JP2012156128A - 多層の膜電極接合体の製造方法及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、基材2に電解液3を含浸させて粘着性のフィルム状の電解質膜1を形成する工程と、電解質膜1を形成する工程の後に、電解質膜1を一平面上に延在させるとともに、該電解質膜1に区画線L1,L1・・を設定し、該区画線L1,L1・・により区画された一の単位区画Sに正極板4及び負極板5のいずれか又は双方を接合させて電極接合シート6を形成する工程と、電極接合シート6を形成する工程の後に、電極接合シート6を区画線L1に沿って切断又は折曲して形成された単位区画Sを順次積層する工程とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
また、上記方法により製造された積層体は、該積層体を電解液と共に可撓性のあるシート状外装体等のケースに封止してリチウムイオン二次電池とされている。
また、積層時、セパレータに電解液が含まれておらず前記正極板及び負極板がセパレータに固定されないため、セパレータの間に配置され上下方向に積層された正極板及び負極板が位置ずれすることがあり、所定の位置に正極板及び負極板が確実に積層された積層体を得難く、該積層体の製造効率が悪いという問題があった。
請求項1の発明は、基材に電解液を含浸させて粘着性のフィルム状の電解質膜を形成する工程と、前記電解質膜を形成する工程の後に、前記電解質膜を一平面上に延在させるとともに、該電解質膜に区画線を設定し、該区画線により区画された一の単位区画に正極板及び負極板のいずれか又は双方を接合させて電極接合シートを形成する工程と、前記電極接合シートを形成する工程の後に、前記電極接合シートを前記区画線に沿って切断又は折曲して形成された前記単位区画を順次積層する工程とを有することを特徴とする。
本発明では、フィルム状の電解質膜を形成し、その後、該電解質膜を一平面上に延在させて正極板及び負極板を接合し、更にその後、単位区画を積層するものであるため、各工程の作業が集中して効率的に行われる。
また、粘着性の電解質膜に正極板及び負極板を配するため、この粘着性により正極板と負極板とを電解質膜の所定の単位区画に確実に接合することができ、位置ずれが生じにくい。
本発明では、正極板及び負極板のいずれか一方又は双方に前記電解液が塗布されるため、リチウム塩を正極板または負極板の表面に十分に付着させることができる。
本発明では、前記フィルム状の電解質膜を形成する工程、前記電極接合シートを形成する工程、又は前記単位区画を順次積層する工程の少なくとも一の工程において電解質膜を加温するため、電解液が基材に含浸され易くなり、又は電解質膜の粘着性が高まるため該電解質膜と正負の電極板との接合が容易になる。
本発明では、正極板及び負極板と電解質膜との界面をより一層強固に接着することができるため、界面でのリチウム授受の抵抗が小さくなり、サイクル特性・レート特性が向上する。
本発明では、電極接合シートは、正極板と負極板とが電解質膜を挟んで一の単位区画おきに貼り合わされ、正極板が電解質膜の一の面側に、負極板が同他の面側に接合されているため、区画線に沿って電極接合シートを切断し、切断された単位区画をそのままの向きで順に積層するか、又は区画線に沿って電極接合シートをつづら折りにするだけで、正極板と負極板とが交互に配されるとともにこれら正極板と負極板との間に電解質膜を配した多層の膜電極接合体が得られる。
本発明では、正極板と負極板が電解質膜を挟んで一方及び他方の面にそれぞれ連続して接合されるとともに、正極板と負極板のいずれか一方にこれら正極板及び負極板のいずれも有しない電解質膜が配されているため、区画線に沿って電極接合シートを切断し、切断された単位区画をそのままの向きで順に積層するだけで、正極板と負極板との間に電解質膜を介在させた多層の膜電極接合体が得られる。
本発明では、電極接合シートが、正極板が電解質膜の一方の面に前記延在する方向に連続して接合された第一単位区画列と、負極板が電解質膜の他方の面に前記延在する方向に連続して接合された第二単位区画列との間の区画線で折曲して形成されているため、区画線に沿って電極接合シートを折曲し、折曲することで形成された電極接合シートを区画線に沿って切断し、その切断片である単位区画をそのままの向きで順に積層するだけで、正極板と負極板とが交互に配されるとともにこれら正極板と負極板との間に電解質膜を配した多層の膜電極接合体が得られる。
