JP2012144647A - 硬化性水性樹脂組成物、水性コーティング剤および水性接着剤 - Google Patents

硬化性水性樹脂組成物、水性コーティング剤および水性接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な保存安定性を有し、耐水性及び接着性に優れた硬化膜を形成することができる硬化性水性樹脂組成物、並びにそれを用いた水性コーティング剤および水性接着剤を提供すること。
【解決手段】本発明の硬化性水性樹脂組成物は、下記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートと非イオン界面活性剤とを含有するピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液と、水性樹脂とを含むことを特徴とする。R(−NH−CO−Z)・・・(I)[式(I)中、mは2以上の整数を示し、Rはm個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物からm個のイソシアネート基を除いた残基を示し、Zは同一でも異なっていてもよく、イソシアネート基と反応可能な活性水素含有化合物から水素原子を除いた残基を示し、Zのうちの少なくとも2つは、下記一般式(II)で表されるピラゾール基である。]
Figure 2012144647

【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性水性樹脂組成物、水性コーティング剤および水性接着剤に関する。
従来より、各種の接着剤の分野、塗料、印刷インキなどの各種コーティング剤の分野では、有機溶剤系の接着剤やコーティング剤が主として用いられてきた。しかし、近年、大気汚染の問題や作業環境の改善などの理由から、水性樹脂を用いた水性接着剤や水性コーティング剤が求められている。そのため、ポリイソシアネート化合物などの硬化剤についても水性化の検討が行われている。
ところで、イソシアネート基は水と高い反応性を示すため、ポリイソシアネート化合物を水を含む溶媒中で用いた場合、長期の貯蔵が困難であり、ポットライフ(使用可能時間)が短いという問題がある。ポリイソシアネート化合物のポットライフを向上させる方法として、イソシアネート基をブロック剤で封鎖する方法が知られている。例えば、下記特許文献1には、反応性及びポットライフの両立を図る目的でイソシアネート基をピラゾール基でブロックした疎水性ポリイソシアネート化合物が開示されている。また、下記特許文献2〜5には、親水性基が導入された水分散性ブロックポリイソシアネート化合物が開示されている。
欧州特許出願公開第0159117A1号 特開昭51−77695号公報 特開昭55−82119号公報 特開昭61−31422号公報 特表平11−512772号公報
疎水性のブロックポリイソシアネート化合物は、乳化分散が非常に困難であり、水性接着剤や水性コーティング剤に適用しにくいという問題を有している。一方、親水性基が導入された水分散性ブロックポリイソシアネート化合物は、硬化剤の水性化は容易であるが、疎水性のブロックポリイソシアネート化合物に比べて形成される硬化膜の耐水性や接着性が劣るという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な保存安定性を有し、耐水性及び接着性に優れた硬化膜を形成することができる硬化性水性樹脂組成物、並びにそれを用いた水性コーティング剤および水性接着剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、特定の界面活性剤を使用して得られる特定のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートの水分散液が安定した乳化分散を示し、この水分散液と水性樹脂とを併用することにより、ポットライフが長く、優れた耐水性と接着性を有する硬化膜を形成できる硬化性水性樹脂組成物が得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成させた。
本発明は、下記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートと非イオン界面活性剤とを含有するピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液と、水性樹脂と、を含んでなる、硬化性水性樹脂組成物を提供する。
R(−NH−CO−Z) ・・・(I)
[式(I)中、mは2以上の整数を示し、Rはm個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物からm個のイソシアネート基を除いた残基を示し、Zは同一でも異なっていてもよく、イソシアネート基と反応可能な活性水素含有化合物から水素原子を除いた残基を示し、Zのうちの少なくとも2つは、下記一般式(II)で表されるピラゾール基である。
Figure 2012144647


(式(II)中、nは0〜3の整数を示し、nが1以上の場合、Rは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数7〜12のアラルキル基、N−置換カルバミル基、フェニル基、−NO、ハロゲン原子又は−C(O)−O−R(式中Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である)を示す。)]
本発明の硬化性水性樹脂組成物によれば、上記構成を有することにより、十分な保存安定性を有し、耐水性及び接着性に優れた硬化膜を形成することができる。本発明の硬化性水性樹脂組成物によれば、十分なポットライフ(使用可能時間)を有する水性コーティング剤を実現することができ、各種の基材上に耐水性及び接着性に優れたコーティング膜を形成することができる。また、本発明の硬化性水性樹脂組成物によれば、十分なポットライフ(使用可能時間)を有する水性接着剤を実現することができ、水分の影響を受ける環境下であっても各種の被着体を十分な接着力で接着することができる。
上記ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の液状媒体は、水、又は、水と、水に混合した場合に分層する、ケトン類、エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類及び脂肪族炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤とを含む混合物であることが好ましい。
また、保存安定性の観点から、上記ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の液状媒体は、水とエーテル類とを含む混合物であることが好ましい。
更に、保存安定性の観点から、上記非イオン界面活性剤はHLB10以上の非イオン界面活性剤であることが好ましい。
また、硬化膜の耐水性及び接着性をさらに向上させる観点から、上記一般式(I)中のZの全てが上記一般式(II)で表されるピラゾール基であることが好ましい。
本発明の硬化性水性樹脂組成物は、上記ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を含む第1の組成物と、上記水性樹脂を含む第2の組成物との2液型とすることができる。この場合、ポットライフを更に長くすることができる。
本発明はまた、本発明の硬化性水性樹脂組成物を含有してなる水性コーティング剤を提供する。本発明の水性コーティング剤によれば、十分なポットライフを有し、各種の基材上に耐水性及び接着性に優れたコーティング膜を形成することができる。
本発明はまた、本発明の硬化性水性樹脂組成物を含有してなる水性接着剤を提供する。本発明の水性接着剤によれば、十分なポットライフを有し、水分の影響を受ける環境下であっても各種の被着体を十分な接着力で接着することができる。
本発明によれば、十分な保存安定性を有し、耐水性及び接着性に優れた硬化膜を形成することができる硬化性水性樹脂組成物、並びにそれを用いた水性コーティング剤および水性接着剤を提供することができる。
本発明の硬化性水性樹脂組成物は、下記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートと非イオン界面活性剤とを含有するピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液と、水性樹脂とを含むことを特徴とする。
R(−NH−CO−Z) ・・・(I)
[式(I)中、mは2以上の整数を示し、Rはm個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物からm個のイソシアネート基を除いた残基を示し、Zは同一でも異なっていてもよく、イソシアネート基と反応可能な活性水素含有化合物から水素原子を除いた残基を示し、Zのうちの少なくとも2つは、下記一般式(II)で表されるピラゾール基である。
Figure 2012144647


(式(II)中、nは0〜3の整数を示し、nが1以上の場合、Rは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数7〜12のアラルキル基、N−置換カルバミル基、フェニル基、−NO、ハロゲン原子又は−C(O)−O−R(式中Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である)を示す。)]
上記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートは、m個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基と反応可能な活性水素含有化合物とを反応させることにより得ることができる。この場合、上記一般式(I)におけるZのうちの少なくとも2つが上記一般式(II)で表されるピラゾール基となるように、下記一般式(III)で表されるピラゾール化合物を用いてブロックすることができる。
Figure 2012144647


式(III)中、nは0〜3の整数を示し、nが1以上の場合、Rは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数7〜12のアラルキル基、N−置換カルバミル基、フェニル基、−NO、ハロゲン原子又は−C(O)−O−R(式中Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である)を示す。
