以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2(a),(b)に示す部品実装装置1は、この部品実装装置1の上流工程側に隣接する他の装置から送られてきた基板2を搬入して位置決めし、その基板2の縁部に設けられた電極部3に部品(電子部品)4を装着して部品実装装置1の下流工程側に隣接する他の装置に搬出する動作を繰り返し実行する装置であり、基台11上に基板搬入部12、基板搬出部13、基板位置決め部14、バックアップステージ15、部品供給部16、部品反転部17、部品装着部18及びこれら各部の作動制御を行う制御装置19を備えている。以下、説明の便宜上、基板2の搬送方向(図1及び図2(a)中に示す矢印A)をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。また、Y軸方向(前後方向)のうちオペレータOPが作業を行う側(手前側)を前方、その反対側(奥側)を後方とする。更に、X軸方向(左右方向)のうち上流工程側の他の装置が設けられている側であって、オペレータOPから見て右側を右方、下流工程側の他の装置が設けられている側であって、オペレータOPから見て左側を左方とする。
図1及び図2(a),(b)において、基板搬入部12と基板搬出部13は基台11の後部にX軸方向に向かい合って設けられており、右方に基板搬入部12が、左方に基板搬出部13が配置されている。
図1及び図2(a),(b)において、基板位置決め部14は基台11の後部の基板搬入部12と基板搬出部13の間の領域に設けられており、基板搬入部12によって搬入された基板2を保持する基板保持テーブル14aと、基板2を保持した基板保持テーブル14aを水平移動及び昇降させて基板2の移動及び位置決めを行うテーブル駆動機構14bから成る。
図1及び図2(a),(b)において、バックアップステージ15は基台11上の基板位置決め部14の前方の領域にX軸方向に延びて設けられている。
図1及び図2(a),(b)において、部品供給部16は基台11の前部にX軸方向に並んで設けられた2つのトレイ供給装置20から成る。各トレイ供給装置20は、部品4が収納されたトレイTRを水平に並んだ2つのトレイ供給位置(図3に示す第1トレイ供給位置PR1及び第2トレイ供給位置PR2)の双方に供給するものである。本実施の形態では、第1トレイ供給位置PR1と第2トレイ供給位置PR2は基台11の前後方向(Y軸方向)に並んでおり、第1トレイ供給位置PR1はオペレータOPから見て手前側に位置し、第2トレイ供給位置PR2はオペレータOPから見て奥側に位置している。
図1及び図2(a),(b)において、部品反転部17は吸着ノズルである反転ノズル17Nを備えた反転ヘッド17aと、反転ヘッド17aを(すなわち反転ノズル17Nを)上下に反転及び水平移動させるとともに、反転ノズル17Nが下方に向いて延びた姿勢から上方に向いて延びた姿勢に、また反転ノズル17Nが上方に向いて延びた姿勢から下方に向いて延びた姿勢になるように反転ヘッド17aを反転させる反転ヘッド駆動機構17bから成る。
部品装着部18は下方に延びた吸着ノズルである装着ノズル18Nを備えた装着ヘッド18aと、装着ヘッド18aを水平移動させるとともに装着ノズル18Nを装着ヘッド18aに対して昇降させる装着ヘッド移動機構18bから成る。
部品実装装置1が備える制御装置19は、部品実装装置1の上流工程側に隣接する他の装置から基板2が送られてきた場合には、基板位置決め部14のテーブル駆動機構14bを作動させて基板保持テーブル14aを基板搬入部12に近づけ、基板搬入部12上の基板2を基板保持テーブル14aによって下方から掬い上げるようにして基板保持テーブル14aに基板2を受け取らせ、基板搬入部12から基板位置決め部14に基板2を移動させる。
制御装置19は、基板搬入部12から基板位置決め部14に基板2を移動させたら、基板位置決め部14のテーブル駆動機構14bを作動させて基板保持テーブル14aを(したがって基板2を)水平面内で移動させ、基板2上の電極部3の並びがX軸方向を向いた状態でバックアップステージ15の上面の直上に位置するように基板2の位置決めを行う。
制御装置19は、基板2の位置決めを行ったら、反転ノズル17Nが下方を向いて延びた状態の反転ヘッド17aを部品供給部16が備える各トレイ供給装置20の第1トレイ供給位置PR1又は第2トレイ供給位置PR2の上方に移動させ、第1トレイ供給位置PR1又は第2トレイ供給位置PR2に供給されているトレイTR内の部品4を反転ノズル17Nに吸着させて部品4の取り出しを行う。そして、反転ノズル17Nが下方から上方を向くように反転ヘッド17aを反転させて部品4の表裏を反転させる。
