JP2012137201A - 乾燥設備用ヒートポンプシステム、及びこれを備えた乾燥設備、並びに、乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法 - Google Patents

乾燥設備用ヒートポンプシステム、及びこれを備えた乾燥設備、並びに、乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】乾燥用空気の目標相対湿度を安定的に維持することができる乾燥設備用ヒートポンプシステムを提供する。
【解決手段】処理対象物を収容する乾燥室7に供給する空気を加熱する加熱用熱交換器5と、加熱用熱交換器5へ供給される前の空気から熱回収して空気を冷却する熱回収用熱交換器3と、加熱用熱交換器5に対して温熱を供給するとともに、熱回収用熱交換器3にて空気から熱回収するヒートポンプ13とを備えている。ヒートポンプ13の熱回収側には、熱回収用熱交換器3に流入する外気とは別の別熱源である冷熱負荷33から熱回収するように接続された別熱回収系統35,45が設けられ、加熱用熱交換器5にて加熱する空気の目標加熱量から決まる熱回収量となるように、熱回収用熱交換器3の熱回収量および別熱回収系統35,45の熱回収量を決定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、乾燥用空気をヒートポンプによって加熱する乾燥設備用ヒートポンプシステム、及びこれを備えた乾燥設備、並びに、乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法に関するものである。
穀物の含水除去工程、製紙機械における乾燥工程、印刷機械のインキ乾燥工程、自動車等の車両の塗装乾燥工程などの種々の乾燥工程では、乾燥用空気によって処理対象物を乾燥させる乾燥設備が広く用いられている。
一般に、図6に示すような乾燥設備が用いられている。この乾燥設部100は、ボイラ103から供給される蒸気によって送風ファン105からの外気を加熱する加熱用熱交換器101と、加熱された空気が乾燥用空気として供給される乾燥室107とを備えている。乾燥室107内には、乾燥させる処理対象物が配置されており、同図では印刷機械のインキ乾燥工程におけるウェブが例示されている。乾燥室107内で乾燥を終えた空気は、外部へと排気される。また、加熱用熱交換器101にて外気の加熱を終えた蒸気は、ドレン水として回収されるようになっている。
この乾燥設備100による外気の加熱工程は、図7に示した空気線図から分かるように、水分を含んだ外気をそのまま加熱するだけなので、絶対湿度は変化せずに相対湿度を低下させるものである。これでは、目標相対湿度に到達するための必要加熱量は外気の水分量(絶対湿度)に比例することになり、外気の水分量によって必要加熱量が変動してしまうという問題がある。
また、上記の乾燥設備100は、ボイラ103を用いて外気を加熱するので、ボイラ燃料として化石燃料を使用することになる。化石燃料を使用するので、燃焼後の排出ガスを大気に放出することになり、地球温暖化や環境汚染の観点から好ましくない。また、燃焼熱による加熱は効率的に運用してもCOP(成績係数)は1を超えることはなく、省エネルギーの観点からも好ましくない。
これに対して、下記の特許文献1及び特許文献2では、ヒートポンプの蒸発器によって外気を冷却して除湿して絶対湿度を低下させた後に、ヒートポンプの凝縮器によって加熱する乾燥設備が開示されている。ヒートポンプを用いれば、COPを1以上にすることができ、またボイラのように燃焼排ガスを放出することがないので好ましい。図8には、このようなヒートポンプによる乾燥設備110が示されている。
乾燥設備110は、図6に示した乾燥設備100と同様に、加熱用熱交換器101、送風ファン105及び乾燥室107を備えている。さらに、乾燥設備110は、ボイラに代えてヒートポンプ111を備えている。ヒートポンプ111の温熱は、温水ポンプ113によって循環する温水によって、加熱用熱交換器101へと出力される。ヒートポンプ111の熱源は、送風ファン105の下流側に配置された熱回収用熱交換器117によって外気から得られる回収熱とされる。すなわち、回収用熱交換器117とヒートポンプ111との間で冷水が冷水ポンプ115によって循環されるようになっており、この冷水によって熱回収用熱交換器117にて回収された回収熱がヒートポンプ111へ供給される。