ここで、Rで表される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基などを挙げることができる。炭素数2〜6のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などを挙げることができる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基などを挙げることができる。本発明においては、ピラゾール化合物の入手しやすさの観点から、nは1以上であることが好ましい。また、同様の観点から、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数7〜9のアラルキル基、フェニル基、−NO2、ブロモ基、−C(O)−O−R(Rは炭素数1〜4のアルキル基)が好ましい。
本発明においては、m個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物1モルに対して、上記一般式(III)で表されるピラゾール化合物を、2モル以上の割合で反応させて得られるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを用いることが好ましく、mが3以上の場合には(0.8×m)モル以上の割合で反応させて得られるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを用いることが好ましい。
m個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、公知のポリイソシアネート化合物が使用可能である。例えば、アルキレン(好ましくは炭素数1〜12)ジイソシアネート、アリールジイソシアネート及びシクロアルキルジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物や、これらのジイソシアネート化合物の二量体もしくは三量体などの変性ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
ジイソシアネート化合物として具体的には、例えば、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネートおよびそれらの混合物、プロピレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンまたはナフチレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)、2,4’−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)、3,4’−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−エチレン−ビス(フェニルイソシアネート)、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルシクロヘキサン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルシクロヘキサン、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−イソシアネート−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、酸−ジイソシアネート二量体、ω,ω’−ジイソシアネートジエチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネートジメチルトルエン、ω,ω’−ジイソシアネートジエチルトルエン、フマル酸ビス(2−イソシアネートエチル)エステル、1,4−ビス(2−イソシアネート−プロプ−2−イル)ベンゼンおよび1,3−ビス(2−イソシアネートプロプ−2−イル)ベンゼンが挙げられる。トリイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)−チオフォスファートが挙げられる。
また、ジイソシアネート化合物から誘導される変性ポリイソシアネート化合物としては、2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビウレット構造、イソシアヌレート構造、ウレタン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造、三量体構造などを有するポリイソシアネート、トリメチロールプロパンの脂肪族イソシアネートのアダクト体などを挙げることができる。また、ポリメリックMDI(MDI=ジフェニルメタンジイソシアネート)もポリイソシアネート化合物として使用することができる。
ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
得られる硬化膜の耐水性、接着性の観点から、アルキレン(好ましくは炭素数1〜12)ジイソシアネート及びそれらから誘導される変性ポリイソシアネート化合物が好ましく、特に好ましいポリイソシアネート化合物として、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビウレット、ウレトジオンまたはイソシアヌレート類が挙げられる。ポリイソシアネート化合物は、市販品を用いることができる。市販のポリイソシアネート化合物としては、例えば、デュラネートTHA−100(旭化成ケミカルズ製)(固形分100%)、デュラネート24A−100(旭化成ケミカルズ製)(固形分100%)などが挙げられる。
m個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の少なくとも2以上をブロックするために使用される、上記一般式(III)で表されるピラゾール化合物としては、例えば、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチル−4−ニトロピラゾール、3,5−ジメチル−4−ブロモピラゾール、ピラゾールなどが挙げられる。
これらのピラゾール化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、得られる硬化膜の耐水性、接着性の観点から、3,5−ジメチルピラゾール及び3−メチルピラゾールが好ましいものとして挙げられる。
上記一般式(I)で表され、mが2であるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートは、全てのイソシアネート基を上記一般式(III)で表されるピラゾール化合物でブロックすることにより得ることができる。また、上記一般式(I)で表され、mが3以上の整数であるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートは、3以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物の少なくも2つのイソシアネート基を上記一般式(III)で表されるピラゾール化合物でブロックすることにより得ることができる。この場合、得られる硬化膜の耐水性、接着性の観点から、すべてのイソシアネート基がピラゾール化合物でブロックされていることが好ましいが、残りのイソシアネート基がピラゾール化合物以外のブロック剤でブロックされていてもよい。
ピラゾール化合物以外のブロック剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類;フェノール、メチルフェノール、クロルフェノール、p−iso−ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−iso−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等のフェノール類;マロン酸ジメチルエステル、マロン酸ジエチルエステル、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等の活性メチレン化合物類;ホルムアルドキシム、アセトアルドキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等のオキシム類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム類;N−メチルアセトアミドやアセトアニリド等のN−置換アミド類;コハク酸イミド、フタルイミド等のイミド化合物;イミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物類などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。ピラゾール化合物以外のブロック剤としては、ブロックのし易さから、メチルエチルケトンオキシムが好ましい。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートは、疎水性であることが好ましいが、水分散性を向上する目的で、エチレンオキサイド基を有するノニオン性親水性基、カルボキシレート基(COO)、スルホネート基(SO )若しくはホスホネート基(PO )を有するアニオン性親水基を含んでいてもよい。ここで、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートが疎水性であるとは、水に自己乳化しないものであることを指す。水に自己乳化する状態とは、ブロックイソシアネートの18質量%水分散液200mlをT.K.HOMODISPER(プライミクス(株)製)にて、室温で2000rpm×10分間処理した場合に、均一の水分散液が得られ、その水分散液をガラス容器に入れ密封し45℃で静置した場合、12時間以上分離や沈降などが無く均一に乳化分散している状態を意味する。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートがエチレンオキサイド基を有するノニオン性親水性基を含んでいる場合、得られる硬化膜の耐水性、接着性に及ぼす影響を小さくする観点から、エチレンオキサイド基の含有割合が3質量%以下であることが好ましく、全く含まない場合が最も好ましい。また、本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートがカルボキシレート基、スルホネート基若しくはホスホネート基を有するアニオン性親水性基を含んでいる場合、得られる硬化膜の耐水性、接着性に及ぼす影響を小さくする観点から、カルボキシレート基、スルホネート基若しくはホスホネート基の含有割合が1質量%以下であることが好ましく、全く含まない場合が最も好ましい。
エチレンオキシ基を有するノニオン性親水性基は、ポリイソシアネート化合物に、ノニオン性親水性化合物を反応させることにより誘導される。
