JP2011206986A - 液体吐出装置、及び、プログラム - Google Patents

液体吐出装置、及び、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】搬送ベルトの表面に設けられた予備吐出領域に吐出された記録液が支持領域又は支持領域上の記録媒体に付着するのを抑制する。
【解決手段】搬送ベルト8の表面8aに予備吐出領域8yが設けられている。予備吐出領域8yは、インク吐出範囲8y1及び処理液吐出範囲8y2を含む。処理液吐出範囲8y2はインク吐出範囲8y1よりも搬送方向上流側に位置する。インク吐出範囲8y1は、予備吐出に係るインクが吐出される範囲であり、4つのヘッドそれぞれに対応する吐出範囲18K,18M,18C,18Yを含む。処理液吐出範囲8y2は、予備吐出に係る前処理液が吐出される範囲であり、インク吐出範囲8y1の各吐出範囲18K,18M,18C,18Yと同様の構成である。予備吐出は用紙P間で行われ、予備吐出領域8yにおいてインクの着弾位置よりも搬送方向上流側に前処理液が着弾する。
【選択図】図5

Description

本発明は、記録液と処理液とを吐出する液体吐出装置、これに用いられるプログラムに関する。
液体吐出装置の一例であるインクジェット式プリンタにおいて、ヘッドの吐出口近傍にあるインクの増粘を解消又は抑制するため、予備吐出を行うことが知られている。予備吐出は、吐出口からの画像形成に寄与しない吐出をいい、キャップ、記録媒体、搬送ベルト等に向けて行われる。
キャップに向けて予備吐出を行う場合、ヘッドをキャップ位置まで移動させる時間が必要となり、高速記録を実現し難い。また、キャップの配置領域が必要であるため、装置全体が大型化してしまう。記録用の記録媒体に向けて予備吐出を行う場合、記録媒体上に付着したインクにより記録品質が悪化し、また、非記録用の記録媒体に向けて予備吐出を行う場合、非記録用の記録媒体を用意しなければならず、不経済である。そこで、搬送ベルトの表面に予備吐出領域を設け、当該領域に予備吐出を行うことで、上記のような問題を軽減することができる。
予備吐出は、インク着弾前及び/又は後の記録媒体に付与される処理液(反応性液体)を吐出するヘッドについても、行われる(特許文献1参照)。
特開2006−198997号公報
しかしながら、搬送ベルトの表面に設けられた予備吐出領域に予備吐出を行う場合、予備吐出に係るインクが、搬送ベルトの表面に衝突する際に飛散したり、予備吐出により搬送ベルトの表面上に着弾したインク滴が、搬送ベルトの走行に伴う慣性力(搬送方向上流側に移動する方向の力)により搬送方向上流側に移動したりすることで、搬送ベルトの表面に設けられた記録媒体を支持する支持領域又は支持領域上の記録媒体に付着し得る。
本発明の目的は、搬送ベルトの表面に設けられた予備吐出領域に吐出された記録液が支持領域又は支持領域上の記録媒体に付着するのを抑制することが可能な、液体吐出装置及びプログラムを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の第1観点によると、記録媒体に対して記録液を吐出するための複数の第1吐出口が開口した第1吐出面を有する第1ヘッドと、前記記録媒体に対して透明の処理液を吐出するための複数の第2吐出口が開口した第2吐出面を有する第2ヘッドと、前記記録媒体を支持する支持領域及び予備吐出領域が表面に設けられ、前記表面が前記第1及び第2吐出面に対向しつつ前記第1及び第2吐出面に平行な搬送方向に移動することにより、前記記録媒体を前記搬送方向に搬送する搬送ベルトであって、前記予備吐出領域の前記搬送方向上流側に前記支持領域が配置された搬送ベルトと、前記第1及び第2吐出口からの画像形成に寄与しない吐出である予備吐出に係る予備吐出データを作成する予備吐出データ作成手段と、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記予備吐出データに基づき、前記第1吐出口から前記記録液が吐出され、当該記録液が前記予備吐出領域に着弾し、且つ、前記第2吐出口から前記処理液が吐出され、当該処理液が前記予備吐出領域のうち前記記録液が着弾する位置よりも前記搬送方向上流側に着弾するよう、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする液体吐出装置が提供される。
本発明の第2観点によると、記録媒体に対して記録液を吐出するための複数の第1吐出口が開口した第1吐出面を有する第1ヘッドと、前記記録媒体に対して透明の処理液を吐出するための複数の第2吐出口が開口した第2吐出面を有する第2ヘッドと、前記記録媒体を支持する支持領域及び予備吐出領域が表面に設けられ、前記表面が前記第1及び第2吐出面に対向しつつ前記第1及び第2吐出面に平行な搬送方向に移動することにより、前記記録媒体を前記搬送方向に搬送する搬送ベルトであって、前記予備吐出領域の前記搬送方向上流側に前記支持領域が配置された搬送ベルトと、を含む液体吐出装置を、前記第1及び第2吐出口からの画像形成に寄与しない吐出である予備吐出に係る予備吐出データを作成する予備吐出データ作成手段、並びに、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御する制御手段、として機能させ、前記制御手段は、前記予備吐出データに基づき、前記第1吐出口から前記記録液が吐出され、当該記録液が前記予備吐出領域に着弾し、且つ、前記第2吐出口から前記処理液が吐出され、当該処理液が前記予備吐出領域のうち前記記録液が着弾する位置よりも前記搬送方向上流側に着弾するよう、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とするプログラムが提供される。
上記第1及び第2観点によれば、予備吐出領域において、記録液の着弾位置よりも搬送方向上流側に、処理液が着弾する。そのため、予備吐出に係る記録液は、搬送ベルトの表面に衝突する際に飛散したとしても、処理液の存在により、支持領域又は支持領域上の記録媒体に付着し難い。また、予備吐出領域に吐出された記録液は、搬送方向上流側に移動したとしても、処理液の存在により、支持領域又は支持領域上の記録媒体に付着し難い。したがって、搬送ベルトの表面に設けられた予備吐出領域に吐出された記録液が支持領域又は支持領域上の記録媒体に付着するのを抑制することができる。
