JP2012153749A - ポリアミド樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、成形加工性に優れたキシリレンセバカミド系ポリアミド樹脂を提供する。
【解決手段】ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミン単位に由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド樹脂であって、キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%含有し、数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有するポリアミド樹脂およびその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂およびその製造方法に関し、詳しくは、高い耐熱性を有し、成形加工性に優れたポリアミド樹脂およびその製造方法に関する。
ポリアミド樹脂は、耐衝撃性、耐摩擦・摩耗性などの機械的強度に優れ、耐熱性、耐油性などにも優れたエンジニアリングプラスチックスとして、自動車部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、機械部品、建材・住設関連部品などの分野で広く使用されており、近年更に使用分野が広がっている。
ポリアミド樹脂には、例えばポリアミド6、ポリアミド66など多くの種類が知られているが、メタキシリレンジアミンとアジピン酸から得られるメタキシリレンアジパミド(以下、「MXD6」ともいう。)は、ポリアミド6、ポリアミド66などとは異なって、主鎖に芳香環を有し、高剛性、低吸水率で、耐油性に優れ、また成形においては、成形収縮率が小さく、引けやソリが小さいことから精密成形にも適しており、極めて優れたポリアミド樹脂として位置付けられる。これらのことから、MXD6は、電子・電気機器部品、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、レジャースポーツ用品、土木建築用部材等の様々な分野での成形材料、特に射出成形用材料として、近年ますます広く利用されてきている。
また、より軽くて強いポリアミド樹脂材料も求められており、MXD6よりも軽いキシリレン系ポリアミド樹脂として、キシレンジアミンとセバシン酸から得られるキシリレンセバカミド系ポリアミド樹脂(以下、「XD10」ともいう。)が知られており(特許文献1参照)、耐薬品性や耐衝撃性に優れることから、各種部品用の材料として、特に近年、大いに期待されてきている。
一方で、高度の耐熱性が要求される用途における市場ニーズも近年非常に高まってきており、例えばLED照明におけるリフレクタ(反射板)、LED実装基板等においては、その製造時や使用時に高い耐熱性が必要である。特許文献2〜4には、かかる用途向けに各種のポリアミド樹脂組成物を使用することが提案されている。特許文献4では、テレフタル酸と1,9−ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなる半芳香族ポリアミド樹脂に充填剤等を配合した組成物が開示されている。しかしながら、このポリアミド樹脂は、融点が例えば306℃付近と高い値を示すが、溶融流動性が悪く、流動性を上げるために成形温度を高く設定すると、樹脂が分解しやすく、ガスの発生が多く成形が容易でないこと、生産性が悪いことなどの問題点があげられ、好ましくない。
このような高耐熱用途においては、280℃以上、特には300℃を超える融点を有するポリアミド樹脂が望まれるが、このような高い融点を有しながらも成形加工にも優れるポリアミド樹脂は、工業的に満足いくレベルには達していないというのが、現状である。
こうした状況下、耐熱性に優れ、成形加工時の樹脂の分解が抑制されガスの発生が少なく、結晶化速度が速く、成形サイクルを速めることが可能で成形効率に優れたポリアミド樹脂の開発が強く望まれていた。
特開昭63−137956号公報 特開2008−182172号公報 特開2009−99533号公報 特開2009−202567号公報
本発明の目的は、以上のような状況から、高い耐熱性を有しながら成形加工性に優れたポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、パラキシリレンジアミンを主成分とするキシリレンジアミンからなるジアミン成分と、セバシン酸を主成分とするジカルボン酸成分からなる特定分子量のポリアミド樹脂であって、融点を2つ以上有するポリアミド樹脂が、上記目的に適うポリアミド樹脂であることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミン単位に由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド樹脂であって、
キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%含有し、
数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有することを特徴とするポリアミド樹脂が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、250〜330℃の温度範囲内に、2つ以上の融点を有することを特徴とするポリアミド樹脂が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、270〜310℃の温度範囲内に、2つ以上の融点を有することを特徴とするポリアミド樹脂が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、分子量分布(Mw/Mn)が、2.1〜3.1であることを特徴とするポリアミド樹脂が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、反応したジカルボン酸単位に対する反応したジアミン単位のモル比(反応したジアミン単位のモル数/反応したジカルボン酸単位のモル数)が、0.97〜1.02であることを特徴とするポリアミド樹脂が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、セバシン酸以外のジカルボン酸成分が、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸から選ばれるものであるポリアミド樹脂が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明のポリアミド樹脂を製造する方法であって、
重合反応容器からポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点〜融点+20℃の温度範囲となるように、ストランド状に抜き出す工程、
抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を、0〜60℃の冷却水中で冷却する工程を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、重合反応容器から抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を冷却する際、ストランド状ポリアミド樹脂が冷却水と接触する時間が2〜60秒間であることを特徴とする第1〜6の発明のポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第7または第8の発明において、重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す際、ストランドの抜き出し速度が100〜300m/分であることを特徴とする第1〜6の発明のポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第7〜9のいずれかの発明において、重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
ジカルボン酸を溶融する工程、溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程、ジアミン滴下終了後、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を含むことを特徴とする第1〜6の発明のポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第7〜9のいずれかの発明において、ポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程を含むことを特徴とする第1〜6の発明のポリアミド樹脂の製造方法が提供される。
