JP2012143768A - プレス機 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型のストローク方向になされる複数種類の加工を一台のプレス機で実現する。
【解決手段】プレス機101では、スライド104を下方に動かして下型と上型とに挟み込まれた素材シートへの絞り加工が行われる。上型のパッド体には、先端が下方に向けられた抜曲刃が配置される。抜曲刃の先端は、上型の下面よりも上方に位置する。抜曲刃の上方には、抜曲ピン104aを下方に突出させたピンパッド104cが配置される。ピンパッド作動部201は、絞り加工が完了した下死点状態の後、スライド104の上昇の動きをクラッチ部103cに伝達して抜曲ピン104aを押し下げ、抜曲刃の先端を上型の下方に突出させる。抜曲刃による素材シートへの抜き曲げ加工が行われた後、ピンパッド104cは、スライド104とともに上昇する。
【選択図】図3

Description

本発明は、金型のストローク方向になされる二種類の加工を一工程で行うプレス機に関する。
自動車用のボデーパネルを生産するプレスラインでは、複数のプレス機が配置され、素材シートに対して種々の加工が行われる。各プレス機では、一般に、種々の加工のうち一の加工に適した金型が取付けられ、この金型による一の加工が行われる。例えば、絞り加工、抜き加工、曲げ加工、寄せ曲げ加工を経てボデーパネルを生産する場合、プレスラインには、絞り加工用の金型を取り付けたプレス機(1号機)、抜き加工の金型を取り付けたプレス機(2号機)、曲げ加工の金型を取り付けたプレス機(3号機)、及び、寄せ曲げ加工の金型を取り付けたプレス機(4号機)が配置される。このようなプレスラインでは、シートフィーダから同形状にカットされ洗浄機に通された素材シート(鋼板)がロボットにより1号機、2号機、3号機、4号機に順次送られ、各プレス機でプレス成形がなされてボデーパネルとなる。
ここで、プレス機の設置台数が増えると、設置空間を大きく占め、消費エネルギーも増大してしまう。この点、一台のプレス機で二以上の加工を行えるようにするための発明が開示されている。例えば、特許文献1には、異なる二方向からのプレス加工を一工程で実施する複合プレスカム型装置の発明が開示されている。また、特許文献2には、リストライク成形とカムピアス成形とを一工程で完了できるようにした複合加工装置の発明が開示されている。
実開平6−86823号公報 特開平10−314856号公報
特許文献1に記載の複合プレスカム型装置も、特許文献2に記載の複合加工装置も、金型のストローク方向とは異なる方向に別の加工をすることを前提とするものであり、金型のストローク方向に抜き曲げ加工等の別の加工を行う場合には適用できない。
本発明の目的は、金型のストローク方向になされる複数種類の加工を一台のプレス機で実現することである。
本発明のプレス機は、下型を含む下型部と、前記下型部の上方に位置するスライドと、前記スライドを上下に動かす駆動部と、前記スライドの下面に配置され、前記下型部とともに素材を挟んで前記素材に絞り加工を行う上型と、先端を下方に向け、この先端を前記上型の下面よりも上方に位置させて前記上型に設けられる加工片と、前記加工片の上方に位置する加工片押下体と、前記絞り加工が完了した下死点状態の後の前記スライドの上昇の動きを前記加工片押下体に伝達して前記加工片の先端を前記上型の下方に突出させるよう前記加工片押下体を押し下げ、この加工片による前記素材への加工が行われた後に前記スライドとともに上昇する加工片作動部と、を備える。
本発明によれば、絞り加工が済んでから加工片が下方に動きだしてこの加工片による素材への加工がなされ、したがって、金型のストローク方向になされる複数種類の加工を一台のプレス機で実現することができる。
プレス機の正面図である。 上型及び下型の正面図である。 駆動部及びスライドの平面図である。 スライドの平面図である。 プレス機が上死点状態にあるときのピンパッド作動部の正面図である。 図5に続いて、スライドが押し下げられた状態でのピンパッド作動部の正面図である。 図6に続いて、スライドが押し上げられ始めた状態でのピンパッド作動部の正面図である。 図7に続いて、スライドがさらに押し上げられて逃がしピンが動かされた状態でのピンパッド作動部の正面図である。 図8に続いて、ストッパ体が動いて可動筒が上昇した状態でのピンパッド作動部の正面図である。 上型と下型とが開かれた状態でのプレス機の正面図である。 図10に続いて、ブランクホールド状態でのプレス機の正面図である。 図11に続いて、絞り加工が開始された状態でのプレス機の正面図である。 図12に続いて、絞り加工が完了した状態でのプレス機の正面図である。 図13に続いて、抜き曲げ加工が完了した状態でのプレス機の正面図である。 図14に続いて、ブランクホールド状態を経てさらに上型が上昇したときのプレス機の正面図である。 図15に続いて、上型と下型とが開かれプレス加工済の素材シートを取り出す直前の状態でのプレス機の正面図である。
