JP2012146501A - ガスケット - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミド樹脂の有する機械特性や耐熱性を維持しながら吸水率が低く、耐薬品性に優れるガスケットを提供する。
【解決手段】ガスケット2は、所定の形状に成形されたポリアミド樹脂の成形層31の表面にポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が形成されている。薄膜層32は、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液にポリアミド樹脂成形品からなる成形層31を浸漬処理して形成することもできるし、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液をポリアミド樹脂成形品からなる成形層31の表面に噴霧処理することにより形成することもできる。ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32を形成することにより、従来と同程度又はそれ以上の機械強度を有すると共に、薬品と過度に接触する環境下でも、薬品による機械強度低下が少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観の変化の少ないガスケットが得られる。
【選択図】図1
【解決手段】ガスケット2は、所定の形状に成形されたポリアミド樹脂の成形層31の表面にポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が形成されている。薄膜層32は、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液にポリアミド樹脂成形品からなる成形層31を浸漬処理して形成することもできるし、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液をポリアミド樹脂成形品からなる成形層31の表面に噴霧処理することにより形成することもできる。ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32を形成することにより、従来と同程度又はそれ以上の機械強度を有すると共に、薬品と過度に接触する環境下でも、薬品による機械強度低下が少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観の変化の少ないガスケットが得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルカリ電池、リチウム電池、コイン型電気二重層コンデンサなどの小型の電気化学セルに用いられるガスケットに関する。
日常生活に深くかかわっている小型一次電池や二次(充電式)電池は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ヘッドホンステレオ、家電・車載リモコン、火災検知器、玩具など小型軽量で長時間使用できる携帯機器をはじめ通信情報機器である携帯電話などの主要電源として、またコンデンサについても小型化が切に望まれ、携帯機器のメモリー、ノートパソコンの通信カード、録画装置などの機能用時計のバックアップ電源等機器など無くてはならないものとなっている。
これらの電池は、電池性能が製品の価値を左右する例が増えていることから性能向上の開発は続いている。
例えば円筒型の電池では、正極・負極材、電解液などが漏れないようにすると共に、正・負極端子の絶縁を保つため、金属製の外筒の端部に蓋や底部の金属端子を取り付ける際にガスケットを介している。
例えば円筒型の電池では、正極・負極材、電解液などが漏れないようにすると共に、正・負極端子の絶縁を保つため、金属製の外筒の端部に蓋や底部の金属端子を取り付ける際にガスケットを介している。
このガスケットの材質は、強靱であること、化学的に安定であること、電池の異常発熱に対しての耐熱性を有していることが要求される。つまり、ガスケットは、化学的に安定性能と機械特性とのバランスに優れたものであること、薬品に接触、薬品中の水分及び大気中の水分による物理的強度や外観寸法の変化の少ない材質であることが要求される。ガスケットは、これら理由から、強靭で化学的に安定で、耐熱性を有するポリアミド樹脂が主に使用されている。(例えば特許文献1参照)
ところで、ポリアミド樹脂は、物理的特性を始めとする各種特性や成形加工性において優れているため広く利用されているが、放置環境下で吸水・放水性が高く、環境の変化により吸水率が変化するため、環境の変化で寸法や物理的強度が異なってくる。
そのため、電池を組立てる際、ガスケットの寸法が変化すると、金属缶に挿入する際の位置決めや嵌合精度にバラツキが生じ、ガスケットの外れ、または、つぶれが生じ易い。また、ガスケットの水分により強度が異なってしまうと金属缶と端子とをガスケットと共にかしめる際に、かしめ強度が異なってシール性にバラツキが生ずる虞もある。
これらを管理するために、特許文献1に開示されるように、吸水性の低いポリアミド樹脂の使用が検討されているが、吸水性は僅かな改善に留まり、高コスト、成形加工性の問題が残っていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ポリアミド樹脂の有する機械特性や耐熱性を維持しながら吸水率が低く、耐薬品性に優れるガスケットを提供することを課題とする。