本発明によれば、耐熱性と成形加工性に優れ、成形加工時の樹脂の分解が抑制されたポリアミド樹脂を提供することができる。そして、本発明のポリアミド樹脂は、これまでポリアミド樹脂が適用できなかった高耐熱性部品等の分野での使用も期待される。
2つ以上の融点を有するキシリレンセバカミド系ポリアミド樹脂は、今まで知られていない。本発明においては、原料モノマーの組成を特定の範囲とすること、また反応モル比を適切な範囲とすること、さらには重合時の反応温度、反応圧力や反応時間を最適な範囲にコントロールすること、重合したポリアミド樹脂をストランド状に抜き出すに際し、抜き出す際のストランドの温度、抜き出されたストランドを冷却する場合の冷却水温度や冷却時間を特定の範囲とすること、ストランドの引き取り速度を最適にコントロールすることなどによって、驚くべきことに、得られるポリアミド樹脂の結晶構造が単一では無く、安定な形で異なる結晶構造が複数種存在する現象が起こるものと考えられる。このため、同一組成のポリマーでありながら、比較的低融点な成分と比較的高融点な成分が存在することとなり、耐熱性と成形加工性を兼ね備えたポリアミド樹脂になるものと考えられる。
なお、例えば、ポリアミド6においてはα型結晶とγ型結晶が存在し、その存在割合によって密度が異なることや、ある温度によって結晶構造が転移することは知られているが、本発明のように異なる融点を有することはこれまで知られていない。また、キシリレンセバカミド系ポリアミド樹脂においてもそのような知見は知られていなかった。
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミン単位に由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド樹脂であって、
キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%を含有し、
数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有することを特徴とする。
以下、本発明のポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂の製造方法について、詳細に説明する。
なお、本願明細書において、「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリアミド樹脂のジアミン構成単位は、その70モル%以上がキシリレンジアミン由来の単位であり、また、キシリレンジアミン由来単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%からなる。
キシリレンジアミン由来単位が70モル%未満では、耐熱性、耐薬品性が低下する。キシリレンジアミン由来単位は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらには95モル%以上、特には98モル%以上である。
また、キシリレンジアミン由来単位のうち、パラキシリレンジアミン由来単位が50モル%未満では耐熱性、結晶性が低下してしまう。また、キシリレンジアミン由来単位のうち、メタキシリレンジアミン由来単位はなくてもよいが、その上限は50モル%、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらには10モル%以下、特には5モル%以下である。50モル%を超えると、ポリアミド樹脂の結晶性が低下し、また融点が単一となるため好ましくない。
また、本発明のポリアミド樹脂のジカルボン酸構成単位は、その50モル%以上がセバシン酸に由来する単位であり、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらには80モル%以上、特には90モル%以上、最も好ましくは95モル%以上である。この範囲であれば、耐熱性が良好で成形加工性に優れたポリアミド樹脂とすることができる。
セバシン酸以外のジカルボン酸成分としては、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分が好ましく、例えばアジピン酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。これらのうち、アジピン酸、コハク酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等を用いることが好ましく、特に好ましくはアジピン酸である。アジピン酸を併用することで、弾性率や結晶性をコントロールしやすくなる。
セバシン酸以外の炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸の量は、50モル%未満であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下、最も好ましくは5モル%以下である。
また、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸なども併用することもできる。
ジカルボン酸成分として使用できる直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸といった異性体等のナフタレンジカルボン酸等が例示され、1種又は2種以上を混合して使用できる。
また、安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等のカルボン酸無水物等も併用することもできる。
ジカルボン酸成分として、直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合はその割合はジカルボン酸構成単位の30モル%以下であることが好ましく、成形加工性の点から、上記の内、イソフタル酸が好ましい。イソフタル酸の割合は、ジカルボン酸構成単位の30モル%以下であり、好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の範囲である。
ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として、ジアミン成分の30モル%以下の範囲で使用できるキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン(構造異性体を含む。)、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン(構造異性体を含む。)等の脂環式ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン(構造異性体を含む。)等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
原料ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを使用する場合は、ジアミン構成単位の30モル%以下であり、好ましくは25モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは15モル%以下、特に好ましくは10モル%以下、最も好ましくは5モル%以下である。
本発明のポリアミド樹脂は、融点を2つ以上有することを特徴とする。本発明における融点とは、示差走査熱量測定(DSC)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度である。具体的には、次の要領で求めることができる。
30℃から予想される融点以上、通常は予想される融点+30℃の温度まで10℃/分の速度で昇温し、ポリアミド樹脂を溶融させる。このときに観測される吸熱ピークのピークトップから、融点を求めることができる。
通常、ポリアミド樹脂は、観測される吸熱ピークが一つであり、単一の融点を有するのであるが、本発明のポリアミド樹脂は従来のポリアミド樹脂とは異なって、融点を2つ以上、通常2つ有する。
本発明のポリアミド樹脂の2つ以上の融点は、通常250〜330℃の範囲であって、好ましくは260〜320℃、より好ましくは270〜310℃、特に好ましくは275〜305℃である。
融点を2つ以上、好ましくはこのような温度範囲に有することで、良好な耐熱性と成形性を有するポリアミド樹脂となる。
また、本発明のポリアミド樹脂のガラス転移点は、70〜120℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは、75〜110℃である。
