JP2012153894A - 生分解性樹脂製管状成形体 - Google Patents

生分解性樹脂製管状成形体 Download PDF

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正吏 福岡
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Abstract

【課題】生分解性を必要とするパイプや管継ぎ手などの管状成形体であって、生分解性を維持するとともに、耐衝撃性と、パイプ同士、又はパイプと管継ぎ手との接着性をも十分に確保した管状成形体を提供する。
【解決手段】D−乳酸からなる構成単位とL−乳酸からなる構成単位とで構成され、D−乳酸からなる構成単位が占める割合が5質量%以下又は95質量%以上で、結晶性が高い乳酸重合体を主成分とする樹脂組成物を含有する特定の一つの成形用材料のみを成形し、両外表面部の結晶化を抑制するように冷却することで相対結晶化度が比較的低い部分を外表面部に有し、結晶化度が比較的高い部分を管壁内部に有する、厚みが1mm以上15mm以下の生分解性樹脂製管状成形体を製造する。
【選択図】なし

Description

この発明は、耐熱性、耐衝撃性、及び接着性に優れた生分解性樹脂製管状成形体に関する。
従来、家庭、オフィスビル、工場、公共施設等の上下水道や、ガス、蒸気等のユーティリティ配管としてパイプを一時的に仮設する必要がある場合、ならびに、土木、園芸用品等としてパイプを土中に埋設させるような用途においては、金属パイプ、及び、ポリエチレンやポリ塩化ビニル(PVC)等のパイプが用いられている。しかしこれらのパイプは、使用期間が終了した場合や不用になった場合には、撤去の必要が生じるが、パイプが土中に埋設されていると撤去に多大な手間やコストがかかるため、撤去されずに放置されてしまい、将来的な土地利用計画に不都合をきたすことがあった。そのため、仮設用に一時的に使用されるパイプ等においては、撤去されずに放置された場合でも問題を生じないパイプ等が求められていた。
近年、この問題を解決するパイプとして、生分解性プラスチックを用いることが検討され始めている。例えば、特許文献1には、内層が生分解性プラスチック、外層が既存の樹脂からなる、同時押出成形されたパイプが記載されており、特許文献2には生分解性のポリアルキルアルカノエート系樹脂からなるパイプが開示されている。
また、特許文献3には、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、及びこれらを単純混合した樹脂からなる管状物やバルブの端部封止用キャップが記載されている。生分解性プラスチックの中でもポリ乳酸は剛性が高いが、そのままでは脆くて耐熱性に乏しい材料であり、ポリブチレンサクシネートは耐衝撃性に優れるが、軟質であるため剛性に乏しく、成形性にも乏しいためにパイプとして用いるのは困難であるので、これらの樹脂を複合したものである。
さらに、特許文献4及び5には、生分解性プラスチックからなる植生管が開示されている。
特開平10−78174号公報 特開平11−323104号公報 特開2000−2392号公報 特開2002−348877号公報 特開2004−115322号公報
しかしながら、特許文献1に記載のパイプは、パイプ全体が生分解性ではないので既存の樹脂部分が残ってしまい、特許文献2に記載のポリアルキルアルカノエート系樹脂パイプは剛性、強度、耐熱性に乏しく、特殊な用途でしか使用できなかった。
また、特許文献3に記載の、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートとを単純混合した樹脂は、ある程度両方の樹脂の性質を受け継ぐものの、耐熱性、耐衝撃性、及び成形性の全てにおいて、パイプや管継ぎ手等の管状物に必要な特性を発揮させることはできなかった。
さらに、特許文献4及び5に記載の植生管は、パイプや管継ぎ手としての要求特性を満足出来るものではなく、また、肥料成分を配合しているために、成形時に著しく樹脂が分解することがあるために、現実には実用的ではなかった。
また、パイプを実際に用いる際には、上記の特許文献のように生分解性を確保するだけではなく、耐衝撃性や耐熱性が十分に確保されていることが要求されるとともに、パイプ同士、又はパイプと管継ぎ手を接着させる際の容易接着性も必要となる。
生分解性樹脂で接着容易性を実現するためには、結晶化度を低くする必要があるが、一方で、耐熱性を確保するためには結晶化度が高い部分が必要となる。だが、このように物性が異なる多重構造を有する成形体を製造するために、二種類の樹脂を合わせて成形することは難しく、特に射出成形において樹脂を金型に流し込んで成形することは困難であった。
そこでこの発明は、生分解性を必要とするパイプや管継ぎ手などの管状成形体であって、生分解性を維持するとともに、耐熱性、耐衝撃性と、パイプ同士、又はパイプと管継ぎ手との接着性をも十分に確保した管状成形体を得ることを目的とする。
この発明は、二種類の樹脂を成形して合わせるのではなく、D−乳酸からなる構成単位とL−乳酸からなる構成単位とで構成され、このうちD−乳酸からなる構成単位の割合が5質量%以下、又は95質量%以上で、結晶性が高い乳酸重合体を主成分とする樹脂組成物を含有する成形用材料のみを用いて成形し、両外表面部の結晶化を抑制するように冷却することで相対結晶化度が比較的低い部分を両外表面部に有し、結晶化度が比較的高い部分を管壁内部に有する、厚みが1mm以上15mm以下の生分解性樹脂製管状成形体を製造することにより、上記の課題を解決したのである。
すなわち、結晶化しやすい乳酸重合体を成形する際の冷却温度を調整することで、管内及び管外の両外表面部を急冷して結晶化を妨げるとともに、管壁の内部はゆっくりと冷却させることで結晶化を促進させることができる。これにより、組成が同じである一種類の成形用材料から、結晶化度が両外表面部と管壁内部とで異なる多重構造を有する管状成形体が得られる。
この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体を用いると、結晶化度が比較的低い部分が両外表面部にあることで、パイプ同士、又はパイプと管継ぎ手との接着性を確保でき、結晶化度が比較的高い部分が管壁内部に存在することで、耐衝撃性及び耐熱性を確保できる。また、材料がポリ乳酸を主成分とする生分解性樹脂であるため、生分解性も確保できる。
このため、この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体であるパイプや管継ぎ手は、優れた耐熱性、耐衝撃性、接着性を有するため、家庭、オフィスビル、工場、公共施設等の上下水道や、ガス、蒸気等のユーティリティ配管及びその管継ぎ手として一時的に仮設する必要がある場合、ならびに、土木、園芸用品等で土中に埋設されるような用途に用いることができる。また、使用期間が終了した場合、不用となった場合でも、多大なコストがかかる土中からの取り出しを行わなくても、土中に埋設した状態で生分解するため、環境にかかる負荷を抑制することが出来るとともに、経済的でもある。
以下、この発明について、詳細に説明する。
この発明は、乳酸重合体成分(A)を主成分とする樹脂組成物を含有する成形用材料を成形した、厚みが1mm以上15mm以下である生分解性樹脂製管状成形体である。なお、主成分とする、とは、50質量%を超えて含有していることをいい、60質量%以上であるとより好ましい。
