JP2012140538A - 重合性組成物、樹脂成形体、及び積層体 - Google Patents

重合性組成物、樹脂成形体、及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】高周波領域での誘電正接が極めて小さく、配線埋め込み性、耐熱性、及びめっき性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体、並びに、それらを用いて得られる積層体を提供すること。
【解決手段】シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物、及びビニリデン基を3つ有する三官能化合物を含有してなり、かつ前記一官能化合物、前記二官能化合物、及び前記三官能化合物の含有割合が重量比(一官能化合物:二官能化合物:三官能化合物)で1〜20:0.1〜20:10〜25である、重合性組成物、該組成物を用いてなる架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体、並びに、少なくとも、前記架橋性樹脂成形体、又は前記架橋樹脂成形体からなる層を有してなる積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合性組成物、樹脂成形体、及び積層体に関する。詳しくは、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、配線埋め込み性、耐熱性、及びめっき性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体、並びに、それらを用いて得られる積層体に関する。
近年、高度情報化時代を迎え、情報伝送は高速化・高周波化に動き出し、マイクロ波通信やミリ波通信が現実になってきている。これらの高周波化時代の回路基板には、高周波における伝送ロスを極限まで軽減するために誘電正接が小さい材料が求められている。誘電正接が小さい樹脂材料としてはシクロオレフィンモノマーを重合したシクロオレフィンポリマーが注目されている。
かかるシクロオレフィンポリマーを用いた基板材料としては、これまでに種々のものが知られているが、例えば、特許文献1には、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、配線埋め込み性、耐熱性、及び冷熱衝撃試験での耐クラック性に優れた積層体の製造に有用な、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、及び反応性流動化剤を含有してなる重合性組成物、並びにそれを用いてなる、架橋性樹脂成形体(例えば、プリプレグ)、架橋樹脂成形体、及び積層体が開示されている。反応性流動化剤としては、重合性の炭素−炭素不飽和結合を持たず、かつ架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有する単官能化合物が用いられることが、また、前記積層体は高周波基板材料として有用であることが、記載されている。
国際公開第2010−047348号公報
本発明者らは、前記特許文献1に従ってプリプレグ及び積層体を得、それらの特性について調べたところ、当該プリプレグによれば前記の通りの特性を有する積層体が得られるが、めっき性に劣る場合があることが明らかになった。
本発明の目的は、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、配線埋め込み性、耐熱性、及びめっき性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体、並びに、それらを用いて得られる積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討の結果、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、並びに架橋助剤として所定の割合で一官能、二官能、及び三官能のメタクリレート化合物を含む重合性組成物によれば、加熱硬化時の樹脂流動性に優れたプリプレグが得られ、当該プリプレグによれば、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、配線埋め込み性、耐熱性、及びめっき性に優れた積層体が得られることを見出した。本発明者らは、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物、及びビニリデン基を3つ有する三官能化合物を含有してなり、かつ前記一官能化合物、前記二官能化合物、及び前記三官能化合物の含有割合が重量比(一官能化合物:二官能化合物:三官能化合物)で1〜20:0.1〜20:10〜25である、重合性組成物、
〔2〕一官能化合物が一官能メタクリレート化合物であり、二官能化合物が二官能メタクリレート化合物であり、三官能化合物が三官能メタクリレート化合物である、前記〔1〕記載の重合性組成物、
〔3〕充填剤をさらに含有する前記〔1〕又は〔2〕記載の重合性組成物、
〔4〕連鎖移動剤をさらに含有する前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の重合性組成物、
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形体、
〔6〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる重合体を架橋してなる架橋樹脂成形体、並びに
〔7〕少なくとも、前記〔5〕に記載の架橋性樹脂成形体、又は前記〔6〕に記載の架橋樹脂成形体からなる層を有してなる積層体、
が提供される。
本発明によれば、高周波領域での誘電正接が極めて小さく、配線埋め込み性、耐熱性、及びめっき性に優れた積層体の製造に有用な、重合性組成物、架橋性樹脂成形体及び架橋樹脂成形体、並びに前記特性を有する積層体を提供することができる。本発明の積層体は、通信機器用途等に用いられるマイクロ波又はミリ波等の高周波回路基板の製造に好適に使用することができる。
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物、及びビニリデン基を3つ有する三官能化合物を含有してなり、かつ前記一官能化合物、前記二官能化合物、及び前記三官能化合物の含有割合が重量比(一官能化合物:二官能化合物:三官能化合物)で1〜20:0.1〜20:10〜25であるものである。
(シクロオレフィンモノマー)
本発明に使用されるシクロオレフィンモノマーは、炭素原子で形成される脂環構造を有し、かつ該脂環構造中に重合性の炭素−炭素二重結合を1つ有する化合物である。本明細書において「重合性の炭素−炭素二重結合」とは、連鎖重合(開環重合)可能な炭素−炭素二重結合をいう。開環重合には、イオン重合、ラジカル重合、及びメタセシス重合など、種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、メタセシス開環重合をいう。
シクロオレフィンモノマーの脂環構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環及びこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。各脂環構造を構成する炭素数に特に限定はないが、通常、4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、及びアリール基などの、炭素数1〜30の炭化水素基や、カルボキシル基や酸無水物基などの極性基を置換基として有していてもよいが、得られる積層体を低誘電正接とする観点から、極性基を持たない、すなわち、炭素原子と水素原子のみで構成されるものが好ましい。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環のシクロオレフィンモノマーと多環のシクロオレフィンモノマーのいずれをも用いることができる。得られる積層体の誘電特性、及び耐熱性の特性を高度にバランスさせる観点から、多環のシクロオレフィンモノマーが好ましい。多環のシクロオレフィンモノマーとしては、特にノルボルネン系モノマーが好ましい。「ノルボルネン系モノマー」とは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーをいう。例えば、ノルボルネン類、ジシクロペンタジエン類、及びテトラシクロドデセン類などが挙げられる。