本発明では、液洩れのしない多層の膜電極接合体がリチウムイオン二次電池に用いられるため、リチウムイオン二次電池の液漏れが発生しなくなる。
すなわち、本発明によれば、フィルム状の電解質膜を形成し、その後、該電解質膜を一平面上に延在させて正極板及び負極板を前記電解質膜に接合し、更にその後、単位区画を積層している。すなわち、各工程の作業を分離して集中的に行うため、多層の膜電極接合体の製造が効率的となるという効果を奏する。また、多層の膜電極接合体の製造の各工程が単純化され、多層の膜電極接合体が的確かつ確実に製造され得るという効果を奏する。
図1は、本発明の第1の実施形態の多層の膜電極接合体の製造工程を示した概略説明図である。
なお、電解液3を固体電解質膜にする場合には、アセトニトリル等のニトリル化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル化合物:ジメチルホルムアミド等のアミド系化合物を単独または2種類以上を混合して調製される。
正極の前記端子用タブの材質としては、例えばアルミニウムが挙げられる。
正極活物質としては、例えば一般式LiMxOy(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。具体的には、金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が用いられる。
導電助剤としてはアセチレンブラック等が用いられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン等が用いられる。
負極の前記端子用タブの材質としては、例えばニッケルが挙げられる。
(I)フィルム状の電解質膜1を形成する工程
電解質膜1を形成するに当たっては、図1(a),(b)に示すように、まず、予め40℃〜120℃の範囲で加温して液状にされた希釈溶媒を含まない電解液3をロール状の基材2の下流側P1に用意しておき、該ロール状の基材2の下流側P1においてロールから繰り出される該基材2に該電解液3を塗布又は含浸させていく。そして、電解液3を塗布又は含浸させた基材2を常温に戻すことによってゲル化させフィルム状の電解質膜1を得る。この際、電解質膜1の表面には粘着性が生じている。
なお、塗布又は含浸する電解液3に希釈溶媒が含まれている場合には、該電解液3を基材2に塗布又は含浸した後、希釈溶媒を揮発させ、ゲル化させる。
電解液3の塗布又は含浸方法としては、例えば、ディッピングや、グラビアコーター、コンマコーター、リップコーター等を用いる各種コーター方式が挙げられる。
この際、電解液3の粘度は、10から100,000cpsであることが好ましく、100から10,000cpsがより好ましい。
上記のようにして電解質膜1が形成された後、該電解質膜1を一平面上に一方向に延在させた状態に配置し、該電解質膜1にその先端側から基端側に向けて区画線L1を設定し、一の正極板4又は負極板5を接合させる領域(単位区画)Sを定めながら正極板4及び負極板5を接合して電極接合シート6を形成していく。この際、正極板4及び負極板5の表面には、非水電解質液と同様の電解液3を塗布して、電解質膜1に接合することが好ましい。
電解液3が固体化されるものである場合には、電解質膜1の電解液3に含まれる溶媒が揮発しないよう、電解質膜1を乾燥せずに、速やかに正極板4及び負極板5を貼り付けるようにする。
電解質膜1に含まれている電解質が半固体化されている場合にも同様に、電解質膜1を40℃〜120℃の範囲で加温しておくとよい。
電解質膜1を加温した場合には、その後、電解質膜1を再び常温におき、電解質膜1を再びゲル化する。
工程(III)においては、上記工程(II)よりも更に下流側P3の所定の位置において、電極接合シート6を該シートの幅方向に形成された区画線L1,L1・・に沿って切断し、一の単位区画Sを形成する。そして、切断された単位区画Sをそのままの向きで順に積み重ねた積層体Aを得る。この積層体Aにおける正極および負極の端子用タブ4a,5aを、それぞれ超音波溶接等の手法で溶接して一体化させ、さらに、タブの一端を外方に突出させた状態でアルミニウム製フィルム等の導電性フィルムでこの積層体Aを包み、ラミネート加工して封止することにより、多層の膜電極接合体(不図示)が得られる。
