JP2012137037A - 排気浄化システム及び排気浄化システムの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】DPFと還元剤噴射弁及びSCR触媒とを排気上流側から順次に備えた排気浄化システムにおいて、内燃機関が停止したとき、または内燃機関の運転中において内燃機関が停止したことを想定した場合に、当該停止後、前記尿素水溶液が固化するおそれがあるか否かを判定する条件成立判定部と、条件成立判定部の判定結果をもとに運転者に通知する運転者通知部とを備える。
【選択図】図4
Description
このうち、NOXを還元して排気ガスを浄化するための装置として尿素SCRシステムがある。尿素SCRシステムは、圧送ポンプによって貯蔵タンク内から汲み上げた還元剤としての尿素水溶液を還元剤噴射弁から排気管内に供給するための還元剤供給装置と、アンモニアを吸着可能な排気浄化触媒の一種であるSCR触媒とを備えて構成される。かかる尿素SCRシステムでは、尿素水溶液の分解により生成されるアンモニアをSCR触媒に吸着させ、排気ガス中のNOXをSCR触媒中でアンモニアと反応させて、排気ガスを浄化する。
近年、排気ガスの浄化基準が高められていることに伴い、DPF及びSCR触媒の両方を備えた排気浄化システムが増えてきている。
一方、内燃機関の停止とともに還元剤噴射弁の放熱機能である冷却水の循環等は停止するため、還元剤噴射弁の温度は上昇する。そうすると、上述の還元剤噴射弁内に残留した尿素水溶液中の水分が気化により抜けていき、その濃度は上昇する。その後、排気管や周囲の温度が下がるにつれて、尿素水溶液の温度は下がるが、通常の濃度に比べ高い濃度となっているため、固化する温度も上がり、残留尿素水溶液が固化してしまい還元剤噴射弁に詰まりが発生してしまうおそれがある。
尿素水溶液の濃度は通常およそ32.5%に調整されており、この場合尿素水溶液の固化する温度はおよそ−11℃である。その濃度が当該パーセンテージを超えて高くなると、尿素水溶液の固化する温度は高くなる傾向にある。(図8参照)したがって高温により水分が抜けて濃度が高くなった還元剤噴射弁内の残留尿素水溶液は、温度が下がった時に固化しやすく、内燃機関の再始動時において当該還元剤噴射弁の噴射が阻害される可能性がある。
すなわち、本発明は、尿素水溶液の固化に起因した還元剤噴射弁の詰まりを未然に防止でき、ひいては、排気浄化効率の低下を防止することができる排気浄化システム及び排気浄化システムの制御方法を提供することを目的とする。
このように、DPFの強制再生中およびその終了後の所定期間は、DPFの下流にある還元剤噴射弁は高温にさらされ、内燃機関停止後においては、その冷却機能が有効に働かず、還元剤噴射弁内に残留した尿素水溶液の濃度が上がるので、固化する可能性が高いと判断できる。
還元剤噴射弁内の尿素水溶液が固化するか否かは、還元剤噴射弁の温度に依存するので、還元剤噴射弁の温度、温度勾配、外気温度に基づいて判定することにより、尿素水溶液の固化のおそれをより正確に捉えることができる。
このように、還元剤噴射弁内の尿素水溶液が固化するおそれがあるか否かを判定し、固化するおそれがある場合には、運転者に通知することによって、尿素水溶液の固化に起因した還元剤噴射弁の詰まりを未然に防止でき、ひいては、排気浄化効率の低下を防止することができる。
ただし、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであってこの発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することができる。
なお、各図において同符号を付してあるものは同一の部材ないし部分を示しており、適宜説明が省略されている。
(1)全体構成
図1は、本実施形態にかかる排気浄化システム(以下、単に「システム」と称する場合がある。)10の全体構成を示している。
このシステム10は、DPF22及びSCR触媒24を有する排気浄化ユニット20と、還元剤噴射弁43を含む還元剤供給装置40と、DPF22の強制再生制御や還元剤供給装置40の動作制御を行う制御装置60とを主たる要素として備えている。
かかるシステム10は、排気ガス中のPMをDPF22によって捕集し、かつ、還元剤としての尿素水溶液を用いて排気ガス中のNOXをSCR触媒24中で選択的に浄化するための装置として構成されたものである。
排気浄化ユニット20は、酸化触媒21と、DPF22と、SCR触媒24とを排気上流側から順次に備えている。
これらセンサのセンサ値は制御装置60に送られて、それぞれの位置での圧力や温度、NOX濃度が検出される。