なお、本発明において、ポリアミド樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量測定(DSC)法によって測定することができ、試料を一度加熱溶融させ急冷し、再度昇温して測定されるガラス転移点をいう。具体的には、例えば、30℃から予想される融点以上の温度、通常は予想される融点+30℃の温度まで10℃/分の速度で昇温し、ポリアミド樹脂を溶融させた後急冷する。次いで、10℃/分の速度で融点以上の温度まで昇温し、ガラス転移点を求めることができる。
また、本発明のポリアミド樹脂は、数平均分子量が、6,000〜30,000である。数平均分子量が、6,000未満では機械物性が良好でない場合があり、30,000を超えると粘度が高くなり、成形加工時に加える熱エネルギーが多く必要となるなど、生産性が悪化する場合がある。数平均分子量の好ましい範囲は、8,000〜25,000であり、より好ましくは10,000〜20,000であり、さらに好ましくは11,000〜18,000である。
なお、ここでいう数平均分子量とはポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH](μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μ当量/g)から、次式で算出したものである。
数平均分子量=2,000,000/([COOH]+[NH])
本発明のポリアミド樹脂は、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))が、好ましくは2.1〜3.1である。分子量分布は、より好ましくは2.2〜3.0、さらに好ましくは2.3〜2.9である。分子量分布をこのような範囲とすることにより、耐熱強度と成形加工性とのバランスに優れるものとすることができる。
ポリアミド樹脂の分子量分布は、例えば、重合時に使用する開始剤や触媒の種類、量及び反応温度、圧力、時間等の重合反応条件などを選択したりすることにより調整できる。
分子量分布は、慣用の方法、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができ、具体的には、装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換算の値として求めることができる。
本発明のポリアミド樹脂は、反応したジカルボン酸単位に対する反応したジアミン単位のモル比(反応したジアミン単位のモル数/反応したジカルボン酸単位のモル数、以下「反応モル比」という場合がある。)が、0.97〜1.02であることが好ましい。このような範囲とすることにより、成形加工時の樹脂の分解を抑え安定した流動性を有するポリアミド樹脂となりやすい傾向にある。また、押出機または成形機にて溶融成形してさらにアミド化反応させるに際し、アミド化反応の進行が過剰に起こることなく最適な範囲に反応を進行させやすくなる。
反応モル比は、より好ましくは1.0未満、さらに好ましくは0.995未満、特には0.990未満であり、下限は、より好ましくは0.975以上、さらに好ましくは0.98以上である。
ここで、反応モル比(r)は次式で求められる。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015 (水の分子量)
M1:ジアミンの分子量(g/mol)
M2:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:末端アミノ基濃度(当量/g)
C:末端カルボキシル基濃度(当量/g)
なお、ジアミン、ジカルボン酸成分として分子量の異なるモノマーからポリアミド樹脂を合成する際は、M1およびM2は原料として配合するモノマーの配合比(モル比)に応じて計算されることはいうまでもない。なお、合成釜内が完全な閉鎖系であれば、仕込んだモノマーのモル比と反応モル比とは一致するが、実際の合成装置は完全な閉鎖系とはなりえないことから、仕込みのモル比と反応モル比が一致するとは限らない。仕込んだモノマーが完全に反応するとも限らないことから、仕込みのモル比と反応モル比が一致するとは限らない。したがって、反応モル比とは出来上がったポリアミド樹脂の末端基濃度から求められる実際に反応したモノマーのモル比を意味する。
ポリアミド樹脂の反応モル比の調整は、原料ジカルボン酸成分およびジアミン成分の仕込みモル比、反応時間、反応温度、キシリレンジアミンの滴下速度、釜内の圧力、減圧開始タイミング等の反応条件を適当な値にすることにより、可能である。
ポリアミド樹脂の製造方法がいわゆる塩法である場合は、反応モル比を0.97〜1.02にするには、具体的には、例えば、原料ジアミン成分/原料ジカルボン酸成分比をこの範囲に設定し、反応を十分進めればよい。また溶融ジカルボン酸に連続的にジアミンを滴下する方法の場合は、仕込み比をこの範囲とすることの他に、ジアミンを滴下する最中に還流させるジアミン量をコントロールし、滴下したジアミンを反応系外に除去することでも可能である。具体的には還流塔の温度を最適な範囲にコントロールすることや充填塔の充填物、所謂、ラシヒリングやレッシングリング、サドル等を適切な形状、充填量に制御することで、ジアミンを系外に除去ればよい。また、ジアミン滴下後の反応時間を短くすることでも未反応のジアミンを系外に除去することができる。さらにはジアミンの滴下速度を制御することによっても未反応のジアミンを必要に応じて反応系外に除去することができる。これらの方法により仕込み比が所望範囲から外れても反応モル比を所定の範囲にコントロールすることが可能である。
本発明のポリアミド樹脂は、末端アミノ基濃度が好ましくは10〜100μ当量/g、より好ましくは15〜70μ当量/g、さらに好ましくは20〜50μ当量/g、末端カルボキシル基濃度が好ましくは50〜200μ当量/g、より好ましくは60〜170μ当量/g、さらに好ましくは70〜150μ当量/gである。
末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度を上記範囲とすることにより、ポリアミド樹脂の分子量が適当な範囲になり、機械物性がより良好となり、成形時に樹脂が分解しにくくガスの発生が抑えられ、成形性が良好となる傾向にある。
また、末端カルボキシル基濃度に対する末端アミノ基濃度の比([NH]/[COOH])は、0.7以下であるものが好ましく、0.6以下であるものがより好ましく、特に好ましくは0.5以下である。この比が0.6よりも大きいものはポリアミド樹脂の耐熱性が劣り、成形加工時に変色たりガスを発生し易い傾向がある。
末端アミノ基濃度は、ポリアミド樹脂0.5gを30mlのフェノール/メタノール(4:1)混合溶液に20〜30℃で攪拌溶解し、0.01Nの塩酸で滴定して測定することができる。また、末端カルボキシル基濃度は、ポリアミド樹脂0.1gを30mlのベンジルアルコールに200℃で溶解し、160℃〜165℃の範囲でフェノールレッド溶液を0.1ml加える。その溶液を0.132gのKOHをベンジルアルコール200mlに溶解させた滴定液(KOH濃度として0.01mol/l)で滴定を行い、色の変化が黄〜赤となり色の変化がなくなった時点を終点とすることで算出することができる。
本発明のポリアミド樹脂は、パラキシリレンジアミン50〜100モル%およびメタキシリレンジアミン0〜50モル%を含有するキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、セバシン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分とを重縮合して得ることができ、その製造方法は特に限定されるものではなく、常圧溶融重合法、加圧溶融重合法等の溶融重合により製造される。
例えば、パラキシリレンジアミン(さらにはメタキシリレンジアミン等)とセバシン酸(さらにはアジピン酸等)からなるポリアミド塩を、水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水よび縮合水を取り除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、パラキシリレンジアミン等を溶融状態のセバシン酸等に直接加えて、常圧下または加圧下で重縮合する方法によっても製造される。
重縮合は反応容器中で溶融状態にあるジカルボン酸成分を撹拌しながら、ジアミン成分を加圧下に連続的もしくは間欠的に添加することにより行う。ジアミン成分の添加の間に反応混合物の温度を逐次昇温させることにより、反応混合物の温度を融点〜融点+30℃の範囲に制御して反応混合物の溶融状態を維持することが好ましい。反応混合物の温度がその融点より低いと、反応容器内で反応混合物が固化する可能性があり、融点+30℃以上になると、反応混合物の劣化の可能性があるため好ましくない。添加終了時には、該反応混合物の溶融状態を維持しつつ、反応混合物の温度を目的とするポリアミド樹脂の融点以上とすることが好ましい。反応混合物の融点は適宜DSC等で逐次測定することができる。なお、ここでの融点とは、DSC測定を行った際に複数存在する吸熱ピークのうち、高温側のピークのピークトップの温度のことをいう。