ノニオン性親水性化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、などの(ポリ)エチレングリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのブロック重合体、ランダム共重合体、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとブチレンオキサイドのランダム共重合体やブロック共重合体、などのポリオキシ(炭素数2〜4)アルキレングリコール類;ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールモノブチルエーテル、などのポリオキシ(炭素数2〜4)アルキレングリコール類の片末端が炭素数2〜4のアルコキシ基で封鎖された、ポリオキシ(炭素数2〜4)アルキレン(炭素数2〜4)アルキルエーテル類;JEFFAMINE(Mシリーズ)(HUNTSMAN製)などのポリオキシ(炭素数2〜3)アルキレンモノアミン類;JEFFAMINE(Dシリーズ、EDシリーズ、EDRシリーズ)(HUNTSMAN製)などのポリオキシ(炭素数2〜3)アルキレンジアミン類;などが挙げられる。エチレンオキサイド基は、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート中に、連続して含まれていてもよいし、連続せずに含まれていてもよい。
カルボキシレート基、スルホネート基若しくはホスホネート基を有するアニオン性親水基は、ポリイソシアネート化合物に、アニオン性親水性化合物を反応されることにより誘導される。なお、アニオン性親水性化合物は、ポリイソシアネート化合物との反応前後あるいは反応中のいずれかの時点で中和されていてもかまわない。
アニオン性親水性化合物としては、例えば、脂肪族ヒドロキシカルボン酸類、脂肪族または芳香族アミノカルボン酸類、脂肪族ヒドロキシスルホン酸類、脂肪族または芳香族アミノスルホン酸類などの酸類、脂肪族または芳香族アミノホスホン酸類が挙げられる。
脂肪族ヒドロキシカルボン酸類としては、例えば、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、8−ヒドロキシカプリル酸、10−ヒドロキシデカン酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリセリン酸、メバロン酸、パントイン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールカプロン酸などが挙げられる。
脂肪族または芳香族アミノカルボン酸類としては、例えば、グリシン、N−メチルグリシン、2−アミノプロパン酸、3−アミノプロパン酸、4−アミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、8−アミノカプリル酸、オルニチン、リジン、4−アミノ安息香酸などが挙げられる。
脂肪族ヒドロキシスルホン酸類としては、例えば、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、4−ヒドロキシブタンスルホン酸などが挙げられる。
脂肪族または芳香族アミノスルホン酸類としては、例えば、タウリン、N−メチルタウリン、N−ブチルタウリン、スルファニル酸、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタンスルホン酸、2,4−ジアミノスルホン酸などが挙げられる。
脂肪族または芳香族アミノホスホン酸類としては、例えば、アミノメチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、アミノプロピルホスホン酸、アミノフェニルホスホン酸などが挙げられる。
上記のアニオン性親水性化合物は、分子量が500以下であることが好ましい。また、アニオン性親水性化合物の中和に用いる化合物には特に制限はなく、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどを用いることができる。
上記の非イオン性親水性化合物やアニオン性親水性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式(III)で表されるピラゾール化合物でブロックされた以外のイソシアネート基は、2個以上の活性水素を有する低分子量化合物である公知の低分子量鎖伸長剤と反応させてもよい。
2個以上の活性水素原子を有する低分子量鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール(1,3−ブタンジオール)、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジエタノール、水素化ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの低分子量多価アルコール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヒドラジンなどの低分子量ポリアミンを挙げることができる。N−メチルエタノールアミン、N−メチルイソプロパノールアミンのような異なる官能基を持つ化合物も使用できる。このような2個以上の活性水素原子を有する低分子量鎖伸長剤は、分子量が400以下であるものが好ましく、300以下であるものがより好ましい。
上記の低分子量鎖伸長剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
低分子量鎖伸長剤を用いる場合、低分子量鎖伸長剤によって導入される基の含有割合が、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートの5質量%以下であることが好ましい。この割合が5質量%を超えると、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の分散状態が悪くなる傾向にある。なお、低分子量鎖伸長剤がエチレンオキサイド基を含む場合、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートにおけるエチレンオキサイド基の含有量が3質量%以下となることが好ましいが、全く含まないことが最も好ましい。
上記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートは、例えば、上記のポリイソシアネート化合物と、活性水素含有化合物として上記一般式(III)で表されるピラゾール化合物と、必要に応じて、上記その他のブロック剤や低分子量鎖伸長剤とを所定の割合で、20〜150℃で数分〜数日間反応させることにより得られる。
ポリイソシアネート化合物と活性水素含有化合物との反応は、従来公知のワンショット法(1段法)又は多段法にて行うことができる。この場合、反応を促進させる公知の各種触媒類を用いることができる。このような触媒類としては、有機錫化合物、有機亜鉛化合物、有機アミン化合物等が挙げられる。
また、反応のいずれかの段階で、イソシアネート基と反応しない有機溶剤を添加してもよい。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートは、遊離イソシアネート基を含まないことが好ましい。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液には、上記一般式(I)で表わされるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを1種又は2種以上含有させることができる。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液は、上記式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを、非イオン界面活性剤によって、水が含まれる液状媒体中で乳化分散することにより得ることができる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、アミン類、アミド類、脂肪酸類、多価アルコール脂肪酸エステル類、油脂類、及びポリプロピレングリコールのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アルコール類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のアルコール又はアルケノールなどが挙げられ、例えば、オクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エルシルアルコール、エライジルアルコール、パルミトレイルアルコールなどが挙げられる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゼン)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、フロログルシノール(1,3,5−トリヒドロキシベンゼン)、テトラヒドロキシベンゼンなどの単環フェノール類;2−クミルフェノール、3−クミルフェノール、4−クミルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどの多環フェノール類;若しくはそれらのスチレン類(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン)付加物またはベンジルクロライド反応物などの多環フェノール類が挙げられる。
アミン類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜44の脂肪族アミンなどが挙げられ、例えば、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ヤシアルキルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、イソステアリルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、エルシルアミン、エライジルアミン、パルミトレイルアミン、ジヤシアルキルアミン、ジステアリルアミンなどが挙げられる。
アミド類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜44の脂肪酸アミドなどが挙げられ、例えば、カプリル酸アミド、カプロン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、イソステアリン酸アミドなどが挙げられる。
脂肪酸類としては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24の脂肪酸などが挙げられ、例えば、カプリル酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル類としては、多価アルコールと直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24の脂肪酸との縮合反応物が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及び砂糖などが挙げられる。
