JP2012142138A - 導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体 - Google Patents

導電性粒子、異方性導電材料及び接続構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】電極間の接続が容易であり、更に導通信頼性を高めることができる導電性粒子を提供する。
【解決手段】本発明に係る導電性粒子1は、バインダー樹脂中に分散されて用いられる。導電性粒子1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面2a上に配置された1層の構造又は2層以上の積層構造を有する第1の導電層と、第1の導電層の外側の表面上に配置された第2の導電層4とを備える。上記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、第2の導電層4のイオン化傾向は第1の導電層3のイオン化傾向よりも大きく、かつ第2の導電層4の融点は第1の導電層3の融点よりも低い。上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記第2の導電層4のイオン化傾向は上記第1の導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きく、かつ上記第2の導電層4の融点は上記第1の導電層の最外層の融点よりも低い。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、電極間の接続に使用できる導電性粒子に関し、より詳細には、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有する導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体に関する。
ICチップとフレキシブルプリント回路基板との接続、液晶駆動用ICチップ間の接続、及びICチップとITO電極を有する回路基板との接続等に、導電性粒子が用いられている。例えば、ICチップの電極と回路基板の電極との間に導電性粒子を配置した後、加熱及び加圧により導電性粒子を電極に接触させて、上記電極同士を電気的に接続できる。
また、上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散され、異方性導電材料としても用いられている。
上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1には、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆しているニッケルめっき層と、該ニッケルめっき層の表面を被覆しているはんだ層とを有する導電性粒子が開示されている。
下記の特許文献2には、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に設けられた銅層とを備える導電性粒子が開示されている。特許文献2では、このような導電性粒子は、具体的な実施例では開示されていないが、対向する回路の接続において良好な電気的接続が得られることが記載されている。
特開平9−306231号公報 特開2003−323813号公報
特許文献1に記載の導電性粒子は、バインダー樹脂に分散されて用いられていない。これは、導電性粒子の粒子径が大きいので、該導電性粒子は、該導電性粒子をバインダー樹脂中に分散させて異方性導電材料として用いるには好ましくないためである。特許文献1の実施例では、粒子径が650μmの樹脂粒子の表面を導電層で被覆しており、粒子径が数百μmの導電性粒子を得ており、この導電性粒子は、バインダー樹脂と混合された異方性導電材料として用いられていない。
特許文献1では、導電性粒子を用いて接続対象部材の電極間を接続する際には、1つの電極上に1つの導電性粒子を置き、次に導電性粒子上に電極を置いた後、加熱している。加熱により、はんだ層は、溶融して電極と接合する。しかしながら、このように、電極上に導電性粒子を置く作業は煩雑である。また、接続対象部材間には、樹脂層が存在しないため、接続信頼性が低い。
特許文献2に記載のように、銅層を表面に有する導電性粒子では、導電性粒子が長期間保管されたり、導電性粒子が高温及び高湿下に晒されたりした場合に、銅層が酸化することがある。銅層が酸化した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続すると、接続抵抗が高くなる。
従って、特許文献2に記載の導電性粒子を含む異方性導電材料では、該異方性導電材料を電極間の接続に用いた接続構造体において、導通信頼性が低いことがある。
本発明の目的は、接続構造体における電極間の接続に用いた場合に、電極間の接続が容易であり、更に導通信頼性を高めることができる導電性粒子、並びに該導電性粒子を用いた異方性導電材料及び接続構造体を提供することである。
本発明の広い局面によれば、バインダー樹脂中に分散されて用いられる導電性粒子であって、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置されており、かつ1層の構造又は2層以上の積層構造を有する第1の導電層と、該第1の導電層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを備え、上記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、上記第2の導電層のイオン化傾向が、上記第1の導電層のイオン化傾向よりも大きく、かつ上記第2の導電層の融点が、上記第1の導電層の融点よりも低く、上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記第2の導電層のイオン化傾向が、上記第1の導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きく、かつ上記第2の導電層の融点が、上記第1の導電層の最外層の融点よりも低い、導電性粒子が提供される。
本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、上記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、上記第1の導電層が銅層であり、上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記第1の導電層の最外層が銅層である。
本発明に係る導電性粒子の別の特定の局面では、上記第2の導電層の融点は、300℃以下である。
本発明に係る導電性粒子のさらに別の特定の局面では、上記第2の導電層は、錫を含む層である。
