JP2012140897A - エンジントルク制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジン回転速度検出手段22と、エンジン目標回転速度設定手段12と、検出回転速度Neからエンジン回転速度変化率を算出する手段14Aと、現在回転速度Ne,目標回転速度Nobj_FB(n)からエンジン回転速度の変化率目標値dNe_FB(n)を算出する手段13と、変化率現在値,変化率目標値に基づく第1エンジン要求トルク補正値により実エンジントルク値を補正する手段17Aと、補正後要求トルク値からエンジントルクを制御する手段18とを備え、変化率目標値算出手段13は、前回の目標回転速度Nobj_FB(n−1)と現在の回転速度Neとの偏差に応じた基本変化率目標値dNe_FB´(n)から、目標回転速度の変化に応じた変化率dNobj_FB(n)を増減して今回の変化率目標値dNe_FB(n)を算出する。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、エンジンの現時点の吸気量に対応する現在の出力トルクを推定し、現在のエンジン回転速度と目標エンジン回転速度との偏差に対応した出力トルク補正量を推定し、これらの推定した現在出力トルクと出力トルク補正量とに基づいて目標出力トルクを推定し、この目標出力トルクに基づいてエンジンのアイドル運転時空気量を制御することにより、アイドル運転時におけるエンジンのアイドル回転速度を確実に安定化させる技術が開示されている。
また、例えばCVT(無段変速機)において、変速時(変速比の変更時)にエンジン回転速度を連携して制御する場合がある。エンジンとモータ(電動発電機)とを駆動源とするハイブリッド電気自動車であって、トルクコンバータのない変速機(手動変速機或いは機械式自動変速機)を有するものにおいても、変速時(変速比の変更時)にエンジン回転速度を連携して制御する場合がある。さらに、加速時のショック対策として、エンジン回転速度を制御する場合がある。
このように、目標エンジン回転速度が変化する場合にも、エンジン回転速度を確実に目標エンジン回転速度に追従させるようにしたい。
この場合も、特許文献1の技術のように、エンジンの目標回転速度に応じて求めた目標出力トルクに基づいてエンジン目標出力トルクを制御することが考えられるが、特許文献1では、目標エンジン回転速度が変化する場合は考慮しておらず、上記の課題を解決し得ない。
この場合、前記目標回転速度設定手段は、前記今回の目標回転速度Nobj_FB(n)を設定するための前記所定の変化率dNobj_FB(n)を前記エンジンへの速度変化要求に応じて設定することが好ましい。
また、前記要求トルク値算出手段は、前記目標回転速度Nobj_FB(n)での前記エンジンの無負荷損失Pf_FBと現在の回転速度Neでの前記エンジンの無負荷損失Pfとに基づき第2エンジン要求トルク補正値dPi_pを算出し、この第2エンジン要求トルク補正値dPi_pを用いて前記補正後要求トルク値Pi_Ne_FB(n)を算出することが好ましい。
このとき、第1エンジン要求トルク補正値dPi_dは、今回のエンジンの回転速度の変化率の現在値dNe、及び、変化率の目標値dNe_FB(n)に基づき算出するが、この変化率の目標値dNe_FB(n)は、前回の目標回転速度Nobj_FB(n−1)と現在回転速度Neとの偏差に対応した基本変化率目標値dNe_FB´(n)から、目標回転速度Nobj_FBの変化に対応した所定の変化率dNobj_FB(n)を増減して算出する。
つまり、基本変化率目標値dNe_FB´(n)は、現在回転速度Neを一定の目標回転速度Nobj_FB(n−1)へ近づけるという観点から設定することができ、目標回転速度Nobj_FB(n−1)が変化しなければこの基本変化率目標値dNe_FB´(n)により適正な制御を実施することが可能になる。
このように設定した補正後要求トルク値Pi_Ne_FB(n)に基づいてエンジンのトルクを制御するので、目標回転速度が変化する場合においてもエンジンに対し適切なトルクを要求することができ、これにより、エンジンの回転速度を目標値に確実に追従させるように制御することができる。
