JP2012140497A - 活性エネルギー線硬化型組成物及び粘着剤 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型組成物及び粘着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】水や溶剤を使用せずに得られる無溶剤型組成物であって、加熱工程が不要であり、接着性能優れ、しかも接着力の経時変化がなく、さらに再剥離性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物、及び当該組成物から得られる粘着剤の提供。
【解決手段】光架橋性の官能基を有する重合体であって、ベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基を1〜100mmeq/g有する重合体(A)及び分子量が300以下で1個のエチレン性不飽和を有する化合物(B)を含有する組成物であって、組成物中に(A)成分を5〜60重量%及び(B)成分を30〜94.9重量%を含有する活性エネルギー線硬化型組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤として有用な活性エネルギー線硬化型組成物、及び当該組成物の硬化膜を有する粘着シートに関する。特に、前記粘着シートを剥がした際に被着体への汚染が少ない再剥離性が必要なプロテクトフィルムとすることができる。
重合体の製造方法、特にアクリル系重合体のような単量体をラジカル重合させて重合体を製造する方法としては、有機溶媒を使用する溶液重合、乳化重合や懸濁重合のような水系重合、溶媒を使用しない塊状重合等が知られている。
しかしながら、溶液重合で得られた重合体を使用する場合は、基材に塗布又は含浸した後、有機溶媒を高温で乾燥するために多くのエネルギーを必要とし、又有機溶媒による大気汚染を防止するために大規模な回収装置を必要とし、さらに、有機溶媒は引火しやすいため安全保持のために充分な安全設備を必要とすることから、近年、有機溶媒の使用は敬遠されがちである。
水系重合の場合、乳化剤又は懸濁剤等の存在下に単量体を重合する必要があるが、得られた重合体は、これらの乳化剤又は懸濁剤により耐久性や耐水性が低下するといった欠点があった。又、乳化剤等を使用しない系においても、分散媒である水の潜熱がかなり高いことから、得られた水系の重合体を使用する場合、例えば、基材に水系の重合体を塗工した後に水を蒸発させる必要があるが、水の除去には膨大なエネルギーを要するといった問題があった。さらに、これらの系では水溶性単量体が使用できないために単量体種が限定され、多種多様なニーズに対応しにくいという欠点があった。
塊状重合の場合は、実質的に水及び溶剤を使用しないので、水の除去や溶剤の除去、溶剤の回収といった問題は無いが、重合速度の制御が難しく、特に重合速度の早いアクリル酸エステルを水系重合や溶剤系重合で使用されている反応装置で重合速度を制御して重合反応させるのは困難であった。塊状重合で得られた重合体を使用する場合、基材に塗布又は含浸させる場合に、そのままでは高粘度であるために加熱溶融して塗工する必要があり、特にシートとして使用するには、耐熱性のない基材が使用できないために基材が限定され、多種多様なニーズに対応しにくいという欠点があった。
粘着剤又は粘着シートのための重合体を製造する場合においても、前記と同様の問題があり、水や溶剤を使用せずに粘着剤又は粘着シートを製造する方法が種々提案されている。
例えば、(メタ)アクリレートを主成分とする単量体と一分子中に光架橋性ベンゾフェノン官能基を有す単量体からなる重合体をホットメルト粘着剤として使用する(特許文献1〜4)や、それを有機溶剤を含む溶剤型のアクリル系粘着剤組成物として乾燥工程と紫外線照射工程を経て粘着シートを製造する方法が(特許文献5、6)提案されている。
特開平2−305847号公報(特許請求の範囲) 特開平11−140410号公報(特許請求の範囲) 特開2006−144014号公報(特許請求の範囲) 特開2006−188687号公報(特許請求の範囲) 特開2009−109898号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−99183号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1〜4の組成物は、高温で溶融しないと塗工できないホットメルト型であり、耐熱性のない基材フィルムに塗工すると加熱によって変形が生じるおそれがあった。
一方、特許文献5、6では、溶液重合で得られた重合体を使用であることから、前記した通り、基材に塗布又は含浸した後、有機溶媒を高温で乾燥するために多くのエネルギーを必要とし、又有機溶媒を回収するための設備や安全設備を必要とするという問題があった。
又、特許文献5の組成物は、イソシアネート化合物やエポシキ化合物等といった一般に使用されるような架橋剤を併用し、加熱により架橋を行っている。しかしながら,これらのような架橋剤を使用する際には、架橋反応を完結させる為にエージングと呼ばれる作業が必要であり、加熱重合を光重合によるエージングレス(エージング不要)といった特徴が損なわれるといった欠点があった。
又、従来の重合体を含む組成物を使用した粘着剤は、接着力の経時変化があったり、さらに再剥離性が不十分であるとの問題を有していた。
本発明者らは、水や溶剤を使用せずに得られる無溶剤型組成物であって、加熱工程が不要であり、接着性能優れ、しかも接着力の経時変化がなく、さらに再剥離性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物、及び当該組成物から得られる粘着剤を見出すため鋭意検討を行ったのである。
本発明者は、種々の研究を重ねた結果、光架橋性の官能基を有する重合体、及び低分子量エチレン性不飽和化合物を含む組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物及び粘着剤によれば、無溶剤型の組成物であって、加熱工程が不要であり、その硬化膜は、良好な接着性を有し、しかも接着力の経時変化がなく、さらに再剥離性に優れるといに優れたものとなる。
本発明は、 光架橋性の官能基を有する重合体であって、ベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基を1〜100mmeq/g有する重合体(A)〔以下、(A)成分という〕及び分子量が300以下で1個のエチレン性不飽和を有する化合物(B)〔以下、(B)成分という〕を含有する組成物であって、組成物中に(A)成分を5〜60重量%及び(B)成分を30〜94.9重量%を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
以下、それぞれの成分について説明する。
尚、本明細書では、アクリレート及び/又はメタクリレートを、(メタ)アクリレートという。
1.(A)成分
(A)成分は、ベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基を有する重合体であって、光架橋性の官能基を1〜100mmeq/g有する重合体である。
ベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基としては、ベンゾフェノン基及びシンナモイル基が挙げられる。
(A)成分における光架橋性の官能基は、1〜100mmeq/g有する必要がある。この値が1mmeq/gに満たないと、基材との密着性が低下してしまい、一方100mmeq/gを超えると、(A)成分の保存安定性が劣ったり、製造時にゲル化する等といった製造が容易ではない。
(A)成分としては、エチレン性不飽和基と前記エチレン性不飽和基とは異なるベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基を有する化合物(a1)〔以下、「単量体(a1)」という〕及び(a1)以外のエチレン性不飽和化合物(a2)〔以下、「単量体(a2)」という〕を構成単量体単位とする重合体が好ましい。