この乾燥設備110は、図9に示した空気線図から分かるように、外気を熱回収用熱交換器117によって冷却して除湿し、絶対湿度を下げた後に加熱用熱交換器101によって加熱するようになっている。したがって、図6に示した乾燥設備100に比べて、さらに湿度を低下させた乾燥用空気を得ることができるという利点がある。
特許第2892893号公報 特許第4202359号公報
一般に、ヒートポンプは、所定のエネルギーを投入して低温熱源から熱回収して高温側へと熱を移動させるものであるため、熱回収量と温熱出力との間には一定の比率がある。したがって、加熱する空気の温度や流量が変化すると、目標相対湿度を維持するための加熱量も変化し、これに付随して必要な回収熱量も変化する。
しかし、図8に示したヒートポンプ111を用いた乾燥設備は、加熱用熱交換器101に流入する空気の温度や流量に応じて必要な温熱出力(加熱量)が変化するにも関わらず、熱回収用熱交換器117での熱回収量は流入する外気の温度および流量に依存することになっており、必要な温熱出力と熱回収量とのアンバランスが生じる。これでは、乾燥用空気を目標相対湿度に維持することができないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、乾燥用空気の目標相対湿度を安定的に維持することができる乾燥設備用ヒートポンプシステム、及びこれを備えた乾燥設備、並びに、乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の乾燥設備用ヒートポンプシステム、及びこれを備えた乾燥設備、並びに、乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる乾燥設備用ヒートポンプシステムは、処理対象物を収容する乾燥室に供給する空気を加熱する加熱用熱交換器と、該加熱用熱交換器へ供給される前の空気から熱回収して該空気を冷却する熱回収用熱交換器と、前記加熱用熱交換器に対して温熱を供給するとともに、前記熱回収用熱交換器にて空気から吸熱して熱回収するヒートポンプとを備えた乾燥設備用ヒートポンプシステムであって、前記ヒートポンプの熱回収側には、前記熱回収用熱交換器に流入する空気とは別の別熱源から熱回収するように接続された別熱回収系統が設けられ、前記加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標加熱量から決まる熱回収量となるように、前記熱回収用熱交換器の熱回収量および前記別熱回収系統の熱回収量を決定する制御部を備えていることを特徴とする。
乾燥させる処理対象物に供給される空気は、熱回収用熱交換器において吸熱・冷却され、さらに加熱用熱交換器において加熱されることによって、高温低湿度とされる。これにより、効率的に処理対象物を乾燥させることができる。
本発明のヒートポンプシステムは、熱回収用熱交換器にて空気(具体的には外気)から熱回収し、この回収熱を熱源として運転されて温熱を出力し、加熱用熱交換器にて空気を加熱する。
ヒートポンプは、加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標状態量(例えば目標相対湿度、目標温度)が得られるように運転する。目標状態量が決まると、ヒートポンプの温熱出力である目標加熱量が決まり、この目標加熱量に対応して所定の比率で必要な熱回収量が決まる。このように、ヒートポンプの温熱出力が決まれば、これに応じた熱回収量が決まるので、加熱する空気の温度や流量が変化すればヒートポンプによる温熱出力も変化し、必要な熱回収量も変化する。
そこで、本発明では、ヒートポンプの熱回収側に、熱回収用熱交換器に流入する空気とは別の別熱源から熱回収するように接続された別熱回収系統を設け、加熱前の空気以外から熱回収できるようにした。そして、加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標加熱量から決まる熱回収量となるように、熱回収用熱交換器の熱回収量と別熱回収系統の熱回収量を決定することとした。これにより、処理前の空気(外気)の状態量の変化による加熱量の変化に熱回収量を追随させることができ、空気の目標加熱量に応じた適切な熱回収量を得ることができる。
