JP2012153749A - ポリアミド樹脂およびその製造方法 - Google Patents
ポリアミド樹脂およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012153749A JP2012153749A JP2011011522A JP2011011522A JP2012153749A JP 2012153749 A JP2012153749 A JP 2012153749A JP 2011011522 A JP2011011522 A JP 2011011522A JP 2011011522 A JP2011011522 A JP 2011011522A JP 2012153749 A JP2012153749 A JP 2012153749A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyamide resin
- mol
- melting point
- diamine
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Polyamides (AREA)
Abstract
【解決手段】ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミン単位に由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド樹脂であって、キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%含有し、数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有するポリアミド樹脂およびその製造方法。
【選択図】なし
Description
このような高耐熱用途においては、280℃以上、特には300℃を超える融点を有するポリアミド樹脂が望まれるが、このような高い融点を有しながらも成形加工にも優れるポリアミド樹脂は、工業的に満足いくレベルには達していないというのが、現状である。
キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%含有し、
数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有することを特徴とするポリアミド樹脂が提供される。
重合反応容器からポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点〜融点+20℃の温度範囲となるように、ストランド状に抜き出す工程、
抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を、0〜60℃の冷却水中で冷却する工程を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
ジカルボン酸を溶融する工程、溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程、ジアミン滴下終了後、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を含むことを特徴とする第1〜6の発明のポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程を含むことを特徴とする第1〜6の発明のポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
なお、例えば、ポリアミド6においてはα型結晶とγ型結晶が存在し、その存在割合によって密度が異なることや、ある温度によって結晶構造が転移することは知られているが、本発明のように異なる融点を有することはこれまで知られていない。また、キシリレンセバカミド系ポリアミド樹脂においてもそのような知見は知られていなかった。
キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%を含有し、
数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有することを特徴とする。
なお、本願明細書において、「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
キシリレンジアミン由来単位が70モル%未満では、耐熱性、耐薬品性が低下する。キシリレンジアミン由来単位は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらには95モル%以上、特には98モル%以上である。
セバシン酸以外の炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の量は、50モル%未満であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下、最も好ましくは5モル%以下である。
ジカルボン酸成分として使用できる直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸といった異性体等のナフタレンジカルボン酸等が例示され、1種又は2種以上を混合して使用できる。
また、安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等のカルボン酸無水物等も併用することもできる。
30℃から予想される融点以上、通常は予想される融点+30℃の温度まで10℃/分の速度で昇温し、ポリアミド樹脂を溶融させる。このときに観測される吸熱ピークのピークトップから、融点を求めることができる。
通常、ポリアミド樹脂は、観測される吸熱ピークが一つであり、単一の融点を有するのであるが、本発明のポリアミド樹脂は従来のポリアミド樹脂とは異なって、融点を2つ以上、通常2つ有する。
本発明のポリアミド樹脂の2つ以上の融点は、通常250〜330℃の範囲であって、好ましくは260〜320℃、より好ましくは270〜310℃、特に好ましくは275〜305℃である。
融点を2つ以上、好ましくはこのような温度範囲に有することで、良好な耐熱性と成形性を有するポリアミド樹脂となる。
数平均分子量=2,000,000/([COOH]+[NH2])
ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量及び反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを選択したりすることにより調整できる。
反応モル比は、より好ましくは1.0未満、さらに好ましくは0.995未満、特には0.990未満であり、下限は、より好ましくは0.975以上、さらに好ましくは0.98以上である。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015 (水の分子量)
M1:ジアミンの分子量(g/mol)
M2:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:末端アミノ基濃度(当量/g)
C:末端カルボキシル基濃度(当量/g)
ポリアミド樹脂の製造方法がいわゆる塩法である場合は、反応モル比を0.97〜1.02にするには、具体的には、例えば、原料ジアミン成分/原料ジカルボン酸成分比をこの範囲に設定し、反応を十分進めればよい。また溶融ジカルボン酸に連続的にジアミンを滴下する方法の場合は、仕込み比をこの範囲とすることの他に、ジアミンを滴下する最中に還流させるジアミン量をコントロールし、滴下したジアミンを反応系外に除去することでも可能である。具体的には還流塔の温度を最適な範囲にコントロールすることや充填塔の充填物、所謂、ラシヒリングやレッシングリング、サドル等を適切な形状、充填量に制御することで、ジアミンを系外に除去ればよい。また、ジアミン滴下後の反応時間を短くすることでも未反応のジアミンを系外に除去することができる。さらにはジアミンの滴下速度を制御することによっても未反応のジアミンを必要に応じて反応系外に除去することができる。これらの方法により仕込み比が所望範囲から外れても反応モル比を所定の範囲にコントロールすることが可能である。