本発明に係る導電性粒子の平均粒子径は0.1μm以上、100μm以下であることが好ましい。本発明に係る導電性粒子の平均粒子径は0.1μm以上、50μm以下であることがより好ましい。上記基材粒子は、樹脂粒子であることが好ましい。
本発明に係る異方性導電材料は、バインダー樹脂と、該バインダー樹脂中に分散されており、かつ本発明に従って構成された導電性粒子とを含む。
本発明に係る異方性導電材料のある特定の局面では、フラックスがさらに含まれている。
本発明に係る接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備えており、該接続部が、本発明に従って構成された導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されている異方性導電材料により形成されている。
本発明に係る導電性粒子では、基材粒子の表面上に単層又は多層の第1の導電層が配置されており、該第1の導電層の外側の表面上に第2の導電層が配置されており、更に上記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、上記第2の導電層のイオン化傾向が、上記第1の導電層のイオン化傾向よりも大きく、かつ上記第2の導電層の融点が、上記第1の導電層の融点よりも低く、上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記第2の導電層のイオン化傾向が、上記第1の導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きく、かつ上記第2の導電層の融点が、上記第1の導電層の最外層の融点よりも低いので、導電層の酸化を抑制できる。従って、接続構造体における電極間の接続に用いた場合に、導通信頼性を高めることができる。
さらに、本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられるので、接続構造体における電極間の接続に用いた場合に、電極間の接続が容易である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を用いた接続構造体を模式的に示す正面断面図である。 図4は、図3に示す接続構造体における導電性粒子と電極との接続部分を拡大して示す正面断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられる。本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置されており、かつ1層の構造又は2層以上の積層構造を有する第1の導電層と、該第1の導電層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを備える。上記導電層は1層の構造を有していてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記第1の導電層は、単層であってもよく、多層であってもよい。
上記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、上記第2の導電層のイオン化傾向は、上記第1の導電層のイオン化傾向よりも大きく、かつ上記第2の導電層の融点は、上記第1の導電層の融点よりも低い。上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記第2の導電層のイオン化傾向が、上記第1の導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きく、かつ上記第2の導電層の融点が、上記第1の導電層の最外層の融点よりも低い。
上記第2の導電層のイオン化傾向が上記第1の導電層(単層の場合)又は上記第1の導電層の最外層(多層の場合)のイオン化傾向よりも大きいので、外層である第2の導電層自体は、第1の導電層よりも酸化が進行やすいという性質を有する。さらに、内層である第1の導電層の外側の表面上に第2の導電層が配置されていることによって、内層である第1の導電層の酸化を防ぐことができる。このため、本発明に係る導電性粒子を含む異方性導電材料を接続構造体の電気的な接続に用いた場合に、接続抵抗を低くすることができる。
さらに、上記第2の導電層の融点が上記第1の導電層(単層の場合)又は上記第1の導電層の最外層(多層の場合)の融点よりも低いので、導電性粒子を用いて、加熱により接続構造体における電極間を接続する場合に、第2の導電層を第1の導電層よりも先に溶融させることができるか、又は第2の導電層のみを溶融させることができる。このため、第1の導電層と電極とをより一層容易に接触させたり、第2の導電層と電極との接触面積を大きくしたりすることができ、導電性粒子による電極間の接続をより一層確実に果たすことができる。さらに、電極に第1の導電層を接触させることもできる。このため、第2の導電層による接続抵抗よりも第1の導電層による接続抵抗の方が低い場合に、更に第2の導電層の酸化が仮に進行していた場合に、第1の導電層を電極に接触させることにより、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。本発明に係る導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続する際には、第1の導電層を電極に接触させることが好ましい。
従って、本発明に係る導電性粒子を用いた接続構造体の導通信頼性を高めることができる。
また、本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられる。本発明に係る導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて異方性導電材料として用いられることが好ましい。該異方性導電材料を接続構造体における電極間の接続に用いた場合には、電極間の接続が容易である。例えば、接続対象部材上に設けられた電極上に導電性粒子を1個ずつ配置せずに、接続対象部材上に異方性導電材料を塗工又は積層するだけで、電極上に導電性粒子を配置できる。さらに、接続対象部材上に異方性導電材料層を形成した後、該異方性導電材料層に他の接続対象部材を電極が対向するように積層するだけで、電極間を電気的に接続できる。従って、接続対象部材の電極間が接続された接続構造体の製造効率を高めることができる。この電極間を電気的に接続する際に、第1の導電層を電極に接触させることが好ましい。さらに、接続対象部材間には、導電性粒子だけでなくバインダー樹脂も存在するので、接続対象部材を強固に接着させることができ、接続信頼性を高めることができる。
(導電性粒子)
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより本発明を明らかにする。
