JP2012145241A - 熱供給システム及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的低コストな構成かつ簡易な制御で容易に省エネルギ性能を向上させることができる熱供給システム、及びその運転方法を提供する。
【解決手段】並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプと、を備えた熱供給システム。熱媒循環ポンプの回転数Nに応じたポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係であるポンプ特性Bを記録すると共に、各熱負荷端末が単独で稼働する場合におけるポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係である端末特性Cをそれぞれ記録した記録装置と、少なくとも熱媒循環ポンプの回転数Nを制御する制御部とを備える。制御部は、実際に稼働している熱負荷端末についてのそれぞれの端末特性Cを合成して得られる合成端末特性Dを取得し、当該取得された合成端末特性Dとポンプ特性Bとに基づいて熱媒循環ポンプの回転数Nを制御する。
【選択図】図7

Description

本発明は、並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプとを備え、複数の熱負荷端末がそれぞれ単独で又は他の熱負荷端末と同時に稼働可能に構成された熱供給システム、及びその運転方法に関する。
上記のような熱供給システムとして、例えば下記の特許文献1に記載されたシステム(特許文献1における暖房装置1;以下同様)が既に知られている。このような熱供給システムでは、それぞれの熱負荷端末(床暖房装置30A,30B、ミストサウナ装置30C)における圧力損失特性は、各熱負荷端末が敷設される空間の広さや熱源機からの距離に応じて様々であることから、その運転時には各熱負荷端末への熱媒流量を何らかの方法で調整する必要がある。そのため、特許文献1の熱供給システムには、複数の熱負荷端末に接続されるそれぞれの回路に熱媒流量を調整可能な流量調整弁(流量制御弁35)が設けられている。
特許文献1の熱供給システムでは、熱媒循環ポンプ(循環ポンプ12)のポンプ揚程と熱媒流量との関係が1本のポンプ出力曲線として記憶されていると共に、熱負荷端末毎の圧力損失と熱媒流量との関係が流量制御弁の開度に応じた圧力損失曲線群として記憶されている。そして、熱供給システムは、定常運転時には、熱媒循環ポンプの回転数を一定値に維持したままで、各熱負荷端末における流量調整弁を用いて流量制御を行うように構成されている。すなわち、稼働している熱負荷端末のそれぞれについて、ポンプ出力曲線と当該熱負荷端末の圧力損失曲線との交点として求まる熱媒流量が所望の値となるように圧力損失曲線群の中から特定の圧力損失曲線が選択され、選択された圧力損失曲線に対応付けられた開度となるように各流量調整弁の開度が調整される。
特開2006−284141号公報
しかし、特許文献1の熱供給システムでは、複数の熱負荷端末のそれぞれに対して流量調整弁を設ける必要があることから高コスト化し易く、また実際に稼働しているそれぞれの熱負荷端末における流量調整弁の開度を個別に調整するため、制御内容が複雑となり易かった。このような課題は、並列接続される熱負荷端末が多くなるほど特に顕著となる。更に、特許文献1の熱供給システムでは、熱媒循環ポンプの回転数は常に一定に維持されるので、必要以上に高い回転数で熱媒循環ポンプが動作してエネルギ効率が低下する等の課題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、比較的低コストな構成かつ簡易な制御で容易に省エネルギ性能を向上させることができる熱供給システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
本発明に係る、並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプとを備え、前記複数の熱負荷端末がそれぞれ単独で又は他の熱負荷端末と同時に稼働可能に構成された熱供給システムの特徴構成は、前記熱媒循環ポンプの回転数に応じたポンプ揚程と熱媒流量との関係であるポンプ特性を記録すると共に、各熱負荷端末が単独で稼働する場合におけるポンプ揚程と熱媒流量との関係である端末特性をそれぞれ記録した記録装置と、少なくとも前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、実際に稼働している熱負荷端末についてのそれぞれの端末特性を合成して得られる合成端末特性を取得し、当該取得された合成端末特性と前記ポンプ特性とに基づいて前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する点にある。
上記の特徴構成によれば、熱供給システムには熱媒循環ポンプの回転数に応じたポンプ特性と各熱負荷端末についての端末特性とがそれぞれ記録された記録装置が備えられ、制御部は熱供給システムの運転時に実際に稼働している熱負荷端末についてのそれぞれの端末特性を合成して得られる合成端末特性を取得し、当該取得された合成特端末性とポンプ特性とに基づいて熱媒循環ポンプの回転数を制御する。そのため、各種の目的に応じた最適な回転数で熱媒循環ポンプを動作させることができる。よって、省エネルギ運転に最適な回転数で熱媒循環ポンプを動作させることで、容易に省エネルギ性能を向上させることができる。
このとき、熱媒循環ポンプの回転数を制御するだけで各熱負荷端末への熱媒流量を調整することができる。すなわち、例えば各熱負荷端末に接続される熱媒循環回路に流量調整弁を設け、当該流量調整弁を用いて流量制御を行う場合と比較して、非常に簡易な制御で熱媒流量を調整することができる。特に、実際に稼働している熱負荷端末の組み合わせに応じて、各熱負荷端末の端末特性の情報を元に取得される合成端末特性に基づいて熱媒循環ポンプの回転数を制御するので、稼働している熱負荷端末の組み合わせによらずに簡易な制御で熱媒流量を調整することができる。また、流量調整弁を用いて流量制御を行う場合と比較して、熱負荷端末の数に応じた個数の流量調整弁の設置を省略することができる分だけ低コスト化を図ることができる。
従って、上記の特徴構成によれば、比較的低コストな構成かつ簡易な制御で容易に省エネルギ性能を向上させることができる熱供給システムを提供できる。
ここで、各熱負荷端末に供給される熱媒流量の制御目標値である目標熱媒流量がそれぞれ設定され、前記制御部は、実際に稼働している全ての熱負荷端末についてのそれぞれの目標熱媒流量に基づいて目標ポンプ揚程を導出し、当該導出された目標ポンプ揚程、及びその目標ポンプ揚程と前記合成端末特性とに基づいて更に導出される合計熱媒流量、の双方を満足させるように前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する構成とすると好適である。
この構成によれば、目標ポンプ揚程及び合計熱媒流量の双方を満足させるように熱媒循環ポンプの回転数を制御することで、実際に稼働している全ての熱負荷端末がそれぞれ目標熱媒流量に近い流量で稼働される状態を適切に実現することができる。このとき、熱媒循環回路に高価な熱媒流量検出センサを設けることなく目標熱媒流量を確実に確保することができる。よって、そのような熱媒流量検出センサの設置を省略することができる分だけ、更に低コスト化を図ることができる。
また、前記目標熱媒流量は、各熱負荷端末に供給される熱媒流量の必要最小値として予め設定された最低熱媒流量であり、前記制御部は、実際に稼働している全ての熱負荷端末がそれぞれ最低熱媒流量を満足するように前記目標ポンプ揚程を導出する構成とすると好適である。