末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を上記範囲とすることにより、ポリアミド樹脂の分子量が適当な範囲になり、機械物性がより良好となり、成形時に樹脂が分解しにくくガスの発生が抑えられ、成形性が良好となる傾向にある。
例えば、パラキシリレンジアミン(さらにはメタキシリレンジアミン等)とセバシン酸(さらにはアジピン酸等)からなるポリアミド塩を、水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水よび縮合水を取り除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、パラキシリレンジアミン等を溶融状態のセバシン酸等に直接加えて、常圧下または加圧下で重縮合する方法によっても製造される。
重縮合反応時の反応容器内部の圧力は、0.1〜0.6MPaが好ましく、0.2〜0.5MPaがより好ましい。加圧は、窒素等の不活性ガスによるものでもよいし、反応中に生成する縮合水の蒸気によってもよい。
(1)本発明のポリアミド樹脂を製造する際、重合反応容器からポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点〜融点+20℃の温度範囲となるように、ストランド状に抜き出す工程、抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を、0〜60℃の冷却水中で冷却する工程を含む方法。
(2)重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
ジカルボン酸を溶融する工程、溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程、ジアミン滴下終了後、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を含む方法。
(3)重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程を含む方法。
なお、上記(1)〜(3)における融点とは、DSC測定を行った際に複数存在する吸熱ピークのうち、高温側のピークのピークトップの温度のことを意味する。
このような範囲とすることによって、単一組成のポリアミド樹脂でありながら、融点の異なる複数の結晶構造を固定化できるものと考えられる。冷却時間が2秒以下では冷却が不十分となり好ましい結晶構造に固定化できないことがあり、また、ペレタイジング時にカッターにストランドが巻きつくなどの事象が起こり、生産性が悪いことがある。また、冷却時間が60秒を超えると、得られるポリアミド樹脂の水分率が高くなりすぎるなどの問題を生じることがある。なお、上記冷却時間は、冷却水槽中でストランドが水に接触する距離や、冷却水槽の長さ、または冷却水をストランドにスプレー、噴霧する時間などにより適宜調節できる。
ジカルボン酸を溶融する工程は、重縮合工程に先立ち固体状のジカルボン酸を反応器内に仕込み過熱して溶融しても良いし、あらかじめ溶融させたジカルボン酸を反応容器に仕込んでも良い。
溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程は、生成するポリアミドオリゴマーが固化しない温度以上〜固化しない温度+30℃の温度に、反応容器内をコントロールしながら、ジアミンの滴下量の増加にしたがって、反応容器内の温度を連続的に昇温させることが好ましい。全量のジアミンが滴下完了した時点で反応容器内の温度は、ポリアミド樹脂の融点〜融点30℃となることが好ましい。この間、反応容器内は窒素で置換されていることが好ましい。またこの間、反応容器内は攪拌翼にて混合され、反応容器内は均一な流動状態となることが好ましい。
ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で保持する工程が60分より長いと、ポリアミド樹脂の融点が一つとなることがあり好ましくない。融点〜融点+30℃に保持する工程は、1〜40分がより好ましく、1〜30分がさらに好ましく、特に好ましくは1〜20分である。
ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程は一般的な塩法による製法であるが、本発明では、ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程においては、温度は好ましくは、ポリアミドオリゴマーの融点〜融点+30℃、より好ましくはポリアミドオリゴマーの融点〜融点+20℃、圧力は好ましくは1〜2MPa、より好ましくは1.5〜1.9MPaに反応容器内をコントロールしながら、好ましくは60〜300分、より好ましくは90〜240分溶融保持する。
そして、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する。かかる工程を経ることで、これら工程を経て得られるポリアミド樹脂は、複数の融点を持つポリアミド樹脂とすることができる。ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で保持する工程が60分より長いと、ポリアミド樹脂の融点が一つとなることがあり好ましくない。融点〜融点+30℃に保持する工程は1〜40分がより好ましく、1〜30分がさらに好ましく、特に好ましくは1〜20分である。
また、本発明のポリアミド樹脂には、上記のリン化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤等を加えた組成物とすることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合して加えても良い。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロヘキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
有機硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
銅化合物は、種々の無機酸または有機酸の銅塩であって、後述のハロゲン化物を除くものである。銅としては、第1銅、第2銅の何れでもよく、銅塩の具体例としては、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ステアリン酸銅の他、ハイドロタルサイト、スチヒタイト、パイロライト等の天然鉱物が挙げられる。
これら安定剤の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、通常0.01〜1質量部、好ましくは0.01〜0.8質量部である。
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したセバシン酸(伊藤製油株式会社製、製品名セバシン酸TA)8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)を秤量して仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素で0.4MPaに加圧し、撹拌しながら20℃から190℃に昇温して55分間でセバシン酸を均一に溶融した。次いでパラキシリレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製)5960g(43.76mol)を撹拌下で110分を要して滴下した。この間、反応容器内温は293℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.4MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。パラキシリレンジアミン滴下終了後、反応容器内圧力0.4MPaにて20分間重縮合反応を継続した。この間、反応容器内温は296℃まで上昇させた。その後、30分間で反応容器内圧力を0.4MPaから0.12MPaまで減圧した。この間に内温は298℃まで昇温した。その後0.002MPa/分の速度で減圧し、20分間で0.08MPaまで減圧した。減圧完了時の反応容器内の温度は301℃であった。その後、系内を窒素で加圧し、反応容器内温度301℃、樹脂温度301℃で、ストランドダイからポリマーをストランド状に取出して20℃の冷却水にて冷却し、これをペレット化し、約13kgのポリアミド樹脂を得た。なお、冷却水中での冷却時間は5秒、ストランドの引き取り速度は100m/分とした。
