JP2012144570A - フマル酸ケトチフェンを含有する局所粘膜適用医薬組成物 - Google Patents

フマル酸ケトチフェンを含有する局所粘膜適用医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
フマル酸ケトチフェンの局所粘膜投与時の刺激を軽減すること。
【解決手段】
フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激を軽減するための、フマル酸ケトチフェンと、クロモグリク酸類及びアラントインから選ばれる1種以上を含有する眼科用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激の軽減作用を有するフマル酸ケトチフェン含有局所粘膜適用医薬組成物に関する。
フマル酸ケトチフェンは、本邦で市販の抗アレルギー薬の中で抗ヒスタミン作用を有する唯一の薬剤であり即効性が期待でき、さらに、点眼・点鼻両方の局所粘膜適用の用法が認められている数少ない薬剤の一つである。
フマル酸ケトチフェンには、その点眼時に刺激感があるという報告(非特許文献1及び非特許文献2参照)があることから、これまでに、以下のようなフマル酸ケトチフェンの局所粘膜適用時の刺激軽減法が報告されている。
1)フマル酸ケトチフェンにホウ酸、エデト酸ナトリウム、アミノエチルスルホン酸及びクロロブタノールを配合したものは、フマル酸ケトチフェンにグリセリンを配合したものより刺激が少ない(特許文献1、表2参照)。
2)フマル酸ケトチフェンにホウ酸及びホウ砂を配合し、希酸を添加してpH及び浸透圧比を調製した点眼液剤は、市販のフマル酸ケトチフェン製剤よりも眼刺激が少ない。更にメントール等を配合すると眼刺激が一層軽減される(特許文献2参照)。
3)フマル酸ケトチフェン含有点鼻製剤にメントール濃度を変化させて使用感を比較した結果、特定濃度範囲にて点鼻時の不快感が軽減される(特許文献3、表1参照)。
4)フマル酸ケトチフェンの点眼の前に、ヒアルロン酸ナトリウムを点眼すれば、フマル酸ケトチフェンの薬効を維持しつつ点眼時の刺激が改善される(非特許文献3参照)。
5)フマル酸ケトチフェンに、コンドロイチン硫酸ナトリウム及びヒアルロン酸ナトリウムの1種以上を配合したものが点眼時の眼痛を防止する(特許文献4参照)。
6)フマル酸ケトチフェンに、血管収縮薬及びクロロブタノールを添加すれば、フマル酸ケトチフェンによる眼痛刺激が抑制される(特許文献5参照)。
7)フマル酸ケトチフェンに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の高分子成分を配合すれば、フマル酸ケトチフェンによる眼痛が生じない(特許文献6参照)。
8)フマル酸ケトチフェンに、メントール及びクロロブタノールを特定の割合で配合すれば、フマル酸ケトチフェンによる眼痛刺激が抑制される(特許文献7参照)。
また、本発明に関わる配合例として、これまでに以下の組合せが開示されている。
1)上記1)のフマル酸ケトチフェンとホウ酸、キレート剤及びアミノ酸類の組合せが開示され、0アミノ酸類としてイプシロンアミノカプロン酸、グルタミン酸及びアミノエチルスルホン酸が記載されているが、アスパラギン酸類の記載はない(特許文献1、特許請求の範囲参照)。
2)上記5)のフマル酸ケトチフェンと、コンドロイチン硫酸ナトリウム又はヒアルロン酸ナトリウムを含有するものに、ビタミン類、アスパラギン酸類、アミノエチルスルホン酸、その他、から選ばれる成分を添加した例が開示されている(特許文献4、表1参照)。
3)上記7)のフマル酸ケトチフェンと高分子成分を配合するものに、塩酸ピリドキシン、塩酸テトラヒドロゾリン、アミノエチルスルホン酸、L−アスパラギン酸カリウム、グリチルリチン酸2カリウム、その他を添加した例が開示されている(特許文献6、実施例1参照)。
4)フマル酸ケトチフェンと血管収縮薬、アラントイン、抗ヒスタミン薬、他との組合せが開示されている(例えば、特許文献8の実施例4、12及び15参照)。
5)フマル酸ケトチフェンと塩酸テトラヒドロゾリン、イプシロン−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸2カリウム、クロモグリク酸ナトリウム、スルファメトキサゾールナトリウムとの組合せが開示されている(特許文献8、実施例8参照)。
6)フマル酸ケトチフェンと塩酸ナファゾリン、クロモグリク酸ナトリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム・カリウムとの組合せが開示されている(特許文献8、実施例14参照)。
7)フマル酸ケトチフェンと収斂薬成分(亜鉛及びそれらの塩、例えば、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛など)との組合せが示唆されている(特許文献8)。
しかし、フマル酸ケトチフェンとアズレン類との組合せについては知られておらず、更にアミノ酸類を配合した組合せも知られていない。
