JP2012134697A - 高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法 - Google Patents

高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】受信時だけではなく送信時にも消費電力が低減される高周波スイッチ回路を提供する。
【解決手段】本発明の高周波スイッチ回路は、パルス生成手段120と、クロック選択手段130と、降圧手段140と、スイッチング手段150と、を有する。パルス生成手段120は、所定のアクティブ期間を有するクロック選択用パルス信号を生成する。クロック選択手段130は、クロック選択用パルス信号がアクティブのとき基準クロック信号を選択する一方で、クロック選択用パルス信号がアクティブではないとき基準クロック信号よりも周波数が低い低速クロック信号を選択する。降圧手段140は、クロック選択手段130で選択されたクロック信号の周波数に応じた速度で負電荷をキャパシタに蓄積して所定の負電圧を生成する。スイッチング手段150は、所定の負電圧が印加されてオフ状態を維持する少なくとも1つのスイッチ素子を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法に関する。
近年、携帯電話機などの無線通信機器を小型化する上で消費電力の低減が重要になってきている。無線通信機器では、スイッチ素子を高速に切り替えて情報を送信または受信するため、スイッチ素子およびその駆動回路で消費される電力は少なくない。
一般に携帯電話機は、送信モード、受信モード、送受信モードを通信モードとして備えており、スイッチ素子としての電界効果トランジスタは、通信モードが変わる度にアンテナへ接続される送信/受信回路を高速に切り替える。
また、電界効果トランジスタには、駆動回路としての昇圧回路または降圧回路(負電源発生回路)が接続される。昇圧回路は、主に送信回路からアンテナへ供給される送信電力を向上させる。一方、降圧回路は、主に電界効果トランジスタのオフ状態における出力特性を向上させる。
昇圧回路における消費電力を削減する技術としては、下記特許文献1の技術が知られている。特許文献1の高周波スイッチ回路では、大電力を必要とする送信時に昇圧回路を動作させる一方で、大電力を必要としない受信時には昇圧回路を動作させないことにより、消費電力を低減している。
特開2008−35560号公報
しかしながら、上記特許文献1の高周波スイッチ回路では、受信時に消費電力が低減されるものの、送信時には消費電力が低減されないという問題がある。したがって、たとえば昇圧回路または降圧回路を常時動作させておく必要があるUMTSのような通信システムには、上記特許文献1の高周波スイッチ回路を適用することができない。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、受信時だけではなく送信時にも消費電力が低減される高周波スイッチ回路を提供することである。
また、本発明の他の目的は、受信時だけではなく送信時にも消費電力が低減される高周波スイッチ回路の制御方法を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の高周波スイッチ回路または高周波スイッチ回路の制御方法によって達成される。
本発明の高周波スイッチ回路は、パルス生成手段と、クロック選択手段と、降圧手段と、スイッチング手段と、を有する。パルス生成手段は、所定のアクティブ期間を有するクロック選択用パルス信号を生成する。クロック選択手段は、クロック選択用パルス信号がアクティブのとき基準クロック信号を選択する一方で、クロック選択用パルス信号がアクティブではないとき基準クロック信号よりも周波数が低い低速クロック信号を選択する。降圧手段は、クロック選択手段で選択されたクロック信号の周波数に応じた速度で負電荷をキャパシタに蓄積して所定の負電圧を生成する。スイッチング手段は、所定の負電圧が印加されてオフ状態を維持する少なくとも1つのスイッチ素子を備える。
本発明の高周波スイッチ回路の制御方法は、クロック選択用パルス信号をアクティブにし、クロック選択用パルス信号がアクティブである期間、降圧手段に基準クロック信号を供給し、降圧手段が生成した所定の負電圧をスイッチ素子に印加してスイッチ素子をオフ状態にする。そして、降圧手段に基準クロック信号よりも周波数が低い低速クロック信号を供給し、スイッチ素子のオフ状態を維持する。
