JP2012140019A - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体ミストの付着および搬送方向に関して装置が大型化するのを抑制する。
【解決手段】インクジェットプリンタは、ブラックインクと吐出するインクジェットヘッド1Aと、このヘッド1Aよりも上流に配置されカラーインクを吐出する3つのインクジェットヘッド1Bと、これら4つのインクジェットヘッド1A,1Bよりも上流に配置されたプレコートヘッド2と、これらヘッド1,2を印刷位置と退避位置との間において移動させるヘッド昇降機構と、制御部とを含んでいる。制御部は、用紙に対してモノクロ印字を行う際に、カラーインクを吐出する3つのインクジェットヘッド1Bを印刷位置から退避位置に移動させるように、ヘッド昇降機構を制御する。
【選択図】図8

Description

本発明は、記録媒体に画像を形成する液体吐出装置に関する。
特許文献1には、インクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、インク中の色材を不溶化する処理液を吐出する処理液ヘッドとが記録紙の搬送方向に沿って配列されたインクジェットプリンタについて記載されている。このインクジェットプリンタにおいて、処理液ヘッドは、搬送方向に関して、インクジェットヘッドよりも上流に配置されている。複数のインクジェットヘッドのうち、処理液ヘッドに隣接して配置されたインクジェットヘッドと、処理液ヘッドとの搬送方向に関する離隔距離が、他のインクジェットヘッド間の離隔距離よりも大きくなっている。これにより、処理液ヘッドの吐出によって生じたミストが当該処理液ヘッドに隣接するインクジェットヘッドの吐出面に付着しにくくなる。このため、吐出口などに処理液ミストが付着して不溶化が生じ、インクジェットヘッドの吐出不良が生じるのを抑制することができる。
特開2002−154196号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいては、処理液ヘッドと当該処理液ヘッドと隣接したインクジェットヘッドとの間が大きく離れているので、搬送方向に関してプリンタ自体が大型化するという問題が生じる。
そこで、本発明の目的は、液体のミストが付着するのを抑制しつつ搬送方向に関して装置が大型化するのを抑制する液体吐出装置を提供することである。
本発明の液体吐出装置は、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、記録媒体に黒色のインクを吐出するための第1吐出口が形成された第1吐出面を有する第1吐出ヘッドと、前記搬送方向に関して前記第1吐出ヘッドよりも上流に配置され、インクに作用してインク中の成分を凝集又は析出させる液体を吐出するための第2吐出口が形成された第2吐出面を有する第2吐出ヘッドと、前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドよりも下流に配置され、記録媒体に黒色以外の互いに異なるカラー色のインクを吐出するための第3吐出口が形成された第3吐出面をそれぞれ有し、前記搬送方向に関して前記第1吐出ヘッドよりも上流に配置された少なくとも1つの特定第3吐出ヘッドを含む複数の第3吐出ヘッドと、前記特定第3吐出ヘッドから記録媒体にインクを吐出する印字位置と、前記特定第3吐出ヘッドと前記搬送機構との離隔距離が前記印字位置における離隔距離よりも大きい退避位置との間において前記特定第3吐出ヘッドを移動させる移動機構と、記録媒体に記録されるべき画像にかかる画像データを各前記第1〜第3吐出ヘッドからのインク及び液体の吐出データとして記憶する画像データ記憶手段と、前記第1〜第3吐出ヘッド、及び、前記移動機構を制御する制御手段とを備えている。そして、前記制御手段は、記録媒体に前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドからのインク及び前記第2吐出ヘッドからの液体が吐出されて画像ドットが形成されるように、前記画像データ記憶手段に記憶された前記吐出データに基づいて、各前記第1〜第3吐出ヘッドを制御する吐出ヘッド制御手段と、前記第1吐出ヘッドだけからインクを吐出するモノクロ印字を行う際に、前記特定第3吐出ヘッドを前記印字位置から前記退避位置に移動させるように前記移動機構を制御する移動制御手段とを含んでいる。
これによると、第2吐出ヘッドと第1吐出ヘッドとの間には、少なくとも1つの特定第3吐出ヘッドが配置されており、搬送方向に沿って第2吐出ヘッドから第1吐出ヘッドまでの距離が比較的離れる。このため、第1吐出口近傍に第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストが付着しにくくなる。したがって、黒色のインクを吐出する第1吐出ヘッドからのインク吐出不良が発生しにくくなるとともに、装置の大型化を防ぐことができる。また、特定第3吐出ヘッドは、モノクロ印字の際に、印字位置から退避位置に移動させるので、第3吐出口近傍に第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストも付着しにくくなる。このため、特定第3吐出ヘッドからのインク吐出不良が発生しにくくなる。
本発明において、前記特定第3吐出ヘッドが、前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドに隣接する位置に配置されており、前記特定第3吐出ヘッドからは、前記カラー色のインクのうち最も明度の低いインクが吐出されることが好ましい。これにより、カラー色のインクのうち明度の低いインクが着弾した記録媒体に、当該インクよりも明度の高いインクが着弾するので、後から記録媒体に着弾したインクが記録媒体に染み込む際にその着弾位置からずれても(すなわち、インクトラッピング現象が生じても)、当該インクは明度が高いため、その着弾位置のズレが目立ちにくくなる。また、第2吐出ヘッドと特定第3吐出ヘッドとが搬送方向に沿って比較的近くなるので、第2吐出ヘッドから吐出された液体の着弾位置と、特定第3吐出ヘッドから吐出されたインクの着弾位置とがずれにくくなる。
また、本発明において、前記特定第3吐出ヘッドが、前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドに隣接する位置に配置されており、前記特定第3吐出ヘッドからは、前記カラー色のインクのうち最も明度の高いインクが吐出されることが好ましい。これにより、第2吐出ヘッドに隣接した特定第3吐出ヘッドに、第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストが他のヘッドより付着することで吐出不良が発生して記録媒体上におけるその着弾位置のズレが大きくなっても、当該特定第3吐出ヘッドから吐出されるインクの明度が最も高いので、記録媒体上におけるその着弾位置のズレが目立ちにくくなる。さらに、吐出不良を防止するために特定第3吐出ヘッドから記録媒体上に吐出フラッシングが行われても、当該インクは記録媒体上で目立ちにくいので、この吐出フラッシングの回数を多くして吐出不良を防止することができる。
また、本発明において、前記特定第3吐出ヘッドの前記第3吐出面を覆う少なくとも1つのキャップを有するキャップ機構をさらに備えている。そして、前記移動制御手段は、前記モノクロ印字を行う際に、前記特定第3吐出ヘッドを前記印字位置から前記退避位置に移動させた後、前記特定第3吐出ヘッドの前記第3吐出面を前記キャップで覆うように、前記移動機構及び前記キャップ機構を制御することが好ましい。これにより、特定第3吐出ヘッドの第3吐出口近傍に第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストがより一層付着しにくくなる。
また、本発明において、前記キャップ機構は、前記第1及び第2吐出面並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出面をそれぞれ覆う複数のキャップをさらに有しており、前記移動機構は、前記第1及び第2吐出ヘッド並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出ヘッドから記録媒体にインク及び液体を吐出する印字位置と、前記第1及び前記第2吐出ヘッド並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出ヘッドと前記搬送機構との離隔距離が前記印字位置におけるよりも大きい退避位置との間において前記第1及び第2吐出ヘッド並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出ヘッドを移動可能に構成され、前記移動制御手段は、記録媒体に対する印字が終了した後に、前記第1〜第3吐出ヘッドを前記印字位置から前記退避位置に移動させた後、前記第1〜第3吐出面を前記複数のキャップで覆うように、前記移動機構及び前記キャップ機構を制御することが好ましい。これにより、印字していない期間における第1〜第3吐出口内のインクの乾燥を抑制することが可能となる。
