JP2012155104A - トナーおよびトナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 低温定着性、耐高温オフセット性および耐久性が良好で、人体に無害なトナー原料からなり、環境への負荷を抑制したトナー、およびトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】 トナーは、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下の第1ポリエステル樹脂と、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下の第2ポリエステル樹脂と、着色剤と、低融点ワックスとを溶融混練して得られる。第1ポリエステル樹脂は、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られる。第2ポリエステル樹脂は、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下である。
【選択図】 なし
【解決手段】 トナーは、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下の第1ポリエステル樹脂と、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下の第2ポリエステル樹脂と、着色剤と、低融点ワックスとを溶融混練して得られる。第1ポリエステル樹脂は、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られる。第2ポリエステル樹脂は、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、トナーおよびトナーの製造方法に関する。
近年、環境問題の観点から、トナー原料の安全性の確保が求められる。トナーの結着樹脂としては、たとえばポリエステル樹脂が使用され、ポリエステル樹脂の重合用触媒として、たとえば酸化ジブチルスズなどの有機スズ化合物が使用される。しかしながら、酸化ジブチルスズを使用して重合されたポリエステル樹脂には、1000ppm程度のSn−C結合が含まれ、このようなポリエステル樹脂は、環境ホルモン物質として指摘されている。このように、ポリエステル樹脂の重合用触媒の種類によっては、人体に無害なトナー原料からなるトナーを得ることができない。
一方、高速印刷のために、トナーの低温定着性の向上が求められる。トナーの低温定着性を向上させる方法としては、たとえば結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いることが有効である。しかしながら、ポリエステル樹脂は耐高温オフセット性に課題がある。
このような問題を解決するために、特許文献1,2には、結着樹脂として、低分子量の結着樹脂Aと、高分子量の結着樹脂Bとを用い、結着樹脂A,Bのそれぞれの分子量分布(数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn))を規定するトナーが開示されている。特許文献1,2に開示のトナーによれば、結着樹脂A,Bのそれぞれの分子量分布を調整することで、耐高温オフセット性および低温定着性に優れるトナーを得ることができる。
また、特許文献3には、2価および3価の酸成分とアルコール成分とを重合させて得られ、架橋成分を含む線状ポリエステル樹脂を含むトナーが開示されている。特許文献4,5には、線状ポリエステル樹脂および非線状ポリエステル樹脂を含有し、これらの樹脂の分子量およびゲル成分を規定したトナーが開示されている。さらに、特許文献6には、線状ポリエステル樹脂および非線状ポリエステル樹脂を含有し、これらの樹脂の分子量を規定したトナーが開示されている。特許文献7には、ゲル成分を含むポリエステル樹脂を使用するトナーが開示されている。特許文献3〜7に開示のトナーによれば、耐高温オフセット性を向上させることができる。
このように、特許文献1〜7に開示のトナーは、低温定着性および耐高温オフセット性が向上されたものであるが、低温定着性および耐高温オフセット性の両立が充分であるとは言えない。
トナーの低温定着性をより向上させるためには、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いるとともに、そのポリエステル樹脂中に低融点ワックスを分散させることが考えられる。
ポリエステル樹脂中に低融点ワックスを分散させるため、特許文献8には、ポリエステル樹脂とともにスチレン共重合体を用いるトナーが開示されている。特許文献9には、低融点ワックスをポリエステル樹脂中に分散させるための物質として、ポリアルキレンにスチレン系ポリマー鎖またはスチレンアクリル系ポリマー鎖がグラフトした構造を持つグラフト重合体およびスチレンアクリル系樹脂からなる樹脂組成物を含有するトナーが開示されている。特許文献10には、低融点ワックスをポリエステル樹脂中に分散させるための物質として、ワックス成分にビニル系樹脂をグラフトさせた樹脂を含有するトナーが開示されている。特許文献11には、ポリエステル樹脂中への分散性を向上させるために、低融点ワックスとして高酸価ワックスを用い、さらに低酸価ワックスを含有するトナーが開示されている。
特許文献12には、非晶性ポリエステル樹脂中に、結晶性ポリエステル樹脂と低融点ワックスとを含有させることで、ポリエステル樹脂中への低融点ワックスの分散性を向上させたトナーが開示されている。
しかしながら、低融点ワックスは、溶融混練法によって得られるトナー中において、従来利用されるポリエステル樹脂に対して充分に分散しないという問題がある。そのため、特許文献8〜12に開示のトナーを溶融混練法で作製すると、低融点ワックスの分散性が不充分となり、低温定着性をより向上させることは難しい。
低融点ワックスが充分に分散しない理由は、ポリエステル樹脂は軟化点が高く、溶融混練時の粘度が高いので、溶融粘度の低い低融点ワックスの分散が阻害されるためである。そこで、軟化点の低いポリエステル樹脂を用いて溶融混練法でトナーを製造すると、ポリエステル樹脂中の低融点ワックスの分散性は向上するが、ポリエステル樹脂のガラス転移温度の低下によって、耐高温オフセット性およびトナーの耐久性が低下する。
また、従来広く利用されるポリエステル樹脂に対して低融点ワックスが充分に分散しない理由としては、ポリエステル樹脂と低融点ワックスとの相溶性が低いことも挙げられる。このような問題を解決するために、低融点ワックスに高い酸価および水酸基価を持たせて、低融点ワックスとポリエステル樹脂との相溶性を改善し、ポリエステル樹脂に対する低融点ワックスの分散性を向上させることが考えられる。しかしながら、高い酸価および水酸基価を有する低融点ワックスは極性が高く、ポリエステル樹脂との相互作用が強いので、定着時にトナーからの染み出し方が悪くなり、低温定着性が充分ではない。
本発明の目的は、低温定着性、耐高温オフセット性および耐久性が良好で、人体に無害なトナー原料からなり、環境への負荷を抑制したトナー、およびトナーの製造方法を提供することである。
本発明は、着色剤と、
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分を含有しない第1ポリエステル樹脂と、
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下で、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満の第2ポリエステル樹脂と、
融点が50℃以上100℃以下で、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満のワックスと、を溶融混練して得られることを特徴とするトナーである。
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分を含有しない第1ポリエステル樹脂と、
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下で、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満の第2ポリエステル樹脂と、
融点が50℃以上100℃以下で、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満のワックスと、を溶融混練して得られることを特徴とするトナーである。