本発明の高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法によれば、受信時だけではなく送信時においても消費電力を低減することができる。したがって、UMTSのような通信システムで降圧回路を常時動作させておく必要がある場合にも消費電力を低減することができる。
本発明の実施の形態における高周波スイッチ回路の概略ブロック図である。 図2(A)および図2(B)は、図1に示すチャージポンプの構成および動作を例示するための回路図である。図2(C)は、チャージポンプを流れる貫通電流を説明するための回路図である。 図1に示すスイッチ部の構成を説明するための概略ブロック図である。 図3に示す高周波スイッチの構成を例示するための回路図である。 本発明の実施の形態における高周波スイッチ回路の制御方法を説明するためのフローチャートである。 本発明の実施の形態における高周波スイッチ回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
以下、添付した図面を参照して本発明の高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法の実施の形態を説明する。本発明の高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法は、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)、GSM(Global System for Mobile Communications)など、通信モードを切り替えることが必要な無線通信システムに好適に適用することができる。とくに、降圧回路を常時動作させておく必要があるUMTSのような通信システムで有効である。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における高周波スイッチ回路の概略ブロック図である。本実施の形態の高周波スイッチ回路は、通信モードを切り替えるときには高速な基準クロック信号でチャージポンプを動作させ、通信モードを切り替えたのちは基準クロック信号よりも周波数が低い低速クロック信号でチャージポンプを動作させるものである。
図1に示すとおり、本実施の形態の高周波スイッチ回路200は、発振器100、分周器110、パルス生成部120、クロック選択部130、チャージポンプ140、およびスイッチ部150を有する。
発振器100は、発振手段として、所定の周波数の基準クロック信号を生成する。発振器100の出力端子は、分周器110の入力端子およびクロック選択部130の入力端子に接続されている。
発振器100は、たとえばリングオシレータを備えており、数MHzの基準クロック信号を生成する。ここで、所定の周波数は好適には3.6MHz程度である。しかしながら、所定の周波数は数MHzに限定されない。
分周器110は、分周手段として、基準クロック信号を分周して低速クロック信号を生成する。分周器110の入力端子は発振器100の出力端子に接続されており、分周器110の出力端子はクロック選択部130の入力端子に接続されている。
分周器110は、カウンタを備えており、基準クロック信号を所定のカウント数Nまでカウントすることにより、基準クロック信号をN分周して基準クロック信号よりも低い周波数の低速クロック信号を生成する。たとえば、基準クロック信号が3.6MHzでN=64に設定された場合、低速クロック信号の周波数は56KHzとなる。
なお、分周器110は、周波数の異なる他の低速クロック信号を同時に出力することもできる。
パルス生成部120は、パルス生成手段として、所定のアクティブ期間を有するクロック選択用パルス信号を生成する。パルス生成部120は、モード制御信号を入力するための入力端子を備える。パルス生成部120の出力端子は、クロック選択部130の入力端子に接続されている。ここで、モード制御信号は、高周波スイッチ回路200に通信モードを伝達するために外部から入力される制御信号である。