なお、単位区画Sを積層する際には、該積層される単位区画Sを該電解質膜1が40℃〜120℃の範囲で加温されていることが望ましい。
下記電解液を高分子マトリックスであるPVDF−HFP(ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、アルドリッチ製)10質量部と、非水電解液であるLiPF6 (キシダ化学製、リチウム塩濃度1mol/l、ジメチルカーボネート:エチレンカーボネート(2:1、体積比)混合溶媒)90質量部とを混合した。この混合溶液をディスパー(プライミクス(株)製 TKホモディスパー2.5型)で1時間攪拌した。
不織布(PP製、空孔率76%、厚み30μm 廣瀬製紙(株)製HOP6) 幅を100mmにカットしたものをロール状に巻いたものを用いた。
<正極> LiCoO2(コバルト酸リチウム 日本化学工業(株)セルシードC-5H)89質量部と、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、(株)クレハ KFポリマーL♯1120)6質量部と、カーボンブラック(電気化学工業 デンカブラック5質量部と、N−メチルピロリドン(NMP)100質量部とを前記ディスパーで1時間混合し、20μmのアルミニウム箔に両面塗布し、更に減圧乾燥(100℃、−0.1MPa、10時間)してロールプレスした。
<負極>グラファイト(日本黒鉛工業(株)CGB−10)90質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、(株)クレハ KFポリマーL♯1120)10質量部、N−メチルピロリドン(NMP)120質量部を前記ディスパーで1時間混合し、20μmの銅箔に両面塗布し、減圧乾燥(100℃、−0.1MPa、10時間)してロールプレスした。
上記の正負の電極をあらかじめカットした。活物質層のある部分としては、負極は80×80mm、正極は78×78mmとした。活物質が被覆されていない部分(タブ部分)を2×5cm程度残してカットした。
この電極接合シート6を単位区画S毎に切断する場合には、2列に形成した電極接合シート6を電解質膜1の延在方向に1列ずつの電極接合シート6となるように区画線L2で電解質膜1を切断し、その後幅方向の区画線L1に沿って切断していく。
なお、本変形例では、上述した第1の実施形態の電極接合シート6を2列連設させたものとしたが、これに限られるものではなく、電極接合シート6の延在方向と直交する方向に複数列連接させたものとしてもよい。
本実施形態においては、電解質膜1の下流側から上流側に向かって一方向かつ一平面上に延在させた単位区画Sに、正極板4を一方の面1aに、負極板5を他方の面1bにそれぞれ連続して貼り合わせ、更に正極板4(又は負極板5)の面上に正極板4及び負極板5のいずれも有しない電解質膜1を配置して電極接合シート6が形成されている。
電極接合シート6をかかる構成とすることにより、第2単位区画列8を第1単位区画列7側に折り返して簡便に切断前の上記積層状態、すなわち単位区画Sが電解質膜1、正極板4、電解質膜1、負極板5の順に積層された状態を形成することが可能となる。
本実施形態においては、正極板4を接合させた電解質膜1を、これとは別に形成された負極板5を接合させた電解質膜1上に配置することにより電極接合シート6を形成している。
この場合も、電極接合シート6の各単位区画Sが正極板4、電解質膜1、負極板5、電解質膜1の順に積層されたものとなるため、該単位区画Sを1つずつ切断して切断されたままの向きで単位区画Sを上方に積層していくことにより、前述の第1の実施形態による場合と同様の効果が得られる。
本実施形態において、電解質膜1は、単位区画Sが2つ設けられる幅寸法とし、該電解質膜1の一側縁1p側の第一単位区画列7に正極板4を接合させ、他側縁1q側の第二単位区画列8に負極板5を接合させる。
この場合、正極板4は、第一単位区画列7において電解質膜1の一方の面1bに連続して接合し、負極板5は、第二単位区画列8において電解質膜1の他方の面1aに連続して接合している。
そして、第一単位区画列7と、第二単位区画列8との間の区画線L2において電解質膜1を折曲し、第一単位区画列7と第二単位区画列8とを重ね合わせることにより、電極接合シート6を形成している。
この場合、正極板4又は負極板5が接合された単位区画Sを電解質膜1の下流において順に切断し、切断したままの向きで順に積層していくだけで簡易に積層体Aが得られる。