また本発明は、前記チタン系触媒が、炭素数1〜8のアルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタン化合物、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタン化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタニル化合物、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタニル化合物、カルボン酸チタニル塩化合物およびチタンキレート化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
また本発明は、前記チタンキレート化合物は、配位子が、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、オクチレングリコール、トリエタノールアミン、乳酸および乳酸アンモニウムから選ばれることを特徴とする。
また本発明は、前記ワックスが、パラフィンワックスであることを特徴とする。
また本発明は、前記ワックスが、エステルワックスであることを特徴とする。
また本発明は、前記ワックスが、エステルワックスであることを特徴とする。
また本発明は、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分を含有しない第1ポリエステル樹脂を得る工程と、
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下で、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満の第2ポリエステル樹脂を得る工程と、
融点が50℃以上100℃以下で、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満であるワックスと、前記第1ポリエステル樹脂と、前記第2ポリエステル樹脂と、着色剤とを溶融混練する溶融混練工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下で、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満の第2ポリエステル樹脂を得る工程と、
融点が50℃以上100℃以下で、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満であるワックスと、前記第1ポリエステル樹脂と、前記第2ポリエステル樹脂と、着色剤とを溶融混練する溶融混練工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明によれば、トナーは、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下の第1ポリエステル樹脂と、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下の第2ポリエステル樹脂と、着色剤と、ワックスとを溶融混練して得られる。第1ポリエステル樹脂は、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、テトラヒドロフランに対する不溶分を含有しないポリエステル樹脂である。第2ポリエステル樹脂は、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満のポリエステル樹脂である。ワックスは、融点が50℃以上100℃以下であり、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満のワックスである。
第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂は、チタン系触媒の存在下で縮重合させて得られるものであり、ポリエステル樹脂の重合用触媒として有機スズ化合物を使用しないので、トナーは、人体に対して無害なトナー原料からなる。
チタン系触媒の存在下で縮重合させて得られる第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂には、チタン金属が含まれる。第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂中に分散されたチタン金属によって、第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂と、ワックスとの相溶性が向上するので、トナーの低温定着性が向上する。
重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下の第2ポリエステル樹脂を含むことによって、トナーの耐高温オフセット性および耐久性を向上させることができる。
以上のことから、トナーは、低温定着性、耐高温オフセット性および耐久性が良好で、人体に無害なトナー原料からなり、環境への負荷を抑制するものである。
また本発明によれば、チタン系触媒が、炭素数1〜8のアルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタン化合物、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタン化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタニル化合物、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタニル化合物、カルボン酸チタニル塩化合物およびチタンキレート化合物から選ばれる少なくとも1種である。このようなチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られる第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂を含むトナーは、低温定着性、耐高温オフセット性および耐久性が良好で、人体に無害なトナー原料からなり、環境への負荷を抑制するものである。
また本発明によれば、チタンキレート化合物は、配位子が、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、オクチレングリコール、トリエタノールアミン、乳酸、乳酸アンモニウムから選ばれる。このような配位子を有するチタンキレート化合物の存在下で縮重合させて得られる第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂を含むトナーは、低温定着性、耐高温オフセット性および耐久性が良好で、人体に無害なトナー原料からなり、環境への負荷を抑制するものである。
また本発明によれば、ワックスが、パラフィンワックスであるので、第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂との相溶性が良好で、トナーの低温定着性を向上させることができる。また、定着時のトナーの離型性が良好となる。
また本発明によれば、ワックスが、エステルワックスであるので、第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂との相溶性が良好で、トナーの低温定着性を向上させることができる。また、定着時のトナーの離型性が良好となる。
また本発明によれば、トナーの製造方法は、第1ポリエステル樹脂を得る工程と、第2ポリエステル樹脂を得る工程と、溶融混練工程とを含む。第1ポリエステル樹脂を得る工程では、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、をチタン系触媒の存在下で縮重合させて、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分を含有しない第1ポリエステル樹脂を得る。第2ポリエステル樹脂を得る工程では、2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方と、をチタン系触媒の存在下で縮重合させて、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下で、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満の第2ポリエステル樹脂を得る。溶融混練工程では、融点が50℃以上100℃以下で、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満であるワックスと、前記第1ポリエステル樹脂と、前記第2ポリエステル樹脂と、着色剤とを溶融混練する。
第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂が、チタン系触媒の存在下で縮重合させて得られるものであり、ポリエステル樹脂の重合用触媒として有機スズ化合物を使用しないので、人体に対して無害なトナー原料からなるトナーを得ることができる。