ここで乳酸重合体成分(A)とは、乳酸を構成単位とする重合体からなる成分であり、構成単位がL−乳酸からなるポリ(L−乳酸)、構成単位がD−乳酸からなるポリ(D−乳酸)、構成単位がL−乳酸及びD−乳酸の両方からなるポリ(DL−乳酸)やこれらの混合体(以下、これらをまとめて「ポリ乳酸」という。)をいう。
このような乳酸重合体成分(A)の具体例としては、三井化学(株)製「レイシア」シリーズ、Nature Works社製:「Nature Works」シリーズなどが挙げられる。
その重合法としては、縮重合法、開環重合法など公知のいずれの方法を採用することができる。例えば、縮重合法ではL−乳酸若しくはD−乳酸、又は、これらの混合物を含む混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持った乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸を得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性を持つポリ乳酸を得ることができる。
この乳酸重合体成分(A)は、少なくとも、D−乳酸からなる構成単位とL−乳酸からなる構成単位とで構成されそのうちD−乳酸からなる構成単位の割合が5質量%以下又は95質量%以上である乳酸重合体(A1)を主成分とすることが必要である。上記のD−乳酸からなる構成単位の割合が5質量%を超えて95質量%未満である重合体のみであると、結晶性が低くなりすぎてしまい、冷却によって後述する相対結晶化度を必要な値に制御できなくなってしまうおそれがある。
この乳酸重合体(A1)としては、具体的には、構成単位がD−乳酸及びL−乳酸からなり、そのうちD−乳酸の割合が前記の数値範囲であるポリ乳酸が挙げられる。
また、乳酸重合体成分(A)は、乳酸重合体(A1)とともに、D−乳酸からなる構成単位とL−乳酸からなる構成単位とで構成されそのうちD−乳酸からなる構成単位の割合が5質量%を上回り95質量%未満である乳酸重合体(A2)を含んでも良い。乳酸重合体(A1)に比べて結晶性が低い乳酸重合体(A2)を含めることで、製造時における管材料の冷却温度、冷却時間等の製造条件、あるいは、管材料の厚み、形状等により変化する結晶化速度を調整し、適切な結晶性を有する乳酸重合体成分(A)を得ることができる。その乳酸重合体(A2)の占める割合は、1質量%以上であると好ましく、5質量%以上であるとより好ましく10質量%以上であるとさらに好ましい。1質量%未満では、乳酸重合体(A2)を含めることによる効果がほとんど発揮されないためである。一方で、乳酸重合体(A2)の占める割合は50質量%未満である必要があり、40質量%以下であるとより好ましく、30質量%以下であるとさらに好ましい。50質量%以上が乳酸重合体(A2)であると、乳酸重合体成分(A)の結晶性が大きく低下してしまい、得られる管状成形体の耐熱性も大きく低下しすぎてしまい、輸送時、又は一時的な仮設配管として温水が流入した際などに、変形を起こすおそれがある。
また、乳酸重合体成分(A)が上記の乳酸重合体(A2)を含む場合、乳酸重合体成分(A)の全体のうち、D−乳酸からなる構成単位が占める割合が10質量%以下又は90質量%以上であると好ましく、7質量%以下又は93質量%以上であるとより好ましい。10質量%を超えて90質量%未満であると、上記の乳酸重合体(A1)が上記の条件を満たしていても、全体としてD−乳酸とL−乳酸との差が小さくなってしまい、結晶化度が十分に確保できなくなるおそれがある。
なお、乳酸重合体成分(A)の耐熱性をさらに向上させるなどの必要に応じ、共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族ジカルポン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用いることもできる。さらにまた、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物なども使用できる。
この乳酸重合体成分(A)の重量平均分子量(質量平均分子量)の範囲としては、5万以上であると好ましく、10万以上であるとより好ましい。5万未満であると実用物性がほとんど発現されなくなってしまう。一方で40万以下であると好ましく、25万以下であるとより好ましい。40万を超えると、溶融粘度が高すぎて成形加工性が低下しすぎてしまう。
この発明で用いる上記樹脂組成物は、上記の乳酸重合体成分(A)以外に、乳酸重合体以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、乳酸とジオール・ジカルボン酸のポリエステル、及び乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸とのポリエステルとの重合体から選ばれる少なくとも一種類の柔軟性樹脂成分(B)を含有する。これらの柔軟性樹脂成分(B)を含有することで、耐衝撃性を向上させたり、応力変形を抑制したりすることができる。なお、ここで前記の乳酸とは、上記のD−乳酸とL−乳酸の少なくとも一方を示す。また、乳酸系樹脂とは、前記乳酸を単独で、又は前記乳酸とともに前記乳酸以外の成分を重合成分として含む樹脂をいい、例えば、D−乳酸やL−乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール・脂肪族ジカルボン酸とのポリエステルなどの、D−乳酸、L−乳酸、又はその両方を構成単位の一部として含むポリエステルであってもよい。ただし、前記乳酸系樹脂は、前記乳酸が主成分である必要がある。
上記の柔軟性樹脂成分(B)に用いる「乳酸重合体以外の脂肪族ポリエステル」としては、例えば、ポリ乳酸や乳酸を含むポリエステルなどの乳酸を含む重合体を除くポリヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。
上記の「ポリヒドロキシカルボン酸」としては、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体や共重合体を挙げることができる。
上記の「脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル」としては、例えば、下記の脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類又は2種類以上選んで縮合するか、又はそうして得られた縮合物を必要に応じてイソシアネート化合物等で架橋して所望の分子量のポリマー(高分子)として得られる重合体が挙げられる。この際の「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を代表的に挙げることができ、上記の「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等を代表的に挙げることができる。
上記の「環状ラクトン類を開環縮合した脂肪族ポリエステル」としては、例えば、環状モノマーであるε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等が代表的に挙げられ、これらから1種類又はそれ以上を選択して重合したものを用いることができる。
上記の「合成系脂肪族ポリエステル」としては、例えば、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピオンオキサイド等との共重合体等が挙げられる。