実施の一形態を、図1ないし図16に基づいて説明する。図1は、プレス機101の正面図である。本実施の形態は、鋼板で構成される素材シートをプレス成形し、上型の一ストローク中に、絞り加工と抜き曲げ加工とを一度に行うプレス機への適用例である。
プレス機101は、クラウン102と、駆動部103と、スライド104と、上型105と、ボルスタ106と、下型107と、クッションリング108と、クッションピン109とを備える。下型107とクッションリング108とは、下型部107Aを構成する。クラウン102は、プレス機101の上方に設けられる。クラウン102内には、駆動部103が収納される。駆動部103は、クラウン102の下方に位置するスライド104を、上下方向(ストローク方向)に動かす。スライド104の下面には、上型105が取付けられる。また、ボルスタ106は、プレス機101の下方に設けられる。ボルスタ106の上面には、下型107が、上型105に対面するよう取付けられる。クッションリング108は、スプリング等の弾性体(図示せず)を介してボルスタ106に取付けられボルスタ106から上方に延びるクッションピン109に支持され、下型107を水平方向に取り囲む。クッションピン109は、駆動部103の駆動によって下方に移動する上型105に押されて下方に動く。弾性体は、このように押し下げられたクッションリング108を上方に押し戻そうとする。
上型105が下方に移動するとき、クッションリング108も上型105に接触される。素材シートW(図10等参照)は、プレス成形される際、上型105と下型107とに挟まれる。このとき、上型105とクッションリング108とは、素材シートWの縁部を挟んで素材シートWを保持してブランクホールド状態を構成し、上型105と下型107とによる素材シートWへの絞り加工等の際に素材シートWがずれることを防ぐ。
図2は、上型105及び下型107の正面図である。上型105は、上型本体105aと、パッド体105bと、抜け止め部材105cと、被圧部材105dと、加工片としての抜曲刃105eと、スプリング105fと含む。上型本体105aは、スライド104の下面に取付けられる。上型本体105aには、パッド体105bが入り込む下面開口の孔部105aaが形成される。パッド体105bは、孔部105aaに下方から嵌めこまれ、上型本体105aに対して上下に動くことができる。パッド体105bの下面は、素材シートW(図10等参照)の上面に接する。このパッド体105bは、下型部107A(下型107、クッションリング108)に対して素材シートWを押さえこむことができる程度の重さを有している。抜け止め部材105cは、上型本体105aに取付けられ、孔部105aaに嵌めこまれたパッド体105bの落下を防ぐ。
被圧部材105dは、板状をなし、パッド体105bの上部に配置される。抜曲刃105eは、素材シートWに抜き曲げ加工を行うためのもので、被圧部材105dの下面から下方に延びる。抜曲刃105eの先端は、下方に向けられている。スプリング105f(付勢体)は、パッド体105bと被圧部材105dとの間で、抜曲刃105eの外周を取り囲むように複数配置され、被圧部材105dを押し上げて抜曲刃105eの先端をパッド体105bの下面よりも上方に位置付けている。被圧部材105dの上面は、抜曲ピン104a(図3及び図4も参照)に押されて下方に動く。これにより、抜曲刃105eの先端は、パッド体105bの下面よりも下方に突出することになる。
図3は、駆動部103及びスライド104の平面図である。駆動部103は、ギアボックス103aと、メインシャフト103bと、クラッチ部103cと、ブレーキ部103dと、駆動ギア103eと、伝達ギア103fと、リンク103gと、プランジャ103hと、シリンダ103iと、取付部103jとを備える。ギアボックス103aは、メインシャフト103bの両端部を保持し、メインシャフト103bをそれ自身の軸回りに回転自在とする。クラッチ部103cは、メインシャフト103bの一方の端部に設けられてギアボックス103aの外部に位置し、駆動源としてのモータ(図示せず)からの回転駆動力をメインシャフト103bに伝達したり遮断したりする。