図1に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、第1の導電層3と、第2の導電層4とを備える。導電性粒子1は、バインダー樹脂中に分散されて用いられる。
第1の導電層3は、基材粒子2の表面2a上に配置されている。第1の導電層3は、基材粒子2の表面2aを被覆している。導電性粒子1では、基材粒子2の表面2a上に第1の導電層3が直接積層されている。第1の導電層3は1層の構造を有する。第1の導電層3は内層である。
第2の導電層4は、第1の導電層3の外側の表面3a上に配置されている。第2の導電層4は、第1の導電層3の外側の表面3a上に直接積層されている。第2の導電層4は、第1の導電層3の外側の表面3aを被覆している。第2の導電層4は、1層の構造を有する。第2の導電層4は外層である。
図2に、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を断面図で示す。
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、第1の導電層12と、第2の導電層13とを備える。導電性粒子11は、バインダー樹脂中に分散されて用いられる。導電性粒子11と導電性粒子1とは、導電層のみが異なっている。
第1の導電層12は、基材粒子2の表面2a上に配置されている。第1の導電層12は、基材粒子2の表面2aを被覆している。第1の導電層12は、2層の積層構造を有し、多層である。第1の導電層12は、内側の導電層21と、外側の導電層22とを有する。外側の導電層22は、第1の導電層12の最外層である。第1の導電層12は内層である。
第2の導電層13は、第1の導電層12の外側の表面12a上に配置されている。第2の導電層13は、第1の導電層12の外側の表面12a上に直接積層されている。第2の導電層13は、第1の導電層12の最外層である外側の導電層22の表面上に配置されている。第2の導電層13は、第1の導電層12の外側の表面12a及び外側の導電層22の外側の表面を被覆している。第2の導電層13は、1層の構造を有する。第2の導電層13は外層である。
導電性粒子1,11のように、第1の導電層は、1層の構造を有していてもよく、2層の積層構造を有していてもよい。さらに、第1の導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、一般的に導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、圧縮により導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性を高めることができる。さらに、上記基材粒子が、ニッケルなどの金属又はガラスにより形成された粒子ではなく、樹脂により形成された樹脂粒子であると、導電性粒子の柔軟性を高めることができる。導電性粒子の柔軟性が高いと、導電性粒子に接触した電極の損傷を抑制できる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。圧縮により導電性粒子を適度に変形させることができるので、上記樹脂粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体により形成されていることが好ましい。
上記無機粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。但し、基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記第1,第2の導電層は、金属により形成されていることが好ましい。第1,第2の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、錫、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)も用いることができる。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、代表的な金属のイオン化傾向の順序は、マグネシウム(Mg)>アルミニウム(Al)>亜鉛(Zn)>クロム(Cr)>鉄(Fe)>コバルト(Co)>ニッケル(Ni)>錫(Sn)>鉛(Pb)>アンチモン(Sb)>ビスマス(Bi)>銅(Cu)>銀(Ag)>パラジウム(Pd)>白金(Pt)>金(Au)である。
上記基材粒子の表面上に第1の導電層を形成する方法、並びに第1の導電層の表面上に第2の導電層を形成する方法は特に限定されない。第1,第2の導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき又は電気めっきが好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シータコンポーザ等が用いられる。
本発明に係る導電性粒子では、上記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、上記第1の導電層が銅層又は銀層であることが好ましく、銅層であることがより好ましい。また、上記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、上記第1の導電層の最外層が銅層又は銀層であることが好ましく、銅層であることがより好ましい。この場合には、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。
銅層及び銀層も、比較的酸化しやすい性質を有する。しかしながら、本発明に係る導電性粒子では、第1の導電層(単層の場合)又は第1の導電層の最外層(多層の場合)が銅層及び銀層である場合に、該銅層及び銀層の表面上に第2の導電層が配置されているため、銅層及び銀層の酸化を効果的に抑制できる。また、これらの好ましい導電層の表面には、錫を含む層又ははんだ層をより一層容易に形成できる。
電極間の接続をより一層容易にし、更に接続構造体における導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電層の融点は、300℃以下であることが好ましい。すなわち、上記第2の導電層は、融点が300℃以下である低融点導電層であることが好ましい。電極間の接続をより一層容易にし、更に接続構造体における導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電層の融点は、好ましくは100℃以上、より好ましくは280℃以下、更に好ましくは260℃以下、特に好ましくは240℃以下、最も好ましくは220℃以下である。電極間の接続をより一層容易にし、更に接続構造体における導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電層の融点は、上記第1の導電層(単層の場合)又は上記第1の導電層の最外層(多層の場合)の融点よりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましく、20℃以上低いことが更に好ましく、40℃以上低いことが特に好ましく、60℃以上低いことが最も好ましい。