また、フマル酸ケトチフェンとクロモグリク酸類及び/又はアラントインとの組合せが局所粘膜適用時の刺激を軽減できることを記載又は示唆した報告はなく、更にアミノ酸類を配合した場合、相乗的に刺激がよりいっそう軽減できることを記載した報告も知られていない。
特開平7−324034号公報、表2 特開2002−308770号公報 特開2002−205942号公報、表1 特開2004−143155号公報 特開2004−143156号公報 特開2004−143157号公報 特開2004−143158号公報 特開2003−55223号公報
日本眼科紀要,Vol.52 No.3,2001,p.220−223 医薬品研究,Vol.19 No.5,1988,p.825 眼科臨床医報,Vol.94 No.3,2000,p.314
局所粘膜適用形態の薬剤は、その治療効果が優れていることと同時に、安全でかつ快適に使用できることも同様に重要である。そのため、フマル酸ケトチフェンを、点眼・点鼻等の局所粘膜適用時に、より快適に使用できるように工夫することは、予防又は治療上極めて重要な課題である。
本発明者は、このような目的のもとに鋭意研究を進めてきた。その結果、フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激の軽減作用を有する医薬組成物を見出し、さらにアスパラギン酸塩を配合することにより、相乗的に刺激が軽減されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下に本発明を説明する。本発明は、
(1)フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激を軽減するための、フマル酸ケトチフェンと、アズレン類、クロモグリク酸類及びアラントインから選ばれる1種又は2種以上とを含有する局所粘膜適用医薬組成物である。
本発明の(1)として好適なものは、
(2)フマル酸ケトチフェンとアズレン類とを含有する(1)に記載の組成物、
(3)フマル酸ケトチフェンとクロモグリク酸類とを含有する(1)に記載の組成物、
(4)フマル酸ケトチフェンとアラントインとを含有する(1)に記載の組成物、
(5)さらに、アスパラギン酸又はその塩を含有する(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の組成物、
(6)アズレン類がアズレンスルホン酸ナトリウムである、(1)、(2)及び(5)のいずれか1項に記載の組成物、
(7)クロモグリク酸類が、クロモグリク酸ナトリウムである、(1)、(3)、(5)及び(6)のいずれか1項に記載の組成物、
(8)アスパラギン酸又はその塩が、L−アスパラギン酸カリウムである、(5)乃至(7)のいずれか1項に記載の組成物、
(9)局所粘膜適用が点眼用又は点鼻用であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか1項に記載の組成物、
(10)アレルギー性疾患の予防又は治療するための(1)乃至(9)のいずれか1項に記載の組成物及び
(11)アレルギー性疾患が、アレルギー性気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎及び蕁麻疹からなる群より選ばれる1種又は2種以上である(10)に記載の組成物である。
また本発明は、
(12)ヒトに対して(1)に記載された組成物の有効量を投与することを特徴とする、
フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激の軽減方法。
(13)アレルギー性疾患の予防又は治療剤を製造するための、(1)に記載の医薬組成物の使用方法を提供する。
本発明の局所粘膜適用医薬組成物は、フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激の軽減作用を有し、服薬コンプライアンスを向上させるので有用である。
上記の「フマル酸ケトチフェン」とは、ケトチフェンのフマル酸塩である。
上記の「アズレン類」とは、例えば、アズレン、グアイアズレン、アズレンスルホン酸ナトリウム及びハイアズレンであり、好適には、アズレンスルホン酸ナトリウムである。
上記の「アラントイン」とは、化学名が5−ウレイドヒダントインの化合物である。
上記の「クロモグリク酸類」とは、例えば、クロモグリク酸又はその塩であり、好適にはクロモグリク酸ナトリウムである。
上記の「アスパラギン酸又はその塩」とは、好適には、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸カルシウム、L−アスパラギン酸マグネシウム又はL−アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物であり、好適には、L−アスパラギン酸カリウムである。
上記の「局所粘膜適用医薬組成物」とは、点眼薬又は点鼻薬等の局所粘膜等に直接投与することを目的とする医薬組成物であり、「局所粘膜適用」とは、点眼又は点鼻等の局所粘膜等に直接投与することを示す。
上記の「アレルギー性疾患」とは、例えば、アレルギー性気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎又は蕁麻疹であり、好適には、アレルギー性鼻炎又はアレルギー性結膜炎である。