制御装置19は、部品4の表裏を反転させたら、反転ヘッド17aを部品装着部18の側に移動させるとともに、部品反転部17によって表裏反転された部品4の上方に装着ノズル18Nが位置するように装着ヘッド18aを移動させる。そして、部品反転部17によって表裏反転された部品4を装着ノズル18Nに吸着させ、部品4の受け取りを行う。
制御装置19は、装着ヘッド18aによる部品4の受け取りを行ったら、受け取った部品4が基板位置決め部14によって位置決めされた基板2の電極部3の直上に位置するように装着ヘッド18aを移動させる。そして、装着ノズル18Nを下降させて部品4を基板2の電極部3に装着する。
このように本実施の形態では、部品反転部17及び部品装着部18は、トレイ供給装置20により第1トレイ供給位置PR1及び第2トレイ供給位置PR2に供給されたトレイTRから部品4を取り出して基板位置決め部14により位置決めされた基板2に装着する部品装着手段として機能する。
制御装置19は、このような基板2の電極部3への部品4の装着動作を繰り返して実行し、現在位置決めしている基板2に装着すべき全ての部品4を基板2に装着したら、基板位置決め部14のテーブル駆動機構14bを作動させて基板保持テーブル14aを基板搬出部13に近づけ、基板保持テーブル14a上の基板2を基板搬出部13に上方から受け渡して基板2を基板位置決め部14から基板搬出部13に移動させる。制御装置19は、基板2を基板位置決め部14から基板搬出部13に移動させたら、基板搬出部13を作動させて、基板2を下流工程側の他の装置に搬出する。
このような構成の部品実装装置1において、本実施の形態ではトレイ供給装置20の構成に特徴があり、以下にその説明を行う。図3、図4(a),(b)及び図5(a),(b)において、トレイ供給装置20は、筐体21内にY軸方向に延びた一対のベルトコンベア22aから成るトレイ搬送コンベア22(トレイ搬送手段)を備え、筐体21の上面又は内部にはトレイ案内路31(トレイ案内手段)、トレイ上昇移動シリンダ32(トレイ上昇移動手段)、トレイ下降移動シリンダ33(トレイ下降移動手段)、トレイ送り機構34(トレイ送り手段)、トレイ格納部35、トレイ取り出しシリンダ36、トレイ回収部37及びトレイ回収シリンダ38を備えている。
図3、図4(b)及び図5(b)において、トレイ搬送コンベア22は第1トレイ供給位置PR1及び第2トレイ供給位置PR2の下方に配置されており、制御装置19によって制御されて作動してトレイTRの搬送を行う。
図3、図4(a),(b)及び図5(a),(b)において、トレイ案内路31は第1トレイ供給位置PR1及び第2トレイ供給位置PR2を通るように水平に延びて設けられた一対の案内部材41を備える。トレイ案内路31の中央の中央領域Rcには、トレイTRの幅方向(X軸方向)の両端部の下面を下方から支持する水平なスライド面41sが形成されており、トレイTRはトレイ案内路31の中央領域Rcにおいて幅方向の両端部の下面をスライド面41sによって支持されることにより、Y軸方向(すなわち水平方向)にスライド移動することができる。一方、トレイ案内路31の中央領域Rcの前方(オペレータOPの手前)の前方領域Rf及び中央領域Rcの後方の後方領域RrにはトレイTRの幅方向の両端部の下面を下方から支持するスライド面は設けられていない。
図3、図4(a),(b)及び図5(a),(b)において、トレイ案内路31の中央領域Rcにはスライド面41sにおいてスライドするトレイTRの幅方向の両側面をガイドするガイド部41gがトレイ案内路31のX軸方向の内方に張り出して設けられている。両ガイド部41gの間隔はトレイTRの幅方向の寸法よりもやや大きく、案内部材41の中央領域Rc内に位置したトレイTRは、一対の案内部材41のうちの一方(ここでは左側)に設けられたばね部材(付勢部材)31pによって他方の案内部材41(ここでは右側の案内部材41)に押し付けられてトレイ供給装置20に対するトレイTRのX軸方向の位置決めがなされる。