なお、演算によって推定可能であるならば、これらセンサは省略可能である。
したがって、排気管11に還元剤噴射弁43を直接固定する場合と比較して、排気管11や排気ガス等から還元剤噴射弁43への熱を伝わり難くすることができる。
ここで、本実施形態のシステム10は、DPF22の強制再生制御を行うための強制再生手段を備える。DPF22を500℃〜600℃程度に昇温させ、DPF22に堆積したPMを強制的に燃焼させるためである。
本実施形態では、内燃機関5でのポスト噴射等によって排気管11内に未燃燃料を供給する燃料噴射弁(図示せず)と、燃料噴射弁からの燃料噴射量や噴射タイミング等、燃料噴射弁の制御を指示するための制御装置60の制御部と、未燃燃料を酸化して酸化熱を発生させる酸化触媒21とが、強制再生手段を構成する。
また、還元剤供給装置40は、尿素水溶液を貯蔵する貯蔵タンク41と、圧送ポンプ42と、還元剤噴射弁43とを主たる要素として備えている。
このうち、貯蔵タンク41及び圧送ポンプ42が第1の供給通路44によって接続され、圧送ポンプ42及び還元剤噴射弁43が第2の供給通路45によって接続されている。この第2の供給通路45には圧力センサ56が設けられており、センサ値が制御装置60に送信され、第2の供給通路45内の圧力が検出される。
また、第2の供給通路45及び貯蔵タンク41が第3の供給通路46によって接続されており、これにより、第2の供給経路45に供給された余剰の尿素水溶液を、貯蔵タンク41に戻すことができる。
すなわち、本実施形態のシステム10は、内燃機関5の停止時に、還元剤供給装置40に充填されていた尿素水溶液を貯蔵タンク41に回収可能な構成である。
そのため、この還元剤供給装置40は、還元剤噴射弁43のハウジングに設けられた冷却水通路35と、内燃機関5の冷却水通路33から分岐して冷却水通路35に連通する冷却水循環通路33・34と、冷却水循環通路33・34を流れる冷却水の流量を調節する冷却水流量制御弁31・32とを備えている。
これにより、内燃機関5の冷却水を還元剤噴射弁43の冷却水通路35に循環させ、還元剤噴射弁43の温度を70℃〜80℃程度に保ち、還元剤噴射弁43の熱損傷を防止することができる。
また、還元剤噴射弁43からの還元剤の噴射に伴って、貯蔵タンク41内の相対的に低温である尿素水溶液が還元剤噴射弁43に圧送されるために、このような尿素水溶液への熱移動によっても、還元剤噴射弁43の放熱が促される。
5の運転中にエンジン冷却水が循環し、また、内燃機関5の運転中に還元剤噴射弁43へ尿素水溶液が圧送されるためである。
(1)全体構成
次に、図2を参照して、本実施形態のシステム10に備えられる制御装置60を、温度検出部62と、強制再生制御部63と、条件成立判定部64と、運転者通知部65に大別して、具体的に説明する。これらの各部は、具体的にはマイクロコンピュータによるプログラムの実行によって実現される。
すなわち、図2は、システム10に備えられた制御装置60のうち、尿素水溶液の固化に起因した還元剤噴射弁43の詰まりを未然に防止するための制御に関する部分を、機能的なブロックで表した構成例である。
また、制御装置60は、内燃機関5の停止時にパージ処理を実行する。具体的に、尿素水溶液の流路を順方向から逆方向に切り換えるための信号を、リバーティングバルブ47に対して出力するとともに、還元剤噴射弁43を開弁させて圧送ポンプ42を駆動させるための信号を、圧送ポンプ42及び還元剤噴射弁43に対して出力する。
なお、制御装置60は内燃機関5の停止後においても、本実施形態のシステム10において必要な機能は動作可能なように構成されている。
また、温度検出部62は、還元剤噴射弁温度Tudvを検出するためのものであるが、直接検出できない場合には、その近傍のDPF22下流側温度Tdpf等からを求めてもよい。
強制再生制御部63は、DPF22の前後に設けられた圧力センサ51、52から求められる差圧に基づいて、PMの堆積量Vpmを推定する。そして、推定PM堆積量Vpmが所定の閾値Vpm0を超えたときに、DPF22の強制再生が必要であると判定し、強制再生手段に対して、強制再生を実行するための信号を送信する。
一方、強制再生制御部63は、推定PM堆積量Vpmが所定量まで低下したことをきっかけとして、強制再生手段に対して送信していた、強制再生を実行するための信号を停止する。
条件成立判定部64は、内燃機関5が停止したとき、または内燃機関の運転中において内燃機関が停止したことを想定した場合に、当該停止後、還元剤噴射弁43内の尿素水溶液が固化するおそれがあるか否かを判定する。