上記の「菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル」としては、アルカリゲネスユートロファスを始めとする菌体内でアセチルコエンチームA(アセチルCoA)により生合成される脂肪族ポリエステルなどを挙げることができる。この脂肪族ポリエステルは、主にポリ−β−ヒドロキシ酪酸(ポリ3HB)であるが、プラスチックとしての実用特性向上のために、吉草酸ユニット(HV)を共重合し、ポリ(3HB−CO−3HV)の共重合体にすることが工業的に有利である。一般的には、HV共重合比は0〜40%である。さらに長鎖のヒドロキシアルカノエートを共重合してもよい。
これらのような、乳酸重合体以外の脂肪族ポリエステルの中でも、商業的に入手可能なものとしては、例えば、コハク酸と1,4−ブタンジオールとアジピン酸を重合して得られる昭和高分子社製の「ビオノーレ」シリーズや、ε−カプロラクトンを開環縮合して得られるダイセル化学工業社製「セルグリーン」シリーズが挙げられる。
上記の柔軟性樹脂成分(B)に用いる「芳香族脂肪族ポリエステル」としては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。例えば、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、および脂肪族ジオール成分を縮合して得られるポリエステルが挙げられる。
上記の「芳香族ジカルボン酸成分」としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、「脂肪族ジカルボン酸成分」としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。また、「脂肪族ジオール成分」としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。なお、これらの芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分あるいは脂肪族ジオール成分は、それぞれ2種類以上を用いてもよい。
これらの中でも、最も好適に用いられる上記芳香族ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、脂肪族ジカルボン酸成分はアジピン酸であり、脂肪族ジオール成分は1,4−ブタンジオールである。
これらのような、上記芳香族脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体や、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体等が挙げられる。このテトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体としては、EastmanChemicals社製の「Eastar Bio」が、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体としては、BASF社製の「Ecoflex」が、商業的に入手可能である。
この他に、上記の柔軟性樹脂成分(B)として、乳酸とジオール・ジカルボン酸とのポリエステルや、乳酸を単独又はその他の成分と予め重合させた乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸とのポリエステルを配合すると、この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体の耐熱性を損なうことなく耐衝撃性を向上させることができるので好ましい。これらのポリエステルは、乳酸が主成分でないものである。
上記の乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸のポリエステルとの重合体中に占める乳酸系樹脂の割合としては、耐熱性の点から10質量%以上であると好ましく、20質量%以上であるとより好ましい。10質量%未満では耐熱性に問題が生じるおそれがある。一方で、耐衝撃性付与効果の点から、80質量%以下であると好ましく、70質量%以下であるとより好ましい。80質量%を超えると、乳酸系樹脂のみの状態に近くなるため、この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体に付加しても耐衝撃性を付与する効果が十分に期待できなくなってしまう。
この重合体の構造としては、ジオールとジカルボン酸と乳酸とがランダムに重合したランダム重合体、ジオールとジカルボン酸との重合部分とポリ乳酸である重合部分とが交互に主鎖に現れるブロック的な重合体、ジオールとジカルボン酸との重合部分とポリ乳酸である重合部分の一方が主鎖を形成し、もう一方が側鎖として連結したグラフト的な重合体などが挙げられる。これらの中でも、特に耐衝撃性改良効果と透明性が高いために、ブロック的な重合体か、グラフト的な重合体を用いるとより好ましい。ランダム的な重合体の具体例としては、三菱化学(株)製「GS Pla」シリーズが挙げられる。また、ブロック的な重合体、又は、グラフト的な重合体の具体例としては、大日本インキ化学工業(株)製「プラメート」シリーズが挙げられる。
これらの重合体の製造方法は特に限定されないが、ジオールとジカルボン酸を脱水縮合した構造を持つポリエステル、又はポリエーテルポリオールを、ラクチドと開環重合、又はエステル交換反応させて得る方法や、ジオールとジカルボン酸を脱水縮合した構造を持つポリエステル、又はポリエーテルポリオールを、乳酸系樹脂と脱水・脱グリコール縮合反応させたり、エステル交換反応させたりすることによって得る方法が挙げられる。
上記ジオールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ペプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール等の直鎖状ジオール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール等の分岐鎖状ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールが挙げられる。
また、上記ジカルボン酸としては、特に限定はされないが、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の直鎖状ジカルボン酸、メチルコハク酸、ジメチルコハク酸、エチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、2−エチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、3−エチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、2−エチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−エチルアジピン酸、メチルグルタル酸等の分岐状ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、ビスフェノールA、ビフェノール等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
また、上記の乳酸とジオール・ジカルボン酸のポリエステル、及び乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸のポリエステルとの重合体は、イソシアネート化合物やカルボン酸無水物を用いて架橋することで分子同士を繋ぎ、所定の分子量に調整することが可能である。