上記第2の導電層は、上記第1の導電層の表面全体上に配置されていることが好ましい。上記第2の導電層は、上記第1の導電層の表面全体上に直接積層されていることが好ましい。上記第2の導電層は、上記第1の導電層の表面全体を被覆していることが好ましい。これらの場合に、上記第2の導電層は、上記第1の導電層の表面上に部分的に配置又は積層されておらず、上記第1の導電層の表面を部分的に被覆していない。上記第2の導電層が、上記第1の導電層の表面全体上に配置又は積層されていることにより、第1の導電層の酸化が部分的に進行し難くなる。このため、接続構造体の導通信頼性を充分に高めることができる。
電極間の接続をより一層容易にし、更に接続構造体における導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第2の導電層は、錫を含む層であることが好ましく、はんだ層であることが特に好ましい。錫を含む層及びはんだ層は、合金層であってもよい。このような第2の導電層を有する導電性粒子では、例えば、加熱により第2の導電層を溶融させることにより、第2の導電層と電極との接触面積を大きくすることができる。従って、上記第2の導電層が低融点金属層であったり、錫を含む層であったり、はんだ層であったりする場合には、導電層の外側の表面層が金層又はニッケル層等のはんだ層以外の金属である導電性粒子と比較して、導通信頼性を高めることができる。
上記第1の導電層の表面上に上記第2の導電層を形成する方法は、電気めっきによる方法又は物理的な衝突による方法であることが好ましく、物理的な衝突による方法であることがより好ましい。上記第2の導電層は、物理的な衝撃により、導電層の表面上に配置されていることが好ましい。第2の導電層、錫を含む層又ははんだ層は、物理的な衝突による方法により形成されていることが好ましい。
従来、導電層の外側の表面層に錫を含む層又ははんだ層を有する導電性粒子の粒子径は、数百μm程度であった。これは、粒子径が数十μmであり、かつ第2の導電層が錫を含む層又ははんだ層を有する導電性粒子を得ようとしても、錫を含む層又ははんだ層を均一に形成できなかったためである。これに対してシータコンポーザを用いることによって、導電性粒子の粒子径が数十μm、特に粒子径が0.1μm以上、粒子径が50μm以下である導電性粒子を得る場合であっても、第1の導電層の表面上に錫を含む層又ははんだ層を均一に形成できる。
第2の導電層が錫を含む層又ははんだ層である場合には、第2の導電層100重量%中、錫の含有量は、好ましくは85重量%未満、より好ましくは80重量%以下である。また、第2の導電層100重量%中の錫の含有量は、イオン化傾向及び融点などを考慮して適宜決定される。第2の導電層100重量%中の錫の含有量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。
第1,第2の導電層の厚みはそれぞれ、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下である。第1,第2の導電層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。第1,第2の導電層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と第1,第2の導電層との熱膨張率の差が小さくなり、第1,第2の導電層の剥離が生じ難くなる。
第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、第1の導電層の最外層の厚みは、好ましくは3nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上、好ましくは70μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは5μm以下である。第1の導電層の最外層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。第1の導電層の最外層の厚みが上記上限以下であると、基材粒子と第1の導電層の最外層との熱膨張率の差が小さくなり、第1の導電層の最外層の剥離が生じ難くなる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子と電極との接触面積が充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
本発明に係る導電性粒子は、第2の導電層の表面上に配置された絶縁性粒子を備えていてもよい。第2の導電層の表面上に配置された絶縁性粒子は、複数であることが好ましい。
絶縁性粒子を備えた導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡を防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性粒子が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子における第2の導電層と電極との間の絶縁性粒子を容易に排除できる。
上記絶縁性粒子を構成する絶縁性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン類、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。
上記ポリオレフィン類としては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート及びポリブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。なかでも、水溶性樹脂が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
上記第2の導電層の表面に絶縁性粒子を付着させる方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリタイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。なかでも、絶縁性粒子が脱離し難いことから、上記第2の導電層の表面に、化学結合を介して絶縁性粒子を付着させる方法が好ましい。
(異方性導電材料)