内燃機関5が停止すると、内燃機関5の冷却水の循環も停止するため還元剤噴射弁43の放熱能力が有効に発揮されなくなり、還元剤噴射弁43内の尿素水溶液の温度が上昇し、その中の水分の気化も激しくなる。そうすると尿素水溶液の濃度が上昇し、これに伴って当該尿素水溶液の固化温度T0も上昇する。したがって、内燃機関5停止後の冷却の過程において、当該尿素水溶液の温度がその固化温度T0を下回ると推定される場合には、当該尿素水溶液は固化するとの判定となる。
つまり、DPFの強制再生熱や再生直後にあっては、DPF22の排気下流側が非常に高温状態とされて温められ、還元剤噴射弁の温度は高温となりやすく、固化の原因である尿素水溶液の濃度上昇も起こりやすくなると判断できるからである。
ここで所定期間は、強制再生後の余熱による高い熱の影響が還元剤噴射弁43に及ぶ期間であり、DPF22から還元剤噴射弁43までの距離や、排気管の熱容量等によって異なるため、実機により試験を行いその結果によって決定することが望ましい。すなわち、実機上で強制再生終了後、内燃機関5の停止までの時間をそれぞれ変えて試験を行い、その後それぞれの場合において還元剤噴射弁43内の尿素水溶液が固化するか否かを確認し、所定時間を決めることができる。
ここで、判定に使う還元剤噴射弁温度Tudvは、その時点での温度としてもよいし、その後到達すると推定される温度としてもよい。また、図3、図7に示すような還元剤噴射弁到達最高温度Tudvmaxとしてもよい。
実機で試験を行い、これら還元剤噴射弁温度Tudv、温度勾配δTudvや、外気温度Toutの条件を様々に変えて還元剤噴射弁43中の尿素水溶液が固化するか否かにより、具体的な数値を決めるのがよい。ちなみに還元剤噴射弁温度Tudvがおよそ100℃を超えると、その後の冷却の過程で尿素水溶液が固化する可能性が高くなる。
なお、内燃機関5の運転中において、内燃機関5が停止したことを想定するのは、内燃機関5の運転中継続的に当該想定を行っていてもよいし、また、内燃機関がアイドル状態で所定時間継続したときに、当該想定を行うこととしてもよい。
運転者通知部65は尿素水溶液が固化するおそれがあると判定した場合に、内燃機関の運転者に通知をする。
一例としては、内燃機関5の運転中において内燃機関5が停止されたことを想定した場合で、当該停止後尿素水溶液が固化するおそれがあると判定された場合には、運転者に対して内燃機関を停止しないよう通知する。また別の例としては、内燃機関が停止されたときで、判定の結果、当該停止後尿素水溶液が固化するおそれがあるとの判定の場合には、運転者に対して内燃機関を再始動するよう通知する。通知の方法は様々考えられるが、例えば、運転席から容易に見える場所に、警告ランプを点灯させたり、運転者に対し音声でその旨を伝えることができる
以下タイミングチャートとフローチャートを用いて本制御装置によって実行可能な制御方法の具体例について説明する。
図4は、内燃機関5の運転中において内燃機関5が停止したことを想定したときの制御装置60における演算処理のフローチャートを示している。
これにともなって還元剤噴射弁温度Tudvも上昇するが、内燃機関5が駆動中においては、還元剤噴射弁43のハウジングの冷却水通路35にエンジン冷却水が循環し、また、貯蔵タンク41内の相対的に低温である尿素水溶液が還元剤噴射弁43に圧送されるので、還元剤噴射弁温度Tudvは一定温度以上がらず、新たな尿素水溶液も供給されるので、濃度の上昇も少なく、還元剤噴射弁43内の尿素水溶液の固化温度T0の変化は少ない。
判定方法の具体例については図5及び図6に基づいて後述する。
おそれがあると判断された場合にはステップS4に進み内燃機関の運転者に通知し、ステップS3に戻る。また、尿素水溶液が固化するおそれのない場合にはステップS4へ進み、運転者への通知をせず、本ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では尿素水溶液の固化のおそれがなくなるまで運転者への通知を継続し、その後尿素水溶液の固化のおそれがなくなった後、運転者への通知を終了する。
そして、冷却の過程で、還元剤噴射弁温度Tudvが当該上昇した固化温度T0を下回ると推定される場合には、還元剤噴射弁43内の尿素水溶液は固化のおそれがあると判定される。図3においてはt3の時点で、還元剤噴射弁温度Tudvが固化温度T0を下回り、還元剤噴射弁43内の尿素水溶液が固化し始めると推定される。したがって、t2の時点で還元剤噴射弁43内の尿素水溶液が固化のおそれありとの判定になり、運転者への通知がなされる(図4のステップS4)。