パルス生成部120は、カウンタを備えており、モード制御信号の変化を検出してカウントを開始し、経過時間を計測する。パルス生成部120は、モード制御信号の変化を検出してから所定時間が経過したのちにクロック選択用パルス信号をアクティブにする。そして、パルス生成部120は、所定のアクティブ期間にわたってクロック選択用パルス信号のアクティブ状態を維持する。ここで、アクティブ期間は、本実施の形態では、たとえば5〜10μsに設定される。しかしながら、アクティブ期間は、5〜10μsの範囲内に限定されない。
クロック選択部130は、クロック選択手段として、クロック信号を選択する。クロック選択部130は3つの入力端子を備える。第1の入力端子は発振器100の出力端子に接続され、第2の入力端子は分周器110の出力端子に接続され、第3の入力端子はパルス生成部120の出力端子に接続されている。また、クロック選択部130の出力端子は、チャージポンプ140の入力端子に接続されている。
クロック選択部130は、セレクタを備えており、クロック選択用パルス信号がアクティブのとき基準クロック信号を選択する一方で、クロック選択用パルス信号がアクティブではないとき低速クロック信号を選択する。なお、低速クロック信号が複数ある場合は、低速クロック信号の数に応じてn入力1出力のセレクタを備えることもできる。
チャージポンプ140は、降圧手段として、所定の負電圧を生成する。チャージポンプ140の入力端子はクロック選択部130の出力端子に接続されており、チャージポンプ140の出力端子はスイッチ部150の入力端子に接続されている。
チャージポンプ140は、クロック選択部130で選択されたクロック信号の周波数に応じた速度で負電荷をキャパシタに蓄積し、所定の負電圧を生成する。チャージポンプ140の構成および作用については後述する。
スイッチ部150は、スイッチング手段として、高周波信号の通信経路を確保または遮断する。スイッチ部150の一方の入力端子にはモード制御信号が入力され、他方の入力端子はチャージポンプ140の出力端子に接続されている。スイッチ部150は、スイッチ素子として、少なくとも1つの電界効果トランジスタ(以下、FETと称する)を備える。スイッチ部150の構成および作用については後述する。
以上のとおり構成される本実施の形態の高周波スイッチ回路200では、クロック選択用パルス信号がアクティブである期間は、基準クロック信号がチャージポンプ140に供給され、クロック選択用パルス信号がアクティブではない期間は、低速クロック信号がチャージポンプ140に供給される。そして、チャージポンプ140の出力電圧がスイッチ部150に供給される。
次に、図2(A)〜図2(C)を参照して、図1に示すチャージポンプ140の一例を概略的に説明する。図2(A)および図2(B)は、図1に示すチャージポンプ140の構成および動作を例示するための回路図である。
図2(A)および図2(B)に示すとおり、本実施の形態のチャージポンプ140は、4つのCMOSインバータと3つのキャパシタとを有する。4つのCMOSインバータは、それぞれトランジスタM1およびM2を有する第1インバータ、トランジスタM3およびM4を有する第2インバータ、トランジスタM5およびM6を有する第3インバータ、トランジスタM7およびM8を有する第4インバータからなる。
第1インバータの入力端子はクロック選択部130の出力端子にインバータ(不図示)を介して接続されており、第1インバータの出力端子は第1キャパシタC1の一方の端子に接続されている。また、第1インバータの2つの電源端子の一方には電源電圧VDDが接続され、他方は接地されている。
第2インバータの入力端子は第3インバータの出力端子に接続されており、第2インバータの出力端子は第1キャパシタC1の他方の端子に接続されている。また、第2インバータの2つの電源端子の一方は接地され、他方は出力キャパシタCoutの一方の端子に接続されている。また、出力キャパシタCoutの上記一方の端子は、スイッチ部150に接続されており、出力キャパシタCoutの他方の端子は接地されている。
第3インバータの入力端子は第2インバータの出力端子に接続されており、第3インバータの出力端子は第2キャパシタC2の一方の端子に接続されている。また、第3インバータの2つの電源端子の一方は接地され、他方は出力キャパシタCoutの上記一方の端子に接続されている。
第4インバータの入力端子はクロック選択部130の出力端子に接続されており、第4インバータの出力端子は第2キャパシタC2の他方の端子に接続されている。また、第4インバータの2つの電源端子の一方には電源電圧VDDが接続され、他方は接地されている。