チタン系触媒の存在下で縮重合させて得られる第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂には、チタン金属が含まれる。第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂中に分散されたチタン金属によって、第1ポリエステル樹脂および第2ポリエステル樹脂と、ワックスとの相溶性が向上するので、低温定着性が良好なトナーを得ることができる。
また、チタン系触媒の存在下で縮重合させて得られることで、第2ポリエステル樹脂は、適度な軟化点を有する。そのため、溶融混練法によって製造されるトナー中に、低融点のワックスを均一に分散させることができ、低温定着性が良好であるとともに、耐高温オフセット性および耐久性が良好なトナーを得ることができる。
以上のことから、低温定着性、耐高温オフセット性および耐久性が良好で、人体に無害なトナー原料からなり、製造時の環境への負荷を抑制することができるトナーを得ることができる。
本発明の実施の一形態であるトナーは、結着樹脂、着色剤、ワックスおよび電荷制御剤を含む。
(結着樹脂)
本実施形態において、結着樹脂は、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下の第1ポリエステル樹脂(以下、「低分子量ポリエステル樹脂」と記載する)、および重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下の第2ポリエステル樹脂(以下、「高分子量ポリエステル樹脂」と記載する)を含む。結着樹脂が低分子量ポリエステル樹脂を含むことによって、トナーの低温定着性を向上させることができる。また、結着樹脂が高分子量ポリエステル樹脂を含むことによって、トナーの耐高温オフセット性および耐久性を向上させることができる。
本実施形態において、結着樹脂は、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下の第1ポリエステル樹脂(以下、「低分子量ポリエステル樹脂」と記載する)、および重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下の第2ポリエステル樹脂(以下、「高分子量ポリエステル樹脂」と記載する)を含む。結着樹脂が低分子量ポリエステル樹脂を含むことによって、トナーの低温定着性を向上させることができる。また、結着樹脂が高分子量ポリエステル樹脂を含むことによって、トナーの耐高温オフセット性および耐久性を向上させることができる。
高分子量ポリエステル樹脂および低分子量ポリエステル樹脂は、原料モノマーであるアルコール成分とカルボン酸成分とを、チタン系触媒の存在下で縮重合させることにより得られる。
アルコール成分としては、2価のアルコール成分および3価以上のアルコール成分が挙げられる。
2価アルコール成分としては、たとえばポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス4−ヒドロキシフェニルプロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
3価以上のアルコール成分としては、たとえばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
酸成分としては、2価のカルボン酸成分および3価以上のカルボン酸成分などが挙げられる。
2価のカルボン酸成分としては、たとえばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、およびこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸成分としては、たとえば1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラメチレンカルボキシルメタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等が挙げられる。
これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸またはその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。
前述のように、低分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、4000以上10000以下である。低分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が4000未満であると、トナーの保存性が低下する。低分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が10000を超えると、低温定着性が低下する。
低分子量ポリエステル樹脂は、直鎖状の主鎖からなるポリエステル樹脂または直鎖状の主鎖とそれに結合する比較的短い側鎖とからなる構造をもつポリエステル樹脂であることが好ましく、3価以上のモノマー成分および架橋剤を使用することなく、2価のモノマー成分の縮重合により得られるものであることが好ましい。
低分子量ポリエステル樹脂は、テトラヒドロフラン(以下「THF」と記載する)不溶分を含まず、数平均分子量(Mn)が4000以上10000以下である。
低分子量ポリエステル樹脂の数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は、2以上10以下が好ましい。
低分子量ポリエステル樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下がより好ましい。低分子量ポリエステル樹脂の酸価が40mgKOH/gを超えると、高湿環境下においてトナーの帯電性が低下するおそれがある。
低分子量ポリエステル樹脂の軟化点は、80℃以上120℃が好ましく、90℃以上110℃以下がより好ましい。低分子量ポリエステル樹脂の軟化点が80℃未満であると、低分子量ポリエステル樹脂の凝集力が極端に低下する。低分子量ポリエステル樹脂の軟化点が120℃を超えると、トナーの低温定着性が低下する。
低分子量ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、50℃以上75℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
前述のように、高分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、50000以上300000以下であり、150000以上250000以下が好ましい。高分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が50000未満であると、トナーの耐久性および耐高温オフセット性が低下する。高分子量ポリエステル樹脂の重量平均分子量が300000を超えると、ワックスの結着樹脂中での分散性が低下する。
高分子量ポリエステル樹脂は、2価のモノマー成分と3価以上のモノマー成分との縮重合により得られるポリエステル樹脂であることが好ましい。また、高分子量ポリエステル樹脂は、架橋成分を含むことが好ましい。高分子量ポリエステル樹脂が架橋成分を含むことによって、トナーの耐久性を向上させることができる。
高分子量ポリエステル樹脂は、THF不溶分が3重量%未満であり、数平均分子量(Mn)が6000以上12000以下であり、8000以上10000以下が好ましい。
高分子量ポリエステル樹脂の数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)は、30以下であり、15以上25以下が好ましい。Mw/Mnは、高分子量ポリエステル樹脂の分子量分布の広がりを示す。Mw/Mnが30を超えると、高分子量ポリエステル樹脂が低分子量成分や高分子量成分を含有することとなり、トナーの耐久性およびワックスの分散性が低下する。
高分子量ポリエステル樹脂の酸価は、50mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以上45mgKOH/g以下がより好ましい。高分子量ポリエステル樹脂の酸価が50mgKOH/gを超えると、高湿環境下においてトナーの帯電性が低下するおそれがある。
高分子量ポリエステル樹脂の軟化点は、110℃以上160℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。高分子量ポリエステル樹脂の軟化点が110℃未満であると、樹脂の凝集力が極端に低下する。高分子量ポリエステル樹脂の軟化点が160℃を超えると、その樹脂を使用したトナーの溶融流動および低温定着性が低下する。
高分子量ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、50℃以上75℃以下が好ましく、55℃以上70℃以下がより好ましい。