〔構成〕
本実施形態にかかるエンジントルク制御装置は、自動車に搭載されたエンジン2を制御するエンジンECU(エンジン電子制御ユニット)10によって構成される。なお、エンジンECU10は、詳細を図示しないが、CPU,ROM,RAM及びI/Oポート等により構成された周知のコンピュータである。
実エンジントルク推定手段11は、エアーフローセンサ(吸入空気流量検出手段)21により検出された吸入空気量Qaに基づいて現時点のエンジン2の吸気量に対応する現在の実際のエンジントルク値Pi_ACTを推定する。ただし、検出吸入空気量Qaが変化するとスロットル通過吸気流量が変化して現在エンジントルク値Pi_ACTも変化するが、スロットル通過吸気流量が変化しても、この流量が変化した吸気が、吸気管全体を満たすために拡散するため、実際にエンジン2に吸入される吸気量にはスロットル通過吸気流量に対して吸気管全体容積とエンジン2の気筒容積に応じた応答遅れが生じる。そこで、実エンジントルク推定手段11は、充填効率Ecが現在のエアーフローセンサ21により検出された吸入空気量Qaに対して、吸気管全体容積とエンジン2の気筒容積とに対応した一次遅れをもって変化するものとして、現在の充填効率Ec(n)を推定し、現在の充填効率Ec(n)に対応する実際のエンジントルク値Pi_ACTを推定する。
Ecr=Qa×τ×KQEc ・・・(1)
但し、τは4気筒エンジンの場合の180°CA周期(sec)であり、KQEcは変換係数である。
Ec(n)=KANF・Ec(n−1)+(1−KANF)・Ecr ・・・(2)
Pi_ACT(n)=f2[Ne(n),Ec(n)] ・・・(3)
但し、Ne(n)はエンジン回転速度センサ(回転速度検出手段)22で検出された現在のエンジン回転速度である。
KANF=VIM/(VIM+VCYL) ・・・(4)
この外部要求とは、例えば、エンジン2がCVT(無段変速機)を介して自動車の駆動輪と接続されている場合には、変速時(変速比の変更時)にエンジン2の回転速度(エンジン回転速度)を連携して制御する場合があり、図示しない変速機ECUから目標回転速度Nobj_FBの増減要求があり、これが外部要求となる。また、エンジン2を搭載した自動車が、エンジン2と図示しないモータ(電動発電機)とを駆動源とするハイブリッド電気自動車であって、トルクコンバータのない変速機(手動変速機或いは機械式自動変速機)を有するものにおいても、変速時(変速比の変更時)にエンジン2の回転速度を連携して制御する場合があり、図示しない変速機ECUから目標回転速度Nobj_FBの増減要求があり、これが外部要求となる。さらに、加速時のショック対策として、エンジン回転速度を制御する場合があり、これが外部要求となる。
Nobj_FB(n)=Nobj_FB(n−1)+dNobj_FB×dt ・・・(5)
図3に示すように、偏差ΔNeが0であればエンジン回転速度を変化させる必要はなく基本変化率目標値dNe_FB´(n)は0である。
ただし、基本変化率目標値dNe_FB´(n)の大きさには、制限が設けられており、偏差ΔNeの大きさがさらに大きくなっていくと、上記変化率は次第に小さくなって制限値(上限値又は下限値)へと近づいていく。このように、基本変化率目標値dNe_FB´(n)の大きさに制限を設けているのは、特に、目標エンジン回転速度が略一定の場合に、偏差ΔNeの大きさが極めて大きいからといって基本変化率目標値dNe_FB´(n)を過剰に大きくすると、制御のオーバシュートやハンチングを招くおそれが発生するため、これを回避するためである。また、上記変化率を制限値に向けて滑らかに変化させることにより制御を安定させている。
dNe_FB(n)=dNe_FB´(n)+dNobj_FB ・・・(6)
なお、エンジン回転速度変化率現在値dNeは変化率算出手段14Aにより算出される。変化率算出手段14Aでは、エンジン回転速度変化率現在値dNeを、エンジン回転速度センサ22により検出されたエンジン回転速度Neを処理して得られるが、2行程前から現時点までの2行程間のエンジンの回転速度の変化率が得られ、これをエンジンの回転速度の変化率の現在値dNeとする。