以上のとおり構成される本実施の形態のチャージポンプ140の動作の概略について以下に説明する。
チャージポンプ140に入力されたクロック信号(CLK)がハイである期間において、図2(A)に示すとおり、チャージポンプ140には、破線で示される第1経路および第2経路を通じて電流が流れる。
第1経路は、VDDからトランジスタM1、第1キャパシタC1、トランジスタM3を通り接地に至る経路であり、この経路に電流が流れることにより第1キャパシタC1が充電される。
第2経路は、第2キャパシタC2からトランジスタM8、出力キャパシタCout、トランジスタM6を通り第2キャパシタC2に至る経路であり、この経路に電流が流れることにより第2キャパシタC2の負電荷が出力キャパシタCoutに移動して出力キャパシタCoutが充電される。
一方、クロック信号がローである期間では、図2(B)に示すとおり、破線で示される第3経路および第4経路を通じて電流が流れる。
第3経路は、第1キャパシタC1からトランジスタM2、出力キャパシタCout、トランジスタM4を通り第2キャパシタC2に至る経路であり、この経路に電流が流れることにより第1キャパシタC1の負電荷が出力キャパシタCoutに移動して出力キャパシタCoutが充電される。
第4経路は、VDDからトランジスタM7、第2キャパシタC2、トランジスタM5を通り接地に至る経路であり、この経路に電流が流れることにより第2キャパシタC2が充電される。
以上のとおり、クロック信号が入力されて第1経路〜第4経路に繰り返し電流が流れることにより、出力キャパシタCoutには負電圧Voutが生じる。負電圧Voutは、スイッチ部150に供給される。第1経路〜第4経路に繰り返し電流の平均電流が消費電流に寄与するのでCMOSインバータのスイッチング速度が大きいほど、すなわちクロック信号の周波数が高いほど大きくなる。
続いて、図2(C)は、チャージポンプ140を流れる貫通電流を説明するための回路図である。CMOSインバータにおける貫通電流は、CMOSインバータを構成するPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタが一時的に同時にON状態となって大電流が流れることをいう。図2(C)に示すとおり、本実施の形態のチャージポンプ140では、第1インバータおよび第4インバータにおいて破線で示す貫通電流が流れうる。貫通電流は、CMOSインバータのスイッチング速度が大きいほど、すなわちクロック信号の周波数が高いほど大きくなる。
したがって、貫通電流を低減する見地からは、クロック信号の周波数を低く抑えることが好ましい。しかし、その一方で、チャージポンプ140は、通信規格で要求される通信モードの切替え時間(たとえば、4μs)以内にスイッチ部150のFETのゲート端子に所定の負電圧(−2〜−2.5V)を印加しなければならない。以下、この所定の負電圧をオフ電圧と称する。したがって、クロック信号の周波数は、チャージポンプ140の出力電圧が通信モードの切替え時間以内にオフ電圧に到達することができる高さである必要がある。なお、本実施の形態では、チャージポンプ140の出力電圧がオフ電圧に到達するまでの時間は、約2μsである。
そこで、本実施の形態の高周波スイッチ回路200では、通信モードを切り替えるときには高速な基準クロック信号でチャージポンプ140を動作させ、通信モードを切り替えたのちは低速クロック信号で動作させる。したがって、本実施の形態では、貫通電流を低減しつつ、チャージポンプ140の出力電圧Voutが通信モードの切替え時間以内にオフ電圧に到達することが可能となる。
以上のとおり、本実施の形態で用いられるチャージポンプ140の構成および作用について概略的に説明した。しかしながら、本実施の形態のチャージポンプ140は、上述した形態のチャージポンプに限定されない。
次に、図3および図4を参照して、図1に示すスイッチ部150についてより詳しく説明する。
図3は、図1に示すスイッチ部150の構成を説明するための概略ブロック図である。図3に示すとおり、スイッチ部150は、デコーダ151、レベルシフタ152、および高周波スイッチ153を有する。
デコーダ151は、モード制御信号をデコードする。デコーダ151の入力端子には、モード制御信号が入力される。デコーダ151の出力端子は、レベルシフタ152の入力端子に接続されている。