この構成によれば、目標ポンプ揚程及び合計熱媒流量の双方を満足させるように熱媒循環ポンプの回転数を決定することで、実際に稼働している全ての熱負荷端末がそれぞれ最低熱媒流量を満足する状態を適切に実現することができる。このとき、熱媒循環ポンプの回転数は各熱負荷端末の最低熱媒流量に応じて比較的低い回転数とされるので、必要以上に高回転となったり騒音や振動等が発生したりするのを抑制することができる。よって、各熱負荷端末に最低限必要とされる熱媒流量を確実に確保しつつ、システム全体の省エネルギ性能及び静音性能を向上させることができる。
或いは、前記目標熱媒流量は、各熱負荷端末について予め設定された定格熱媒流量であっても好適である。定格熱媒流量を目標熱媒流量として設定することで、実際に稼働している全ての熱負荷端末をそれぞれ定格熱媒流量に近い状態で稼働させ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。
また、前記熱媒循環ポンプから吐出される全熱媒流量を取得する熱媒流量取得手段を1つだけ備える構成とすると好適である。
この構成によれば、記録装置に記録されたポンプ特性と端末特性を元に取得された合成端末特性に基づいて演算により導出される推定の全熱媒流量と、熱媒流量取得手段により実際に取得される全熱媒流量との差分に基づいて、熱媒循環回路を構成する管路の閉塞の有無を判定することができる。また、そのような熱媒流量取得手段を1つ備えるだけで良いので、コストの上昇を抑えつつ管路の閉塞判定を行うことができる。
また、前記熱媒循環回路は、前記熱源機及び前記熱媒循環ポンプに接続された主循環回路と、前記主循環回路から分岐して各熱負荷端末に接続された複数の端末循環回路と、を備え、各端末循環回路に、それぞれの熱負荷端末への熱媒流量を調整可能な流量調整弁が設けられている構成とすると好適である。
この構成によれば、必要に応じて流量調整弁の開度を適宜調整することで、各端末循環回路を流通する熱媒流量を各種の狙いに応じて最適化することができる。
本発明に係る、並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプとを備え、前記複数の熱負荷端末がそれぞれ単独で又は他の熱負荷端末と同時に稼働可能に構成された熱供給システムの運転方法の特徴構成は、前記熱媒循環ポンプの回転数に応じたポンプ揚程と熱媒流量との関係であるポンプ特性を記憶するポンプ特性記憶工程と、前記熱供給システムの設置後の試運転時又は点検時に、熱媒流量を検出する熱媒流量検出センサを前記熱媒循環回路に介挿させると共に各熱負荷端末を順次単独で稼働させて、各熱負荷端末が単独で稼働する場合におけるポンプ揚程と前記熱媒流量検出センサで検出された熱媒流量との関係である端末特性を、各熱負荷端末についてそれぞれ取得して記憶する端末特性記憶工程と、前記熱供給システムの定常運転時に、各熱負荷端末の稼働状態に基づいて、実際に稼働している熱負荷端末についてのそれぞれの端末特性を合成して得られる合成端末特性を取得する合成端末特性取得工程と、取得された合成端末特性と前記ポンプ特性とに基づいて前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する回転数制御工程と、を備える点にある。
この特徴構成によれば、ポンプ特性記憶工程で熱媒循環ポンプの回転数に応じたポンプ特性が記憶されると共に、熱供給システムの設置後の試運転時又は点検時の端末特性記憶工程で各熱負荷端末についての端末特性とがそれぞれ記憶され、熱供給システムの定常運転時には、合成端末特性取得工程で実際に稼働している熱負荷端末についてのそれぞれの端末特性を合成して得られる合成端末特性が取得され、回転数制御工程で当該取得された合成端末特性とポンプ特性とに基づいて熱媒循環ポンプの回転数が制御される。そのため、本方法によれば、各種の目的に応じた最適な回転数で熱媒循環ポンプを動作させることができる。よって、省エネルギ運転に最適な回転数で熱媒循環ポンプを動作させることで、容易に省エネルギ性能を向上させることができる。
このとき、熱媒循環ポンプの回転数を制御するだけで各熱負荷端末への熱媒流量を調整することができる。すなわち、例えば各熱負荷端末に接続される熱媒循環回路に流量調整弁を設け、当該流量調整弁を用いて流量制御を行う場合と比較して、非常に簡易な制御で熱媒流量を調整することができる。特に、実際に稼働している熱負荷端末の組み合わせに応じて、各熱負荷端末の端末特性の情報を元に取得される合成端末特性に基づいて熱媒循環ポンプの回転数を制御するので、稼働している熱負荷端末の組み合わせによらずに簡易な制御で熱媒流量を調整することができる。
また、この特徴構成では、高価な熱媒流量検出センサは少なくとも端末特性記憶工程時にのみ熱媒循環回路に介挿されれば良く、熱供給システムに常時設けられている必要はない。よって、定常運転時にはそのような熱媒流量検出センサの設置を省略することができ、熱供給システムの低コスト化を図ることができる。
従って、上記の特徴構成によれば、並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプとを備え、複数の熱負荷端末がそれぞれ単独で又は他の熱負荷端末と同時に稼働可能に構成された熱供給システムにおいて、システム全体を低コスト化すると共に、簡易な制御で容易に省エネルギ性能を向上させることができる運転方法を提供できる。
第一の実施形態に係る熱供給システムの概略構成を示す模式図である。 熱供給システムの運転方法を示すフローチャートである。 ポンプ特性記憶工程を説明するための説明図である。 端末特性記憶工程を説明するための説明図である。 記録装置に記録されている情報を示す説明図である。 合成端末特性取得工程を説明するための説明図である。 回転数制御工程を説明するための説明図である。 熱供給システムの定常運転時における制御処理の内容を示すフローチャートである。 第二の実施形態に係る熱供給システムの概略構成を示す模式図である。
1.第一の実施形態
本発明の第一の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る熱供給システムSは、並列接続された複数の熱負荷端末6と熱源機1との間で熱媒Wを循環させる熱媒循環回路8と、当該熱媒循環回路8に設けられた熱媒循環ポンプ10と、を備えている。これら複数の熱負荷端末6は、それぞれ単独で又は他の熱負荷端末6と同時に稼働可能に構成されている。このような熱供給システムSは、例えば家庭用の暖房システムとして利用される。
この熱供給システムSは、ポンプ特性記憶工程S1(図2を参照;以下同様)で得られる所定のポンプ特性B(図3等を参照)と端末特性記憶工程S2で得られる所定の端末特性C(図4等を参照)を記録した記録装置32と、少なくとも熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御する制御部30と、を備えている。このような構成において、制御部30は、合成端末特性取得工程S3にて、実際に稼働している熱負荷端末6についてのそれぞれの端末特性Cを合成して得られる合成端末特性D(図6等を参照)を取得し、回転数制御工程S4にて、当該取得された合成端末特性Dとポンプ特性Bとに基づいて熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御するように構成されている点に特徴を有する。これにより、比較的低コストな構成かつ簡易な制御で容易に省エネルギ性能を向上させることができる熱供給システムSが実現されている。以下、本実施形態に係る熱供給システムSについて、詳細に説明する。
1−1.熱供給システムの全体構成