本発明によると、搬送ベルトの表面に設けられた予備吐出領域に吐出された記録液が支持領域又は支持領域上の記録媒体に付着するのを抑制することができる。
本発明に係る液体吐出装置の一実施形態としてのインクジェット式プリンタの内部構造を示す概略側面図である。 図1のプリンタに含まれるインクジェットヘッドの流路ユニット及びアクチュエータユニットを示す平面図である。 図2の一点鎖線で囲まれた領域IIIを示す拡大図である。 図3のIV−IV線に沿った部分断面図である。 図1のプリンタに含まれる搬送ベルトを示す平面図である。 プリンタの電気的構成を示すブロック図である。 予備吐出に係るインクの吐出態様を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
先ず、図1を参照し、本発明に係る液体吐出装置の一実施形態としてのインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間A及びBには、排紙部31に連なる用紙搬送経路が形成されている。空間Cには、プレコートヘッド40に対する処理液供給源としてのカートリッジ41、及び、4つのインクジェットヘッド10それぞれに対するインク供給源としての4つのカートリッジ39が収容されている。
空間Aには、プレコートヘッド40、4つのヘッド10、用紙Pを搬送する搬送ユニット21、用紙Pをガイドするガイドユニット等が配置されている。空間Aの上部には、プリンタ1各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る制御装置1pが配置されている。
制御装置1pは、外部装置から供給された画像データに基づいて、記録動作(プリンタ1各部による用紙Pの搬送動作、用紙Pの搬送に同期した画像形成や予備吐出に係るインク及び前処理液の吐出動作等)を制御する。予備吐出を含む記録動作については後に詳述する。
搬送ユニット21は、ベルトローラ6,7、両ローラ6,7間に巻回されたエンドレスの搬送ベルト8、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン9等を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータ121(図6参照)の駆動により回転し、図1中時計回りに回転する。ベルトローラ7の回転に伴い、搬送ベルト8が図1中の太矢印方向に走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1中時計回りに回転する。ニップローラ4は、ベルトローラ6に対向配置され、搬送方向上流側から供給されてきた用紙Pを搬送ベルト8の表面8aに押さえ付ける。その後用紙Pは、搬送ベルト8の走行に伴い、表面8a上に支持されつつ、ベルトローラ7に向けて搬送される。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置され、用紙Pを表面8aから剥離し、さらに搬送方向下流側へと導く。プラテン9は、プレコートヘッド40及び4つのヘッド10の、計5つのヘッドに対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。
搬送ベルト8の表面8aの構成については、図5を参照して後に詳述する。
各ヘッド10,40は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するラインヘッドである。各ヘッド10,40の下面は、多数の吐出口(図3及び図4に示すインクジェットヘッド10の吐出口14a参照)が開口した吐出面10a,40aである。記録(画像形成)に際して、4つのインクジェットヘッド10の吐出面10aからそれぞれブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)のインクが吐出される。また、後に詳述するように、状況に応じて、プレコートヘッド40の吐出面40aから前処理液がインク着弾前の用紙Pに対して吐出される。ヘッド10,40は、副走査方向に所定ピッチで並び、ヘッドホルダ3を介して筐体1aに支持されている。ヘッドホルダ3は、吐出面10a,40aが搬送ベルト8の上側ループの支持面8aに対向し、且つ、吐出面10a,40aと支持面8aとの間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド10,40を保持している。ヘッド10,40のより具体的な構成については後に詳述する。
ガイドユニットは、搬送ユニット21を挟んで配置された、上流側ガイド部及び下流側ガイド部を含む。上流側ガイド部は、2つのガイド27a,27b及び一対の送りローラ26を有する。当該ガイド部は、給紙ユニット1b(後述)と搬送ユニット21とを繋ぐ。下流側ガイド部は、2つのガイド29a,29b及び二対の送りローラ28を有する。当該ガイド部は、搬送ユニット21と排紙部31とを繋ぐ。
空間Bには、給紙ユニット1bが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。給紙トレイ23は、上方に開口した箱体であり、複数種類のサイズの用紙Pを収納可能である。給紙ローラ25は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出し、上流側ガイド部に供給する。
上述したように、空間A及びBに、給紙ユニット1bから搬送ユニット21を介して排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。外部装置から受信した記録指令に基づいて、制御装置1pは、給紙ローラ25用の給紙モータ125(図6参照)、各ガイド部の送りローラ用の送りモータ127(図6参照)、搬送モータ121(図6参照)等を駆動する。給紙トレイ23から送り出された用紙Pは、送りローラ26によって、搬送ユニット21に供給される。用紙Pが各ヘッド10,40の真下を副走査方向に通過する際、ヘッド10から各色のインク(また、状況に応じて、プレコートヘッド40から前処理液)が順に吐出され、用紙P上にカラー画像が形成される。また、このような記録動作の際、後述の予備吐出も行われる。インク及び前処理液の吐出動作は、用紙センサ32からの検出信号に基づいて行われる。用紙Pは、その後剥離プレート5により剥離され、2つの送りローラ28によって上方に搬送される。さらに用紙Pは、上方の開口30から排紙部31に排出される。