本発明に係る異方性導電材料は、バインダー樹脂と、該バインダー樹脂中に分散された上述した導電性粒子とを含む。すなわち、本発明に係る異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された第1の導電層と、該第1の導電層の表面上に配置された第2の導電層とを備える。上記第2の導電層のイオン化傾向は、上記第1の導電層(単層の場合)又は上記第1の導電層の最外層(多層の場合)のイオン化傾向よりも大きい。上記第2の導電層の融点は、上記第1の導電層(単層の場合)又は上記第1の導電層の最外層(多層の場合)の融点よりも低い。
本発明に係る異方性導電材料は、液状であることが好ましく、異方性導電ペーストであることが好ましい。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、例えば、絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂の具体例としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
上記バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。この場合には、電極間を電気的に接続する際の加熱により、導電性粒子の第2の導電層を溶融させるとともに、バインダー樹脂を硬化させることができる。このため、第2の導電層又は第1の導電層による電極間の接続と、バインダー樹脂による接続対象部材の接続とを同時に行うことができる。
本発明に係る異方性導電材料は、バインダー樹脂を硬化させるために、硬化剤を含むことが好ましい。
上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る異方性導電材料は、フラックスをさらに含むことが好ましい。フラックスの使用により、第2の導電層の表面に酸化被膜が形成され難くなり、さらに、第2の導電層又は電極表面に形成された酸化被膜を効果的に除去できる。
上記フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びヒドラジン等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、松脂であることが好ましい。松脂の使用により、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。
上記フラックスは、バインダー樹脂中に分散されていてもよく、導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
本発明に係る異方性導電材料は、フラックスの活性度を調整するために、塩基性有機化合物を含んでいてもよい。上記塩基性有機化合物としては、塩酸アニリン及び塩酸ヒドラジン等が挙げられる。
硬化剤を用いる場合には、上記バインダー樹脂100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、上記バインダー樹脂を十分に硬化させることができ、更に硬化後に硬化剤に由来する残渣が生じ難くなる。
異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは20重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、隣り合う電極間の短絡を一層防止することができ、かつ電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
異方性導電材料100重量%中、フラックスの含有量は0重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。異方性導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、第2の導電層の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、第2の導電層又は電極表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
本発明に係る異方性導電材料は、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤又は難燃剤等の各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、バインダー樹脂中に導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中へ添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、並びにバインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
本発明に係る異方性導電材料は、異方性導電ペースト、異方性導電インク、異方性導電粘接着剤、異方性導電フィルム、又は異方性導電シート等として使用できる。本発明の導電性粒子を含む異方性導電材料が、異方性導電フィルム又は異方性導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。ただし、上述のように、本発明に係る異方性導電材料は、液状であることが好ましく、異方性導電ペーストであることが好ましい。
(接続構造体)
本発明に係る異方性導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
上記接続構造体は、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材と、該第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備えており、該接続部が本発明に係る異方性導電材料により形成されていることが好ましい。上記接続部は、本発明に係る異方性導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。
図3に、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を含む異方性導電材料を用いた接続構造体を模式的に正面断面図で示す。
図3に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を電気的に接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図3では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。