さらに、本発明の乾燥設備用ヒートポンプシステムでは、前記別熱回収系統が接続される前記別熱源は、冷熱負荷であることを特徴とする。
別熱源として冷熱負荷を用いることにより、冷熱負荷から熱回収すると同時に冷熱負荷に必要な冷熱を供給することができる。これにより、冷熱負荷に冷熱を与えるための冷凍機の負荷を減少させることができ、冷凍機を含めた全体のシステムの効率が向上する。
さらに、本発明の乾燥設備用ヒートポンプシステムでは、前記別熱回収系統が接続される前記別熱源は、海水または河川といった未利用の自然流体であることを特徴とする。
別熱源として海水または河川といった未利用の自然流体を用いることにより、本来的に未利用とされた自然エネルギーを利用することができ、エネルギーの有効活用を図ることができる。
また、乾燥設備の周囲に適切な冷熱負荷が存在しない場合であっても別熱源を得ることができる点で有利である。
さらに、本発明の乾燥設備用ヒートポンプシステムでは、前記別熱回収系統が接続される前記別熱源は、前記乾燥室から排気された空気であることを特徴とする。
別熱源として乾燥室から排気された空気を用いることにより、排気空気の熱量を有効に利用することができる。
また、乾燥設部の周囲に適切な冷熱負荷も海水や河川等の自然流体も存在しない場合であっても別熱源を得ることができる点で有利である。
さらに、本発明の乾燥設備用ヒートポンプシステムでは、前記乾燥室から排気された空気と、前記熱回収用熱交換器を通過した空気とを熱交換させる空気熱交換器を備えていることを特徴とする。
空気熱交換器によって、乾燥室から排気された空気と熱回収用熱交換器を通過した空気とを熱交換させることとした。これにより、熱回収用熱交換器によって除湿され温度低下した空気を再加熱することができ、乾燥用空気の温度をさらに上昇させることができる。
また、加熱用熱交換器の下流側に、乾燥用空気を更に加熱すための加熱用ボイラが設置されている場合には、ボイラに要するエネルギーを削減することができる。
また、本発明の乾燥設備は、請求項1から5のいずれかに記載された乾燥設備用ヒートポンプシステムと、前記ヒートポンプシステムによって加熱された空気が導かれるとともに処理対象物が配置された乾燥室とを備えていることを特徴とする。
上記のヒートポンプシステムを用いることにより、所望の目標相対湿度とされた空気が乾燥室に供給されるので、効率的かつ制御性に優れた乾燥が可能となる。
また、本発明の乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法は、処理対象物を収容する乾燥室に供給する空気を加熱する加熱用熱交換器と、該加熱用熱交換器へ供給される前の空気から熱回収して該空気を冷却する熱回収用熱交換器と、前記加熱用熱交換器に対して温熱を供給するとともに、前記熱回収用熱交換器にて空気から吸熱して熱回収するヒートポンプとを備えた乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法であって、前記ヒートポンプの熱回収側には、前記熱回収用熱交換器に流入する空気とは別の別熱源から熱回収するように接続された別熱回収系統が設けられ、制御部により、前記加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標加熱量から決まる熱回収量となるように、前記熱回収用熱交換器の熱回収量および前記別熱回収系統の熱回収量を決定することを特徴とする。
乾燥させる処理対象物に供給される空気は、熱回収用熱交換器において吸熱・冷却され、さらに加熱用熱交換器において加熱されることによって、高温低湿度とされる。これにより、効率的に処理対象物を乾燥させることができる。
本発明のヒートポンプシステムは、熱回収用熱交換器にて空気(具体的には外気)から熱回収し、この回収熱を熱源として運転されて温熱を出力し、加熱用熱交換器にて空気を加熱する。