シクロオレフィンモノマーとしては、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないものと、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するもののいずれをも用いることができる。本明細書において「架橋性の炭素−炭素不飽和結合」とは、開環重合には関与せず、架橋反応に関与可能な炭素−炭素不飽和結合をいう。架橋反応とは橋架け構造を形成する反応であり、縮合反応、付加反応、ラジカル反応、及びメタセシス反応など、種々の形態のものが存在するが、本発明においては、通常、ラジカル架橋反応又はメタセシス架橋反応、特にラジカル架橋反応をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合としては、芳香族炭素−炭素不飽和結合を除く炭素−炭素不飽和結合、すなわち、脂肪族炭素−炭素二重結合又は三重結合が挙げられ、本発明においては、通常、脂肪族炭素−炭素二重結合をいう。架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマー中、不飽和結合の位置は特に限定されるものではなく、炭素原子で形成される脂環構造内の他、該脂環構造以外の任意の位置、例えば、側鎖の末端や内部に存在していてもよい。例えば、前記脂肪族炭素−炭素二重結合は、ビニル基(CH=CH−)、ビニリデン基(CH=C<)、又はビニレン基(−CH=CH−)として存在し得、良好にラジカル架橋反応性を発揮することから、ビニル基及び/又はビニリデン基として存在するのが好ましく、ビニリデン基として存在するのがより好ましい。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、シクロへキセン、3−メチルシクロへキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3−クロロシクロヘキセン、及びシクロへプテンなどの単環シクロオレフィンモノマー;ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−プロピル−2−ノルボルネン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、1−メチル−2−ノルボルネン、7−メチル−2−ノルボルネン、5,5,6−トリメチル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン(TCD)、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロへキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、5−クロロ−2−ノルボルネン、5,5−ジクロロ−2−ノルボルネン、5−フルオロ−2−ノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチル−2−ノルボルネン、5−クロロメチル−2−ノルボルネン、5−メトキシ−2−ノルボルネン、5,6−ジカルボキシル−2−ノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノ−2−ノルボルネン、及び5−シアノ−2−ノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができ、好ましくは架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないノルボルネン系モノマーである。
架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、3−ビニルシクロヘキセン、4−ビニルシクロヘキセン、1,3−シクロペンタジエン、1,3−シクロへキサジエン、1,4−シクロへキサジエン、5−エチル−1,3−シクロへキサジエン、1,3−シクロへプタジエン、及び1,3−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー;5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−アリル−2−ノルボルネン、5,6−ジエチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン及び2,5−ノルボルナジエンなどのノルボルネン系モノマー;を挙げることができ、好ましくは架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するノルボルネン系モノマーである。
これらのシクロオレフィンモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に使用されるシクロオレフィンモノマーとしては、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーを含むものが好ましい。かかるシクロオレフィンモノマーを用いると、得られる積層体の信頼性が向上し、好適である。
本発明の重合性組成物に配合するシクロオレフィンモノマー中、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマーと架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマーとの配合割合は所望により適宜選択すればよいが、重量比の値(架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するシクロオレフィンモノマー/架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たないシクロオレフィンモノマー)で、通常、5/95〜100/0、好ましくは10/90〜90/10、より好ましくは15/85〜70/30の範囲である。当該配合割合がかかる範囲にあれば、得られる積層体において、耐熱性を高度に向上させることができ、好適である。
なお、本発明の重合性組成物には、本発明の効果の発現が阻害されない限り、以上のシクロオレフィンモノマーと共重合可能な任意のモノマーが含まれていてもよい。
(重合触媒)
本発明に使用される重合触媒としては、前記シクロオレフィンモノマーを重合できるものであれば特に限定はないが、本発明の重合性組成物は、後述の架橋性樹脂成形体の製造において、直接塊状重合に供して用いるのが好適であり、通常、メタセシス重合触媒を用いるのが好ましい。
メタセシス重合触媒としては、前記シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合可能である、通常、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン、及び化合物などが結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、5族、6族及び8族(長周期型周期表による。以下、同じ。)の原子が使用される。それぞれの族の原子は特に限定されないが、5族の原子としては、例えば、タンタルが挙げられ、6族の原子としては、例えば、モリブデンやタングステンが挙げられ、8族の原子としては、例えば、ルテニウムやオスミウムが挙げられる。遷移金属原子としては、中でも、8族のルテニウムやオスミウムが好ましい。すなわち、本発明に使用されるメタセシス重合触媒としては、ルテニウム又はオスミウムを中心原子とする錯体が好ましく、ルテニウムを中心原子とする錯体がより好ましい。ルテニウムを中心原子とする錯体としては、カルベン化合物がルテニウムに配位してなるルテニウムカルベン錯体が好ましい。ここで、「カルベン化合物」とは、メチレン遊離基を有する化合物の総称であり、(>C:)で表されるような電荷のない2価の炭素原子(カルベン炭素)を持つ化合物をいう。ルテニウムカルベン錯体は、塊状重合時の触媒活性に優れるため、本発明の重合性組成物を塊状重合に供して架橋性樹脂成形体を得る場合、得られる成形体には未反応のモノマーに由来する臭気が少なく、生産性良く良質な成形体が得られる。また、酸素や空気中の水分に対して比較的安定であって、失活しにくいので、大気下でも使用可能である。
ルテニウムカルベン錯体の具体例としては、以下の式(1)又は式(2)で表される錯
体が挙げられる。
Figure 2012140538
式(1)及び(2)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでいてもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。X及びXはそれぞれ独立して、任意のアニオン性配位子を示す。L及びLはそれぞれ独立して、ヘテロ原子含有カルベン化合物又はヘテロ原子含有カルベン化合物以外の中性電子供与性化合物を表す。また、RとRは互いに結合して、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環又は芳香族環を形成してもよい。さらに、R、R、X、X、L及びLは、任意の組合せで互いに結合して多座キレート化配位子を形成してもよい。
ヘテロ原子とは、周期律表15族及び16族の原子を意味し、具体的には、窒素原子(N)、酸素原子(O)、リン原子(P)、硫黄原子(S)、砒素原子(As)、及びセレン原子(Se)などを挙げることができる。これらの中でも、安定なカルベン化合物が得られる観点から、N、O、P、及びSなどが好ましく、Nが特に好ましい。
前記ルテニウムカルベン錯体としては、得られる架橋樹脂成形体及び積層体の機械的強度と耐衝撃性とが高度にバランスされ得ることから、ヘテロ原子含有カルベン化合物としてヘテロ環構造を有するカルベン化合物を配位子として少なくとも1つ有するものが好ましい。ヘテロ環構造としては、イミダゾリン環構造又はイミダゾリジン環構造が好ましい。
ヘテロ環構造を有するカルベン化合物としては、以下の式(3)又は式(4)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2012140538
式(3)及び(4)において、R〜Rはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子若しくは珪素原子を含んでいてもよい、環状又は鎖状の、炭素数1〜20個の炭化水素基を表す。また、R〜Rは任意の組合せで互いに結合して環を形成していてもよい。