本発明に係るガスケットは、所定の形状に成形されたポリアミド樹脂の成形層の表面にポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層が形成されていることを特徴とする。
ポリ塩化ビニリデン樹脂は、防湿性、耐水性に優れるだけでなく、耐薬品性にも優れるため、本発明のガスケットは、既存のポリアミド樹脂で所定のガスケットの形状に成形して成形層を形成した後、成形層の表面にポリ塩化ビニリデン樹脂で薄膜層を形成するだけで、従来と同程度又はそれ以上の物理的強度を有すると共に、吸湿性を低下させ、かつ、耐薬品性を向上することができる。
ポリ塩化ビニリデン樹脂は、防湿性、耐水性に優れるだけでなく、耐薬品性にも優れるため、本発明のガスケットは、既存のポリアミド樹脂で所定のガスケットの形状に成形して成形層を形成した後、成形層の表面にポリ塩化ビニリデン樹脂で薄膜層を形成するだけで、従来と同程度又はそれ以上の物理的強度を有すると共に、吸湿性を低下させ、かつ、耐薬品性を向上することができる。
また、本発明のガスケットにおいて、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層は、ポリアミド樹脂成形品からなる成形層の表面をポリ塩化ビニリデン樹脂分散液により表面処理することによって形成されていることが好ましい。
ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液を用いることにより、薄膜を形成するための表面処理方法の自由度が大きくなり、膜厚を設定するための分散液の濃度、粘度を調整し易く、膜厚を安定させて管理することができる。
ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液を用いることにより、薄膜を形成するための表面処理方法の自由度が大きくなり、膜厚を設定するための分散液の濃度、粘度を調整し易く、膜厚を安定させて管理することができる。
薄膜層の形成方法は、特にこだわらないが、例えば、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層は、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液にポリアミド樹脂成形品からなる成形層を浸漬処理することにより形成することができる。
また、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層は、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液をポリアミド樹脂成形品からなる成形層の表面に噴霧処理することにより形成することができる。
また、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層は、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液をポリアミド樹脂成形品からなる成形層の表面に噴霧処理することにより形成することができる。
以上のように、本発明のガスケットは、従来から広く使用されてきたポリアミド樹脂、例えばナイロン66で成形層を形成し、その成形層の表面に、防湿性、耐水性及び耐薬品性に優れるポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層を形成するだけで、従来と同程度又はそれ以上の物理的強度を有すると共に、薬品と接触する環境下でも薬品による物理的強度の低下が少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観寸法変化の少ないガスケットを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明のガスケットを備える単三アルカリ乾電池の断面図である。そして、本発明のガスケットを電池用ガスケットとして用いている。
アルカリ乾電池1は、底面を有した外装の円筒缶11と、円筒缶11内に、円筒缶11の内面との間に所定の隙間を介して配置される有底筒状のセパレータ12と、円筒缶11の開口部を覆う円板状の負極端子13と、円筒缶11の開口部と負極端子13との間をシールする電池用ガスケット2とを備える。本実施形態では、円筒缶11の底面中央部を外方に突出させて正極端子14を形成している。
図1は、本発明のガスケットを備える単三アルカリ乾電池の断面図である。そして、本発明のガスケットを電池用ガスケットとして用いている。
アルカリ乾電池1は、底面を有した外装の円筒缶11と、円筒缶11内に、円筒缶11の内面との間に所定の隙間を介して配置される有底筒状のセパレータ12と、円筒缶11の開口部を覆う円板状の負極端子13と、円筒缶11の開口部と負極端子13との間をシールする電池用ガスケット2とを備える。本実施形態では、円筒缶11の底面中央部を外方に突出させて正極端子14を形成している。
そして、円筒缶11とセパレータ12との間にこれらに密着させるように二酸化マンガンからなる正極15が収納され、セパレータ12の内側に亜鉛からなる負極16がセパレータ12に密着するように収納されている。正極15と負極16とは、セパレータ12により仕切られた状態になっている。
さらに、負極16には釘状の集電体17が挿入されており、集電体17は、一端の頭部17a上面が負極端子13の内面に電気的に接続され、ガスケット2の中央部に形成する貫通孔21を貫通させて、負極16内に挿入されている。