第1の接続対象部材52の上面52aには、複数の電極52bが設けられている。第2の接続対象部材53の下面53aには、複数の電極53bが設けられている。電極52bと電極53bとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記異方性導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。加熱及び加圧により、導電性粒子1の第2の導電層4が溶融して、該導電性粒子1により電極52b,53b間が電気的に接続される。このとき、第1の導電層3を電極52b,53bに接触させることが好ましい。バインダー樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、バインダー樹脂が硬化して、硬化したバインダー樹脂により第1,第2の接続対象部材52,53が接続される。
上記加圧の圧力は9.8〜10〜4.9×10Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。
図4に、図3に示す接続構造体51における導電性粒子1と電極52b,53bとの接続部分を拡大して正面断面図で示す。図4に示すように、接続構造体51では、上記積層体を加熱及び加圧することにより、導電性粒子1の第2の導電層4が溶融した後、溶融した第2の導電層部分4aが電極52b,53bと十分に接触する。すなわち、表面層が第2の導電層4である導電性粒子1を用いることにより、第2の導電層4を速やかに溶融させることができ、導電性粒子1と電極52b,53bとの接触面積を大きくすることができる。このため、接続構造体51の導通信頼性を高めることができる。また、第1の導電層3を電極52b,53bに接触させることにより、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。なお、加熱により、一般にフラックスは次第に失活する。
上記接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板等が挙げられる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
平均粒子径10μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−210」)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚み0.3μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚み1μmの銅層を形成して、粒子を得た。その後、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)を用いて、得られた粒子の銅層の表面上で、はんだ微粉末(錫42重量%とビスマス58重量%とを含む、平均粒子径3μm)を溶融させて、銅層の表面上に厚み2μmのはんだ層を形成した。
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み2μmのはんだ層(錫を42重量%含む)が形成されている導電性粒子を作製した。
第1の導電層である銅層の融点は1084℃であった。第2の導電層であるはんだ層の融点は138℃であった。
(2)異方性導電材料Aの作製
作製直後の導電性粒子Aを用意した。
バインダー樹脂であるTEPIC−PAS B22(日産化学工業社製、比重1.4)100重量部、硬化剤であるTEP−2E4MZ(日本曹達社製)15重量部と、弱活性ロジン5重量部とを配合し、さらに作製直後の導電性粒子A10重量部を添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストである異方性導電材料Aを得た。
(3)異方性導電材料Bの作製
作製直後の導電性粒子Aを85℃及び湿度85%に500時間保管して、保管後の導電性粒子Bを得た。
上記作製直後の導電性粒子Aを、上記保管後の導電性粒子Bに変更したこと以外は異方性導電材料Aの作製と同様にして、異方性導電ペーストである異方性導電材料Bを得た。
(実施例2)
樹脂粒子を、平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP−220」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び異方性導電材料A,Bを得た。
(実施例3)
樹脂粒子を、平均粒子径30μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパール−SP230」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び異方性導電材料A,Bを得た。
(実施例4)
電解銅めっきにより形成した銅層の厚みを1μmから2.5μmに変更したこと、並びにはんだ微粉末の使用量を増やしてはんだ層の厚みを2μmから5μmに変更したこと以外は実施例3と同様にして、導電性粒子及び異方性導電材料A,Bを得た。
(実施例5)
はんだ微粉末(錫42重量%とビスマス58重量%とを含む、平均粒子径3μm)を、はんだ微粉末(錫78重量%とビスマス22重量%とを含む、平均粒子径3μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び異方性導電材料A,Bを得た。
第1の導電層である銅層の融点は1084℃であった。第2の導電層であるはんだ層(錫を78重量%含む)の融点は138℃であった。
(比較例1)
はんだ粒子(錫:ビスマス=43重量%:57重量%、平均粒子径15μm)を用意した。上記はんだ粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを得た。
(比較例2)
平均粒子径10μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−210)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面上に厚さ0.3μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を無電解ニッケルめっきし、厚み1μmのニッケル層を形成して、粒子を得た。その後、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)を用いて、得られた粒子のニッケル層の表面上で、はんだ粉末(錫42重量%とビスマス58重量%とを含む、平均粒子径3μm)を溶融させて、ニッケル層の表面上に厚み2μmのはんだ層を形成した。
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmのニッケル層が形成されており、該ニッケル層の表面に厚み2μmのはんだ層が形成されている導電性粒子を作製した。