前記式(3)又は式(4)で表される化合物としては、1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン、1,3−ジメシチルオクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン、1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン、1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン、及び1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデンなどが挙
げられる。
また、前記式(3)又は式(4)で示される化合物のほかに、1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、1,3−ジシクロヘキシルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン、N,N,N’,N’−テトライソプロピルホルムアミジニリデン、1,3,4−トリフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン、及び3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2,3−ジヒドロチアゾール−2−イリデンなどのヘテロ原子含有カルベン化合物も用い得る。
前記式(1)及び(2)において、アニオン(陰イオン)性配位子X、Xは、中心原子から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子である。例えば、弗素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、及び沃素原子(I)などのハロゲン原子、ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びカルボキシル基などを挙げることができる。これらの中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
また、中性電子供与性化合物は、中心原子から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子であればいかなるものでもよい。その具体例としては、カルボニル類、アミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、及びチオシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、エーテル類及びピリジン類が好ましく、トリアルキルホスフィンがより好ましい。
前記式(1)で表されるルテニウムカルベン錯体としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(3−フェニル−1H−インデン−1−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−フェニルエチリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)[(フェニルチオ)メチレン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及び(1,3−ジメシチル−4,5−ジブロモ−4−イミダゾリン−2−イリデン)(2−ピロリドン−1−イルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、ヘテロ原子含有カルベン化合物及び中性の電子供与性化合物が各々1つ結合したルテニウムカルベン錯体;
ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリドや(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)ビス(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリドなどの、2つの中性電子供与性化合物が結合したルテニウムカルベン錯体;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドやベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの、2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウムカルベン錯体;などが挙げられる。
前記式(2)で表されるルテニウムカルベン錯体としては、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、及びビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらのルテニウムカルベン錯体の中でも、前記式(1)で表され、かつ配位子として前記式(4)で表される化合物を1つ有するものが最も好ましい。
これらのルテニウムカルベン錯体は、Org. Lett., 1999年, 第1巻, 953頁や、Tetrahedron. Lett., 1999年, 第40巻, 2247頁などに記載された方法によって製造することができる。
前記メタセシス重合触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。メタセシス重合触媒の使用量は、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:シクロオレフィンモノマー)で、通常、1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は所望により、少量の不活性溶媒に溶解又は懸濁して使用することができる。かかる溶媒としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、流動パラフィン、及びミネラルスピリットなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ジシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、及びシクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;インデンやテトラヒドロナフタレンなどの脂環と芳香環とを有する炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、及びアセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、及び脂環と芳香環とを有する炭化水素の使用が好ましい。
(架橋剤)
本発明に使用される架橋剤は、本発明の重合性組成物を重合反応に供して得られる重合体(シクロオレフィンポリマー)において架橋反応を誘起する目的で使用される。従って、該重合体は、後架橋可能な熱可塑性樹脂となりうる。ここで「後架橋可能な」とは、該樹脂を加熱することにより架橋反応を進行させて架橋樹脂になし得ることを意味する。前記重合体を基材樹脂とする本発明の架橋性樹脂成形体は、加熱により溶融するが、高粘度であるため、その形状は保持する一方、任意の部材を接触させた場合、その表面では、該部材の形状に対し樹脂が追従性を発揮し、最終的に架橋して硬化する。本発明の架橋性樹脂成形体のかかる特性は、本発明の架橋性樹脂成形体を積層し、加熱して溶融、架橋して得られる積層体において層間密着性及び配線埋め込み性の発現に寄与するものと考えられる。
本発明において架橋剤としては、特に限定されないが、通常、ラジカル発生剤が好適に用いられる。ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジアゾ化合物、及び非極性ラジカル発生剤などが挙げられ、好ましくは有機過酸化物、及び非極性ラジカル発生剤である。
有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、及びクメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシドやベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、及び1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテートやt−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナートやジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド類;3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン、及び3,6−ジエチル−3,6−ジメチル−1,2,4,5−テトロキサンなどの環状パーオキサイド類;が挙げられる。中でも、重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、及び環状パーオキサイド類が好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノンや2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルエタン、及び1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