ヒートポンプは、加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標状態量(例えば目標相対湿度、目標温度)が得られるように運転する。目標状態量が決まると、ヒートポンプの温熱出力である目標加熱量が決まり、この目標加熱量に対応して所定の比率で必要な熱回収量が決まる。このように、ヒートポンプの温熱出力が決まれば、これに応じた熱回収量が決まるので、加熱する空気の温度や流量が変化すればヒートポンプによる温熱出力も変化し、必要な熱回収量も変化する。
そこで、本発明では、ヒートポンプの熱回収側に、熱回収用熱交換器に流入する空気とは別の別熱源から熱回収するように接続された別熱回収系統を設け、加熱前の空気以外から熱回収できるようにした。そして、加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標加熱量から決まる熱回収量となるように、熱回収用熱交換器の熱回収量と別熱回収系統の熱回収量を決定することとした。これにより、処理前の空気(外気)の状態量の変化による加熱量の変化に熱回収量を追随させることができ、空気の目標加熱量に応じた適切な熱回収量を得ることができる。
本発明によれば、ヒートポンプの熱回収側に、熱回収用熱交換器に流入する空気とは別の別熱源から熱回収するように接続された別熱回収系統を設け、加熱前の空気以外から熱回収できるようにして、加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標相対湿度から決まる熱回収量となるように、熱回収用熱交換器の熱回収量と別熱回収系統の熱回収量を決定することとしたので、加熱量の変化に熱回収量を追随させることにより、空気の目標相対湿度を安定的に維持することができる。
本発明の第1実施形態にかかる乾燥設備を示した概略構成図である。 図1のヒートポンプの制御を示した制御ブロック図である。 本発明の第2実施形態にかかる乾燥設備を示した概略構成図である。 本発明の第3実施形態にかかる乾燥設備を示した概略構成図である。 本発明の第4実施形態にかかる乾燥設備を示した概略構成図である。 従来のボイラを用いた乾燥設備を示した概略構成図である。 図6の乾燥設備における外気の加熱工程を示した空気線図である。 従来のヒートポンプを用いた乾燥設備を示した概略構成図である。 図8の乾燥設備における外気の除湿加熱工程を示した空気線図である。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。
図1には、本実施形態にかかる乾燥設備1Aが示されている。
乾燥設備1Aは、外気から熱回収する熱回収用熱交換器3と、この熱回収用熱交換器3にて熱交換を終えた空気を加熱して乾燥用空気とする加熱用熱交換器5と、乾燥用空気が供給されるとともに、乾燥させる処理対象物が配置された乾燥室7とを備えている。
熱回収用熱交換器3は、送風ファン9から導かれた外気(空気)と、後述するヒートポンプ13によって冷却された冷水とを熱交換させるものである。熱回収用熱交換器3は、冷水用伝熱管3aを備えており、この冷水用伝熱管3aの内部を通過する冷水と、冷水用伝熱管3aの外面に接して流れる外気とが熱交換を行う。これにより、外気は冷却されることによって除湿される。除湿によって生じたドレン水は、熱交換器3外部へと排出される。
加熱用熱交換器5は、熱回収用熱交換器3によって除湿された除湿後空気と、後述するヒートポンプ13によって加熱された温水とを熱交換させるものである。加熱用熱交換器5は、温水用伝熱管5aを備えており、この温水用伝熱管5aの内部を通過する温水と、温水用伝熱管5aの外面に接して流れる除湿後空気とが熱交換を行う。
乾燥室7内では、加熱用熱交換器5から供給された乾燥用空気によって処理対象物が乾燥される。乾燥室7内で乾燥を終えた空気は、外部へと排気される。乾燥室7内の処理対象物は、同図では、印刷機械のインキ乾燥工程におけるウェブが例示されている。
なお、本実施形態の乾燥設備1Aは他の乾燥工程にも利用でき、例えば、穀物の含水除去工程、製紙機械における乾燥工程、自動車等の車両の塗装乾燥工程などが挙げられる。
熱回収用熱交換器3と加熱用熱交換器5との間には、これら熱交換器3,5と熱の授受を行うヒートポンプ13が設けられている。このヒートポンプ13によって、熱回収用熱交換器3にて熱回収し、加熱用熱交換器5へ温熱を出力する。