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向に平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
空間Cには、カートリッジユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジユニット1cは、トレイ35、及び、トレイ35内に並んで収納された5つのカートリッジ41,39を有する。カートリッジ39はインク、カートリッジ41は前処理液をそれぞれ貯留しており、これらはチューブ(図示せず)を介して対応するヘッド40,10にインク又は前処理液を供給する。
次に、ヘッド10,40の構成について説明する。ヘッド10,40は互いに同じ構成を有するため、以下、図2〜図4を参照してインクジェットヘッド10の構成について説明することとする。なお、図3では、アクチュエータユニット17の下側にあって点線で示すべき圧力室16及びアパーチャ15を実線で示している。
ヘッド10は、上下に積層されたリザーバユニット(図示せず)及び流路ユニット12、流路ユニット12の上面12xに固定された8つのアクチュエータユニット17(図2参照)、各アクチュエータユニット17に接合されたFPC(平型柔軟基板)19(図4参照)等を有する。リザーバユニットには、カートリッジ39(図1参照)から供給されたインクを一時的に貯留するリザーバを含む流路が形成されている。流路ユニット12には、上面12xの開口12y(図2参照)から下面(吐出面10a)の各吐出口14aに至る流路が形成されている。アクチュエータユニット17は、吐出口14a毎の圧電型アクチュエータを有する。
リザーバユニットの下面には凹凸が形成されている。凸部は、流路ユニット12の上面12xにおけるアクチュエータユニット17が配置されていない領域(図2に示す開口12yを含む二点鎖線で囲まれた領域)に接着されている。凸部の先端面は、リザーバに接続し且つ流路ユニット12の各開口12yに対向する開口を有する。これにより、上記各開口を介して、リザーバ及び個別流路14が連通している。凹部は、流路ユニット12の上面12x、アクチュエータユニット17の表面、及びFPC19の表面と、若干の隙間を介して対向している。
流路ユニット12は、略同一サイズの矩形状の9枚の金属プレート12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i(図4参照)を互いに積層し接着することにより形成された積層体である。流路ユニット12の流路は、図2、図3、及び図4に示すように、開口12yを一端に有するマニホールド流路13、マニホールド流路13から分岐した副マニホールド流路13a、及び、副マニホールド流路13aの出口から圧力室16を介して吐出口14aに至る個別流路14を含む。個別流路14は、図4に示すように、吐出口14a毎に形成されており、流路抵抗調整用の絞りとして機能するアパーチャ15を含む。上面12xにおける各アクチュエータユニット17の接着領域には、圧力室16を露出させる略菱形形状の開口がマトリクス状に配置されている。下面(吐出面10a)における各アクチュエータユニット17の接着領域に対向する領域には、圧力室16と同様の配置パターンで、吐出口14aがマトリクス状に配置されている。
アクチュエータユニット17は、図2に示すように、それぞれ台形の平面形状を有し、流路ユニット12の上面12xにおいて2列の千鳥状に配置されている。各アクチュエータユニット17は、図3に示すように、当該アクチュエータユニット17の接着領域内に形成された多数の圧力室16の開口を覆っている。図示は省略するが、アクチュエータユニット17は、多数の圧力室16に跨るように延在した複数の圧電層、及び、厚み方向に関して圧電層を挟む電極を含む。電極には、圧力室16毎に設けられた個別電極、及び、圧力室16に共通の共通電極が含まれる。個別電極は、最も上方の圧電層の表面に形成されている。
FPC19は、アクチュエータユニット17の各電極に対応する配線を有し、その途中部にドライバIC(図示せず)が実装されている。FPC19は、一端がアクチュエータユニット17、他端がヘッド10の制御基板(リザーバユニットの上方に配置。図示せず)にそれぞれ固定されている。FPC19は、制御装置1p(図1参照)による制御の下、制御基板から出力された各種駆動信号をドライバICに伝達し、ドライバICが生成した信号をアクチュエータユニット17に伝達する。
なお、プレコートヘッド40において、リザーバユニットのリザーバには、カートリッジ41(図1参照)から適宜前処理液が供給される。
前処理液は、透明な液体であり、記録品質の向上に寄与する作用(例えば、濃度向上作用(用紙Pに吐出されたインクの濃度を向上させる作用)、インクの滲みや裏抜け(用紙Pの表面に着弾したインクが用紙Pの層を貫通して裏面に滲み出す現象)の防止作用、インクの発色性や速乾性を向上させる作用、インク着弾後の用紙Pの皺やカールを抑制する作用等)を有する。前処理液の材料は、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等、適宜に選択可能である。また、顔料インクに対しては顔料色素を凝集させる前処理液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させる前処理液が使用される。かかる前処理液が予め塗布された用紙Pの領域にインクが着弾すると、多価金属塩等がインクの着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。
次に、図5を参照し、搬送ベルト8の表面8aの構成について説明する。
表面8aには、図5に示すように、用紙Pを支持する支持領域8x、及び、予備吐出領域8yが設けられている。各領域8x,8yの幅(主走査方向の長さ)は表面8aの幅と同じである。
支持領域8xは、搬送ベルト8の全周に沿って間隔をなして複数配置されている。支持領域8xは、予備吐出領域8yの搬送方向上流側及び下流側にそれぞれ配置されている。支持領域8xの長さ(搬送方向の長さ)は、プリンタ1で記録可能な最大サイズの用紙Pの長さより若干長い。