ラジカル発生剤を架橋剤として使用する場合、1分間半減期温度は、硬化(本発明の重合性組成物を重合反応に供して得られる重合体の架橋)の条件により適宜選択されるが、通常、100〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好ましくは160〜230℃の範囲である。ここで1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。ラジカル発生剤の1分間半減期温度は、例えば、各ラジカル発生剤メーカー(例えば、日本油脂株式会社)のカタログやホームページを参照すればよい。
前記ラジカル発生剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物へのラジカル発生剤の配合量としては、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部の範囲である。
(架橋助剤)
本発明の重合性組成物には、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物(以下、単に一官能化合物という場合がある。)、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物(以下、単に二官能化合物という場合がある。)、及びビニリデン基を3つ有する三官能化合物(以下、単に三官能化合物という場合がある。)が用いられるが、これらの化合物は、本発明の重合性組成物を重合反応に供して得られる重合体の架橋を促進する架橋助剤として機能する。これらの化合物はいずれも、開環重合反応には関与しないが、ビニリデン基により、架橋剤で誘起される架橋反応に関与しうる。本発明の重合性組成物において、これらの一官能化合物、二官能化合物、及び三官能化合物は、重量比(一官能化合物:二官能化合物:三官能化合物)で1〜20:0.1〜20:10〜25の含有割合で用いられる。
前記の通り、本発明の重合性組成物を重合反応に供して得られる重合体は、後架橋可能な熱可塑性樹脂となりうる。本発明の架橋性樹脂成形体は、かかる重合体を基材樹脂とするものである。
本発明に使用する一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物はいずれも、本発明の架橋性樹脂成形体を構成する重合体中、実質的に遊離の状態で存在しており、従って、該重合体に対し可塑効果を発現する。そのため、該成形体を加熱すると重合体が溶融し、適度な流動性を示す。一方、該成形体の加熱を続けると架橋剤により架橋反応が誘起されるが、一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物はいずれも、架橋反応に関与して重合体への結合反応性を示すことから、架橋反応の進行と共に、遊離の状態で存在するものが減少し、架橋反応の終了時点では、重合体に結合するものと推定される。一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物は上記の通りの特性を示すが、重合体への結合反応性は一官能化合物<二官能化合物<三官能化合物の順で高いようであり、従って、可塑効果は、三官能化合物<二官能化合物<一官能化合物の順で長く発現されうる。架橋助剤は、得られる積層体において架橋密度を高め、積層体の耐熱性を向上させる意図で用いられるが、架橋性樹脂成形体の加熱時に、該成形体を構成する重合体で、より早期に架橋構造が形成されると充分な重合体の流動性が得られず、架橋性樹脂成形体表面の、他の部材に対する樹脂の追従性が低下する。その点、一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物を組合わせて用いると、重合体において、三官能化合物による可塑効果の発現が消失した後においても、一官能化合物や二官能化合物による可塑効果の持続的発現が期待でき、得られる積層体では、配線埋め込み性、及び耐熱性が非常にバランス良く向上することになる。
すなわち、本発明においては、得られる積層体において配線埋め込み性の向上に寄与する、硬化時における基材樹脂の適度な流動性の発現と、得られる積層体において耐熱性の向上に寄与する、硬化後の基材樹脂の架橋密度の増加、という相反する物理現象を、所定の一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物を前記範囲の含有割合で組合わせて用いることにより両立させている。
反対に、それらの一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物を前記範囲の含有割合で用いない場合、一官能化合物の割合が過剰であると、得られる積層体に一官能化合物が残存して揮発成分となり、耐熱性及びめっき性が不充分になり、一官能化合物の割合が不足すると、積層体で充分な配線埋め込み性が得られない、また、二官能化合物の割合が過剰であると、得られる積層体において誘電正接が悪化し、二官能化合物の割合が不足すると、積層体で充分な配線埋め込み性が得られない、さらに、三官能化合物の割合が過剰であると、得られる積層体において誘電正接が悪化し、三官能化合物の割合が不足すると、積層体で充分な耐熱性が得られない。
本発明に使用する一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物において、ビニリデン基は、架橋反応性に優れることから、イソプロペニル基又はメタクリル基として存在するのが好ましく、メタクリル基として存在するのがより好ましい。
ビニリデン基を1つ有する一官能化合物の具体例としては、イソプロペニルベンゼン、2-イソプロペニルトルエン、4-イソプロペニルトルエン、2-イソプロペニルナフタレン、イソプロペニルオキシトリメチルシラン、及び酢酸イソプロペニルなどの、イソプロペニル基を1つ有する一官能化合物;及びベンジルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートオクテニルメタクリレート、トリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレートなどの、メタクリル基を1つ有する一官能化合物;などが挙げられる。ビニリデン基を1つ有する一官能化合物としては、メタクリル基を1つ有する一官能化合物(一官能メタクリレート化合物)が好ましい。
ビニリデン基を2つ有する二官能化合物の具体例としては、p−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、及びo−ジイソプロペニルベンゼンなどの、イソプロペニル基を2つ有する二官能化合物;エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1、3―アダマンチルジメタノールジメタクリレート、1、4−アダマンチルジメタノールジメタクリレート、及び2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンなどの、メタクリル基を2つ有する二官能化合物などが挙げられる。ビニリデン基を2つ有する二官能化合物としては、メタクリル基を2つ有する二官能化合物(二官能メタクリレート化合物)が好ましい。
ビニリデン基を3つ有する三官能化合物の具体例としては、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレートやペンタエリトリトールトリメタクリレートなどの、メタクリル基を3つ有する三官能化合物などが挙げられる。ビニリデン基を3つ有する三官能化合物としては、メタクリル基を3つ有する三官能化合物(三官能メタクリレート化合物)が好ましい。
本発明においては、一官能メタクリレート化合物、二官能メタクリレート化合物及び三官能メタクリレート化合物を前記所定の含有割合で組合せて用いるのが特に好ましく、当該組合せの具体例としては、ベンジルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートオクテニルメタクリレート、トリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、及びジシクロペンタニルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物(以上、一官能メタクリレート化合物)と、エチレンジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、1,4−ブチレンジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1、3―アダマンチルジメタノールジメタクリレート、1、4−アダマンチルジメタノールジメタクリレート、及び2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパンからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物(以上、二官能メタクリレート化合物)と、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート(以上、三官能メタクリレート化合物)とからなる組合せが挙げられる。かかる組合せによれば、架橋性樹脂成形体においては、加熱硬化時の樹脂流動性が向上し、該成形体表面の、他の部材に対する樹脂の追従性が高まり、また、積層体においては、配線埋め込み性、耐熱性、及びめっき性が高度にバランスされ、非常に好適である。