ヒートポンプ13は、ターボ冷凍機とされている。ターボ冷凍機は、図示しないが、冷媒を圧縮するターボ圧縮機と、ターボ圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器と、凝縮された液冷媒を膨張させる膨張弁と、膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器とを備えている。
なお、ヒートポンプ13としては、典型的には、本実施形態のようにターボ圧縮機を用いたターボ冷凍機が挙げられるが、スクリュー式やスクロール式の圧縮機を用いた他の蒸気圧縮式のヒートポンプでもよく、また、吸収式冷凍機や吸着式冷凍機等の他の形式であってもよい。
冷媒が凝縮器にて凝縮する際に放熱する凝縮熱によって、温水入口ノズル13aから流入する温水を加熱する。加熱された温水は、温水出口ノズル13bから流出し、温水往配管17を通り、加熱用熱交換器5内に設置された温水用伝熱管5aへと導かれる。温水用伝熱管5aの下流側には温水還配管19が接続されており、熱交換後の温水を温水入口ノズル13aへと返送する。温水還配管19には、温水ポンプ15が設けられており、これにより、温水がヒートポンプ13と加熱用熱交換器5との間で循環するようになっている。
温水往配管17と温水還配管19との間には、温水バイパス配管21及び温水バイパス弁23が設けられている。温水バイパス弁23は、制御部30によって、その開度が調整されるようになっている。温水バイパス弁23の開度を調整してヒートポンプ13からの温水の一部を加熱用熱交換器5からバイパスさせて温水還配管19へと流すことによって、加熱用熱交換器5によって加熱される除湿後空気の目標相対湿度が調整されるようになっている。
冷媒が蒸発器にて蒸発する際に吸熱する蒸発熱によって、冷水入口ノズル13cから流入する冷水を冷却する。冷却された冷水は、冷水出口ノズル13dから流出し、冷水往配管25を通り、熱回収用熱交換器3内に設置された冷水用伝熱管3aへと導かれる。冷水用伝熱管3aの下流側には冷水還配管27が接続されており、熱交換後の冷水を冷水入口ノズル13cへと返送する。冷水還配管27には、冷水ポンプ29が設けられており、これにより、冷水がヒートポンプ13と熱回収用熱交換器3との間で循環するようになっている。
冷水往配管25には、冷水を冷熱負荷33へと導くための冷水三方弁31が設けられている。冷水三方弁31は、制御部30によって、その開度が調整されるようになっている。冷水三方弁31の開度を調整することによって、ヒートポンプ13から導かれた冷水を、熱回収用熱交換器3側と、冷熱負荷33側とに分配する。冷水三方弁31によって冷熱負荷33側に分岐された冷水は、冷熱負荷往配管35を通り、冷水往ヘッダ37へと導かれる。また、冷水三方弁31は、三方弁の代わりに、通常の制御弁(二方弁)を2つ組合せて構成したものでもよい。
冷熱負荷33は、例えば冷房用空調や、圧縮機の冷却水とされており、冷水往ヘッダ37から導かれた冷水によって冷熱を得る。冷熱負荷33に冷熱を与えた後の冷水は、冷水還ヘッダ39へと導かれる。冷熱往ヘッダ37及び冷熱還ヘッダ39は、別途設けられた冷熱出力用の熱源機(冷凍機)41と接続されており、これらの間で冷水ポンプ43によって冷水が循環するようになっている。
冷水還ヘッダ39には、冷熱負荷還配管45が接続されており、この冷熱負荷還配管45を通って冷水が冷水還配管27に合流してヒートポンプ13側へと導かれる。
このように、冷熱負荷33へと冷水を供給して回収する系統、すなわち冷熱負荷往配管35及び冷熱負荷還配管45は、熱回収用熱交換器3によって空気から熱回収する系統とは別の別熱回収系統とされている。
制御部30は、各種の入力データに基づいて、外気を目標相対湿度まで調整する制御を行う。制御部30には、熱回収用熱交換器3によって熱回収(冷却)される前の外気温度Ti、外気相対湿度RHi及び外気流量Fiと、加熱用熱交換器5によって加熱された後の乾燥用空気温度To及び乾燥用空気相対湿度RHoと、冷熱負荷還配管45を通り冷水還配管27へ合流する前の冷水温度(別熱源温度)T1と、例えばヒートポンプ温水出入口温度、冷水出入口温度等のヒートポンプ13の計測諸値が入力される。そして、制御部30は、乾燥用空気の目標相対湿度が得られるようにヒートポンプ13の温水出口温度(温水出口ノズル13bから流出する温水温度)の設定を行うと共に、温水バイパス弁23及び冷水三方弁31の開度を制御する。