予備吐出領域8yは、支持領域8x間に配置されており、搬送ベルト8の下側ループの表面8a(図5に示す面とは反対側の面)にも設けられている。予備吐出領域8yには用紙Pが載置されない。予備吐出領域8yは、インク吐出範囲8y1、処理液吐出範囲8y2、及び非吐出範囲8y3を含む。処理液吐出範囲8y2はインク吐出範囲8y1よりも搬送方向上流側に位置する。
インク吐出範囲8y1は、予備吐出に係るインクが吐出される範囲であり、4つのヘッド10それぞれに対応する吐出範囲18K,18M,18C,18Yを含む。吐出範囲18Kはブラックのインク、吐出範囲18Mはマゼンタのインク、吐出範囲18Cはシアンのインク、吐出範囲18Yはイエローのインクが吐出される範囲である。吐出範囲18K,18M,18C,18Yは、それぞれ主走査方向に長尺な範囲(吐出面10aと略同じ形状及びサイズ)であり、互いに重複することなく搬送方向下流側から上流側に並列しており、明度が低い色のインクほど搬送方向下流側に位置している(明度はブラック(K)>マゼンタ(M)>シアン(C)>イエロー(Y))。また、各吐出範囲18K,18M,18C,18Yは、搬送方向に沿って1〜n(nは2以上の整数)の範囲に分割される(図5には吐出範囲18Kの分割範囲のみ示しているが、他の吐出範囲18M,18C,18Yも同様)。なお、分割範囲は、図5に一点鎖線で示されているが、概念的(非可視的)なものである。1〜nの分割範囲は、それぞれ1〜n回目の予備吐出期間(予備吐出領域8yが吐出面10a又は吐出面40aに対向する期間)での吐出範囲である。1〜nの分割範囲は、それぞれ主走査方向に長尺で且つ1ライン(1画素)分の幅を有する範囲であり、互いに重複することなく搬送方向下流側から上流側に並列している。
処理液吐出範囲8y2は、予備吐出に係る前処理液が吐出される範囲であり、インク吐出範囲8y1の各吐出範囲18K,18M,18C,18Yと同様の構成である。即ち、処理液吐出範囲8y2は、主走査方向に長尺な範囲(吐出面40aと略同じ形状及びサイズ)であり、且つ、搬送方向に沿って1〜nの範囲(図示せず)に分割される。処理液吐出範囲8y2における1〜nの分割範囲も、それぞれ主走査方向に長尺で且つ1ライン(1画素)分の幅を有する範囲であり、各吐出範囲18K,18M,18C,18Yにおける1〜nの分割範囲と同様、互いに重複することなく搬送方向下流側から上流側に並列している。
非吐出範囲8y3は、インク及び前処理液のいずれも吐出されない範囲であり、インク吐出範囲8y1と処理液吐出範囲8y2との間に設けられている。非吐出範囲8y3は、表面8aの幅と同じ幅(主走査方向の長さ)、及び、処理液吐出範囲8y2の略半分の長さ(搬送方向の長さ)を有する。
予備吐出領域8yのうち非吐出範囲8y3を除く部分(即ち、インク吐出範囲8y1及び処理液吐出範囲8y2)は、表面8aに撥液処理を施すことにより形成されており、撥液性(インク及び前処理液を弾く性質)を有する。撥液処理としては、例えばフッ素原子を含む撥液性を持った材料を蒸着やディッピング等で撥液膜を形成すること等が挙げられる。非吐出範囲8y3は、表面8aに撥液処理を施していない部分であり、撥液処理が施されているインク吐出範囲8y1等よりも表面粗さが大きい。これにより、非吐出範囲8y3は、インク吐出範囲8y1に吐出されたインクが搬送方向上流側に流れるのを堰き止める堰止部として機能する。
なお、搬送ベルト8の厚みは、全周に亘って一定であり、各領域8x,8yで(撥液処理による薄膜を除いて)ほとんど差はない。
次に、図6を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
制御装置1pは、図6に示すように、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータ(例えば、用紙P上に形成される画像に係る画像データ、各吐出口14aの吐出履歴等)が一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検出信号の入力/出力を行う。
制御装置1pは、各モータ121,125,127、用紙センサ32、各ヘッド10,40の制御基板等に接続されている。
次に、制御装置1pが実行する、予備吐出を含む記録動作の制御について説明する。記録動作における各処理は、CPU101がROM102に記憶されているプログラムにしたがって実行する。
予備吐出は、吐出口14aからの画像形成に寄与しない吐出をいい、本実施形態では1の用紙Pへの記録開始前毎に行われる。即ち、2以上の用紙Pに対する記録(連続記録)が行われる場合、用紙P間で予備吐出が行われる。
制御装置1pは、外部装置から記録指令を受信すると、当該記録指令に含まれる画像データに基づいて各ヘッド10(及び、状況に応じてヘッド40)の吐出口14aからの画像形成に係るインク(及び、状況に応じて前処理液)の吐出制御を行うと共に、予備吐出データに基づいて各ヘッド10,40の吐出口14aからの予備吐出に係るインク及び前処理液の吐出制御を行う。
制御装置1pは、予備吐出期間毎且つヘッド10,40毎の、予備吐出データを作成する。予備吐出データの作成にあたり、制御装置1pは、当該予備吐出期間の前後の期間における当該ヘッド10,40の各吐出口14aの吐出履歴に基づいて、当該予備吐出期間にインク又は前処理液が吐出される吐出口14aを選択する。そして、制御装置1pは、選択された吐出口14aから予備吐出に係るインク又は前処理液が予備吐出領域8yに吐出されるよう、予備吐出データを作成する。制御装置1pは、例えば一定時間以上(当該予備吐出期間の直前の記録等で)吐出動作が行われていない吐出口14aを選択する。
制御装置1pは、予備吐出データに基づき、各ヘッド10の選択された吐出口14aからインクが吐出され、当該インクが予備吐出領域8yのインク吐出範囲8y1に着弾し、且つ、ヘッド40の選択された吐出口14aから前処理液が吐出され、当該前処理液が予備吐出領域8yの処理液吐出範囲8y2に着弾するよう、ヘッド10,40及び搬送ベルト8の駆動を制御する。