ジアミン成分の添加速度は、アミド化反応の生成熱、縮合生成水の留去に消費される熱量、熱媒から反応容器壁を通して反応混合物に供給される熱量、縮合生成水と原料化合物とを分離する部分の構造等を勘案し、反応系が均一な溶融状態に保持されるように選定される。ジアミン成分の添加に要する時間は、反応容器の規模によって変化するが、通常は0.5〜5時間の範囲内である。この間、反応の進行と共に生成する縮合水は、反応系外に留出される。なお、飛散するジアミン、ジカルボン酸等の原料は縮合水と分離され、反応容器に戻されるが、その量はコントロール可能であり、たとえば還流塔の温度を最適な範囲にコントロールすることや充填塔の充填物、所謂、ラシヒリングやレッシングリング、サドル等を適切な形状、充填量に制御することでコントロールできる。原料と縮合水の分離には分縮器が好適であり、縮合水は全縮器を通して留出させることが好ましい。
重縮合反応時の反応容器内部の圧力は、0.1〜0.6MPaが好ましく、0.2〜0.5MPaがより好ましい。加圧は、窒素等の不活性ガスによるものでもよいし、反応中に生成する縮合水の蒸気によってもよい。
ジアミン成分の添加終了後、減圧し、常圧に達した時点で重縮合反応を終了してもよいが、常圧または負圧にて一定時間さらに重縮合反応を継続した後に終了してもよい。負圧下でさらに重縮合反応を継続する場合は、反応系の圧を最終的に0.08MPa以下に減圧することが好ましい。添加終了から減圧開始までの時間に特に制限はないが、滴下終了後30分以内に減圧を開始することが好ましい。減圧速度は減圧中に未反応のジアミンが水と共に系外に留出しない速度が選択され、例えば、0.1〜1MPa/時間の範囲から選択される。減圧速度を遅くすることは、製造に必要な時間が増加するだけではなく、減圧に時間を要するため、得られるポリアミド樹脂の熱劣化を招くことがあるため好ましくない。
滴下終了後、常圧または負圧下でさらに重縮合反応を継続する際の温度は、得られるポリアミドが固化することのない温度、すなわち、得られるポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃の範囲であることが好ましい。なお、ここでの融点とは、DSC測定を行った際に複数存在する吸熱ピークのうち、高温側のピークのピークトップの温度のことをいう。
前記溶融重縮合は重合触媒の存在下で行われる。重合触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等のリン化合物、またはそれらの塩やエステル化合物が挙げられる。塩の例としては、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、バナジウム、ゲルマニウム、チタン、アンチモンなどの金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。エステル化合物の例としては、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクタデシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等を挙げることが出来る。
上記重合触媒が熱時劣化等により、ポリアミド樹脂中に凝集したり、異常反応を引き起こすことを抑制するために、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物を併用してもよい。その具体例として、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物、および、炭酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、クロトン酸、吉草酸、カプロン酸、イソカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、ヒドロケイ皮酸、γ−フェニル酪酸、p−フェノキシ安息香酸、o−オキシケイ皮酸、o−β−クロルフェニルプロピオン酸、m−クロルフェニルプロピオン酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記した本発明のポリアミド樹脂を得るには、上記溶融重合の際、好ましくは以下の(1)、(2)もしくは(3)の方法、またはこれら方法の複数を組み合わせて適用することにより得ることができる。
(1)本発明のポリアミド樹脂を製造する際、重合反応容器からポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点〜融点+20℃の温度範囲となるように、ストランド状に抜き出す工程、抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を、0〜60℃の冷却水中で冷却する工程を含む方法。
(2)重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
ジカルボン酸を溶融する工程、溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程、ジアミン滴下終了後、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を含む方法。
(3)重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程を含む方法。
なお、上記(1)〜(3)における融点とは、DSC測定を行った際に複数存在する吸熱ピークのうち、高温側のピークのピークトップの温度のことを意味する。
上記(1)の方法は、ポリアミド樹脂を特定の温度条件下でストランド状に抜き出しつつ特定の温度範囲で冷却するものであり、このような条件下でポリアミド樹脂を抜き出し冷却することによって、単一組成のポリアミド樹脂でありながら、融点の異なる複数の結晶構造を固定化できるものと考えられる。ストランド抜き出し時のポリアミド樹脂の温度は、好ましくは融点〜融点+15℃である。ストランドの冷却は0〜60℃の冷却水中で、好ましくは、10〜50℃、より好ましくは20〜45℃である。
また、ストランドを冷却水と接触させる時間は、2〜60秒程度が好ましく、5〜50秒がより好ましい。
このような範囲とすることによって、単一組成のポリアミド樹脂でありながら、融点の異なる複数の結晶構造を固定化できるものと考えられる。冷却時間が2秒以下では冷却が不十分となり好ましい結晶構造に固定化できないことがあり、また、ペレタイジング時にカッターにストランドが巻きつくなどの事象が起こり、生産性が悪いことがある。また、冷却時間が60秒を超えると、得られるポリアミド樹脂の水分率が高くなりすぎるなどの問題を生じることがある。なお、上記冷却時間は、冷却水槽中でストランドが水に接触する距離や、冷却水槽の長さ、または冷却水をストランドにスプレー、噴霧する時間などにより適宜調節できる。
また、ストランドの引き取りの速度は100〜300m/分が好ましく、120〜280m/分がより好ましく、140〜260m/分がさらに好ましく、特に好ましくは150〜250m/分である。このような範囲であると、ポリアミド樹脂の結晶構造を、融点の異なる複数の結晶構造に固定化できるものと考えられる。また、得られるペレットの水分率が過剰になることが無く好ましい。さらにはペレタイジングが容易となり、生産性が向上することから好ましい。なお、ストランドの引き取り速度はペレタイザーの回転歯速度、抜き出し時における反応容器内の圧力により調整が可能である。
上記(2)の方法は、重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、ジカルボン酸を溶融する工程、溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程、ジアミン滴下終了後、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を含む方法である。
ジカルボン酸を溶融する工程は、重縮合工程に先立ち固体状のジカルボン酸を反応器内に仕込み過熱して溶融しても良いし、あらかじめ溶融させたジカルボン酸を反応容器に仕込んでも良い。
溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程は、生成するポリアミドオリゴマーが固化しない温度以上〜固化しない温度+30℃の温度に、反応容器内をコントロールしながら、ジアミンの滴下量の増加にしたがって、反応容器内の温度を連続的に昇温させることが好ましい。全量のジアミンが滴下完了した時点で反応容器内の温度は、ポリアミド樹脂の融点〜融点30℃となることが好ましい。この間、反応容器内は窒素で置換されていることが好ましい。またこの間、反応容器内は攪拌翼にて混合され、反応容器内は均一な流動状態となることが好ましい。