油脂類としては、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、ヤシ油、トール油などの植物性油脂;牛脂、豚脂、サメ肝油、マッコウ鯨油などの動物性油脂;カルナバロウ、キャンデリラロウなどの植物性ロウ;ミツロウ、ラノリンなどの動物性ロウ;モンタンロウなどの鉱物ロウ;牛脂硬化油、ヒマシ硬化油などの硬化油などが挙げられる。
上記の化合物の中でも、水分散液の分散性と安定性の観点から、多環フェノール類が好ましく、フェノール、4−クミルフェノール、4−フェニルフェノール、または2−ナフトールの、(3〜8モル)スチレン付加物、(3〜8モル)α−メチルスチレン付加物、または(3〜8モル)ベンジルクロライド反応物がより好ましい。
スチレン付加物は、例えば、フェノール類にスチレン類を120〜150℃で1〜10時間反応させることにより得ることができる。フェノール類とスチレン類とのモル比は1:1〜10で、好ましくは1:3〜8である。
非イオン界面活性剤のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン等が挙げられる。水分散物の分散性と安定性の観点から、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイドがより好ましい。
アルキレンオキサイドの付加方法としては、エチレンオキサイドを単独で付加する方法、エチレンオキサイド付加後にプロピレンオキサイドを付加する方法又はプロピレンオキサイド付加後にエチレンオキサイドを付加する方法などのブロック付加方法、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの混合物を付加するランダム付加方法などが挙げられる。好ましくは、エチレンオキサイドを単独で付加する方法である。
非イオン界面活性剤は、例えば、上記のアルコール類、フェノール類、アミン類、アミド類、脂肪酸類、多価アルコール脂肪酸エステル類、油脂類、及びポリプロピレングリコールの1モルに、エチレンオキサイド3〜200モルを130〜170℃で付加させることにより得ることができる。
アルキレンオキサイドの付加モル数は3〜200が好ましく、より好ましくは10〜100であり、更により好ましくは10〜50である。アルキレンオキサイドの付加モル数が3モルより少ないと、ピラゾールブロック疎水性イソシアネート水分散液の乳化安定性が悪くなる傾向にあり、200モルを超えると得られる硬化膜の耐水性、接着性が悪くなる傾向にある。
より良好な水分散液を得る観点から、非イオン界面活性剤は、HLBが10以上であることが好ましい。この場合、HLBが10以上の1種類の非イオン界面活性剤を使用してよく、2種以上の活性剤を組み合わせてHLBが10以上となってもよい。非イオン界面活性剤のHLBが13以上であることがより好ましく、HLBが15以上であると更により好ましい。ここでHLBとは、グリフィンのHLBによるものであり、親水基とはエチレンオキサイド基を指す。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液には、非イオン界面活性剤を1種又は2種以上含有させることができる。
本発明においては、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の安定性を向上させる目的で、アニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤を併用することができる。
併用することができるアニオン界面活性剤としては特に制限はなく、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のアルコール又はアルケノールのアニオン化物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24のアルコール又はアルケノールのアルキレンオキサイド付加物のアニオン化物、多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物のアニオン化物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜44の脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物のアニオン化物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜44の脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物のアニオン化物、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数8〜24の脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物のアニオン化物などが挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
併用することができるカチオン界面活性剤としては特に制限はなく、炭素数8〜24のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、炭素数8〜24のジアルキルジメチルアンモニウム塩、炭素数8〜24のモノアルキルアミン酢酸塩、炭素数8〜24のジアルキルアミン酢酸塩、炭素数8〜24のアルキルイミダゾリン4級塩、などが挙げられる。これらのカチオン界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
非イオン界面活性剤(A)とアニオン界面活性剤(B)の配合比率(質量基準)は、(A):(B)=50:50〜100:0の範囲であり、好ましくは90:10〜100:0である。アニオン界面活性剤の配合量が非イオン界面活性剤50質量部に対して50質量部を超えると、硬化膜の耐水性、接着性が低下する傾向にある。
非イオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(C)の配合比率(質量基準)は、(A):(C)=50:50〜100:0の範囲であり、好ましくは90:10〜100:0である。カチオン界面活性剤の配合量が非イオン界面活性剤50質量部に対して50質量部を超えると、硬化膜の耐水性、接着性が低下する傾向にある。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートと非イオン界面活性剤との配合比率(質量基準)は、100:50〜100:1の範囲が好ましく、100:20〜100:1の範囲がより好ましい。非イオン界面活性剤の配合量がピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート100質量部に対して50質量部を超えると、硬化膜の耐水性、接着性が低下する傾向にあり、1質量部未満であると、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の安定性が低下する傾向にあり、2液型としたときの硬化性水性樹脂組成物の安定性が低下する傾向にある。
水以外の液状媒体としては、水との混合時に分層する、ケトン類、エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類の群から選ばれる少なくとも1種の有機溶剤が挙げられる。これらは、水への溶解度が低く、密度が低いものが好ましく、例えば、密度が1.00g/cm(20℃)以下で、水への溶解度が35g/100ml(20℃)以下のものが好ましい。
このような有機溶剤として、メチルイソブチルケトン(密度0.801g/cm3(20℃)、溶解度1.91g/100ml(20℃))などのケトン類;酢酸エチル(密度0.897g/cm3、溶解度8.3g/100ml(20℃))、酢酸ブチル(密度0.88g/cm3、溶解度0.83g/100ml(20℃))、ブチルグリコールアセテート(密度0.94g/cm3、溶解度1.1g/100ml(20℃))などのエステル類;エチルエーテル(密度0.713g/cm3、溶解度6.9g/100ml(20℃))、ジブチルジグリコール(ジエチレングリコールジブチルエーテル)(密度0.884g/cm3、溶解度0.3g/100ml(20℃))、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(密度0.923g/cm3、溶解度0.3g/100ml(20℃))、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(密度0.889g/cm3、溶解度0.99g/100ml(20℃))、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(密度0.935g/cm3、溶解度1.7g/100ml(20℃))、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(密度0.883g/cm3、溶解度0.2g/100ml(20℃))、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(密度0.923g/cm3、溶解度4.8g/100ml(20℃))、プロピレングリコールモノブチルエーテル(密度0.880g/cm3、溶解度6.4g/100ml(20℃))、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(密度0.917g/cm3、溶解度3.0g/100ml(20℃))などのエーテル類;トルエン(密度0.867g/cm3、溶解度0.47g/l(20℃))、o−キシレン(密度0.88g/cm3、水不溶)、m−キシレン(密度0.86g/cm3、水不溶)、p−キシレン(密度0.86g/cm3、水不溶)、メシチレン(密度0.86g/cm3、水不溶)などの芳香族炭化水素類;シクロヘキサン(密度0.8g/cm3、水ほとんど不溶)、シクロオクタン(密度0.834g/cm3、溶解度7.90mg/l)などの炭素数6〜12の環状を含む炭化水素類;流動パラフィン類、などが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の有機溶剤を併用することで、分散時には微粒子化効果が向上する。また、有機溶剤を併用することで粘度を低減し、小さな剪断力で分散することが可能となる。低粘度であれば、各種の乳化分散機を使用することも可能となる。更に、上記のように密度が小さい有機溶剤は、エマルジョンの沈降を防ぐことができ、水と併用することで水分散液の安定性を向上させる効果を奏することができる。水との混合時に分層しない有機溶剤、あるいは水との混合時に分層が少ない有機溶剤を使用した場合は、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物を乳化分散する効果が少なくなる傾向にある。