ただし、加工性、耐久性の面から乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸の共重合体の重量平均分子量は5万以上が好ましく、10万以上であるとより好ましい。一方で30万以下であると好ましく、25万以下であるとより好ましい。
この発明で用いる上記樹脂組成物は、上記の乳酸重合体成分(A)及び柔軟性樹脂成分(B)以外に、無機充填剤(C)を含有している。この無機充填剤(C)を含有することにより、樹脂組成物の結晶化速度を向上させることができ、それにより、成形時に管壁内部の結晶化度を向上させることができる。
このような無機充填剤(C)としては、例えば、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、ベントナイト、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、黒鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、ホウ酸亜鉛、含水ホウ酸カルシウム、アルミナ、マグネシア、ウォラストナイト、ゾノトライト、セピオライト、ウィスカー、ガラス繊維、金属粉末、ビーズ、シリカバルーン、シラスバルーン等が挙げられる。また、これらの無機充填剤(C)の表面をチタン酸、脂肪酸、シランカップリング剤などで処理することにより樹脂との接着性を向上させ、無機フィラーの効果を向上させてもよい。
上記の樹脂組成物の配合量は以下のようであると好ましい。まず、上記の乳酸重合体成分(A)、柔軟性樹脂成分(B)及び無機充填剤(C)を合わせた三成分のうち、上記柔軟性樹脂成分(B)の割合は、5質量%以上であると好ましく、10質量%以上であるとより好ましい。5質量%未満であると、耐衝撃性が低く、用途によっては使用できない場合が生じるおそれがある。一方で、30質量%以下であると好ましく、25質量%以下であるとより好ましい。30質量%を上回ると、得られる管状成形体の段競り率が低下するために、製造時における成形不良や、使用時における応力変形等の問題を生じることがある。
次に、前記三成分のうち、上記無機充填剤(C)の割合は、1質量%以上であると好ましく、5質量%以上であるとより好ましい。1質量%未満であると、結晶化速度が不十分となり、管壁内部の結晶化度が十分でない場合がある。一方で、30質量%以下であると好ましく、25質量%以下であるとより好ましい。30質量%を上回ると、得られる管状成形体の耐衝撃性が著しく低下し、実用に耐えない場合がある。
この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体を製造するために用いる成形用材料は、上記の乳酸重合体成分(A)を主成分とし、上記柔軟性樹脂成分(B)と上記無機充填剤(C)とを含む樹脂組成物を含有したものであり、上記樹脂組成物を主成分とするものであるとよい。上記成形用材料は、特定の一つの配合比で構成されるもののみを用い、配合比や構成成分が異なる他の材料を併用することはない。
この発明にかかる管状成形体を成形する、上記の乳酸重合体成分(A)を主成分とする樹脂組成物は、エステル化合物(D)を、耐衝撃性向上助剤として配合した混合物であってもよい。このように用いることができるエステル化合物(D)としては、ジイソデシルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ(2−エチルヘキシル)ドデカンジオネート、アセチルトリブチルシトレート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソノニルアジペート、ジメチルアジペート、ジブチルアジペート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、ジイソブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)ドデカンジオネート、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、2−エチルヘキシルベンジルフタレート、ジメチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリ
テート、トリブチルトリメリテート、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート、グリセリントリアセテート、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
上記のエステル化合物(D)の分子量は200以上であると好ましく250以上であるとより好ましい。200未満であると、耐衝撃性の改良効果が得られなくなるだけでなく、得られる管状成形体の表面に、エステル化合物(D)のブリードアウトが生じるおそれがある。一方で、分子量は2000以下であると好ましく1000以下であるとより好ましい。2000を上回ると、耐衝撃性改良効果が得られなくなるとともに、得られる管状成形体の耐衝撃性を低下させることになってしまう。
上記のエステル化合物(D)の配合量としては、上記の樹脂組成物100質量部に対して、0.1質量部以上であると好ましく0.5質量部以上であるとより好ましく、1質量部以上であるとさらに好ましい。0.1質量部未満であると、耐衝撃性向上効果を得られないことがある。一方で上記の樹脂組成物100質量部に対して5質量部以下であると好ましく、3質量部以下であるとより好ましい。5質量部を超えると、エステル化合物(D)により樹脂が過疎化されてしまい、耐熱性を損なうことがある。
また、この発明にかかる管状成形体を成形する、上記の乳酸重合体成分(A)を主成分とする樹脂組成物は、上記管状成形体の耐久性を向上させることを目的として、カルボジイミド化合物を配合されたものであってもよい。このカルボジイミド化合物は、下記式(2)の基本構造を有する化合物である。
―(N=C=N―R―)n― ……(2)
(nは1以上の整数、Rは有機系結合単位を示し、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれでもよい。なお、nは1以上50以下であると好ましい。)
上記のカルボジイミド化合物としては、具体的には、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレ
ンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及び、これらの単量体が挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
上記カルボジイミド化合物の配合量としては、この発明にかかる(射出)管状成形体を形成する上記の樹脂組成物100質量部に対して、0.1質量部以上配合すると好ましく、0.5質量部以上配合するとより好ましい。0.1質量部未満であると、耐久性の向上効果がほとんど見られなくなってしまう。一方で、5質量部以下であると好ましく、3質量部以下であるとより好ましい。5質量部を超えると、カルボジイミド化合物による軟質化、又は過度の分子量向上により粘度が上昇して、成形性に問題を生じる場合がある。