ガスケット2は、図2に示すように、外周が円形をした板状に形成されており、中央部に厚みが厚い厚肉部22が形成され、この厚肉部22に貫通孔21が形成される。この厚肉部22により貫通孔21で集電体17を保持する面積を確保している。さらに、ガスケット2の外周部は、上方に突出する突出部23が環状に形成されており、この突出部23を径方向中心側に折り曲げることにより負極端子13の外周縁を包み込むようになっている。
ガスケット2は、図2に示すように、射出成形などによって形成される成形層31と、この成形層31の表面に形成される薄膜層32とを備える。
成形層31の材質としては、ポリアミド樹脂を使用する。ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン10、ナイロン12等の脂肪族ナイロン、及びナイロン6−10、ナイロン6−12等の共重合ナイロンの他、フタルアミド、通称ナイロン6Tと呼ばれる半芳香族ナイロン、ナイロン9Tなどが使用できる。これらの内、使用実績が最も多く、コストも低いナイロン66が特に好ましい。
成形層31の材質としては、ポリアミド樹脂を使用する。ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン10、ナイロン12等の脂肪族ナイロン、及びナイロン6−10、ナイロン6−12等の共重合ナイロンの他、フタルアミド、通称ナイロン6Tと呼ばれる半芳香族ナイロン、ナイロン9Tなどが使用できる。これらの内、使用実績が最も多く、コストも低いナイロン66が特に好ましい。
また、成形層31は、本実施形態では、射出成形により形成されるが、この射出成形の他、プレス成形、溶着成形、押出成形、吹込成形、フィルム成形、中空成形、多層成形など、一般に知られているプラスチックの通常用いられる熱可塑性樹脂の加工法で作製することができる。これらの加工法の内、高度な寸法精度が得られること、大量生産ができることから射出成形が最も適している。
薄膜層32は、ポリ塩化ビニリデン樹脂で形成されており、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液にポリアミド樹脂成形品である成形層31を浸漬して引き上げることにより形成することもできるし、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液を成形層31の表面に噴霧処理することにより形成することもできる。さらに、成形層31が平板状に形成される場合には、成形層31となる成形品を回転させながらポリ塩化ビニリデン樹脂分散液を成形層31表面に滴下することにより遠心力によって分散液を均一に拡げていくことで薄膜層32を形成することもできる。
ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液は浸漬処理、噴霧処理等の表面処理後、乾燥するにしたがい、透明な皮膜となりポリアミド樹脂からなる成形層31の表面上に薄膜層32が形成される。この状態でも使用上の問題はないが、射出成形後の成形層31を構成する成形品を予めコロナ処理した上で、浸漬処理または噴霧処理を行えば、塗膜の密着は強いものとなり、信頼性が向上する。
ポリ塩化ビニリデン分散液は、市販品を使用することができるが、塩化ビニリデンモノマーを乳化重合して製造されたラテックスをそのまま使用してもよいし、市販のポリ塩化ビニリデン分散液を目的に合わせて希釈して使用してもよい。また、ポリ塩化ビニリデンの粉末状樹脂を溶液に分散させて使用してもよい。溶液に使用する溶媒は水だけでも構わないが、分散液が安定になり、乾燥が早くなるようにアルキルアルコール類を添加することが好ましい。
さらに、薄膜層32を形成した後のガスケット2同士のブロッキングを防ぐために滑り剤をポリ塩化ビニリデン分散液に添加してもよい。また、成形層31との密着を強固なものとするため接着剤をポリ塩化ビニリデン分散液に添加してもよい。このように、ポリ塩化ビニリデン分散液を用いることで、添加剤を容易に付加することができる。
本実施形態のアルカリ乾電池1は、図1に示すように、円筒缶11内に、セパレータ12、正極15、そして、負極16を収納し、ガスケット2の貫通孔21に集電体17を挿通させた状態で、集電体17を負極16内に挿入すると共に、ガスケット2の下面をセパレータ12に接触させるように円筒缶11の内部に圧入させ、ガスケット2の上面に集電体17の頭部17a下面を接触させた状態で負極端子13の下面を集電体17の頭部17aに接触させた状態にする。そして、この状態から、円筒缶11の開口部を内側に折り曲げることにより、この円筒缶11の開口端部と負極端子13の外周縁とにより挟み込むようにガスケット2の突出部23が折り曲げられて、密閉される。
薄膜層32を形成するポリ塩化ビニリデン樹脂は、防湿性、耐水性に優れるだけでなく、耐薬品性にも優れるため、上記ガスケット2は、既存のポリアミド樹脂で所定のガスケットの形状に成形して成形層31を形成した後、成形層31の表面にポリ塩化ビニリデン樹脂で薄膜層32を形成するだけで、従来と同程度又はそれ以上の物理的強度を有すると共に、吸湿性を低下させ、かつ、耐薬品性を向上することができる。