単量体(a1)は、エチレン性不飽和基と前記エチレン性不飽和基とは異なるベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基を有する化合物である。
単量体(a1)におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルエステル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基及びビニル基が好ましい。
ベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基としては、エチレン性不飽和基以外の官能基であれば種々の官能基が使用でき、好ましいものとしてはベンゾフェノン基及びシンナモイル基が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基とベンゾフェノン基を有する化合物の具体例としては、下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2012140497
式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を意味し、R2は、酸素原子、−ORaO−又は−COORaO−(Raは2価の炭化水素基)を意味し、R3は、水素原子、ハロゲン原子又は水酸基を意味する。
Raの2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12個のアルキレン基が挙げられる。R3のハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
式(1)の化合物の好ましい例としては、R1が水素原子又はメチル基、R2が酸素原子及びR3が水素原子である下記式(1-1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012140497
式(1)の化合物の好ましい例としては、R1が水素原子又はメチル基、R2が−COOCH2CH2−及びR3が塩素原子である下記式(1-2)で表される化合物が挙げられる。
当該化合物は市販されており、R1が水素原子であるEBECRYL P36〔シグマアルドリッチ社製〕等が挙げられる。
Figure 2012140497
式(1)の化合物の好ましい例としては、R1が水素原子又はメチル基、R2が−OCH2CH2O−及びR3が水酸基である下記式(1-3)で表される化合物が挙げられる。
式(1-3)で表される化合物は市販されており、R1が水素原子であるSPEED BLOCK−101、R1がメチル基であるSPEED BLOCK−102(いずれもLAMSON Group Ltd製)が挙げられる。
Figure 2012140497
スチリル基とベンゾフェノン基を有する化合物の例としては、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2012140497
式(2)において、R4は、水素原子又はメチル基を意味し、R5は、2価の官能基を意味し、R6は、2価の炭化水素基を意味し、R7は、水素原子、ハロゲン原子又は水酸基を意味する。nは1〜12の整数を表す。
5は、2価の官能基の具体例としては、−O(C=O)−、−NH(C=O)−、―(CH32Si(CH32―C24NH(C=O)−が挙げられる。
5の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12個のアルキレン基が挙げられ、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。
ブタジエン基とベンゾフェノン基を有する化合物の例としては、下記式(3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2012140497
式(3)において、R8は、水素原子又はメチル基を意味し、R9は、水素原子、ハロゲン原子又は水酸基を意味する。
(メタ)アクリロイル基とシンナモイル基を有する化合物の具体例としては、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2012140497
式(4)において、R10は、水素原子又はメチル基を意味する。
式(4)で表される化合物は市販されており、例えば、式(4)において、R10がメチル基であるARモノマー〔日本シイベルヘグナー(株)製〕等が挙げられる。
単量体(a1)の共重合割合としては、単量体(a1)及び後記単量体(a2)の合計量に対して0.01〜30重量%の割合が好ましく、より好ましくは0.05〜20重量%であり、特に好ましくは0.05〜10重量%である。
単量体(a1)の割合を0.01重量%以上とすることで、活性エネルギー線照射による側鎖における架橋点が多くなり、耐久性及び加工性に優れるものとなる。一方、単量体(a1)の割合を30重量%以下とすることで、粘着性に優れるものとすることができる。
単量体(a2)は、(a1)以外のエチレン性不飽和化合物である。
単量体(a2)としては、エチレン性飽和基を有する化合物であれば種々の化合物を使用することができる。
単量体(a2)におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルエステル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基及びビニル基が好ましい。
単量体(a2)の具体的化合物としても、(メタ)アクリレート、ビニル基含有化合物、ビニルエステル及びビニルエーテル等が挙げられ、(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明において、単量体(a2)の好ましい共重合割合としては、単量体(a1)及び単量体(a2)の合計量に対して70〜99.99重量%であることが好ましく、より好ましくは80〜99.95重量%である、さらに好ましくは90〜99.95重量%である。当該共重合体割合とすることの効果は、前記した通りである、
本発明の組成物を粘着剤として使用する場合は、(A)成分が、単量体(a2)としてアルキル(メタ)アクリレートを主成分として使用して製造された重合体〔以下、「(メタ)アクリル系重合体」という〕が好ましい。
さらに、アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が2〜18のものが好ましい。アルキル基としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。前記アルキル基の平均炭素数は2〜14であるのが好ましく、さらには平均炭素数3〜12が好ましく、さらには平均炭素数4〜9のものが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、n−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
これら(メタ)アクリレートは、単独で使用しても又は組み合わせて使用しても良い。
本発明において、アルキル(メタ)アクリレートの好ましい共重合割合としては、単量体(a1)及び単量体(a2)の合計量に対して70〜99.99重量%であることが好ましく、より好ましくは80〜99.95重量%である、さらに好ましくは90〜99.95重量%である。
アルキル(メタ)アクリレートの共重合割合を70〜99.99重量%とすることで、接着性に優れるものとすることができる。
単量体(a2)としては、各種の官能基含有するエチレン性不飽和化合物を用いることができる。
官能基含有単量体としては。例えば、カルボキシル基含有単量体、ヒドロキシル基含有単量体、アミド基含有単量体、アミノ基含有単量体等が挙げられる。なお、官能基含有単量体は、末端に位置する官能基を優先させて分類している。
カルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。カルボキシル基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等が挙げられる。これらのなかで、(メタ)アクリル酸、特にアクリル酸が好ましい。
ヒドロキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。ヒドロキシル基含有単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、その他、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。これらのなかでもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適である。
又アミド基含有単量体としては、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつアミド結合を有するものを特に制限なく用いることができる。アミド基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドN−ビニルカプロラクタム、N−アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン等のN−置換アミド系単量体、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
又アミノ基含有単量体としては、(メタ)アクリロイル基を有し、かつアミノ基を有するものを特に制限なく用いることができる。アミノ基含有単量体としては、第3級アミノ基を有する単量体が好ましい。又、第3級アミノ基としては、第3級アミノアルキル基であることが好ましい。かかる第3級アミノ基含有単量体としては、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。第3級アミノ基含有単量体の具体例としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。又、第2級アミノ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等が挙げられる。
上記以外の官能含有単量体としては、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、イタコンイミド等のイミド基含有単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有単量体;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の燐酸基含有単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系単量体等が挙げられる。
さらに、上記以外の官能含有単量体として、ケイ素原子を含有するシラン系単量体等が挙げられる。シラン系単量体としては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記官能基含有単量体は、(A)成分、特に(メタ)アクリル系重合体を形成する単量体成分の全量に対して10重量%以下の割合で用いるのが好ましい。官能基含有単量体の割合は、0〜5重量%であるのが好ましく、さらには0〜3重量%であるのがより好ましい。官能基含有単量体は、耐久性、加工性等を向上させることができるが、その割合が多くなると、粘着特性が低下したり、耐久性の低下によって剥離が生じたりするため、官能基含有単量体の割合は、10重量%以下に制御される。
(A)成分が(メタ)アクリル系重合体である場合、前記単量体の他に、本発明の目的と損なわない範囲で、前記以外の単量体を、単量体全量の40重量%以下の範囲で用いることができる。
任意単量体の割合は、さらには20重量%以下、さらには10重量%以下であるのが好ましい。かかる任意単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつ芳香族環を有する芳香族環含有単量体が挙げられる。
芳香族環含有単量体の具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−ナフトエチル(メタ)アクリレート、2−(4−メトキシ−1−ナフトキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリスチリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系単量体等が挙げられる。
(A)成分の分子量としては、重量平均分子量が10万以上であるのが好ましい。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、さらに好ましくは20万〜300万の範囲のものが好ましい。(A)成分は本発明の実質的に増粘剤の役割も担うことから、重量平均分子量が10万以下であると、本発明の粘着剤組成物の液粘度が低くなり、塗工に最適な液粘度に調整が難しくなる。
尚、本発明において重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
(A)成分の製造方法としては、常法に従えば良く、溶液重合、塊状重合、乳化重合及び各種ラジカル重合等の公知の製造方法を適宜選択できる。
又、得られる(A)成分は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれでもよい。
(A)成分の製造に当たっては、単量体(a1)の光架橋性の官能基が反応しないような条件下、例えば、活性エネルギー線が当たらないようにして行う。
(A)成分の割合としては、組成物中に5〜60重量%とする必要があり、好ましくは10〜40重量%である。
(A)成分の割合が5重量%に満たないと、活性エネルギー線による硬化性が低下し、硬化物の耐熱性が不十分になったり、一方、60重量%を超えると、塗工し難い高粘度の組成物となってしまう。
2.(B)成分
(B)成分は、分子量が300以下で1個のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(B)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルエステル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(B)成分の具体的化合物としても、(メタ)アクリレート、ビニル基含有化合物、ビニルエステル及びビニルエーテル等が挙げられ、(メタ)アクリレートが好ましい。
(B)成分としては、分子量が300以下で1個のエチレン性不飽和基を有する化合物であれば種々の化合物が使用できる。
(B)成分の具体例としては、前記単量体(a2)で挙げた化合物のうち、分子量が300以下の化合物が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、前記単量体(a2)で挙げた化合物が挙げられる。
ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、アクリロイルモルホリン、ビニルトルエン、N−ビニルカプロラクトン、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル及びスチレン等が挙げられる。
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、塩化ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等が挙げられる。
アリル化合物としては、アリルアセトアセテート、アリルトリメチルアンモニウムクロライド及びジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。