ブレーキ部103dは、メインシャフト103bの他方の端部に設けられてギアボックス103aの外部に位置し、メインシャフト103bの回転を止める。駆動ギア103eは、ギアボックス103aの内部に配置され、メインシャフト103bの外周に設けられ、伝達ギア103fと噛み合っている。伝達ギア103fは、ギアボックス103aの内部に配置される。伝達ギア103fは、水平に延びる回転中心軸103faを有する。リンク103gは、棒状をなし、伝達ギア103fとプランジャ103hとを繋いでいて、ギアボックス103aの内部から下方に突出する。リンク103gの上方は、伝達ギア103fにおいて回転中心軸103faとは異なる箇所に、伝達ギア103fに対して回転自在になるように取付けられている。シリンダ103iは、ギアボックス103aに取付けられている。シリンダ103iには、リンク103gが上方から差し込まれている。取付部103jは、シリンダ103iの下端から突出したリンク103gの下端部に設けられ、スライドベース104b(図4も参照)の上面に取付けられている。モータ(図示せず)の駆動力はクラッチ部103cを介してメインシャフト103bに伝わり、メインシャフト103bを回転させる。メインシャフト103bが回転すると、駆動ギア103e及び伝達ギア103fを介してプランジャ103hを上下に動かす。
図4は、スライド104の平面図である。図3及び図4を参照する。スライド104は、抜曲ピン104aと、スライドベース104bと、ピンパッド104cと、スプリング104dと、ケース104eとを含む。抜曲ピン104aとピンパッド104cとは、加工片押下体104Aを構成する。スライドベース104bは、板状をなし、スライド104の底部をなす。スライドベース104bの上面の中央には、凹部104baが形成される。凹部104baの上面には、スプリング104dが設けられる。スプリング104dは、ピンパッド104cを支持する。ピンパッド104cは、板状をなしている。抜曲ピン104aは、抜曲刃105e(図2参照)や被圧部材105d(図2参照)よりも上方に位置する。抜曲ピン104aは、ピンパッド104cの下面から下方に延び、スライドベース104bを貫通してスライドベース104bの下面よりも下方に突出する。ピンパッド104cが押し下げられると、ピンパッド104cの下面の縁領域がスライドベース104bの上面に当たるまで、ピンパッド104cが下方に動き、抜曲ピン104aの下端が下方に動く。また、ピンパッド104cの押し下げが解除されると、ピンパッド104cはスプリング104d(付勢体)に押し上げられ、抜曲ピン104aの下端が上方に動く。このようなスライド104は、取付部103jをスライドベース104bの上面の四隅に取付けられてプレス機101において吊り下げられ、モータ(図示せず)からの駆動力が入力されることで上下に動く。
プレス機101は、加工片作動部としてのピンパッド作動部201を備える。ピンパッド作動部201は、上型105の上下方向の一ストローク中で素材シートWに絞り加工を行った直後にピンパッド104cを動かして、絞り加工済みの素材シートWに対して上型105のストローク方向の抜き曲げ加工を施すためのものである。このピンパッド作動部201は、下死点状態後に上昇するスライド104の動きをピンパッド104cに伝達して抜曲刃105eの先端をパッド体105bの下方に突出させるよう抜曲ピン104aを押し下げ、抜曲ピン104aによる素材シートWへの抜き曲げ加工が行われた後にスライド104とともに上昇する。
ピンパッド作動部201は、固定筒202と、可動筒203と、逃がしピン204と、第1抜止体205と、第2抜止体206と、基準軸207と、ベース側アーム208と、ピンパッド側アーム209と、ストッパ部210とを備える。逃がしピン204と第1抜止体205と第2抜止体206とは、ストッパ解除部204Aを構成する。また、ベース側アーム208及びピンパッド側アーム209は、特許請求の範囲でいうところのアームに相当する。また、基準軸207は、アームの支点として機能する。
ピンパッド作動部201は、スライドベース104bの上面に四つ配置される。このうち二つは、スライドベース104bの上面の左側でプレス機101の奥行き方向に並ぶ二つの取付部103jの間で、ピンパッド側アーム209をプレス機101の右側に延ばして、ベース側アーム208やピンパッド側アーム209がプレス機101の幅方向に延びる向きに配置される。ピンパッド作動部201の残りの二つは、スライドベース104bの上面の右側でプレス機101の奥行き方向に並ぶ二つの取付部103jの間で、ピンパッド側アーム209をプレス機101の左側に延ばして、ベース側アーム208やピンパッド側アーム209がプレス機101の幅方向に延びる向きに配置される。