本発明の重合性組成物中、前記の通りの、一官能化合物、二官能化合物、及び三官能化合物の含有割合としては、得られる架橋性樹脂成形体の樹脂流動性を高め、また、得られる積層体において耐熱性を向上させる観点から、重量比(一官能化合物:二官能化合物:三官能化合物)で、好ましくは2〜18:2〜18:12〜23であり、より好ましくは4〜16:4〜16:14〜21である。
前記一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物への一官能化合物、二官能化合物及び三官能化合物の合計配合量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜75重量部、より好ましくは1〜50重量部である。
(重合性組成物)
本発明の重合性組成物には、上記する、シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、一官能化合物、二官能化合物、及び三官能化合物を必須成分として、所望により、充填剤、重合調整剤、重合反応遅延剤、連鎖移動剤、老化防止剤、及びその他の配合剤を添加することができる。
本発明においては、積層体を高機能化させる観点から、重合性組成物に充填剤を配合するのが好適である。本発明の重合性組成物は、従来、プリプレグや積層体の製造に用いられている、エポキシ樹脂等を溶媒に溶かしてなる重合体ワニスと比べて低粘度であるため、容易に充填剤を高配合することができる。よって、得られる架橋性樹脂成形体や積層体中には、充填剤が、従来のプリプレグ又は積層体の限界含有量を超えて含まれ得る。
充填剤としては、有機充填剤及び無機充填剤のいずれをも用いることができる。所望により適宜選択すればよいが、通常、無機充填剤が好適に用いられる。かかる無機充填剤としては、例えば、高誘電フィラー、低線膨張フィラー、ハロゲン難燃剤、及び非ハロゲン難燃剤が挙げられる。
高誘電フィラーとは誘電性が概して高い無機フィラーである。本発明の重合性組成物に配合することで、得られる積層体において誘電正接は小さく、かつ誘電率を大きくできるため、例えば、かかる積層体によれば、低損失で、デバイス設計の小さな回路基板等が得られ、好適である。
高誘電フィラーとしては、工業的に使用されるものであれば格別な限定なく用いることができるが、特に1GHzにて20℃で測定される比誘電率が、通常、5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上のものが好適である。かかる高誘電フィラーとしては、例えば、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸鉛、及びジルコニアなどのジルコン酸化物;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸コバルト、チタン酸亜鉛、及びチタニアなどのチタン酸化物;などを挙げることができる。
低線膨張フィラーとは線膨張係数が概して低い無機フィラーである。本発明の重合性組成物に配合することで、得られる積層体において機械的強度が向上し、線膨張係数を低減させることができ、好適である。
低線膨張フィラーの線膨張係数としては、通常、15ppm/℃以下である。低線膨張フィラーの線膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)により測定することができる。かかる低線膨張フィラーとしては、工業的に用いられるものであれば格別な限定なく用いることができる。例えば、シリカ、シリカバルーン、アルミナ、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化すず、酸化ベリリウム、バリウムフェライト、及びストロンチウムフェライト等の無機酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸水素ナトリウム等の無機炭酸塩;硫酸カルシウム等の無機硫酸塩;タルク、クレー、マイカ、カオリン、フライアッシュ、モンモリロナイト、ケイ酸カルシウム、ガラス、及びガラスバルーン等の無機ケイ酸塩;などが挙げられ、好ましくはシリカである。
ハロゲン難燃剤は、ハロゲン原子を含む難燃性化合物からなる。ハロゲン難燃剤としては、例えば、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、塩素化ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、高塩素化ポリプロピレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールS、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニルプロパン)、ペンタブロモトルエンなどが挙げられる。
非ハロゲン難燃剤は、ハロゲン原子を含まない難燃性化合物からなる。本発明の重合性組成物に配合すれば、得られる積層体の難燃性を向上でき、しかも積層体の燃焼時にダイオキシン発生の心配がなく、好適である。非ハロゲン難燃剤としては、工業的に用いられるものであれば格別な限定なく用いることができる。例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物難燃剤;ジメチルホスフィン酸アルミニウムやジエチルホスフィン酸アルミニウムなどのホスフィン酸塩難燃剤;酸化マグネシウムや酸化アルミニウム等の金属酸化物難燃剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、及びビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェートなどの、ホスフィン酸塩以外の含燐難燃剤;メラミン誘導体類、グアニジン類、及びイソシアヌル類等の含窒素難燃剤;ポリ燐酸アンモニウム、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、ポリ燐酸メラム、燐酸グアニジン、及びフォスファゼン類等の燐及び窒素の双方を含有する難燃剤;三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物難燃剤;などが挙げられる。非ハロゲン難燃剤としては、金属水酸化物難燃剤、ホスフィン酸塩難燃剤、及びホスフィン酸塩以外の含燐難燃剤が好ましい。含燐難燃剤としては、トリクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、及びビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェートが特に好ましい。
本発明に使用される充填剤の粒子径(平均粒子径)は、所望により適宜選択すればよいが、粒子を三次元的にみたときの長手方向と短手方向の長さの平均値として、通常、0.001〜50μm、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmの範囲である。
以上の充填剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物への配合量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、50重量部以上、好ましくは50〜1,000重量部、より好ましくは50〜750重量部、さらに好ましくは100〜500重量部の範囲である。
重合調整剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させたりする目的で配合されるものであり、例えば、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、及びテトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。これらの重合調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合調整剤の配合量は、例えば、モル比(メタセシス重合触媒中の金属原子:重合調整剤)で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
重合反応遅延剤は、本発明の重合性組成物の粘度増加を抑制し得るものである。従って、重合反応遅延剤を配合してなる重合性組成物は、架橋性樹脂成形体として、例えば、プリプレグを作製する際、容易に繊維状強化材に均一に含浸させることができ、好ましい。重合反応遅延剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ビニルジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィン、トリアリルホスフィン、及びスチリルジフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;アニリンやピリジンなどのルイス塩基;等を用いることができる。その配合量は、所望により適宜調整すればよい。
本発明の重合性組成物には、所望により連鎖移動剤を配合することもできる。得られる架橋性樹脂成形体では、その加熱硬化時に表面樹脂の追従性が向上しうるため、かかる成形体を積層し、加熱して溶融、架橋して得られる積層体では、層間密着性及び配線埋め込み性が高まり、好ましい。