dPi_d=Ie×[Ne_FB(n)−dNe] ・・・(7)
dPi_ p=[Pf_FB×Nobj_FB(n)−Pf_×Ne]/Ne・・・(8)
要求トルク値算出手段17は、要求トルク値補正手段17Aにより、下式(9)のように、実際のエンジントルク値Pi_ACT_2cを基に、第1エンジン要求トルク補正値(微分補正項)dPi_ dと第2エンジン要求トルク補正値(比例補正項)Pi_pと第3エンジン要求トルク補正値(補機負荷変化分補正量)dPi_AUXとにより加算補正して、エンジン要求トルク値Pi_Ne_FB(n)を算出する。なお、実際のエンジントルク値Pi_ACT_2cには、現時点の2行程前の値を用いる。
Pi_Ne_FB(n)=Pi_ACT_2c+dPi_d+dPi_ p+dPi_AUX・・・(9)
本発明の一実施形態にかかるエンジントルク制御装置は、上述のように構成されるので、エンジンECU10では、予め設定された所定の制御周期で、エンジン要求トルク値Pi_Ne_FB(n)を算出する。
そして、目標エンジン回転速度設定手段12が、外部要求に応じて目標エンジン回転速度の増減分(変化率B)dNobj_FBを設定し、前回周期(n−1)で設定された目標回転速度Nobj_FB(n−1)にこの増減分dNobj_FBを時間積分した値(=dNobj_FB×dt)を加算して、今回の目標回転速度Nobj_FB(n)を設定する。
かかる基本変化率目標値dNe_FB´(n)により、目標エンジン回転速度が略一定の場合にも、偏差ΔNeの大きさが極めて大きいからといって基本変化率目標値dNe_FB´(n)を過剰に大きくせずに(図3参照)、制御のオーバシュートやハンチングを回避することができる。
第1補正値算出手段14は、こうして算出した今回のエンジン回転速度変化率目標値(目標値C)dNe_FB(n)とエンジン回転速度変化率現在値dNeとの差分にエンジンの出力軸、即ち、クランクシャフト周り(主運動系、フライホイール等を含む)の慣性モーメントIeを乗じて第1エンジン要求トルク補正値(微分補正項)dPi_dを算出する。
第3補正値算出手段16は、エンジン2の補機類が作動した場合にこれに応じた負荷変化分を第3エンジン要求トルク補正値(補機負荷変化分補正量)dPi_AUXとして算出する。
エンジントルク制御手段18では、こうして算出されたエンジン要求トルク値Pi_Ne_FB(n)に基づいてエンジンのトルクを制御する。具体的には、エンジン2のスロットル開度および点火時期をエンジン要求トルク値Pi_Ne_FB(n)に対応したものに制御する。
したがって、例えば、エンジン2がCVT(無段変速機)を介して自動車の駆動輪と接続されている場合に、変速時(変速比の変更時)にエンジン回転速度を連携して制御する際に、変速機ECUから目標エンジン回転速度Nobj_FBの増減要求があった場合にもこの要求に速やかに対応することができる。
また、目標エンジン回転速度Nobj_FB(n)でのエンジンの無負荷損失Pf_FBと現在のエンジン回転速度Neでのエンジンの無負荷損失Pfとの差分に応じた第2エンジン要求トルク補正値(比例補正項)dPi_pによる補正によって、エンジン回転速度Neを目標エンジン回転速度Nobj_FB(n)に確実に近づけることができ、第3エンジン要求トルク補正値(補機負荷変化分補正量)dPi_AUXによる補正によって、補機負荷変化時にもエンジン回転速度Neを目標エンジン回転速度Nobj_FB(n)に確実に近づけることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態の限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、この実施形態の一部を変形して利用したり、この実施形態の一部のみを利用したりすることが可能である。
また、上記の実施形態では、エンジントルクに相関するパラメータとして、平均有効圧Piを用いているが、エンジントルクのパラメータはこれに限るものではない。
10 エンジンECU(エンジン電子制御ユニット)