固定筒202は、ギアボックス103aに固定的に取付けられ、ギアボックス103aの下面から延びる。可動筒203は、固定筒202の内部に挿通され、上下方向にスライドできるようになっている。逃がしピン204は、可動筒203の内部に挿通され、上下方向にスライドできるようになっている。逃がしピン204の上端部及び下端部は、可動筒203から上下に突出している。第1抜止体205は、逃がしピン204の上端部に配置され、逃がしピン204の可動筒203からの下方への脱落を防止する。第2抜止体206は、逃がしピン204の下端部に配置され、逃がしピン204の可動筒203からの上方への脱落を防止する。
基準軸207は、可動筒203の外周の下端部に取付けられ、可動筒203とともに上下に動く。基準軸207から一方には、ベース側アーム208が延びている。基準軸207から他方には、ピンパッド側アーム209が延びている。ピンパッド側アーム209は、ベース側アーム208よりも長い。ベース側アーム208の先端部は、スライドベース104bの上面に取付けられる。ピンパッド側アーム209の先端部は、ピンパッド104cの上面に取付けられる。ベース側アーム208とピンパッド側アーム209とは一体に連結されていて、基準軸207を中心に要動自在となっている。つまり、ベース側アーム208が上方に動くとピンパッド側アーム209が下方に動き、ベース側アーム208が下方に動くとピンパッド側アーム209が上方に動くようになっている。
ベース側アーム208及びピンパッド側アーム209の途中には角度調整軸208a,209aが設けられている。角度調整軸208a,209aは、ベース側アーム208及びピンパッド側アーム209において基準軸207よりも遠い部分を回動させ、ベース側アーム208やピンパッド側アーム209が動いてもスライドベース104bやピンパッド104cを水平に保たれるようになっている。また、角度調整軸208a,209aのいずれにも、アームストッパ208b,209b(図5等参照)が設けられている。アームストッパ208b,209bは、ベース側アーム208やピンパッド側アーム209を所定の角度範囲内で回動させ、この角度範囲から外れるように回動しようとする場合には回動をロックする。ベース側アーム208やピンパッド側アーム209が回動できる角度範囲は微小であり、ベース側アーム208及びピンパッド側アーム209は、スライド104の動きに伴って上下に動くことになる。
ストッパ部210は、可動筒203の下方移動を許容し、可動筒203の上方移動を阻止する。可動筒203の上方移動の阻止は、逃がしピン204が動くことにより解除される。ここで、ケース104eは、スライドベース104bの縁部から上方に立ち上がっており、基準軸207とベース側アーム208とピンパッド側アーム209と第2抜止体206と可動筒203の下端部とを内在させる。ケース104eの内側には、ピンパッド104c、プランジャ103hの下端部、さらには、取付部103jも内在されている。
ストッパ部210について、図5から図9に基づいて説明する。図5は、プレス機101が上死点状態にあるときのピンパッド作動部201の正面図である。ピンパッド作動部201を構成しているストッパ部210は、ケース体211と、ストッパ体212と、ストッパ体付勢部としてのスプリング213とを備える。ケース体211は、箱型をなし、固定筒202の下端部に取付けられている。ストッパ体212は、ケース体211内に配置される。スプリング213は、ケース体211の内側面に取付けられ、ストッパ体212の外側面を固定筒202の断面の内側に向かう方向に押している。ストッパ体212の内側面には、第1摺動面212aと傾斜面212bと第2摺動面212cとが延びている。第1摺動面212aは、ストッパ体212の内側面の上端から下方に延びている。第2摺動面212cは、ストッパ体212の内側面で、第1摺動面212aよりもスプリング213側(外側)に位置して下端から上方に延びている。第1摺動面212a及び第2摺動面212cのいずれも、可動筒203の外側面や第1抜止体205が摺動できるようになっている。また、傾斜面212bは、第1摺動面212aの下端と第2摺動面212cの上端とを繋ぎ、下方に向かうにつれて外側に広がるようなテーパ状の面を形成している。傾斜面212bに対し、可動筒203の上端面の外縁や第1抜止体205は、滑り接触する。ストッパ体212の下面は、可動筒203の上端面が当接する当接面212dとなっている。当接面212dは、下方から上昇しようとする可動筒203の上端面を受け止め、この可動筒203の上方移動を阻止する。