また、本発明において、前記特定第3吐出ヘッドが1つの前記第3吐出ヘッドであることが好ましい。これにより、第1吐出ヘッドと第2吐出ヘッドの距離が大きく離れないので、液体の着弾位置と黒色のインクの着弾位置とのズレを小さくできる。
また、本発明において、前記特定第3吐出ヘッドが全ての前記第3吐出ヘッドであることが好ましい。これにより、第2吐出ヘッドと第1吐出ヘッドとの間には、複数の第3吐出ヘッド(特定第3吐出ヘッド)が配置されるので、搬送方向に沿って第2吐出ヘッドから第1吐出ヘッドまでの距離が大きく離れる。このため、第1吐出口近傍に第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストがより一層付着しにくくなる。
また、本発明において、前記制御手段は、前記画像データ記憶手段に記憶された前記吐出データ又はユーザ設定に基づいて、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドから記録媒体にインクを吐出するカラー印字を行うカラー印字モード、及び、前記モノクロ印字を行うモノクロ印字モードのいずれを行うかを判定する印字モード判定手段をさらに含んでおり、前記吐出ヘッド制御手段は、前記印字モード判定手段が前記カラー印字モードを行うと判定したときに記録媒体にインクを吐出するように前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドを制御し、前記印字モード判定手段が前記モノクロ印字モードを行うと判定したときに記録媒体にインクを吐出するように前記第1吐出ヘッドを制御することが好ましい。これにより、記録媒体にカラー印字及びモノクロ印字のいずれを行うかを判定することが可能となる。
また、本発明において、前記制御手段は、外部から入力された記録媒体の種類を示す信号に基づいて、前記第2吐出ヘッドから記録媒体に液体を吐出して前処理を行う前処理モード、及び、前記第2吐出ヘッドから記録媒体に液体を吐出せず前処理を行わない非前処理モードのいずれを行うかを判定する前処理モード判定手段をさらに含んでおり、前記吐出ヘッド制御手段は、前記前処理モード判定手段が前記前処理モードを行うと判定したときに記録媒体に液体を吐出するように前記第2吐出ヘッドを制御し、前記前処理モード判定手段が前記非前処理モードを行うと判定したときに記録媒体に液体が吐出されないように前記第2吐出ヘッドを制御することが好ましい。これにより、記録媒体に前処理を行うか否かを判定することが可能となる。
また、本発明において、前記制御手段は、前記前処理モード判定手段が前記前処理モードを行うと判定し、前記印字モード判定手段が前記カラー印字モードを行うと判定した際に、前記第1吐出ヘッドから吐出された単色のインクの液滴だけで構成される画像ドットに対する前記複数の第3吐出ヘッドから吐出されたインクの液滴が記録媒体上において重なることで構成されるコンポジットブラックによる画像ドットの形成比率が、前記前処理モード判定手段が前記非前処理モードを行うと判定したときよりも多くなるように、前記画像データ記憶手段に記憶された前記吐出データを変更する変更手段をさらに含んでいることが好ましい。これにより、複数のカラー色のインクを混ぜて形成するコンポジットブラックは、単色のブラックよりも明度が高いのでインクトラッピング現象が生じても、目立ちにくくなる。また、コンポジットブラックの比率を増加することにより、第3吐出ヘッドから吐出されるインクの量が多くなり、第3吐出ヘッドの吐出口近傍に第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストが付着−堆積することで発生する吐出不良を抑制することができる。
また、本発明において、前記制御手段は、前記第1及び第3吐出口のそれぞれからインクを吐出させる吐出フラッシングが、前記搬送機構によって搬送されてきた記録媒体と前記第1及び第3吐出口とが対向しているときに行われるように、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドを制御するフラッシング制御手段をさらに含んでおり、前記フラッシング制御手段は、前記印字モード判定手段が前記カラー印字モードを行うと判定した際に、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドのうち前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドに近いものほど、前記吐出フラッシングの回数が多くなるように、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドを制御することが好ましい。これにより、第2吐出ヘッドに近い吐出ヘッドほど吐出フラッシングの回数を多くすることで、第2吐出ヘッドから比較的離れた第1吐出ヘッドからの吐出フラッシングの回数を減らすことが可能となり、吐出フラッシングによるインク消費量を減らすことが可能となる。加えて、第2吐出ヘッドに隣接した第3吐出ヘッドからの吐出フラッシングの回数が多くなるため、第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストが第3吐出ヘッドの吐出口近傍に付着しつつ堆積することを抑制でき、堆積した液体のミストが固着することで発生する吐出不良を防止することができる。
本発明の液体吐出装置によると、第2吐出ヘッドと第1吐出ヘッドとの間には、少なくとも1つの特定第3吐出ヘッドが配置されており、搬送方向に沿って第2吐出ヘッドから第1吐出ヘッドまでの距離が比較的離れる。このため、第1吐出口近傍に第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストが付着しにくくなる。したがって、黒色のインクを吐出する第1吐出ヘッドからのインク吐出不良が発生しにくくなるとともに、装置の大型化を防ぐことができる。また、特定第3吐出ヘッドは、モノクロ印字の際に、印字位置から退避位置に移動させるので、第3吐出口近傍に第2吐出ヘッドから吐出された液体のミストも付着しにくくなる。このため、特定第3吐出ヘッドからのインク吐出不良が発生しにくくなる。
本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。 図1に示すインクジェットヘッドの平面図である。 図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。 図2に示すインクジェットヘッドの部分断面図である。 (a)はキャップ機構の平面図であり、(b)は図3(a)に示すVB−VB線に関する断面図である。 図1に示す制御部の概略構成を示すブロック図である。 図1に示すインクジェットプリンタの印刷動作を示すフローチャートである。 カラー用の3つのインクジェットヘッドをキャップで覆うときの動作を示す状況図である。 プレコートヘッド及び4つのインクジェットヘッドをキャップで覆うときの動作を示す状況図である。 本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの変形例の印刷動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態のインクジェットプリンタ(液体吐出装置)101は、図1に示すように、略直方体形状の筐体101aを有している。筐体101a内には、用紙Pを搬送方向(図1中左方から右方に向かう方向)に搬送する搬送機構16と、搬送機構16によって搬送された用紙Pに、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのインク滴をそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド1(1A,1B)と、各インクの色素成分を凝集又は析出させるプレコート液の液滴を吐出するプレコートヘッド(第2吐出ヘッド)2と、ヘッド昇降機構33(図6参照)と、キャップ機構34(図5参照)と、用紙Pを給紙する給紙ユニット101bと、インク及びプレコート液を貯留するタンクユニット101cと、インクジェットプリンタ101全体を制御する制御部100とが設けられている。また、筐体101aの天板上部には、用紙Pが排出される排紙部15が設けられている。
なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送機構16で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
タンクユニット101cは、内部に4つのインクタンク17a及び1つのプレコート液タンク17bを収納している。インクタンク17a及びプレコート液タンク17bは、タンクユニット101cに対して着脱可能に装着されている。各インクタンク17aには、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのインクがそれぞれ貯留されており、対応するインクジェットヘッド1A,1Bにインクチューブ(不図示)を介してインクが供給される。同様に、プレコート液タンク17bにはプレコート液が貯留されており、プレコートヘッド2にチューブを介してプレコート液が供給される。また、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるプレコート液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させるプレコート液が使用される。プレコート液の材料は、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等、適宜に選択可能である。かかるプレコート液があらかじめ塗布された用紙Pの領域にインクが着弾すると、多価金属塩等がインクの着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。
給紙ユニット101bは、筐体101aに対して着脱可能に配置されており、給紙トレイ11と、給紙ローラ12とを有している。給紙トレイ11は、上方に向かって開口した箱形状を有しており、複数枚の用紙Pが積層された状態で収納される。給紙ローラ12は、制御部100の制御によって給紙トレイ11の最も上方にある用紙Pを送り出す。送り出された用紙Pは、ガイド13a、13bに沿って送りローラ対14により搬送機構16へと送られる。
搬送機構16は、2つのベルトローラ6、7と、搬送ベルト8と、テンションローラ10と、プラテン18とを有している。搬送ベルト8は、両ローラ6、7の間に巻回されたエンドレスのベルトであり、テンションローラ10によってテンションが付加されている。プラテン18は、4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。これにより、搬送ベルト8の外周面と4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2の吐出面との間には、画像形成に適した所定の間隙が形成される。ベルトローラ7は、図示しないモータによって図1中時計回りに回転駆動される駆動ローラであって、搬送ベルト8を走行させる。ベルトローラ6は、搬送ベルト8が走行することによって回転する従動ローラである。搬送ベルト8の外周面には、弱粘着性のシリコン層が形成されており、載置された用紙Pを保持する。これにより、搬送機構16は、搬送ベルト8上に載置された用紙Pを搬送方向に搬送することができる。
4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2は、同一構造を有しており、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向には互いに平行かつ等間隔に配置されている。プレコートヘッド2は、4つのインクジェットヘッド1A,1Bの搬送方向に関する上流側に配置されている。各インクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2の下面は、複数の吐出口(第1〜第3吐出口)108(図3参照)が配列された吐出面(第1〜第3吐出面)1a,2aとなっている。すなわち、インクジェットプリンタ101は、主走査方向にインク滴が吐出される複数の吐出口108が配列されたライン式のカラーインクジェットプリンタである。
4つのインクジェットヘッド1A,1Bのうち、搬送方向に沿って最も下流に配置されたインクジェットヘッド(第2吐出ヘッド)1Aからはブラックインクが吐出される。残
り3つのインクジェットヘッド1Bからは、ブラック色以外のカラーインク(すなわち、マゼンタ、シアン、イエローのインク)が吐出される。これらカラー用のインクジェットヘッド1Bのうち、搬送方向に沿って最も上流に配置されたインクジェットヘッド(特定第3吐出ヘッド)1Bからは最も明度の高いイエローインクが吐出され、残りの2つのインクジェットヘッド(特定第3吐出ヘッド)1Bからはシアン、マゼンタのインクが順に吐出される。このように4つのインクジェットヘッド1A,1Bは下流に行くほど明度の低いインクが吐出されるように配置されている。
搬送ベルト8の上側ループの外周面と各吐出面1a,2aとが対向しつつ平行となっている。搬送ベルト8によって搬送されてきた用紙Pは、プレコートヘッド2のすぐ下方を通過する際に、用紙Pの上面における画像が形成される領域にプレコート液が塗布されるように、プレコートヘッド2からプレコート液滴が吐出される。その後、当該用紙Pが、4つのインクジェットヘッド1A,1Bのすぐ下方を通過する際に、用紙Pの上面におけるプレコート液が塗布された領域に、各インクジェットヘッド1A,1Bから各色のインク滴が順に吐出される。これにより、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。このとき、用紙P上に塗布されたプレコート液上にインク滴が着弾すると、プレコート液がインク滴の色素成分を凝集又は析出させるため、用紙Pにおけるインク滲みが防止される。
4つのインクジェットヘッド1A,1Bの搬送方向に関する下流側には、剥離プレート5が配置されている。搬送機構16によって搬送方向に搬送された用紙Pは、プレコートヘッド2及び4つのインクジェットヘッド1A,1Bの下方を順に通過した後に、剥離プレート5によって、搬送ベルト8の搬送面から剥離される。剥離プレート5によって剥離された用紙Pは、ガイド29a、29bに沿って2組の送りローラ対28により上方に搬送され、筐体101aの上部に形成された排出口22から排紙部15へと排出される。
次に、図2〜図4を参照しつつ各ヘッド1,2について詳細に説明する。なお、プレコートヘッド2は、インクジェットヘッド1と同一の構造を有しているため、説明を省略する。図3では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で描いている。
インクジェットヘッド1は、図2に示すように、流路ユニット9の上面9aに4つのアクチュエータユニット21が固定された積層体である。なお、図示はしないが、インクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2は、流路ユニット9に供給されるインク(又はプレコート液)を貯留するリザーバユニット、アクチュエータユニット21に駆動信号を供給するフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)、FPCに実装されたドライバICを制御する制御基板等を含んでいる。
図4に示すように、流路ユニット9は、ステンレス鋼からなる複数の金属製のプレートを互いに位置合わせした積層体である。流路ユニット9内には、マニホールド流路105(図2及び図3参照)から副マニホールド流路105a、そして副マニホールド流路105aの出口からアパーチャ112及び圧力室110を経て吐出口108に至る多数の個別インク流路109が形成されている。アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する機能を有する。
図2に示すように、流路ユニット9の上面9aには、リザーバユニットのインク流出流路に対応して、計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の下面は吐出面1aとなっており、多数の吐出口108がマトリクス状に配置されている。なお、吐出口108は、主走査方向に関して主走査方向解像度である600dpiの間隔で配列されている。
流路ユニット9におけるインクの流れについて説明する。図3及び図4に示すように、リザーバユニットからインク供給口105bを介して流路ユニット9内に供給されたインクは、マニホールド流路105から副マニホールド流路105aに分配される。副マニホールド流路105a内のインクは、各個別インク流路109に流れ込み、圧力室110を介して吐出口108に至る。