ステップS21において、内燃機関5がアイドル状態となりこれが所定時間継続すると、ステップS22に進み、内燃機関5が停止したことを想定する。そしてステップS23に進み、DPF22の強制再生中または、強制再生後所定期間内か否かが判定される。DPF22の強制再生中または、強制再生後所定期間である場合にはステップS24に進み、内燃機関の運転者に通知し、ステップS23へ戻る。また、DPF22の強制再生中でも強制再生後所定期間でもない場合にはステップS25へ進み、運転者への通知をせず、本ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では強制再生後所定期間を経過するまで運転者への通知を継続し、その後尿素水溶液の固化のおそれがなくなった後、運転者への通知を終了する。
ステップS31において、内燃機関5がアイドル状態となりこれが所定時間継続したことを検知すると、ステップS22に進み、制御装置60は内燃機関5が停止したことを想定する。そして、ステップS33に進み、還元剤噴射弁温度Tudvが閾値温度Tsより高いか否かが判定される。還元剤噴射弁温度Tudvが閾値温度Ts以上の場合にはステップS34に進み、内燃機関の運転者に通知し、ステップS33へ戻る。また、還元剤噴射弁温度Tudvが閾値温度Tsよりも低い場合にはステップS34へ進み、運転者への通知をせず、本ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では、還元剤噴射弁温度Tudvが閾値温度Tsよりも低い温度となるまで運転者への通知を継続し、低くなった後、運転者への通知を終了する。
ここで、還元剤噴射弁温度Tudvは、その時点での温度としてもよいし、その後到達すると推定される温度としてもよい。また、図3、図7に示すような還元剤噴射弁到達最高温度Tudvmaxとしてもよい。
尚、閾値温度Tsはおよそ100℃である。
以上の制御方法の説明においては、内燃機関5がアイドル状態を所定期間検知したときに、内燃機関5の停止を想定しているが、内燃機関5の運転中継続的に、内燃機関5の停止を想定することとしてもよい。また、内燃機関5が実際に停止したときに、固化のおそれがあるか否かを判断し、運転者に対して、内燃機関5の再始動をするよう通知することとしてもよい。
Claims (4)
- 排出される排気ガス中の排気微粒子を捕集するDPFと、前記排気ガス中に還元剤としての尿素水溶液を噴射する還元剤噴射弁と、前記尿素水溶液を用いて前記排気ガス中のNOXを浄化するSCR触媒と、を排気上流側から順次に備えた排気浄化システムにおいて、
内燃機関が停止したときに、または前記内燃機関の運転中において前記内燃機関が停止したことを想定した場合に、前記尿素水溶液が固化するおそれがあるか否かを判定する条件成立判定部と、
前記尿素水溶液が固化するおそれがあると判定した場合に、前記内燃機関の運転者に通知する運転者通知部と、
を備えることを特徴とする排気浄化システム。 - 前記条件成立判定部は、前記DPFの強制再生が開始後終了するまでの間、または当該終了後所定期間内に、前記内燃機関が停止したとき、または前記内燃機関の運転中において前記内燃機関が停止したことを想定した場合に、当該停止後、前記尿素水溶液が固化するおそれがあると判定することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化システム。
- 前記条件成立判定部は、前記内燃機関が停止したとき、または前記内燃機関の運転中において前記内燃機関が停止したことを想定した場合に、前記還元剤噴射弁の温度、温度勾配、外気温度のうち少なくとも一つに基づいて、当該停止後、前記尿素水溶液が固化するおそれがあるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化システム。
- 排気ガス中の排気微粒子を捕集するDPFと、前記排気ガス中に還元剤としての尿素水溶液を噴射する還元剤噴射弁と、前記尿素水溶液を用いて前記排気ガス中のNOXを浄化するSCR触媒と、を排気上流側から順次に備えた排気浄化システムの制御方法において、
前記内燃機関が停止したとき、または前記内燃機関の運転中において前記内燃機関が停止したことを想定した場合に、当該停止後、前記尿素水溶液が固化するおそれがあるか否かを判定する工程と、
前記尿素水溶液が固化するおそれがあると判定した場合に、前記内燃機関の運転者に通知する工程と、
を有することを特徴とする排気浄化システムの制御方法。
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