本発明においては、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物の保存安定性、2液型としたときの硬化性水性樹脂組成物の保存安定性の観点から、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の液状媒体が、水とエーテル類とを含む混合物であることが好ましい。特に、エーテル類として、ジブチルジグリコール、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルを用いた場合には、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物の保存安定性、2液型としたときの硬化性水性樹脂組成物の保存安定性の効果が向上する。
有機溶剤の使用量は、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物と有機溶剤の配合比率(質量基準)が100:20〜300であることが好ましい。より好ましくは100:50〜200である。有機溶剤の使用量がピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート100質量部に対して20質量部未満であると、良好な水分散物が得られない傾向にあり、300質量部を超えると、界面活性剤を多く使用する必要があり、性能的、経済的に不利となる。
水の使用量は、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物と水の配合比率(質量基準)が100:30〜1000であることが好ましい。より好ましくは100:50〜700である。水の使用量がピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート100質量部に対して30質量部未満であると、高粘度となり水への展開性が悪くなる傾向があり、1000質量部を超えると、良好な水分散物が得られない傾向にある。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液は、例えば、次のようにして製造することができる。
上記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを、上記の有機溶剤(例えば、トルエン、メチルイソブチルケトン、ブチルグリコールアセテート、ジブチルジグリコール、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルなど)に溶解し、さらに上記の非イオン界面活性剤(例えばトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド30モル付加物)を溶解し、そこに撹拌しながら徐々に水を添加していくことで水分散液を得ることができる。
得られた水分散液は、ホモミキサー(プライミクス(株)製)、ホモジナイザー(NIRO SOAVI 社製)または(APV GAULIN製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、アルチマイザー(株式会社スギノマシン製)、スターバースト(株式会社スギノマシン製)などの高圧乳化機で粒子を均一化することもできる。
有機溶剤は、水分散液の作製途中あるいは作製後に減圧で留去しても構わないし、そのまま残しても構わない。
得られる水分散液における粒子の平均粒径は1μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.5μm以下である。粒径が1μmを超えると、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の安定性が低下する傾向にある。平均粒径は、レーザ回折式/散乱式 粒度分布測定装置LA−920(株式会社 堀場製作所製)にて測定され、百分率積算値が50%の粒径(メジアン粒径)を平均粒径(μm)とする。
本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液は、乳化分散状態にあることが好ましい。ここで、乳化分散状態とは、後述する調製例中の割合で配合した20質量%水分散液200mlをT.K.HOMODISPER(プライミクス(株)製)にて、室温で2000rpm×10分間処理した場合に、均一の水分散液が得られ、その水分散液をガラス容器に入れ密封し45℃で静置した場合、12時間以上分離や沈降などが無く均一に乳化分散している状態を意味する。この乳化分散状態が得られるように、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート、非イオン界面活性剤、及び水分散液の液状媒体の組み合わせを適宜選択することが好ましい。
本発明で用いる水性樹脂としては、水溶液タイプや乳化分散物のような水分散液タイプなどの形態のものが使用できる。ここで水性樹脂の水性とは、35質量%の水性樹脂水溶液あるいは水分散液を、ガラス容器に入れ密封し20℃で静置した場合、12時間以上分離や沈降などが無く溶解あるいは乳化分散している状態を意味する。
水性樹脂としては、例えば、エチレンオキシ基、ヒドロキシ基、4級アンモニウム基、アミノ基、イミノ基、カルボキシレート基(COO)、スルホネート基(SO )、ホスホネート基(PO )、ナイトレート基(NO )などの親水性基が、樹脂の主鎖及び/又は側鎖に結合及び/又は組み込まれているものを挙げることができる。
また、本発明で用いる水性樹脂としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有していても、有していなくてもよいが、硬化性、耐水性、接着性などの観点から、イソシアネート基と反応し得る活性水素含有基(ヒドロキシ基やアミノ基など)を有しているほうがより好ましい。
水性樹脂としては、例えば、酢酸ビニル系樹脂、スチレンーブタジエン系樹脂、スチレンーアクリロニトリル系樹脂、アクリル系樹脂、フルオロオレフィン系樹脂、シリコン変性ビニル系重合体、ポリビニルアルコールなどのビニル系重合体;ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコン系樹脂などのビニル系重合体以外の合成樹脂類;動物性たんぱく質、でんぷん、セルロース誘導体、デキストリン、アラビアゴムなどの天然高分子が挙げられる。これらの水性樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの水性樹脂の中でも、得られる硬化膜の耐水性、接着性の観点から、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂がより好ましい。
本発明の硬化性水性樹脂組成物における、本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液と、水性樹脂との配合割合は、水性樹脂成分100質量部に対して、上記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートが1〜100質量部となるよう設定されることが好ましい。ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートの割合が、水性樹脂成分100質量部に対して1質量部未満であると、十分な耐水性、接着性を発現させることが困難になるおそれがある。ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートの割合が、水性樹脂成分100質量部に対して100質量部を超えると、使用量に見合う効果は得られず、経済的に不利となるおそれがある。
本発明の硬化性水性樹脂組成物は、顔料を含まないクリヤーな組成物として使用してもよく、或いは、有機系あるいは無機系の各種の顔料を配合して着色組成物として使用してもよい。
また、本発明の硬化性水性樹脂組成物には、必要に応じて、充填剤、レベリング剤、粘度調整剤、消泡剤、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、顔料分散剤、樹脂、抗菌剤、抗かび剤、溶剤、流動添加剤、イソシアネート基の反応を促進する触媒類、イソシアネート以外の架橋剤(例えば、エポキシ系、シラン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、メラミン系、グリオキザール系などの架橋剤)などを本発明の効果が阻害されない程度に配合されていてもよい。
本発明の硬化性水性樹脂組成物の形態は、本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液と、水性樹脂とが一液となっているものでもよく、例えば、本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液が含まれるA液及び水性樹脂が含まれるB液に分けられている2液型であってもよい。
本発明の硬化性水性樹脂組成物が2液型である場合、水性樹脂が含まれるB液は、水性樹脂が水を含む溶媒に溶解又は乳化分散している状態が好ましい。
本発明の硬化性水性樹脂組成物は、塗料や印刷インキなどのコーティング剤、接着剤、防水剤、シーリング剤などの用途に用いることができる。特に、水性コーティング剤、水性接着剤として用いるのが好ましい。本発明の硬化性水性樹脂組成物は、水性コーティング剤として用いた場合、耐水性に優れる硬化膜を形成することができ、水性接着剤として用いた場合、接着強度が強い優れた性能を示すことができる。
本発明の硬化性水性樹脂組成物をコーティング剤として用いる場合、当該コーティング剤は前述の低分子量鎖伸長剤を更に含んでいてもよい。この場合、低分子量鎖伸長剤の使用量は、得られる硬化膜の性能を考慮して適宜調整すればよいが、上記一般式(1)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートの質量を基準として5質量%以下となることが好ましい。ただし、低分子量鎖伸長剤がその分子中にエチレンオキシ基を含む場合は、エチレンオキシ基が、上記ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートの3質量%以下となるように使用されることが好ましく、全く含まない場合が最も好ましい。
本発明の水性コーティング剤は、本発明の硬化性水性樹脂組成物を含んでなる。本発明の水性コーティング剤によれば、各種基材上に塗工し、硬化させることにより、外観、耐水性に優れる硬化コーティング膜を形成することができる。
本発明の水性コーティング剤の塗工方法としては、例えば、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、フロー・コーター塗装、電着塗装などが挙げられる。
本発明の水性コーティング剤を硬化させる方法としては、例えば、熱風乾燥機、恒温槽、赤外線乾燥機、高周波乾燥機などを用いて、約50〜300℃で約5秒〜2時間加熱することが挙げられる。