これらの中でも、アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が2〜20のアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、さらに好ましくはアルキル基の炭素数が4〜18のアルキル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはアルキル基の炭素数が4〜10の(メタ)アクリレートである。
より好ましい具体例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
(B)成分の割合としては、組成物中に30〜94.9重量%とする必要があり、好ましくは50〜95重量%である。
(B)成分の割合が30重量%に満たないものは、目的とする組成物の特性例えば粘着剤であれば粘着性が低下してしまい、(B)成分の割合が94.9重量%を超えるものは、組成物が高粘度となってしまい塗工性が低下してしまう。
3.その他の成分
本発明の組成物は、前記成分を必須とするものであるが、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲内で種々の成分を配合することも可能である。
本発明の組成物は、活性エネルギー線の照射により(A)成分中の光架橋基が水素引き抜き反応に架橋・硬化することから光重合開始剤は不要であるか、又は、通常より少量使用が可能となるものであるが、得られる組成物が硬化性に優れるものとなるため、(C)成分の光重合開始剤を配合することが好ましい。
電子線により硬化させる場合には、必ずしも(C)成分を配合する必要はない。
(C)成分としては、光の作用によりラジカルを発生するものであれば特に限定されず、分子内自己開裂型の光重合開始剤や水素引抜型の光重合開始剤が用いられる。
分子内自己開裂型の光重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピレンフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}具体的にはESACURE ONE(Lambson社)、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、メチルベンゾイルフォルメート、フェニル−ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−アシロキシムエステル類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、ESACURE1001M(Lambson社)等が挙げられる。
さらに臭気改善の点で、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、メチルベンゾイルフォルメート、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}具体的にはESACURE ONE(Lambson社)、ESACURE1001M(Lambson社)等が特に好ましい。
又、水素引抜型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェ
ノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、カンファーキノン、ジベンゾスベロン、2−エチルアンスラキノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン等が挙げられ、市販ではSPEED CURE7003、SPEED CURE7006、SPEEDCURE7009、SPEED CURE7010(Lambson社)等が挙げられ、中でもベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンが好適である。
これら(C)成分は1種又は2種以上併用して用いられる。
更に、必要に応じて、(C)成分の助剤としてトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等、市販ではSPEEDCURE7040(Lambson社)等を併用することも可能である。
(C)成分の割合は、組成物中に0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量%ある。
(C)成分の割合を0.1重量%以上にすることで、紫外線等の活性エネルギー線照射による重合のばらつきを防止することができ、10重量%以下にすること(C)成分の分解物による臭気を防止でき、又硬化物の着色を防止することができる。
本発明の組成物には、再剥離性や耐熱性を向上させる目的で、2個以上のエチレン性不飽和を有する化合物〔以下、(D)成分という〕を用いることが好ましい。
(D)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルエステル基及びビニルエーテル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
(D)成分の具体的化合物としても、(メタ)アクリレート、ビニル基含有化合物、ビニルエステル及びビニルエーテル等が挙げられ、(メタ)アクリレート〔以下、「多官能(メタ)アクリレート」という)が好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、低分子量化合物及びオリゴマーが挙げられる。
低分子量化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリル系モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。
オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。特に、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、分子内に2〜4個のアクリロイル基を有するものが好適である。
(D)成分の割合としては、組成物中に0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜8重量%である。
(D)成分の割合を0.1重量%以上とすることで、目的とする組成物の特性例えば粘着剤であれば再剥離性に優れるものとすることができ、(D)成分の割合を10重量%以下とすることで、被着体への初期接着力に優れるものとすることができる。
本発明の組成物には、前記(C)及び(D)成分以外にも本発明の効果を損なわない範囲において、架橋剤、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、公知の添加剤や紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を添加することができる。
架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、金属塩、金属アルコシド、アルデヒド系化合物、非アミノ樹脂系アミノ化合物、尿素系、金属キレート系、メラミン系、アジリジン系等、一般的に使用される架橋剤を挙げることができる。
4.活性エネルギー線硬化型組成物
本発明は、前記(A)及び(B)成分を含有する組成物であって、組成物中に、(A)成分を5〜60重量%及び(B)成分を30〜94.9重量%を含有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
組成物の製造方法としては、常法に従えば良く、前記必須成分の(A)及び(B)成分を使用し、さらに必要に応じてその他所望成分を併用して、常法に従い、攪拌・混合して製造することができる。
この場合、必要に応じて加温又は加熱することができ、60℃以下が好ましい。
本発明の組成物は、実質的に溶媒を含有していないものが好ましい。又、各構成成分が均一に相溶した組成物が好ましい。
本発明の組成物は、さらに有機溶剤を含有して溶剤型組成物として使用することもできるが、好ましくは(A)成分が、(B)成分中に溶解又は分散して、無溶剤型の組成物として使用することが好ましい。