(1)融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量測定(DSC)法により、島津製作所社製DSC−60を用い、30℃から予想される融点以上の温度まで10℃/分の速度で昇温し、ポリアミド樹脂を溶融させた。この時の吸熱ピークのピークトップの温度を融点とした。溶融後サンプルをドライアイスで冷却し、次いで、10℃/分の速度で融点以上の温度まで昇温し、ガラス転移点を求めた。
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH2](μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μ当量/g)を、下記した中和滴定により求め、次式で算出した。
数平均分子量=2,000,000/([COOH]+[NH2])
装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換の値として求めた。
前記した次式により求めた。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015
M1:ジアミンの分子量(g/mol)
M2:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:末端アミノ基濃度(当量/g)
C:末端カルボキシル基濃度(当量/g)
ポリアミド樹脂0.5gを精秤し、フェノール/メタノール(4:1)混合溶液30mlに20〜30℃で攪拌溶解し、完全溶解した後、0.01Nの塩酸で中和滴定して求めた。
(6)末端カルボキシル基濃度([COOH]):
ポリアミド樹脂0.1gを精秤し、ベンジルアルコール30mlに窒素気流下200℃で約15分間、攪拌溶解し完全に溶解した後、窒素気流下165℃まで冷却し、攪拌しつつフェノールレッド溶液を0.1ml加える。その溶液を160〜165℃で保持し、0.132gのKOHをベンジルアルコール200mlに溶解させた滴定液(KOHとして0.01mol/l)で滴定を行ない、溶液の色が黄から赤となり色の変化がなくなった時点を終点とすることで求めた。
(7)末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度([NH2]/[COOH]):
上記の各濃度から算出した。
得られたポリアミド樹脂ペレットを用い、熱重量測定(TG)法により、島津製作所社製DTG−60にて、窒素雰囲気下、30℃から500℃まで10℃/分の速度で昇温し、200℃時点の重量から5%の重量減少が確認された温度を求めた。5%重量減少温度が高温であるほど、樹脂の劣化分解が抑制されているといえ、樹脂の溶融滞留時すなわち、成形加工時の熱安定性に優れ、ガスの発生が少なく、また金型への分解物付着が抑制された、耐熱性、成形加工性に優れた樹脂であるといえる。
上記実施例1において、パラキシリレンジアミンの滴下量を6026g(44.25mol)とし、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
上記実施例1において、パラキシリレンジアミンの滴下量を5900g(43.32mol)とし、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランド引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
温度調整されたオイルが流通する分縮器、全縮器、撹拌機、窒素ガス導入管およびジアミンの滴下口を備えたオイルジャケット付き50リットルのステンレス製の反応槽に、セバシン酸(伊藤製油株式会社製、製品名セバシン酸TA)8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製)5960g(43.76mol)、蒸留水19kgを入れ、十分窒素置換した。
装置を密閉した状態で内容物を攪拌しながら200℃まで1.5時間かけて昇温しつつ、セバシン酸とパラキシリレンジアミンからなる塩を製造した。その後さらに昇温し、反応容器内圧力が1.9MPaに到達したら圧力を保持しつつ、1.5時間かけて仕込水および反応生成水を装置外に留去し、その間に反応温度を250℃まで昇温した。引き続き水を留去しつつ、反応圧力を常圧まで1時間で降下させて、その間に反応温度を302℃まで昇温した。その後、反応系内圧を0.08MPaまで10分間で連続的に減圧し、その後、5分間反応を継続した。樹脂温度302℃で、ストランドダイからポリマーをストランド状に取出して20℃の冷却水にて冷却し、これをペレット化しポリアミド樹脂を得た。なお、冷却水中での冷却時間は5秒、ストランドの引き取り速度は100m/分とした。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
上記実施例1において、ストランドの冷却をネットベルト上で空冷にて、表1に記載の冷却時間で行った以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
上記実施例4において、ストランドの冷却をネットベルト上で空冷にて、表1に記載の冷却時間で行った以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
上記実施例1において、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
上記実施例1において、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
上記実施例1において、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂の製造を行ったが、ペレタイジング時にストランドがカッターに巻きつくことがあり、生産性に劣っていた。
Claims (11)
- ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミン単位に由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド樹脂であって、
キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%含有し、
数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有することを特徴とするポリアミド樹脂。 - 250〜330℃の温度範囲内に、2つ以上の融点を有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂。
- 270〜310℃の温度範囲内に、2つ以上の融点を有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂。
- 分子量分布(Mw/Mn)が、2.1〜3.1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
