JP2012139488A - ブラシ、ブラシの製造方法、クリーニングシステム、化学物質処理システムおよび電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブラシ毛12はポリエステル等からなり、芯部12aと鞘部12bとを有する芯鞘構造を備え、芯部12aの融点が鞘部12bの融点よりも高い。ブラシ毛12を鞘部12bの融点よりも高く芯部12aの融点よりも低い温度にて加熱することにより、鞘部12bの少なくとも一部にはブラシ毛12の繊維径に対して40%以下の平均最大径を有する粒子13が鞘部12bから少なくとも一部が露出するように熱融着されている。ブラシ毛12の総本数のうちの少なくとも70%以上の本数の各ブラシ毛12には、熱融着された粒子13がブラシ毛12一本当りの表面積の少なくとも50%以上に被覆されている。
【選択図】 図1
Description
例えば、特許文献1に開示されたクリーニングブラシは、多数のブラシ繊維を高密度に放射状に設けると共に、そのブラシ繊維先端部にトナー外添剤の少なくとも1種類と同一の材料である無機酸化物微粒子として酸化チタンが吸着されて構成されている。これにより、トナー外添剤の回収効率を向上させることができ、画質の信頼性を向上することができるクリーニングブラシを提供するものとなっている。
例えば、図15(a)、15(b)に示すように、特許文献2に開示された光触媒機能を持った汎用フィルター100は、筒状体101の内部に酸化チタンを塗布したブラシ体102を充填してなっており、前記ブラシ体102は、芯材であるシャフト102aにブラシ毛102bを起毛したものからなっている。そして、この汎用フィルター100の筒状体101の内部に気体や液体を通すことにより、ブラシ毛102bに塗布された有害物質除去用機能物質である酸化チタンの光触媒機能によって窒素酸化物(NOX
)を分解したり、又は大腸菌等を滅菌したりできるものとなっている。尚、特許文献2では、確認実験として、アルミニウム(Al)板に酸化チタンをコートしている旨の開示があるが、ブラシに酸化チタンを固着する方法については開示がない。
しかしながら、この方法では、ブラシ繊維先端部のみに酸化チタンを固着させた形態になっており、多量の粒子を固着させたものにはなっておらず、パイル先端部への接触物にしか機能を発揮できない。
鞘部の熱溶融により粒子を熱融着すると、ブラシ毛の硬化やブラシ毛同士の融着が生じ、ブラシ毛の曲げ剛性が増大する場合がある。ブラシ毛の曲げ剛性が大きくなりすぎると、例えば、そのブラシを感光体のクリーニングブラシとして使用した場合には、接触対象物である感光体の表面を傷付ける虞がある。
しかしながら、前記構成のように、粒子が鞘部に熱融着されたブラシ毛の曲げ剛性を、熱融着前のブラシ毛の曲げ剛性の5倍以下にすることにより、例えば、前記のクリーニングブラシに適用した場合にも、感光体の表面を傷付けることはない。その結果、クリーニング機能等の機能を有効に発揮することが可能な、ブラシ毛に粒子が熱融着されたブラシを提供することができる。
すなわち、本発明のブラシによれば、ブラシ毛の鞘部には、当該鞘部の熱溶融により粒子が熱融着されており、バインダー等の一般的な手法でブラシ毛に固着させる場合と比べて、粒子の鞘部への接着が強固である。また、粒子の平均最大径をブラシ毛の繊維径の40%以下にしているため、露出して熱融着された粒子によるブラシ毛への被覆率を高めることができる。さらに、本発明においては、ブラシ毛の総本数に対し70%以上のブラシ毛において、露出して熱融着された粒子によるブラシ毛表面の被覆率を50%以上としている。そのため、鞘部を熱溶融した際に、隣接するブラシ毛同士が互いに接触して熱融着するのを、露出して熱融着された粒子が防止し、ブラシ毛間の間隙を確保することができる。すなわち、本発明であると、近接するブラシ毛間の熱融着を防止して、間隙を確保しつつ、各ブラシ毛に粒子を熱融着させたブラシを提供することができるという効果を奏する。
本発明の合成繊維からなるブラシ毛に粒子を熱融着したブラシ、およびその製造方法に関する実施の一形態について図1〜3に基づいて説明すれば以下のとおりである。