本実施形態では、第1から第4の実施形態と異なり、単位区画Sを順次積層する工程(III)において積層体Aを積層方向に加熱プレスする構成としている。
加熱プレスは、熱ラミネータや熱ロール等を用いることができる。加熱の温度は、例えば50度から100度、より好ましくは60℃〜80℃で行われることが好ましい。
また、上記工程(II)〜(III)のいずれか又は全ての工程において電解質膜1が加温された場合であっても、正極板4及び負極板5と電解質膜1との界面をより一層強固に接着することができる。そしてその結果、界面でのリチウム授受の抵抗が小さくなり、サイクル特性・レート特性が向上するという効果が得られる。
1a 一方の面
1b 他方の面
2 基材
3 電解液
4 正極板
5 負極板
6 電極接合シート
7 第一単位区画列
8 第二単位区画列
A 積層体
L1,L2 区画線
S 単位区画
Claims (8)
- 基材に電解液を含浸させて粘着性のフィルム状の電解質膜を形成する工程と、
前記電解質膜を形成する工程の後に、前記電解質膜を一平面上に延在させるとともに、該電解質膜に区画線を設定し、該区画線により区画された一の単位区画に正極板及び負極板のいずれか又は双方を接合させて電極接合シートを形成する工程と、
前記電極接合シートを形成する工程の後に、前記電極接合シートを前記区画線に沿って切断又は折曲して形成された前記単位区画を順次積層する工程とを有することを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
前記正極板及び前記負極板は、該正極板及び該負極板のいずれか一方又は双方に前記電解液を塗布した後に前記電解質膜に接合されることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
前記フィルム状の電解質膜を形成する工程、前記電極接合シートを形成する工程、又は前記単位区画を順次積層する工程の少なくとも一の工程において電解質膜を加温することを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
前記電極接合シートを前記区画線に沿って切断又は折曲して形成された前記単位区画を順次積層する工程により得られた積層体を積層方向に加熱プレスすることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
前記電極接合シートは、前記電解質膜の一方の面に前記一の単位区画おきに前記正極板を接合し、前記正極板を接合した前記単位区画の他方の面に前記負極板を接合して形成されることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
前記電極接合シートは、前記正極板を前記電解質膜において前記延在する方向に設定された前記単位区画に連続して該電解質膜の一方の面に接合し、前記負極板を前記電解質膜において前記延在する方向に設定された前記単位区画に連続して前記電解質膜の他方の面に接合するとともに、前記正極板及び前記負極板のいずれか一方の面上に前記正極板及び前記負極板のいずれも有しない前記電解質膜を接合して形成されることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1から4のいずれか一項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
前記電解質膜は、該電解質膜の前記延在する方向に沿って形成された第一単位区画列と、前記延在する方向に直交する側に前記第一単位区画列と隣接するように形成された第二単位区画列とを有し、
前記電極接合シートは、前記正極板を前記第一単位区画列の一方の面に前記延在する方向に連続して接合するとともに、前記負極板を前記第二単位区画列の他方の面に前記延在する方向に連続して接合し、前記第一単位区画列と、前記第二単位区画列との間の前記区画線で折曲して形成されることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法により製造された多層の膜電極接合体を用いて形成されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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