- 反応したジカルボン酸単位に対する反応したジアミン単位のモル比(反応したジアミン単位のモル数/反応したジカルボン酸単位のモル数)が、0.97〜1.02であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
- 前記セバシン酸以外のジカルボン酸成分が、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸から選ばれるものである請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂を製造する方法であって、
重合反応容器からポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点〜融点+20℃の温度範囲となるように、ストランド状に抜き出す工程、
抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を、0〜60℃の冷却水中で冷却する工程を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。 - 重合反応容器から抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を冷却する際、ストランド状ポリアミド樹脂が冷却水と接触する時間が2〜60秒間であることを特徴とする請求項7に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す際、ストランドの抜き出し速度が100〜300m/分であることを特徴とする請求項7または8に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
- 重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
ジカルボン酸を溶融する工程、溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程、ジアミン滴下終了後、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。 - ポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011011522A JP5673130B2 (ja) | 2011-01-24 | 2011-01-24 | ポリアミド樹脂およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011011522A JP5673130B2 (ja) | 2011-01-24 | 2011-01-24 | ポリアミド樹脂およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012153749A true JP2012153749A (ja) | 2012-08-16 |
JP5673130B2 JP5673130B2 (ja) | 2015-02-18 |
Family
ID=46835833
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011011522A Active JP5673130B2 (ja) | 2011-01-24 | 2011-01-24 | ポリアミド樹脂およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5673130B2 (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014065594A1 (ko) * | 2012-10-23 | 2014-05-01 | 제일모직 주식회사 | 폴리아미드의 제조방법 |
WO2014156861A1 (ja) | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Art&Tech株式会社 | 不織布、シートまたはフィルム、多層シート、成形品および不織布の製造方法 |
WO2016017518A1 (ja) * | 2014-07-30 | 2016-02-04 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリアミドペレット、ポリアミドペレットの製造方法、及びポリアミド成形体の製造方法 |
JP2016074804A (ja) * | 2014-10-06 | 2016-05-12 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリアミド樹脂組成物、成形品、および、成形品の製造方法 |
CN107345066A (zh) * | 2016-05-06 | 2017-11-14 | 旭化成株式会社 | 聚酰胺树脂组合物和提高耐化学品性的方法 |
CN107345065A (zh) * | 2016-05-06 | 2017-11-14 | 旭化成株式会社 | 聚酰胺树脂组合物和提高耐化学品性的方法 |
US9840587B2 (en) | 2012-10-23 | 2017-12-12 | Lotte Advanced Materials Co., Ltd. | Polyamide production method |
JP2018168346A (ja) * | 2017-03-30 | 2018-11-01 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 成形品、キットおよび成形品の製造方法 |
JP2019209492A (ja) * | 2018-05-31 | 2019-12-12 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 熱可塑性樹脂と接触する温調水の処理方法 |
WO2021014818A1 (ja) * | 2019-07-24 | 2021-01-28 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 樹脂組成物、成形品および樹脂組成物の製造方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010032692A1 (ja) * | 2008-09-18 | 2010-03-25 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリアミドの製造方法 |
JP2010070638A (ja) * | 2008-09-18 | 2010-04-02 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | ポリアミド樹脂 |
WO2010122886A1 (ja) * | 2009-04-20 | 2010-10-28 | 三菱化学株式会社 | 導電性熱可塑性樹脂組成物、導電性ポリアミド樹脂組成物及び導電性ポリアミドフィルム |
-
2011
- 2011-01-24 JP JP2011011522A patent/JP5673130B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010032692A1 (ja) * | 2008-09-18 | 2010-03-25 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリアミドの製造方法 |
JP2010070638A (ja) * | 2008-09-18 | 2010-04-02 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | ポリアミド樹脂 |
WO2010122886A1 (ja) * | 2009-04-20 | 2010-10-28 | 三菱化学株式会社 | 導電性熱可塑性樹脂組成物、導電性ポリアミド樹脂組成物及び導電性ポリアミドフィルム |