プレス機101が上死点状態にあるとき、駆動部103(図3参照)によって、スライドベース104bが上方に引き上げられている。このとき、基準軸207も可動筒203も上方に引き上げられている。また、可動筒203は、固定筒202の内部に奥深く差し込まれていて、ストッパ体212を外側に押し出している。さらに、可動筒203の上端面は、第1抜止体205を上方に押し上げている。このとき、可動筒203の下端面と第2抜止体206との間は、隙間dだけ離間している。
図6は、図5に続いて、スライド104が押し下げられた状態でのピンパッド作動部201の正面図である。駆動部103(図3参照)の駆動によりスライド104のスライドベース104bが下がると、スライドベース104bがベース側アーム208を下方に引っ張る。これにより、基準軸207と可動筒203とピンパッド104cとが引き下げられる。このとき、角度調整軸208aを中心とするベース側アーム208の折れ曲がり角は、広がるものの、アームストッパ208bによって所定角度以上広がらずに固定される。これにより、ベース側アーム208とピンパッド側アーム209とが基準軸207を中心に図6中の矢印R1の方向に回動する。ここで、角度調整軸209aを中心とするピンパッド側アーム209の折れ曲がり角は、狭まるものの、アームストッパ209bによって所定角度以上狭まらずに固定される。
可動筒203が引き下げられると、可動筒203の下端面は第2抜止体206を下方に押し下げる。これにより、可動筒203の上端面は、ストッパ体212の当接面212dよりも僅かに下方に位置する。また、ストッパ体212はスプリング213に押されて、第1抜止体205の外周面を第2摺動面212cで挟み込む。
図7は、図6に続いて、スライド104が押し上げられ始めた状態でのピンパッド作動部201の正面図である。駆動部103(図3参照)の駆動によりスライド104のスライドベース104bが上がると、スライドベース104bは、ベース側アーム208を押し上げる。このとき、スライドベース104bは、逃がしピン204を上昇させない。これに伴い、基準軸207と可動筒203とが押し上げられる。ここで、角度調整軸208aを中心とするベース側アーム208の折れ曲がり角は、狭まるものの、アームストッパ208bによって所定角度以上狭まらずに固定され、角度調整軸208aを中心とするベース側アーム208の回動がロックされる。
可動筒203が隙間d(図5も参照)の距離だけ上昇すると、可動筒203の上端面はストッパ体212の当接面212dに阻止され、可動筒203も基準軸207もそれ以上上昇しなくなる。この状態で、さらにスライドベース104bが上昇すると、ベース側アーム208とピンパッド側アーム209とが、基準軸207を中心に図7中の矢印R2の方向に回動する。そして、ピンパッド側アーム209は、ピンパッド104cを押し下げる。ここで、角度調整軸209aを中心とするピンパッド側アーム209の折れ曲がり角は、広がるものの、アームストッパ209bによって所定角度以上広がらずに固定され、角度調整軸208aを中心とするピンパッド側アーム209の回動がロックされる。
図8は、図7に続いて、スライド104がさらに押し上げられて逃がしピン204が動かされた状態でのピンパッド作動部201の正面図である。駆動部103(図3参照)の駆動によりスライド104のスライドベース104bがさらに上がると、スライドベース104bは、逃がしピン204の第2抜止体206を上方に押し上げる。これにより、第1抜止体205は、第2摺動面212cを摺動して上昇し、傾斜面212bに滑り接触してストッパ体212をスプリング213側(外側)に押す。その後、第1抜止体205は、第1摺動面212aを摺動しながらさらに上昇する。
図9は、図8に続いて、ストッパ体212が動いて可動筒203が上昇した状態でのピンパッド作動部201の正面図である。このようにしてストッパ体212が動くと、ストッパ体212の当接面212dが可動筒203の上端面から逃げ、ストッパ体212による可動筒203の上方移動の阻止が解除され、可動筒203が上昇できるようになる。このような状態になって上昇した可動筒203は、第2摺動面212cを摺動しながら上昇し、二つのストッパ体212の間に入り込む。また、第1抜止体205は、ストッパ体212よりも上方に突出する。この後、可動筒203は、傾斜面212bに滑り接触してストッパ体212をさらにスプリング213側(外側)に押し、第1摺動面212aを摺動しながらさらに上昇し、ストッパ体212よりも上方に突出する。