連鎖移動剤は、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有していてもよい。連鎖移動剤の具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセン、スチレン、ビニルシクロヘキサン、アリルアミン、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、及び4−ビニルアニリンなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を持たない連鎖移動剤;ジビニルベンゼン、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、アクリル酸アリル、メタクリル酸ウンデセニル、アクリル酸スチリル、及びエチレングリコールジアクリレートなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有する連鎖移動剤;アリルトリビニルシランやアリルメチルジビニルシランなどの、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を2以上有する連鎖移動剤などが挙げられる。これらの中でも、得られる積層体において、配線埋め込み性と耐熱性とを高度にバランスさせる観点から、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1以上有するものが好ましく、架橋性の炭素−炭素不飽和結合を1つ有するものがより好ましい。かかる連鎖移動剤の中でも、ビニル基とメタクリル基とを1つずつ有する連鎖移動剤が好ましく、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸スチリル、及びメタクリル酸ウンデセニルなどが特に好ましい。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明の重合性組成物への連鎖移動剤の配合量としては、得られる積層体の配線埋め込み性と耐熱性とのバランスを考慮し、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部である。
また、老化防止剤として、フェノール系老化防止剤、アミン系老化防止剤、リン系老化防止剤及びイオウ系老化防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の老化防止剤を配合することは、架橋反応を阻害しないで、得られる積層体の耐熱性を高度に向上させることができ、好適である。これらの中でも、フェノール系老化防止剤とアミン系老化防止剤が好ましく、フェノール系老化防止剤がより好ましい。これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。老化防止剤の使用量は、所望により適宜選択されるが、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部の範囲である。
本発明の重合性組成物には、その他の配合剤を配合することができる。その他の配合剤としては、着色剤、光安定剤、及び発泡剤などを用いることができる。着色剤としては、染料や顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明の重合性組成物は、上記成分を混合して得ることができる。混合方法としては、常法に従えばよく、例えば、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(触媒液)を調製し、別にシクロオレフィンモノマーや架橋剤などの必須成分、及び所望によりその他の配合剤等を配合した液(モノマー液)を調製し、該モノマー液に該触媒液を添加し、攪拌することによって調製することができる。
(架橋性樹脂成形体)
本発明の架橋性樹脂成形体は、前記重合性組成物を塊状重合することにより得られる。重合性組成物を塊状重合して架橋性樹脂成形体を得る方法としては、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、(b)重合性組成物を成形型内に注入し、次いで塊状重合する方法、(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで塊状重合する方法などが挙げられる。
本発明の重合性組成物は低粘度であるため、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、(b)の方法における注入では、複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに重合性組成物を行き渡らせることができ、(c)の方法においては、繊維状強化材に対して速やかに満遍なく重合性組成物を含浸させることができる。
(a)の方法によれば、フィルム状や板状等の架橋性樹脂成形体が得られる。該成形体の厚さは、通常、15mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.5mm以下、最も好ましくは0.1mm以下である。支持体としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、及びナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、及び銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。中でも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。金属箔又は樹脂フィルムの厚さは、作業性などの観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。金属箔としては、その表面が平滑であるものが好ましく、その表面粗度(Rz)としては、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される値で、通常、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。金属箔の表面粗度が上記範囲にあれば、例えば、得られる高周波回路基板において、高周波伝送におけるノイズ、遅延、及び伝送ロス等の発生が抑えられ、好ましい。また、金属箔の表面は、シランカップリング剤、チオールカップリング剤、及びチタネートカップリング剤などの公知のカップリング剤や接着剤などで処理されているのが好ましい。(a)の方法によれば、例えば、支持体として銅箔を用いた場合、樹脂付き銅箔〔Resin Coated Copper (RCC)〕を得ることができる。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を所望により乾燥させ、次いで塊状重合する。塊状重合は重合性組成物を所定の温度で加熱して行われる。重合性組成物の加熱方法としては特に制約されず、支持体に塗布された重合性組成物を、加熱プレート上に載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、加熱したローラーで押圧する方法、加熱炉内で加熱する方法などが挙げられる。
(b)の方法によれば、任意の形状の架橋性樹脂成形体を得ることができる。その形状としては、シート状、フィルム状、柱状、円柱状、及び多角柱状等が挙げられる。
ここで用いる型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわち、コア型とキャビティー型を有する成形型を用いることができ、それらの空隙部(キャビティー)に重合性組成物を注入して塊状重合させる。コア型とキャビティー型は、目的とする成形品の形状にあった空隙部を形成するように作製される。成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。さらに、ガラス板や金属板などの板状成形型と所定の厚さのスペーサーとを用意し、スペーサーを2枚の板状成形型で挟んで形成される空間内に重合性組成物を注入し塊状重合することにより、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得ることもできる。
重合性組成物を成形型のキャビティー内に充填する際の充填圧力(注入圧)は、通常、0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。充填圧力が低すぎると、キャビティー内周面に形成された転写面の転写が良好に行われない傾向にあり、充填圧が高すぎると、成形型の剛性を高くしなければならず経済的ではない。型締圧力は、通常、0.01〜10MPaの範囲内である。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器やスチームなどの加熱手段を利用する方法や、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