図4(a),(b)及び図5(a),(b)において、トレイ案内路31の前方領域Rfの一対の案内部材41の間の部分(以下、トレイ案内路31の入口部31aと称する)における案内部材41同士の間隔と、トレイ案内路31の後方領域Rrの一対の案内部材41の間の部分(以下、トレイ案内路31の出口部31bと称する)における案内部材41同士の間隔はトレイTRの幅方向寸法よりも大きくなっている。このため、トレイ案内路31の入口部31aの下方からトレイTRを押し上げてトレイTRの下面の高さがトレイ案内路31の中央領域RcにおけるトレイTRの案内面(スライド面41sの上面)の高さと一致するようにしたうえで(このトレイTRの押し上げは、後述するように、トレイ上昇移動シリンダ32によって行われる)、トレイTRを後方に向けて押圧すれば(このトレイTRの後方への押圧は、後述するように、トレイ送り機構34によって行われる)、トレイTRをトレイ案内路31内に送り込むことができる。
図3、図4(a)及び図5(a)において、各案内部材41の上面には、トレイ案内路31内に送り込まれ、トレイ案内路31によって案内されて前方から後方に向けてスライド移動するトレイTRを第1トレイ供給位置PR1に位置決めする左右一対の第1トレイ供給位置ストッパ42aと、第1トレイ供給位置PR1からスライド移動するトレイTRを第2トレイ供給位置PR2に位置決めする左右一対の第2トレイ供給位置ストッパ42bが設けられている。
左右一対の第1トレイ供給位置ストッパ42a及び左右一対の第2トレイ供給位置ストッパ42bはそれぞれ、スライド移動するトレイTRの幅方向(X軸方向)に開閉し、閉じた状態(図3、図4(a)及び図5(a)に示す状態)では、その一部がトレイTRの進行方向の先端と当接してトレイTRの位置決めを行い、開いた状態ではトレイTRの進行方向の先端と当接することなく、トレイTRを通過させるようになっている。
図3、図4(b)及び図5(b)において、トレイ上昇移動シリンダ32は、トレイ案内路31の入口部31aの下方であって、一対のベルトコンベア22aの間の位置に設けられており、制御装置19によって制御されるピストンロッド32aの上下方向への進退動作によって水平な平板状の上昇移動プレート32bを昇降させる。上昇移動プレート32bは、トレイ上昇移動シリンダ32によって、トレイ搬送コンベア22によるトレイTRの搬送面SFよりも下方に位置する下方位置と、トレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aに押し上げる上方位置(図4(b)及び図5(b)中に示す上昇移動プレート32b参照)との間で昇降自在である。
図3、図4(b)及び図5(b)において、トレイ下降移動シリンダ33は、トレイ案内路31の出口部31bの下方であって、一対のベルトコンベア22aの間の位置に設けられており、制御装置19によって制御されるピストンロッド33aの上下方向への進退動作によって水平な平板状の下降移動プレート33bを昇降させる。下降移動プレート33bは、トレイ下降移動シリンダ33によって、トレイ搬送コンベア22によるトレイTRの搬送面SFよりも下方に位置する下方位置と、トレイ案内路31の入口部31aに搬出されたトレイTRを受け取る上方位置(図4(b)及び図5(b)中に示す下降移動プレート33b参照)との間で昇降自在である。
図4(b)及び図5(b)において、トレイ送り機構34は、トレイ案内路31の下方に設けられ、上面に複数の爪部51aを有した送り部材51と、送り部材51をY軸方向に移動自在に支持する送り部材支持レール52と、送り部材51を送り部材支持レール52に沿って(すなわちY軸方向に)スライドさせるスライドシリンダ53を備えて成る。
送り部材51上に設けられた複数の爪部51aは、スライドシリンダ53によって送り部材51を前方位置(図4(a),(b)に示す位置)から後方位置(図5(a),(b)に示す位置)までスライド移動させることによって、トレイ案内路31の入口部31aに位置したトレイTRを第1トレイ供給位置PR1までスライド移動させ、第1トレイ供給位置PR1に位置したトレイTRを第2トレイ供給位置PR2までスライド移動させ、第2トレイ供給位置PR2に位置したトレイTRをトレイ案内路31の出口部31bまでスライド移動させることができる位置に設けられている(図4(a),(b)→図5(a),(b)におけるトレイTRの動き参照)。