また、この間、反応容器内は加圧されていることが好ましい。好ましくは0.1〜1MPa、より好ましくは0.2〜0.6MPa、さらに好ましくは0.3〜0.5MPaである。加圧は窒素で行ってもよく、水蒸気を利用しても良い。かかる工程を経ることで均一な性状のポリアミド樹脂を生産性良く生産することができる。
方法(2)では、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を経ることで、これら工程を経て得られるポリアミド樹脂は、複数の融点を持つポリアミド樹脂となりやすい傾向となる。
ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で保持する工程が60分より長いと、ポリアミド樹脂の融点が一つとなることがあり好ましくない。融点〜融点+30℃に保持する工程は、1〜40分がより好ましく、1〜30分がさらに好ましく、特に好ましくは1〜20分である。
負圧下で重縮合反応を継続する工程において、圧力は、0.05MPa〜大気圧未満が好ましく、より好ましくは0.06〜0.09MPaであり、さらに好ましくは0.07〜0.085MPaである。またその際の時間は1〜60分が好ましい。1〜40分がより好ましく、1〜30分がさらに好ましく、特に好ましくは1〜20分である。また、反応温度は、融点〜融点+30℃が好ましく、融点〜融点+20℃がより好ましい。上述の負圧条件下で重縮合反応を継続することにより、ポリアミド樹脂を所望の分子量に調整することができ、またポリアミド樹脂の融点を複数に固定化することができる。
前記(3)の方法は、ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程を含む。
ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程は一般的な塩法による製法であるが、本発明では、ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程においては、温度は好ましくは、ポリアミドオリゴマーの融点〜融点+30℃、より好ましくはポリアミドオリゴマーの融点〜融点+20℃、圧力は好ましくは1〜2MPa、より好ましくは1.5〜1.9MPaに反応容器内をコントロールしながら、好ましくは60〜300分、より好ましくは90〜240分溶融保持する。
減圧しつつ昇温する工程においては、減圧速度を好ましくは1〜2MPa/時間、より好ましくは1.5〜1.8MPa/時間、昇温速度を好ましくは10〜100℃/時間、より好ましくは20〜80℃/時間の条件で、減圧・昇温する。減圧・昇温後の保持工程の圧力は0.05MPa〜大気圧未満が好ましく、より好ましくは0.06〜0.09MPaであり、さらに好ましくは0.07〜0.085MPaである。またその際の時間は1〜60分が好ましい。1〜40分がより好ましく、1〜30分がさらに好ましく、特に好ましくは1〜20分である。また、その際の温度は、融点〜融点+30℃が好ましく、融点〜融点+20℃がより好ましい。
そして、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する。かかる工程を経ることで、これら工程を経て得られるポリアミド樹脂は、複数の融点を持つポリアミド樹脂とすることができる。ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で保持する工程が60分より長いと、ポリアミド樹脂の融点が一つとなることがあり好ましくない。融点〜融点+30℃に保持する工程は1〜40分がより好ましく、1〜30分がさらに好ましく、特に好ましくは1〜20分である。
上記した溶融重縮合の反応条件に加えて、原料ジカルボン酸成分およびジアミン成分の仕込み比を前述した範囲とし、重合触媒、分子量調節剤を適宜選択し、重合条件を上述の範囲で選択することにより、数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000のポリアミド樹脂をより好適に製造することができる。
なお、本発明のポリアミド樹脂は、溶融成形時の加工安定性を高めるため、或いはポリアミド樹脂の着色を防止するためにリン化合物を含有するポリアミド樹脂組成物にすることが好ましい。リン化合物としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むリン化合物が好適に使用され、例えば、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム等のリン酸塩、次亜リン酸塩、亜リン酸塩が挙げられる。なかでも、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の次亜リン酸塩を含有させると、ポリアミド樹脂の着色防止効果に特に優れるため好ましい。リン化合物を使用する場合は、最終的に得られるポリアミド樹脂中のリン原子濃度として1〜200ppm、好ましくは5〜160ppm、さらに好ましくは10〜100ppm以下となるように、ポリアミド樹脂中に含有させることが望ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂には、上記のリン化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤等を加えた組成物とすることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合して加えても良い。
本発明のポリアミド樹脂には、カルボジイミド化合物を配合することも好ましい。カルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造した芳香族、脂肪族又は脂環式のポリカルボジイミド化合物が好ましく挙げられる。これらの中で、押出時等の溶融混練性の面から、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物が好ましく、脂環式ポリカルボジイミド化合物がより好ましく用いられる。
これらのカルボジイミド化合物は、有機ポリイソシアネートを脱炭酸縮合反応することで製造することができる。例えば、カルボジイミド化触媒の存在下、各種有機ポリイソシアネートを約70℃以上の温度で不活性溶媒中、もしくは溶媒を使用することなく、脱炭酸縮合反応させることによって合成する方法等を挙げることができる。イソシアネート基含有率は好ましくは0.1〜5%、より好ましくは1〜3%である。上記のような範囲とすることにより、ポリアミド樹脂との反応が容易となり、耐加水分解性が良好となる傾向にある。
カルボジイミド化合物の合成原料である有機ポリイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート等の各種有機ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロヘキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
カルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためにモノイソシアネート等の末端封止剤を使用することも好ましい。モノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
なお、末端封止剤としては、上記のモノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物であればよい。このような活性水素化合物としては、脂肪族、芳香族、脂環式の化合物の中で、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の−OH基を持つ化合物、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン、コハク酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等のカルボン酸、エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のチオール類やエポキシ基を有する化合物等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。
カルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド及びこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等、チタン酸テトラブチル等の金属触媒等を使用することができ、これらのなかでは、反応性の面から3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。カルボジイミド化触媒は、2種以上併用してもよい。