硬化コーティング膜が形成される基材としては、例えば、各種金属基材、無機質基材、プラスティック基材、紙、木質系基材、皮革、毛皮などが挙げられる。
金属基材の代表的なものとしては、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロム、亜鉛、錫、銅、鉛などの金属;ステンレススチール、真鍮などの各種金属の合金;各種金属あるいは合金で、メッキや化成処理などが施された各種表面処理金属が挙げられる。
無機質基材としては、珪酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウムなどのカルシウム化合物から製造される硬化体;アルミナ、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物を焼結して得られるセラミック;各種の粘土鉱物を焼成して得られるタイル類;各種のガラスなどが挙げられる。カルシウム化合物から製造される硬化体の具体例としては、コンクリートやモルタルなどのセメント組成物の硬化物、石綿ストレート、軽量気泡コンクリート(ALC)硬化体、ドロマイトプラスター硬化体、石膏プラスター硬化体、けい酸カルシウム板などが挙げられる。
プラスティック基材としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑樹脂の成形品;不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリウレタン、架橋型アクリル樹脂、架橋型飽和ポリエステル樹脂などの各種の熱硬化性樹脂の成形品などが挙げられる。
本発明の水性接着剤は、本発明の硬化性水性樹脂組成物を含んでなる。本発明の水性接着剤によれば、被着体の少なくとも一方に塗布し、硬化させることにより、優れた接着強度で被着体同士を接着させることができる。
本発明の水性接着剤の塗布方法としては、例えば、ヘラ、刷毛、スプレー、ローラーなどによる塗布が挙げられる。
本発明の水性接着剤を硬化させる方法としては、例えば、熱風乾燥機、恒温槽、赤外線乾燥機、高周波乾燥機などを用いて、約50〜300℃で約5秒〜2時間加熱することが挙げられる。このような熱処理によって、ピラゾールブロックイソシアネート基が高活性な−N=C=O基に転化し、その高反応性によって硬化膜の耐水性、接着性が高められる。また、必要に応じて、被着体を加圧してもよい。
被着体としては、上記の硬化コーティング膜が形成される基材と同様のものが挙げられる。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
<原料イソシアネートの準備>
デュラネートTHA−100:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートタイプ、NCO官能基数3、旭化成ケミカルズ製、商品名、含有量100%。
デュラネート24A−100:ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットタイプ、NCO官能基数3、旭化成ケミカルズ製、商品名、含有量100%。
<有機溶剤の準備>
ブロックポリイソシアネートの水分散液を調製するための有機溶剤として、以下の溶剤を準備した。
(疎水性有機溶剤)
ジブチルジグリコール(ジエチレングリコールジブチルエーテル)(密度0.884g/cm、水への溶解度0.3g/100ml(20℃))。
(親水性有機溶剤)
トリプロピレングリコール(密度1.02g/cm、水に任意に溶解(20℃))。
メチルエチルケトン(密度0.805g/cm、溶解度29g/100ml(20℃))。
ブチルグリコール(密度0.9019g/cm、水に任意に溶解(20℃))。
n−メチルピロリドン(密度1.028g/cm、水に任意に溶解(20℃))。
<ブロックポリイソシアネートの合成>
(合成例1:ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトンを5質量部添加し、60〜70℃まで加熱した。次いで、3,5−ジメチルピラゾール144質量部をゆっくりと仕込み、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物を98.8質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(合成例2:ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネート24A−100を239質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いで、3,5−ジメチルピラゾール144質量部をゆっくりと仕込み、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物を98.7質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(合成例3:メチルエチルケトオキシム含有ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いで、メチルエチルケトオキシム43.5質量部を滴下し、さらに3,5−ジメチルピラゾール96質量部を滴下し、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物を98.7質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(合成例4:エチレンオキシ基3質量%含有ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いで、3,5−ジメチルピラゾール109.6質量部を滴下し1時間撹拌した。さらにエチレングリコール11.1質量部を滴下し60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物を98.7質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(合成例5:カルボキシレート基(COO)1質量%含有ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いで、3,5−ジメチルピラゾール127.2質量部を滴下し1時間撹拌した。さらにジメチロールプロピオン酸11.7質量部を滴下し、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させた。その後、2−(ジメチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール10.2質量部にて中和することにより、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート化合物を98.8質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(比較合成例1:メチルエチルケトオキシムブロックポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いで、メチルエチルケトオキシム130.5質量部をゆっくりと仕込み、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、メチルエチルケトオキシムブロックポリイソシアネート化合物を98.7質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(比較合成例2:エチレンオキシ基5質量%含有ピラゾールブロックポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いでポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数平均12)22質量部をゆっくりと仕込み、1時間反応させた。次いで、3,5−ジメチルピラゾール140.2質量部をゆっくりと仕込み、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、ピラゾールブロック親水性ポリイソシアネート化合物を98.8質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(比較合成例3:カルボキシレート基(COO)1.5質量%含有ピラゾールブロックポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いで3,5−ジメチルピラゾール117.5質量部を滴下し1時間撹拌した。さらにジメチロールプロピオン酸18.5質量部を滴下し、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させた。その後、2−(ジメチルアミノ)−2−メチル−1−プロパノール16.2質量部にて中和することにより、ピラゾールブロック親水性ポリイソシアネート化合物を98.8質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(比較合成例4:エチレンオキシ基3質量%含有ε−カプロラクタムブロックポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いでポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキサイド付加モル数平均12)13.8質量部を滴下し1時間撹拌した。さらにε−カプロラクタム166.7質量部を滴下し、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させることにより、親水性ブロックポリイソシアネート化合物を98.9質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
(比較合成例5:カルボキシレート基(COO)0.8質量%含有ε−カプロラクタムブロックポリイソシアネート)
反応容器に、デュラネートTHA−100を252質量部、及びメチルイソブチルケトン5質量部を添加し、60〜70℃まで加熱した。次いでジメチロールプロピオン酸3.4質量部を滴下し1時間撹拌した。さらにε−カプロラクタム163.8質量部を滴下し、60〜70℃で赤外分光光度計にて確認されるイソシアネート含量がゼロになるまで反応させた。その後、ジメチルアミノエタノール2.3質量部にて中和することにより、親水性ブロックポリイソシアネート化合物を98.8質量%含む無色透明粘稠液状組成物を得た。
<界面活性剤の合成>
(合成例6:ステアリルアルコール5モルエチレンオキサイド付加物(HLB=9.0)、以下「St5E」と略す)
ステアリルアルコール270質量部(1モル)と苛性ソーダ3.0質量部をオートクレーブに仕込み、加熱昇温して約130℃にした後、エチレンオキサイド220質量部(5モル)を加えて、温度155〜165℃、圧力0.39MPa以下にて反応させた。アルキレンオキサイド付加反応終了後冷却し、氷酢酸にてpH7に中和して淡黄色固体の非イオン界面活性剤を得た。