11 実エンジントルク推定手段
12 目標回転速度設定手段
13 変化率目標値算出手段
14 第1補正値算出手段
14A 変化率算出手段
15 第2補正値算出手段
16 第3補正値算出手段
17 エンジン要求トルク値算出手段(要求トルク値算出手段)
17A 要求トルク値補正手段
18 エンジントルク制御手段(制御手段)
21 エアーフローセンサ(吸入空気流量検出手段)
22 エンジン回転速度センサ(回転速度検出手段)
Claims (6)
- エンジンの回転速度Neを検出する回転速度検出手段と、
前記エンジンの目標回転速度Nobj_FB(n)を設定する目標回転速度設定手段と、
前記回転速度検出手段で検出される現在の回転速度Neに基づき、前記エンジンの回転速度の変化率の現在値dNeを算出する変化率算出手段と、
前記回転速度検出手段で検出される現在の回転速度Ne、及び、前記目標回転速度設定手段で設定される目標回転速度Nobj_FB(n)に基づき、前記エンジンの回転速度の変化率の目標値dNe_FB(n)を算出する変化率目標値算出手段と、
前記変化率算出手段で算出される前記変化率の現在値dNeと前記変化率目標値算出手段で算出される前記変化率の目標値dNe_FB(n)とに基づき第1エンジン要求トルク補正値dPi_dを算出し、この第1エンジン要求トルク補正値dPi_dを用いて実際のエンジントルク値Pi_ACT_2cを補正した補正後要求トルク値Pi_Ne_FB(n)を算出する要求トルク値算出手段と、
前記要求トルク値算出手段で算出した補正後要求トルク値Pi_Ne_FB(n)に基づいてエンジンのトルクを制御する制御手段とを備え、
前記変化率目標値算出手段は、前回の前記目標回転速度Nobj_FB(n−1)と現在回転速度Neとの偏差に対応した基本変化率目標値dNe_FB´(n)から、前記目標回転速度Nobj_FBの変化に対応した所定の変化率dNobj_FB(n)を増減して今回の前記エンジン回転速度変化率目標値dNe_FB(n)を算出する
ことを特徴とする、エンジントルク制御装置。 - 前記目標回転速度設定手段は、前回の目標回転速度Nobj_FB(n−1)から前記所定の変化率dNobj_FB(n)を増減して今回の目標回転速度Nobj_FB(n)を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジントルク制御装置。 - 前記目標回転速度設定手段は、前記今回の目標回転速度Nobj_FB(n)を設定するための前記所定の変化率dNobj_FB(n)を前記エンジンへの速度変化要求に応じて設定する
ことを特徴とする、請求項2記載のエンジントルク制御装置。 - 前記要求トルク値算出手段は、前記変化率の現在値dNeと前記変化率の目標値dNe_FB(n)との差分(dNe_FB−dNe)に前記エンジンの出力軸周りの慣性モーメントIeを乗じて、前記第1エンジン要求トルク補正値dPi_dを算出する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジントルク制御装置。 - 前記要求トルク値算出手段は、前記目標回転速度Nobj_FB(n)での前記エンジンの無負荷損失Pf_FBと現在の回転速度Neでの前記エンジンの無負荷損失Pfとに基づき第2のエンジン要求トルク補正値dPi_pを算出し、この第2エンジン要求トルク補正値dPi_pを用いて前記補正後要求トルク値Pi_Ne_FB(n)を算出する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジントルク制御装置。 - 前記要求トルク値算出手段は、前記目標回転速度Nobj_FB(n)での前記エンジンの前記無負荷損失Pf_FBと前記目標回転速度Nobj_FB(n)との積と、現在の回転速度Neでの前記エンジンの無負荷損失Pfと現在の回転速度Neとの積との差分に応じて、前記第2エンジン要求トルク補正値dPi_pを算出する
ことを特徴とする、請求項5記載のエンジントルク制御装置。
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