4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2は、図1に示すように、フレーム35a〜35cに固定されている。プレコートヘッド2は、フレーム35aに固定されている。イエロー、シアン及びマゼンタのカラーインクを吐出する3つのインクジェットヘッド1Bは、フレーム35bに固定されている。ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド1Aはフレーム35cに固定されている。ヘッド昇降機構33は、印
刷時においてヘッド1,2から用紙Pにプレコート液及びインクを吐出する「印刷位置」(図1参照)と、ヘッド1,2と搬送機構16との離隔距離を印刷位置におけるよりも離れた「退避位置」(図8及び図9参照)との間において、これらヘッド1,2を移動させるようにフレーム35a〜35cを昇降させる。また、ヘッド昇降機構33によって退避位置に移動したヘッド1,2と、搬送機構16との間には、キャップ71〜73及びトレイ76〜78(ともに後述する)を配置することが可能な空間が形成される。これにより、通常、この空間に対して主走査方向にずれて待機しているキャップ71〜73及びトレイ76〜78を、当該空間に配置してヘッド1,2の吐出面1a,2aをキャップ71〜73で覆うことが可能となる。
キャップ機構34は、図5に示すように、5つのキャップ71〜73と、キャップ71を支持するトレイ76と、3つのキャップ72を支持するトレイ77と、キャップ73を支持するトレイ78と、3つのトレイ76〜78を主走査方向に移動可能なトレイ移動機構(不図示)を有する。トレイ移動機構は、トレイ76〜78(キャップ71〜73)が印刷位置にあるヘッド1,2に対して主走査方向にずれ、キャップ71〜73が吐出面1a,2aと対向しない「待機位置」と、退避位置にあるヘッド1,2の吐出面1a,2aにキャップ71〜73が対向する「キャッピング位置」(図8及び図9参照)との間において、トレイ76〜78を主走査方向に移動させる。キャップ71〜73は、凹部74を有する弾性部材であって、凹部74の先端が吐出面1a,2aに当接することによって、各吐出面1a,2aを覆う。凹部74の側壁は、内壁面が先端に近づくにつれ外側に傾斜するテーパ面を有している。
次に、図6を参照しつつ、制御部100について説明する。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使
用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRA
M(Random Access Memory)とを含んでいる。制御部100を構成する各機能部は、これらハードウェアとEEPROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。図6に示すように、制御部100は、インクジェットプリンタ101全体を制御するものであり、搬送制御部130と、画像データ記憶部131と、ヘッド制御部132と、印字モード判定部133と、前処理モード判定部134と、画像データ変更部135と、フラッシング制御部136と、メンテナンス制御部137を有している。
搬送制御部130は、搬送方向に沿って用紙Pが搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び、搬送機構16を制御する。画像データ記憶部131は、PC(Personal Computer)等から転送された用紙P上に印字される画像にかかる
画像データを、各インクジェットヘッド1A,1Bからのインク及びプレコートヘッド2からのプレコート液の吐出データとして記憶している。なお、本実施形態において、吐出データは各吐出口108から印字周期ごとに吐出されるインク又はプレコート液の量が4種類(ゼロ、小量、中量、大量)のいずれであるかを示している。また、プレコート液の吐出データは、画像データに基づいて決められている。具体的には、画像データに基づいてインクジェットヘッド1A,1Bから吐出されたインクが着弾するドット領域にプレコート液が着弾するように決められている。すなわち、画像が形成される領域にプレコート液が吐出され、画像が形成されない領域にはプレコート液が吐出されない。
印字モード判定部133は、画像データ記憶部131に記憶された吐出データに基づいて、4つのインクジェットヘッド1A,1Bからインクを吐出してカラー印字を行うカラー印字モード、及び、ブラックインクを吐出する1つのインクジェットヘッド1Aからイ
ンクを吐出してモノクロ印字を行うモノクロ印字モードのいずれを行うかを判定する。また、印字モード判定部133は、プリンタ自体の印字モードがユーザ設定されている場合は、当該ユーザ設定された印字モードを優先して判定する。つまり、印字モード判定部133は、例えば、モノクロ印字モードにユーザ設定されている場合は、カラー画像に係る吐出データを画像データ記憶部131が記憶していても、モノクロ印字モードを優先して判定する。
前処理モード判定部134は、PC等から転送された用紙Pの種類を示す信号に基づいて、プレコートヘッド2から用紙Pにプレコート液を吐出する前処理を行う前処理モード、及び、プレコートヘッド2から用紙Pにプレコート液を吐出せず前処理を行わない非前処理モードのいずれを行うか判定する。つまり、前処理モード判定部134は、光沢紙など表面がコーティングされ、プレコート液を付着させる必要がない用紙種類においては、非前処理モードを行うと判定する。一方、普通紙など表面がコーティングされておらず、プレコート液を付着させることでインク滲みを抑制することができる用紙種類においては、前処理モードを行うと判定する。
ヘッド制御部132は、画像データ記憶部131に記憶された吐出データに基づいて、プレコートヘッド2のアクチュエータユニット21を駆動することによって、プレコート液滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させると共に、各インクジェットヘッド1A,1Bのアクチュエータユニット21を駆動することによって、所望の体積のインク滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。また、ヘッド制御部132は、印字モード判定部133がモノクロ印字モードを行うと判定した際に、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド1Aのアクチュエータユニット21だけを駆動し、印字モード判定部133がカラー印字モードを行うと判定した際に、すべてのインクジェットヘッド1A,1Bのアクチュエータユニット21を駆動する。また、ヘッド制御部132は、前処理モード判定部134が前処理モードを行うと判定したときだけ、プレコートヘッド2のアクチュエータユニット21を駆動する。
画像データ変更部135は、前処理モード判定部134が前処理モードを行うと判定し、印字モード判定部133がカラー印字モードを行うと判定したときだけ、ブラックインクによる画像ドットに対するコンポジットブラックによる画像ドットの形成比率が、前処理モードを行わない場合(非前処理モード)と比較して多くなるように、画像データ記憶部131に記憶された吐出データを変更する。ここでいう、コンポジットブラックとは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド1A以外の3つのインクジェットヘッド1Bから3色のカラーインクの液滴が用紙P上において重なることで構成される色をいう。つまり、画像データ変更部135は、非前処理モードにおけるブラックインクを吐出して形成する画像ドットに対するコンポジットブラックによる画像ドットの形成比率より、前処理モードにおけるブラックインクを吐出して形成する画像ドットに対するコンポジットブラックによる画像ドットの形成比率が大きくなるように用紙Pに印字される画像を構成する複数の画像ドットのうち、ブラックインクを吐出して形成する画像ドットをコンポジットブラックインクに置き換えることで、吐出データを変更する。
フラッシング制御部136は、前処理モード判定部134が前処理モードを行うと判定したときだけ、用紙Pの搬送が開始されてから当該用紙Pの画像が形成されない領域と各ヘッド1の吐出口108とが対向するまでの所定時間が経過したときに、各ヘッド1A,1Bの吐出口108から微小なインク滴を吐出させる吐出フラッシングが行われるように、各ヘッド1A,1Bを制御する。なお、吐出口108から用紙P上に吐出された吐出フラッシングによる1つのインク滴は非常に小さなインク滴であり、用紙Pに着弾した当該インク滴は肉眼では認識できない程度のものである。つまり、フラッシング制御部136は、画像データ記憶部131に記憶された吐出データから用紙Pに画像が形成されない領域を認識し、当該領域と各ヘッド1A,1Bの吐出口108とが対向したときに、吐出フラッシングによるインク滴が用紙Pに吐出されるように、各ヘッド1A,1Bのアクチュエータユニット21を駆動する。また、フラッシング制御部136は、印字モード判定部133がカラー印字モードを行うと判定した際に、搬送方向に関してプレコートヘッド2に近いインクジェットヘッド1A,1Bほど、吐出フラッシングによるインク滴の吐出回数が多くなるように、各ヘッド1A,1Bのアクチュエータユニット21を駆動する。