図4(b)及び図5(b)において、トレイ送り機構34にはトレイ搬送コンベア22に対して送り部材51を昇降させる昇降機構54が設けられている。昇降機構54によって送り部材51を上昇位置に位置させた状態でスライドシリンダ53によって送り部材51を後方位置から前方位置に移動させると、送り部材51上の爪部51aがトレイ案内路31内のトレイTRを後方に押圧するのでトレイ案内路31内のトレイTRが後方から前方に向けてスライド移動するが、昇降機構54によって送り部材51を下降位置に位置させた状態では爪部51aはトレイ案内路31内のトレイTRとは接触しない。
制御装置19は、前方・下降位置に位置させた送り部材51(図6(a))を上昇させて送り部材51を前方・上昇位置に位置させる動作(図6(a)→図6(b)。第1の動作)、前方・上昇位置に位置した送り部材51を後方へ移動させて送り部材51を後方・上昇位置に位置させる動作(図6(b)→図6(c)。第2の動作)、後方・上昇位置に位置した送り部材51を下降させて送り部材51を後方・下降位置に位置させる動作(図6(c)→図6(d)。第3の動作)及び後方・下降位置に位置した送り部材51を前方へ移動させて送り部材51を前方・下降位置に位置させる動作(図6(d)→図6(a)。第4の動作)をこの順で繰り返し実行する。これにより、第2動作の実行時に、トレイ案内路31の入口部31aに位置したトレイTRを第1トレイ供給位置PR1に移動させることができ、第1トレイ供給位置PR1に位置したトレイTRを第2トレイ供給位置PR2に移動させることができ、第2トレイ供給位置PR2に位置したトレイTRをトレイ案内路31の出口部31bに移動させることができる(詳細は後述)。
ここで、制御装置19は、送り部材51に上記第1動作、第3動作及び第4動作を行わせる間は第1トレイ供給位置ストッパ42a及び第2トレイ供給位置ストッパ42bをともに閉じた状態にするが、送り部材51に第2動作を行わせるときは、第1トレイ供給位置PR1に位置したトレイTRが第1トレイ供給位置ストッパ42aの間を通過した後に、トレイ案内路31の入口部31aからトレイ案内路31内に送り込まれたトレイTRが第1トレイ供給位置PR1に位置決めされ、第2トレイ供給位置PR2に位置したトレイTRが第2トレイ供給位置ストッパ42bの間を通過した後に、第1トレイ供給位置PR1に位置から移動してきたトレイTRが第2トレイ供給位置PR2に位置決めされるように、第2動作の開始時には第1トレイ供給位置ストッパ42a及び第2トレイ供給位置ストッパ42bをそれぞれ一旦開いた状態にし、トレイTRが通過した直後に閉じた状態にする。
図3、図4(a),(b)及び図5(a),(b)において、トレイ格納部35及びトレイ回収部37は同一の構成を有して成り、トレイTRの四隅を上下方向に移動自在に支持する断面「L」字状の4つの支柱部61と、これら4つの支柱部61のうち左側の2つの支柱部61の間の下部と右側の2つの支柱部61の間の下部のそれぞれに設けられてX軸方向に開閉する一対のトレイ下面支持部材62から成る。
図3において、各トレイTRの上面には上方に突出した凸形状の台状部DJが設けられており、台状部DJには上方に開口した複数の窪み部PBが設けられている。各窪み部PBには部品4がひとつずつ収納されており、各部品4は窪み部PBから上方に向けて取り出される。各トレイTRの台状部DJには他のトレイTRの台状部DJを下方から差し入れることができる空間が形成されており、台状部DJを他のトレイTRの台状部DJ内に差し入れることで複数枚のトレイTRを安定的に重ねることができる。なお、複数枚のトレイTRを重ねた状態では、上下に隣接するトレイTR同士の間には、前述のトレイ下面支持部材62が側方から入り込むことができるだけの隙間Δ(図7(a)参照)が形成される。
図7(a),(b),(c),(d)及び図8(a),(b),(c),(d)に示すように、トレイ格納部35及びトレイ回収部37のそれぞれを構成する4つの支柱部61はその上方或いは下方から差し入れられたトレイTRの四隅をトレイTRが上下方向に移動できるようにガイドし、一対のトレイ下面支持部材62が閉じた状態になっているときには、4つの支柱部61によって四隅がガイドされた一又は複数の複数のトレイTRのうちの最下端に位置するトレイTRの下面に一対のトレイ下面支持部材62が接触する。
図3、図4(b)及び図5(b)において、トレイ格納部35の直下には前述のトレイ取り出しシリンダ36が設けられており、トレイ回収部37の直下には前述のトレイ回収シリンダ38が設けられている。