上記の「フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激を軽減する方法」において、「刺激を軽減する」とは、適用部位における粘膜又はその近接組織の障害の有無に関わらず、粘膜局所適用時における痛み、刺激感又は不快感を軽減すること示す。
上記の「治療」とは、病気又は症状を治癒させること又は改善させること或いは症状を抑制させることを意味し、「予防」とは、病気又は症状の発現の未然に防ぐことを意味する。
フマル酸ケトチフェン及びクロモグリク酸ナトリウムは日本薬局方XIVに収載されている。
アラントイン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸カルシウム、L−アスパラギン酸マグネシウム及びアズレンスルホン酸ナトリウムは、日本薬局方外医薬品規格2002に収載されている。
以下に、本発明の医薬組成物の投与量、投与方法等について説明する。
フマル酸ケトチフェンの1回投与量は、適応症や年齢により異なるが、通常(体重約60kgの成人に対して)、0.01mg乃至0.3mgであり、これを1日に、1乃至3回眼結膜や鼻腔等の粘膜局所に投与する。
本発明の組成物が液剤の場合において、フマル酸ケトチフェンの含有量は通常、0.05mg/mL乃至10mg/mLであり、好適には、0.2mg/mL乃至2mg/mLである。
クロモグリク酸類及びアスパラギン酸又はその塩の含有量は、通常、0.05mg/mL乃至150mg/mLであり、好適には、0.2mg/mL乃至75mg/mLである。
アズレン類の含有量は、通常、0.01mg/mL乃至5mg/mLであり、好適には、0.05mg/mL乃至1mg/mLである。
アラントインの含有量は、通常、0.1mg/mL乃至50mg/mLであり、好適には、0.5mg/mL乃至10mg/mLである。
本発明においては、上記成分の他、必要に応じて塩酸ナファゾリン等の血管収縮薬、パンテノール等のビタミン類、塩化カリウム等の無機塩類、ポリビニルアルコール等の増粘剤、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤、リドカイン等の局部麻酔薬等を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
これらの具体的な剤形としては、液剤及びゲル剤の他に、眼軟膏又は鼻腔噴霧パウダー等が挙げられるが、好適には液剤である。また投与形態としては滴下式、噴霧式又は塗布式等が挙げられる。
各剤形及び投与形態に適した添加剤や基材を適宜使用し、日本薬局方等に記載された通常の方法に従い、製造することができる。
上記各剤形において、その剤形に応じ、通常使用される各種添加剤を使用することもできる。例えば、賦形剤、安定化剤、界面活性剤、pH調節剤、緩衝剤、清涼化剤及び等張化剤等を添加することができる。
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)点眼液剤
(1)成分
(表1)
1mL中(mg) (1a) (1b) (1c) (1d) (1e)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
フマル酸ケトチフェン 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.2 0.2 − − −
クロモグリク酸ナトリウム − − 9.8 9.8 −
L−アスパラギン酸カリウム − 8.5 − 8.5 −
アラントイン − − − − 3.0
塩酸テトラヒドロゾリン 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
メチル硫酸ネオスチグミン − 0.05 − 0.05 0.05
塩化ベンザルコニウム液50 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
グリセリン 25 25 25 25 25
pH調節剤 適量 適量 適量 適量 適量
精製水 残部 残部 残部 残部 残部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「点眼剤」の項に準じて点眼剤を製造した後、点眼用樹脂瓶に充てんする。
(実施例2)点鼻液剤
(1)成分
(表2)
1mL中(mg) (2a) (2b) (2c) (2d) (2e)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
フマル酸ケトチフェン 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8
アズレンスルホン酸ナトリウム 0.3 0.3 − 0.3 −
クロモグリク酸ナトリウム − − 2.1 2.1 −
L−アスパラギン酸カリウム − 5.0 − 5.0 −
アラントイン − − − − 3.5
塩酸フェニレフリン 2.5 2.5 − 2.5 2.5
塩酸リドカイン − 3.0 3.0 3.0 3.0