(c)の方法は、シート状又はフィルム状の架橋性樹脂成形体を得るのに好適に使用される。得られる成形体の厚さは、通常、0.001〜10mm、好ましくは0.005〜1mm、より好ましくは0.01〜0.5mmの範囲である。この範囲にあれば、積層時の賦形性、及び積層体の機械的強度や靭性などが向上し、好適である。例えば、重合性組成物の繊維状強化材への含浸は、重合性組成物の所定量を、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、及びスリットコート法等の公知の方法により繊維状強化材に塗布し、所望によりその上に保護フィルムを重ね、上側からローラーなどで押圧することにより行うことができる。重合性組成物を繊維状強化材に含浸させた後、含浸物を所定温度に加熱することで重合性組成物を塊状重合させ、所望の架橋性樹脂成形体を得る。架橋性樹脂成形体中、繊維状強化材の含有量としては、通常、10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%の範囲である。この範囲にあれば、得られる積層体の誘電特性と機械的強度がバランスされ、好適である。
繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用できる。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)繊維、アラミド繊維、超高分子ポリエチレン繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維、及び液晶ポリエステル繊維などの有機繊維;ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、タングステン繊維、モリブデン繊維、ブデン繊維、チタン繊維、スチール繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維、及びシリカ繊維などの無機繊維;などが挙げられる。これらの中でも、有機繊維やガラス繊維が好ましく、特にアラミド繊維、液晶ポリエステル繊維、及びガラス繊維が好ましい。ガラス繊維としては、Eガラス、NEガラス、Sガラス、Dガラス、及びHガラス等の繊維を好適に用いることができる。これらは1種単独で、又は2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形態としては、特に限定されず、例えば、マット、クロス、及び不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に重合性組成物を含浸させてなる含浸物の加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材を設置しておき、該型内で重合性組成物を含浸させて含浸物を得、前記(b)の方法のようにして加熱する方法などが挙げられる。
前記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を重合させるための加熱温度は、通常、30〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは90〜150℃の範囲であって、かつ架橋剤、通常、ラジカル発生剤の1分間半減期温度以下、好ましくは1分間半減期温度の10℃以下、より好ましくは1分間半減期温度の20℃以下である。また、重合時間は適宜選択すればよいが、通常、1秒間〜20分間、好ましくは10秒間〜5分間である。重合性組成物をかかる条件で加熱することにより未反応モノマーの少ない架橋性樹脂成形体が得られるので好適である。
以上のようにして得られる架橋性樹脂成形体を構成する重合体は、実質的に架橋構造を有さず、例えば、トルエンに可溶である。当該重合体の分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(溶離液:テトラヒドロフラン)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲である。
本発明の架橋性樹脂成形体は、後架橋可能な樹脂成形体であるが、その構成樹脂の一部分が架橋されたものであってもよい。例えば、型内で重合性組成物を塊状重合したときには、型の中心部分は重合反応熱が発散しにくいので、型内の一部の温度が高くなりすぎる場合がある。高温部では架橋反応が起き、架橋が生ずることがある。しかし、熱を発散しやすい表面部が後架橋可能な架橋性の樹脂で形成されていれば、本発明の架橋性樹脂成形体は所望の効果を充分に発揮し得る。
本発明の架橋性樹脂成形体は、塊状重合を完結させて得られるものであり、保管中にさらに重合反応が進行するという恐れがない。また、本発明の架橋性樹脂成形体は、ラジカル発生剤などの架橋剤を含有してなるが、架橋反応を起す温度以上に加熱しない限り、表面硬度が変化するなどの不具合を生じず、保存安定性に優れる。
本発明の架橋性樹脂成形体は、例えば、プリプレグとして、本発明の架橋樹脂成形体及
び積層体の製造に好適に用いられる。
(架橋樹脂成形体)
本発明の架橋樹脂成形体は、本発明の重合性組成物を塊状重合し、得られた重合体を架橋してなるものである。かかる架橋樹脂成形体は、例えば、前記架橋性樹脂成形体を架橋することにより得られる。本発明の架橋樹脂成形体においては、前記一官能化合物、二官能化合物、及び三官能化合物が基材樹脂に結合し、実質的に遊離の状態で存在するものがなく、例えば、一官能化合物が揮発成分となることがない。めっき対象物に揮発成分が多い場合、めっき形成及び対象物への付着を阻害ことから、該対象物のめっき性が低下する。本発明の架橋樹脂成形体には、前記の通り、揮発成分が実質的に含まれないため、該成形体は優れためっき性を有する。本発明の架橋樹脂成形体の揮発成分量としては、該成形体中、通常、0.1重量%未満である。本発明の架橋樹脂成形体を用いてなる積層体においても同様に揮発成分量は、通常、0.1重量%未満であり、当該成分は実質的に含まれないため、本発明の積層体は優れためっき性を有する。
架橋性樹脂成形体の架橋は、該成形体を、該成形体を構成する重合体において架橋反応が生ずる温度以上に維持することにより行うことができる。加熱温度は、通常、架橋剤により架橋反応が誘起される温度以上である。例えば、架橋剤としてラジカル発生剤を使用する場合、通常、1分間半減期温度以上、好ましくは1分間半減期温度より5℃以上高い温度、より好ましくは1分間半減期温度より10℃以上高い温度である。典型的には、100〜300℃、好ましくは150〜250℃の範囲である。加熱時間は、0.1〜180分間、好ましくは0.5〜120分間、より好ましくは1〜60分間の範囲である。また、本発明の重合性組成物を、前記架橋性樹脂成形体が架橋する温度以上に維持することにより、具体的には、ここに記載する、温度及び時間で加熱することにより、シクロオレフィンモノマーの塊状重合と、当該重合により生ずるシクロオレフィンポリマーにおける架橋反応とを共に進行させて、本発明の架橋樹脂成形体を製造することも可能である。このようにして架橋樹脂成形体を製造する場合、前記(a)の方法に準じ、例えば、支持体として銅箔を用いれば、銅張積層板〔Copper Clad Laminates (CCL)〕を得ることができる。
(積層体)
本発明の積層体は、少なくとも、前記架橋性樹脂成形体、又は前記架橋樹脂成形体からなる層を有してなるものである。架橋性樹脂成形体、又は架橋樹脂成形体からなる層が複数存在する場合、両成形体はそれぞれ、連続的に積層されていても、他の層を挟んで間接的に積層されていてもよい。
本発明の架橋性樹脂成形体からなる層を有する積層体としては、例えば、前記(a)の方法で得られる、銅箔と架橋性樹脂成形体とが層状に一体化してなるRCCが挙げられる。また、本発明の架橋樹脂成形体からなる層を有する積層体としては、例えば、前記(a)の方法に準じて得られる、銅箔と架橋樹脂成形体とが層状に一体化してなるCCLが挙げられる。前記(a)の方法において、支持体として、別途得られた架橋樹脂成形体を用いれば、架橋性樹脂成形体からなる層と架橋樹脂成形体からなる層とを有する積層体を得ることもできる。
また、架橋性樹脂成形体がシート状又はフィルム状である場合、該成形体、及び所望により、シート状又はフィルム状の架橋樹脂成形体を、任意に積層し、又はさらに、例えば、前記金属箔を積層し、熱プレスして架橋することにより、架橋樹脂成形体からなる層を有する、本発明の積層体が得られる。その際、前記RCCやCCLなどの積層体を積層してもよい。熱プレスするときの圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。熱プレスは、真空又は減圧雰囲気下で行ってもよい。熱プレスは、平板成形用のプレス枠型を有する公知のプレス機、シートモールドコンパウンド(SMC)やバルクモールドコンパウンド(BMC)などのプレス成形機を用いて行なうことができる。
本発明の積層体は、低誘電率及び低誘電正接といった、シクロオレフィンポリマーに特有の優れた電気的特性を有しており、高周波領域での伝送ロスが少なく、かつ配線埋め込み性、耐熱性、及びめっき性に優れるため、広範囲の用途を有する高周波基板材料として好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例及び比較例における各特性は、以下の方法に従い測定し、評価した。
(1)揮発成分量
積層体をエッチングして銅箔を除去した後、1mm角程度に裁断後、そのサンプルをちょうど1gになるよう定量した。得られた裁断後のサンプルをトルエンに2時間浸漬し、トルエンに溶解した揮発成分をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、型番GC−2010)により定量し、以下の基準に従って評価した。
〔評価基準〕
○:揮発成分0.1%未満
×:揮発成分0.1%以上
(2)めっき性