カルボジイミド化合物の好ましい含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し0.1〜2質量部であり、より好ましくは、0.2〜1.5質量部、さらに好ましくは、0.3〜1.5質量部である。0.1質量部未満では樹脂組成物の耐加水分解性が十分ではなく、押出等の溶融混練時の吐出ムラが発生しやすく、溶融混練が不十分となりやすい。一方、2質量部を超えると、溶融混練時の樹脂組成物の粘度が著しく増加し、溶融混練性、成形加工性が悪くなりやすい。
また、本発明のポリアミド樹脂には、安定剤を配合することも好ましい。安定剤としては、例えば、リン系、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、有機硫黄系、シュウ酸アニリド系、芳香族第2級アミン系などの有機系安定剤、銅化合物やハロゲン化物などの無機系安定剤が好ましい。リン系安定剤としては、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物が好ましい。
ホスファイト化合物としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−イソプロピルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−sec−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−t−オクチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられ、特に、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
ホスホナイト化合物としては、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリメチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3−ジメチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−t−ブチル−5−エチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,3,4−トリブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられ、特に、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイトが好ましい。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。これらの中では、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)が好ましい。
ヒンダードアミン系安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を有する周知のヒンダ−ドアミン化合物が挙げられる。ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェニルアセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−エチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェニルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン)−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’,−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジンの重縮合物、1,3−ベンゼンジカルボキサミド−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物の商品としては、ADEKA社製の商品「アデカスタブLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−63P、LA−68LD、LA−77、LA−82、LA−87」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品「チヌビン622、944、119、770、144」、住友化学社製の商品「スミソーブ577」、サイアミド社製の商品「サイアソープUV−3346、3529、3853」、クラリアント・ジャパン社製の商品「ナイロスタブS−EED」等が挙げられる。
有機硫黄系安定剤としては、例えば、ジドデシルチオジプロピオネート、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン)等の有機チオ酸系化合物、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール及び2−メルカプトベンゾイミダゾールの金属塩等のメルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジエチルジチオカルバミン酸の金属塩、及びジブチルジチオカルバミン酸の金属塩等のジチオカルバミン酸系化合物、並びに1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、及びトリブチルチオ尿素等のチオウレア系化合物、テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルイソプロピルキサンテート、トリラウリルトリチオホスファイト等が挙げられる。
これらの中でも、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、チオウレア系化合物、及び有機チオ酸系化合物が好ましく、メルカプトベンゾイミダゾール系化合物、及び有機チオ酸系化合物がさらに好ましい。特に、チオエーテル構造を有するチオエーテル系化合物は、酸化された物質から酸素を受け取って還元するため、好適に使用することができる。具体的には、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)がより好ましく、ジテトラデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールがさらに好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ドデシルチオプロピオネート)が特に好ましい。
有機硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
シュウ酸アニリド系安定剤としては、好ましくは、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−第三ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサニリド、2−エトキシ−5−第三ブチル−2’−エトキサニリド及びその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−第三ブトキサニリドとの混合物、o−及びp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物、o−及びp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物などが挙げられる。
芳香族第2級アミン系安定剤としては、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、フェニルナフチルアミン骨格を有する化合物及びジナフチルアミン骨格を有する化合物が好ましく、ジフェニルアミン骨格を有する化合物、およびフェニルナフチルアミン骨格を有する化合物がさらに好ましい。具体的には、p,p’−ジアルキルジフェニルアミン(アルキル基の炭素数は8〜14)、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン及びN−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等のジフェニルアミン骨格を有する化合物、N−フェニル−1−ナフチルアミン及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のフェニルナフチルアミン骨格を有する化合物、及び2,2’−ジナフチルアミン、1,2’−ジナフチルアミン、及び1,1’−ジナフチルアミン等のジナフチルアミン骨格を有する化合物が挙げられる。これらの中でも4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン及びN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましく、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン及び4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンが特に好ましい。