本実施形態では、低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂を重合するときに、触媒としてチタン系触媒を用いる。
低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂の重合時に、チタン系触媒を用いることによって、ポリエステル樹脂を重合する触媒として有機スズ化合物を用いる場合とは異なり、人体に対して無害なポリエステル樹脂を得ることができるので、安全なトナー原料からなるトナーを得ることができる。
人体に対して無害なポリエステル樹脂を重合できる触媒としては、他に、シュウ酸スズおよびジオクタン酸スズなどの無機スズ化合物が挙げられる。しかしながら、無機スズ化合物を用いて重合された、高分子量ポリエステル樹脂、とくに架橋成分を含む高分子量ポリエステル樹脂は、分子量分布が広がりやすく、Mw/Mnが大きくなりやすいので、極端に大きな分子量の分子およびゲル成分の含有を抑制できない。そのため、溶融混練法によるトナーの製造において、ワックスを結着樹脂中に均一に分散させることが難しく、トナーの低温定着性が低下する。なお、有機スズ化合物は、Sn−C結合を有する化合物であり、無機スズ化合物は、Sn−C結合を有しない化合物である。
高分子量ポリエステル樹脂の製造に、チタン系触媒を用いることによって、極端に大きな分子量の分子およびゲル成分の含有を抑制でき、分子量分布の幅が狭い、すなわち、Mw/Mnが前述の範囲の高分子量ポリエステル樹脂、および架橋成分を含む高分子量ポリエステル樹脂を得ることができる。
また、低分子量ポリエステル樹脂の製造に、チタン系触媒を用いることによって、分子量分布の幅が狭い低分子量ポリエステル樹脂、すなわち、Mw/Mnが前述の範囲の低分子量ポリエステル樹脂を得ることができる。
また、適度な軟化点を有する高分子量ポリエステル樹脂を得ることができる。そのため、後述する溶融混練法によるトナーの製造において、低分子量ポリエステル樹脂、高分子量ポリエステル樹脂および後述するワックスを用いて良好な溶融混練を行うことができ、ワックスを結着樹脂中に均一に分散させることができるとともに、トナーの耐高温オフセット性および耐久性を良好にすることができる。
さらに、チタン系触媒の存在下で縮重合させて得られる低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂中には、チタン金属が分散している。そのため、低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂と、ワックスとの相溶性が向上させることができると考えられ、トナーの低温定着性を向上させることができる。
ここで、チタン系触媒を用いることによって分子量分布の幅が狭い高分子量ポリエステル樹脂を得ることができる理由を説明する。
アルコール成分とカルボン酸成分とからエステル化反応を進める際、脱離成分による副反応を抑制することが重要である。副反応が生じるとエステル化反応が止まり、高分子量ポリエステル樹脂を生成することが困難となるので、反応時間を長くして平均分子量を高くすると、得られる高分子量ポリエステル樹脂の分子量分布が広がる。チタン系触媒は、触媒活性が高く単位時間あたりのエステル化反応量が高いので、副反応を抑制することができ、分子量分布の幅が狭い高分子量ポリエステル樹脂を生成することができる。なお、前述の無機スズ化合物は、触媒活性は低いので、分子量分布の幅が狭い高分子量ポリエステル樹脂を製造することが困難である。特に後述するチタンアルコキシド化合物およびチタンキレート化合物のエステル化反応速度は、無機スズ化合物である酸化ジブチルスズの反応速度の2倍以上であり分子量分布の狭い高分子量ポリエステル樹脂を製造するのに好ましい。
チタン系触媒としては、炭素数1〜8のアルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタン、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタン、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタニル、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタニル、カルボン酸チタニル塩、およびチタンキレート化合物からなる少なくとも1種のチタン化合物が挙げられる。
炭素数1〜8のアルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物としては、特に限定されないが、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラペントキシチタン、テトラオクトキシチタン等が挙げられる。
炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタン化合物としては、特に限定されないが、ぎ酸チタン、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、オクタン酸チタン、シュウ酸チタン、コハク酸チタン、マレイン酸チタン、アジピン酸チタン、セバシン酸チタン、ヘキサントリカルボン酸チタン、イソオクタントリカルボン酸チタン、オクタンテトラカルボン酸チタン、デカンテトラカルボン酸チタン等が挙げられる。
炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタン化合物としては、特に限定されないが、安息香酸チタン、フタル酸チタン、テレフタル酸チタン、イソフタル酸チタン、1,3−ナフタレンジカルボン酸チタン、4,4−ビフェニルジカルボン酸チタン、2,5−トルエンジカルボン酸チタン、アントラセンジカルボン酸チタン、トリメリット酸チタン、2,4,6−ナフタレントリカルボン酸チタン、ピロメリット酸チタン、2,3,4,6−ナフタレンテトラカルボン酸チタン等が挙げられる。
炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタニル化合物としては、特に限定されないが、ぎ酸チタニル、酢酸チタニル、プロピオン酸チタニル、オクタン酸チタニル、シュウ酸チタニル、コハク酸チタニル、マレイン酸チタニル、アジビン酸チタニル、セバシン酸チタニル、ヘキサントリカルボン酸チタニル、イソオクタントリカルボン酸チタニル、オクタンテトラカルボン酸チタニル、デカンテトラカルボン酸チタニル等が挙げられる。
炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタニル化合物としては、特に限定されないが、安息香酸チタニル、フタル酸チタニル、テレフタル酸チタニル、イソフタル酸チタニル、1,3−ナフタレンジカルボン酸チタニル、4,4−ビフェニルジカルボン酸チタニル、2,5−トルエンジカルボン酸チタニル、アントラセンジカルボン酸チタニル、トリメリット酸チタニル、2,4,6−ナフタレントリカルボン酸チタニル、ピロメリット酸チタニル、2,3,4,6−ナフクレンテトラカルボン酸チタニル等が挙げられる。
カルボン酸チタニル塩化合物としては、特に限定されないが、たとえば、上記のカルボン酸チタニルに対するアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)塩もしくはアルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど)塩などが挙げられる。これらの中では、マレイン酸チタニル塩およびシュウ酸チタニル塩が好ましい。
チタンキレート化合物は、配位子が、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、オクチレングリコール、トリエタノールアミン、乳酸、乳酸アンモニウムから選ばれることが好ましい。
低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂は、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを、上記チタン系触媒の存在下で縮重合させて得られる。
具体的には、上記原料モノマーと、上記チタン系触媒とを添加し、反応温度170〜250℃、反応圧力5mmHg〜常圧で反応を行い(最適温度、圧力はモノマー成分の反応性で決める)、前述の所定の物性になった時点で反応を終了させれば良い。なお、上記原料モノマーの縮重合反応がある程度進んだ時点で、追加で上記原料モノマーを添加してもよい。具体的には、上記原料モノマーを220〜250℃の温度で3〜5時間縮重合させ、170〜210℃の温度まで冷却してから、追加で上記原料モノマーを添加してもよい。
(着色剤)
着色剤としては、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。以下では、カラーインデックス(Color Index)を「C.I.」と略記する。