また、上記の成形用材料としては、上記のエステル化合物(D)やカルボジイミド化合物以外に、この発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、難燃剤、UV吸収剤、光安定剤、核剤、顔料、染料などの添加剤を処方することができる。
この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体は、乳酸重合体成分(A)の下記式(1)で表される相対結晶化度χcが40%以上70%以下となる部分を両外表面部に有することが必要であり、50%以上60%以下となる部分を有しているとより好ましい。この範囲は、結晶化度が低いために柔らかく、接着性が良好な範囲となる。しかし、上記の40%を下回る範囲を有すると、その部分の接着性は非常に有効であるものの、耐熱性が著しく低下する場合もあり、好ましくない。なお、両外表面部とは、管状成形体の管の内側の表面部分と管の外側の表面部分との両方の表面部分をまとめて示す。
χc={(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}×100……(1)
(ΔHmは乳酸重合体成分(A)の結晶融解熱量、ΔHcは乳酸重合体成分(A)の結晶化熱量)
また、上記の乳酸重合体成分(A)は、乳酸重合体成分(A)の相対結晶化度χcが、80%以上100%以下となる部分を管壁内部に有していることが必要であり、90%以上100%以下となる部分を有しているとより好ましい。
上記の相対結晶化度χcとなる両外表面部の部分の厚みは、この発明にかかる管状成形体の全体厚みに対して、1%以上の厚みがあると好ましく、5%以上であるとより好ましく10%以上であるとさらに好ましい。1%未満であると、この結晶化度の低い部分により発揮される接着性の付与が不十分になってしまうことがある。一方で、前記の部分の厚みは、この発明にかかる管状成形体の全体厚みに対して、30%以下であると好ましく、25%以下であるとより好ましく、20%以下であるとさらに好ましい。30%を超えると、結晶化度の低い部分が多くなりすぎるために、用途によっては耐熱性が不足することがある。
また、上記の相対結晶化度χcとなる管壁内部の部分の厚みは、この発明にかかる管状成形体の全体厚みに対して、5%以上であると好ましく、10%以上であるとより好ましく、20%以上であるとさらに好ましい。5%未満であると、結晶化度が高い部分を有することによる耐熱性を付与できなくなるおそれがある。一方で、前記の部分の厚みはこの発明にかかる管状成形体の全体厚みに対して、40%以下であることが好ましい。40%を上回ると、表面部分の結晶化度までが高くなってしまい、表面の接着性に影響を及ぼすことがある。
さらに、上記のような相対結晶化度χcとなる両外表面部及び管壁内部が存在するために、この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体の厚みは1mm以上である必要がある。1mm未満であると、表面の相対結晶化度χcが低い部分が管壁の内部まで広がってしまい、相対結晶化度の差が出にくくなってしまう。また、2mm以上であると管壁内部の相対結晶化度χcが高い部分が確保しやすくなるのでより好ましい。一方で、厚みが15mmを超えると、成形時における管壁内部の結晶化の進行が遅くなり、成形体の変形を生じてしまうため、15mm以下である必要があり、10mm以下であるとより好ましい。
次に、この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体の製造方法の例について説明する。まず、この管状成形体がパイプであり、押出成形により成形体を得る場合について説明する。
上記の樹脂組成物の構成成分をドライブレンドで直接混ぜ合わせた成形用材料を、押出機を用いてパイプ形状に成形する方法と、あらかじめ混練能力を有する押出機で均質コンパウンドした後、成形用材料として例えばコンパウンドペレットを形成し、これをパイプ押出機に投入してパイプ形状に形成する方法とがある。ここで、上記成形用材料の主成分となる上記樹脂組成物の原料となる乳酸重合体成分(A)、柔軟性樹脂成分(B)、無機充填剤(C)を含有する樹脂組成物を主成分としその他の添加剤を加えた成形用材料は、パウダー、顆粒、カラム、フレーク、ペレットの形態であってもよい。これらの方法のうち、ドライブレンドする前者の方法の方が経済的であり、均質コンパウンドする後者の方法の方がパイプなどの管材料としての性能を均一に発現させやすい。その長短により、用途や目的などに応じて適宜方法を使い分けてよい。いずれの場合も、得られた上記成形用
材料のみを用いてパイプを成形する。成形にあたっては特定の一つの配合比で構成した上記成形用材料のみを用い、他の配合比や他の構成成分からなる成形用材料を併用することはない。
ただし、上記柔軟性樹脂成分(B)として脂肪族ポリエステル樹脂を用いた場合は、押出機中で加水分解し易いので、押出機投入前に水分率が1000ppm以下、好ましくは200ppm以下まで乾燥しなければならない。使用される押出機としては、通常のパイプ用口金と、冷却・引き取り装置とを備えたものであれば特に限定されない。押出機の設定温度は、原料樹脂の種類や混合比にもよるが、概ね170℃以上であると好ましい。設定温度が170℃未満であると、樹脂の粘度が高くなりすぎて押出が困難になる。一方で、230℃以下であると好ましい。230℃より高いと樹脂が熱分解を起こし、押出性や物性の低下を招くためである。
このように押し出した成形体の両外表面部を冷却することで、両外表面部となる部分の結晶化抑制、及び管壁内部の結晶化度が高くなる部分の結晶化促進を行う。その冷却条件は、両外表面部における乳酸重合体成分(A)の相対結晶化度χcが40%以上70%以下であり、管壁内部に生じる結晶化度の高い領域の、乳酸重合体成分(A)の相対結晶化度χcが80%以上100%以下となるように、樹脂組成物の配合、配合比によって適宜調整する必要がある。
その冷却方法は、例えば、冷却媒体として水を用いて、押し出したパイプ等である成形体を水中に浸漬させて、パイプの内壁と外壁とを均一に冷却する方法や、冷却媒体として水や空気を用い、それらを吹き付けることで冷却する方法が挙げられる。それらの冷却媒体の温度は20℃以上50℃以下であると好ましく、30℃以上、40℃以下であるとより好ましい。50℃を超えると、冷却が不十分になってしまうおそれがある。また、この冷却媒体の温度は、成形した冷却前の樹脂との温度差が、140℃以上180℃以下であると好ましい。温度差が140℃未満であると表面と内部との温度差が不十分であり、生じる結晶化度の差が不十分となるおそれがある。一方で、180℃を超えると、温度差が大きすぎて、製造が難しくなるおそれがある。さらに、浸漬や吹き付けを行う時間は、20秒以上、180秒以下であることが好ましく、40秒以上、120秒以下であることがより好ましい。かかる範囲でパイプ等を成形することにより、上記相対結晶化度を満たす生分解性の押出成形体を得ることができる。ただし、押出成形でも一般的なパイプの成形と同様に、乳酸重合体成分(A)及び柔軟性樹脂成分(B)の分子量低下を考慮する必要がある。
さらに、冷却媒体を用いて冷却する以外に、成形体をフォーマーで整形するとともに冷却してもよい。この場合、フォーマーでの冷却温度は20℃以上、50℃以下であることが好ましく、30℃以上、40℃以下であることがより好ましい。また、フォーマーを通過する時間は20秒以上、180秒以下であることが好ましく、40秒以上、120秒以下であることがより好ましい。かかる範囲でパイプ等を成形することにより、上記相対結晶化度を満たす生分解性の押出成形体を得ることができる。ただし、押出成形でも一般的なパイプの成形と同様に、乳酸重合体成分(A)及び柔軟性樹脂成分(B)の分子量低下を考慮する必要がある。