このとき制御装置1pは、予備吐出データに基づきあるヘッド10の吐出口14aからインクがインク吐出範囲8y1に吐出されてから第1の所定時間(本実施形態では、1の予備吐出領域8yにつき1のヘッド10に対する予備吐出期間がn回間隔をなして出現するのに要する時間。即ち、搬送ベルト8がn周走行する時間)が経過するまでは、インク吐出範囲8y1内の当該インクが着弾している位置以外の位置に、当該インク以外の予備吐出に係るインクが吐出されるよう、ヘッド10及び搬送ベルト8の駆動を制御する。具体的には、図7に示すように、ある吐出口14aから吐出されたインクL1が予備吐出領域8y(インク吐出範囲8y1)に着弾しているとき、当該インクL1が吐出されてから上記第1の所定時間が経過するまでの期間に吐出される予備吐出に係るインクL2は、予備吐出領域8y(インク吐出範囲8y1)におけるインクL1の着弾位置(占有部分)以外の位置に向けて吐出される。本実施形態では、上記期間内で先に吐出されるインクL1の吐出位置と、後に吐出されるインクL2の吐出位置とにおいて、搬送方向の間隔Dは1ライン分の幅以上である。
さらに、このとき制御装置1pは、予備吐出データに基づきヘッド40のある吐出口14aから前処理液が処理液吐出範囲8y2に吐出されてから第2の所定時間(本実施形態では、1の予備吐出領域8yにつきヘッド40に対する予備吐出期間がn回間隔をなして出現するのに要する時間。即ち、上記第1の所定時間と同じ、搬送ベルト8がn周走行する時間)が経過するまでは、処理液吐出範囲8y2内の当該前処理液が着弾している位置以外の位置に、当該前処理液以外の予備吐出に係る前処理液が吐出されるよう、ヘッド40及び搬送ベルト8の駆動を制御する。この制御についての具体的な説明は、図7を参照した上記説明と同様である。
ここで、記録動作中における予備吐出の制御について、より具体的に説明する。制御装置1pは、予備吐出領域8y毎、且つ、吐出口14a毎に、予備吐出に係るインク及び前処理液の吐出開始時点を記憶する。そして制御装置1pは、1の予備吐出領域8yにおいて予備吐出に係るインク及び前処理液の吐出が開始されてから上記各所定時間内は、当該1の予備吐出領域8yにおいて、ヘッド10,40毎に、1〜n回の予備吐出期間のそれぞれで、1〜nの分割範囲(図5の吐出範囲18Kの(1)〜(n)参照)にインク又は前処理液が吐出されるよう、ヘッド10,40及び搬送ベルト8の駆動を制御する。このとき制御装置1pは、例えば、各吐出口14aからの吐出位置が各分割範囲の幅の中心を通る線に沿って配列するように設定し、且つ、各吐出口14aから吐出される予備吐出に係るインク又は前処理液の大きさを、当該インク又は前処理液が予備吐出領域8yに着弾したときに各分割範囲の幅内に収まるように、設定する。
制御装置1pは、1の記録指令に基づく記録動作(予備吐出を含む。)が完了する毎に、各予備吐出領域8yに着弾したインク等のクリーニングを行う。クリーニングは、例えば、ブレードやスポンジ等のクリーニング部材(図示せず)を搬送ベルト8の表面8aに当接させた状態で搬送ベルト8を1周走行させること等により、行われる。
制御装置1pは、1の記録指令に基づく記録動作(予備吐出を含む。)が完了する前(即ち、上記クリーニングが行われる前)に、1の予備吐出領域8yにつき1のヘッド10に対する予備吐出期間がnを超える回数出現した場合、以下のように制御を行う。即ち、制御装置1pは、当該1の予備吐出領域8yにおいて、n*α+m(αは1以上の整数・mは1以上n以下の整数)回目の予備吐出期間では、ヘッド10,40毎に、m回目の予備吐出期間に対する分割範囲(図5の吐出範囲18Kの(1)〜(n)参照)にインク又は前処理液が吐出されるよう、ヘッド10,40及び搬送ベルト8の駆動を制御する。
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1及びプログラムによると、予備吐出領域8yにおいて、インクの着弾位置よりも搬送方向上流側に、前処理液が着弾する(図5参照)。そのため、予備吐出に係るインクは、搬送ベルト8の表面8aに衝突する際に飛散したとしても、前処理液の存在により、支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pに付着し難い。また、予備吐出領域8yに吐出されたインクは、搬送方向上流側に移動したとしても、前処理液の存在により、支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pに付着し難い。したがって、搬送ベルト8の表面8aに設けられた予備吐出領域8yに吐出されたインクが支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pに付着するのを抑制することができる。
なお、前処理液が支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pに付着したとしても、前処理液は透明であるため、記録品質に影響を及ぼすことはほとんどない。
予備吐出領域8yにおいて、既に吐出された未乾燥のインクが着弾している位置にさらにインクが吐出されると、インク同士の衝突によって、インクの飛散や、搬送ベルト8の表面8a上でのインク滴の大型化が生じ得る。飛散したインクは、吐出面10a,40aや、支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pに付着し得る。大型化したインク滴もまた、吐出面10a,40aに付着したり、搬送ベルト8の走行に伴う慣性力によって搬送方向上流側に移動し、支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pに付着したりし得る。しかし本実施形態によれば、制御装置1pの上記制御によって、図7に示すように予備吐出領域8yでのインク同士の衝突が防止されるため、これらの問題を軽減することができる。
予備吐出領域8yにおける前処理液同士の衝突によっても、上述したインク同士の衝突と同様、飛散や、搬送ベルトの表面上での液滴の大型化の問題が生じ得る。しかし本実施形態によれば、制御装置1pの上記制御によって、予備吐出領域8yでの前処理液同士の衝突が防止されるため、当該問題を軽減することができる。