図4(b)及び図5(b)において、トレイ取り出しシリンダ36は制御装置19によって制御されるピストンロッド36aの上下方向への進退動作によって水平な平板状の取り出しプレート36bを昇降させる。取り出しプレート36bは、トレイ取り出しシリンダ36によって、トレイ搬送コンベア22によるトレイTRの搬送面SFよりも下方に位置する下方位置(図4(b)及び図5(b)中に示す取り出しプレート36b参照)と、トレイ格納部35内に格納されているトレイTRの中で最も下方に位置するトレイTRの下面に接触する上方位置との間で昇降自在である。
図4(b)及び図5(b)において、トレイ回収シリンダ38は制御装置19によって制御されるピストンロッド38aの上下方向への進退動作によって水平な平板状の回収プレート38bを昇降させる。回収プレート38bは、トレイ回収シリンダ38によって、トレイ搬送コンベア22によるトレイTRの搬送面SFよりも下方に位置する下方位置(図4(b)及び図5(b)中に示す回収プレート38b参照)と、トレイ回収部37内に収容されているトレイTRの中で最も下方に位置するトレイTRの下面に接触する上方位置との間で昇降自在である。
トレイ供給装置20において、トレイ格納部35内に格納されている複数枚のトレイTRの中からひとつのトレイTRを取り出してトレイ搬送コンベア22に移載する場合には、制御装置19は先ず、トレイ取り出しシリンダ36を作動させて取り出しプレート36bを上昇させ(図7(a)中に示す矢印B1)、トレイ格納部35に格納されているトレイTRの中の最も下方に位置するトレイTRの下面に取り出しプレート36bを下方から接触させる(図7(a))。そして、トレイ格納部35に設けられている一対のトレイ下面支持部材62を開方向に作動させ(図7(b)中に示す矢印B2)、トレイ格納部35内に格納されている全てのトレイTRが取り出しシリンダ36によって支持されるようにしたうえで、取り出しシリンダ36を作動させ、取り出しプレート36bをトレイTRの1枚分の厚さだけ下降移動させる(図7(b)中に示す矢印B3)。
制御装置19は、取り出しプレート36bをトレイTRの1枚分の厚さだけ下降させたら、一対のトレイ下面支持部材62を閉方向に作動させ(図7(c)中に示す矢印B4)、トレイ格納部35内に格納されているトレイTRのうち、最も下方に位置するトレイTR以外の(最も下方に位置するトレイTRよりも上方にある)全てのトレイTRが一対のトレイ下面支持部材62によって支持されるようにする。これにより、トレイ格納部35内からひとつのトレイTRが取り出された状態となる(図7(c))。
制御装置19は、トレイ格納部35内からひとつのトレイTRが取り出された状態となったら、取り出しシリンダ36を作動させて取り出しプレート36bをトレイ搬送コンベア22によるトレイTRの搬送面SFよりも下方の位置まで下降させ(図7(d)中に示す矢印B5)、取り出したトレイTRの両端部(X軸方向の両端部)を一対のベルトコンベア22aに支持させる。これによりトレイ格納部35内から取り出されたトレイTRがトレイ搬送コンベア22に移載された状態となる(図7(d))。
一方、トレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ回収部37内に収容(回収)する場合には、制御装置19は先ず、トレイ搬送コンベア22を作動させてトレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ回収部37の直下に位置させる。そして、トレイ回収シリンダ38を作動させて回収プレート38bを上昇させ(図8(a)中に示す矢印C1)、回収プレート38bをトレイ搬送コンベア22上のトレイTRの下面に接触させる(図8(a))。
制御装置19は、回収プレート38bをトレイ搬送コンベア22上のトレイTRの下面に接触させたら、回収プレート38bを上昇させて(図8(b)中に示す矢印C2)、トレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ回収部37内に収容されているトレイTRの中の最も下方に位置するトレイTRに下方から重ね合わせる(図8(b))。
制御装置19は、トレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ回収部37内に収容されているトレイTRの中の最も下方に位置するトレイTRに重ね合わせたら、トレイ回収部37の一対のトレイ下面支持部材62を開方向に作動させて(図8(c)中に示す矢印C3)、重ね合わされている全てのトレイTRがトレイ回収シリンダ38によって支持されるようにする(図8(c))。