まず、熱供給システムSの全体構成について説明する。図1に示すように、熱供給システムSは、熱源機1と、複数の熱負荷端末6と、熱源機1と複数の熱負荷端末6とを接続するように設けられる熱媒循環回路8と、動作状態で熱媒循環回路8に熱媒Wを循環させる熱媒循環ポンプ10と、システム全体を統合制御する制御部30と、を備えている。
熱源機1は、熱供給システムSに熱を供給する源(熱供給源)となる熱供給装置である。本例では、熱源機1はガス給湯器である。熱源機1は、都市ガスやLPG等の形態で外部から供給される燃料ガスと燃焼用空気との混合気を燃焼させて燃焼火炎を形成するバーナ2と、当該燃焼火炎からの熱を回収する熱交換器3と、を備えている。熱交換器3は、燃焼火炎の顕熱及びバーナ2の排ガスの潜熱の双方を回収することができるように構成されている。熱源機1は、熱媒循環回路8を循環する熱媒Wを熱交換器3にて所定温度に加熱し、加熱後の高温の熱媒Wを送り出して複数の熱負荷端末6に供給する。なお、熱源機1には、その他にも送風ファンや点火装置等、ガス給湯式の熱源機1に通常備えられる各種構成を備えている(図示省略)。熱源機1は、熱媒循環回路8の一部を構成する主循環回路8Mに接続されている。
熱媒循環ポンプ10が、主循環回路8Mに接続されている。本例では、熱源機1の外部であって熱源機1の下流側における主循環回路8Mに、1つの熱媒循環ポンプ10が接続されている。熱媒循環ポンプ10は、例えば遠心ポンプ等により構成される。また、熱媒循環ポンプ10には、当該熱媒循環ポンプ10を駆動するためのモータ11が、駆動力を伝達可能に連結されている。このようなモータ11として、本実施形態では回転数制御特性や出力効率等に優れるDCモータ(直流電源で駆動されるモータ)を用いている。なお、ACモータ(交流電源で駆動されるモータ)を用いても良い。モータ11により熱媒循環ポンプ10が駆動されることで熱媒Wが吐出され、熱媒循環回路8を通って熱源機1と複数の熱負荷端末6との間を熱媒Wが循環する。なお、熱媒Wとしては温水が用いられており、エチレングリコール等の不凍液が添加されていると好適である。
熱源機1には、複数の熱負荷端末6が並列接続されている。本例では4つの熱負荷端末6A〜6Dが1つの熱源機1に並列接続されている。主循環回路8Mにおける熱媒循環ポンプ10の下流側には1つの往きヘッダ16が設けられており、この往きヘッダ16に、各熱負荷端末6A〜6Dに接続される4つの端末循環回路8A〜8Dが接続されている。これらの端末循環回路8A〜8Dは、主循環回路8Mと共に熱媒循環回路8を構成している。すなわち、熱媒循環回路8は、熱源機1及び熱媒循環ポンプ10に接続された主循環回路8Mと、往きヘッダ16を介して主循環回路8Mから分岐して各熱負荷端末6A〜6Dに接続された4つの端末循環回路8A〜8Dと、を備えている。
ここで、熱負荷端末6は、熱源機1から供給される熱を消費(利用)する熱消費端末装置である。本例では、複数の熱負荷端末6として、第一床暖房パネル6A、第二床暖房パネル6B、浴室暖房乾燥機6C、及びファンコンベクタ6Dが備えられている。第一床暖房パネル6A及び第二床暖房パネル6Bは、居室や台所等における床材(フローリング材等)の下部に敷設されており、熱源機1から供給される熱媒Wが流通する際にその熱媒Wが保有する熱を放熱して当該居室及び台所等を暖房する。浴室暖房乾燥機6Cは、浴室の天井に一体的に埋設されており、熱源機1から供給される熱媒Wとの熱交換によって加熱される空気を送風して浴室内を暖房又は乾燥する。ファンコンベクタ6Dは、居室や台所等の室内空間に設置されており、熱源機1から供給される熱媒Wとの熱交換によって加熱される空気を送風して当該居室及び台所等を暖房する。
各端末循環回路8A〜8Dに、温水弁20が設けられている。すなわち、第一端末循環回路8Aには、往きヘッダ16と第一床暖房パネル6Aとの間に第一温水弁20Aが介挿されている。第二端末循環回路8Bには、往きヘッダ16と第二床暖房パネル6Bとの間に第二温水弁20Bが介挿されている。第三端末循環回路8Cには、往きヘッダ16と浴室暖房乾燥機6Cとの間に第三温水弁20Cが介挿されている。第四端末循環回路8Dには、往きヘッダ16とファンコンベクタ6Dとの間に第四温水弁20Dが介挿されている。これらの温水弁20A〜20Dとして、本実施形態では、制御部30からの弁開閉信号に従い、熱動素子(ワックスペレット等)の熱膨張及び収縮に応じて自動開閉する熱動弁を用いている。そして、各温水弁20A〜20Dの開弁状態では、主循環回路8Mからの熱媒Wが各端末循環回路8A〜8Dをそれぞれ流通し、各温水弁20A〜20Dの閉弁状態では、各端末循環回路8A〜8Dが主循環回路8Mからそれぞれ切り離される。
各端末循環回路8A〜8Dの下流側には1つの戻りヘッダ17が設けられており、この戻りヘッダ17は主循環回路8Mを介して熱源機1に接続されている。本例では、戻りヘッダ17から熱源機1及び熱媒循環ポンプ10を経て往きヘッダ16に至る管路により主循環回路8Mが構成されている。また、往きヘッダ16から各温水弁20A〜20D及び各端末循環回路8A〜8Dを経て戻りヘッダ17に至るそれぞれの管路により各端末循環回路8A〜8Dが構成されている。
なお、本実施形態においては、システム全体の低コスト化を図るべく、熱供給システムSには高価な熱媒流量検出センサ25は恒常的には設けられていない。すなわち、本実施形態に係る熱供給システムSは、流量センサレス熱供給システムとして構成されている。そのため、熱供給システムSの定常運転時には、熱媒循環回路8を流通する熱媒Wの全流量はもちろんのこと、各端末循環回路8A〜8Dを流通する熱媒Wの流量も実測によっては検出することができない構成となっている。但し、後述するように、熱供給システムSの設置後の試運転時には一時的に、熱媒Wの流量を実測するべく、熱媒循環回路8(ここでは、主循環回路8Mのうち戻りヘッダ17と熱源機1との間)に熱媒流量検出センサ25が介挿される。この熱媒流量検出センサ25は、試運転後に取り外される。図1においては、そのような熱媒流量検出センサ25を破線で示している。なお、熱供給システムSには、その他にも熱媒温度センサや熱媒貯留タンク等、熱供給システムSに通常備えられる各種構成を備えている(図示省略)。
制御部30は、熱供給システムSの各部の動作を制御する。例えば制御部30は、DCモータとして構成されたモータ11への印加電圧をPWM(Pulse Width Modulation)制御により可変制御して熱媒循環ポンプ10の回転数Nを可変制御し、熱媒Wの吐出量(熱媒流量)を調整することができる。また例えば制御部30は、各温水弁20A〜20Dに対して弁開閉信号を出力し、各温水弁20A〜20Dを個別に開閉制御することができる。なお、制御部30には、各熱負荷端末6A〜6Dの稼働状態を例えばオンオフスイッチ等により指令する操作部40が、有線通信又は無線通信を介して情報を伝達可能に接続されている。制御部30は、操作部40からの指令を受けて各温水弁20A〜20Dを個別に開閉制御し、複数の熱負荷端末6を、それぞれ単独で又は他の熱負荷端末6と同時に稼働させることができる。
また、制御部30には、有線通信又は無線通信を介して情報を伝達可能に記録装置32が接続されている。記録装置32は、例えばフラッシュメモリやハードディスクドライブ等のように、情報を記録及び書き換え可能な記録媒体である。本実施形態では、記録装置32には、後述するように熱媒循環ポンプ10についてのポンプ特性Bと各熱負荷端末6についての端末特性Cとが記録されている。このような記録装置32を備えた熱供給システムSにおいて、制御部30は、ポンプ特性B及び端末特性Cを参照して熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御するように構成されている。以下では、本実施形態に係る熱供給システムSの運転方法について、詳細に説明する。