次に、粒子13の熱融着後のブラシ毛12において前記の測定範囲における表面の凹凸の高さを、再びレーザーマイクロスコープにより測定し、粒子13により熱融着されているブラシ毛の線粗さ(Ra)を測定する。この線粗さの差分により測定範囲に粒子が熱融着されているかを判定する。熱融着前後の線粗さの差異の割合が200%以上あることをこの測定領域で粒子13により熱融着されているかの基準とする。続いて、この測定を1本のブラシ毛の中で任意の10点で行う。この測定での基準を上回る測定領域の数の割合により被覆率が算出される。尚、この測定の測定領域は少なくとも3点以上で行うことが好ましい。被覆状態については、必ずしもこの方法に限定されず、例えば、粒子13の種類に応じて、電気抵抗値や摩擦係数との相関により確認することも可能である。
尚、この算出は少なくとも10本以上のブラシ毛で行うことが好ましい。
また、ブラシの製作に当っては、粒子13の粒度分布を例えばレーザー回折・錯乱法による粒度分布測定装置((株)島津製作所、商品名;SALD−7100)により測定して適切な粒子を選定して用いることが出来る。この場合、体積積算分布において50%粒径を前記平均最大径の基準とすることが出来る。
/kEIより間接的に求めることができる。ここで、Pは繊維軸にかかる荷重であり、Lは繊維長さである。また、kは繊維軸の支持方法によって異なる定数である。
この曲げ剛性の測定は例えばロードセル等を用いて一定幅のプローブへの加重を測定した値の平均値により算出してもよいし、一定量の食込み幅でのブラシの押圧を測定した値による比較によっても測定可能である。
尚、以下においては、さらに詳細に、ブラシ10を適用した具体例を説明する。
本発明の他の実施の形態について図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
すなわち、感光体ドラム1の表面は、帯電装置2によって均一に帯電される。表面が帯電された感光体ドラム1は、露光装置3によって、データに基づき露光され、感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成される。そして、現像装置4の現像ロール4bにより、感光体ドラム1の表面に現像剤が供給され、感光体ドラム1の表面の静電潜像が、現像されて顕像化される。続いて、搬送ベルト6によって記録媒体8が感光体ドラム1へ運搬され、転写ロール5によって、感光体ドラム1の表面の現像剤像が、記録媒体8に転写される。そして、転写後の感光体ドラム1は、残留した現像剤や紙粉等が、帯電制御装置7により負極性又は正極性に帯電制御された後、クリーニングブラシ22によって除去される。このようなサイクルで画像形成は行われる。
前述のように、本実施の形態のクリーニング装置20は、感光体ドラム1の表面に残留した現像剤や紙粉等の被クリーニング物を除去するものであり、前述したクリーニングブラシ22と、このクリーニングブラシ22に接触する導電ローラ23と、この導電ローラ23に摺察する清掃部材24とを備えている。尚、このクリーニング装置20は、一例であり、例えば、導電ローラ23および清掃部材24が存在しない場合もある。
すなわち、本実施の形態のクリーニングブラシ22は、図4に示すように、ローラ22cに巻回した基材22bと、この基材22bの表面に起毛された複数本の繊維からなるブラシ糸を有するブラシ毛22aとを備えている。そして、このクリーニングブラシ22は、例えば、これら複数のブラシ毛22aを基材22bに静電植毛してなっている。したがって、クリーニングブラシ22は、前記実施の形態1におけるブラシ10において、ローラ22cが図2に示すシャフト14に対応し、基材22bが基材11に対応し、ブラシ毛22aが粒子13を熱融着したブラシ毛12に対応するものとなっている。
さらに、導電性の粒子と合わせて融着させる事によって電気的な吸着機能を持たせる事も出来る。
本発明の他の実施の形態について、図5〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1および2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1および2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5(a)、5(b)に示すように、本実施の形態の有害物質除去用フィルター40は、筒状構成体41と、その内壁面41aにパイル42aがブラシ毛状に起毛された有害物質除去機能を有する有害物質除去モジュール42とからなっている。尚、図5(a)、5(b)では、単一の有害物質除去用フィルター40によって、本実施の形態の化学物質処理システムが構成されている。但し、本発明はこの態様に限定されず、ブラシ10を少なくとも一つ備えたものや、有害物質除去用フィルター40を複数備えたものであってもよい。