無機系安定剤としては、銅化合物及びハロゲン化物が好ましい。
銅化合物は、種々の無機酸または有機酸の銅塩であって、後述のハロゲン化物を除くものである。銅としては、第1銅、第2銅の何れでもよく、銅塩の具体例としては、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ステアリン酸銅の他、ハイドロタルサイト、スチヒタイト、パイロライト等の天然鉱物が挙げられる。
また、無機系安定剤として使用されるハロゲン化物としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物;ハロゲン化アンモニウム及び有機化合物の第4級アンモニウムのハロゲン化物;ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル等の有機ハロゲン化物が挙げられ、その具体例としては、ヨウ化アンモニウム、ステアリルトリエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリエチルアンモニウムアイオダイド等が挙げられる。これらの中では、塩化カリウム、塩化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ金属塩が好適である。
銅化合物とハロゲン化物との併用、特に、銅化合物とハロゲン化アルカリ金属塩との併用は、耐熱変色性、耐候性(耐光性)の面で優れた効果を発揮するので好ましい。例えば、銅化合物を単独で使用する場合は、成形品が銅により赤褐色に着色することがあり、この着色は用途によっては好ましくない。この場合、銅化合物とハロゲン化物と併用することにより赤褐色への変色を防止することが出来る。
本発明においては、上記の安定剤のうち、溶融成形時の加工安定性、耐熱老化性、成形品外観、着色防止の点から、特に、有機硫黄系、芳香族第2級アミン系、無機系の安定剤が特に好ましい。
これら安定剤の含有量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、通常0.01〜1質量部、好ましくは0.01〜0.8質量部である。
また、本発明のポリアミド樹脂には、本発明の目的を損なわない限りにおいて、無機充填材を配合することも好ましく、ガラス系充填材(ガラス繊維、粉砕ガラス繊維(ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等)、ケイ酸カルシウム系充填材(ワラストナイト等)、マイカ、タルク、カオリン、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、炭素繊維等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂を用いて得られる成形品としては、フィルム、シート、積層フィルム、積層シート、チューブ、ホース、パイプ、異形押出品、中空容器、ボトル、繊維、各種形状の部品等、種々の成形品をあげることが出来る。
本発明のポリアミド樹脂を用いて得られる成形品は、耐熱性と成形性が求められる各種用途の成形部品に利用でき、電気・電子機器用部品、自動車等の輸送機器部品、一般機械部品、精密機械部品等が挙げられ、特には、LED用リフレクタ、LED実装用基板または放熱用部材等に好適である。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例/比較例に限定して解釈されるものではない。
(実施例1)
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したセバシン酸(伊藤製油株式会社製、製品名セバシン酸TA)8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)を秤量して仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素で0.4MPaに加圧し、撹拌しながら20℃から190℃に昇温して55分間でセバシン酸を均一に溶融した。次いでパラキシリレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製)5960g(43.76mol)を撹拌下で110分を要して滴下した。この間、反応容器内温は293℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.4MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。パラキシリレンジアミン滴下終了後、反応容器内圧力0.4MPaにて20分間重縮合反応を継続した。この間、反応容器内温は296℃まで上昇させた。その後、30分間で反応容器内圧力を0.4MPaから0.12MPaまで減圧した。この間に内温は298℃まで昇温した。その後0.002MPa/分の速度で減圧し、20分間で0.08MPaまで減圧した。減圧完了時の反応容器内の温度は301℃であった。その後、系内を窒素で加圧し、反応容器内温度301℃、樹脂温度301℃で、ストランドダイからポリマーをストランド状に取出して20℃の冷却水にて冷却し、これをペレット化し、約13kgのポリアミド樹脂を得た。なお、冷却水中での冷却時間は5秒、ストランドの引き取り速度は100m/分とした。
このポリアミド樹脂の融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、反応モル比(r)、末端アミノ基濃度([NH])、末端カルボキシル基濃度([COOH])およびその比([NH]/[COOH])、ならびに5%重量減少温度は、表2に記載のとおりであった。
なお、これらの評価方法は下記のとおりである。
(1)融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量測定(DSC)法により、島津製作所社製DSC−60を用い、30℃から予想される融点以上の温度まで10℃/分の速度で昇温し、ポリアミド樹脂を溶融させた。この時の吸熱ピークのピークトップの温度を融点とした。溶融後サンプルをドライアイスで冷却し、次いで、10℃/分の速度で融点以上の温度まで昇温し、ガラス転移点を求めた。
(2)数平均分子量(Mn):
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[NH](μ当量/g)と末端カルボキシル基濃度[COOH](μ当量/g)を、下記した中和滴定により求め、次式で算出した。
数平均分子量=2,000,000/([COOH]+[NH])
(3)分子量分布(Mw/Mn):
装置として東ソー社製「HLC−8320GPC」、カラムとして、東ソー社製「TSK gel Super HM−H」2本を使用し、溶離液トリフルオロ酢酸ナトリウム濃度10mmol/lのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、樹脂濃度0.02質量%、カラム温度40℃、流速0.3ml/分、屈折率検出器(RI)の条件で測定し、標準ポリメチルメタクリレート換の値として求めた。
(4)反応モル比(r):
前記した次式により求めた。
r=(1−cN−b(C−N))/(1−cC+a(C−N))
式中、
a:M1/2
b:M2/2
c:18.015
M1:ジアミンの分子量(g/mol)
M2:ジカルボン酸の分子量(g/mol)
N:末端アミノ基濃度(当量/g)
C:末端カルボキシル基濃度(当量/g)
(5)末端アミノ基濃度([NH]):
ポリアミド樹脂0.5gを精秤し、フェノール/メタノール(4:1)混合溶液30mlに20〜30℃で攪拌溶解し、完全溶解した後、0.01Nの塩酸で中和滴定して求めた。
(6)末端カルボキシル基濃度([COOH]):
ポリアミド樹脂0.1gを精秤し、ベンジルアルコール30mlに窒素気流下200℃で約15分間、攪拌溶解し完全に溶解した後、窒素気流下165℃まで冷却し、攪拌しつつフェノールレッド溶液を0.1ml加える。その溶液を160〜165℃で保持し、0.132gのKOHをベンジルアルコール200mlに溶解させた滴定液(KOHとして0.01mol/l)で滴定を行ない、溶液の色が黄から赤となり色の変化がなくなった時点を終点とすることで求めた。
(7)末端アミノ基濃度/末端カルボキシル基濃度([NH]/[COOH]):