1−2.熱供給システムの運転方法
図2に示すように、本実施形態に係る熱供給システムSは、ポンプ特性記憶工程S1、端末特性記憶工程S2、合成端末特性取得工程S3、及び回転数制御工程S4を経て運転される。これらのうち、ポンプ特性記憶工程S1及び端末特性記憶工程S2は熱供給システムSの設置後の試運転時に実行される工程であり、合成端末特性取得工程S3及び回転数制御工程S4は熱供給システムSの定常運転時に実行される工程である。これらの各工程は、制御部30を中核として実行される。
1−2−1.ポンプ特性記憶工程
ポンプ特性記憶工程S1は、熱媒循環ポンプ10の回転数Nに応じたポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係であるポンプ特性Bを記憶する工程である。ここで、熱媒循環ポンプ10の回転数(単位時間当たりの回転回数;回転速度)Nは、本例では当該熱媒循環ポンプ10を駆動するためのモータ11の回転数に一致している。熱媒流量Qは、ポンプ特性Bを規定する上では熱媒循環ポンプ10により吐出される熱媒Wの全量である。ポンプ揚程Pは、熱媒循環ポンプ10が吸入する熱媒Wの圧力(入力側圧力)と熱媒循環ポンプ10が吐出する熱媒Wの圧力(出力側圧力)との差圧であり、熱媒循環ポンプ10が熱媒Wを汲み上げ得る高さに応じた値となる。図3に示すように、熱媒循環ポンプ10の回転数Nを一定とした場合、熱媒流量Qが多くなるに従ってポンプ揚程Pは低くなる。また、熱媒循環ポンプ10の回転数Nが高くなるに従って、熱媒流量Qとポンプ揚程Pとは、上記の関係を保ったままで双方が大きくなる。
なお、図3においては、3つの異なる回転数N毎のポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係(ポンプ出力曲線)のみを示しているが、実際には更に多くの回転数N毎に細かく細分化されたポンプ特性Bが記憶される。このようなポンプ特性Bは、熱媒循環ポンプ10に固有の特性であって各熱負荷端末6の種類や設置位置等とは無関係に定まり、一般にポンプ製造業者からパンフレット等により与えられる。すなわち、ポンプ特性記憶工程S1では、熱供給システムSに備えられる熱媒循環ポンプ10に固有の、回転数N毎のポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係を表すポンプ出力曲線群がマップの形態で記録装置32に記録される。これによりポンプ特性Bが記憶される。
1−2−2.端末特性記憶工程
端末特性記憶工程S2は、各熱負荷端末6が単独で稼働する場合におけるポンプ揚程Pと熱媒流量検出センサ25で検出された熱媒流量Qとの関係である端末特性Cを、各熱負荷端末6についてそれぞれ取得して記憶する工程である。端末特性記憶工程S2では、主循環回路8Mに熱媒流量検出センサ25が介挿される。この熱媒流量検出センサ25は、制御部30に対して有線通信又は無線通信を介して情報を伝達可能に接続される。まず制御部30は、第一温水弁20Aを開弁させると共にその他の温水弁20B〜20Dを閉弁させて第一床暖房パネル6Aを単独で稼働させる。この状態で、制御部30は、熱媒循環ポンプ10の回転数Nを所定間隔で変化させながら、回転数N毎の第一端末循環回路8A及び第一床暖房パネル6A(以下、単に「第一床暖房パネル6A等」と称する場合がある;他の端末についても同様)を流通する熱媒流量Qを熱媒流量検出センサ25で実測し、ポンプ特性Bが記録されたマップ上にプロットする。すなわち制御部30は、熱媒循環ポンプ10の回転数N毎に、その回転数Nに対応付けられたポンプ出力曲線上において実測された熱媒流量Qを与える点をそれぞれプロットする(図4(a)の「丸囲みA」を参照)。よって、プロットされる各点は、各熱負荷端末6が単独で稼働する場合におけるポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係を表す情報である。なお、ここで可変とされる回転数Nは、ポンプ特性Bにおいてポンプ出力曲線群の基礎となっている複数の回転数Nの全部又はその一部とされる。
制御部30は、マップ上にプロットされた各点に基づいて、統計的手法を用いて第一床暖房パネル6A等についての第一端末特性Caを導出する。本例では、マップ上にプロットされた各点から最小二乗法により回帰曲線(回帰直線を含む)が求められ、当該回帰曲線が第一端末特性Caとされる(図4(b)を参照)。このようにして、第一床暖房パネル6Aが単独で稼働する場合におけるポンプ揚程Pと第一床暖房パネル6A等を流通する熱媒流量Qとの関係(第一床暖房パネル6Aについての1本の圧力損失曲線)が求められてマップの形態で記録装置32に記録される。これにより第一端末特性Caが記憶される。
次に制御部30は、第二温水弁20Bを開弁させると共にその他の温水弁20A,20C,20Dを閉弁させて第二床暖房パネル6Bを単独で稼働させる。この状態で、制御部30は、上記と同様に、熱媒循環ポンプ10の回転数Nを所定間隔で変化させながら、回転数N毎の第二端末循環回路8B及び第二床暖房パネル6Bを流通する熱媒流量を熱媒流量検出センサ25で実測し、ポンプ特性Bが記録されたマップ上にプロットする(図4(a)の「丸囲みB」を参照)。制御部30は、マップ上にプロットされた各点に基づいて、上記と同様に、第二床暖房パネル6B等についての第二端末特性Cbを導出する。このようにして、第二床暖房パネル6Bが単独で稼働する場合におけるポンプ揚程Pと第二床暖房パネル6B等を流通する熱媒流量Qとの関係(第二床暖房パネル6Bについての1本の圧力損失曲線)が求められてマップの形態で記録装置32に記録される。これにより第二端末特性Cbが記憶される。
更に制御部30は、浴室暖房乾燥機6C及びファンコンベクタ6Dを順次単独で稼働させる。そして、浴室暖房乾燥機6Cが単独で稼働する場合におけるポンプ揚程Pと浴室暖房乾燥機6C等を流通する熱媒流量Qとの関係(浴室暖房乾燥機6Cについての1本の圧力損失曲線)、及びファンコンベクタ6Dが単独で稼働する場合におけるポンプ揚程Pとファンコンベクタ6D等を流通する熱媒流量Qとの関係(ファンコンベクタ6Dについての1本の圧力損失曲線)が、それぞれマップの形態で記録装置32に記録される。これにより、第三端末特性Cc及び第四端末特性Cdが記憶される。なお、各端末特性Ca〜Cdを導出して記憶する順序は任意である。図5には、記録装置32にポンプ特性Bと各端末特性Ca〜Cdとが重畳して記録された様子が示されている。
ところで、一般に熱源機1から各熱負荷端末6A〜6Dまでの距離はそれぞれ異なっている場合がほとんどであり、それに応じて各端末循環回路8A〜8Dの配管長や各端末循環回路8A〜8Dにおける管路抵抗もそれぞれ異なっている場合がほとんどである。そのため、各熱負荷端末6A〜6Dはそれぞれ異なる圧力損失特性を有し、図5に示すように各端末特性Ca〜Cdは互いに異なる曲線となる。
試運転時におけるポンプ特性記憶工程S1及び端末特性記憶工程S2が終了した後は、主循環回路8Mに介挿された熱媒流量検出センサ25は取り外される。その後、熱供給システムSは、図8に示すフローチャートに従って定常運転される。定常運転では、合成端末特性取得工程S3及び回転数制御工程S4が実行される。これらの合成端末特性取得工程S3及び回転数制御工程S4は、ポンプ特性記憶工程S1及び端末特性記憶工程S2のように1回限りではなく、使用毎に実行されることになる。なお、取り外された熱媒流量検出センサ25は、別の熱供給システムS’(図示せず)の試運転時等における端末特性記憶工程S2’(図示せず)等で再利用される。
1−2−3.合成端末特性取得工程