即ち、ガスケット2は、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32により、従来と同程度、または、それ以上の高強度、高鞭性が得られるだけでなく、薬品と接触する環境下でも薬品による物理的強度の低下が少なく、かつ、薬品や薬品中の水分及び大気中の水分による機械強度や外観寸法変化の少ないものが得られる。また、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32により、保水性の高いガスケット2が得られる。
特に、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32は、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液にポリアミド樹脂成形品からなる成形層31を浸漬して引き上げて乾燥させるだけで簡単に形成することができる。表面の凹凸の比較的少ない成形体からなる成形層31の表面に薄膜層32を形成する場合には、浸漬処理が好適である。
また、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32は、ポリ塩化ビニリデン樹脂分散液をポリアミド樹脂成形品からなる成形層31の表面に噴霧処理して乾燥させるだけで簡単に形成することができる。表面形状が複雑で凹凸が多い成形体からなる成形層31の表面に薄膜層32を形成する場合には、表面形状が複雑でも所望の膜厚で均一な膜厚の薄膜層32が形成できる噴霧処理が好適である。
なお、本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施すことが可能である。
本発明のガスケットは、一般の円筒型、角型やボタン型電池等の封口用部品に適用でき、成形層となるポリアミド樹脂成形品の成形後に薄膜層を形成するための表面処理をして得られるものであれば、その形状等は特に限定されない。
さらに、本発明のガスケットは、図1に示す単三アルカリ電池に適用する電池用ガスケットだけでなく、リチウム電池の電池用ガスケットとしても適用できるし、コイン型や円筒型の電気二重層コンデンサなどの小型の電気化学セルを構成する蓄電要素を収納した金属容器の開口部に装着された絶縁ガスケットにも適用できる。
また、本発明のガスケットは電池内部の発生ガスによる電池の破裂を防ぐ形状構造とすることもできる。
本発明のガスケットは、一般の円筒型、角型やボタン型電池等の封口用部品に適用でき、成形層となるポリアミド樹脂成形品の成形後に薄膜層を形成するための表面処理をして得られるものであれば、その形状等は特に限定されない。
さらに、本発明のガスケットは、図1に示す単三アルカリ電池に適用する電池用ガスケットだけでなく、リチウム電池の電池用ガスケットとしても適用できるし、コイン型や円筒型の電気二重層コンデンサなどの小型の電気化学セルを構成する蓄電要素を収納した金属容器の開口部に装着された絶縁ガスケットにも適用できる。
また、本発明のガスケットは電池内部の発生ガスによる電池の破裂を防ぐ形状構造とすることもできる。
ナイロン66(旭化成ケミカルズ株式会社製)を射出成形して、図3に示すように、縦60mm×横60mm×厚み0.7mmの板状の試験用の成形品からなる成形層31を形成した。成形層31は、端部にゲート部分41を介してランナ部分42を残し、このランナ部分42を浸漬処理後の引き上げの際に把持する部分とした。
射出成形後の成形品(成形層)を常温まで冷却した後、消泡されたポリ塩化ビニリデン分散液に成形品を浸漬して引き上げて乾燥させ、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が成形層31の表面に形成された成形体を得た。このときの薄膜層の膜厚は3〜5μmであった。
このようにして形成した成形層31と薄膜層32とを有する試験片[1]と、薄膜層32が形成されていない成形層31のみからなる試験片[2]とを恒温浴槽で60℃温水中に24時間浸漬し、その後の吸水率の変化を確認した。
温水への浸漬の前後での吸水率の変化は、試験片[1]は0.014%未満の結果を得た。また、試験片[2]は、7.2%の変化を示した。このように、薄膜層32を形成した試験片[1]は、ナイロン66が吸水変化の大きな材質であっても吸水率を低くすることができる結果を得た。なお、本実施例1では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
射出成形後の成形品(成形層)を常温まで冷却した後、消泡されたポリ塩化ビニリデン分散液に成形品を浸漬して引き上げて乾燥させ、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が成形層31の表面に形成された成形体を得た。このときの薄膜層の膜厚は3〜5μmであった。
このようにして形成した成形層31と薄膜層32とを有する試験片[1]と、薄膜層32が形成されていない成形層31のみからなる試験片[2]とを恒温浴槽で60℃温水中に24時間浸漬し、その後の吸水率の変化を確認した。
温水への浸漬の前後での吸水率の変化は、試験片[1]は0.014%未満の結果を得た。また、試験片[2]は、7.2%の変化を示した。このように、薄膜層32を形成した試験片[1]は、ナイロン66が吸水変化の大きな材質であっても吸水率を低くすることができる結果を得た。なお、本実施例1では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
実施例1と同様にして図3に示すポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が成形層31の表面に形成された成形体を得た。このときの薄膜層32の膜厚は3〜5μmであった。