組成物の粘度としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、好ましくは25℃において30〜10000mPa・sであり、より好ましくは50〜5000mPa・s、特に好ましくは100〜1000mPa・sである。
本発明の組成物は、無溶剤型組成物の場合であっても前記好ましい粘度を有し、粘稠な液体である。こうした粘度を有する組成物は、通常の塗布装置を用いて基材フィルムや離型フィルム上に塗布可能である。
本発明の組成物としては、種々の用途に使用することが可能であり、例えば、粘着剤、塗料及びシートとして使用することができ、特に粘着剤として好ましく使用することができる。
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良く、基材に組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
基材としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、紙、不織布、木、プラスチック、金属、セラミック及びガラス等を挙げることができる。
プラスチックとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアクリルフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリスチレンフィルム、アクリルフォーム及びウレタンフォーム等を挙げることができる。
透明性や耐候性の観点でポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、従来公知のロールコーティング、ダイコーティング及びナイフコーティング等が挙げられる。
活性エネルギー線としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が挙げられ、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線が好ましい。
紫外線照射には、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いることができる。
5.活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物
本発明の組成物は、前記した通り、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物(以下、単に粘着剤組成物という)として好ましく使用することができる。
本発明の粘着剤組成物は、種々の粘着剤用途に使用することができ、特に再剥離性を有するプロテクトフィルム用及びマスキングテープ用に好ましく使用することができる。
粘着剤組成物として使用する場合には、組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)が−90〜−10℃となるものが好ましい。
以下、本発明の粘着剤組成物を使用して粘着シートを製造する態様について説明する。
この場合も、前記と同様に、常法に従えば良く、基材に組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
基材、塗工方法及び活性エネルギー線としては、前記と同様のものが挙げられる。
本発明の組成物を使用して粘着シートを製造する場合においては、基材として、基材フィルムの他に離型フィルムを用いることが好ましい。
この場合の製造方法としては、例えば以下の4つの製造方法を挙げることができる。
(1)基材フィルム上に組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射し、硬化膜上に離型シートを貼合する方法
(2)離型フィルム上に組成物を塗布した後、活性エネルギー線を照射し、硬化膜上に基材フィルム又は離型フィルムを貼合する方法、
(3)基材フィルム上に組成物を塗布した後に離型フィルムを貼合し、これに活性エネルギー線照射を方法
(4)離型フィルム上に組成物を塗布した後に離型フィルムを貼合し、これに活性エネルギー線照射を方法
活性エネルギー線照射後に貼合する場合は、活性エネルギー線照射時の酸素による重合阻害要因を排除するため、窒素等の不活性ガス雰囲気下において活性エネルギー線を照射することがより好ましいが、塗膜界面からの酸素を遮断する目的でカバーフィルムとして離型フィルムや基材フィルムを貼合することや、酸素による重合阻害要因を考慮して照射条件を調整し物性のバランスをとることも可能である。
さらに、粘着剤組成物の成分が揮発によって組成が変化して性能が低下する場合や、光重合室内の汚染が問題となる場合には、冷却により、揮発分を低減させる方法を用いることができる。この場合の冷却方法としては、例えば、基材表面(粘着剤組成物を塗布していない面)に、不活性ガス等を吹き付ける方法、並びに冷媒、水及び冷却ベルト等と接触させる方法等が挙げられる。
活性エネルギー線としては、前記と同様のものが挙げられる。
特に、活性エネルギー線の照射量としては、200mJ/cm2以上であることが好ましく、より好ましくは1000mJ/cm2以上であり、特により好ましくは1500mJ/cm2以上である。照射量を500mJ/cm2以上とすることにより活性エネルギー線照射による重合にばらつきを防止することができる。尚、照射量の上限は通常10000mJ/cm2である。照射量が多すぎると装置及びコストの関係で実用的ではない。
活性エネルギー線の照射後の粘着剤組成物の反応率としては、99.5重量%以上が好ましく、より好ましくは99.8重量%以上である。この好ましい反応率となるように、活性エネルギー線照射条件を設定することが好ましい。
活性エネルギー線の照射後の粘着剤組成物中の反応率は、硬化物中の主な揮発成分である(B)成分の残存モノマーを100%から引いたものを用いる。
つまり、硬化物中の残存モノマーが0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満とすることが好ましい。残存モノマーが0.5重量%未満とすることで、残存モノマーの存在により、剥がした後の被着体の汚染を防止したり、良好な粘着性能を得ることができる。
活性エネルギー線の照射後に必要に応じて乾燥工程を行う等で、残存モノマーを0.01重量%未満にすることで臭気が改善することもできる。
尚、本発明において、活性エネルギー線照射時間の合計は、塗布層の厚さによっても異なるが、通常は5秒〜30分間、好ましくは20秒〜10分間である。
さらに、本発明においては、上記のように活性エネルギー線を照射して、組成物を重合させる際に、組成物の温度を0〜50℃の範囲内に制御することが好ましい。重合反応温度を0℃よりも低くするためには高価な設備が必要となり、又、0℃を下回るような温度では照射時間も長くなり効率的ではない。又、温度が50℃を越えると(B)成分が揮発して目的の粘着性能が得られなくなることがあり、又照射装置内を揮発物で汚染する場合がある。
又、活性エネルギー線照射後の硬化膜層のゾル分率としては、20重量%未満であるものが好ましい。当該ゾル分率を有するものは、基材へののり残りが少なく、再剥離性に優れ、さらに耐熱性に優れるものとなる。よって、当該ゾル分率を有するものは、特に後記するプロテクトフィルムとして好適なものとなる。
尚、本発明においてゾル分率とは、硬化膜のメチルエチルケトン(以下、「MEK」という)の可溶成分(下式のB)を、全硬化膜量(下式のA)で割った値であり、下記式(1)で表されるものである。
ゾル分率(%)=B/A×100 (1)
〔式(1)中、Aは粘着シートから基材の重量を差し引いた粘着剤組成物の硬化膜の重量を表し、Bは室温でMEKで抽出した粘着剤組成物の硬化膜の可溶成分の乾燥重量を表す。〕
粘着シートの組成物硬化物層の厚さは、用途に応じて適宜設定すれば良く、3〜200μmが好ましく、更には5〜50μmが好ましい。この厚さを3μm以上とすることで性能が安定したものとすることができ、200μm以下とすることで、組成物の深部への活性エネルギー線の到達を可能とし、得られる硬化膜を耐熱性に優れるものとすることができる。