図2には、制御部30の具体的構成が示されている。同図に示すように、制御部30は、空気線図のデータや、ターボ冷凍機の凝縮器を冷却する冷却水温度に応じた出力や効率等のヒートポンプ13の諸特性が記録された記憶部52と、所定の演算を行う演算部54と、演算部54で得られた結果に基づき、温水バイパス弁23及び冷水三方弁31に開度指令値を出力するとともに、温水出口設定温度をヒートポンプ13に出力する制御指示部56とを備えている。
演算部54では、記憶部52に格納されたデータと、上述した各入力値に基づいて所定の演算を行う。具体的には、必要熱量計算、必要冷却(熱回収)量計算、ヒートポンプ熱出力計算、ヒートポンプ冷却出力計算等が行われる。
必要熱量(加熱量)計算は、外気温度Ti、外気相対湿度RHi、外気流量Fi、乾燥用空気温度To及び乾燥用空気相対湿度RHoと、乾燥用空気の目標相対湿度とを用いて行われる。
必要冷却(熱回収)量計算は、必要熱量計算によって得られた必要熱量を得るために必要な熱回収量を得るために行われ、記憶部52に格納されたヒートポンプの諸特性および演算部54に入力されるヒートポンプの計測諸値に基づいて行われる。
ヒートポンプ熱出力計算は、必要熱量計算によって得られた必要熱量(加熱量)を出力するためのヒートポンプの熱出力の計算を行う。
ヒートポンプ冷却出力計算は、ヒートポンプ熱出力計算によって得られたヒートポンプ熱出力を得るために必要な熱回収量に相当するヒートポンプ冷却出力(冷熱出力)を計算する。
これらの計算の結果に基づき、温水バイパス弁23の開度や、ヒートポンプ温水出口設定温度が得られる。
また、演算部54では、外気温度Tiと、冷熱負荷還配管45を通り冷水還配管27へ合流する前の冷水温度(別熱源温度)T1とに基づいて、熱回収用熱交換器3側と冷熱負荷33側との冷水分配量を計算する。この計算結果に基づいて、冷水三方弁31の開度が決定される。
次に、上記構成の乾燥設備1Aの運用方法について説明する。
送風ファン9によって外気が熱回収用熱交換器3へと供給され、ヒートポンプ13から導かれる冷水によって外気が冷却されて熱回収される。これにより、外気に含まれる水分が凝縮することによって外気の絶対湿度が低下させられる。凝縮後の水分はドレン水として熱回収用熱交換器3の外部へと排出される。
熱回収用熱交換器3によって除湿された除湿後空気は、加熱用熱交換器5へ導かれ、この加熱用熱交換器5にて、ヒートポンプ13から供給される温水によって、目標相対湿度まで加熱される。このとき、ヒートポンプ13は、制御部30からの指令に基づいて、目標相対湿度が得られる加熱量(温熱出力)を出力する。また、制御部30は、温水バイパス弁23の開度を調整することによって、加熱用熱交換器5へ導く温水の温度を制御する。具体的には、温水温度を高くする場合には温水バイパス弁23の開度を絞り多くの温水を加熱用熱交換器5へと流し、温水温度を低くする場合には温水バイパス弁23の開度を大きくして温水のバイパス量を増大させ、加熱用熱交換器5へと導かれる温水の流量を減少させる。
加熱用熱交換器5によって加熱された乾燥用空気は、乾燥室7へと導かれ、処理対象物を乾燥させる。乾燥を終えた空気は、乾燥室7の外部へと排気される。
本実施形態の熱回収は、外気が供給される熱回収用熱交換器3からも行われるが、冷熱負荷33からも行われる。すなわち、冷水三方弁31によって分岐された冷水が冷熱負荷往配管35を通って冷熱負荷33へ導かれ、冷熱負荷還配管45を通ってヒートポンプ13へと返送される別熱回収系統によって熱回収が行われる。熱回収用熱交換器3側と冷熱負荷33側への冷水の分配は、制御部30によって制御される冷水三方弁31の開度調整によって行われる。具体的には、外気温度Tiと、冷熱負荷還配管45を通り冷水還配管27へ合流する前の冷水温度(別熱源温度)T1とに基づいて行われる。この計算は、ヒートポンプ13が出力する必要温熱出力に対応したヒートポンプ13の必要熱回収量を賄うように行われる。これにより、冷熱出力用の熱源機41の消費エネルギーを抑えるように運転することができる。
以上の通り、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