(合成例7:ステアリルアルコール10モルエチレンオキサイド付加物(HLB=12.4)、以下「St10E」と略す)
エチレンオキサイドの付加モル数を10モルにした以外は、合成例6と同様に合成を行い、淡黄色固体の非イオン界面活性剤を得た。
(合成例8:ステアリルアルコール28モルエチレンオキサイド付加物(HLB=16.4)、以下「St28E」と略す)
エチレンオキサイドの付加モル数を28モルにした以外は、合成例6と同様に合成を行い、淡黄色固体の非イオン界面活性剤を得た。
(合成例9:3スチレン化フェノール30モルエチレンオキサイド付加物(HLB=15.3)、以下「T30E」と略す)
フェノール47質量部(0.5モル)と硫酸0.1質量部を反応容器に仕込み撹拌後、フェノール47質量部(0.5モル)を仕込み、窒素ガス気流下にて加熱昇温して約80℃とした。更に加熱昇温して105〜135℃でスチレンモノマー312質量部(3モル)を滴下し、125〜135℃で約3時間付加反応させ、その後冷却して褐色透明粘液状のトリスチレン化フェノールを得た。
得られたトリスチレン化フェノール406質量部(1モル)と苛性ソーダ3.5質量部をオートクレーブに仕込み、加熱昇温して約130℃にした後、エチレンオキサイド1320質量部(30モル)を温度155〜165℃、圧力0.39MPa以下にて反応させた。アルキレンオキサイド付加反応終了後冷却し、氷酢酸にてpH7に中和して淡黄色固体の非イオン界面活性剤を得た。
<水性樹脂成分の合成>
(合成例10:ポリウレタン樹脂の水分散物)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコに、ポリブチレンアジペートジオール(平均分子量3000)120.0g、1,6−ヘキサンジオール5.9g、2,2−ジメチロールプロピオン酸6.7g、ジブチル錫ジラウレート0.001g、およびメチルエチルケトン60gを加え、均一に混合した後、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート33.6gを加え、80℃で2時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量が2.2質量%であるプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン5.0gを加えて中和した後、水330gを徐々に加えて乳化分散させた。この乳化分散液にエチレンジアミンの20質量%水溶液18.0gを添加して2時間撹拌したのち、減圧下60℃まで昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35質量%のポリウレタン樹脂の水分散物を得た。
(合成例11:ヒドロキシル基含有ポリウレタン樹脂の水分散物)
攪拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を付した四つ口フラスコに、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)(平均分子量1000)50.0g、ポリエチレングリコール(平均分子量1000)10.0g、2,2−ジメチロールプロピオン酸6.7g、1,4−ブタンジオール2.7g、ジブチル錫ジラウレート0.001g、およびメチルエチルケトン60gを加え、均一に混合した後、イソホロンジイソシアネート44.6gを加え、80℃で2時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.9重量%のプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン5.1gを加えて中和した後、水230gを徐々に加えて乳化分散させた。この乳化分散液にエチレンジアミンの20質量%水溶液6.0gを添加して0.5時間撹拌し、さらにジエタノールアミン8.4gを添加して2時間撹拌した。減圧下60℃まで昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35質量%のヒドロキシル基含有ポリウレタン樹脂の水分散物を得た。
<ブロックポリイソシアネートの水分散液の調製>
(調製例1)
ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートとして合成例1で得られた組成物を180質量部、有機溶剤としてジブチルジグリコールを140質量部、非イオン界面活性剤として合成例8で得られたSt28Eを20質量部混合し、均一化した。撹拌しながら徐々に水を仕込んだ後、30MPaにてホモジナイザー処理を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.34μmであった。
(調製例2)
非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.33μmであった。
(調製例3)
非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例7で得られたSt10Eに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は1.07μmであった。
(調製例4)
非イオン界面活性剤としてSt10Eを15質量部、カチオン界面活性剤としてアーカードT−28(ライオン(株)製、有効成分28%、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)を18部質量使用した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は1.02μmであった。
(調製例5)
ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを合成例1で得られた組成物から合成例2で得られた組成物に変更し、非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.32μmであった。
(調製例6)
ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを合成例1で得られた組成物から合成例3で得られた組成物に変更し、非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.31μmであった。
(調製例7)
ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを合成例1で得られた組成物から合成例4で得られた組成物に変更し、非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.31μmであった。
(調製例8)
ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを合成例1で得られた組成物から合成例5で得られた組成物に変更し、非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.30μmであった。
(調製例9)
非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例6で得られたSt5Eに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は1.30μmであった。
(調製例10)
有機溶剤をジブチルジグリコールからトリプロピレングリコールに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は1.33μmであった。
(調製例11)
非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更し、有機溶剤をジブチルジグリコールからメチルエチルケトンに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は、1.10μmであった。
(調製例12)
ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを合成例1で得られた組成物から合成例4で得られた組成物に変更し、非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更し、有機溶剤をジブチルジグリコールからメチルエチルケトンに変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は、1.24μmであった。
(比較調製例1)
ブロックポリイソシアネートを合成例1で得られた組成物から比較合成例1で得られた組成物に変更し、非イオン界面活性剤を合成例8で得られたSt28Eから合成例9で得られたT30Eに変更し、有機溶剤をブチルグリコールアセテート140質量部からメチルエチルケトン20質量部に変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分20質量%のメチルエチルケトオキシムブロックポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.31μmであった。
(比較調製例2)
ブロックポリイソシアネートを合成例1で得られた組成物から比較合成例2で得られた組成物に変更し、界面活性剤を合成例8で得られたSt28EからDisponil SUS 87(コグニス(株)製)15質量部に変更し、有機溶剤をブチルグリコールアセテート140質量部からブチルグリコール25質量部に変更した以外は調製例1と同じ操作を行い、不揮発分18.5質量%のピラゾールブロック親水性ポリイソシアネート水分散液を得た。平均粒径は0.33μmであった。
(比較調製例3)
比較合成例3で得られたピラゾールブロック親水性ポリイソシアネート組成物(180質量部)に、N−メチルピロリドン25質量部を加え撹拌均一とし、撹拌しながら撹拌しながら徐々に水を仕込んだ後、30MPaにてホモジナイザー処理を行い、不揮発分18質量%のピラゾールブロック親水性ポリイソシアネート水分散液を得た。平均粒径は0.32μmであった。
(比較調製例4)
比較合成例4で得られたε−カプロラクタムブロック親水性ポリイソシアネート組成物(180質量部)に、撹拌しながら徐々に水を仕込んだ後、30MPaにてホモジナイザー処理を行い、不揮発分18質量%のε−カプロラクタムブロック親水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.35μmであった。
(比較調製例5)
比較合成例5で得られたε−カプロラクタムブロック親水性ポリイソシアネート組成物(180質量部)に、撹拌しながら徐々に水を仕込んだ後、30MPaにてホモジナイザー処理を行い、不揮発分18質量%のε−カプロラクタムブロック親水性ポリイソシアネート水分散液を得た。この水分散液中の粒子の平均粒径は0.38μmであった。