図5(a)に示すように、有害物質を含む気体又は液体等の流体が、筒状構成体41における一方の開口部としての流入開口部40aから流入され、有害物質除去モジュール42にて有害物質が除去された後、他方の開口部としての排出開口部40bから排出される。
ブラシ毛に熱融着させる粒子の平均(最大)粒径は、レーザー回折・錯乱法により測定した。測定装置としては、粒度分布測定装置((株)島津製作所製、商品名;SALD−7100)を用いた。
ブラシ毛に露出して熱融着された粒子の被覆率は、次の通りにして算出した。すなわち、粒子を熱融着する前のブラシ毛10本をレーザーマイクロスコープ(キーエンス(株)製、商品名;VK−8700)の測定により、表面の凹凸の高さを測定した。このときの測定は、100倍の対物レンズを用いて前記のブラシ毛の高さデータを採取し、長手方向100μm幅の任意の線領域について線粗さ(Ra)を測定した(JIS B0601:1994 カットオフ値:0.08mm)。この測定により得られた線粗さ(Ra)値の平均値を熱融着前のブラシ毛の線粗さ(Ra)の基準値とした。次に、粒子の熱融着後のブラシ毛について前記の測定と同様の方法で線粗さ(Ra)を測定した。この測定結果において熱融着前の線粗さ(Ra)の基準値との変化率が200%以上あることをこの測定領域で粒子により熱融着されているかの基準とした。続いて、この測定を1本のブラシ毛の中で任意の10点で行い、前記基準において熱融着された領域が何点あるかを確認した。この領域の割合により被覆率を算出した。更に熱融着後の任意のブラシ毛100本において同様の測定を行い、被覆率が基準を満たしているブラシ毛の割合を算出した。
ブラシ毛の曲げ剛性EI(Eは縦弾性係数であり、Iは断面二次モーメントである。)は、ブラシ毛の曲げ剛性による平板に対する加圧荷重により測定した。具体的には温度25℃、湿度60%Rhの環境下で、ロール状のブラシの芯金を回転治具に固定した。このブラシに対してブラシ毛が1mmの食込むように精密天秤((株)島津製作所製、商品名;AUX320)にセットした厚み1mmのガラス平板に接触させた。尚、ガラス平板は前記食込み量での5cm幅分のブラシ毛の荷重がかかるように精密天秤にセットした。更に100rpmの回転数でブラシを60秒間、回転させ、この時のガラス板に掛かる荷重を、1秒おきに測定し、この測定値の平均値によりブラシ毛の加圧荷重を求めた。尚、各実施例、比較例および従来例のブラシ毛における測定値は、下記表1に示す。
曲げ剛性の変化率は、粒子を熱融着する前のブラシ毛の曲げ剛性および熱融着後のブラシ毛の曲げ剛性を前記の通り測定し、下記式を用いて算出した。
(曲げ剛性の変化率)=(熱融着後の曲げ剛性)/(熱融着前の曲げ剛性)×100(%)
本実施例においては、ブラシとして、パイル織物をシャフトに巻き付けたロールブラシを用いた(図2参照)。パイル織物に用いられている繊維(ブラシ毛)は、芯部が融点250℃の疎水性のポリエステルからなり、鞘部が融点160℃のポリエチレンテレフタレートからなる(商品名「メルセット」、ユニチカ株式会社製)。また、ブラシ毛の直径(繊維径)は約25μm(繊度5.8デシテックス(dtex))、長さは5mmであった。さらに、ブラシ毛の密度は1×105フィラメント(F)/inch2であった。本実施例に於いては、このようなロールブラシ用いて、図3に示す工程図に従い本実施例に係るブラシの作製を行った。
本実施例に於いては、前記実施例1における分散液の分散媒を純水に替え、さらに、その後のブラシ毛の乾燥の際に毛割りを行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。このようにして得られた本実施例に係るブラシにおけるブラシ毛の開繊の状態を電子顕微鏡にて観察した。結果を図9(b)に示す。図9(b)は、ブラシ毛の開繊の状態を表す顕微鏡写真である。同図から分かる通り、近接するブラシ毛同士が一部熱融着している部分はあるものの、ブラシ毛同士は開繊した状態にあり、問題がないことが確認された。尚、本実施例においては、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の本数は、その総本数の90%であった。