グリチルリチン酸ジカリウム 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
塩化ベンザルコニウム液50 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2
グリセリン 50 50 50 50 50
pH調節剤 適量 適量 適量 適量 適量
精製水 残部 残部 残部 残部 残部
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「点眼剤」の項に準じて点鼻剤を製造した後、点鼻用樹脂瓶に充てんする。
(試験例)ウサギ瞬目反応による点眼剤の眼刺激性評価試験
(1)被験物質
フマル酸ケトチフェン配合点眼薬として市販の製剤(商品名ザジテン点眼液、ノバルティスファーマ(株))を購入して使用した。また、フマル酸ケトチフェン配合点眼薬に添加する成分である、アズレンスルホン酸ナトリウムは甲南化工(株)のものを、アラントイン及び硫酸亜鉛は和光純薬工業(株)のものを、クロモグリク酸ナトリウムは東進ケミカル(株)のものを、L−アスパラギン酸カリウムはICN BIOMEDICALのものを、アミノエチルスルホン酸は相互薬品工業(株)のものを購入して用いた。
対照薬を上記フマル酸ケトチフェン(以下、Kと称す)配合の市販点眼製剤(以下、K液と称す)とした。上記の添加成分それぞれの必要量を電子分析天秤(メトラー・トレド製)で秤量し、表3に示した濃度(w/v%)になるように、K液を加えて調製し被験薬液とした。なお、各添加成分の濃度値も、臨床での常用濃度値に設定した。
(表3)
被験薬 Kの濃度% 添加成分の濃度%
―――――――――――――――――――――――――――――――――
K液:対照(フマル酸ケトチフェン) 0.069 −
―――――――――――――――――――――――――――――――――
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム 0.069 0.02
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム 0.069 0.02
+L−アスパラギン酸カリウム 1.0
―――――――――――――――――――――――――――――――――
比較例
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム 0.069 0.02
+アミノエチルスルホン酸 1.0
―――――――――――――――――――――――――――――――――
K液+クロモグリク酸ナトリウム 0.069 1.0
K液+クロモグリク酸ナトリウム 0.069 1.0
+L−アスパラギン酸カリウム 1.0
―――――――――――――――――――――――――――――――――
比較例
K液+クロモグリク酸ナトリウム 0.069 1.0
+アミノエチルスルホン酸 1.0
―――――――――――――――――――――――――――――――――
K液+アラントイン 0.069 0.3
―――――――――――――――――――――――――――――――――
比較例
K液+硫酸亜鉛 0.069 0.25
―――――――――――――――――――――――――――――――――
各被験薬のpH及び浸透圧比の測定結果を表4に示す。ここで、浸透圧比は次式により算出した。
(式1)
浸透圧比=被験薬の浸透圧(mOsm)/生理食塩水の浸透圧(286mOSM)
なお、浸透圧は自動浸透圧測定装置(アークレイ製OM−6030)、pHはpHメーター(堀場製F−22)にて測定した。
(表4)
被験薬 pH 浸透圧比
―――――――――――――――――――――――――――――――
K液:対照(フマル酸ケトチフェン) 5.44 0.91
―――――――――――――――――――――――――――――――
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム 5.72 0.91
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム
+L−アスパラギン酸カリウム 5.22 1.25
―――――――――――――――――――――――――――――――
比較例
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム
+アミノエチルスルホン酸 6.53 1.16
―――――――――――――――――――――――――――――――
K液+クロモグリク酸ナトリウム 5.38 1.03
K液+クロモグリク酸ナトリウム
+L−アスパラギン酸カリウム 5.29 1.37
―――――――――――――――――――――――――――――――
比較例
K液+クロモグリク酸ナトリウム
+アミノエチルスルホン酸 5.38 1.29
―――――――――――――――――――――――――――――――
K液+アラントイン 5.42 0.96
―――――――――――――――――――――――――――――――
比較例
K液+硫酸亜鉛 5.16 0.97
―――――――――――――――――――――――――――――――
(2)動物