(比較調製例6)
バイビジュール3100(住化バイエルウレタン(株)製、含有量100%、親水性脂肪族ポリイソシアネート)(180質量部)に撹拌しながら徐々に水を仕込み、不揮発分18質量%のポリイソシアネート水分散液を得た。
<機能性材料の製造>
(実施例1)
水性樹脂成分として合成例10で得られたポリウレタン樹脂水分散液100質量部、及び、ブロックイソシアネート成分として調製例1で得られたピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液7質量部を2液型の硬化性水性樹脂組成物として用意した。これらを混合した混合液を、鉄板に乾燥後の重量が3g/mとなるようにスプレーコーティングし、80℃×1分乾燥した。その後、熱風乾燥機で、130℃×30分の焼き付けを行い、コーティング膜(硬化膜)を備えた機能性材料を得た。この材料について下記の接着性及び耐水性の評価を行った。得られた結果は表中の「0時間」に示す。
また、上記で用意した2液型の硬化性水性組成物を45℃で5時間放置した後、上記と同様の処理を行ってコーティング膜(硬化膜)を備えた機能性材料を得た。この材料について下記の接着性及び耐水性の評価を行った。得られた結果は表中の「5時間」に示す。
[接着性の評価]
コーティング膜(硬化膜)に粘着セロハンテープを貼り付け、角度60度で急速に剥がした。このときのコーティング膜の外観を観察し、以下の判定基準で評価した。
AA:コーティング膜の90%以上が鉄板側に残った。
A:コーティング膜の80%以上が鉄板側に残った。
B:コーティング膜の50%以上80%未満が鉄板側に残った。
C:鉄板側に残ったコーティング膜が50%未満であった。
なお、AとBの中間位の評価として、A寄りの評価を「AB」、B寄りの評価を「BA」として表記した。BとCの中間位の評価についても同様の表記とした。
[耐水性の評価]
コーティング膜(硬化膜)が形成された機能性材料を、イオン交換水中に25℃で48時間浸漬した。その後、コーティング膜の外観を目視で観察し、白化と膨れについて下記の判定基準で評価した。
A:コーティング膜に変化が見られない。
B:コーティング膜にごくわずかな白化或いはごくわずかな膨れの発生が見られる。
C:コーティング膜にかなりの白化或いはかなりの膨れの発生が見られる。
D:コーティング膜に著しい白化或いは著しい膨れの発生が見られる。
なお、AとBの中間位の評価として、A寄りの評価を「AB」、B寄りの評価を「BA」として表記した。BとCの中間位及びCとDの中間位の評価についても同様の表記とした。
また、用意した2液型の硬化性水性樹脂組成物について、ブロックイソシアネート水分散液の安定性及び2液を混合した混合物の保存安定性を下記の方法により評価した。
[ブロックイソシアネート水分散液の安定性(安定性1)]
ブロックイソシアネート水分散液を45℃で静置し、分離が認められた週数又は日数より安定性を評価した。
[混合物の保存安定性(安定性2)]
混合物を調製した直後の外観と45℃で12時間静置したときの外観を目視で観察し、下記の判定基準で保存安定性を評価した。この試験によって、2液型の硬化性水性樹脂組成物の使いやすさ(ポットライフ(使用可能時間)など)と、硬化性水性樹脂組成物を1液型としたときの保存安定性についても評価することができる。
A:全く変化が見られない。
B:分離がわずかに見られた。
C:分離が多く発生した。
なお、表中の略語は以下の意味を表す。
DMP:3,5−ジメチルピラゾール、()内はモル数を示す。
MEKO:メチルエチルケトオキシム、()内はモル数を示す。
カプロラクタム:ε−カプロラクタム、()内はモル数を示す。
T−28:アーカードT−28(ライオン(株)製、有効成分28%、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)。
EO:エチレンオキシ基、()内はブロックイソシアネート化合物中のEO含有量(質量%)を示す。
カルボキシレート:カルボキシレート基、()内はブロックイソシアネート化合物中のカルボキシレート基含有量(質量%)を示す。
BGAc:ブチルグリコールアセテート。
DBDG:ジブチルジグリコール。
TPG:トリプロピレングリコール。
MEK:メチルエチルケトン。
アニオン活性剤:Disponil SUS 87(コグニス(株)製)。
バイヒジュール3100:住化バイエルウレタン(株)製、親水性脂肪族ポリイソシアネート。
(実施例2〜12、比較例1〜7)
実施例1におけるブロックポリイソシアネート成分を表1〜5に示されるものに変更した以外は実施例1と同様に操作して、実施例2〜12および比較例1〜7のコーティング膜(硬化膜)を備えた機能性材料をそれぞれ得た。
実施例1と同様にして、機能性材料、ブロックイソシアネート水分散液及び混合物の評価を行った。結果を表1〜5に示す。
(実施例13〜24、比較例8〜14)
実施例1〜12及び比較例1〜7において合成例10で得られたポリウレタン樹脂水分散物に代えて、合成例11で得られたヒドロキシル基含有ポリウレタン樹脂水分散物を用いた以外は、実施例1と同様に操作して、実施例13〜24および比較例8〜14のコーティング膜(硬化膜)を備えた機能性材料をそれぞれ得た。
実施例1と同様にして、機能性材料、ブロックイソシアネート水分散液及び混合物の評価を行った。結果を表6〜10に示す。
Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

Figure 2012144647

以上の結果に示されるように、実施例1〜26で調製された2液型の硬化性水性樹脂組成物は、混合して5時間後も良好な接着性と耐水性を有する硬化膜を形成することができる。特に、親水性基を全く含まない疎水性ポリイシシアネートを用いた実施例1〜6、実施例9〜11、実施例15〜20、実施例23〜25では、接着性及び耐水性により優れた硬化膜を形成することができることが示されている。
比較例7と比較例14との対比では、合成例11のヒドロキシル基含有ポリウレタン樹脂は、ヒドロキシ基を含有していること及び分子量が小さいことなどの理由により、合成例10のポリウレタン樹脂に比べて耐水性が劣っていることが示されている。これに対して、本発明に係るピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートと併用した実施例においては、疎水性ポリイソシアネートの架橋により耐水性が同等になっている。このことから、水性樹脂としてはイソシアネート基と反応し得る活性水素含有基を有しているほうが性能の向上性という観点からはより好ましいと考えられる。
MEKO(ピラゾール以外の疎水基)で全てブロックされたポリイソシアネートを用いた比較例1及び8では、ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートを用いた場合に比べて接着性及び耐水性が劣っている。また、ピラゾールブロックイソシアネートであっても、親水性基が多く含まれる親水性ポリイソシアネートを用いた比較例2〜3、比較例9〜10では耐水性が低下する傾向にある。更に、ε−カプロラクタム(ピラゾール以外の疎水基)でブロックされたイソシアネートでは親水性基の含有量が少なくても耐水性及び接着性が低下する傾向にある。また、親水性脂肪族ポリイソシアネートを用いた比較例6、13では、2液を混合してから5時間で性能が大きく低下しており、ポットライフ(使用可能時間)が短いことが分かる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表されるピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネートと非イオン界面活性剤とを含有するピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液と、水性樹脂と、を含んでなる、硬化性水性樹脂組成物。
    R(−NH−CO−Z) ・・・(I)
    [式(I)中、mは2以上の整数を示し、Rはm個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物からm個のイソシアネート基を除いた残基を示し、Zは同一でも異なっていてもよく、イソシアネート基と反応可能な活性水素含有化合物から水素原子を除いた残基を示し、Zのうちの少なくとも2つは、下記一般式(II)で表されるピラゾール基である。
    Figure 2012144647


    (式(II)中、nは0〜3の整数を示し、nが1以上の場合、Rは同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数7〜12のアラルキル基、N−置換カルバミル基、フェニル基、−NO、ハロゲン原子又は−C(O)−O−R(式中Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である)を示す。)]
  2. 前記ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の液状媒体が、水、又は、水と、水に混合した場合に分層する、ケトン類、エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類及び脂肪族炭化水素類からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤とを含む混合物である、請求項1に記載の硬化性水性樹脂組成物。
  3. 前記ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液の液状媒体が、水とエーテル類とを含む混合物である、請求項1又は2に記載の硬化性水性樹脂組成物。
  4. 前記非イオン界面活性剤がHLB10以上の非イオン界面活性剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性水性樹脂組成物。
  5. 前記一般式(I)中のZの全てが前記一般式(II)で表されるピラゾール基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性水性樹脂組成物。
  6. 前記ピラゾールブロック疎水性ポリイソシアネート水分散液を含む第1の組成物と、前記水性樹脂を含む第2の組成物との2液型である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性水性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性水性樹脂組成物を含有してなる、水性コーティング剤。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性水性樹脂組成物を含有してなる、水性接着剤。
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