このようにして形成した成形層31と薄膜層32とを有する試験片[3]と、薄膜層32が形成されていない成形層31のみからなる試験片[4]とを恒温恒湿槽に60℃,90%RH雰囲気下で3日放置し、その後の水分率の変化を確認した。
吸水処理前後の水分率の変化は、試験片[3]は0.010%未満の結果を得た。また、試験片[4]は、6.4%の変化を示した。この試験においても、薄膜層32を形成した試験片[3]は、ナイロン66が吸水変化の大きな材質であっても吸水率を低くすることができる結果を得た。なお、本実施例2では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
このようにして形成した成形層31と薄膜層32とを有する試験片[3]と、薄膜層32が形成されていない成形層31のみからなる試験片[4]とを恒温恒湿槽に60℃,90%RH雰囲気下で3日放置し、その後の水分率の変化を確認した。
吸水処理前後の水分率の変化は、試験片[3]は0.010%未満の結果を得た。また、試験片[4]は、6.4%の変化を示した。この試験においても、薄膜層32を形成した試験片[3]は、ナイロン66が吸水変化の大きな材質であっても吸水率を低くすることができる結果を得た。なお、本実施例2では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
ナイロン66(旭化成ケミカルズ株式会社製)を射出成形して、図3に示す実施例1と同じ成形層31を形成した。射出成形後の成形品(成形層)を60℃,55%RH雰囲気下で加湿により水分率が2.6%になるまで吸水させた。
この吸水させた成形品を、消泡されたポリ塩化ビニリデン分散液に浸漬して引き上げて乾燥させ、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が成形層31の表面に形成された成形体を得た。このときの薄膜層32の膜厚は3〜5μmであった。
このようにして形成した吸水処理された成形層31と薄膜層32とを有する試験片[5]と、薄膜層32が形成されていない同様の吸水処理された成形層31のみからなる試験片[6]とを恒温恒湿槽に60℃,30%RH雰囲気下で3日放置し、その後の水分の放出の変化を確認した。
恒温恒湿槽への投入前後での吸水率の変化は、試験片[5]が0.012%未満の結果を得た。また、試験片[6]は、1.5%の変化を示した。薄膜層32を形成した試験片[5]は、ポリアミド樹脂の水分の放出についても少なく、水分の移行が微量で保水性に優れる結果が得られた。なお、本実施例3では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
この吸水させた成形品を、消泡されたポリ塩化ビニリデン分散液に浸漬して引き上げて乾燥させ、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が成形層31の表面に形成された成形体を得た。このときの薄膜層32の膜厚は3〜5μmであった。
このようにして形成した吸水処理された成形層31と薄膜層32とを有する試験片[5]と、薄膜層32が形成されていない同様の吸水処理された成形層31のみからなる試験片[6]とを恒温恒湿槽に60℃,30%RH雰囲気下で3日放置し、その後の水分の放出の変化を確認した。
恒温恒湿槽への投入前後での吸水率の変化は、試験片[5]が0.012%未満の結果を得た。また、試験片[6]は、1.5%の変化を示した。薄膜層32を形成した試験片[5]は、ポリアミド樹脂の水分の放出についても少なく、水分の移行が微量で保水性に優れる結果が得られた。なお、本実施例3では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
ナイロン66(旭化成ケミカルズ株式会社製)を射出成形して、図4に示すように、引っ張り有効断面が幅5.0mm×厚み0.5mmで有効長35.0mmの両端にチャック部43を有するダンベル試験用の成形品からなる成形層31を形成した。
ナイロン66の樹脂は吸水により剛性強度が異なるため、あらかじめ60℃,55%RH雰囲気下で成形品(成形層)を吸水処理し、冷却後に消泡されたポリ塩化ビニリデン分散液に成形品を浸漬して引き上げて乾燥させ、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が成形層31の表面に形成された成形体を得た。このときの薄膜層32の膜厚は3〜5μmであった。
このようにして形成した吸水処理された成形層31と薄膜層32とを有する試験片[7]を、図5に示すように、引っ張り試験に利用するチャック部43同士が密着するように180°折り曲げた後、折り曲げた部分を幅1.5mmまで屈曲させ表面状態を顕微鏡100倍にて観察した。
薄膜層32を有する試験片[7]は、折り曲げ部分の表面に割れ等の外観異常が無いことを確認した。このときの試験片[7]の水分率は、2.3%であった。
ナイロン66の樹脂は吸水により剛性強度が異なるため、あらかじめ60℃,55%RH雰囲気下で成形品(成形層)を吸水処理し、冷却後に消泡されたポリ塩化ビニリデン分散液に成形品を浸漬して引き上げて乾燥させ、ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層32が成形層31の表面に形成された成形体を得た。このときの薄膜層32の膜厚は3〜5μmであった。
