信された後方散乱成分の強度と、前記第2の受信部により受信された前記対象領域からの反射波の強度とを検出する検出部と、
を備え、
前記判定値算出部は、前記検出部により検出された前記対象領域からの反射波の強度を、前記検出部により検出された前記後方散乱成分の強度又は強度の積分値で除算する
ことを特徴とする請求項1に記載の診断装置。 - 前記判定値に対応する腐食度合いを記憶する記憶部を備え、
前記判定部は、前記判定値算出部により算出された判定値に対応する腐食度合いを前記記憶部から読み出すことにより前記鋼より線の腐食度合いを判定する
ことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の診断装置。 - 診断装置の探触子が、鋼より線に超音波を入射させ、当該入射させた超音波の反射波を受信するステップと、
前記診断装置の判定値算出部が、前記鋼より線において前記探触子からの距離が所定の範囲内にある領域からの超音波の反射波である後方散乱成分の強度と、腐食度合いを判定する対象領域からの超音波の反射波の強度とに基づいて、前記鋼より線の結合効率を含まない判定値を算出するステップと、
前記診断装置の判定部が、前記判定値算出部により算出された判定値に基づいて、前記鋼より線の腐食度合いを判定するステップと、
を有することを特徴とする診断方法。 - 前記診断装置の受信部が、前記対象領域からの反射波と前記後方散乱成分とを同時に前記探触子を介して受信するステップと、
前記診断装置の検出部が、前記受信部により受信された前記対象領域からの反射波の強度と、前記受信部により受信された前記後方散乱成分の強度とを検出するステップと、
を有し、
前記判定値算出部は、前記検出部により検出された前記対象領域からの反射波の強度を、前記検出部により検出された前記後方散乱成分の強度又は強度の積分値で除算する
ことを特徴とする請求項5に記載の診断方法。 - 前記対象領域に対して逆方向に超音波を入射して後方散乱成分を測定するモードにおいて、
前記診断装置の第1の受信部が、前記探触子を介して前記後方散乱成分を受信するステップと、
前記診断装置の第2の受信部が、前記探触子を介して前記対象領域からの反射波を受信するステップと、
前記診断装置の検出部が、前記第1の受信部により受信された後方散乱成分の強度と、前記第2の受信部により受信された前記対象領域からの反射波の強度とを検出するステップと、
を有し、
前記判定値算出部は、前記検出部により検出された前記対象領域からの反射波の強度を、前記検出部により検出された前記後方散乱成分の強度又は強度の積分値で除算する
ことを特徴とする請求項5に記載の診断方法。 - 前記判定部は、前記判定値算出部により算出された判定値に対応する腐食度合いを、前記判定値に対応する腐食度合いを記憶する記憶部から読み出すことにより前記鋼より線の腐食度合いを判定する
ことを特徴とする請求項5から7いずれか1項に記載の診断方法。
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