制御装置19は、重ね合わされている全てのトレイTRがトレイ回収シリンダ38によって支持されるようにしたら、トレイ回収シリンダ38を作動させて回収プレート38bをトレイTRの1枚分の厚さだけ上昇させ(図8(d)中に示す矢印C4)、そのうえで一対のトレイ下面支持部材62を閉方向に作動させる(図8(d)中に示す矢印C5)。これによりトレイ搬送コンベア22上のトレイTRがトレイ回収部37に収容された状態となる(図8(d))。
次に、図9〜図16を参照して、トレイ格納部35内に格納されたトレイTRをトレイ取り出しシリンダ36によって取り出してトレイ搬送コンベア22に受け渡す工程、トレイ搬送コンベア22に受け渡したトレイTRをトレイ上昇移動シリンダ32によってトレイ案内路31の入口部31aに位置させる工程、トレイ案内路31の入口部31aに位置させたトレイTRをトレイ案内路31内に送り込んで第1トレイ供給位置PR1に位置させる工程、第1トレイ供給位置PR1に位置させたトレイTRを第2トレイ供給位置PR2に位置させる工程、第2トレイ供給位置PR2に位置したトレイTRをトレイ案内路31の出口部31bから送り出す工程、トレイ案内路31の出口部31bから送り出したトレイTRをトレイ下降移動シリンダ33によって下降移動させてトレイ搬送コンベア22に受け渡す工程、トレイ搬送コンベア22に受け渡したトレイTRをトレイ搬送コンベア22によって搬送してトレイ回収部37に回収する工程から成るトレイ供給手順について説明する。
制御装置19は先ず、上昇移動プレート32b、下降移動プレート33b、取り出しプレート36b及び回収プレート38bをそれぞれトレイ搬送コンベア22によるトレイTRの搬送面SFよりも下方の位置に位置させる。そして、トレイ取り出しシリンダ36を作動させ、前述の要領でトレイ格納部35からひとつのトレイTRを取り出してトレイ搬送コンベア22上に載置して受け渡す(図9(a)→図9(b)→図9(c)→図9(d))。
制御装置19は、トレイ格納部35からひとつのトレイTRを取り出してトレイ搬送コンベア22上に載置して受け渡したら、トレイ搬送コンベア22を作動させて、トレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aの直下に搬送する(図9(d)→図9(e))。
制御装置19は、トレイTRをトレイ案内路31の入口部31aの直下に搬送したら、トレイ送り機構34の送り部材51を前方・下降位置に位置させた状態(図6(a))から上昇移動プレート32bを上昇させ、トレイ案内路31の入口部31aの直下に位置させたトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aまで押し上げる(図9(e)→図9(f)→図9(g)及び図12(a)→図12(b))。そして、送り部材51を上昇位置に上昇させ(前述のトレイ送り機構34の第1の動作)、上昇移動プレート32b上のトレイTRの前方に送り部材51上の爪部51aが位置するようにしたうえで(図12(b)→図12(c))、スライドシリンダ53を作動させて送り部材51を後方位置にスライド移動させる(図9(g)→図9(h)及び図12(c)→図13(a)。前述のトレイ送り機構34の第2の動作)。これによりトレイ案内路31の入口部31aに位置したトレイTRがトレイ案内路31内に送り込まれて第1トレイ供給位置PR1に供給された状態となる。
制御装置19は、第1トレイ供給位置PR1に位置したトレイTRを第2トレイ供給位置PR2に位置させるときは、後方・上昇位置に位置した送り部材51を下降させた後(図13(a)→図13(b)。前述のトレイ送り機構34の第3の動作)、送り部材51を前方に移動させる(図13(b)→図13(c)。前述のトレイ送り機構34の第4の動作)。そして、トレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aまで押し上げた後(図13(c)→図14(a))、送り部材51を上昇させ(図10(a)→図10(b)。トレイ送り機構34の第1の動作)、上昇移動プレート32b上のトレイTRの前方に送り部材51上の爪部51aが位置するようにしたうえで(図14(a)→図14(b))、送り部材51を後方位置に移動させる(図10(b)→図10(c)及び図14(b)→図14(c)。トレイ送り機構34の第2の動作)。これにより第1トレイ供給位置PR1に位置していたトレイTRが第2トレイ供給位置PR2に移動されるとともに、トレイ案内路31の入口部31aに位置していたトレイTRがトレイ案内路31に送り込まれて第1トレイ供給位置PR1に供給された状態となる。