このようにして形成した吸水処理された成形層31と薄膜層32とを有する試験片[7]を、図5に示すように、引っ張り試験に利用するチャック部43同士が密着するように180°折り曲げた後、折り曲げた部分を幅1.5mmまで屈曲させ表面状態を顕微鏡100倍にて観察した。
薄膜層32を有する試験片[7]は、折り曲げ部分の表面に割れ等の外観異常が無いことを確認した。このときの試験片[7]の水分率は、2.3%であった。
ナイロン66(旭化成ケミカルズ株式会社製)を射出成形して、図2に示すガスケット2の成形層31となる成形品を成形し、冷却後、消泡されたポリ塩化ビニリデン分散液に成形品(成形層)を浸漬して引き上げて乾燥させ、膜厚が3〜5μmの薄膜層32が形成されたガスケット2を形成した。このガスケット2を図1に示すアルカリ乾電池1に組み付けて、乾電池組み込み評価となるアルカリ電解液の漏液の確認を行った。
60℃恒温、60℃,90%RH恒温恒湿にてそれぞれ30日経過後、アルカリ液の漏液の確認を行ったが漏液がしていないことを確認した。
なお、本実施例5では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
60℃恒温、60℃,90%RH恒温恒湿にてそれぞれ30日経過後、アルカリ液の漏液の確認を行ったが漏液がしていないことを確認した。
なお、本実施例5では、薄膜層32の膜厚は3〜5μmであったが、それ以上でも同様の結果を得た。
本発明は、高容量化、高出力化および低コスト化を図るとともに安全性の向上を図る電池用ガスケットまたは電気二重層コンデンサなどの小型の電気化学セル用の絶縁ガスケットについて有用である。
1 アルカリ乾電池
2 ガスケット
11 円筒缶
12 セパレータ
13 負極端子
14 正極端子
15 正極
16 負極
17 集電体
17a 頭部
21 貫通孔
22 厚肉部
23 突出部
31 成形層
32 薄膜層
41 ゲート部分
42 ランナ部分
43 チャック部
2 ガスケット
11 円筒缶
12 セパレータ
13 負極端子
14 正極端子
15 正極
16 負極
17 集電体
17a 頭部
21 貫通孔
22 厚肉部
23 突出部
31 成形層
32 薄膜層
41 ゲート部分
42 ランナ部分
43 チャック部
Claims (2)
- 所定の形状に成形されたポリアミド樹脂の成形層の表面にポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層が形成されていることを特徴とするガスケット。
- 請求項1に記載のガスケットにおいて、
ポリ塩化ビニリデン樹脂の薄膜層は、ポリアミド樹脂成形品からなる成形層の表面をポリ塩化ビニリデン樹脂分散液により表面処理することによって形成されていることを特徴とするガスケット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011003786A JP2012146501A (ja) | 2011-01-12 | 2011-01-12 | ガスケット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011003786A JP2012146501A (ja) | 2011-01-12 | 2011-01-12 | ガスケット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012146501A true JP2012146501A (ja) | 2012-08-02 |
Family
ID=46789896
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011003786A Pending JP2012146501A (ja) | 2011-01-12 | 2011-01-12 | ガスケット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2012146501A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014038791A (ja) * | 2012-08-20 | 2014-02-27 | Hitachi Maxell Ltd | アルカリ電池 |
JP2014135242A (ja) * | 2013-01-11 | 2014-07-24 | Fdk Energy Co Ltd | アルカリ電池用ガスケットおよびアルカリ電池 |
-
2011
- 2011-01-12 JP JP2011003786A patent/JP2012146501A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014038791A (ja) * | 2012-08-20 | 2014-02-27 | Hitachi Maxell Ltd | アルカリ電池 |
WO2014030596A1 (ja) * | 2012-08-20 | 2014-02-27 | 日立マクセル株式会社 | アルカリ電池 |
JP2014135242A (ja) * | 2013-01-11 | 2014-07-24 | Fdk Energy Co Ltd | アルカリ電池用ガスケットおよびアルカリ電池 |
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