5−1.プロテクトフィルム
本発明の粘着シートは、プロテクトフィルムとして好適に使用できるものである。以下、プロテクトフィルムについて説明する。
プロテクトフィルムは、種々の基材や製品等の輸送、保管及び加工時における、キズ、ホコリ、汚染及び腐食等を防止するために使用できる。
具体例としては、プラスチック、アルミ及びステンレス等の金属板、ガラス、塗装鋼板、アルミサッシ、自動車車体等の表面を保護するフィルムが挙げられる。
プロテクトフィルムの形態としては、テープ、シート及びラベル等が有用である。
本発明のプロテクトフィルムは、上記粘着剤組成物を基材上で塗工し、活性エネルギー線照射により光架橋した硬化膜を有するもので、シート状やテープ状等の形態としたものである。
本発明のプロテクトフィルムは、必須成分の(A)成分及び(B)成分、並びに所望成分の選択及び添加比率等を適宜調節することにより、より経時接着力変化が少なく再剥離性に優れたプロテクトフィルムを得ることができる。
本発明のプロテクトフィルムの構成としては、基材/硬化膜層/カバーフィルムやカバーフィルム/硬化膜層/基材/硬化膜層/カバーフィルム等が挙げられる。
硬化膜層の厚さとしては、3〜100μmが好ましく、より好ましくは5〜50μmである。
プロテクトフィルムの厚さは、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
1)基材
プロテクトフィルムにおける基材の種類としては、プラスチック、並びに紙及び不織布等の多孔質材料等が挙げられ、プラスチックが好ましい。
基材としては、可とう性を有するフィルムが好ましく、さらに耐熱性及び耐溶剤性を有すると共に可とう性を有するプラスチックフィルムが好ましい。基材が可とう性を有することにより、ロールコーター等によって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
プラスチックとしては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミド等のポリアミドフィルム;ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデン等の塩素系樹脂;ポリカーボネートフィルム;ポリイミド;ポリビニルアルコール;セルロース;並びにポリフルオロエチレン等の含フッ素樹脂等が挙げられる。
その中で透明性や耐候性の観点でポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、ポリエステルが特に好ましい。
尚、粘着剤層と基材フィルム間の密着性を向上させるため、易接着処理を施すことが望ましい。易接着処理とはコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理層の塗布である。支持フィルムの表面にはコロナ処理等をおこなってもよい。又、基材フィルムには背面処理を行ってもよい。
2)カバーフィルム
カバーフィルムは、プロテクトフィルム製造時において、活性エネルギー線照射時の空気による重合阻害や低分子量化合物である(B)成分の蒸発を防止する目的や、得られた硬化膜(粘着面)を保護する目的で使用されるものである。
カバーフィルムは、プロテクトフィルム製造時に使用しても、組成物の硬化後に硬化膜層と貼り合せて使用することもできる。
カバーフィルムを構成する基材としては、紙やプラスチックフィルムがあり、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
プラスチックの種類としては、前記基材で挙げたものと同じものが挙げられる。
カバーフィルムは、必要に応じてプラスチック基材に、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系若しくは脂肪酸アミド系の離型剤を塗工したものが挙げられる。又、カバーフィルムに、シリカ粉等による離型及び防汚処理や酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の易接着処理をすることもできる。
これらカバーフィルムの中でも、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン系プラスチックがより好ましい。ポリオレフィン系プラスチックは、離型剤を塗工したり、種々の処理をすることなく離型性に優れ、これにより離型剤による硬化膜層や被着体の汚染を防止することができる。
3)帯電防止処理
プロテクトフィルムで使用するプラスチック基材としては、帯電防止処理されたものがより好ましい。
帯電防止処理としては特に限定されないが、一般的に用いられる基材の少なくとも片面に帯電防止層を形成する方法や、プラスチック基材に帯電防止剤又は導電性物質を練り込む方法が用いられる。
(1)帯電防止層を形成する方法
基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤と樹脂成分からなる帯電防止性樹脂、導電性物質を含有する導電性樹脂又は導電性ポリマーを塗布する方法、並びに導電性物質を蒸着又はメッキする方法が挙げられる。
帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基等のカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタイン及びその誘導体、イミダゾリン及びその誘導体、アラニン及びその誘導体等の両性型帯電防止剤、アミノアルコール及びその誘導体、グリセリン及びその誘導体、ポリエチレングリコール及びその誘導体等のノニオン型帯電防止剤、更には、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有する単量体を重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体が挙げられる。
帯電防止剤は、1種のみを単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
カチオン型の帯電防止剤として、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート等の4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体等が挙げられる。
アニオン型の帯電防止剤として、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩及びスルホン酸基含有スチレン共重合体が挙げられる。
これらの化合物は単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
両性イオン型の帯電防止剤として、例えば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン及びカルボベタイングラフト共重合が挙げられる。
ノニオン型の帯電防止剤として、例えば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオ帯電防止樹脂成分に、架橋剤として、例えば、メチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系等の化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を含有させることも可能である。
導電性物質を含有する導電性樹脂で使用される導電性物質としては、例えば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、及びそれらの合金又は混合物が挙げられる。
前記帯電防止性樹脂及び前記導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシ等の汎用樹脂が用いられる。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等が挙げられる。これらの導電性ポリマーは単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