次に、この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体の製造方法のうち、射出成形により管継ぎ手などの成形体を得る場合について説明する。
上記の乳酸重合体成分(A)、柔軟性樹脂成分(B)及び無機充填剤(C)からなる樹脂組成物を主成分としその他の添加剤を加えた成形用材料を、ドライブレンドで直接混ぜ合わせ、同一の射出成形機にそれぞれの原料を投入して行うことができる。具体的には、射出成形機を用いて原料を直接混合して射出成形する方法、あるいは、ドライブレンドした成形用原料を、二軸押出機を用いてストランド形状に押出してペレットを作成した後、再度射出成形機を用いて射出成形体を作成する方法がある。これらの方法でも、成形にあたっては特定の一つの配合比で構成した上記成形用材料のみを用い、他の配合比や他の構成成分からなる成形用材料を併用することはない。
ペレットを作成する場合、上記の乳酸重合体成分(A)、柔軟性樹脂成分(B)、無機充填剤(C)、及びその他の添加剤を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作成する。乳酸重合体成分(A)はD−乳酸からなる構成単位とL−乳酸からなる構成単位との割合によって融点が変化すること、乳酸系樹脂と芳香族ポリカーボネート系樹脂との混合の割合によって混合樹脂の融点が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。この溶融押出温度は、実際には170℃以上、230℃以下の温度範囲が通常選択可能である。このようにして得られたペレットを十分に乾燥して水分を除去した後、射出成形を行う。
このように射出成形した成形体の表面を冷却することで、同様に、相対結晶化度χcが上記の範囲となるように、樹脂組成物の配合、配合比によって適宜調整する必要がある。この射出成形した成形体の表面を冷却するには、射出成形に用いる金型内に水などの冷却媒体を流通させることによって金型ごと成形体を冷却する方法が挙げられる。この場合、管の内外を満遍なく冷却できるように冷却媒体を流通させるものであると好ましい。
射出成形で管継ぎ手などを成形する場合、冷却媒体により冷却させる金型の温度は20℃以上、50℃以下であることが好ましく、30℃以上、40℃以下であることがより好ましい。また、冷却時間は20秒以上、180秒以下であることが好ましく、40秒以上、120秒以下であることがより好ましい。かかる範囲で管継ぎ手等を成形しつつ冷却することにより、上記相対結晶化度を満たす生分解性の射出成形体を得ることができる。
なお、この射出成形においても、一般的なパイプの成形と同様に、乳酸重合体成分(A)、及び、柔軟性樹脂成分(B)の分子量低下を考慮する必要があるが、均一に混合させるためには押出成形よりも射出成形の方が好ましい。
この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体の、相対結晶化度が低い両外表面部は、優れた接着性を有するため、一般的な接着剤、例えば、三菱樹脂(株)製:ヒシボンドA、ヒシボンドHI、ヒシボンドHYA等を用いてパイプ、及び、管継ぎ手の接着を行うことができる。ただし、接着剤中に占める溶剤の含有量は20質量%以上であると好ましく、40質量%以上であるとより好ましく、60質量%以上であるとさらに好ましい。20質量%未満であると、十分な接着強度が付与できないことがある。使用する溶剤としては、例えば、MEK、アノン、THF、アセトン等があげられる。このように、パイプ、及び、継手を接合して使用することにより、各用途に最適な配管構造を形成することができる。
この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体は、一般の上下水道管等のような何十年も使用されるパイプやその管継ぎ手等としては長期耐久性の問題から不適当な要素を有するが、仮設施設のガス、水道、下水管等の一時的なユーティリティ配管、および土木工事用の水道管等の一時的な配管には好適に使用される。この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体は優れた耐熱性、耐衝撃性、溶剤接着性を有するため、使用時には従来の管材料と同様に取り扱うことが可能であり、かつ、一定期間経過後、使用済みの成形体は土中で消滅するため撤去する必要がないという利点を有する。
この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体を、従来のポリ塩化ビニル製、あるいは、ポリオレフィン製管材料成形体と置き換えることにより、簡易で有効な土地整備工事を行うことができる。一般的に上下水道等に用いられるポリ塩化ビニル製、あるいは、ポリオレフィン製管材料は、長期耐久性に優れるものの、何らかの事情により不用になり撤去しなければならない場合、地表に建築物が存在したりするような空間的な制約が生じると、その管材料が埋設されている部分全体の土を掘り起こすことが困難になり、またコスト高にもつながる。そこで、例えば、従来の管材料からなる材料成形体が埋設されている部分の一部を掘り起こし、その材料成形体を横に引き抜きつつ、その材料成形体を数m毎に切断しながら除去した後、1m〜数mの長さの生分解性樹脂製管状成形体管材料の空洞部分に土砂を詰めて両端に蓋をしたものを、前記材料成形体を引き抜いた後の空間に挿入することにより、容易に土地整備工事を行うことができる。また、生分解性樹脂製管状成形体自体はいずれ消滅するが空洞内部に充填された土砂は残存するので、地盤沈下等を防ぐことができる。
この発明にかかる生分解性樹脂製管状成形体は、肥料、あるいは、土壌改質用薬液供給装置として用いることもできる。数cmから数十cmの長さの生分解性樹脂製管状成形体であるパイプの空洞内部に肥料を詰めて蓋をし、これを街路樹や作物の下の地面に埋め込んだり、この生分解性樹脂製管状成形体であるパイプの一端を土中に打ち込んだりすることにより、緩効性の肥料、あるいは、土壌改質薬液供給装置として機能させることができる。また、肥料を詰めたパイプの片端におもりを付け、植林地に空中からばらまけば、落下速度を利用してパイプ先端が地表に突き刺さり、緩効性の肥料供給装置として機能させることができる。加えて、生分解性樹脂製管状成形体に任意の間隔で孔を開けておくことにより、即効性の肥料、あるいは、土壌改質用薬液供給装置として用いることができる。この場合、生分解性樹脂製管状成形体は時間とともに分解するため、自然界や畑、土中等に残留しつづけることがない。
このように、この発明によれば、耐熱性、耐衝撃性、及び、接着性に優れ、かつ、一定期間経過後、土中で分解される生分解性管材料を提供することができる。
以下、実施例によりこの発明を具体的に示す。まず、実施例中に示す結果の測定、評価方法について説明する。
(相対結晶化度測定)
JIS K−7121に基づき、管状成形体の外表面部、及び、管状内部から約10mgのサンプルを削り出し、パーキンエルマー社製:DSC−7を用い、10℃/分の速度にて30℃から200℃まで昇温測定を行い、得られたサーモグラムより乳酸重合体成分(A)の結晶化熱量ΔHc、及び、乳酸重合体成分(A)の結晶融解熱量ΔHmを読み取り、上記(1)式により、相対結晶化度χcを算出した。
(耐熱性評価)