メンテナンス制御部137は、印字モード判定部133及び前処理モード判定部134の判定結果に基づいて、ヘッド昇降機構33のよるフレーム35a〜35cの昇降動作、及び、キャップ機構34のキャップ71〜73及びトレイ76〜78の移動動作を制御する。具体的には、メンテナンス制御部137は、前処理モード判定部134が前処理モードを行うと判定し、印字モード判定部133がモノクロ印字モードを行うと判定した際に、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッド1Aを除く3つのインクジェットヘッド1Bを印刷位置から退避位置に移動させた後、当該3つのインクジェットヘッド1Bの吐出面1aをキャップ72で覆うように、ヘッド昇降機構33及びキャップ機構34を制御する。また、メンテナンス制御部137は、今回の印字が終了し次回の印字が再開されるまで、すべてのヘッド1,2の吐出面1a,2aをキャップ71〜73で覆うように、ヘッド昇降機構33及びキャップ機構34を制御する。なお、退避位置は、印刷位置よりも上方(搬送ベルト8から離隔する方向)に位置しており、搬送面と各ヘッド1,2の吐出面1a,2aとの間にキャップ71〜73及びトレイ76〜78を配置させることが可能な空間を形成する。
次に、インクジェットプリンタ101の印刷動作について説明する。図7に示すように、インクジェットプリンタ101は、まず、PCなどから画像データや用紙種類を示す信号などを含む印刷データを受信する(S1)。このとき、画像データ記憶部131は、印刷データに含まれる画像データを各ヘッド1,2からのインク及びプレコート液の吐出データとして記憶する。
次に、前処理モード判定部134が、用紙種類を示す信号に基づいて、前処理モードを行うか否かを判定し(S2)、非前処理モードを行うと判定した場合はステップ3(S3)に進む。
ステップ3においては、印刷モード判定部133が、画像データ記憶部131に記憶された吐出データに基づいて、モノクロ印字モードを行うか否かを判定する。このとき、モノクロ印字モードを行うと判定しないときはカラー印字モードを行うと判定しステップ4(S4)に進み、モノクロ印字モードを行うと判定した場合はステップ5(S5)に進む。
ステップ4においては、搬送制御部130が、用紙Pがプリンタ内の搬送経路に沿って搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び、搬送機構16を制御する。このとき、ヘッド制御部132が、画像データ記憶部131に記憶された吐出データに基づいて、各インクジェットヘッド1A,1Bのアクチュエータユニット21を駆動することによって、所望の体積のインク滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、カラー画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(S12)。
ステップ5においては、搬送制御部130が、用紙Pがプリンタ内の搬送経路に沿って搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び、搬送機構16を制御する。このとき、ヘッド制御部132が、画像データ記憶部131に記憶された吐出データに基づいて、インクジェットヘッド1Aのアクチュエータユニット21だけを駆動することによって、所望の体積のインク滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、モノクロ画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(S12)。
一方、ステップ2において、前処理モード判定部134が、前処理モードを行うと判定した場合はステップ6(S6)に進む。ステップ6においても、上述のステップ3と同様に、印刷モード判定部133が、モノクロ印字モードを行うか否かを判定する。このとき、モノクロ印字モードを行うと判定しないときはカラー印字モードを行うと判定しステップ7(S7)に進み、モノクロ印字モードを行うと判定した場合はステップ8(S8)に進む。
ステップ7においては、搬送制御部130が、用紙Pがプリンタ内の搬送経路に沿って搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び、搬送機構16を制御する。このとき、画像データ変更部135は、非前処理モード(ステップ4)におけるブラックインクを吐出して形成する画像ドットに対するコンポジットブラックによる画像ドットの形成比率より、前処理モードにおけるブラックインクを吐出して形成する画像ドットに対するコンポジットブラックによる画像ドットの形成比率が大きくなるように画像データ記憶部131に記憶された吐出データを変更する。ヘッド制御部132が、この変更された吐出データに基づいて、プレコートヘッド2からプレコート液滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させると共に、各インクジェットヘッド1A,1Bからインク滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。これにより、複数のカラー色のインクを混ぜて形成するコンポジットブラックは、単色のブラックよりも明度が高いのでインクトラッピング現象が生じても、目立ちにくくなる。また、コンポジットブラックの比率を非前処理モードの場合と比較して増加させることにより、3つのヘッド1Bから吐出されるインクの量が多くなり、これらヘッド1Bの吐出口108近傍にプレコート液ミストが付着しにくくなる。
また、このとき、フラッシング制御部136が、各ヘッド1A,1Bのアクチュエータユニット21を駆動し、用紙Pに画像が形成されない領域と各ヘッド1A,1Bの吐出口108とが対向しているときに吐出フラッシング(予備吐出)による微小なインク滴を用紙Pに定期的に吐出する。こうすることで、長時間印字に寄与しない吐出口108からも微小なインク滴が吐出されるので、プレコートヘッド2からの吐出によって生じたプレコート液ミストが、長時間印字に寄与しない吐出口108を閉塞させるのを抑制することができる。また、このとき、フラッシング制御部136は、プレコートヘッド2に近いインクジェットヘッド1A,1Bほど、吐出フラッシングによるインク滴の吐出回数が多くなるように、各ヘッド1A,1Bのアクチュエータユニット21を駆動する。これにより、プレコートヘッド2に近いヘッド1A,1Bほど吐出口108近傍にプレコート液ミストが付着しにくくなる。また、プレコートヘッド2から離れるヘッド1A,1Bほど、吐出フラッシングの回数を減らすことが可能となり、吐出フラッシングによるインク消費量を減らすことが可能となる。さらに、プレコートヘッド2に最も近いヘッド1Bからは、最も明度の高いイエローインクが吐出されるので、このヘッド1Bからの吐出フラッシングの回数が多くても、用紙P上に着弾した吐出フラッシングのインク滴が目立たなくなる。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、カラー画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(S12)。
ステップ8においては、メンテナンス制御部137が、図8(a)に示すように、カラーインクを吐出する3つのインクジェットヘッド1Bが印刷位置から退避位置に移動するように、ヘッド昇降機構33を制御する。次に、ステップ9(S9)において、メンテナンス制御部137が、図8(b)に示すように、3つのキャップ72及びトレイ77を待機位置からキャッピング位置に移動するように、キャップ機構34を制御する。これにより、退避位置に移動した各インクジェットヘッド1Bの吐出面1aと3つのキャップ72とが対向する。
次に、ステップ10(S10)において、メンテナンス制御部137が、図8(c)に示すように、吐出面1aとキャップ72とが当接するまで3つのインクジェットヘッド1Bを退避位置から少し下降させるように、ヘッド昇降機構33を制御する。これにより、3つのインクジェットヘッド1Bの吐出面1aが各キャップ72で覆われる。そのため、プレコートヘッド2からの吐出によって生じたプレコート液ミストが3つのインクジェットヘッド1Bの吐出口108近傍に付着しなくなる。
次に、ステップ11(S11)において、搬送制御部130が、用紙Pがプリンタ内の搬送経路に沿って搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28及び、搬送機構16を制御する。このとき、ヘッド制御部132が、画像データ記憶部131に記憶された吐出データに基づいて、プレコートヘッド2からプレコート液滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させると共に、インクジェットヘッド1Aからインク滴を所望のタイミングで吐出口108から吐出させる。また、このとき、フラッシング制御部136が、インクジェットヘッド1Aのアクチュエータユニット21を駆動し、用紙Pに画像が形成されない領域と当該ヘッド1Aの吐出口108とが対向しているときに吐出フラッシングによる微小なインク滴を用紙Pに定期的に吐出する。これにより、長時間印字に寄与しない吐出口108からも微小なインク滴が吐出されるので、プレコートヘッド2からの吐出によって生じたプレコート液ミストが、長時間印字に寄与しない吐出口108を閉塞させるのを抑制することができる。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、モノクロ画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(S12)。
こうして、今回の印字が終了し次回の印字が再開されるまで、ステップ13(S13)において、メンテナンス制御部137が、図9(a)に示すように、すべてのヘッド1,2を印刷位置から退避位置に移動するように、ヘッド昇降機構33を制御する。次に、ステップ14(S14)において、メンテナンス制御部137が、図9(b)に示すように、5つのキャップ71〜73及び3つのトレイ76〜78を待機位置からキャッピング位置に移動するように、キャップ機構34を制御する。これにより、各ヘッド1,2の吐出面1a,2aと5つのキャップ71〜73とが対向する。
次に、ステップ15(S15)において、メンテナンス制御部137が、図9(c)に示すように、吐出面1a,2aとキャップ71〜73とが当接するまでヘッド1,2を退避位置から少し下降させるように、ヘッド昇降機構33を制御する。これにより、各ヘッド1,2の吐出面1a,2aが各キャップ71〜73によって覆われる。このため、印字していない期間における各ヘッド1,2の吐出口108内のインクの乾燥を抑制することが可能となる。こうして、印刷動作が終了する。なお、ステップ1において、キャップ71〜73が吐出面1a,2aを覆っている場合は、ステップ13〜15の動作とは逆の動作を行って、すべてのヘッド1,2を印刷位置に配置させる。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ101によると、プレコートヘッド2とインクジェットヘッド1A(以下、ブラック用ヘッド1Aと称する)との間には、3つのインクジェットヘッド1B(以下、カラー用ヘッド1Bと称する)が配置されているので、搬送方向に沿ってプレコートヘッド2からブラック用ヘッド1Aまでの距離が大きく離れる。このため、ブラック用ヘッド1Aの吐出口108近傍にプレコート液ミストが付着しにくくなる。また、ブラック用ヘッド1Aは、プレコートヘッド1から離すために搬送方向に関して最も下流に配置されているだけで、これら5つのヘッド1,2の搬送方向に関する間隔は等間隔となっている。したがって、プリンタ自体の大型化も防ぐことができる。また、3つのカラー用ヘッド1Bは、前処理モード及びモノクロ印字モードが行われる際に、吐出面1aがキャップ72によって覆われる。そのため、これらカラー用ヘッド1Bの吐出口108近傍にプレコート液ミストが付着しなくなる。したがって、これらカラー用ヘッド1Bからのインク吐出不良が発生しにくくなる。
上述の実施形態においては、ステップ1において、キャップ71〜73が吐出面1a,2aを覆っている場合は、ステップ13〜15の動作とは逆の動作を行って、すべてのヘッド1,2を印刷位置に配置させているが、モノクロ印字モードを行うか否かを判定してから使用するヘッド1,2だけをアンキャッピングして印刷位置に移動させてもよい。この場合の変形例としては、図10に示すように、上述のステップS1〜ステップS3と同様のステップF1〜F3を行う。
次に、ステップ3において、カラー印字モードを行うと判定した場合はステップ4(F4)に進む。ステップ4においては、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、キャップ72,73と吐出面1aとが離隔(アンキャッピング)するように4つのインクジェットヘッド1A,1Bを退避位置まで上昇させる。そして、メンテナンス制御部137がキャップ機構34を制御して、4つのキャップ72,73及びトレイ77,78をキャピング位置から待機位置に移動させる。その後、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、4つのインクジェットヘッド1A,1Bを退避位置から印刷位置に移動させる。
次に、ステップ5(F5)において、上述のステップ4(S4)と同様な制御が行われて、各インクジェットヘッド1A,1Bの吐出口108からインク滴が所望のタイミングで吐出される。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、カラー画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(F13)。
次に、ステップ3において、モノクロ印字モードを行うと判定した場合はステップ6(F6)に進む。ステップ6においては、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、キャップ73とブラック用ヘッド1Aの吐出面1aとが離隔(アンキャッピング)するようにブラック用ヘッド1Aだけを退避位置まで上昇させる。そして、メンテナンス制御部137がキャップ機構34を制御して、キャップ73及びトレイ78だけをキャピング位置から待機位置に移動させる。その後、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、ブラック用ヘッド1Aだけを退避位置から印刷位置に移動させる。
次に、ステップ7(F7)において、上述のステップ5(S5)と同様な制御が行われて、ブラック用ヘッド1Aの吐出口108からインク滴が所望のタイミングで吐出される。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、モノクロ画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(F13)。
一方、ステップ2において、前処理モード判定部134が、前処理モードを行うと判定した場合はステップ8(F8)に進む。ステップ8においても、上述のステップ6(S6)と同様に、印刷モード判定部133が、モノクロ印字モードを行うか否かを判定する。このとき、モノクロ印字モードを行うと判定しないときはカラー印字モードを行うと判定しステップ9(F9)に進み、モノクロ印字モードを行うと判定した場合はステップ11(F11)に進む。
ステップ9においては、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、キャップ71〜73と吐出面1a,2aとが離隔(アンキャッピング)するように5つのヘッド1A,1B,2を退避位置まで上昇させる。そして、メンテナンス制御部137がキャップ機構34を制御して、5つのキャップ71〜73及びトレイ76〜78をキャピング位置から待機位置に移動させる。その後、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、5つのヘッド1A,1B,2を退避位置から印刷位置に移動させる。
次に、ステップ10(F10)において、上述のステップ7(S7)と同様な制御が行われて、プレコートヘッド2の吐出口108からプレコート液滴が所望のタイミングで吐出され、各インクジェットヘッド1A,1Bの吐出口108からインク滴が所望のタイミングで吐出される。また、このとき、各ヘッド1A,1Bの吐出口108から吐出フラッシング(予備吐出)が行われる。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、カラー画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(F13)。
ステップ11においては、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、キャップ71,73と吐出面1a,2aとが離隔(アンキャッピング)するようにプレコートヘッド2及びブラック用ヘッド1Aを退避位置まで上昇させる。そして、メンテナンス制御部137がキャップ機構34を制御して、2つのキャップ71,73及びトレイ76,78をキャピング位置から待機位置に移動させる。その後、メンテナンス制御部137がヘッド昇降機構33を制御して、プレコートヘッド2及びブラック用ヘッド1Aを退避位置から印刷位置に移動させる。
次に、ステップ12(F12)において、上述のステップ11(S11)と同様な制御が行われて、プレコートヘッド2の吐出口108からプレコート液滴が所望のタイミングで吐出され、ブラック用ヘッド1Aの吐出口108からインク滴が所望のタイミングで吐出される。また、このとき、ブラック用ヘッド1Aの吐出口108から吐出フラッシング(予備吐出)が行われる。こうして、搬送機構16によって搬送されてきた用紙Pの所望位置に、モノクロ画像が形成され、当該用紙Pに対する印字が終了する(F13)。
そして、上述のステップS12〜S15と同様なステップ13(F13)〜ステップ16(F16)が行われる。こうして、印刷動作が終了する。このような変形例においても、上述の同様な構成においては同じ効果を得ることができる。
また、別の変形例として、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間には、3つのカラー用ヘッド1Bのうち1又は2のカラー用ヘッド(特定第3吐出ヘッド)1Bが配置されていてもよい。この場合、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間に配置されないカラー用ヘッド(第3吐出ヘッド)1Bは、ブラック用ヘッド1Aの下流に配置される。これにおいても、ブラック用ヘッド1Aが、ブラック用ヘッド1Aの吐出口108近傍にプレコート液ミストが付着しにくくなるように、プレコートヘッド2から搬送方向に沿って十分に離れるが、このプレコートヘッド2からブラック用ヘッド1Aまでの離隔距離は上述の実施形態よりも小さくなる。このため、用紙上におけるプレコート液の着弾位置と、ブラックインクの着弾位置とのズレが小さくなる。また、この変形例においても、5つのヘッド1,2の搬送方向に関する間隔は等間隔となっているので、プリンタ自体の大型化も防ぐことができる。また、この変形例の場合、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間に配置された1又は2のカラー用ヘッド1Bに対応するキャップが個々に動作可能であってもよい。こうすれば、前処理モードが行われ、モノクロ印字モードが行われる場合に、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間に配置された1又は2のカラー用ヘッド1Bの吐出面1aを、対応するキャップで個別に覆うことが可能となる。
また、別の変形例として、キャップ機構34は、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間に配置された3つのカラー用ヘッド1Bのうち最も上流に配置されたカラー用ヘッド1Bだけ又は上流の2つのカラー用ヘッド1Bの吐出面1aを覆うことが可能なキャップを有し、前処理モードが行われ、モノクロ印字モードが行われる場合に、キャップに対応するヘッド1Bの吐出面1aを覆っていてもよい。
また、別の変形例として、キャップ機構34を設けずに、前処理モードが行われ、モノクロ印字モードが行われる場合に、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間に配置された3つのカラー用ヘッド1Bを印刷位置から退避位置に移動するだけでもよい。これにより、3つのカラー用ヘッド1Bはプレコートヘッド2の吐出面2a及び搬送機構16から比較的離れるので、これらカラー用ヘッド1Bの吐出口108近傍にプレコート液ミストが付着しにくくなる。また、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間に配置された3つのカラー用ヘッド1Bのうち、搬送方向に関して最も上流に配置されたカラー用ヘッド1Bだけを退避位置に移動させてもよい。なお、この変形例においても、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間には、3つのカラー用ヘッド1Bのうち1又は2のカラー用ヘッド1Bが配置されていてもよい。この場合、プレコートヘッド2とブラック用ヘッド1Aとの間に配置された1又は2のカラー用ヘッド1Bを、上述のように退避位置に移動させればよい。
また、本実施形態においては、3つのカラー用ヘッド1Bのうち最も上流に配置されたカラー用ヘッド1Bからは最も明度の高いイエローインクが吐出される。このため、最も上流にあるカラー用ヘッド1Bにプレコート液ミストが他のカラー用ヘッド1Bより付着しても、この最も上流にあるカラー用ヘッド1Bから吐出されるインクは明度が最も高いので、用紙P上における着弾位置のズレが目立ちにくくなる。
また、別の変形例として、4つのインクジェットヘッド1A,1Bの搬送方向に最も上流に配置されたインクジェットヘッド1Bからは、ブラックを除くカラー色のうち、最も明度の低いインク(例えば、マゼンタインク)を吐出してもよい。これにより、カラーインクのうち明度の低いインクが着弾した用紙Pに、当該インクよりも明度の高いカラーインクが着弾することになるので、後から用紙Pに着弾したインクが用紙Pに染み込む際にその着弾位置からずれても(すなわち、インクトラッピング現象が生じても)、当該インクは明度が高いため、その着弾位置のズレが目立ちにくくなる。また、プレコートヘッド2と明度の低いカラーインクを吐出するカラー用ヘッド1Bとが搬送方向に沿って比較的近くなるので、プレコートヘッド2から吐出されたプレコート液の着弾位置と、当該カラー用ヘッド1Bから吐出されたマゼンタインクの着弾位置とがズレにくくなる。
また、本実施形態においては、印字モード判定部133が設けられているので、用紙Pにカラー印字及びモノクロ印字のいずれを行うかを判定することが可能となる。また、前処理モード判定部134が設けられているので、用紙Pに前処理を行うか否かを判定することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態では、3つのカラー用ヘッド1Bが互いに異なる色のインク滴を吐出する構成であるが、2つのカラー用ヘッド1B又は4以上のカラー用ヘッド1Bが互いに異なる色のインク滴を吐出する構成であってもよい。また、本発明は、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。また、ヘッド制御部がプレコートヘッドのアクチュエータユニットや各インクジェットヘッドのアクチュエータユニットを駆動するのではなく、プレコートヘッド及び各インクジェットヘッドの発熱素子を駆動することヘッドからプレコート液やインクを吐出することとしてもよい。また、インクへのプレコート液の作用としては、インクとプレコート液が混ざることで化学反応して、インク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、化学反応することなしインク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるプレコート液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させるプレコート液が使用されるのは上述の通りであるが、凝集および析出の両方の作用を有してもよい。また、プレコート液の吐出データはヘッド1から吐出されるインクが付着する記録媒体の位置に一定量のプレコート液が吐出されるように作成されていてもよいし、一定量ではなく付着しているインク量に対応したプレコート液の量が吐出されるように作成されていてもよい。また、上述の実施形態においては、シアンインクよりもマゼンダインクの方が明度が低いとしているが、インクの成分によってはシアンインクの方がマゼンダインクよりも明度が低くなる場合がある。
1(1A,1B) インクジェットヘッド(第1及び第3吐出ヘッド(特定第3吐出ヘッド))
1a 吐出面(第1及び第3吐出面)
2 プレコートヘッド(第2吐出ヘッド)
2a 吐出面(第2吐出面)
16 搬送機構
33 ヘッド昇降機構(移動機構)
34 キャップ機構
71〜73 キャップ
100 制御部(制御手段)
101 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
108 吐出口(第1〜第3吐出口)
131 画像データ記憶部(画像データ記憶手段)
132 ヘッド制御部(吐出ヘッド制御手段)
133 印字モード判定部(印字モード判定手段)
134 前処理モード判定部(前処理モード判定手段)
135 画像データ変更部(変更手段)
136 フラッシング制御部(フラッシング制御手段)
137 メンテナンス制御部(移動制御手段)

Claims (11)

  1. 記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
    記録媒体に黒色のインクを吐出するための第1吐出口が形成された第1吐出面を有する第1吐出ヘッドと、
    前記搬送方向に関して前記第1吐出ヘッドよりも上流に配置され、インクに作用してインク中の成分を凝集又は析出させる液体を吐出するための第2吐出口が形成された第2吐出面を有する第2吐出ヘッドと、
    前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドよりも下流に配置され、記録媒体に黒色以外の互いに異なるカラー色のインクを吐出するための第3吐出口が形成された第3吐出面をそれぞれ有し、前記搬送方向に関して前記第1吐出ヘッドよりも上流に配置された少なくとも1つの特定第3吐出ヘッドを含む複数の第3吐出ヘッドと、
    前記特定第3吐出ヘッドから記録媒体にインクを吐出する印字位置と、前記特定第3吐出ヘッドと前記搬送機構との離隔距離が前記印字位置における離隔距離よりも大きい退避位置との間において前記特定第3吐出ヘッドを移動させる移動機構と、
    記録媒体に記録されるべき画像にかかる画像データを各前記第1〜第3吐出ヘッドからのインク及び液体の吐出データとして記憶する画像データ記憶手段と、
    前記第1〜第3吐出ヘッド、及び、前記移動機構を制御する制御手段とを備えており、
    前記制御手段は、記録媒体に前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドからのインク及び前記第2吐出ヘッドからの液体が吐出されて画像ドットが形成されるように、前記画像データ記憶手段に記憶された前記吐出データに基づいて、各前記第1〜第3吐出ヘッドを制御する吐出ヘッド制御手段と、
    前記第1吐出ヘッドだけからインクを吐出するモノクロ印字を行う際に、前記特定第3吐出ヘッドを前記印字位置から前記退避位置に移動させるように前記移動機構を制御する移動制御手段とを含んでいることを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記特定第3吐出ヘッドが、前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドに隣接する位置に配置されており、
    前記特定第3吐出ヘッドからは、前記カラー色のインクのうち最も明度の低いインクが吐出されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記特定第3吐出ヘッドが、前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドに隣接する位置に配置されており、
    前記特定第3吐出ヘッドからは、前記カラー色のインクのうち最も明度の高いインクが吐出されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  4. 前記特定第3吐出ヘッドの前記第3吐出面を覆う少なくとも1つのキャップを有するキャップ機構をさらに備えており、
    前記移動制御手段は、前記モノクロ印字を行う際に、前記特定第3吐出ヘッドを前記印字位置から前記退避位置に移動させた後、前記特定第3吐出ヘッドの前記第3吐出面を前記キャップで覆うように、前記移動機構及び前記キャップ機構を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記キャップ機構は、前記第1及び第2吐出面並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出面をそれぞれ覆う複数のキャップをさらに有しており、
    前記移動機構は、前記第1及び第2吐出ヘッド並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出ヘッドから記録媒体にインク及び液体を吐出する印字位置と、前記第1及び前記第2吐出ヘッド並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出ヘッドと前記搬送機構との離隔距離が前記印字位置におけるよりも大きい退避位置との間において前記第1及び第2吐出ヘッド並びに前記特定第3吐出ヘッド以外の前記第3吐出ヘッドを移動可能に構成され、
    前記移動制御手段は、記録媒体に対する印字が終了した後に、前記第1〜第3吐出ヘッドを前記印字位置から前記退避位置に移動させた後、前記第1〜第3吐出面を前記複数のキャップで覆うように、前記移動機構及び前記キャップ機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記特定第3吐出ヘッドが1つの前記第3吐出ヘッドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記特定第3吐出ヘッドが全ての前記第3吐出ヘッドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記制御手段は、前記画像データ記憶手段に記憶された前記吐出データ又はユーザ設定に基づいて、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドから記録媒体にインクを吐出するカラー印字を行うカラー印字モード、及び、前記モノクロ印字を行うモノクロ印字モードのいずれを行うかを判定する印字モード判定手段をさらに含んでおり、
    前記吐出ヘッド制御手段は、前記印字モード判定手段が前記カラー印字モードを行うと判定したときに記録媒体にインクを吐出するように前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドを制御し、前記印字モード判定手段が前記モノクロ印字モードを行うと判定したときに記録媒体にインクを吐出するように前記第1吐出ヘッドを制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 前記制御手段は、外部から入力された記録媒体の種類を示す信号に基づいて、前記第2吐出ヘッドから記録媒体に液体を吐出して前処理を行う前処理モード、及び、前記第2吐出ヘッドから記録媒体に液体を吐出せず前処理を行わない非前処理モードのいずれを行うかを判定する前処理モード判定手段をさらに含んでおり、
    前記吐出ヘッド制御手段は、前記前処理モード判定手段が前記前処理モードを行うと判定したときに記録媒体に液体を吐出するように前記第2吐出ヘッドを制御し、前記前処理モード判定手段が前記非前処理モードを行うと判定したときに記録媒体に液体が吐出されないように前記第2吐出ヘッドを制御することを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
  10. 前記制御手段は、前記前処理モード判定手段が前記前処理モードを行うと判定し、前記印字モード判定手段が前記カラー印字モードを行うと判定した際に、前記第1吐出ヘッドから吐出された単色のインクの液滴だけで構成される画像ドットに対する前記複数の第3吐出ヘッドから吐出されたインクの液滴が記録媒体上において重なることで構成されるコンポジットブラックによる画像ドットの形成比率が、前記前処理モード判定手段が前記非前処理モードを行うと判定したときよりも多くなるように、前記画像データ記憶手段に記憶された前記吐出データを変更する変更手段をさらに含んでいることを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
  11. 前記制御手段は、前記第1及び第3吐出口のそれぞれからインクを吐出させる吐出フラッシングが、前記搬送機構によって搬送されてきた記録媒体と前記第1及び第3吐出口とが対向しているときに行われるように、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドを制御するフラッシング制御手段をさらに含んでおり、
    前記フラッシング制御手段は、前記印字モード判定手段が前記カラー印字モードを行うと判定した際に、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドのうち前記搬送方向に関して前記第2吐出ヘッドに近いものほど、前記吐出フラッシングの回数が多くなるように、前記第1吐出ヘッド及び前記複数の第3吐出ヘッドを制御することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
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