合成端末特性取得工程S3は、各熱負荷端末6の稼働状態に基づいて、実際に稼働している熱負荷端末6についてのそれぞれの端末特性Ca〜Cdを合成して得られる合成端末特性Dを取得する工程である。合成端末特性取得工程S3では、各熱負荷端末6A〜6Dのそれぞれの稼働状態を表す稼働状態情報が取得される(図8におけるステップ#01;以下同様)。本例では、操作部40からの各熱負荷端末6A〜6Dへの指令信号が制御部30に入力される。制御部30は、この操作部40からの指令信号に基づいて各熱負荷端末6の稼働状態に係る情報を取得して、実際に稼働する熱負荷端末6を特定する。制御部30は、稼働すると特定された熱負荷端末6の全ての端末特性Ca〜Cdを合成して得られる合成端末特性Dを取得する(ステップ#02)。
ここで、合成端末特性取得工程S3の一例として、第一床暖房パネル6A及び浴室暖房乾燥機6Cのみが稼働する場合の例について具体的に説明する。本例では、制御部30は、第一床暖房パネル6A等についての第一端末特性Caと浴室暖房乾燥機6C等についての第三端末特性Ccとを記録装置32から読み出す。そして、制御部30は、第一端末特性Caと第三端末特性Ccとに基づいて、合成端末特性Dacを演算により取得する。より具体的には、図6に示すように、制御部30は第一端末特性Ca及び第三端末特性Ccに基づいて、所定のポンプ揚程Pをもたらす第一端末流量Qaと第三端末流量Qcとの和(Qa+Qc)を、そのポンプ揚程Pについての合成流量Qacとする。本実施形態では、制御部30はポンプ揚程Pを変数として上記のような演算を順次実行することにより、全範囲に亘るポンプ揚程Pと合成流量Qacとの関係を求める。このようにして、制御部30は第一端末特性Caと第三端末特性Ccとを合成して得られる合成端末特性Dacを取得する。
1−2−4.回転数制御工程
回転数制御工程S4は、取得された合成端末特性Dとポンプ特性Bとに基づいて熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御する工程である。本実施形態に係る熱供給システムSでは、各熱負荷端末6A〜6Dに供給される熱媒流量Qの制御目標値である目標熱媒流量Qta〜Qtdがそれぞれ設定される。制御部30は、実際に稼働している全ての熱負荷端末6についてのそれぞれの目標熱媒流量Qtに基づいて目標ポンプ揚程Ptを導出する(ステップ#03)。
更に本実施形態では、目標熱媒流量Qta〜Qtdとして、各熱負荷端末6A〜6Dについての最低熱媒流量Qna〜Qndが予め設定されている。ここで最低熱媒流量Qna〜Qndは、仕様上、各熱負荷端末6A〜6Dに最低限供給されることが必要とされる流量であり、各熱負荷端末6A〜6Dに供給される熱媒流量Qの必要最小値である。本実施形態では、このような目標熱媒流量Qta〜Qtdとしての最低熱媒流量Qna〜Qndは、制御部30が参照可能なメモリ等に予め記録されて設定されている。制御部30は、実際に稼働している全ての熱負荷端末6がそれぞれ最低熱媒流量Qnを満足するように目標ポンプ揚程Ptを導出する。
制御部30は、導出された目標ポンプ揚程Ptと合成端末特性Dとに基づいて、合計熱媒流量Rを導出する(ステップ#04)。制御部30は、ポンプ特性Bに基づいて、ステップ#03で導出された目標ポンプ揚程Pt、及びステップ#04で導出された合計熱媒流量R、の双方を満足させるように熱媒循環ポンプ10の目標回転数Mを決定する(ステップ#05)。そして、制御部30は、決定された目標回転数Mに従って熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御する(ステップ#06)。
ここで、回転数制御工程S4の一例として、合成端末特性取得工程S3に引き続き、第一床暖房パネル6A及び浴室暖房乾燥機6Cのみが稼働する場合の例について具体的に説明する。図7に示すように、本例では、仕様により第一床暖房パネル6A等について第一最低熱媒流量Qnaが予め設定されており、同様に浴室暖房乾燥機6C等について第三最低熱媒流量Qncが予め設定されている。制御部30は、第一端末特性Caと第一最低熱媒流量Qnaとに基づいて、第一最低熱媒流量Qnaを満足させる第一ポンプ揚程Paを導出する。制御部30は、同様に第三端末特性Ccと第三最低熱媒流量Qncとに基づいて、第三最低熱媒流量Qncを満足させる第三ポンプ揚程Pcを導出する。そして、制御部30は、導出された第一ポンプ揚程Pa及び第三ポンプ揚程Pcのうち、図示の例においてより高い方である第一ポンプ揚程Paを、第一最低熱媒流量Qna及び第三最低熱媒流量Qncの双方を満足させる目標ポンプ揚程Ptとして決定する。
制御部30は、合成端末特性取得工程S3で取得された合成端末特性Dacと、決定された目標ポンプ揚程Ptとに基づいて、目標ポンプ揚程Ptに応じた合計熱媒流量Racを更に導出する。なお、ここで導出される合計熱媒流量Racは、単純に第一最低熱媒流量Qnaと第三最低熱媒流量Qncとを加算して得られる流量(Qna+Qnc)とは異なる場合がある。制御部30は、ポンプ特性Bとして記録装置32に記録された回転数N毎の複数のポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係を示すポンプ出力曲線群の中から、決定された目標ポンプ揚程Ptと導出された合計熱媒流量Racとにより定まる目標動作点(図7において星印「☆」で表示)を通る(当該目標動作点を通るものがない場合には、原点Oとは反対側であってかつ当該目標動作点に対して最も近い位置を通る)ポンプ出力曲線を選択する。制御部30は、その選択されたポンプ出力曲線に対応付けられた回転数Nを読み出して、その値を目標回転数Macに決定する。そして、制御部30は、目標回転数Macに従ってモータ11及び熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御する。
なお、上記では第一床暖房パネル6A及び浴室暖房乾燥機6Cが稼働する場合の例についてのみ説明したが、複数の熱負荷端末6がこれ以外の組み合わせで稼働する場合にも、上記と同様の制御が実行される。
以上説明したような熱供給システムSによれば、目標ポンプ揚程Pt及び合計熱媒流量Rの双方を満足させるように目標回転数Mを決定して、その目標回転数Mに従って熱媒循環ポンプ10を制御することで、実際に稼働している全ての熱負荷端末6がそれぞれ最低熱媒流量Qnを満足する状態を適切に実現することができる。このとき、熱媒循環ポンプ10の回転数Nは各熱負荷端末6の最低熱媒流量Qnに応じて比較的低い回転数Nとされるので、必要以上に高回転となったり騒音や振動等が発生したりするのを抑制することができる。よって、各熱負荷端末6にそれぞれ最低限必要とされる熱媒流量Qを確実に確保しつつ、システム全体の省エネルギ性能及び静音性能を向上させることができる。
このとき、熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御するだけの、非常に簡易な制御で各熱負荷端末6への熱媒流量Qを調整することができる。特に、実際に稼働している熱負荷端末6の組み合わせに応じて、各熱負荷端末6の端末特性Cの情報を元に取得される合成端末特性Dに基づいて熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御するので、稼働している熱負荷端末6の組み合わせによらずに簡易な制御で熱媒流量Qを調整することができる。