予備吐出領域8yが撥液性を有する場合、予備吐出領域8yのクリーニング性が向上する(即ち、予備吐出領域8yに着弾したインク等の除去が容易になる)反面、予備吐出領域8yに吐出されたインクの飛散や搬送方向上流側への移動が生じ易くなり、当該インクの支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pへの付着が問題となる。しかし本実施形態によれば、前処理液の存在により、当該問題を軽減しつつ、予備吐出領域8yのクリーニング性を向上させることができる。
予備吐出領域8yにおいてインクと前処理液とが混ざると、化学反応によりインクが凝固し、クリーニングにより除去し難くなる。しかし本実施形態によれば、非吐出範囲8y3の存在により、予備吐出領域8yにおいてインクと前処理液と混ざるのが抑制されるため、予備吐出領域8yのクリーニング性悪化を防止することができる。
非吐出範囲8y3は、インク吐出範囲8y1に吐出されたインクが搬送方向上流側に流れるのを堰き止める堰止部として機能する。これにより、予備吐出領域8yに吐出されたインクと前処理液とが混ざるのをより一層確実に抑制することができる。
予備吐出領域8yのうち非吐出範囲8y3を除く部分(即ち、インク吐出範囲8y1及び処理液吐出範囲8y2)は、表面8aに撥液処理を施すことにより形成されており、非吐出範囲8y3は、表面8aに撥液処理を施していない部分である。このような構成のため、搬送ベルト8の製造が容易である。
本実施形態のようにヘッド10,40がライン式の場合、キャップに向けて予備吐出を行う場合の問題(高速記録の妨げになることや、プリンタ1全体の大型化)が顕著であり、搬送ベルト8に向けて予備吐出を行うことによる効果が大きい。また、ヘッド10,40がライン式の場合に、1の予備吐出領域8yにおける1〜n回目の予備吐出期間での吐出範囲(1〜nの分割範囲。図5の吐出範囲18Kの(1)〜(n)参照)を搬送方向下流側から上流側に並列させることで、インク同士及び前処理液同士の衝突を防止しつつ、予備吐出領域8yの搬送方向に沿った長さを抑えることができる。即ち、インク同士及び前処理液同士の衝突を防止しつつ、支持領域8xの間隔を狭めて搬送効率を向上させ、高速記録を実現することができる。
本実施形態のように4つのライン式ヘッド10を含む場合でも、ヘッド10毎のn回の予備吐出期間での吐出範囲18K,18M,18C,18Yを搬送方向下流側から上流側に並列し、且つ、ヘッド10それぞれの1〜n回目の予備吐出期間での吐出範囲(1〜nの分割範囲。図5の吐出範囲18Kの(1)〜(n)参照)を搬送方向下流側から上流側に並列させることで、予備吐出領域8yの搬送方向に沿った長さを抑えることができる。これにより、支持領域8xの間隔が狭まるため、搬送効率が向上し、高速記録を実現することができる。
明度が比較的低い色のインクが用紙Pに付着すると、記録品質の悪化が顕著になる。本実施形態によれば、図5に示すように、明度が低い色のインクほど、吐出範囲18K,18M,18C,18Yが搬送方向下流側に位置する。そのため、明度が比較的低い色のインクが用紙Pに付着し難く、記録品質の悪化を効果的に抑制することができる。
予備吐出領域8yに着弾したインクは、時間の経過と共に乾燥し、クリーニングにより除去し難くなる。そこで、制御装置1pは、1の予備吐出領域8yにつき1つのヘッド10に対する予備吐出期間がnを超える回数出現した場合、再び1〜nの分割範囲に順にインクが吐出されるように制御を行う。即ち、制御装置1pは、ある吐出口14aから予備吐出に係るインクが予備吐出領域8yに吐出されてから上記第1の所定時間経過後に、当該予備吐出領域8y内の当該インクが着弾している位置に、当該インク以外の予備吐出に係るインクが吐出されるよう、ヘッド10及び搬送ベルト8の駆動を制御する。このような制御により、ある程度乾燥した旧いインクが着弾している位置に新たなインクを吐出し、旧いインクに湿り気を与えることで、クリーニング性を向上させることができる。また、ある程度乾燥した旧いインクがアンカーとなり、新たに吐出されたインクの移動が抑制されるため、当該インクが支持領域8x又は支持領域8x上の用紙Pに付着するのをより確実に抑制することができる。なお、この場合、旧いインクは乾燥により粘度が高くなっているので、新たなインクと旧いインクとが衝突しても、飛散は生じ難い。
予備吐出領域8yに着弾した前処理液についても、時間の経過と共に乾燥し、クリーニングにより除去し難くなるという問題が生じ得る。しかし本実施形態によれば、上述のインクの場合と同様の制御装置1pの制御によって、ある程度乾燥した旧い前処理液が着弾している位置に新たな前処理液を吐出し、旧い前処理液に湿り気を与えることで、クリーニング性を向上させることができる。また、アンカー効果についても、上述のインクの場合と同様に得ることができる。なお、この場合、旧い前処理液と新たな前処理液とが衝突しても、飛散は生じ難い。
搬送ベルト8の厚みは支持領域8xと予備吐出領域8yとで同じである。ここで、予備吐出領域8yにおける搬送ベルト8の厚みが支持領域8xにおける搬送ベルト8の厚みより小さい場合、搬送ベルト8の強度が低下する。また、予備吐出領域8yにおける搬送ベルト8の厚みが支持領域8xにおける搬送ベルト8の厚みより大きい場合、搬送ベルト8が吐出面10a,40aと当接し得る。本実施形態によれば、これらの問題を軽減することができる。
n回の予備吐出期間それぞれでの吐出範囲(1〜nの分割範囲。図5の吐出範囲18Kの(1)〜(n)参照)は1ライン分の幅を有することから、予備吐出領域8yの搬送方向に沿った長さをより確実に抑えることができる。これにより、支持領域8xの間隔が狭まるため、搬送効率が向上し、高速記録を実現することができる。
制御装置1pは、予備吐出データの作成にあたり、当該予備吐出期間の前後の期間における当該ヘッド10,40の各吐出口14aの吐出履歴に基づいて、当該予備吐出期間にインク又は前処理液が吐出される吐出口14aを選択する。この場合、吐出履歴によらずに全吐出口14aから予備吐出に係るインク又は前処理液を吐出させる場合に比べ、予備吐出領域8yでのインク同士及び前処理液同士の衝突をより確実に防止することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
予備吐出領域において記録液の着弾位置よりも搬送方向上流側に処理液が着弾する限りは、各予備吐出期間での記録液及び処理液の吐出位置は様々に変更可能である。