第1の導電層であるニッケル層の融点は1455℃であった。第2の導電層であるはんだ層の融点は138℃であった。得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを得た。
(比較例3)
平均粒子径10μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−210)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面に厚み0.3μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚み3μmの銅層(単層)を形成した。銅層の表面上にはんだ層を形成しなかった。
このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み3μmの銅層が形成されている導電性粒子を作製した。得られた導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電材料A,Bを得た。
(評価)
(1)接続構造体Aの作製
L/Sが200μm/200μmの金電極パターンが上面に形成されたFR−4基板を用意した。また、L/Sが200μm/200μmの金電極パターンが下面に形成されたポリイミド基板(フレキシブル基板)を用意した。
上記FR−4基板の上面に、得られた異方性導電材料Aを撹拌してから、異方性導電材料Aに含まれている導電性粒子の平均粒子径の3倍の厚みとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。
次に、異方性導電材料層の上面にポリイミド基板(フレキシブル基板)を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、2.0MPaの圧力をかけて、異方性導電材料層を185℃で硬化させ、異方性導電材料Aを用いた接続構造体Aを得た。
(2)接続構造体Bの作製
作製直後の導電性粒子Aを含む異方性導電材料Aを、保管後の導電性粒子Bを含む異方性導電材料Bに変更したこと以外は接続構造体Aと同様にして、異方性導電材料Bを用いた接続構造体Bを得た。
(3)導通信頼性(上下の電極間の導通試験)
得られた接続構造体Aの上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。さらに、得られた接続構造体Bの上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。2つの接続抵抗の平均値を算出した。
なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。
作製直後の導電性粒子Aを用いた接続構造体Aの接続抵抗A(Ω)と、保管後の導電性粒子Bを用いた接続構造体Bの接続抵抗B(Ω)とから、接続抵抗の上昇率((B−A)/A×100(%))を求めた。接続抵抗の上昇率から、導通信頼性を下記の判定基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の上昇率が10%未満
○:接続抵抗の上昇率が10%以上、30%未満
△:接続抵抗の上昇率が30%以上、50%未満
×:接続抵抗の上昇率が50%以上
結果を下記の表1に示す。
Figure 2012142138
なお、実施例1〜5で得られた異方性導電材料を用いた接続構造体では、はんだ層が溶融した後、固化しており、第1の導電層と電極が接触していた。
1…導電性粒子
2…基材粒子
2a…表面
3…第1の導電層
3a…表面
4…第2の導電層
4a…溶融した第2の導電層部分
11…導電性粒子
12…第1の導電層
12a…表面
13…第2の導電層
21…内側の第1の導電層
22…外側の第1の導電層
51…接続構造体
52…第1の接続対象部材
52a…上面
52b…電極
53…第2の接続対象部材
53a…下面
53b…電極
54…接続部

Claims (10)

  1. バインダー樹脂中に分散されて用いられる導電性粒子であって、
    基材粒子と、
    前記基材粒子の表面上に配置されており、かつ1層の構造又は2層以上の積層構造を有する第1の導電層と、
    前記第1の導電層の外側の表面上に配置された第2の導電層とを備え、
    前記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、前記第2の導電層のイオン化傾向が、前記第1の導電層のイオン化傾向よりも大きく、かつ前記第2の導電層の融点が、前記第1の導電層の融点よりも低く、
    前記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、前記第2の導電層のイオン化傾向が、前記第1の導電層の最外層のイオン化傾向よりも大きく、かつ前記第2の導電層の融点が、前記第1の導電層の最外層の融点よりも低い、導電性粒子。
  2. 前記第1の導電層が1層の構造を有する場合には、前記第1の導電層が銅層であり、
    前記第1の導電層が2層以上の積層構造を有する場合には、前記第1の導電層の最外層が銅層である、請求項1に記載の導電性粒子。
  3. 前記第2の導電層の融点が300℃以下である、請求項1又は2に記載の導電性粒子。
  4. 前記第2の導電層が錫を含む層である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  5. 平均粒子径が0.1μm以上、100μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  6. 平均粒子径が0.1μm以上、50μm以下である、請求項5に記載の導電性粒子。
  7. 前記基材粒子が樹脂粒子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性粒子。
  8. バインダー樹脂と、
    前記バインダー樹脂中に分散されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性粒子とを含む、異方性導電材料。
  9. フラックスをさらに含む、請求項8に記載の異方性導電材料。
  10. 第1の接続対象部材と、
    第2の接続対象部材と、
    前記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部とを備え、
    前記接続部が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されている異方性導電材料により形成されている、接続構造体。
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