本実施例に於いては、前記実施例1と比較して、粒子を平均最大粒径が0.1μmの多孔質シリカゲルに替え、ブラシを後述の通りに替えたこと以外は、実施例1と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。尚、多孔質シリカゲルは有色の物を用いた。
また、ブラシとしては、芯部が融点250℃の疎水性のポリエステルからなり、鞘部が融点160℃のポリエステルからなるブラシ毛を備え、植毛密度50×103フィラメント(F)/inch2にて植毛したクリーニングブラシを用いた(図6参照)。また、ブラシ毛の直径(繊維径)は30μm(繊度8.5デシテックス(dtex))、長さは5mmであった。尚、前記粒子は、クリーニングに適した性質とガス吸着性とを併せ持つ略球形状の多孔質シリカゲルを用いた。
本実施例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の93%であった。
本実施例に於いては、前記実施例3と比較して、乾燥後に粒子の被覆率を下げる為の処理を行ったこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。粒子の被覆率を下げる為の処理として具体的には、100rpmで回転させたブラシに0.05MPaの圧力に調整したエアーがブラシ長手方向全面に当たるように30cmの距離を空けて1分間吹き付けた。また、ブラシ毛および粒子については、前記実施例3と同様のものを用いた。本実施例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の73%であった。
本比較例においては、前記実施例4と比較して、乾燥後に粒子の被覆率を下げる為の処理において、エアーを吹き付ける距離を30cmから10cmに変更したこと以外は、実施例4と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の60%であった(表3参照)。
本比較例においては、前記実施例4と比較して、乾燥後に粒子の被覆率を下げる為の処理において、エアーの圧力を0.05MPaから0.1MPaに変更したこと以外は、実施例4と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の40%であった(表3参照)。
本比較例においては、前記実施例3と比較して、粒子を分散した分散液の濃度を5質量%から1質量%に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の10%であった(表3参照)。
本比較例においては、前記実施例3と比較して、粒子を分散した分散液の濃度を5質量%から0.5質量%に変更したこと以外は、実施例3と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。本比較例により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、総本数の5%であった(表3参照)。
本従来例においては、鞘部を熱溶融させず、ブラシ毛に粒子を熱融着させなかったこと以外は、実施例3と同様にして、本従来例に係るブラシを作製した。
前記実施例3、4、比較例1〜4および従来例1のそれぞれブラシについて、ブラシ毛同士の非接着状態をそれぞれ目視にて観察した。その結果、下記表3に示すように、実施例3および4においては、ブラシ毛同士における非接着の程度は良好であり、ブラシ毛同士の接着は少なく、曲げ剛性の変化率も低い為、製品として実用に耐えるものであった。すなわち、図10(a)に示すように、粒子がブラシ毛の全体に熱融着し、各ブラシ毛が均一に黒々としていることが把握できる。
前記実施例3、4、比較例1〜4および従来例1のブラシについて、それぞれクリーニング性能の確認実験を行った。実験では、前記のブラシ毛同士における非熱融着の程度の確認実験を行ったときの各試験体を用いて、ブラシをシャフトに巻いてクリーニングブラシとして使用して場合の、画像異常発生が発生するまでの耐刷枚数について確認した。具体的には、図11に示すように、感光体にクリーニングブラシを当接し、画像を用紙に印刷し、画像異常発生が発生するまでの耐刷枚数を確認した。