耐熱性の評価として、内径50mm、長さ150mm、厚さ4mmの管継ぎ手を射出成形し、管継ぎ手内に50℃の温水を10L/分の速度で1時間流した後、管継ぎ手内径の変化量を測定した。内径変化が1mm未満のものを○、2mm未満のものを△、2mm以上のものを×とした。
(耐衝撃性)
JIS K−7110に基づいて2号A試験片(ノッチ付き、長さ64mm×幅12.7mm×厚さ4mm)を射出成形にて作製し、(株)東洋精機製作所製:JISL−Dを用いて23℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を行った。アイゾット衝撃強度が3kJ/m2以上のものを○、3kJ/m2未満のものを×とした。
(溶剤接着性)
接着強度の評価として、長さ180mm、幅20mm、厚さ4mmの試験片を射出成形し、接着面に三菱樹脂(株)製:ヒシボンドAを塗布し合わせた後、0.049MPaの錘を1時間乗せて加圧し、規定時間経過後、せん断引張強度の測定を行った。せん断引張強度が1.3MPa以上のものを○、1.0MPa以上のものを△、1.0MPa未満であるものを×とした。
(使用する樹脂等)
・乳酸重合体(A1)……Nature Works社製:Nature Works 4032D(ポリ乳酸、D−乳酸の割合:1.3%)以下、「PLA1」と表記する。
・乳酸重合体(A2)……Nature Works社製:Nature Works 4050D(ポリ乳酸、D−乳酸の割合:5.5%)以下、「PLA2a」と表記する。・乳酸重合体(A2)……Nature Works社製:Nature Works 4060D(ポリ乳酸、D−乳酸の割合:12.0%)以下、「PLA2b」と表記する。
・柔軟性樹脂成分(B)(乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルであるもの)……三菱化学(株)製:GS Pla AD92W(ポリブチレンサクシネート・アジペート)以下、「AD92W」と表記する。
・柔軟性樹脂成分(B)(芳香族脂肪族ポリエスエル)……BASF社製:エコフレックスF(ポリブチレンアジペート・テレフタレート)以下、「エコフレックス」と表記する。
・柔軟性樹脂成分(B)(乳酸とジオール・ジカルボン酸とのポリエステル)……大日本インキ化学工業(株)製:プラメートPD−150、以下、「プラメート」と表記する。・無機充填剤(C)……日本タルク(株)製:ミクロエースL1(タルク、平均粒径:2.5μm)以下、「タルク1」と表記する。
・エステル化合物(D)……田岡化学工業(株)製:DOZ(ジオクチルアゼレート)以下、「DOZ」と表記する。
(実施例1)
D−乳酸の割合が5質量%未満の乳酸重合体(A1)としてPLA1を用い、乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルである柔軟性樹脂成分(B)としてAD92Wを用い、無機充填剤(C)としてタルク1を用い、PLA1とAD92Wとタルク1とを、表1に記載の割合でドライブレンドした後、この樹脂組成物を三菱重工業(株)製:40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて180℃でコンパウンドし、ペレット形状の成形用材料にした。得られたペレットのみを、東芝機械(株)製:射出成形機 IS50E(スクリュー径25mm)を用いて、耐熱性の評価用に内径50mm、長さ150mm、厚さ4mmの管継ぎ手、耐衝撃性の評価用に長さ64mm×幅12.7mm×厚さ4mmの試験片、及び、接着性の評価用に長さ180mm、幅20mm、厚さ4mmの試験片を射出成形し、金型中に冷却媒体として20℃の水を流通させて金型ごと管継ぎ手及び試験片の両外表面部を冷却した。得られた管継ぎ手、及び試験片を用いて相対結晶化度、耐熱性、耐衝撃性、接着強度の評価を行った。結果を表1に示す。なお、主な成形条件は以下の通りであり、シリンダー温度とは射出成形する樹脂の温度である。
1)温度条件:シリンダー温度(200℃)、金型冷却温度(20℃)、冷却時間(50秒)
2)射出条件:射出圧力(115MPa)、保持圧力(55MPa)
3)計量条件:スクリュー回転数(65rpm)、背圧(15MPa)
Figure 2012153894
(実施例2)
柔軟性樹脂成分(B)に用いる芳香族脂肪族ポリエステルとしてエコフレックスを用い、それ以外は実施例1と同様の成分で、表1に記載の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
柔軟性樹脂成分(B)に用いる、乳酸とジオール・ジカルボン酸とのポリエステルとして、プラメートを用い、それ以外は実施例1と同様の成分で表1に記載の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4〜6)
実施例1において、それぞれ表1に記載の比率でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
分子量200以上、2000以下のエステル化合物(D)としてDOZを用い、PLA1、AD92W、タルク1、及びDOZを、表1に記載の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。
(実施例8)
D−乳酸の割合が5%以上の乳酸重合体(A2)として、PLA2aを用い、PLA1、PLA2a、AD92W、及び、タルク1を表1に記載の割合、すなわち(A)/(B)/(C)=75/15/10の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例8において、D−乳酸の割合が5%以上の乳酸重合体(A2)として、PLA2bを用いた以外は実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1と同様の配合にて、冷却時間を30秒とした以外は同様の条件で管継ぎ手、及び試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例1と同様の配合を、三菱重工業(株)製:40mmφ小型同方向二軸押出機を用いてコンパウンドを行い、この樹脂組成物をペレットに成形した成形用材料を得た。次に、得られたペレットのみを、25mmφの口金と、Batten社製のDISKタイプフォーマーとを備えた、クラウスマッファイ社製の45mmφ単軸押出機に供給し、押出樹脂温度190℃、スクリュー回転数70rpmで、外径60mmφ、肉厚4mmのパイプを成形した。この際、フォーマーでの冷却温度は40℃、通過時間は150秒となるように調節した。得られたパイプから、相対結晶化度、耐熱性、耐衝撃性、接着強度の評価用試験片を切り出し、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1と同様の配合にて、冷却温度を70℃、冷却時間を120秒とした以外は同様の条件で管継ぎ手、及び試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1と同様の配合にて、冷却温度を10℃、冷却時間を200秒とした以外は同様の条件で管継ぎ手、及び試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例8と同じ樹脂を用い、乳酸重合体(A1)と乳酸重合体(A2)の比率を入れ替えて、表1に記載の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1と同じ成形用材料を、表1に記載の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1と同じ成形用材料を、表1に記載の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で継手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例6)