なお、本実施形態では、上記のようにして熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御することによって熱媒流量Qが調整されるので、熱供給システムSでは各熱負荷端末6A〜6D(各端末循環回路8A〜8D)を流通する熱媒Wの流量をそれぞれ精度良く推定することが可能である。このとき、制御部30は、その推定熱媒流量と各熱負荷端末6A〜6Dを流通する際の熱媒Wの温度変化量(複数の熱媒温度センサにより検出可能)とに基づいて出力熱量を算出することができ、また、熱源機1で消費される燃料ガス量に基づいて投入熱量を算出することができる。そして制御部30は、上記のようにして算出される出力熱量と投入熱量とに基づいて、燃焼効率を算出することができる。従って、本実施形態に係る熱供給システムSでは、上記のようにして高精度に推定される熱媒Wの流量の情報を利用して、燃焼効率も比較的精度良く算出することができる。
また、本実施形態に係る熱供給システムSでは、高価な熱媒流量検出センサ25(図1を参照)は、少なくとも端末特性記憶工程S2時にのみ熱媒循環回路8(ここでは、主循環回路8M)に介挿されれば良く、恒常的に設けられている必要はない。そのため、熱供給システムSにおいて、専用の熱媒流量検出センサ25の設置を省略することができるので、システム全体の低コスト化を図ることができる。また、例えば各熱負荷端末6A〜6Dに接続される端末媒循環回路8A〜8Dに流量調整弁を設け、当該流量調整弁を用いて流量制御を行う場合と比較して、熱負荷端末6の数に応じた個数(本例では4つ)の流量調整弁の設置を省略することができる。よって、この点からもシステム全体の低コスト化を図ることが可能となっている。
ところで、各熱負荷端末6の各端末特性Cは、住宅等において熱供給システムSが実際に設置されるまでは確定されないため、一般に熱媒循環ポンプ10の回転数Nは高めに設定される傾向にある。このような場合には、必要以上に高い回転数Nで熱媒循環ポンプ10が動作することになるのでエネルギを無駄に消費するおそれがある。また、エネルギの浪費を抑制するべく、熱媒循環回路8を流通する熱媒流量Qを実測しながら熱媒循環ポンプ10の回転数Nを最適化するように制御することも考えられるが、そのためには高価な熱媒流量検出センサ25を恒常的に設ける必要があり高コスト化し易い。この点、本実施形態に係る熱供給システムSは、高価な熱媒流量検出センサ25を必要とすることなく、上記のように簡易な制御で熱媒Wの流量を調整し、各熱負荷端末6に最低限必要とされる熱媒流量を確実に確保しつつシステム全体の省エネルギ性能及び静音性能を向上させることができる点に、大きな利点がある。
2.第二の実施形態
本発明の第二の実施形態について、図面を参照して説明する。図9に示すように、本実施形態に係る熱供給システムSの全体的な構成は、上記第一の実施形態の構成と同様である。但し、本実施形態では、熱供給システムSに専用の熱媒流量検出センサ25が設けられている点、及び、温水弁20に代えて流量調整弁21が設けられている点で、上記第一の実施形態の構成とは異なっている。以下では、主にこれらの相違点について詳細に説明する。なお、特に明記しない点については、上記第一の実施形態と同様とする。
本実施形態においては、端末特性記憶工程S2において主循環回路8Mに介挿された熱媒流量検出センサ25が、その後も恒常的に設けられる。図9においては、そのような熱媒流量検出センサ25を、図1とは異なり実線で示している。これにより、本実施形態に係る熱供給システムSでは、その定常運転時に、熱媒循環回路8を流通する熱媒Wの全流量を実測によって検出することが可能となっている。本実施形態においては、熱媒流量検出センサ25が本発明における「熱媒流量取得手段」に相当する。
ところで、上記第一の実施形態において説明したように、回転数制御工程S4では、目標ポンプ揚程Pt及び合計熱媒流量Rの双方を満足させるように熱媒循環ポンプ10の目標回転数Mが決定され、当該決定された目標回転数Mに従って熱媒循環ポンプ10の回転数Nが制御される。そのため、熱媒循環ポンプ10が目標回転数Mで駆動されている場合には、熱媒循環回路8を流通する熱媒Wの全流量は、その目標回転数Mに応じたポンプ特性Bと合成端末特性Dとにより規定される合計熱媒流量Rであると推定される。本実施形態では、制御部30は、その推定の全熱媒流量と熱媒流量検出センサ25により実測される全熱媒流量とを比較して、これらが一致しているか否かを判定する。なお、「一致」とは、完全に一致している場合のみならず、制御上又は測定上の誤差等を考慮して設定される所定の変動幅内(例えば、差分が10%以内等)に収まっている場合を含む概念である。
制御部30は、全熱媒流量の推定値と実測値との一致判定の判定結果に基づいて、熱媒循環回路8及び各熱負荷端末6A〜6Dを構成する管路における閉塞の有無を判定することができる。なお「閉塞」とは、正常時との比較において管路の一部が部分的に又は全て塞がれている状態を意味している。例えば、全熱媒流量の推定値と実測値との差分が所定値以上となった場合には、制御部30はいずれかの管路において閉塞が生じていると判定することができる。なお、実際に稼働する熱負荷端末6の組み合わせを適宜変更しながら上記の閉塞判定を実行することで、制御部30は実際に閉塞が生じている管路を特定することができる。本実施形態では、熱媒循環回路8(ここでは、主循環回路8M)に熱媒流量検出センサ25を1つだけ備えることで、管路の閉塞判定を行うことを可能としつつ、コストの上昇を最小限に抑えている。
また、本実施形態では、各端末循環回路8A〜8Dに、流量調整弁21が設けられている。この流量調整弁21は、上記第一の実施形態における温水弁20が有するものと同様の機能に、各熱負荷端末6への熱媒流量Qを調整する流量調整機能を追加したものである。このような流量調整弁21A〜21Dとして、本実施形態では、制御部30からの弁開閉指令の大きさに応じて例えば0%〜100%の間で開度が変化する比例電磁弁を用いている。本実施形態では、このような流量調整弁21A〜21Dを備えているので、当該流量調整弁21A〜21Dの開度を適宜調整することで、各端末循環回路8A〜8Dを流通する熱媒流量Qを各種の狙いに応じて最適化(例えば、均等化)することができる。
また、仮に先に説明したように管路の一部に閉塞が生じた場合、各端末循環回路8A〜8D及び各熱負荷端末6A〜6Dにおける管路抵抗が変化し、それに応じて端末特性記憶工程S2で取得された端末特性Cも変化する。このような場合にも、流量調整弁21A〜21Dの開度を適宜調整することで、管路の閉塞に伴う端末特性Cの変化を打ち消すようにその端末特性Cを補正することができる。なお、ここで説明した流量調整弁21A〜21Dの開度調整は、熱供給システムSの定常運転時に随時行なう必要はなく、所定期間(例えば、数ヵ月)毎に定期的に、又は不定期に行うだけで十分である。よって、熱供給システムSの制御性が低下する等の問題は生じない。
3.その他の実施形態
最後に、本発明に係る熱供給システムの、その他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の各実施形態では、記録装置32にポンプ特性Bと各熱負荷端末6についての端末特性Cのみが記録されており、合成端末特性取得工程S3において、実際に稼働している熱負荷端末6の全ての端末特性Cを合成して得られる合成端末特性Dを演算により取得する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば複数の熱負荷端末6の全ての組み合わせについての合成端末特性Dを予め導出して記録装置32に合わせて記録しておき、合成端末特性取得工程S3では、実際に稼働している熱負荷端末6の組み合わせに応じた合成端末特性Dを記録装置32から読み出して取得する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(2)上記の各実施形態では、回転数制御工程S4において、制御部30が、ポンプ特性Bとして記録装置32に記録された回転数N毎の複数のポンプ揚程Pと熱媒流量Qとの関係を示すポンプ出力曲線群の中から、目標ポンプ揚程Ptと合計熱媒流量Racとにより定まる目標動作点を通るポンプ出力曲線を選択する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば上記の実施形態のように目標ポンプ揚程Ptが各熱負荷端末6A〜6Dについての最低熱媒流量Qna〜Qndに基づいて導出される場合には、ポンプ出力曲線群の中から少なくとも上記目標動作点よりも上側(目標動作点に対して原点Oとは反対側)を通るポンプ出力曲線が選択される構成とすることができる。或いは、静音性を優先させたい場合等には、ポンプ出力曲線群の中から上記目標動作点よりも下側(目標動作点に対して原点O側)を通るポンプ出力曲線が選択される構成とすることも可能である。