帯電防止層の形成方法としては、例えば、上述の帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を有機溶剤もしくは水等の溶媒で希釈し、この塗液をプラスチック基材に塗布、乾燥することで形成される。
前記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロへキサノン、n−へキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、又2種以上を混合して使用してもよい。
前記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸及びカーテンコート法が挙げられる。
前記帯電防止性樹脂層、導電性ポリマー、導電性樹脂の厚さとしては、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.03〜1μmである。
導電性物質を蒸着又はメッキする方法としては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法等が挙げられる。
導電性物質層の厚みとしては通常20〜10000Åであり、好ましくは50〜5000Åである。
(2)プラスチック基材に帯電防止剤又は導電性物質を練り込む方法
プラスチック基材に帯電防止剤又は導電性物質を練り込む場合、帯電防止剤及び導電性物質としては、前記と同様の化合物を使用できる。
練り込み型帯電防止剤の配合量としては、プラスチック基材の総重量に対して20重量%以下、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で用いられる。練り込み方法としては、前記帯電防止剤がプラスチック基材に用いられる樹脂に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、例えば、加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機等が用いられる。
(3)用途
帯電防止処理されたプロテクトフィルムは、特に静電気が発生しやすいプラスチック製品等に用いられ、なかでも特に、液晶ディスプレイ等に用いられる偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、輝度向上フィルム等の光学部材表面を保護する目的で用いられる表面保護フィルムとして用いることができる。
特に、帯電防止処理されたプロテクトフィルムは、表面が凹凸状にアンチグレア処理された光学部材等の表面保護フィルムとして有用であり、被保護体への帯電防止性と被着体への汚染の低減効果が有益に作用する。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
○製造例1〔(A)成分の製造〕
撹拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、室温で、単量体(a1)である4−アクリロイルオキシベンゾフェノン〔前記式(1-1)において、R1が水素原子である化合物。以下、「BZ1」という〕0.12部、単量体(a2)であるブチルアクリレート(以下、「BA」という)39.88部と溶剤のメチルエチルケトン40部を仕込み、フラスコ内の窒素置換と攪拌を行いながら反応系内の温度75℃一定なる様にした。
続いて、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.003部(以下、「AMBN」という)をフラスコ内に添加し、発熱により重合反応の開始を確認した。
予め準備したBZ1:0.08部、BA:59.98部、メチルエチルケトン:10部及びAMBN:0.003部を含む混合液を、2時間かけて反応系内に連続滴下した。
連続滴下終了1時間後と2時間30分後にAMBNの0.002部を添加し、更に75℃で3時間攪拌し重合反応を終えた。得られた重合体をA−1という。
得られた重合体の未反応単量体はカスクロマトグラフィーより定量したところ未反応単量体はBAが1.5%、BZ1は0.02%以下であった。化学式からBZ−1の分子量は326.19と、得られた重合体の各単量体の仕込み量と未反応単量体の値から、得られた揮発成分を除いた重合体のベンゾフェノン当量(以下、「Bz当量」という)は6.13mmeq/gであった。
続いて系内を減圧してメチルエチルケトン及び未反応物を除去した。得られた(A)成分の重合体A−1を、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、GPCにより測定した分子量をポリスチレンの分子量を基準にして換算した結果、重量平均分子量(以下、「Mw」という)は約30万であった。
○製造例2〜4〔(A)成分の製造〕
製造例1において、単量体(a1)及び単量体(a2)の種類及び使用量を表1に示す通りに変更した以外は、製造例1と同様にして重合体を製造した。
得られた重合体について、製造例1と同様の方法でBz当量及びMwを測定した。それらの結果を表1に示す。
○比較製造例1及び2〔(A)成分と異なる重合体の製造〕
製造例1において、単量体(a1)を使用せず、単量体(a2)の種類及び使用量を表1に示す通りに変更した以外は、製造例1と同様にして重合体を製造した。
得られた重合体について、製造例1と同様の方法でBz当量及びMwを測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 2012140497
表1における略号は、前記で定義したもの以外は下記を意味する。
・P36:2−(アクリロイルオキシ)エチル−4−(4−クロロベンゾイル)ベンゾエート〔前記式(1-2)において、R1が水素原子である化合物。シグマアルドリッチ社製、商品名EBECRYL P36)
○市販の(A)成分
以下の市販品を(A)成分として使用した。
・A−5:ベンゾフェノン基含有アクリル系共重合体、BASFジャパン(株)製acResin A204UV、Mw:26万、Bz当量:9.98mmeq/g。
・A−6:ベンゾフェノン基含有アクリル系共重合体、BASFジャパン(株)製acResin A250UV、Mw:24万、Bz当量:3.27mmeq/g。
・A−7:ベンゾフェノン基含有アクリル系共重合体、BASFジャパン(株)製acResin A260UV、Mw:23万、Bz当量:4.60mmeq/g(A)成分としてA−7とした。
・A−8:ベンゾフェノン基含有アクリル系共重合体、BASFジャパン(株)製acResin DS3523、Mw:25万、Bz当量:30.0mmeq/g。
○実施例1
<紫外線硬化型粘着剤組成物の製造>
製造例1で得られた(A)成分のベンゾフェノン基を有する共重合体A−1の30部に、(B)成分としてBAを65部、(C)成分のトリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート〔東亞合成(株)製アロニックスM−370〕5部、(D)成分の光重合開始剤として、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]である商品名ESCURE−ONE〔lamberti社製で以下、「EC−O」という。〕0.2部を、撹拌・混合して配合した紫外線線硬化型粘着剤組成物を調製した。組成物の粘度を、25℃の条件で、E型粘度計で測定した結果、約220mPa・sであった。
<粘着シートの製造>
上記で得られた粘着剤組成物を、30分間窒素バブリングして、飯島電子工業(株)製の溶存酸素計B−506にて溶存酸素量が検出下限になった後に、基材フィルムに厚さが60μmの低密度ポリエチレン以下LDPEフィルムのコロナ処理面に15μmの厚さになるように均一になるように、窒素置換されたグローブブックス内で塗布した。塗工面にただちにカバーフィルムとしてさらに前記基材フィルムの背面つまり、60μmの低密度ポリエチレン以下LDPEフィルムの非コロナ処理面が該塗工面に接するようにして貼り合せた。