制御装置19は、第2トレイ供給位置PR2に位置したトレイTRをトレイ案内路31の出口部31bに送り出すときは、後方・上昇位置に位置した送り部材51を下降させた後(図14(c)→図15(a)。トレイ送り機構34の第3の動作)、送り部材51を前方に移動させる(図15(a)→図15(b)。トレイ送り機構34の第4の動作)。そして、トレイ上昇移動シリンダ32によってトレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aまで押し上げた後(図15(b)→図15(c))、送り部材51を上昇させ(図10(d)→図10(e)。トレイ送り機構34の第1の動作)、上昇移動プレート32b上のトレイTRの前方に送り部材51上の爪部51aが位置するようにしたうえで(図15(c)→図16(a))、送り部材51を後方位置に移動させる(トレイ送り機構34の第2の動作)。これにより第2トレイ供給位置PR2に位置していたトレイTRがトレイ案内路31の出口部31bに移動されるとともに、第1トレイ供給位置PR1に位置していたトレイTRが第2トレイ供給位置PR2に移動され、トレイ案内路31の入口部31aに位置していたトレイTRがトレイ案内路31に送り込まれて第1トレイ供給位置PR1に供給された状態となる(図10(e)→図10(f)及び図16(a)→図16(b))。
なお、このように第2トレイ供給位置PR2に位置していたトレイTRをトレイ案内路31の出口部31bに搬出させるときは、図16(a)に示すように、予め下降移動プレート33bを上昇位置に位置させておく。これによりトレイ案内路31から搬出されたトレイTRを下降移動プレート33bによって受け取ることができ(図16(b))、トレイTRを受け取った下降移動プレート33bを下降移動させることによって(図11(a)→図11(b)→図11(c)及び図16(b)→図16(c))、トレイ案内路31から搬出されたトレイTRをトレイ搬送コンベア22のベルトコンベア22a上に載置し、そのトレイTRを回収することができる。
トレイ搬送コンベア22に載置されたトレイTRをトレイ回収部37に収容するには、制御装置19は先ず、上昇移動プレート32b、下降移動プレート33b、取り出しプレート36b及び回収プレート38bをそれぞれトレイ搬送コンベア22によるトレイTRの搬送面SFよりも下方の位置に位置させたうえでトレイ搬送コンベア22を作動させ、トレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ回収部37の直下に位置させる(図11(c)→図11(d))。そして、トレイ回収シリンダ38を作動させて回収プレート38bを上昇させ、前述の要領でトレイ搬送コンベア22上のトレイTRをトレイ回収部37内に収容する(図11(d)→図11(e)→図11(f))。
このように、本実施の形態におけるトレイ供給装置20は、基板2に部品4を装着する部品実装装置1に備えられ、部品4が収納されたトレイTRをトレイ供給位置(第1トレイ供給位置PR1及び第2トレイ供給位置PR2)に供給するものであり、一端側の入口部31aから送り込まれたトレイTRが水平方向にスライド移動し、トレイ供給位置(第1トレイ供給位置PR1及び第2トレイ供給位置PR2)を経て他端側の出口部31bから送り出されるようにトレイTRを案内するトレイ案内手段としてのトレイ案内路31、部品4が収納されたトレイTRが格納されるトレイ格納部35、トレイ案内路31の下方に配置されてトレイTRの搬送を行うトレイ搬送コンベア22、トレイ搬送コンベア22によりトレイ案内路31の入口部31aの下方に搬送されたトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aまで上昇移動させるトレイ上昇移動手段としてのトレイ上昇移動シリンダ32、トレイ上昇移動シリンダ32によってトレイ案内路31の入口部31aまで上昇移動されたトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aからトレイ案内路31内に送り込んでトレイ供給位置(第1トレイ供給位置PR1)に位置させるとともにトレイ供給位置(第2トレイ供給位置PR2)に位置させたトレイTRをトレイ案内路31内で移動させて出口部31bから送り出すトレイ送り機構34、トレイ送り機構34によってトレイ案内路31の出口部31bから送り出されたトレイTRを受け取ってトレイ搬送コンベア22まで下降移動させるトレイ下降移動手段としてのトレイ下降移動シリンダ33を備え、トレイ搬送コンベア22は、トレイTRの供給時にはトレイ格納部35から取り出されたトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aの下方に搬送し、トレイTRの回収時にはトレイ下降移動シリンダ33によって下降移動された空のトレイTRをトレイTRの回収部(トレイ回収部37)に向けて搬送するようになっている。