(3)上記の各実施形態では、各熱負荷端末6A〜6Dについての最低熱媒流量Qna〜Qndが、目標熱媒流量Qta〜Qtdとして設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば各熱負荷端末6A〜6Dについての定格熱媒流量が目標熱媒流量Qta〜Qtdとして設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、回転数制御工程S4では、実際に稼働している熱負荷端末6のそれぞれについて定格熱媒流量からの偏差を求め、これらの偏差の総合が全体として最も小さくなるように目標ポンプ揚程Ptを導出する構成とすると好適である。このような構成とすることで、総合的に見て実際に稼働する全ての熱負荷端末6をそれぞれ定格熱媒流量に最も近い状態で稼働させ、システム全体のエネルギ効率を向上させることができる。また、その他の基準に基づいて目標熱媒流量Qtが設定された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
更に、例えば複数の基準に基づいて各熱負荷端末6について複数の目標熱媒流量Qtが整備されると共に操作部40において複数の運転モード(例えば、効率運転モード、静音運転モード、最大運転モード等)が選択可能に構成され、制御部30において、操作部40で選択された運転モードに応じた目標熱媒流量Qtが設定される構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このようにすれば、状況に応じて使用者の意向に適合する運転モードを適切に実現できる。なお、この場合、制御部30において操作部40で選択された運転モードに応じた目標熱媒流量Qtを設定する処理を行う処理部は、目標熱媒流量設定手段として機能することになる。
(4)上記の各実施形態では、各熱負荷端末6A〜6Dについての目標熱媒流量Qta〜Qtdに基づいて目標動作点が決定され、その目標動作点で定まる目標ポンプ揚程Pt及び合計熱媒流量Racの双方を満足させるように熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば制御部30が、目標熱媒流量Qta〜Qtdとは無関係に目標動作点を決定して熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような場合であっても、高価な熱媒流量検出センサ25を必要とすることなく、記録装置32に記録されたポンプ特性B及び各熱負荷端末6についての端末特性C、並びに合成端末特性取得工程S3で取得される合成端末特性Dに基づいて、熱媒循環ポンプ10の回転数Nから各熱負荷端末6A〜6D(各端末循環回路8A〜8D)を流通する熱媒Wの流量をそれぞれ精度良く推定することができる。そして、上記の各実施形態において説明したように、その推定熱媒流量の情報を利用して燃焼効率も精度良く算出することができる。
このような熱供給システムSでは、制御部30は、実際に稼働している熱負荷端末6についてのそれぞれの端末特性Cを合成して得られる合成端末特性Dを取得し、当該取得された合成端末特性Dとポンプ特性Bと熱媒循環ポンプ10の回転数Nとに基づいて、各熱負荷端末6に供給される熱媒流量を推定するものとなる。
(5)上記の各実施形態では、端末特性記憶工程S2において、マップ上にプロットされた各点から最小二乗法により回帰曲線が求められ、当該回帰曲線が各熱負荷端末6についての端末特性Cとされる場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、統計的手法としては各種の方式を採用することが可能であり、例えばマップ上にプロットされた各点を線形補間又は非線形補間したものを各熱負荷端末6についての端末特性Cとすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(6)上記の各実施形態では、ポンプ特性Bと各熱負荷端末6についての端末特性Cとが、マップの形態で記録されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えばこれらが所定の関係式の形態で記録された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(7)上記の各実施形態では、端末特性記憶工程S2が、熱供給システムSの試運転時に実行される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば所定期間(例えば、数ヵ月)毎に行われる定期点検時、又は不定期に行われる単発的な点検時に端末特性記憶工程S2を実行する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。長期的には、熱媒循環回路8及び各熱負荷端末6を構成する管路の状態が変化し、それに応じて各熱負荷端末6の端末特性Cも変化する可能性がある。そのため、上記のように熱供給システムSの点検時に端末特性記憶工程S2を実行する構成とすることで、必要以上に多くない頻度で、記録装置32に記録された各熱負荷端末6の端末特性Cを実情に即したものに更新することができる。なお、このような構成は、専用の熱媒流量検出センサ25や流量調整弁21を備えていない上記第一の実施形態に係る熱供給システムSに特に適している。
(8)上記第二の実施形態では、熱媒循環回路8に備えられた熱媒流量検出センサ25により、熱媒循環回路8を流通する熱媒Wの全流量が実測によって検出される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、そのような熱媒流量検出センサ25を備えることなく、例えば制御部30が、熱媒循環ポンプ10から吐出される熱媒流量Qを演算により取得する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。より具体的には、制御部30は、モータ11に供給される電流及び電圧の一方又は双方に基づいて熱媒循環ポンプ10が実現可能な理論上のポンプ揚程P’を導出し、導出された理論ポンプ揚程P’とポンプ特性B(その時点での熱媒循環ポンプ10の回転数Nに応じたポンプ出力曲線)とに基づいて、熱媒循環ポンプ10から吐出される熱媒流量Qを導出する構成とすることができる。この場合、制御部30において上記演算を行う処理部により、本発明における「熱媒流量取得手段」が構成される。