例えば、予備吐出領域において既に吐出された未乾燥の記録液又は処理液が着弾している位置にさらに記録液又は処理液を吐出してもよい。なお、記録液又は処理液の吐出位置が既に着弾している記録液又は処理液の着弾位置(占有部分)に重複しない限り、予備吐出領域での記録液同士又は処理液同士の衝突が防止され、記録液又は処理液の飛散や液滴の大型化を抑制することができる。したがって、予備吐出領域に着弾した後に、各吐出範囲において、記録液同士や処理液同士の占有部分が部分的に重複した場合でも、上記効果が得られる。液滴の大型化については、各予備吐出期間での液体の吐出位置を、当該液体が予備吐出領域に着弾した後においても既に着弾している液体の占有部分と重複しない程度の距離、既に着弾している液体の着弾位置から離隔させることにより、効果的に抑制することができる。
各予備吐出期間での吐出範囲の幅は、特に限定されず、例えば3以上のライン分の幅であってもよい。
1の予備吐出領域につき1つのヘッド10に対する予備吐出期間がnを超える回数出現した場合、再び1〜nの分割範囲に順にインクが吐出されるように制御を行わなくてもよい。例えば、n回目の予備吐出期間の終了後にクリーニングを行ってもよい。前処理液においても同様である。
予備吐出期間の前後の期間の吐出履歴に基づいて、当該予備吐出期間に記録液又は処理液が吐出される吐出口を選択することに限定されない。例えば、吐出履歴に関わらず、全吐出口から予備吐出に係る記録液又は処理液を吐出させてもよい。
予備吐出は、2以上の記録媒体への記録完了毎に行われてよい。また、予備吐出は、一定間隔で行われることに限定されず、任意のタイミングで行われてよい。
複数のヘッドから互いに異なる明度の記録液が吐出される場合において、各予備吐出期間での記録液の吐出範囲を明度によらずに配置してもよい。
複数のヘッドから吐出されるインクの色は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色に限定されず、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の3色、その他様々であってよい。
第1及び第2ヘッドは、圧電アクチュエータの他、静電式の印加電圧素子、サーマル式の発熱素子等の、吐出エネルギ発生手段を有してよい。
液体吐出装置は、複数の第1ヘッドを有することに限定されず、1の第1ヘッドを有してもよい。
搬送ベルトの厚みは、支持領域と予備吐出領域とで異なってもよい。
予備吐出領域は、予備吐出領域のクリーニング性向上等の観点から非吸収性(撥液性の他、疎液性、離液性等を含む性質)を有することが好ましいが、これに限定されるものではない。
堰止部は、搬送ベルトの表面に撥液処理を施していない部分に限定されず、吸収体、予備吐出領域よりも第1又は第2吐出面に近づく方向に突出する凸部等であってもよい。
非吐出範囲は、記録液及び処理液が吐出されない範囲である限りは、堰止部を含むことに限定されず、例えば予備吐出領域の他の範囲(インク吐出範囲及び処理液吐出範囲)と同様に撥液姓を有する部分であってもよい。また、予備吐出領域に非吐出範囲を設けなくてもよい。
記録媒体は、用紙に限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。
処理液は、透明な液体である限りは、任意の性質を有してよく、任意の材料からなってよい。処理液は、前処理液(記録液着弾前の記録媒体に付与される処理液)に限定されず、後処理液(記録液着弾後の記録媒体に付与される処理液)であってもよい。
記録液は、インクに限定されず、インク以外の液体であってよい。
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
1p 制御装置(予備吐出データ作成手段,制御手段)
8 搬送ベルト
8a 表面
8x 支持領域
8y 予備吐出領域
8y1 インク吐出範囲(記録液の吐出範囲)
8y2 処理液吐出範囲(処理液の吐出範囲)
8y3 非吐出範囲(堰止部)
10 インクジェットヘッド(第1ヘッド)
10a 吐出面(第1吐出面)
14a 吐出口(第1吐出口)
40 プレコートヘッド(第2ヘッド)
40a 吐出面(第2吐出面)
L1,L2 予備吐出に係るインク
P 用紙(記録媒体)

Claims (14)

  1. 記録媒体に対して記録液を吐出するための複数の第1吐出口が開口した第1吐出面を有する第1ヘッドと、
    前記記録媒体に対して透明の処理液を吐出するための複数の第2吐出口が開口した第2吐出面を有する第2ヘッドと、
    前記記録媒体を支持する支持領域及び予備吐出領域が表面に設けられ、前記表面が前記第1及び第2吐出面に対向しつつ前記第1及び第2吐出面に平行な搬送方向に移動することにより、前記記録媒体を前記搬送方向に搬送する搬送ベルトであって、前記予備吐出領域の前記搬送方向上流側に前記支持領域が配置された搬送ベルトと、
    前記第1及び第2吐出口からの画像形成に寄与しない吐出である予備吐出に係る予備吐出データを作成する予備吐出データ作成手段と、
    前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記予備吐出データに基づき、前記第1吐出口から前記記録液が吐出され、当該記録液が前記予備吐出領域に着弾し、且つ、前記第2吐出口から前記処理液が吐出され、当該処理液が前記予備吐出領域のうち前記記録液が着弾する位置よりも前記搬送方向上流側に着弾するよう、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記制御手段は、前記予備吐出データに基づき前記第1吐出口から前記記録液が前記予備吐出領域に吐出されてから第1の所定時間が経過するまでは、前記予備吐出領域内の当該記録液が着弾している位置以外の位置に、当該記録液以外の前記予備吐出に係る記録液が吐出されるよう、前記第1ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記制御手段は、前記予備吐出データに基づき前記第2吐出口から前記処理液が前記予備吐出領域に吐出されてから第2の所定時間が経過するまでは、前記予備吐出領域内の当該処理液が着弾している位置以外の位置に、当該処理液以外の前記予備吐出に係る処理液が吐出されるよう、前記第2ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記予備吐出領域が前記記録液及び前記処理液に対する撥液性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  5. 前記予備吐出領域において、前記記録液の吐出範囲と前記処理液の吐出範囲との間に、前記記録液及び前記処理液が吐出されない非吐出範囲が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  6. 前記非吐出範囲は、前記予備吐出領域の前記非吐出範囲以外の部分よりも表面粗さが大きいこと及び前記予備吐出領域の前記非吐出範囲以外の部分よりも前記第1及び第2吐出面に近づく方向に突出することの少なくともいずれかにより、前記予備吐出領域に吐出された前記記録液が前記搬送方向上流側に流れるのを堰き止める堰止部を含むことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