上記の各濃度から算出した。
(8)成形加工時の樹脂の熱安定性(耐熱性)
得られたポリアミド樹脂ペレットを用い、熱重量測定(TG)法により、島津製作所社製DTG−60にて、窒素雰囲気下、30℃から500℃まで10℃/分の速度で昇温し、200℃時点の重量から5%の重量減少が確認された温度を求めた。5%重量減少温度が高温であるほど、樹脂の劣化分解が抑制されているといえ、樹脂の溶融滞留時すなわち、成形加工時の熱安定性に優れ、ガスの発生が少なく、また金型への分解物付着が抑制された、耐熱性、成形加工性に優れた樹脂であるといえる。
(実施例2、3)
上記実施例1において、パラキシリレンジアミンの滴下量を6026g(44.25mol)とし、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
(実施例4)
上記実施例1において、パラキシリレンジアミンの滴下量を5900g(43.32mol)とし、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランド引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
(実施例5)
温度調整されたオイルが流通する分縮器、全縮器、撹拌機、窒素ガス導入管およびジアミンの滴下口を備えたオイルジャケット付き50リットルのステンレス製の反応槽に、セバシン酸(伊藤製油株式会社製、製品名セバシン酸TA)8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)、パラキシリレンジアミン(三菱ガス化学株式会社製)5960g(43.76mol)、蒸留水19kgを入れ、十分窒素置換した。
装置を密閉した状態で内容物を攪拌しながら200℃まで1.5時間かけて昇温しつつ、セバシン酸とパラキシリレンジアミンからなる塩を製造した。その後さらに昇温し、反応容器内圧力が1.9MPaに到達したら圧力を保持しつつ、1.5時間かけて仕込水および反応生成水を装置外に留去し、その間に反応温度を250℃まで昇温した。引き続き水を留去しつつ、反応圧力を常圧まで1時間で降下させて、その間に反応温度を302℃まで昇温した。その後、反応系内圧を0.08MPaまで10分間で連続的に減圧し、その後、5分間反応を継続した。樹脂温度302℃で、ストランドダイからポリマーをストランド状に取出して20℃の冷却水にて冷却し、これをペレット化しポリアミド樹脂を得た。なお、冷却水中での冷却時間は5秒、ストランドの引き取り速度は100m/分とした。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
(比較例1)
上記実施例1において、ストランドの冷却をネットベルト上で空冷にて、表1に記載の冷却時間で行った以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
(比較例2)
上記実施例4において、ストランドの冷却をネットベルト上で空冷にて、表1に記載の冷却時間で行った以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
(比較例3)
上記実施例1において、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
(比較例4)
上記実施例1において、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂は、単一の吸熱ピークを有するものであった。
得られたポリアミド樹脂の評価結果を表2に示した。
(比較例5)
上記実施例1において、ストランド抜き出し時の樹脂温度、ストランド冷却条件、ストランドの引き取り速度を表1に記載の条件にかえた以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂の製造を行ったが、ペレタイジング時にストランドがカッターに巻きつくことがあり、生産性に劣っていた。
Figure 2012153749
Figure 2012153749
表2の結果から、本発明のポリアミド樹脂は、TG法による5%重量減少温度が高く、耐熱性、成形加工性に優れていることがわかる(実施例1〜5)。一方、融点を複数有しない比較例1〜4のポリアミド樹脂は、TG法による5%重量減少温度が低く、耐熱性、成形加工性に劣ることがわかる。
本発明のポリアミド樹脂は、高い耐熱性を有し、成形性に優れたポリアミド樹脂であるので、耐熱性、成形性が要求される電気・電子機器用部品、自動車等の輸送機器部品、一般機械部品、精密機械部品等各種成形部品等の分野で広く使用でき、産業上の利用性は非常に高いものがある。

Claims (11)

  1. ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミン単位に由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド樹脂であって、
    キシリレンジアミン単位は、パラキシリレンジアミン由来単位を50〜100モル%、メタキシリレンジアミン由来単位を0〜50モル%含有し、
    数平均分子量(Mn)が6,000〜30,000であり、融点を2つ以上有することを特徴とするポリアミド樹脂。
  2. 250〜330℃の温度範囲内に、2つ以上の融点を有することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂。
  3. 270〜310℃の温度範囲内に、2つ以上の融点を有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂。
  4. 分子量分布(Mw/Mn)が、2.1〜3.1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  5. 反応したジカルボン酸単位に対する反応したジアミン単位のモル比(反応したジアミン単位のモル数/反応したジカルボン酸単位のモル数)が、0.97〜1.02であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  6. 前記セバシン酸以外のジカルボン酸成分が、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸から選ばれるものである請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂を製造する方法であって、
    重合反応容器からポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂の融点〜融点+20℃の温度範囲となるように、ストランド状に抜き出す工程、
    抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を、0〜60℃の冷却水中で冷却する工程を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
  8. 重合反応容器から抜き出されたストランド状ポリアミド樹脂を冷却する際、ストランド状ポリアミド樹脂が冷却水と接触する時間が2〜60秒間であることを特徴とする請求項7に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  9. 重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す際、ストランドの抜き出し速度が100〜300m/分であることを特徴とする請求項7または8に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  10. 重合反応容器からポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
    ジカルボン酸を溶融する工程、溶融ジカルボン酸にジアミンを連続的に滴下する工程、ジアミン滴下終了後、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程、さらに、負圧下で重縮合反応を継続する工程を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
  11. ポリアミド樹脂をストランド状に抜き出す工程の前工程として、
    ジカルボン酸とジアミンからなる塩を加圧下に溶融保持する工程、減圧しつつ昇温する工程、ポリアミド樹脂の融点〜融点+30℃で0〜60分間保持する工程を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリアミド樹脂の製造方法。
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