着色剤としては、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、およびブラックトナー用着色剤などが挙げられる。以下では、カラーインデックス(Color Index)を「C.I.」と略記する。
イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー74、およびC.I.ピグメントイエロー185などの顔料、黄色酸化鉄および黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、およびC.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。
マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、およびC.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。
シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー25、およびC.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。
ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、およびアセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。
これらの顔料以外にも、紅色顔料、緑色顔料などを使用できる。着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。トナー原料の溶融混練物における着色剤の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは該溶融混練物全量の0.1〜20重量%、さらに好ましくは0.2〜10重量%である。
(ワックス)
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレン−ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系ワックス、アルコール変性炭化水素ワックス、エステルワックス、カルナウバワックス、アミド系ワックス等のいずれも使用することができるが、結着樹脂との相溶性および離型性、融点の観点から、パラフィンワックス、エステルワックス、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。ワックスは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレン−ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系ワックス、アルコール変性炭化水素ワックス、エステルワックス、カルナウバワックス、アミド系ワックス等のいずれも使用することができるが、結着樹脂との相溶性および離型性、融点の観点から、パラフィンワックス、エステルワックス、マイクロクリスタリンワックスが好ましい。ワックスは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用して使用してもよい。
ワックスの融点は、トナーの低温定着性の確保の観点から50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上90℃以下がより好ましい。本発明のトナーには、このように融点の低い低融点ワックスが、低分子量ポリエステル樹脂および高分子量ポリエステル樹脂を含む結着樹脂中に均一に分散されているので、低温定着性が良好である。
ワックスの酸価は、2.0mgKOH/g未満が好ましく、1.0mgKOH/g未満がより好ましい。ワックスの酸価が2.0mgKOH/g以上であると、結着樹脂との相溶性が高く、定着時の染み出しが悪くなり、トナーの低温定着性の改善を図ることが困難である。
ワックスの水酸基価は、5.0mgKOH/g未満が好ましく、3.0mgKOH/g未満がより好ましい。ワックスの水酸基価が5.0mgKOH/g以上であると、結着樹脂との相溶性が高く、定着時の染み出しが悪くなり、トナーの低温定着性の改善を図ることが困難である。
ワックスの含有量は、結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下が好ましく、1重量部以上8重量部以下がより好ましい。
(電荷制御剤)
電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。
電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、ベンジル酸誘導体の金属化合物(金属はボロン、アルミニウムなど)、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
トナー原料の溶融混練物における電荷制御剤の含有量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、該溶融混練物全量の0.5〜5重量%である。
本発明のトナーには、結着樹脂、着色剤、ワックスおよび荷電制御剤の他に、導電性調整剤、体質顔料、酸化防止剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が、適宜含有されていてもよい。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーは、たとえば以下のような溶融混練法で製造する。
本発明のトナーは、たとえば以下のような溶融混練法で製造する。
上記トナー原料を混合機で乾式混合し、得られる混合物を混練機で溶融混練して溶融混練物を得る。溶融混練は、結着樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら行われる。
溶融混練物中には、着色剤が0.1〜20重量%、ワックスが1〜10重量%が含まれ、残部が結着樹脂であることが好ましい。または、着色剤が0.1〜20重量%、ワックスが1〜10重量%、および電荷制御剤が0.5〜3重量%含まれ、残部が結着樹脂であることが好ましい。
混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサー(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87(商品名、株式会社池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーディックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。
溶融混練物を冷却し、固化させて樹脂組成物を得る。樹脂組成物は、ハンマーミルまたはカッターミルなどによって、たとえば100μm〜5mm程度の粒径を有する粗粉砕物に粉砕される。その後、このような粗粉砕物を、たとえば15μm以下の粒径の微粉体になるまでさらに粉砕する。粗粉砕物の粉砕には、たとえば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機または高速で回転する回転子(ロータ)と固定子(ライナ)との間に形成される空間に粗粉砕物を導入して粉砕する衝撃式粉砕機などを用いることができる。
粉砕機による粉砕後、トナー粒子から微粉を除去するために、分級を行なってもよい。
粉砕機による粉砕後、トナー粒子から微粉を除去するために、分級を行なってもよい。
以上のようにして製造されたトナー粒子は、そのままトナーとして用いてもよいし、外添剤を外添したものをトナーとして用いてもよい。外添剤を外添することによって、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性、長期保存性改善、クリーニング特性改善、感光体表面磨耗特性制御の効果を得ることができる。
外添剤としては、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末およびアルミナ微粉末などが挙げられる。外添剤は、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量、外添剤を添加することによる感光体の摩耗に対する影響およびトナーの環境特性などを考慮して、トナー粒子100重量部に対し0.1重量部以上2重量部以下が好適である。