前記実施例3、4、比較例1〜4および従来例1のブラシについて、それぞれフィルター耐久性能についての確認実験を行った。実験では、前記のブラシ毛同士における非熱融着の程度の確認実験を行ったときの各試験体を図7(a)、7(b)に示す円形からなる筒状構成体41の内壁面41aに貼って有害物質除去モジュール42とし、この有害物質除去モジュール42にトルエンガスを通気させ、通気後の濃度を測定した。具体的には、通気後30分毎にトルエンガス濃度を測定し、吸着性能が50%以下に低下するまでの時間を測定した。
本実施例5〜7に於いては、前記実施例3と比較して、平均最大粒径がそれぞれ1.5μm、6μm、12μmの粒子に替えたこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。但し、粒子の平均最大粒径は、表2に示すように、実施例5では平均最大粒径1.5μm(繊維径の5%)、実施例6では平均最大粒径6μm(繊維径の20%)、実施例7では平均最大粒径12μm(繊維径の40%)とした。また、実施例5〜7により作製されたブラシにおいて、ブラシ毛1本当たりの被覆率が50%以上であったブラシ毛の割合を求めたところ、それぞれ総本数の100%、85%、74%であった。
本実施例8に於いては、前記実施例3と比較して、ブラシ毛として鞘部の厚さが1μmのものを用い、粒子として平均最大粒径が6μmのものを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。
(実施例9)
本実施例9に於いては、前記実施例3と比較して、粒子として平均最大粒径が0.02μmのものを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した(表2参照)。
本比較例5、6に於いては、前記実施例3と比較して、平均最大粒径がそれぞれ18μm、24μmの粒子を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表2参照)。
前記実施例5〜9、および比較例5、6のブラシについて、それぞれブラシ毛に熱融着した粒子の摩擦堅牢性についての確認実験を行った。具体的には、食込み量1mmでブラシを白布に押し当てたまま回転させて2時間後の白布への色移りを目視にて観察した。
本実施例10、11に於いては、前記実施例5と比較して、分散液の分散媒を下記表5に示す通りに変更したこと以外は、実施例5と同様にして、本実施例に係るブラシを作製した。
実施例5および10の様に、分散媒として水よりも表面張力の小さい溶媒を用いた場合には、ブラシ毛の乾燥工程でのブラシ毛の開繊を容易にして、開繊効率を向上させることができた。その結果、ブラシ毛同士の熱融着を一層防止し、曲げ剛性の変化率も低くできることが確認できた。
本比較例に於いては、前記実施例5と比較して、ブラシ毛として鞘部がなくPETからなるものを用い、粒子をブラシ毛に固着させると方法として、バインダー(日本合成化学工業(株)製、商品名;ニチゴーポリエスター)により接着させた。それ以外は、実施例5と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表6参照)。すなわち、前記バインダーをその濃度が全質量に対し2質量%となる様に配合した分散液を調製し、この分散液をブラシ毛に塗布した。その後、乾燥させて粒子をブラシ毛に接着させた。
本比較例に於いては、前記実施例5と比較して、粒子をブラシ毛に固着させると方法として、粒子を加熱してブラシ毛に固着させた。それ以外は、実施例5と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表6参照)。すなわち、アルミナからなる粒子をシャーレの中に入れ、当該粒子を165℃に加熱した。次に、このシャーレの中に、実施例1におけるブラシ毛を入れ、シャーレに蓋をして、手に持ち、上下に5回振ってから、粒子を固着させたブラシ毛を素早く取り出した。次に、固着しなかった粒子を水で洗浄して、本比較例に係るブラシ毛を得た。