実施例1において、無機充填剤(C)を添加せず、乳酸重合体(A1)と柔軟性樹脂成分(B)のみを表1に記載の割合でドライブレンドした後、実施例1と同様の方法で管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
<厚みに関する検討>
(実施例12)
実施例1と同じ成形用材料を、同じ割合で、同様の方法で、厚さ2mmである管継ぎ手、及び試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
実施例1と同じ成形用材料を、同じ割合で、同様の方法で、厚さ1mmである管継ぎ手、及び試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例1と同じ成形用材料を、同じ割合で、同様の方法で、厚さ15mmである管継ぎ手、及び試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例7)
実施例1と同じ成形用材料を、同じ割合で、同様の方法で、厚さ0.5mmである管継ぎ手、及び、試験片の作製、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例8)
実施例1と同じ成形用材料を、同じ割合で、同様の方法で、厚さ20mmである管継ぎ手、及び、試験片の作製を行ったところ、管壁内部の結晶化が遅く、成形体の成形が出来なかった。
(結果)
実施例はいずれも条件を満たしたが、乳酸重合体成分(A)が乳酸重合体(A2)を含む実施例8及び9では、若干耐熱性の低下が見られた。また、冷却時間が短かった実施例10は外表面部と管壁内部との相対結晶化度の差が小さくなり、耐熱性もやや低下していた。
一方、70℃で冷却した比較例1は表面が急冷されなかったためにゆっくりと結晶化して、相対結晶化度が外表面部も管壁内部も100%となってしまい、溶剤接着性が著しく低下してしまった。逆に10℃で冷却した比較例2は冷却が進みすぎてしまい、外表面部も管壁内部も相対結晶化度が低下しすぎて耐熱性に問題が生じてしまった。さらに、乳酸重合体(A1)を含んでいても、乳酸重合体成分(A)全体のうち乳酸重合体(A2)の方が多い比較例3では、相対結晶化度が全体的に低下してしまい、目的の相対結晶化度の成形体を得ることができなかった。さらにまた、乳酸重合体成分(A)が50質量%を超えずに柔軟性樹脂成分(B)が多い比較例4は耐熱性に問題が生じ、無機充填剤(C)が多い比較例5は耐衝撃性に問題が生じてしまった。逆に無機充填剤(C)を含まない比較例6では、管壁内部の結晶化度が低下しすぎてしまい、耐熱性に問題が生じてしまった。
また、製造方法を変更した実施例11でも、実施例1と同様に良好な結果が得られた。
厚みを変化させた場合、厚み1mmまでは良好な結果となったが、厚みを0.5mmとした比較例7では、薄すぎて外表面部まで高い結晶化度となってしまい、溶剤接着性に問題を生じてしまった。一方で、厚みを増した場合、厚み15mmまでは良好な結果となったが、厚みを20mmとした比較例8では、管壁内部の結晶化が遅く、成形体の成形が出来なかった。

Claims (6)

  1. D−乳酸からなる構成単位とL−乳酸からなる構成単位とで構成され、D−乳酸からなる構成単位が占める割合が5質量%以下、又は95質量%以上である乳酸重合体(A1)を主成分とする乳酸重合体成分(A)、
    乳酸重合体以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、乳酸とジオール・ジカルボン酸とのポリエステル、及び乳酸系樹脂とジオール・ジカルボン酸とのポリエステルから選ばれる少なくとも一種類の柔軟性樹脂成分(B)、及び無機充填剤(C)を含有し、乳酸重合体成分(A)を主成分とする樹脂組成物を含有する成形用材料を成形した管状成形体であって、
    上記の管状成形体は、上記成形用材料のみを用いて成形したものであり、
    乳酸重合体成分(A)の下記式(1)で表される相対結晶化度χcが40%以上70%以下となる部分を両外表面部に有し、
    乳酸重合体成分(A)の相対結晶化度χcが80%以上100%以下となる部分を管壁内部に有し、
    厚みが1mm以上15mm以下である生分解性樹脂製管状成形体。
    χc={(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}×100……(1)
    (ΔHmは乳酸重合体成分(A)の結晶融解熱量、ΔHcは乳酸重合体成分(A)の結晶化熱量)
  2. 上記の乳酸重合体成分(A)が、D−乳酸からなる構成単位とL−乳酸からなる構成単位とで構成されそのうちD−乳酸からなる構成単位が占める割合が5質量%を上回り95質量%未満である乳酸重合体(A2)を含み、乳酸重合体成分(A)のうち乳酸重合体(A2)の占める割合が1質量%以上50質量%未満である、請求項1に記載の生分解性樹脂製管状成形体。
  3. 上記樹脂組成物が上記の柔軟性樹脂成分(B)及び無機充填剤(C)を含有し、上記の乳酸重合体成分(A)、柔軟性樹脂成分(B)及び無機充填剤(C)を合わせた三成分のうち、上記柔軟性樹脂成分(B)の割合が5質量%以上30質量%以下であり、上記無機充填剤(C)の割合が1質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の生分解性樹脂製管状成形体。
  4. 上記乳酸重合体成分(A)、柔軟性樹脂成分(B)及び無機充填剤(C)の合計量100重量部に対して、分子量が200以上2000以下であるエステル化合物(D)を0.1質量部以上5質量部以下配合した混合物を上記の成形用材料として用いた、請求項1乃至3のいずれかに記載の生分解性樹脂製管状成形体。
  5. 上記樹脂組成物を、押出成形により成形した後、冷却媒体で冷却した、請求項1乃至4のいずれかに記載の生分解性樹脂製管状成形体。
  6. 乳酸を主成分とする構成単位のうちの乳酸全量に対するD−乳酸の割合が5質量%以下又は95質量%以上である乳酸重合体(A1)を含む乳酸重合体成分(A)を主成分とし、全体に対して1質量%以上30質量%以下となる無機充填剤(C)を含む樹脂組成物を含有する成形用材料を、溶融し、厚みが1mm以上15mm以下の管状成形体を成形した後、
    温度が20℃以上50℃以下であり、冷却前の樹脂との温度差が140℃以上180℃以下である冷却媒体により表面を冷却する、
    前記乳酸重合体成分(A)の下記式(1)で表される相対結晶化度χcが40%以上70%未満となる部分を両外表面に有し、前記乳酸重合体成分(A)の相対結晶化度χcが80%以上100%以下となる部分を管壁内部に有する生分解性樹脂製管状成形体の製造方法。
    χc={(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}×100……(1)
    (ΔHmは乳酸重合体成分(A)の結晶融解熱量、ΔHcは前記乳酸重合体成分(A)の結晶化熱量)
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