積層体上に、L/S=30μmで配線長50mmの50本の配線パターンを形成し、目視観察により、以下の基準に従って評価した。
〔評価基準〕
○:50本の配線のいずれもが形状に乱れが無い
△:一部形状に乱れはあるが、配線の欠損は無い
×:配線に欠損がある
(3)誘電正接
積層体を3cm角に切り出し、エッチングして銅箔を除去した後、インピーダンスアナライザー(アジレントテクノロジー社製、型番E4991A)を用いて20℃で周波数1GHzにおける誘電正接(tanδ)を容量法にて測定し、以下の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:0.002以下
×:0.002超
(4)配線埋め込み性
プリプレグを回路基板(L/S=30μmの配線を15本配置した試験基板)上に重ね、200℃で10分間、3MPaにて加熱プレスを行い積層体を得た。該積層体を、配線方向に対し垂直な方向で任意に3箇所で切断した。得られた積層体の切断面を目視により観察し、回路基板上の樹脂層への配線埋め込み性について以下の基準で評価した。なお、○及び◎の評価であれば、積層体は高周波基板材料として問題なく機能する。
〔評価基準〕
◎:配線が埋め込まれていない部分がない
○:配線が一部埋め込まれていない
×:配線が埋め込まれていない
(5)耐熱性
積層体をエッチングして銅箔を除去した後、TMA(SIIナノテクノロジー社製、SS6100標準型)を用いてガラス転移点(Tg)を測定し、以下の基準で耐熱性を評価
した。
〔評価基準〕
○:160℃超
×:160℃以下
(6)難燃性
積層体の銅箔をエッチング処理により取り除いたものから短冊状試験片(15mm×125mm)を切り出し、炎を該試験片に10秒間接炎し、離炎後の有炎を観察し、以下の
基準で評価した。
○ : 離炎後の有炎はあるが、間もなく消える
× : 離炎後の有炎が上部まで達し、激しく燃えた
実施例1
ベンジリデン(1、3−ジメシチル−4−イミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド 0.05部と、トリフェニルホスフィン 0.01部とを、インデン 1.51部に溶解させて触媒液を調製した。
これとは別に、シクロオレフィンモノマーとして、エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(ETD)60部、ジシクロペンタジエン(DCPD)40部;連鎖移動剤としてジビニルベンゼン 1.6部;架橋剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(1分間半減期温度186℃)1.14部;一官能化合物としてベンジルメタクリレート 12部、二官能化合物としてトリシクロデカンジメタノールジメタクリレート 5部、及び三官能化合物としてトリメチロールプロパントリメタクリレート 20部;充填剤として、シリカ(アドマテックス社製、製品名SO−E2、シランカップリング剤処理品 平均粒径0.5μm)100部と、非ハロゲン難燃剤である三酸化アンチモン(PATOX−M、日本精鉱社製)20部、及びハロゲン難燃剤であるエタン−1、2−ビス(ペンタブロモフェニル)(SAYTEX8010、アルベマール社製)40部;並びにフェノール系老化防止剤として3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール0.28部を混合してモノマー液を調製した。これに上記触媒液をシクロオレフィンモノマー100g当り0.62mLの割合で加えて撹拌し、重合性組成物を調製した。
ついで、得られた重合性組成物をガラスクロス(Eガラス)に含浸させ、これを120℃
にて3.5分間で塊状重合反応を行い、厚さ0.13mmのプリプレグを得た。
次に、作製したプリプレグ6枚を積層し、次いで12μmF0銅箔(シランカップリン
グ剤処理電解銅箔、古河電工社製)で挟み、180℃、60分間、3MPaにて加熱プレスを行って積層体を得た。得られた積層体について、揮発成分量、誘電正接、耐熱性、及び難燃性を評価した。一方、配線埋め込み性は、前記(4)配線埋め込み性に記載した方法により別途積層体を得、それを用いて評価した。それらの結果を表1に示す。なお、揮発成分量は0%であった。
次いで、めっき前処理として、上記水洗後の積層体を、アルカップアクチべータMAT−1−A(上村工業社製)が200mL/L、アルカップアクチべータM AT−1−B(上村工業社製)が30mL/L、及び水酸化ナトリウムが0.35g/Lになるように調整した60℃のPd塩含有めっき触媒水溶液に5分間浸漬した。この積層体を水槽に1分間揺動浸漬し、更に別の水槽に1分間揺動浸漬することにより水洗した。次いで、アルカップレデューサーMAB−4−A(上村工業社製)が20mL/L、及びアルカップレデューサーMAB−4−B(上村工業社製)が200mL/Lになるように調整した溶液に35℃で、3分間浸漬し、めっき触媒を還元処理した。このようにしてめっき触媒を吸着させ、めっき前処理を施した積層体を得た。
次いで、めっき前処理後の積層体を、スルカップPSY−1A(上村工業社製)100mL/L、スルカップPSY−1B(上村工業社製)40mL/L、及びホルマリン0.2モル/Lとなるように調整した水溶液に空気を吹き込みながら、温度36℃、5分間浸漬して無電解銅めっき処理を行い積層体上に金属薄膜層を形成した。無電解めっき処理により金属薄膜層が形成された積層体を、更に水槽に1分間揺動浸漬し、更に別の水槽に1 分間揺動浸漬することにより水洗し、乾燥し、防錆処理を施し、無電解めっき皮膜が形成された多層回路基板を得た。
この防錆処理が施された多層回路基板表面に、市販の感光性レジストのドライフィルムを熱圧着して貼り付け、さらに、このドライフィルム上に密着性評価用パターンに対応するパターンのマスクを密着させ露光し、次いで現像してレジストパターンを得た。次に硫酸100g/Lの水溶液に25℃で1分間浸漬させ防錆剤を除去し、レジスト非形成部分に電解銅めっきを施し厚さ18μmの電解銅めっき膜を形成させた。次いで、レジストパターンを剥離液にて剥離除去し、塩化第二銅と塩酸の混合水溶液によりエッチング処理を行うことにより、前記金属薄膜および電解銅めっき膜からなる配線パターンを形成し両面2層の配線パターン付き多層回路基板aを得、最後に、170℃で30分間アニール処理を行った。得られた多層回路基板aについてめっき性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1
トリシクロデカンジメタノールジメタクリレートの配合量を0部にしたこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグ、積層体、及び多層回路基板を得、同様に評価した。結果を表1に示す。なお、揮発成分量は0.5%以上であった。
比較例2
ベンジルメタクリレートの配合量を0部にしたこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグ、積層体、及び多層回路基板を得、同様に評価した。結果を表1に示す。なお、揮発成分量は0%であった。
比較例3
トリメチロールプロパントリメタクリレートの配合量を0部にしたこと以外は実施例1と同様にしてプリプレグ、積層体、及び多層回路基板を得、同様に評価した。結果を表1に示す。なお、揮発成分量は0.5%以上であった。
Figure 2012140538
表1より、実施例1で得られた積層体は、硬化後に揮発成分が残存せず、めっき性、誘電正接、配線埋め込み性、耐熱性、及び難燃性が非常に優れることがわかる。一方、二官能メタクリレートを含有しない重合性組成物を用いて得られた比較例1の積層体では、硬化後に揮発成分が残存し、めっき性、誘電正接、流動性、耐熱性、及び難燃性が劣り、一官能メタクリレートを含有しない重合性組成物を用いて得られた比較例2の積層体は、硬化後の揮発成分が残存せず、めっき性、誘電正接、耐熱性、及び難燃性は実施例1のものと同等であるが、配線埋め込み性に劣り、三官能メタクリレートを含有しない重合性組成物を用いて得られた比較例3の積層体では、硬化後に揮発成分が残存し、めっき性、誘電正接、配線埋め込み性、耐熱性、及び難燃性が劣ることが分かる。

Claims (7)

  1. シクロオレフィンモノマー、重合触媒、架橋剤、ビニリデン基を1つ有する一官能化合物、ビニリデン基を2つ有する二官能化合物、及びビニリデン基を3つ有する三官能化合物を含有してなり、かつ前記一官能化合物、前記二官能化合物、及び前記三官能化合物の含有割合が重量比(一官能化合物:二官能化合物:三官能化合物)で1〜20:0.1〜20:10〜25である、重合性組成物。
  2. 一官能化合物が一官能メタクリレート化合物であり、二官能化合物が二官能メタクリレート化合物であり、三官能化合物が三官能メタクリレート化合物である、請求項1記載の重合性組成物。
  3. 充填剤をさらに含有する請求項1又は2記載の重合性組成物。
  4. 連鎖移動剤をさらに含有する請求項1〜3いずれか記載の重合性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる架橋性樹脂成形体。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる重合体を架橋してなる架橋樹脂成形体。
  7. 少なくとも、請求項5に記載の架橋性樹脂成形体、又は請求項6に記載の架橋樹脂成形体からなる層を有してなる積層体。
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