本実施の形態におけるトレイ供給装置20では、トレイ供給位置(第2トレイ供給位置PR2)に位置したトレイTRの交換は、トレイ送り機構34により、トレイ供給位置(第2トレイ供給位置PR2)に位置した空のトレイTRをトレイ案内路31の出口部31bに送り出すとともに、トレイ案内路31の入口部31a側(ここでは第1トレイ供給位置PR1)からトレイTRをトレイ供給位置(第2トレイ供給位置PR2)に移動させることによって行われるが、トレイ格納部35から取り出されたトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aの下方まで搬送するトレイ搬送コンベア22の動作、トレイ案内路31の入口部31aの下方まで搬送されたトレイTRをトレイ案内路31の入口部31aまで上昇移動させるトレイ上昇移動シリンダ32の動作、トレイ案内路31の出口部31bに送り出されたトレイTRをトレイ搬送コンベア22まで下降移動させるトレイ下降移動シリンダ33の動作及び下降移動されたトレイTRをトレイ回収部37に向けて搬送するトレイ搬送コンベア22の動作は部品装着作業の実行中に、部品装着作業をほとんど停止させることなく行うことができる。このためトレイTRの交換に伴うタクトロスが少なく、実装基板の生産性の向上を図ることができる。
ここで、本実施の形態における部品実装装置1では、第1トレイ供給位置PR1と第2トレイ供給位置PR2とを比べた場合に、第2トレイ供給位置PR2の方が部品4の装着対象である基板2に近いことから、第2トレイ供給位置PR2に位置させたトレイTRからの部品4の取り出しを行い、第2トレイ供給位置PR2に位置させたトレイTR内の部品4がなくなった(トレイTRが空になった)ときにトレイTRの交換を行うようにする。すなわち、部品装着手段はトレイ案内路31内におけるトレイTRの移動方向に沿って複数設けられたトレイ供給位置(第1トレイ供給位置PR1及び第2トレイ供給位置PR2)のうちトレイ案内路31の出口部31bに最も近いトレイ供給位置(第2トレイ供給位置PR2)に供給されたトレイTRから部品4を取り出して基板2に装着し、トレイ案内路31の出口部31bに最も近いトレイ供給位置(第2トレイ供給位置PR2)に供給されたトレイTR内の部品4がなくなって空になった場合に、トレイ送り機構34がトレイ供給位置(第2トレイ供給位置PR2)に位置した空のトレイTRをトレイ案内路31の出口部31bに送り出すとともに新たなトレイTRをトレイ案内路31のトレイ供給位置(第1トレイ供給位置PR1)に位置させるようになっている。
なお、このようなトレイTRの第1トレイ供給位置PR1から第2トレイ供給位置PR2への移動は、このトレイTRの移動作業によって基板2に対する部品4の装着作業が停滞することがないよう、第2トレイ供給位置PR2に位置させたトレイTRが空になってもすぐに第2トレイ供給位置PR2に位置させたトレイTRの交換を行うのではなく、一旦第1トレイ供給位置PR1に位置させたトレイTRから部品4を取り出して基板2に装着する部品装着作業を実行し、基板位置決め部14上での基板2の入れ替え作業(部品4の装着作業が終了した基板2を搬出して新たな基板2を搬入して位置決めする作業)を開始したタイミングを見計らって第2トレイ供給位置PR2に位置させたトレイTRの交換を行うようにすることが好ましい。
また、本実施の形態において、基板2の位置決めを行う基板位置決め部14と、上記トレイ供給装置20と、トレイ供給装置20によりトレイ供給位置PR1に供給されたトレイTRから部品4を取り出して基板位置決め部14により位置決めされた基板2に装着する部品装着手段(部品反転部17及び部品装着部18)を備えた部品実装装置1は、上記効果を有するトレイ供給装置20を有したものであるので、製造基板を効率よく生産することができる。