ヒートポンプ13の熱回収側に、熱回収用熱交換器3に流入する外気とは別の別熱源である冷熱負荷33から熱回収するように接続された別熱回収系統(冷熱負荷往配管35及び冷熱還配管45)を設け、熱回収用熱交換器3に流入する外気以外から熱回収できるようにした。そして、加熱用熱交換器5にて加熱する空気の目標相対湿度から決まる熱回収量となるように、熱回収用熱交換器3の熱回収量と冷熱負荷33側の別熱回収系統の熱回収量を決定することとした。これにより、外気の状態量の変化による加熱量の変化に熱回収量を追随させることができ、空気の目標相対湿度に応じた適切な熱回収量を得ることができる。
また、別熱源として冷熱負荷33を用いることにより、冷熱負荷33から熱回収すると同時に冷熱負荷33に必要な冷熱を供給することができる。これにより、冷熱負荷に冷熱を与えるための熱源機41の負荷を減少させることができ、熱源機41を含めた全体のシステムの効率が向上する。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図3を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態では別熱源として冷熱負荷33(図1参照)を用いていたのに対し、河川や海水といった未利用エネルギーを別熱源として用いる点で異なる。したがって、その他の点については同様なので、同一符号を付しその説明を省略する。
図3に示されているように、乾燥設備1Bは、河川や海といった自然の未利用エネルギーを熱源とするように、冷水三方弁31に接続された別熱源往配管35と、河川等から熱回収した冷水を返送する別熱源還配管45とを備えている。冷水三方弁31の開度は、制御部30によって制御され、必要熱回収量が得られるように、熱回収用熱交換器3側及び河川側に冷水を分配する。
このように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、別熱源から熱回収する構成とされているので、外気の状態量の変化に熱回収量を追随させることができ、空気の目標相対湿度に応じた適切な熱回収量を得ることができる。
また、河川等の本来的に未利用とされた自然エネルギーを利用することができるので、エネルギーの有効活用を図ることができる。
また、乾燥設備1Bの周囲に適切な冷熱負荷33(図1参照)が存在しない場合であっても別熱源を得ることができる点で有利である。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態に加えて、乾燥室7から排気された排気空気を別熱源としている点で相違する。したがって、その他の点については同様なので、同一符号を付しその説明を省略する。
図4に示されているように、乾燥設備1Cは、乾燥室7から排気された排気空気と、ヒートポンプ13から供給される冷水とを熱交換する熱交換器51を備えている。この熱交換器51によって、排気空気がヒートポンプ13の別熱源とされる。すなわち、排気空気を別熱源とするように、冷水三方弁31に接続された別熱源往配管35と、排気空気から熱回収した冷水を返送する別熱源還配管45とを備えている。冷水三方弁31の開度は、制御部30によって制御され、必要熱回収量が得られるように、熱回収用熱交換器3側及び熱交換器51側に冷水を分配する。
このように、本実施形態では、第1実施形態と同様に、別熱源から熱回収する構成とされているので、外気の状態量の変化に熱回収量を追随させることができ、空気の目標相対湿度に応じた適切な熱回収量を得ることができる。
また、本来は捨てるだけであった排気空気の熱量を有効に利用することができる。
また、乾燥設備1Cの周囲に適切な冷熱負荷33(図1参照)や河川等の自然エネルギーが存在しない場合であっても別熱源を得ることができる点で有利である。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、第3実施形態に加えて、乾燥室7から排気された排気空気と熱回収用熱交換器3を通過した除湿後空気とを熱交換する空気熱交換器53を備えている点で相違する。したがって、その他の点については同様なので、同一符号を付しその説明を省略する。