JW/CSK雄性ウサギ(日本白色種)の11乃至13週齢日本エスエルシー(株)より購入して使用した。該動物は、温度20℃乃至26℃、湿度30%乃至70%に保たれ、照明が午前7時から午後7時まで点灯するように制御したウサギ飼育室内で、ステンレス製ウサギ飼育ゲージに1羽ずつ入れ、飼料(モルモット・ウサギ飼育用飼料GC4、(株)船橋農場製)および水フィルターを通した水道水を自由に摂取させて5日間以上予備飼育した。
試験当日、肉眼的に健康状態が良好で、眼粘膜および角膜に異常のない動物を選別して試験に使用した。
(3)眼刺激評価方法
点眼剤の眼刺激を評価する方法としては、Draize法が一般的であるが、この方法で評価できるのは、眼組織に障害を与えるような強い刺激の場合であり、単なる「刺激感」乃至「痛み」にとどまるような弱い試験は検出することができない。
このような「刺激感」乃至「痛み」を、ウサギの瞬目反応を利用して評価する方法が開発され、改良・発展が加えられた田中らの方法(あたらしい眼科,Vol.2 No.8,1985 p.1127−1129)、に準じて行い被験薬液の眼刺激性を評価した。
(4)瞬目反応の測定
ウサギを保定器で保定し数分間静置させた後、同じ被験薬液を50μLずつ両眼の結膜嚢内に点眼した。点眼直後から5分間の瞬目回数を両眼同時瞬目、右眼のみ瞬目、右眼のみ瞬目に分けて測定した。なお、総瞬目回数は、両眼同時瞬目回数(この場合は1瞬目を1回としてカウントした)、右眼のみ瞬目回数、左眼のみ瞬目回数の和として算出した。
ほぼ同時に、5羽を1時間間隔で1日5回試験し、1羽当たりの試験数は2乃至3回にとどめた。被験薬液は無作為に選んだが、同一試験日に同じウサギに、同じ被験薬液を点眼することは避けた。
(5)点眼刺激抑制率
各被験薬液における、総瞬目回数の平均(平均瞬目回数)を求めて、次式により瞬目抑制率(%)を算出し、これで眼刺激抑制効果を評価した。
(式2)
瞬目抑制率(%)=100×(1−被験薬平均瞬目回数/対照の平均瞬目回数)
(6)試験結果
得られた結果を表5に示す。なお、各値とも測定回数が26回乃至30回の平均値である。
(表5)
被験物質 眼刺激抑制率(%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
K液:対照(フマル酸ケトチフェン) 0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム 12.7
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム
+L−アスパラギン酸カリウム 32.7
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
比較例
K液+アズレンスルホン酸ナトリウム
+アミノエチルスルホン酸 0.0
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
K液+クロモグリク酸ナトリウム 13.0
K液+クロモグリク酸ナトリウム
+L−アスパラギン酸カリウム 42.9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
比較例
K液+クロモグリク酸ナトリウム
+アミノエチルスルホン酸 12.2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
K液+アラントイン 30.9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
比較例
K液+硫酸亜鉛 −25.5
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表5より、フマル酸ケトチフェンに、アズレンスルホン酸ナトリウム、クロモグリク酸ナトリウム又はアラントインを添加した場合、フマル酸ケトチフェンの眼刺激を抑制させる良好な効果が発現することがわかった。更に、L−アスパラギン酸カリウムを添加すると、眼刺激をさらに抑制させる効果が発現することがわかった。
一方、フマル酸ケトチフェンに、アズレンスルホン酸ナトリウム又はクロモグリク酸ナトリウムを添加した場合において、更に、アミノ酸類の一種であるアミノエチルスルホン酸を添加した場合、L−アスパラギン酸カリウムで発現したような眼刺激を抑制させる効果は無かった。また、フマル酸ケトチフェンに硫酸亜鉛を添加した場合には眼刺激が増強された。
本発明の局所粘膜適用医薬組成物は、フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激の軽減作用を有し、服薬コンプライアンスを向上させるので有用である。

Claims (3)

  1. フマル酸ケトチフェンによる局所粘膜適用時の刺激を軽減するための、フマル酸ケトチフェンと、クロモグリク酸ナトリウム及びアラントインから選ばれる1種以上とを含有する点眼用組成物。
  2. さらに、アスパラギン酸又はその塩を含有する請求項1に記載の組成物。
  3. アスパラギン酸又はその塩が、L−アスパラギン酸カリウムである、請求項2に記載の組成物。
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