しかる後、5kwの高圧水銀ランプにて紫外線照射(積算光量:3000mJ/cm2)し粘着シートを作製した。積算光量はオーク製のORC光量計UV−350でUVA領域を測定した値である。次いで、基材フィルムと剥離フィルムの剥離処理面の間に形成された粘着剤層に、高圧水銀ランプにて紫外線照射(積算光量:3000mJ/cm2)し粘着シートを作製した。
この粘着シートの一部を切り取り室温で2日間THF(テトラヒドフラン)に浸漬して得られた溶出物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、未反応モノマーとしてBAが0.1%であった。ゾル分率は、以下の方法に従い測定し、12.4%であった。
●ゾル分率
粘着シートを3cm幅、25cmに切り取り、11mlのステンレス製試料抽出セルに海砂と共にセットしダイオネクス社製の高速溶媒抽出装置ASE−200を使用して抽出温度40℃、抽出溶媒:MEK、抽出圧力:1500psi、抽出時間:10分3サイクルを2回繰り返して、可溶成分の抽出を行い。その後、容器内部を一旦大気圧に戻し、再度MEKを導入した後、窒素パージにより該SUS容器より排出された可溶成分を含むMEK溶液(合計約30ml)を減圧下濃縮して、硬化膜の可溶成分を秤量した(下式のB)。
粘着剤組成物の硬化膜の重量(下式のA)は粘着シートを3cm幅、25cmに切り取り、同じ大きさに切り取った使用基材の重量を差し引いて求めた。
ゾル分率(%)=B/A×100 (1)
○実施例2〜同14、比較例1及び同2(紫外線硬化型粘着剤組成物の製造)
実施例1の組成物製造において、成分種類及び使用量を表2及び表3に示す通りに変更する以外は実施例1と同様の方法に従い、組成物を製造した。
得られた組成物を使用して、実施例1と同様にして粘着シートを製造した。
尚、実施例12〜同14は、基材の種類を変更した。さらに、実施例14では、粘着シートの製造では、組成物の塗布及び紫外線照射する際に基材背面側に10℃に温度調整した冷却板を敷いておき、カバーフィルムは紫外線照射後に貼り合わせた。
得られた粘着シートを使用して、実施例1と同様の方法で、未反応モノマーの割合及びゾル分率を測定した。それらの結果を表2及び表3に示す。
Figure 2012140497
Figure 2012140497
表2及び表3における略号は、前記で定義したもの以外は下記を意味する。
・コロネートL:多官能ポリイソシアネート〔日本ポリレタン工業(株)製コロネートL75〕
・テトラッド:多官能エポキシ化合物〔三菱ガス化学(株)製テトラッドC〕
・LDPE1:厚さが60μmの低密度ポリエチレンのコロナ処理面に組成物を塗工した。
・LDPE2:厚さが60μmの低密度ポリエチレンの非コロナ処理面に組成物塗工面と貼り合わせた。
・OPP:厚さが60μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム〔王子特殊紙(株)製商品名EM−201〕。コロナ処理面に組成物を塗工した。
・PET:厚さが38μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300,東洋紡製)。易接着面に組成物を塗工した。
○粘着シートの評価
上記で得られた着シートを使用して、以下の(1)〜(3)の評価を行った。評価結果を表2及び表3に示す。
<粘着シートの評価試験>
(1)初期接着力試験
得られた粘着シートを室温下にてJIS Z−0273に準じて貼付30分後の180°剥離強度を測定した。被着体としてはポリMMA板を使用した。
(2)接着力の経時変化試験
得られた粘着シートをJIS Z−0273に準じて貼付30分後に温度40℃、湿度90%の高温高湿下で一週間保管した後に、室温に戻して180°剥離強度を測定し老化後の接着力とした。接着力の経時変化試験は老化後の接着力と初期接着力との倍数を評価した。被着体としては、ポリMMA板を使用した。
○:老化後の接着力が初期接着力の0.8以上から1.5倍未満
×:老化後の接着力が初期接着力の0.8未満、もしくは1.5以上
(3)再剥離性
老化後の接着力測定後に目視にて剥がした後の破壊状態、被着体の汚染度を測定した。
○:界面破壊でかつ、剥がした後の被着体面に何も観察されない。
×:凝集破壊や投錨破壊、剥がした後の被着体面に汚染が観察される。
本発明の組成物は、種々の用途に使用することができ、特に粘着剤として有用である。
さらに、本発明の組成物は、基材に硬化膜を形成して種々の粘着シート用途に使用することができ、エージングレス(エージング不要)であり、特に接着力の経時変化が小さく再剥離性が必要なプロテクトフィルム、マスキングテープとして好ましく使用することができる。

Claims (16)

  1. 光架橋性の官能基を有する重合体であって、ベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基を1〜100mmeq/g有する重合体(A)及び分子量が300以下で1個のエチレン性不飽和を有する化合物(B)を含有する組成物であって、組成物中に(A)成分を5〜60重量%及び(B)成分を30〜94.9重量%を含有する活性エネルギー線硬化型組成物。
  2. 前記(A)成分におけるベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基が、ベンゾフェノン基又はシンナモイル基である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. 前記(A)成分が、エチレン性不飽和基と前記エチレン性不飽和基とは異なるベンゾフェノン骨格を有する光架橋性の官能基を有する化合物(a1)及び(a1)以外のエチレン性不飽和化合物(a2)を構成単量体単位とする重合体である請求項1又は請求項2記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 前記(A)成分が、前記化合物(a1)の0.01〜30重量%及び化合物(a2)の70〜99.99重量%を共重合割合とする共重合体である請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
    前記(A)
  5. 有機溶剤を含まない請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  6. 光重合開始剤(C)をさらに含有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  7. 組成物中に、(C)成分を0.1〜10重量%含有する請求項6記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  8. 2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(D)をさらに含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  9. 組成物中に、(D)成分を1〜10重量%含有する請求項8記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物。
  11. 基材上に、請求項10に記載の組成物の活性エネルギー線による硬化膜層を有する粘着シート。
  12. 前記基材がポリオレフィンフィルムである請求項11記載の粘着シート。
  13. 前記基材がポリエステルフィルムである請求項11記載の粘着シート。
  14. 請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の粘着シートを含むプトテクトフィルム。
  15. 活性エネルギー線照射後の硬化膜層のゾル分率が、20重量%未満である請求項14記載のプロテクトフィルム。
  16. 基材上に、請求項10に記載の組成物を塗工した後、活性エネルギー線を照射する粘着シートの製造方法。
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