図5に示されているように、乾燥設備1Dは、乾燥室7から排気された排気空気と熱回収用熱交換器3を通過した除湿後空気とを熱交換する空気熱交換器53を備えている。空気熱交換器53は、第3実施形態にて説明した熱交換器51の排気空気の上流側に設置されている。この空気熱交換器53によって、排気空気の顕熱を回収して除湿後空気に与え、再加熱することができる。これにより、乾燥用空気の温度を更に上昇させることができる。
また、図5に示したように、加熱用熱交換器5の下流側に更に乾燥用空気を加熱するための加熱用ボイラ55が設置されている場合には、ボイラに要するエネルギーを削減することができる。
1A,1B,1C,1D 乾燥設備
3 熱回収用熱交換器
5 加熱用熱交換器
7 乾燥室
13 ヒートポンプ
30 制御部
33 冷熱負荷
35 冷熱負荷往配管(別熱回収系統)
45 冷熱負荷還配管(別熱回収系統)
51 熱交換器
53 空気熱交換器
55 加熱用ボイラ

Claims (7)

  1. 処理対象物を収容する乾燥室に供給する空気を加熱する加熱用熱交換器と、
    該加熱用熱交換器へ供給される前の空気から熱回収して該空気を冷却する熱回収用熱交換器と、
    前記加熱用熱交換器に対して温熱を供給するとともに、前記熱回収用熱交換器にて空気から吸熱して熱回収するヒートポンプと、
    を備えた乾燥設備用ヒートポンプシステムであって、
    前記ヒートポンプの熱回収側には、前記熱回収用熱交換器に流入する空気とは別の別熱源から熱回収するように接続された別熱回収系統が設けられ、
    前記加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標加熱量から決まる熱回収量となるように、前記熱回収用熱交換器の熱回収量および前記別熱回収系統の熱回収量を決定する制御部を備えていることを特徴とする乾燥設備用ヒートポンプシステム。
  2. 前記別熱回収系統が接続される前記別熱源は、冷熱負荷であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥設備用ヒートポンプシステム。
  3. 前記別熱回収系統が接続される前記別熱源は、海水または河川といった未利用の自然流体であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥設備用ヒートポンプシステム。
  4. 前記別熱回収系統が接続される前記別熱源は、前記乾燥室から排気された空気であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥設備用ヒートポンプシステム。
  5. 前記乾燥室から排気された空気と、前記熱回収用熱交換器を通過した空気とを熱交換させる空気熱交換器を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の乾燥設備用ヒートポンプシステム。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載された乾燥設備用ヒートポンプシステムと、
    前記ヒートポンプシステムによって加熱された空気が導かれるとともに処理対象物が配置された乾燥室と、
    を備えていることを特徴とする乾燥設備。
  7. 処理対象物を収容する乾燥室に供給する空気を加熱する加熱用熱交換器と、
    該加熱用熱交換器へ供給される前の空気から熱回収して該空気を冷却する熱回収用熱交換器と、
    前記加熱用熱交換器に対して温熱を供給するとともに、前記熱回収用熱交換器にて空気から吸熱して熱回収するヒートポンプと、
    を備えた乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法であって、
    前記ヒートポンプの熱回収側には、前記熱回収用熱交換器に流入する空気とは別の別熱源から熱回収するように接続された別熱回収系統が設けられ、
    制御部により、前記加熱用熱交換器にて加熱する空気の目標加熱量から決まる熱回収量となるように、前記熱回収用熱交換器の熱回収量および前記別熱回収系統の熱回収量を決定することを特徴とする乾燥設備用ヒートポンプシステムの制御方法。
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