  7. 前記予備吐出領域のうち前記堰止部を除く部分は、前記表面に撥液処理を施すことにより形成されており、
    前記堰止部は、前記表面に撥液処理を施していない部分であることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
  8. 前記第1ヘッドは、前記第1吐出面が前記搬送方向と直交する主走査方向に長尺で且つ前記第1吐出口が前記主走査方向に沿って配列された、ライン式のヘッドであり、
    前記制御手段は、1の前記予備吐出領域において前記予備吐出に係る前記記録液の吐出が開始されてから前記第1の所定時間内に当該1の予備吐出領域につき前記予備吐出領域が前記第1及び第2吐出面に対向する予備吐出期間がn(nは2以上の整数)回間隔をなして出現する場合に、当該1の予備吐出領域において、前記予備吐出期間のそれぞれで前記主走査方向に長尺な範囲に前記記録液が吐出され、1〜n回目の前記予備吐出期間での前記記録液の吐出範囲が前記搬送方向下流側から上流側に並列するよう、前記第1ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  9. 前記第2ヘッドは、前記第2吐出面が前記搬送方向と直交する主走査方向に長尺で且つ前記第2吐出口が前記主走査方向に沿って配列された、ライン式のヘッドであり、
    前記制御手段は、1の前記予備吐出領域において前記予備吐出に係る前記処理液の吐出が開始されてから前記第2の所定時間内に当該1の予備吐出領域につき前記予備吐出領域が前記第1及び第2吐出面に対向する予備吐出期間がn(nは2以上の整数)回間隔をなして出現する場合に、当該1の予備吐出領域において、前記予備吐出期間のそれぞれで前記主走査方向に長尺な範囲に前記処理液が吐出され、1〜n回目の前記予備吐出期間での前記処理液の吐出範囲が前記搬送方向下流側から上流側に並列するよう、前記第2ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  10. 複数の前記第1ヘッドが、前記搬送方向に沿って並列配置されており、
    前記制御手段は、前記1の予備吐出領域において、前記複数の第1ヘッド毎のn回の前記予備吐出期間での前記記録液の吐出範囲が前記搬送方向下流側から上流側に並列し、且つ、前記複数の第1ヘッドそれぞれの1〜n回目の前記予備吐出期間での前記記録液の吐出範囲が前記搬送方向下流側から上流側に並列するよう、前記第1ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項8又は9に記載の液体吐出装置。
  11. 前記複数の第1ヘッドが、互いに異なる明度の前記記録液を吐出し、
    前記制御手段は、前記1の予備吐出領域において、前記複数の第1ヘッドのn回の前記予備吐出期間での前記記録液の吐出範囲が、明度の低い記録液ほど、前記搬送方向下流側に位置するよう、前記第1ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
  12. 前記制御手段は、前記予備吐出に係る記録液が前記予備吐出領域に吐出されてから前記第1の所定時間経過後に、前記予備吐出領域内の当該記録液が着弾している位置に、当該記録液以外の前記予備吐出に係る記録液が吐出されるよう、前記第1ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  13. 前記制御手段は、前記予備吐出に係る処理液が前記予備吐出領域に吐出されてから前記第2の所定時間経過後に、前記予備吐出領域内の当該処理液が着弾している位置に、当該処理液以外の前記予備吐出に係る処理液が吐出されるよう、前記第2ヘッド及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  14. 記録媒体に対して記録液を吐出するための複数の第1吐出口が開口した第1吐出面を有する第1ヘッドと、前記記録媒体に対して透明の処理液を吐出するための複数の第2吐出口が開口した第2吐出面を有する第2ヘッドと、前記記録媒体を支持する支持領域及び予備吐出領域が表面に設けられ、前記表面が前記第1及び第2吐出面に対向しつつ前記第1及び第2吐出面に平行な搬送方向に移動することにより、前記記録媒体を前記搬送方向に搬送する搬送ベルトであって、前記予備吐出領域の前記搬送方向上流側に前記支持領域が配置された搬送ベルトと、を含む液体吐出装置を、
    前記第1及び第2吐出口からの画像形成に寄与しない吐出である予備吐出に係る予備吐出データを作成する予備吐出データ作成手段、並びに、
    前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御する制御手段、として機能させ、
    前記制御手段は、前記予備吐出データに基づき、前記第1吐出口から前記記録液が吐出され、当該記録液が前記予備吐出領域に着弾し、且つ、前記第2吐出口から前記処理液が吐出され、当該処理液が前記予備吐出領域のうち前記記録液が着弾する位置よりも前記搬送方向上流側に着弾するよう、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送ベルトの駆動を制御することを特徴とするプログラム。
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