また、本発明のトナーは、1成分現像剤としても2成分現像剤としても使用できる。1成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくトナー単体で使用する。2成分現像剤として使用する場合、本発明のトナーをキャリアとともに用いる。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、トナー成分に応じて選択するのが好ましく、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの体積平均粒子径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜50μmである。さらにキャリアの体積抵抗率は、108Ω・cm以上が好ましく、1012Ω・cm以上がより好ましい。
キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cm2の容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cm2の荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
キャリアの飽和磁化は、40emu/g以上80emu/g以下が好ましい。
キャリアの飽和磁化は、40emu/g以上80emu/g以下が好ましい。
2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できる。たとえば、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm2)と混合する場合、トナーが全現像剤量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるようにすればよい。また、トナーによるキャリアの被覆率は、40〜80%であることが好ましい。
〔樹脂の数平均分子量および重量平均分子量〕
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布を示すチャートから、数平均分子量および重量平均分子量を求める。
以下の方法により得られる、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分子量分布を示すチャートから、数平均分子量および重量平均分子量を求める。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように樹脂をテトラヒドロフラン中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
濃度が0.5g/100mlになるように樹脂をテトラヒドロフラン中に溶解する。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業社製、FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムとを用い、溶解液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
下記の測定装置と分析カラムとを用い、溶解液としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定化させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
〔樹脂の軟化点〕
高架式フローテスター(株式会社島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
高架式フローテスター(株式会社島津製作所製、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルを押し出すようにし、これによりフローテスターのプランジャー降下量(流れ値)−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするときh/2に対応する温度(樹脂の半分が流出した温度)を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、降温速度100℃/minで−10℃まで冷却した試料を3分間放置し、その後、昇温速度60℃/minで25℃まで昇温し2分間保持して、昇温速度10℃/minで測定を開始する。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間の最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移温度とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、降温速度100℃/minで−10℃まで冷却した試料を3分間放置し、その後、昇温速度60℃/minで25℃まで昇温し2分間保持して、昇温速度10℃/minで測定を開始する。ガラス転移温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの間の最大傾斜を示す接線との交点の温度を、ガラス転移温度とする。
〔樹脂およびワックスの酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1容量比に変更した。
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1容量比に変更した。
〔ワックスの水酸基価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。
JIS K0070の方法に基づき測定する。
〔ワックスの融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔THF不溶分〕
樹脂試料を微粉砕し、42メッシュ(目開き:355μm)の篩を通過した試料粉体5.0g採取し、濾過助剤ラジオライト(#700)5.0gとともに150ml容の容器に入れ、この容器内にTHF100gを注入し、ボールミル架台に載せて5時間以上にわたって回転させて充分に試料を溶解させる。一方、加圧濾過器内に直径7cmの濾紙(No.2)を置き、その上にラジオライトを均一にプレコートし、少量のTHFを加えて濾紙を濾過器に密着させた後、前記容器内の内容物を濾過器内に流し込む。さらに100mlのTHFにより充分に洗浄して濾過器に流し込み、容器の器壁に付着物が残留しないようにする。その後、濾過器の上蓋を閉じ、濾過を行う。濾過は4kg/cm3以下の加圧下で行い、THF流出が止まった後、THF100mlで洗浄後、さらに加圧濾過を行う。以上の操作終了後、濾紙およびその上の残渣ならびにラジオライトの全てをアルミホイルに載せて真空乾燥器に入れ、温度85℃、圧力100mmHgで10時間乾燥させ得られた乾固物の重量を測定し、THF不溶分の重量比率を計算する。
樹脂試料を微粉砕し、42メッシュ(目開き:355μm)の篩を通過した試料粉体5.0g採取し、濾過助剤ラジオライト(#700)5.0gとともに150ml容の容器に入れ、この容器内にTHF100gを注入し、ボールミル架台に載せて5時間以上にわたって回転させて充分に試料を溶解させる。一方、加圧濾過器内に直径7cmの濾紙(No.2)を置き、その上にラジオライトを均一にプレコートし、少量のTHFを加えて濾紙を濾過器に密着させた後、前記容器内の内容物を濾過器内に流し込む。さらに100mlのTHFにより充分に洗浄して濾過器に流し込み、容器の器壁に付着物が残留しないようにする。その後、濾過器の上蓋を閉じ、濾過を行う。濾過は4kg/cm3以下の加圧下で行い、THF流出が止まった後、THF100mlで洗浄後、さらに加圧濾過を行う。以上の操作終了後、濾紙およびその上の残渣ならびにラジオライトの全てをアルミホイルに載せて真空乾燥器に入れ、温度85℃、圧力100mmHgで10時間乾燥させ得られた乾固物の重量を測定し、THF不溶分の重量比率を計算する。
〔トナー粒子の体積中位粒径D50〕
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを1ml加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)を用いて超音波周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター株式会社製)を用いて、アパーチャ径100μm、測定粒子数50000カウントの条件下で測定を行い、試料の体積粒度分布から体積平均粒径を求め、この体積平均粒子を体積中位粒径D50とした。
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを1ml加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)を用いて超音波周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター株式会社製)を用いて、アパーチャ径100μm、測定粒子数50000カウントの条件下で測定を行い、試料の体積粒度分布から体積平均粒径を求め、この体積平均粒子を体積中位粒径D50とした。