(9)上記の各実施形態では、複数の熱負荷端末6として4つの熱負荷端末6、具体的には第一床暖房パネル6A、第二床暖房パネル6B、浴室暖房乾燥機6C、及びファンコンベクタ6Dが備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、熱負荷端末6の種類は任意とすることができる。また、熱負荷端末6の数は2つ、3つ、5つ、・・・とすることができる。特に本発明では、各熱負荷端末6の端末特性Cをそれぞれ記録装置32に記録していると共に実際に稼働している熱負荷端末6の組み合わせに応じて適切な合成端末特性Dを適宜取得して熱媒循環ポンプ10の回転数Nを制御するので、稼働している熱負荷端末6の組み合わせによらずに簡易な制御で熱媒流量Qを調整することができる。このとき、熱負荷端末6の数が多くなるに従って組み合わせのパターン数が格段に増大する点を考慮すれば、本発明は、数個(例えば4つ)以上の熱負荷端末6を備えた熱供給システムSに特に適している。
(10)上記の各実施形態では、熱源機1がガス給湯器である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、熱源機1は少なくとも熱供給システムSに熱を供給する源(熱供給源)として機能していれば良く、例えば熱源機1がガスヒートポンプ、電気ヒートポンプ、燃料電池等により構成されることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(11)上記の各実施形態では、熱供給システムSの機械的な構成に関して、各部材が熱媒循環回路8において設けられる位置をそれぞれ具体的に特定して説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、熱媒循環ポンプ10、熱媒流量検出センサ25、往きヘッダ16、戻りヘッダ17、温水弁20、流量調整弁21等が設けられる位置は、所期の目的に応じて任意とすることができる。例えば、熱媒循環ポンプ10、熱媒流量検出センサ25、往きヘッダ16、戻りヘッダ17のうちの少なくとも1つを熱源機1に内蔵して備えた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(12)上記第二の実施形態では、熱供給システムSに熱媒流量検出センサ25及び流量調整弁21の双方が備えられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、熱媒流量検出センサ25及び流量調整弁21のうち、熱媒流量検出センサ25のみを備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、熱媒流量検出センサ25により実測される全熱媒流量の情報を利用して管路の閉塞判定を行い、閉塞が生じていると判定された場合に点検を行い、再度端末特性記憶工程S2を実行して各熱負荷端末6の端末特性Cを更新する構成とすることができる。或いは、熱媒流量検出センサ25及び流量調整弁21のうち、流量調整弁21のみを備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、流量調整弁21A〜21Dの開度を適宜調整することで、各端末循環回路8A〜8Dを流通する熱媒流量Qを各種の狙いに応じて最適化することができる。
(13)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載されていない構成に関しては、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプとを備え、複数の熱負荷端末がそれぞれ単独で又は他の熱負荷端末と同時に稼働可能に構成された熱供給システム、例えば家庭用の暖房システム、に好適に利用することができる。
S 熱供給システム
1 熱源機
6 熱負荷端末
8 熱媒循環回路
8M 主循環回路
8A〜8D 端末循環回路
10 熱媒循環ポンプ
21 流量調整弁
25 熱媒流量検出センサ(熱媒流量取得手段)
30 制御部
32 記録装置
W 熱媒
B ポンプ特性
C 端末特性
D 合成端末特性
Q 熱媒流量
P ポンプ揚程
N ポンプ回転数
Qt 目標熱媒流量
Qn 最低熱媒流量
Pt 目標ポンプ揚程
R 合計熱媒流量
S1 ポンプ特性記録工程
S2 端末特性記録工程
S3 合成端末特性取得工程
S4 回転数制御工程

Claims (6)

  1. 並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプとを備え、前記複数の熱負荷端末がそれぞれ単独で又は他の熱負荷端末と同時に稼働可能に構成された熱供給システムであって、
    前記熱媒循環ポンプの回転数に応じたポンプ揚程と熱媒流量との関係であるポンプ特性を記録すると共に、各熱負荷端末が単独で稼働する場合におけるポンプ揚程と熱媒流量との関係である端末特性をそれぞれ記録した記録装置と、
    少なくとも前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、実際に稼働している熱負荷端末についてのそれぞれの端末特性を合成して得られる合成端末特性を取得し、当該取得された合成端末特性と前記ポンプ特性とに基づいて前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する熱供給システム。
  2. 各熱負荷端末に供給される熱媒流量の制御目標値である目標熱媒流量がそれぞれ設定され、
    前記制御部は、実際に稼働している全ての熱負荷端末についてのそれぞれの目標熱媒流量に基づいて目標ポンプ揚程を導出し、当該導出された目標ポンプ揚程、及びその目標ポンプ揚程と前記合成端末特性とに基づいて更に導出される合計熱媒流量、の双方を満足させるように前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する請求項1に記載の熱供給システム。
  3. 前記目標熱媒流量は、各熱負荷端末に供給される熱媒流量の必要最小値として予め設定された最低熱媒流量であり、
    前記制御部は、実際に稼働している全ての熱負荷端末がそれぞれ最低熱媒流量を満足するように前記目標ポンプ揚程を導出する請求項2に記載の熱供給システム。
  4. 前記熱媒循環ポンプから吐出される全熱媒流量を取得する熱媒流量取得手段を1つだけ備える請求項1から3のいずれか一項に記載の熱供給システム。
  5. 前記熱媒循環回路は、前記熱源機及び前記熱媒循環ポンプに接続された主循環回路と、前記主循環回路から分岐して各熱負荷端末に接続された複数の端末循環回路と、を備え、
    各端末循環回路に、それぞれの熱負荷端末への熱媒流量を調整可能な流量調整弁が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の熱供給システム。
  6. 並列接続された複数の熱負荷端末と熱源機との間で熱媒を循環させる熱媒循環回路と、当該熱媒循環回路に設けられた熱媒循環ポンプとを備え、前記複数の熱負荷端末がそれぞれ単独で又は他の熱負荷端末と同時に稼働可能に構成された熱供給システムの運転方法であって、
    前記熱媒循環ポンプの回転数に応じたポンプ揚程と熱媒流量との関係であるポンプ特性を記憶するポンプ特性記憶工程と、
    前記熱供給システムの設置後の試運転時又は点検時に、熱媒流量を検出する熱媒流量検出センサを前記熱媒循環回路に介挿させると共に各熱負荷端末を順次単独で稼働させて、各熱負荷端末が単独で稼働する場合におけるポンプ揚程と前記熱媒流量検出センサで検出された熱媒流量との関係である端末特性を、各熱負荷端末についてそれぞれ取得して記憶する端末特性記憶工程と、
    前記熱供給システムの定常運転時に、各熱負荷端末の稼働状態に基づいて、実際に稼働している熱負荷端末についてのそれぞれの端末特性を合成して得られる合成端末特性を取得する合成端末特性取得工程と、
    取得された合成端末特性と前記ポンプ特性とに基づいて前記熱媒循環ポンプの回転数を制御する回転数制御工程と、
    を備える熱供給システムの運転方法。
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