上記のように、ストッパ体212が動いて可動筒203の上端部がストッパ体212の間に入り込むと、スライドベース104bの上昇によって可動筒203も基準軸207も動き、ひいてはピンパッド104cも上昇する。なお、可動筒203がストッパ体212よりも上方に突出すると、第1抜止体205はストッパ体212に挟まれなくなり、第1抜止体205の自重により下方に動いて、図5に示した状態となる。
このようなストッパ部210を備えたプレス機101でのプレス成形の流れを、図10から図16に基づいて説明する。なお、図11から図16では、ピンパッド作動部201を省略している。図10は、上型105と下型107とが開かれた状態でのプレス機101の正面図である。このとき、ピンパッド作動部201は、図5に示す状態になっている。まず、素材シートWを、上型105と下型107との間に配置する。
図11は、図10に続いて、ブランクホールド状態でのプレス機101の正面図である。続いて、駆動部103を駆動させて、スライド104を下方に移動し、素材シートWの外縁領域を上型105のパッド体105bとクッションリング108とに挟み込ませる。
図12は、図11に続いて、絞り加工が開始された状態でのプレス機101の正面図である。このとき、ピンパッド作動部201は、図6に示す状態になっている。スライド104がさらに下方に動いてプレス機101が下死点状態になると、上型本体105aの孔部105aaの奥側(上側)にパッド体105bが入り込み、ついにはパッド体105bの上面が孔部105aaの天面に接触する。これにより、素材シートWは、上型105のパッド体105bと下型107とにより絞られる。また、パッド体105bが孔部105aaの奥側(上側)に入り込むことにより、パッド体105bに設けられた被圧部材105dの上面が、抜曲ピン104aの下面に近づく。
図13は、図12に続いて、絞り加工が完了した状態でのプレス機101の正面図である。このとき、ピンパッド作動部201は、図6に示す状態になっている。素材シートWの絞り加工が完了した後、駆動部103を駆動させて、スライド104の上方移動を開始する。これにより、ピンパッド作動部201(図10参照)は、図6に示す状態から、図7に示す状態に転じ、ピンパッド104cがピンパッド側アーム209(図3等参照)によって下方に押され、抜曲ピン104aが下方に動き、抜曲ピン104aの下面が被圧部材105dの上面に接する。ここで、素材シートWは、パッド体105bの自重により押さえつけられたままである。
図14は、図13に続いて、抜き曲げ加工が完了した状態でのプレス機101の正面図である。このとき、ピンパッド作動部201は、図8に示す状態になっている。ピンパッド104cがピンパッド側アーム209(図3等参照)によってさらに下方に押されると、抜曲ピン104aの下面が被圧部材105dを下方に押し、抜曲刃105eが絞り加工済の素材シートWに抜き曲げ加工を施す。ここで、素材シートWがパッド体105bに押さえつけられたままであり、安定した抜き曲げ加工がなされることになる。また、ピンパッド側アーム209がベース側アーム208よりも長く、このために、下死点状態からブランクホールド状態になるまでの上型105の上昇変化がわずかであっても、ピンパッド104cは大きく下方に動き、素材シートWには抜き曲げ加工が確実になされることになる。
図15は、図14に続いて、ブランクホールド状態を経てさらに上型105が上昇したときのプレス機101の正面図である。図16は、図15に続いて、上型105と下型107とが開かれプレス加工済の素材シートWを取り出す直前の状態でのプレス機101の正面図である。図15の状態のとき、ピンパッド作動部201は、図9に示す状態になっている。抜曲刃105eによる素材シートWへの抜き曲げ加工の後、駆動部103が駆動してスライド104がさらに上方に動くと、図9に基づいて前述したように逃がしピン204がスライドベース104bに押されて可動筒203(図9等参照)が上方に移動できるようになり、ピンパッド104cも上昇する。このとき、スライドベース104bに配置されたスプリング104d(図3参照)がピンパッド104cを押し上げる。これにより、ピンパッド104cが上昇して、抜曲ピン104aから被圧部材105dの上面から離反し、被圧部材105dがスプリング105fに押し上げられ、抜曲刃105eの先端がパッド体105bの下面から上方に退避する。この後、さらにスライド104を上昇させて上型105と下型107とが開き、プレス加工済の素材シートWを取り出し、新たな素材シートWを、上型105と下型107との間に配置し、図9から図16に基づいて説明した方法を繰り返すことで、素材シートWが次々とプレス成形される。