〔外添剤の平均一次粒子径〕
走査型電子顕微鏡(商品名:S−4300SE/N、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。走査型電子顕微鏡の視野を変えて、走査型電子顕微鏡にて50000倍に拡大した外添剤を100個撮影し、画像解析によって各外添剤の一次粒子の粒子径を測定した。そして、得られた測定値を算術平均して外添剤の平均一次粒子径を算出した。
走査型電子顕微鏡(商品名:S−4300SE/N、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて測定した。走査型電子顕微鏡の視野を変えて、走査型電子顕微鏡にて50000倍に拡大した外添剤を100個撮影し、画像解析によって各外添剤の一次粒子の粒子径を測定した。そして、得られた測定値を算術平均して外添剤の平均一次粒子径を算出した。
〔高分子量ポリエステル樹脂の製造〕
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマーおよびチタン系触媒12gを、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で5時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、210℃まで冷却して無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A〜Iを得た。
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマーおよびチタン系触媒12gを、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、220℃で5時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、210℃まで冷却して無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A〜Iを得た。
〔低分子量ポリエステル樹脂の製造〕
表1に示すフマル酸を除く原料モノマーおよびチタン系触媒8gを、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて3時間反応させた後、180℃まで冷却し、フマル酸を投入した。180℃から210℃まで15℃/時の速度で昇温して2時間かけて反応させた後、210℃、8.3kPaにて所定の軟化点に達するまで減圧反応させて、樹脂aを得た。
表1に示すフマル酸を除く原料モノマーおよびチタン系触媒8gを、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装備した5リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて3時間反応させた後、180℃まで冷却し、フマル酸を投入した。180℃から210℃まで15℃/時の速度で昇温して2時間かけて反応させた後、210℃、8.3kPaにて所定の軟化点に達するまで減圧反応させて、樹脂aを得た。
なお、表1において、BPA−POは、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを示し、BPA−EOは、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを示す。また、アルコール成分およびカルボン酸成分の添加量の値のうち、カッコ内に記載の値は、アルコール成分とカルボン酸成分との添加量の割合を示す。
〔ワックス〕
以下の実施例および比較例では、表2に示すワックス1〜3を使用した。
以下の実施例および比較例では、表2に示すワックス1〜3を使用した。
なお、表2中において、ワックス1の商品名は、HNP−9(日本精鑞社製)であり、ワックス2の商品名は、WEP−8(日油社製)であり、ワックス3の商品名は、カルナウバワックスNo.1(加藤洋行社製)である。
〔実施例1〕
表3に示すトナー原料をヘンシェルミキサで充分に混合した後、得られた混合物を、オープンロール型混練機(商品名:ニーデックス、三井鉱山社製、ロール外径:140cm、有効ロール長:80cm)を用いて溶融混練した。連続式二本ロール型混練機のロール内の加熱媒体温度および冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が125℃および混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が75℃および混練物排出側が35℃であった。得られた混練物を冷却、粗粉砕した後、流動槽式粉砕機(AFG:アルパイン社製)およびローター式分級機(TTSP:アルパイン社製)にて粉砕、分級を行い、体積中位粒径D50が6.6μmのトナー粒子を得た。
表3に示すトナー原料をヘンシェルミキサで充分に混合した後、得られた混合物を、オープンロール型混練機(商品名:ニーデックス、三井鉱山社製、ロール外径:140cm、有効ロール長:80cm)を用いて溶融混練した。連続式二本ロール型混練機のロール内の加熱媒体温度および冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が125℃および混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が75℃および混練物排出側が35℃であった。得られた混練物を冷却、粗粉砕した後、流動槽式粉砕機(AFG:アルパイン社製)およびローター式分級機(TTSP:アルパイン社製)にて粉砕、分級を行い、体積中位粒径D50が6.6μmのトナー粒子を得た。
ヘンシェルミキサを用いて、トナー粒子100重量部と、疎水性シリカ(商品名:R976S、日本アエロジル社製、平均一次粒子径:7nm)1.2重量部と、疎水性シリカ(商品名:X−24−9163A、信越化学社製、平均一次粒子径:120nm)0.8重量部とを混合し、トナー粒子に2種類の疎水性シリカを外添した。これによって、実施例1のトナーを得た。
〔実施例2〜6、比較例1〜5〕
実施例1で用いたトナー原料の代わりに、表3に示すトナー原料をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様の方法で実施例2〜6、比較例1〜5のトナーを得た。
実施例1で用いたトナー原料の代わりに、表3に示すトナー原料をそれぞれ使用したこと以外は実施例1と同様の方法で実施例2〜6、比較例1〜5のトナーを得た。
〔キャリアの製造〕
上記実施例および比較例のトナーとともに使用するキャリアを、以下のように作製した。
上記実施例および比較例のトナーとともに使用するキャリアを、以下のように作製した。
フェライト原料(KDK社製)をボールミルにて混合した後、ロータリーキルンにて900℃で仮焼した。得られた仮焼粉を、湿式粉砕機(粉砕媒体としてスチールボール使用)により平均粒子径2μm以下にまで微粉砕した。得られたフェライト粉末をスプレードライ方式により造粒し、造粒物を1300℃で焼成した。焼成後、クラッシャを用いて解砕することで、体積平均粒子径が約45μmであり、体積抵抗率が3×109Ω・cmのフェライト成分からなるコア粒子を得た。
次に、ジメチルシリコーン樹脂(東芝シリコン社製)100重量部と、硬化剤としてオクチル酸5重量部とをトルエンに溶解することによって前記コア粒子を被覆する熱硬化性シリコーン樹脂層を形成するための被覆用塗液を得た。この被覆用塗液中にコア粒子を浸漬させる浸漬被覆装置を用いて、コア粒子表面に被覆用塗液を付着させた。その後、トルエンを完全に蒸発除去し、190℃で30分間キュアリングを行うことでキャリアを得た。得られたキャリアは、体積平均粒子径が48μmであり、被覆率が100%であり、体積抵抗率が2×1012Ω・cmであり、飽和磁化が65emu/gであった。
〔2成分現像剤の製造〕
前記キャリアと実施例および比較例のトナーとをそれぞれ混合することによって、実施例1〜6および比較例1〜5の2成分現像剤を作製した。具体的には、トナー6重量部とキャリア94重量部とをナウターミキサ(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)に投入し、25分間撹拌混合した。
前記キャリアと実施例および比較例のトナーとをそれぞれ混合することによって、実施例1〜6および比較例1〜5の2成分現像剤を作製した。具体的には、トナー6重量部とキャリア94重量部とをナウターミキサ(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)に投入し、25分間撹拌混合した。
〔評価〕
前記実施例および比較例のトナーを含む2成分現像剤を用いて以下の評価を行った。