Cited By (20)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014065594A1 (ko) * | 2012-10-23 | 2014-05-01 | 제일모직 주식회사 | 폴리아미드의 제조방법 |
US9840587B2 (en) | 2012-10-23 | 2017-12-12 | Lotte Advanced Materials Co., Ltd. | Polyamide production method |
WO2014156861A1 (ja) | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Art&Tech株式会社 | 不織布、シートまたはフィルム、多層シート、成形品および不織布の製造方法 |
US10786928B2 (en) | 2014-07-30 | 2020-09-29 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Polyamide pellets, method for producing polyamide pellets, and method for producing polyamide molded article |
WO2016017518A1 (ja) * | 2014-07-30 | 2016-02-04 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ポリアミドペレット、ポリアミドペレットの製造方法、及びポリアミド成形体の製造方法 |
CN106661234A (zh) * | 2014-07-30 | 2017-05-10 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 聚酰胺粒料、聚酰胺粒料的制造方法、以及聚酰胺成型体的制造方法 |
CN106661234B (zh) * | 2014-07-30 | 2021-02-09 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 聚酰胺粒料、聚酰胺粒料的制造方法、以及聚酰胺成型体的制造方法 |
EP3176203A4 (en) * | 2014-07-30 | 2018-03-07 | Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. | Polyamide pellets, method for producing polyamide pellets, and method for producing polyamide molded article |
JP2016074804A (ja) * | 2014-10-06 | 2016-05-12 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリアミド樹脂組成物、成形品、および、成形品の製造方法 |
CN107345066B (zh) * | 2016-05-06 | 2021-05-14 | 旭化成株式会社 | 聚酰胺树脂组合物和提高耐化学品性的方法 |
CN107345065A (zh) * | 2016-05-06 | 2017-11-14 | 旭化成株式会社 | 聚酰胺树脂组合物和提高耐化学品性的方法 |
CN107345066A (zh) * | 2016-05-06 | 2017-11-14 | 旭化成株式会社 | 聚酰胺树脂组合物和提高耐化学品性的方法 |
JP2018168346A (ja) * | 2017-03-30 | 2018-11-01 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 成形品、キットおよび成形品の製造方法 |
JP2019209492A (ja) * | 2018-05-31 | 2019-12-12 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 熱可塑性樹脂と接触する温調水の処理方法 |
JP7106992B2 (ja) | 2018-05-31 | 2022-07-27 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 熱可塑性樹脂と接触する温調水の処理方法 |
WO2021014818A1 (ja) * | 2019-07-24 | 2021-01-28 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 樹脂組成物、成形品および樹脂組成物の製造方法 |
JPWO2021014818A1 (ja) * | 2019-07-24 | 2021-01-28 | ||
CN114144474A (zh) * | 2019-07-24 | 2022-03-04 | 三菱工程塑料株式会社 | 树脂组合物、成型品及树脂组合物的制造方法 |
CN114144474B (zh) * | 2019-07-24 | 2023-10-03 | 菱环球聚甲醛株式会社 | 树脂组合物、成型品及树脂组合物的制造方法 |
JP7459107B2 (ja) | 2019-07-24 | 2024-04-01 | グローバルポリアセタール株式会社 | 樹脂組成物、成形品および樹脂組成物の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5673130B2 (ja) | 2015-02-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5673130B2 (ja) | ポリアミド樹脂およびその製造方法 | |
EP2792714B1 (en) | Molded products | |
KR101299407B1 (ko) | 반응성 폴리아미드 수지 및 폴리아미드 수지 조성물 | |
EP2570459B1 (en) | Polyamide resin composition | |
JP6210066B2 (ja) | 繊維強化ポリアミド樹脂材料 | |
JP5212582B1 (ja) | 薄肉成形品 | |
JP5218705B2 (ja) | ポリアミド樹脂およびその成形方法 | |
JP6098058B2 (ja) | 難燃性ポリアミド樹脂組成物 | |
JP2014065783A (ja) | 繊維複合材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20130814 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20130821 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130911 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140128 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140305 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141007 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141113 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141202 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141215 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5673130 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |