JP5445383B2 - 液滴吐出装置 - Google Patents

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本発明は、記録媒体に対し画像を形成するインク等の第1液を吐出する前に、第1液の成分を凝集又は析出させる第2液を記録媒体に塗布するように構成された液滴吐出装置に関する。詳細には、液滴吐出装置において、記録媒体に第2液を塗布するための技術に関する。
従来、記録媒体の性質の違いに関わらず高い印字品質を維持したり画質を向上させたりするために、記録媒体に対し画像を形成するインク等の第1液を吐出する前に、第1液の成分を凝集又は析出させる第2液を記録媒体に塗布するように構成された液滴吐出装置が知られている。例えば、特許文献1では、液滴吐出装置の一種であるインクジェットプリンタにおいて、記録紙に向けてインクを吐出する印字ヘッドと、記録紙に向けてプレコート材を吐出するプレコートヘッドとを備えたものが記載されている。このインクジェットプリンタは、記録紙へプレコート材を吐出し、記録紙の当該プレコート材の着弾位置と同じ位置へインクを吐出するように構成されている。
上記特許文献1のように、画像を形成するインク等の第1液の液滴吐出ヘッドと、当該第1液の成分を凝集又は析出させる第2液の液滴吐出ヘッドとをそれぞれ備えた液滴吐出装置において、液滴の着弾位置精度を考慮すると、第2液の塗布領域に第1液を確実に着弾させるためには、第1液の着弾領域よりも第2液の塗布領域が大きいことが望ましい。そこで、特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、プレコート材のドットサイズがインクのドットサイズよりも大きくなるようにプレコート材の吐出量を調整している。また、特許文献2に記載されたインクジェット記録装置では、前処理液を塗布した直後の塗布面を塗布量調整部材で押圧することにより、記録媒体上の前処理液を均して塗布ムラを低減している。なお、塗布量調整部材の表面は軟質で吸湿性を有しており、インクジェットヘッドの上流側に設けられている。
特開平9−141841号公報 2007−330893号公報
特許文献1では、第1液の着弾領域よりも第2液の塗布領域を大きくするために、第2液の液滴量を第1液の液滴量よりも多くすることが記載されている。しかし、記録媒体に着弾した第2液の液滴量が過剰であると、当該第2液が記録媒体に十分に浸透しないうちに、換言すれば、記録媒体上に液体として残存した状態で、第2液と第1液とが接触することとなる。この場合は、記録媒体に十分に第2液が浸透した状態で第1液が着弾する場合と比較して、第1液が着弾したときの第2液と第1液との接触面積が大きくなる。これにより第1液は第2液から過剰な凝集作用を受けてしまい、着弾してから所定の範囲へ広がる前に局部的に凝集してしまう。つまり、記録媒体上に着弾した第1液は、所定の範囲まで広がった状態で凝集すべきところ、第2液によってその所定の範囲まで広がることが阻害されてしまう。このように、記録媒体に十分に第2液が浸透しないうちに第1液が着弾すると所定の範囲未満でしか第1液による記録(着色)がなされないので、画質を向上させるはずの第2液により却って画質が低下することがある。したがって、第1液の着弾領域よりも第2液の塗布領域を大きくするためには、特許文献1に記載のように第2液の液滴量を多くするよりも、特許文献2に記載のように第2液を均して広げるほうが望ましい。しかし、特許文献2に記載のように高速で移動している記録媒体を押圧することは、記録媒体のジャムに直結するので現実的ではない。
また、前述の通り、第2液が記録媒体に十分に浸透する前に第1液が着弾すると、画像が乱れ、画質が低下することがある。したがって、記録媒体に着弾した第2液が十分に浸透してから、第1液を着弾させなければならない。このため、第2液が着弾してから第1液が着弾するまでに、第2液が記録媒体に十分に浸透するための時間を設ける必要があり、記録媒体の搬送速度に限界があった。
そこで、本発明は、画像を形成する第1液を吐出する液滴吐出ヘッドと、第1液に作用して第1液中の成分を凝集又は析出させる第2液を吐出する液滴吐出ヘッドとを備えた液滴吐出装置において、装置の動作に不具合を来さない構造で第2液の液滴を伸ばして広げることによって、第2液の消費量を増大させることなく第1液の着弾領域よりも第2液の塗布領域を大きくし、第2液の消費量の削減と高速記録を実現することを目的とする。
本発明に係る液滴吐出装置は、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、搬送される記録媒体に向けて画像を形成する第1液を吐出する1以上の第1液吐出ヘッドと、前記第1液吐出ヘッドよりも前記搬送方向の上流側に配置され、搬送される記録媒体に向けて前記第1液の成分を凝集又は析出させる第2液を吐出する第2液吐出ヘッドと、前記第1液吐出ヘッド、前記第2液吐出ヘッド、および前記搬送機構の動作を制御する制御装置と、前記第1液吐出ヘッドと前記第2液吐出ヘッドとの間において、前記搬送方向に搬送される記録媒体に当接するように設けられるとともに、当該記録媒体と当接するときにはその移動に対応して回転し得る回転ローラと、を備え、
前記制御装置は、記録媒体に着弾した前記第2液の液滴と当該記録媒体との接触角が0になる前に、当該液滴と前記回転ローラとが接触するように、前記搬送機構と前記第2液吐出ヘッドの少なくとも一方を制御するものである。
上記構成の液滴吐出装置によれば、記録媒体に着弾した第2液の液滴は、回転ローラで伸ばされて、記録媒体のより広い範囲に塗布される。このようにして、第1液の付着領域よりも第2液の塗布領域を大きくすることによって、第1液と第2液の着弾位置精度にかかわらず第2液の塗布領域に第1液を付着させることができる。しかも、第2液の消費量を増大させることなく第2液の塗布領域を拡大することができ、第2液の消費量を削減できる。さらに、記録媒体に着弾した第2液は回転ローラで薄く伸ばされるので、第2液が記録媒体上に液体として残存する量を低減でき、第2液が記録媒体に十分に浸透するまでに要する時間が短縮される。よって、第2液が着弾してから第1液が着弾するまでの搬送速度をより速くすることが可能となり、高速記録の実現に寄与することができる。そして、回転ローラは、記録媒体上に着弾した第2液の液滴を伸ばしつつ、記録媒体との接触に伴って回転するので、回転ローラにより記録媒体の移動は妨げられない。
前記液滴吐出装置において、前記制御装置は、記録媒体上の前記第1液が着弾する位置に基づいて前記第2液が記録媒体に着弾するように、前記第2液吐出ヘッドを制御することがよい。これにより、第1液が付着する範囲に合わせて第2液が効率的に塗布されて、処理液の消費量を削減することができる。
前記液滴吐出装置において、前記制御装置は、或一つの単位領域に対し、1以上の前記第1液吐出ヘッドから吐出される前記第1液の総量よりも少ない量の前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御することがよい。このように第1液の総量よりも少ない量の第2液であっても、記録媒体上で回転ローラにより伸ばし広げられるので、その塗布範囲は第1液の付着範囲よりも広くなる。したがって、第1液の付着範囲よりも広い範囲に第2液を塗布することと、第2液の消費量を抑制することとを、両立させることができる。
前記液滴吐出装置において、前記制御装置は、記録媒体上の前記第1液が着弾する位置よりも前記搬送方向下流側に前記第2液が着弾するように、前記第2液吐出ヘッドを制御することがよい。記録媒体に着弾した第2液が回転ローラにより伸ばし広げられると、記録媒体の第2液の塗布範囲の搬送方向と直交する方向の最大幅部分は、第2液の着弾位置よりも搬送方向上流側に位置する。そこで、上記のように第2液の着弾位置を第1液の着弾位置よりも搬送方向下流側とすることで、第2液の塗布範囲の搬送方向と直交する方向の最大幅部分に第1液が着弾することが可能となる。これにより、第1液及び第2液の液滴吐出ヘッドから吐出された液滴の着弾位置に誤差が生じても、記録媒体上の第2液の塗布範囲に第1液が着弾し易くなる。
前記液滴吐出装置において、前記制御装置は、或一つの単位領域に対し、当該単位領域の前記搬送方向下流側に隣接する単位領域に着弾する前記第2液の量に応じて調整された量の前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御することがよい。記録媒体に着弾した第2液が回転ローラにより伸ばし広げられると、記録媒体の第2液の塗布範囲はその搬送方向下流側に隣接する単位領域に及ぶことがある。第2液の塗布範囲が重複すると、第2液が無駄に消費されるだけでなく、第2液の塗布厚が大きくなり望ましくない。そこで、上記のように単位領域への第2液の吐出量を搬送方向下流側の単位領域に着弾する第2液の量に応じて削減することで、第2液の消費量の無駄を削減することができる。
前記液滴吐出装置において、前記制御装置は、記録媒体の或領域の全面に前記第2液を塗布する場合に、前記或領域に含まれる各単位領域を格子に見立てた格子状の塗布パターンに合わせて前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御することがよい。記録媒体に着弾した第2液が回転ローラにより伸ばし広げられると、記録媒体の第2液の塗布範囲はその単位領域と隣接する単位領域に及ぶことがある。第2液の塗布範囲が重複すると、第2液が無駄に消費されるだけでなく、第2液の塗布厚が大きくなり望ましくない。そこで、上記のように或領域の全面に前記第2液を塗布する場合、即ち、或領域に第2液をべた塗りする場合に、各単位領域を格子に見立てた格子状の塗布パターンに合わせて前記第2液を吐出することで、第2液の消費量の無駄を削減し、吐出に係るエネルギーを削減することができる。
前記液滴吐出装置において、記録媒体の種類を検出又は入力する手段をさらに備え、前記制御装置は、記録媒体の種類に関連付けられた液滴の染み込みやすさに応じて前記第2液の最小液滴量を決定し、当該最小液滴量以上の前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御することがよい。仮に同じ種類の第2液であっても、記録媒体の種類、とりわけ、第2液の染み込みやすさが異なる場合には、記録媒体に着弾した第2液の液滴が回転ローラと接触するときの記録媒体への染みこみの程度が異なる。記録媒体が第2液が特に染み込みやすい性質であるときには、回転ローラと接触する前に第2液が記録媒体に完全に染み込んでしまうこともある。そこで、上記のように記録媒体の液滴の染み込みやすさに応じて、回転ローラと当接する時点で完全に染み込まないような最小液滴量を定め、吐出される第2液を最小液滴量以上とすることで、記録媒体に着弾した第2液の液滴が回転ローラによる伸展作用を受けることができる。
本発明によれば、記録媒体に着弾した第2液を回転ローラにより記録媒体上で薄く伸ばすことによって、第2液の消費量を増大させることなく第2液の塗布範囲を広げることができる。これにより、第2液の消費量を増大させることなく第1液の付着領域よりも第2液の塗布範囲を大きくすることが可能となる。よって、第2液の消費量の削減に寄与することができる。また、第2液は薄く広がるので、第2液の塗布ムラが低減するとともに、第2液が記録媒体に十分に浸透するまでに必要な時間が短縮する。よって、高速記録の実現に寄与することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。 図1に示すヘッド本体の平面図である。 図2の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。 図3のIV−IV線に沿う断面図である。 図1に示す制御部の機能ブロック図である。 用紙に着弾した処理液の液滴を伸展ローラ対で伸ばす様子を模式的に示す図である。 用紙に着弾した処理液の液滴が伸ばされたあとの処理液の塗布範囲を示す図である。 (a)は画像データ記憶部に記憶される画像データの一部を示す図であり、(b)は画像データから作成されたプレコートデータを示す図である。 単位領域への処理液の塗布範囲とその下流側単位領域への処理液の塗布範囲とを示す図である。 (a)はプレコートデータの一部を示す図であり、(b)は(a)のプレコートデータを間引いたあとのプレコートデータの一部を示す図である。 (a)着弾点Xに着弾した処理液の塗布範囲とインクの状態を説明する図であり、(b)は着弾位置調整後の着弾点Xaに着弾した処理液の塗布範囲と着弾点Xに着弾したインクの状態とを説明する図である。 プレコートデータ変更部で行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ101は、略直方体形状の筐体101aを有し、筐体101a内には、上方から下方に5つのヘッド1、用紙Pを搬送方向(図1中左から右に向かう方向)に搬送する搬送機構16、用紙Pを給紙する給紙ユニット101b、及びインクを貯留するタンクユニット101cが配設されている。これらの機構部と干渉しない位置には、各機構部の動作を司る制御部100が配置されている。また、筐体101aの天板上部には、用紙Pが排出される排紙部15が設けられている。
5つのヘッド1のうち4つは、ブラック、シアン、マゼンタ、又はイエローのインク(第1液)をそれぞれ吐出する記録ヘッド1aであり、残りの1つは処理液(第2液)を吐出する処理液ヘッド1bである。なお、記録ヘッド1aと処理液ヘッド1bとは、ほぼ同様の構成を有している。ここで、処理液としては、顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるものが、染料インクに対しては染料色素を析出させるものがそれぞれ使用される。処理液の材料は、カチオン性化合物、とりわけ、カチオン系高分子やカチオン性界面活性剤、カルシウム塩、マグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等、インクの性質に応じて適宜選択される。かかる処理液が予め塗布された用紙Pの領域にインクが着弾すると、多価金属塩等がインクの着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。その結果、付着したインクの用紙P内への浸透度が低下し、インクを用紙P上に定着しやすくなる。
このプリンタ101はライン式のプリンタであって、5つのヘッド1は、いずれも主走査方向に長尺な略直方体形状を有しており、用紙Pの搬送方向に沿って配列されている。より詳細には、処理液ヘッド1bは、搬送方向に関して4つの記録ヘッド1aよりも上流側に配置されている。4つの記録ヘッド1aは、吐出するインクの明度が小さい順で搬送方向上流側から並ぶように、すなわち、搬送方向上流側からブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順で配置されている。本実施形態において、主走査方向とは搬送方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
各ヘッド1は、複数の吐出口108(図3、図4参照)が形成されたヘッド本体2を有している。吐出口108は、ヘッド本体2の下面である吐出面2aに開口しており、吐出面2aは、搬送される用紙Pと所定間隔を介して対向する。各吐出口108からは、制御部100の制御によってインク又は処理液が吐出される。
給紙ユニット101bは、筐体101aに対して着脱可能に設けられており、給紙トレイ11と、給紙ローラ12とを有している。給紙トレイ11は、上方に向かって開口した箱形状を有しており、複数枚の用紙Pが積層された状態で収納される。給紙ローラ12は、制御部100の制御によって給紙トレイ11の最も上方にある用紙Pを送り出す。
タンクユニット101cは、4つのインクタンク17a及び1つの処理液タンク17bを内部に格納している。インクタンク17a及び処理液タンク17bは、タンクユニット101cに対して着脱可能に装着されている。各インクタンク17aには、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローのインクがそれぞれ貯留されており、対応する記録ヘッド1aにインクチューブ(不図示)を介してインクが供給される。同様に、処理液タンク17bには処理液が貯留されており、処理液ヘッド1bに処理液が供給される。
プリンタ101の内部には、図1に示すように、黒矢印に沿う搬送経路が形成されている。搬送経路は、全体として左右が反転したS字状の経路である。下方の給紙ユニット101bから送り出された用紙Pは、ガイド13a,13bに沿って送りローラ対14により搬送機構16へと送られる。搬送機構16により用紙Pが5つのヘッド1の下方を通過する際に、順に制御部100の制御によって処理液及びインクが吐出され、上面の印字面に所望のカラー画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、搬送機構16から送り出され、ガイド29a,29bに沿って送りローラ対28,28より上方に搬送され、筐体101aの上部に形成された排出口22から排紙部15へと排出される。
ここで、搬送機構16について、詳細に説明する。図1に示すように、搬送機構16は、用紙Pの搬送方向に沿って配置された複数の搬送ローラ対8と伸展ローラ対18とで構成されている。搬送ローラ対8は、処理液ヘッド1bの搬送方向上流側と、各記録ヘッド1aの搬送方向下流側にそれぞれ配置されている。また、伸展ローラ対18は、処理液ヘッド1bの搬送方向下流側であって且つ搬送方向最も上流側の記録ヘッド1a(本実施の形態では、ブラックの記録ヘッド1a)の搬送方向上流側に配置されている。
搬送ローラ対8は、用紙Pの下面とその周面とが接触するように配置された搬送ローラ8bと、搬送ローラ8bの周面と用紙Pを挟んで対向するように配置された歯付ローラ8aとで成る。歯付ローラ8aは、主走査方向と平行に延びる支軸と、支軸上に間隔を開けて設けられた複数の歯付ディスクとで構成されている。歯付ディスクは、周面に複数の歯(突起)が形成された薄い板状のものであって、この歯の先端で用紙Pと接触する。歯付ローラ8aは、搬送ローラ8bに向けて付勢されており、歯付ローラ8aの周面は搬送ローラ8bの周面に圧接している。そして、複数の搬送ローラ8bが、図示しないモータにより同期して回転駆動されることにより、用紙Pが歯付ローラ8aと搬送ローラ8bとの間に挟まれて搬送方向へ搬送される。
伸展ローラ対18は、用紙Pの下面とその周面とが接触するように配置された下部ローラ18aと、下部ローラ18aの周面と用紙Pを挟んで対向するように配置された上部ローラ18bとで成る。下部ローラ18aは、上部ローラ18bに向けて付勢されており、下部ローラ18aの周面は上部ローラ18bの周面に圧接している。上部ローラ18bの回転軸と下部ローラ18aの回転軸はいずれも主走査方向に延び、これらの回転軸は上下に並んでいる。上部ローラ18bの用紙Pと接触する周面は、表面が滑らかであって、用紙Pの主走査方向の印字範囲と同じかそれ以上の幅を有する。
上部ローラ18bと下部ローラ18aのうちいずれか一方のローラがモータ(不図示)により駆動される駆動側ローラであり、他方のローラが駆動側ローラの回転に連れて回る従動側ローラである。なお、上部ローラ18bと下部ローラ18aのうち、いずれが駆動側ローラであってもよい。駆動側ローラは、複数の搬送ローラ8bを駆動するモータ(不図示)と同じモータにより駆動されており、搬送ローラ8bと同期して記録媒体を搬送方向へ送る方向へ回転する。そして、駆動側ローラが回転することにより、用紙Pは上部ローラ18bと下部ローラ18aとの間に挟まれて、搬送方向へ送り出される。したがって、上部ローラ18bが駆動側ローラ及び従動側ローラのいずれの場合においても、上部ローラ18bが用紙Pと当接するときには、上部ローラ18bは用紙Pの移動に対応して回転することとなる。
上記構成の伸展ローラ対18は、用紙Pを搬送方向へ搬送する機能に加え、当該伸展ローラ対18よりも搬送方向上流側において用紙Pに着弾した処理液の液滴を用紙P上で伸ばして広げる機能も備えている。図6に示すように、回転する上部ローラ18bの周面は、用紙Pに着弾した処理液の液滴が完全に染み込む前に処理液の液滴と接触する。ここで、処理液の液滴が用紙Pに完全に染み込むとは、処理液の液滴と用紙Pとの接触角が0である状態のことをいう。そして、用紙P上に浸透せずに残っている処理液の液滴が上部ローラ18bと下部ローラ18aの間に挟まれて加圧されることにより、液滴が用紙P上で薄く伸ばされて、処理液の塗布範囲が広がる。
伸展ローラ対18は、処理液ヘッド1bから吐出されて用紙Pに着弾した処理液の液滴がと用紙Pとの接触角が0になる前に(すなわち、用紙Pへ完全に染み込む前に)到達できるところに配置されている。また、制御部100は、処理液ヘッド1bから吐出した処理液の液滴と用紙Pとの接触角が0になる前に、その液滴が伸展ローラ対18に到達するように、搬送機構16を制御する。但し、伸展ローラ対18で液滴を伸ばす効果を確実に得るためには、用紙Pと液滴の接触角が大きい状態で、上部ローラ18bが用紙P上の液滴と接触することが好ましい。特に、上部ローラ18bと処理液の液滴が接触する時に、液滴の用紙Pへの染み込み量が半量以下の状態であることが望ましい。
図7では、用紙P上の着弾点Xに着弾した処理液が伸展ローラ対18の作用により伸ばされたあとの形状、すなわち、1滴の処理液の塗布範囲Eを斜線部で示している。同図では、比較のために、1滴の処理液が自然に染み込んだ場合の処理液の塗布範囲Eaを二点鎖線で示している。1滴の処理液の塗布範囲Eは、着弾点Xを中心として四方に広がっているが、用紙Pと相対して伸展ローラ対18は搬送方向上流側へ移動するので、処理液の液滴は搬送方向上流側に引きずられるように移動する。よって、用紙P上に着弾した1滴の処理液の塗布範囲Eは、搬送方向上流側に尾が伸びた菱形状、言い換えれば、搬送方向上流側から落ちる涙形状をなしている。このように用紙Pに着弾した処理液の液滴が伸ばされるので、液滴が自然に染み込む場合と比較して広い範囲に処理液を塗布することができる。換言すれば、同じ範囲に処理液を塗布するために必要な処理液の量は、液滴が自然に染み込む場合と比較して少なくなる。よって、処理液の消費量を削減することができる。さらに、用紙Pに着弾した処理液の液滴は薄く押し均されるので、処理液の濃度ムラが緩和されるとともに、用紙P上に液体として残存する処理液が低減されるで、処理液が用紙Pに十分に浸透するまでの時間を短縮することができる。
次に、図2〜図4を参照しながら、ヘッド1について詳細に説明する。なお、図3では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって鎖線で示されるべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で示している。
ヘッド1は、ヘッド本体2を有している。ヘッド本体2は、図2に示すように、流路ユニット9の上面9aに4つのアクチュエータユニット21が固定された積層体である。なお、図示はしないが、ヘッド1は、ヘッド本体2に加えて、流路ユニット9に供給されるインク(又は処理液)を貯留するリザーバユニット、アクチュエータユニット21に駆動信号を供給するフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit:FPC)、FPCに実装されたドライバICを制御する制御基板等を含んでいる。
図4に示すように、流路ユニット9は、ステンレス鋼からなる複数の金属製のプレートを互いに位置合わせした積層体である。流路ユニット9内には、マニホールド流路105(図2及び図3参照)から副マニホールド流路105a、そして副マニホールド流路105aの出口からアパーチャ112及び圧力室110を経て吐出口108に至る多数の個別インク流路109が形成されている。アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する機能を有する。
図2に示すように、流路ユニット9の上面9aには、リザーバユニットのインク流出流路に対応していると共にマニホールド流路105の一端と連通する、計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の下面は吐出面2aとなっており、多数の吐出口108がマトリクス状に配置されている。なお、吐出口108は、主走査方向に関して主走査方向解像度である600dpiの間隔で配列されている。
上述のような構成のヘッド本体2を有するヘッド1は、後述するヘッド制御部51の制御により、副走査方向に600dpiの間隔で吐出口108からのインク又は処理液が用紙P上に着弾するように、インク又は処理液の吐出間隔が制御される。すなわち、本実施形態においては、主走査方向解像度及び副走査方向解像度はいずれも600dpiであり、用紙P上には、主走査方向と副走査方向とにそれぞれ1/600インチ間隔の格子状に区画された複数の単位領域(画素領域)が規定される。
次に、図5を参照しつつ、制御部100について説明する。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。本発明の制御プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の各種記録媒体に保存されており、これらの記録媒体からEEPROMにインストールされる。そして、この制御プログラムがCPUで実行されることにより、図5に示す制御部100を構成する各機能部が実現される。なお、記録媒体に記録された制御プログラムは、制御部100で直接実行可能なものであってもよいし、EEPROMにインストールすることによって初めて実行可能となるものであってもよい。また、暗号化されていたり、圧縮されていたりしてもよい。
図5に示すように、制御部100は、ヘッド制御部51、画像データ記憶部52、プレコートデータ記憶部53、プレコートデータ作成部54、プレコートデータ変更部55、及び搬送制御部57を有している。搬送制御部57は、搬送経路に沿って用紙Pが搬送されるように、給紙ユニット101b、各送りローラ対14,28、及び搬送機構16を制御する。
ヘッド制御部51は、各ヘッド1に備えられたアクチュエータユニット21に含まれるアクチュエータの駆動を制御するものであって、記録ヘッド1aのアクチュエータを制御する記録ヘッド制御部51a及び処理液ヘッド1bのアクチュエータを制御する処理液ヘッド制御部51bを有している。
記録ヘッド制御部51aは、単位領域にインクが吐出されて画像ドットが形成されるように、後で詳述する画像データ記憶部52に記憶された画像データに基づき、記録ヘッド1aからのインクの吐出を制御する。処理液ヘッド制御部51bは、後で詳述するプレコートデータ記憶部53に記憶されたプレコートデータに基づき、処理液ヘッド1bからの処理液の吐出を制御する。なお、本実施形態においては、記録ヘッド制御部51a及び処理液ヘッド制御部51bは、ヘッド1から吐出されるインク又は処理液の量をゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階で調整する。
画像データ記憶部52は、インクジェットプリンタ101と接続されているPC(Personal Computer)等から転送された用紙P上に記録される画像に係る画像データを記憶する。画像データの値は、各記録ヘッド1aから用紙P上に区画される各単位領域にそれぞれ吐出するインクの量(ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階のいずれか)を示す。例えば、図8(a)に示すように、画像データ記憶部52には、4つの記録ヘッド1aに係る4つの画像データが記憶されている。なお、図8(a)に示す4つの画像データは、用紙P上の同一領域(1〜6までの6行分及びa〜fまでの6列分の計36個分の単位領域)に形成する画像に係る画像データを示している。また、図8(a)の小、中、大との記載は、その単位領域に小滴、中滴、大滴のインクが吐出されることを意味しており、小、中、大のいずれの記載もない領域には、インクが吐出されないことを意味している。
プレコートデータ記憶部53は、処理液ヘッド1bから吐出される処理液の吐出データであるプレコートデータを記憶する。具体的には、プレコートデータの値は、各処理液ヘッド1bから用紙P上に区画される各単位領域にそれぞれ吐出する処理液の量(ゼロ、小滴、中滴、大滴の4段階のいずれか)を示す。プレコートデータ記憶部53に記憶されるプレコートデータは、後で詳述するプレコートデータ作成部54で作成される。
制御部100は、処理液ヘッド1bが、用紙Pの画像が形成される単位領域に対して最適な最小量の処理液を吐出するように、処理液ヘッド1bの吐出動作を制御する。そのために、プレコートデータ作成部54は、画像データ記憶部52に記憶された4つの画像データから、各単位領域に対してその単位領域に吐出されるインクの量に応じた量の処理液が吐出されるようなプレコートデータを作成する。具体的には、まず、各単位領域について、最初に吐出されるインクを検出する。そして、検出されたインクを吐出する記録ヘッド1aに係る画像データの値を、その単位領域のプレコートデータの値とする。
例えば、図8(a)に示すように、第4行のb列に位置する単位領域には、シアン及びイエローのインクが吐出される。シアンのインクを吐出する記録ヘッド1aは、イエローのインクを吐出する記録ヘッド1aよりも搬送方向に関して上流側に位置しているので、この単位領域に最初に吐出されるインクはシアンである。よって、図8(b)に示すように、シアンのインクを吐出する記録ヘッド1aに係る画像データの値(中滴)がこの単位領域のプレコートデータの値となる。なお、単位領域に吐出されるインクが1つである場合には、そのインクを吐出する記録ヘッド1aに係る画像データの値がその単位領域のプレコートデータの値となる。このようにして作成されたプレコートデータは、上述のプレコートデータ記憶部53に記憶される。
プレコートデータ変更部55は、プレコートデータ作成部54によって作成され、プレコートデータ記憶部53に記憶されたプレコートデータを変更する。プレコートデータ変更部55は、処理液の吐出量を減少させる削減部55aと、処理液の吐出量を増加させる増加部55bと、処理液が吐出される単位領域を間引く間引部55cと、処理液の着弾位置を調整する着弾位置調整部55dとを有している。
削減部55aは、単位領域への処理液の吐出量を、記録ヘッド1aから吐出されるインクの総量と同じかそれよりも小さい量に調整する。前述の通り、用紙Pに着弾した処理液の液滴は伸展ローラ対18の作用により伸ばされる(図7参照)。これを考慮して、削減部55aはプレコートデータの処理液の吐出量を削減する。例えば、或単位領域に吐出されるインクの総量が中滴である場合には、その単位領域のプレコートデータは中滴よりも一段階少ない小滴に変更される。但し、或単位領域に吐出されるインクの総量が小滴である場合には、それ以上少ない吐出量は設定されていないので、その単位領域のプレコートデータは小滴のままとなる。
また、削減部55aは、或単位領域への処理液の吐出量を、その直ぐ搬送方向下流側に隣接する単位領域(以下、単に「下流側単位領域」という)への処理液の吐出量に応じて削減するように、プレコートデータの値を変更する。前述の通り、用紙Pに着弾した処理液は特に搬送方向上流側へ広く伸ばされる。よって、図9に示すように、或単位領域に着弾した処理液の塗布範囲Eとその下流側単位領域に着弾した処理液の塗布範囲Eが重複することがあり、このような場合は処理液が無駄に消費されることとなる。そこで、削減部55aは、或単位領域への処理液の吐出量をその下流側単位領域への処理液の吐出量に応じて調整する。下流側単位領域に着弾した処理液の塗布範囲Eは、下流側単位領域への処理液の吐出量により異なるからである。例えば、下流側単位領域に着弾した処理液の塗布範囲Eが単位領域のインクの付着範囲Iを全て含む場合には、単位領域への処理液の吐出量をゼロに変更する。また、例えば、下流側単位領域に着弾した処理液の塗布範囲Eが単位領域のインクの付着範囲Iの全てを含まないが一部重複するような場合は、単位領域への処理液の吐出量を一段階少なく変更する。このようにして、処理液の塗布範囲の重複を低減することにより、処理液の消費量の削減を図ることができる。
また、増加部55bは、単位領域への処理液の吐出量が所定の最小液滴量よりも少ない場合に、その単位領域への処理液の吐出量を増加させるように、プレコートデータを調整する。処理液が用紙Pに着弾してから用紙Pとの接触角がゼロになるまでの時間は、用紙Pの性質、液滴の大きさ、処理液の性質、及び環境温度などにより異なる。特に、処理液が染み込みやすい性質の用紙Pを記録媒体として用いる場合には、処理液の吐出量が不十分であると用紙Pに着弾した処理液が伸展ローラ対18に到達する前に完全に染み込んでしまう。搬送機構16による搬送速度を調整することによって、処理液が完全に染み込む前に伸展ローラ対18に到達させることもできるが、搬送速度の調整には限界がある。そこで、制御部100に予め用紙Pの種類に関連付けて処理液の染み込みやすさに応じた処理液の最小液滴量を記録しておき、増加部55bは、検知した用紙Pの種類に基づいて対応する処理液の最小液滴量を読み出して、各単位領域への処理液の吐出量と最小液滴量とを比較する。さらに、増加部55bは、単位領域への処理液の吐出量が最小液滴量よりも少ない場合に、その単位領域への処理液の吐出量を最小液滴量まで増加させるようにプレコートデータの値を変更する。なお、用紙Pの種類の検知は、給紙トレイ11に用紙Pの性質(処理液の染み込みやすさ)を検出する検出手段を設けるか、又は、制御部100へ指令や情報を入力する操作パネル(不図示)を用いて制御部100へ入力された用紙Pの種類に係る情報を取得することによって、行うことができる。
間引部55cは、処理液が吐出される単位領域の数を減らすようにプレコートデータを変更する。例えば、図10(a)に示すように、まとまった領域に含まれる複数の単位領域の全てに処理液を塗布する場合に、或単位領域へ着弾して伸展ローラ対18の作用により伸ばされた処理液の塗布範囲は隣接する単位領域まで及ぶことから、各単位領域へ処理液を吐出すると処理液の塗布範囲が重複して、処理液が無駄に消費されてしまう。そこで、まとまった範囲に含まれる複数の単位領域の全てへ処理液を塗布する場合に、図10(b)に示すように、まとまった範囲に含まれる各単位領域を格子に見立てた格子状の塗布パターンに合致するように処理液を吐出すべく、プレコートデータが変更される。具体的には、四方を処理液が吐出される単位領域で囲まれた単位領域の吐出量をゼロとすべく、プレコートデータの値が変更される。このように処理液が吐出される単位領域を間引くことによって、処理液の消費量を削減できるとともに、処理液の厚塗りや塗りムラを低減することができる。さらに、処理液が吐出される単位領域の数が減るので、省エネルギー化に寄与することができる。
着弾位置調整部55dは、処理液の着弾位置が所定の着弾位置調整量だけ搬送方向下流側へずれるようにプレコートデータを調整する。前述の通り、伸展ローラ対18の作用により1滴の処理液の塗布範囲は搬送方向上流側に伸びる菱形状となる。図11(a)に示すように、着弾点Xに着弾した処理液の塗布範囲Eの搬送方向と直交する方向へ最大幅となる部分Wは、着弾点Xよりも搬送方向上流側に位置する。したがって、処理液とインクとの着弾点とを一致させれば、処理液の塗布範囲Eの搬送方向下流側端とインクの付着範囲Iの搬送方向下流側端との間の余裕代が小さい。個々のヘッド1の吐出精度の差異により着弾点に多少のずれが生じると、処理液の塗布範囲Eからインクの付着範囲Iがはみ出る可能性もある。そこで、着弾位置調整部55dは、図11(b)に示すように、処理液の塗布範囲Eの搬送方向と直交する方向へ最大幅となる部分Wをインクの着弾点Xとすべく、処理液の着弾点を搬送方向下流側へ所定の着弾位置調整量だけずらすように、プレコートデータを調整する。すなわち、着弾点Xから所定の着弾位置調整量だけ搬送方向下流側へずれた位置を、着弾位置調整後の処理液の着弾点Xaとする。これにより、或単位領域に対して吐出される処理液の吐出タイミングが早まることになる。所定の着弾位置調整量は、搬送機構16による用紙Pの搬送速度と関連付けて制御部100に予め設定される。なお、所定の着弾位置調整量は、通常、単位領域の搬送方向における長さ未満の値となっている。
続いて、図12を参照しつつ、プレコートデータ変更部55で行われる処理手順の一例について説明する。なお、この処理手順の前に画像データ記憶部52への画像データの記憶、プレコートデータ作成部54によるプレコートデータの作成、及びプレコートデータ作成部54で作成されたプレコートデータのプレコートデータ記憶部53への記憶が行われる。
プレコートデータ作成部54によって作成されてプレコートデータ記憶部53に記憶されたプレコートデータについて、まず始めに削減部55aにより変更が加えられる。ここで、削減部55aは、処理液が吐出される或単位領域について、インクの吐出総量と処理液の吐出量とを比較する(ステップS1)。インクの吐出総量よりも処理液の吐出量が多い場合には(ステップS1でYES)、処理液の吐出量がインクの吐出総量と同じかそれ以下となるようにプレコートデータの値を変更する(ステップS2)。なお、インクの吐出総量が小滴である場合には、プレコートデータの値は変更しない。
さらに、削減部55aは、処理液が吐出される或単位領域について、その下流側単位領域への処理液の吐出量を検知する(ステップS3)。そして、下流側単位領域へ小滴以上の量の処理液が吐出される場合に(ステップS3でYES)、下流側単位領域へ吐出される処理液の塗布範囲に応じて、単位領域への処理液の吐出量を削減するようにプレコートデータの値を変更する(ステップS4)。例えば、下流側単位領域への処理液の吐出量が大滴で且つ単位領域への処理液の吐出量が大滴の場合は単位領域への処理液の吐出量を中滴へ変更し、下流側単位領域への処理液の吐出量が大滴又は中滴で且つ単位領域への処理液の吐出量が中滴の場合は単位領域への処理液の吐出量を小滴へ変更し、下流側単位領域への処理液の吐出量が中的又は小滴で且つ単位領域への処理液の吐出量が小滴の場合は単位領域への処理液の吐出量をゼロへ変更する。
次いで、増加部55bは、処理液が吐出される或単位領域について、処理液の吐出量と所定の最小液滴量とを比較する(ステップS5)。処理液の吐出量が最小液滴量よりも少ない場合は(ステップS5でYES)、処理液の吐出量が最小液滴量となるようにプレコートデータの値を変更する(ステップS6)。
続いて、プレコートデータ作成部54によって作成されてプレコートデータ記憶部53に記憶されたプレコートデータにおいて、処理液が吐出される全ての単位領域について上述のステップS1〜S6の処理が行われたか否かを判断する(ステップS7)。処理が行われていない単位領域がある場合には(ステップS7でNO)、上述のステップS1に戻る。一方、全ての単位領域の処理が終了した場合には(ステップS7でYES)、次のステップS8に進む。
ステップS8で、間引部55cは、間引き対象となる単位領域、すなわち、四方を処理液が吐出される単位領域で囲まれた単位領域を検出する。そして、検出された単位領域の処理液の吐出量をゼロとすべく、プレコートデータ記憶部53に記憶されたプレコートデータの値を変更する(ステップS9)。続いて、全ての単位領域について、ステップS8,S9の処理が終了したか否かが判断される(ステップS10)。処理が行われていない単位領域がある場合には(ステップS10でNO)、上述のステップS8に戻って次の単位領域の検出が行われる。一方、全ての単位領域の処理が終了した場合には(ステップS10でYES)、次のステップS11へ進む。
ステップS11で、着弾位置調整部55dは、プレコートデータ記憶部53に記憶されたプレコートデータの各単位領域について、処理液の着弾位置が、所定の着弾位置調整量だけ搬送方向下流側へずれるように、プレコートデータの値を変更する。以上により、プレコートデータ変更部55による処理が終了する。
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ101は、インクを吐出する記録ヘッド1aと、処理液を吐出する処理液ヘッド1bとの間に、伸展ローラ対18を備えている。伸展ローラ対18は、搬送機構16により搬送方向に搬送される用紙Pに着弾した処理液の液滴と当接する回転ローラ(上部ローラ18b)を備え、この回転ローラは用紙Pの移動に対応して回転しうるように構成されている。そして、制御部100は、用紙Pを搬送するように搬送機構16を制御し、搬送される用紙Pに向けて上述のプレコートデータに基づいて処理液を吐出するように処理液ヘッド1bを制御し、用紙Pに着弾した処理液の液滴と用紙Pとの接触角が0になる前に当該液滴と伸展ローラ対18とが接触するように、搬送機構16と処理液ヘッド1bの少なくとも一方を制御する。かかる構成により、用紙Pに着弾した処理液は、伸展ローラ対18により伸ばされて、用紙Pのより広い範囲に塗布される。このようにして、インクの付着領域よりも処理液の塗布領域を大きくすることによって、インクと処理液の着弾位置精度にかかわらず処理液の塗布領域にインクを付着させることができる。しかも、処理液の消費量を増大させることなく処理液の塗布領域を拡大することができ、処理液の消費量を削減できる。さらに、用紙Pに着弾した処理液は伸展ローラ対18で薄く伸ばされるので、処理液が用紙Pに十分に浸透するまでに要する時間が短縮される。よって、処理液が着弾してからインクが着弾するまでの搬送速度をより速くすることが可能となり、高速記録の実現に寄与することができる。そして、伸展ローラ対18は、用紙Pに着弾した処理液の液滴を伸ばしつつ用紙Pの移動に応じて回転するので、伸展ローラ対18により用紙Pの移動は妨げられない。
また、本実施形態のインクジェットプリンタ101では、プレコートデータ作成部54が画像データに基づいてプレコートデータを作成し、作成されたプレコートデータはプレコートデータ記憶部53に記憶される。そして、プレコートデータ記憶部53に記憶されたプレコートデータを変更するプレコートデータ変更部55は、伸展ローラ対18の作用により用紙Pに着弾した処理液の液滴が伸ばし広げられることを考慮して、処理液の吐出量を削減したり、吐出量を増加させたり、処理液が吐出される単位領域を間引いたりすることによって、各単位領域に対して最適な最小量の処理液を吐出するようにプレコートデータを変更する。これに加え、プレコートデータ変更部55は、伸展ローラ対18の作用により液滴が伸ばし広げられたあとの処理液の塗布範囲の形状を考慮して、処理液の着弾位置を搬送方向下流側へずらして、或単位領域に対応する処理液が吐出されるタイミングを調整する。このように効率的に処理液が塗布されるので、処理液の効果を十分に発揮させて高い画質を維持しつつ、処理液の消費量を削減することができる。
以上、本発明の好適な一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。
例えば、上述の実施形態では、プレコートデータにおいて処理液が吐出される全ての単位領域について削減部55aと増加部55bによる処理を行った後、間引部55cによる処理を行い、最後に着弾位置調整部55dによる処理を行う場合について説明したが、プレコートデータ変更部55での処理手順はこれに限定されるものではない。削減部55a、増加部55b、間引部55c、及び着弾位置調整部55dの処理うち、1つ以上の処理を省いても良いし、他の処理を間に介在させてもよい。また、例えば、上述の実施形態では、プレコートデータ作成部54で作成したデータをプレコートデータ記憶部53に保存した後、プレコートデータ変更部55がプレコートデータを変更する構成であるが、プレコートデータの作成とプレコートデータの変更を同時に行ってもよい。
また、上述の実施形態では、上部ローラ18bと下部ローラ18aのうちいずれか一方のローラがモータにより駆動される駆動側ローラであるが、上部ローラ18bと下部ローラ18aの双方がモータにより駆動される駆動側ローラであってもよい。或いは、上部ローラ18bと下部ローラ18aのいずれも駆動力が与えられない構成であってもよい。このとき、下部ローラ18aと上部ローラ18bは移動する用紙Pとの摩擦により回転されることとなる。但し、この場合には、用紙Pの良好な搬送状態を維持するために、必要に応じて伸展ローラ対18の搬送方向上流側及び下流側の少なくとも一方の近傍に搬送ローラ対8が配置される。
なお、本発明は、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。また、ヘッド制御部が処理液ヘッドのアクチュエータユニットや各記録ヘッドのアクチュエータユニットを駆動するのではなく、処理液ヘッド及び各記録ヘッドの発熱素子を駆動することヘッドから処理液やインクを吐出することとしてもよい。また、インクへの処理液の作用としては、インクと処理液が混ざることで化学反応を起こし、インク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、化学反応することなしにインク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させる処理液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させる処理液が使用されるのは上述の通りであるが、凝集および析出の両方の作用を有してもよい。また、上述の実施形態では、プレコートデータ作成部で作成される処理液の吐出データが、最初に吐出されるインク量に対応した量となっているが、一定値(例えば中滴)でもよい。
本発明は、記録媒体に対し画像を形成するインク等の第1液を吐出する前に、第1液の成分を凝集又は析出させる第2液を記録媒体に塗布するように構成された液滴吐出装置において、第1液を吐出する液滴吐出ヘッドと第2液を吐出する液滴吐出ヘッドとを備えたものにおいて、広く適用させることができる。
P 用紙(記録媒体)
1a 記録ヘッド(第1液吐出ヘッド)
1b 処理液ヘッド(第2液吐出ヘッド)
16 搬送機構
18 伸展ローラ対
18a 下部ローラ
18b 上部ローラ(回転ローラ)
51a 記録ヘッド制御部
51b 処理液ヘッド制御部
52 画像データ記憶部
53 プレコートデータ記憶部
54 プレコートデータ作成部
55 プレコートデータ変更部
57 搬送制御部
100 制御部(制御装置)

Claims (7)

  1. 記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
    搬送される記録媒体に向けて画像を形成する第1液を吐出する1以上の第1液吐出ヘッドと、
    前記第1液吐出ヘッドよりも前記搬送方向の上流側に配置され、搬送される記録媒体に向けて前記第1液の成分を凝集又は析出させる第2液を吐出する第2液吐出ヘッドと、
    前記第1液吐出ヘッド、前記第2液吐出ヘッド、および前記搬送機構の動作を制御する制御装置と、
    前記第1液吐出ヘッドと前記第2液吐出ヘッドとの間において、前記搬送方向に搬送される記録媒体に当接するように設けられるとともに、当該記録媒体と当接するときにはその移動に対応して回転し得る回転ローラと、を備え、
    前記制御装置は、記録媒体に着弾した前記第2液の液滴と当該記録媒体との接触角が0になる前に、当該液滴と前記回転ローラとが接触するように、前記搬送機構と前記第2液吐出ヘッドの少なくとも一方を制御する、
    液滴吐出装置。
  2. 前記制御装置は、記録媒体上の前記第1液が着弾する位置に基づいて前記第2液が記録媒体に着弾するように、前記第2液吐出ヘッドを制御する、請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記制御装置は、或一つの単位領域に対し、1以上の前記第1液吐出ヘッドから吐出される前記第1液の総量よりも少ない量の前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御する、請求項2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記制御装置は、記録媒体上の前記第1液が着弾する位置よりも前記搬送方向下流側に前記第2液が着弾するように、前記第2液吐出ヘッドを制御する、請求項2又は請求項3に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記制御装置は、或一つの単位領域に対し、当該単位領域の前記搬送方向下流側に隣接する単位領域に着弾した前記第2液の量に応じて調整された量の前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御する、請求項2に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記制御装置は、記録媒体の或領域の全面に前記第2液を塗布する場合に、前記或領域に含まれる各単位領域を格子に見立てた格子状の塗布パターンに合わせて前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御する、請求項1に記載の液滴吐出装置。
  7. 記録媒体の種類を検出又は入力する手段をさらに備え、
    前記制御装置は、記録媒体の種類に関連付けられた液滴の染み込みやすさに応じて前記第2液の最小液滴量を決定し、当該最小液滴量以上の前記第2液を吐出するように、前記第2液吐出ヘッドを制御する、請求項1に記載の液滴吐出装置。
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