前記実施例および比較例のトナーを含む2成分現像剤を用いて以下の評価を行った。
(定着性)
市販複写機(商品名:AR−450M、シャープ株式会社製)に前記2成分現像剤を充填した。10℃刻みで定着ロールの温度を変えてベタ画像を印字し、この印字したベタ画像のベタ部分と白地との間を、学振式堅牢度試験機において1kgの荷重を載せた砂消しゴムによって3往復擦過した。擦過前後の光学反射密度(像濃度)を反射濃度計(マクベス社製)にて測定し、下記式(1)によって定着率(%)を算出した。定着率を用いて、定着温度およびオフセット温度を求め、定着温度およびオフセット温度を用いて定着性を評価した。なお、定着率が70%を超える際の最低温度を定着温度とし、定着温度から温度を上げていき、オフセットが初めて発生した温度をオフセット温度とする。
定着率(%)=〔(擦過後の像濃度)/(擦過前の像濃度)〕×100 …(1)
市販複写機(商品名:AR−450M、シャープ株式会社製)に前記2成分現像剤を充填した。10℃刻みで定着ロールの温度を変えてベタ画像を印字し、この印字したベタ画像のベタ部分と白地との間を、学振式堅牢度試験機において1kgの荷重を載せた砂消しゴムによって3往復擦過した。擦過前後の光学反射密度(像濃度)を反射濃度計(マクベス社製)にて測定し、下記式(1)によって定着率(%)を算出した。定着率を用いて、定着温度およびオフセット温度を求め、定着温度およびオフセット温度を用いて定着性を評価した。なお、定着率が70%を超える際の最低温度を定着温度とし、定着温度から温度を上げていき、オフセットが初めて発生した温度をオフセット温度とする。
定着率(%)=〔(擦過後の像濃度)/(擦過前の像濃度)〕×100 …(1)
定着性の評価基準は以下の通りである。
○:良好。定着温度が140℃以下で、かつオフセット温度と定着温度との差である定着温度幅が70℃以上である。
×:不良。定着温度が140℃より高い。あるいは定着温度幅が70℃未満である。
○:良好。定着温度が140℃以下で、かつオフセット温度と定着温度との差である定着温度幅が70℃以上である。
×:不良。定着温度が140℃より高い。あるいは定着温度幅が70℃未満である。
(耐久性)
耐久性を評価するため、市販の複写機(シャープ株式会社製、商品名:AR−450M)に上記2成分現像剤を充填し、連続プリントテストを行った。連続プリントテストとして具体的には、温度20℃湿度45%の環境下にて、紙の上に印字されるプリント画像のカバレージが6%となるテキスト画像を100枚間欠で30000(30K)枚印字した。
耐久性を評価するため、市販の複写機(シャープ株式会社製、商品名:AR−450M)に上記2成分現像剤を充填し、連続プリントテストを行った。連続プリントテストとして具体的には、温度20℃湿度45%の環境下にて、紙の上に印字されるプリント画像のカバレージが6%となるテキスト画像を100枚間欠で30000(30K)枚印字した。
耐久性を評価するため、30K枚目の画像におけるトナー帯電量、画像濃度およびかぶり濃度を用いた。これらの値は以下のようにして求め評価した。
トナー帯電量は、吸引式小型帯電量測定装置(商品名:210HS−2A、トレックジャパン株式会社製)を用いて測定した。トナー帯電量の評価基準は、17μC/g以上24μC/g以下を良好とし、それ以外を不良とした。
画像濃度は、分光測色濃度計(商品名:X−Rite938、日本平版印刷機材社製)を用いて光学濃度を測定した。画像濃度の評価基準は、1.2以上を良好とし、1.2未満を不良とした。
かぶり濃度は、まず、予めプリント前の紙の非画像部(0%濃度)の白色度を白度計(商品名:Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM、日本電色工業社製)で測定し、次に印字後の紙の非画像部における白色度を前記白度計で測定し、印字前後の白色度の差とした。かぶり濃度の評価基準は、1.0以下を良好とし、1.1以上を不良とした。
耐久性の評価基準は以下の通りである。
○:良好。帯電量、画像濃度およびかぶり濃度の全ての評価項目が良好である。
×:不良。帯電量、画像濃度およびかぶり濃度の評価項目の少なくとも1つの評価項目が不良である。
評価結果を表4に示す。
○:良好。帯電量、画像濃度およびかぶり濃度の全ての評価項目が良好である。
×:不良。帯電量、画像濃度およびかぶり濃度の評価項目の少なくとも1つの評価項目が不良である。
評価結果を表4に示す。
表4の結果より、実施例のトナーは、定着性および耐久性に優れていることがわかる。
比較例1,2,4のトナーは、チタン系触媒を用いなかったので、分子量分布の幅が狭い高分子量ポリエステル樹脂を得ることができず、ワックスをトナー中に充分に分散させることができずに低温定着性が低下した。また、耐久性が低下した。
比較例1,2,4のトナーは、チタン系触媒を用いなかったので、分子量分布の幅が狭い高分子量ポリエステル樹脂を得ることができず、ワックスをトナー中に充分に分散させることができずに低温定着性が低下した。また、耐久性が低下した。
比較例3のトナーは、チタン系触媒を用いなかったので、耐高温オフセット性が低下した。また、耐久性が低下した。
比較例5は、実施例よりも酸価および水酸基価が大きいワックスを用いたので、定着性が低下した。
Claims (6)
- 着色剤と、
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分を含有しない第1ポリエステル樹脂と、
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて得られ、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下で、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満の第2ポリエステル樹脂と、
融点が50℃以上100℃以下で、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満のワックスと、を溶融混練して得られることを特徴とするトナー。 - 前記チタン系触媒が、炭素数1〜8のアルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタン化合物、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタン化合物、炭素数1〜32の脂肪族カルボン酸チタニル化合物、炭素数7〜38の芳香族カルボン酸チタニル化合物、カルボン酸チタニル塩化合物およびチタンキレート化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
- 前記チタンキレート化合物は、配位子が、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、オクチレングリコール、トリエタノールアミン、乳酸および乳酸アンモニウムから選ばれることを特徴とする請求項2に記載のトナー。
- 前記ワックスが、パラフィンワックスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
- 前記ワックスが、エステルワックスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナー。
- 2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて、重量平均分子量(Mw)が4000以上10000以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分を含有しない第1ポリエステル樹脂を得る工程と、
2価のアルコール成分と、2価のカルボン酸成分と、3価のアルコール成分および3価のカルボン酸成分の少なくともいずれか一方とをチタン系触媒の存在下で縮重合させて、重量平均分子量(Mw)が50000以上300000以下で、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が30以下で、テトラヒドロフランに対する不溶分が3重量%未満の第2ポリエステル樹脂を得る工程と、
融点が50℃以上100℃以下で、酸価が2.0mgKOH/g未満で、水酸基価が5.0mgKOH/g未満であるワックスと、前記第1ポリエステル樹脂と、前記第2ポリエステル樹脂と、着色剤とを溶融混練する溶融混練工程とを含むことを特徴とするトナーの製造方法。
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JP2011013496A JP2012155104A (ja) | 2011-01-25 | 2011-01-25 | トナーおよびトナーの製造方法 |
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