このように、本実施の形態のプレス機101では、素材シートWに対し、絞り加工が済んでから抜曲刃105eが下方に動きだして抜き曲げ加工がなされる。したがって、金型のストローク方向になされる複数種類の加工を一台のプレス機で実現することができる。
また、本実施の形態では、抜曲ピン104aやピンパッド104cがスプリング104d,105fによって押し上げられる。このため、抜曲刃105eは抜き曲げ加工後に素材シートWから素早く退避する。これにより、抜曲刃105eの素材シートWへの意図しない接触で素材シートWに傷がつくことが防がれる。
さらに、本実施の形態では、上型105が上型本体105aとパッド体105bとを含んでいて、このパッド体105bは上型本体105aに対して上下に動くことができるようになっている。そして、上型本体105aが上昇しはじめてもパッド体105bがその自重により素材シートWを押さえ続ける。このため、絞り加工が済んでからの抜き曲げ加工が安定する。
なお、本実施の形態では、抜曲刃105eが素材シートWに対して抜き曲げ加工を行う例について示したが、別の実施の形態として、抜曲刃105eに代えてパンチを用い、絞り加工の後に抜き加工を行うようにしてもよい。さらに別の実施の形態として、抜曲刃105eに代えて曲げパンチを用い、絞り加工の後に曲げ加工を行うようにしてもよい。
101 プレス機
103 駆動部
104 スライド
104A 加工片押下体
104d スプリング(付勢体)
105 上型
105a 上型本体
105b パッド体
105e 抜曲刃(加工片)
105f スプリング(付勢体)
107 下型
107A 下型部
201 ピンパッド作動部(加工片作動部)
203 可動筒
204 逃がしピン(ストッパ解除部)
207 基準軸(支点)
208 ベース側アーム(アーム)
209 ピンパッド側アーム(アーム)
210 ストッパ部
212 ストッパ体
213 スプリング(ストッパ付勢部)
W 素材シート(素材)

Claims (5)

  1. 下型を含む下型部と、
    前記下型部の上方に位置するスライドと、
    前記スライドを上下に動かす駆動部と、
    前記スライドの下面に配置され、前記下型部とともに素材を挟んで前記素材に絞り加工を行う上型と、
    先端を下方に向け、この先端を前記上型の下面よりも上方に位置させて前記上型に設けられる加工片と、
    前記加工片の上方に位置する加工片押下体と、
    前記絞り加工が完了した下死点状態の後の前記スライドの上昇の動きを前記加工片押下体に伝達して前記加工片の先端を前記上型の下方に突出させるよう前記加工片押下体を押し下げ、この加工片による前記素材への加工が行われた後に前記スライドとともに上昇する加工片作動部と、
    を備えるプレス機。
  2. 前記加工片作動部は、
    中腹にある支点を中心に揺動自在で、両端部が前記スライドと前記加工片作動部とに連結され、前記スライドに伴って上下に動くアームと、
    前記支点の下方移動を許容し前記支点の上方移動を阻止するストッパ部と、
    前記加工片による前記素材への加工後に前記スライドに接触され、前記ストッパ部による前記支点の上方移動の阻止を解除するストッパ解除部と、
    を含む、請求項1記載のプレス機。
  3. 前記支点から上下方向に延び、前記支点の動きにともなって上下方向に移動する可動筒を更に備え、
    前記ストッパ部は、
    ストッパ体付勢部と、
    前記ストッパ体付勢部によって前記可動筒の移動軌跡に向けて押され、前記可動筒の外周面と摺接したり、下方から上昇しようとする前記可動筒の端面を受けとめて前記可動筒の上方移動を阻止したりするストッパ体と、
    を含み、
    前記ストッパ解除部は、前記可動筒の内部を上下方向に貫通し、下端部が前記スライドに押し上げられたときに上端部で前記ストッパ体を動かして前記ストッパ体による前記可動筒の上方移動の阻止を解除する、
    請求項2記載のプレス機。
  4. 前記加工片及び前記加工片作動部の少なくとも一方は、付勢体に押し上げられている、
    請求項1から3のいずれか一に記載のプレス機。
  5. 前記上型は、
    前記スライドの下面に配置される上型本体と、
    前記上型本体に対して上下に動き前記素材に接して絞り加工を行うパッド体と、
    を含み、
    前記加工片は、前記パッド体に設けられている、
    請求項1から4のいずれか一に記載のプレス機。
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