本比較例に於いては、前記実施例5と比較して、ブラシ毛としてポリビニルアルコールからなる親水性の繊維を用い、粒子の熱融着の方法として熱水処理を行ったこと以外は、実施例5と同様にして、本比較例に係るブラシを作製した(表6参照)。すなわち、ブラシ毛を分散液に塗布した後に、70℃で乾燥して粒子を付着させた。次いで、粒子が付着したブラシ毛を95℃に加熱した熱水に入れて20分間熱水処理をして乾燥した。
下記表6から分かる通り、比較例7〜9においては、露出して熱融着された粒子による被覆率が50%以上となったブラシ毛は、総本数に対し、それぞれ40%、0%、30%であった。また、比較例9においては、粒子をブラシ毛に付着させる際に、熱水処理を行ったことから、ブラシ毛にクリンプ収縮が生じた。
2 帯電装置
4 現像装置
10 ブラシ
11 基材
12 ブラシ毛
12a 芯部
12b 鞘部
13 粒子
14 シャフト
20 クリーニング装置(クリーニングシステム)
22 クリーニングブラシ
22a ブラシ毛
22b 基材
22c ローラ
23 導電ローラ
24 掃部材
30 画像形成部
40 有害物質除去用フィルター(有害物質除去システム、化学物質処理システム)
41 筒状構成体
41a 内壁面
42 有害物質除去モジュール
42a パイル
42b 微粒子(粒子)
Claims (11)
- 合成繊維からなるブラシ毛を備えたブラシであって、
前記ブラシ毛は、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の合成繊維からなり、
かつ、芯部と、当該芯部よりも融点の低い鞘部とを有する芯鞘構造を備え、
前記鞘部の少なくとも一部には、前記ブラシ毛の繊維径の40%以下の平均最大径を有する粒子の少なくとも一部が、当該鞘部の熱溶融により、鞘部から露出するように熱融着され、
前記ブラシ毛の総本数に対し70%以上のブラシ毛において、露出して熱融着された粒子による被覆率が50%以上であることを特徴とするブラシ。 - 前記合成繊維が100℃以上の融点を持つ疎水性の樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のブラシ。
- 前記粒子が前記鞘部に熱融着されたブラシ毛の曲げ剛性は、当該粒子の熱融着前のブラシ毛の曲げ剛性に対して5倍以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ。
- 前記粒子は、前記合成繊維とは異なる1種類以上の無機材料または高分子材料からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のブラシ。
- 前記粒子は、前記合成繊維よりも低い電気抵抗値を有するカーボン、金属および導電性高分子材料からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のブラシ。
- 前記粒子は、触媒、多孔質材料およびこれらの複合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4に記載のブラシ。
- 請求項1〜6の何れかに記載のブラシを製造するブラシの製造方法であって、
前記粒子の分散液をブラシ毛に接触させて、当該ブラシ毛に粒子を付着させる付着工程と、
前記ブラシ毛同士が開繊した状態になるように当該ブラシ毛を乾燥させる乾燥工程と、
開繊した状態の前記ブラシ毛を、前記鞘部の融点よりも高く、かつ前記芯部および粒子の融点よりも低い温度で加熱して当該鞘部を熱溶融させ、これにより、少なくとも一部の粒子を、前記鞘部から露出した状態で鞘部の少なくとも一部に熱融着させる熱融着工程とを含むことを特徴とするブラシの製造方法。 - 前記分散液として、水よりも表面張力の小さい分散媒を用いることを特徴とする請求項7に記載のブラシの製造方法。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載のブラシを備えていることを特徴とするクリーニングシステム。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載のブラシを備えていることを特徴とする化学物質処理システム。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載のブラシを備えていることを特徴とする電子写真装置。
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