デコーダ151は、モード制御信号をデコードし、デコード結果に基づいて、高周波スイッチ153に含まれるFETのうち、オンするFETとオフするFETとをレベルシフタ152に伝達する。本実施の形態では、デコーダ151は、制御モード信号をデコードして得られた通信モードに応じてオンするFETとオフするFETとを決定する。
レベルシフタ152は、高周波スイッチ153に所定の正電圧またはオフ電圧を印加する。レベルシフタ152の一方の入力端子は、デコーダ151の出力端子に接続されており、他方の入力端子はチャージポンプ140の出力端子に接続されている。また、レベルシフタ152の出力端子は、高周波スイッチ153の入力端子に接続されている。レベルシフタ152は、デコーダ151で得られた通信モードに基づいて、高周波スイッチ153に含まれるFETのうち、オンするFETに対しては所定の正電圧を印加し、オフするFETに対してはオフ電圧を印加する。以下、所定の正電圧をオン電圧と称する。
高周波スイッチ153は、高周波信号の通信経路を確保または遮断する。高周波スイッチ153の入力端子はレベルシフタ152の出力端子に接続されている。また、高周波スイッチ153は、高周波スイッチ回路200の外部に設けられた送信/受信回路とアンテナとに接続されている。
高周波スイッチ153は、スイッチ素子として、少なくとも1つのFETを備える。本実施の形態では、高周波スイッチ153は、たとえばCMOS SOIプロセスまたはBulk CMOSプロセスで形成されるSPMT(single−pole multi−throw)またはMPMT(multi−pole multi−throw)の高周波スイッチである。
本実施の形態では、レベルシフタ152によってFETのゲート端子に印加されるオン電圧は2.4〜3.0Vであり、オフ電圧は−2〜−2.5Vである。FETは、ゲート端子に正電圧が印加されるとオンし、ゲート端子に0または負電圧が印加されるとオフする。そして、ゲート端子にオフ電圧が印加されているときはオフ状態を維持する。
FETをオフ状態に維持するためにオフ電圧を印加するのは、たとえば35dBm程度の大きな送信信号電力をFETに入力する場合であっても、FETのオフ状態での出力波形が歪まないようにするためである。換言すれば、ゲート端子にオフ電圧を印加することにより、FETがオンする電圧に対してオフ状態のマージンを大きくとることができる。以下、図4を参照して、高周波スイッチ153の構成をより詳しく説明する。
図4は、図3に示す高周波スイッチ153の構成を例示するための回路図である。図4に示すとおり、本実施の形態の高周波スイッチ153は、受信ポートRX1〜RX3、送信ポートTX1〜TX3、および送受信ポートTXR1〜TXR3の合計9つのRFポート(Radio Frequency Port)を有する。各RFポートとアンテナとの間には、RFポートからアンテナへ至る経路に対して直列にシリーズFET(SE1〜SE9)が設けられ、並列にシャントFET(SH1〜SH9)が設けられている。
シリーズFETのゲート端子は、抵抗を介して制御端子(CSE1〜CSE9)に接続されており、シャントFETのゲート端子は、抵抗を介して制御端子(CSH1〜CSH9)に接続されている。シリーズFETおよびシャントFETは、制御端子に正電圧が印加されるとオンし、0または負電圧が印加されるとオフする。
たとえば、通信モードがRX1のとき、シリーズFET(SE1)の制御端子CSE1にはオン電圧が印加され、シャントFET(SH1)の制御端子CSH1にはオフ電圧が印加される。また、シリーズFET(SE2〜SE9)にはオフ電圧が印加され、シャントFET(SH2〜SH9)にはオン電圧が印加される。このように、FETの制御端子(CSE1〜CSE9,CSH1〜CSH9)にオン電圧またはオフ電圧を印加することにより、受信ポートRX1が確実にアンテナと接続される一方で、他のRFポートはアンテナから遮断される。
なお、通信モードがRX1のとき以外の場合についても同様にRFポートとアンテナとを接続することができる。すなわち、対象RFポートからアンテナへ至る経路に直列に設けられているシリーズFETの制御端子にオン電圧を印加し、対象RFポート以外のシリーズFETの制御端子にオフ電圧を印加する。また、対象RFポートからアンテナへ至る経路に並列に設けられているシャントFETの制御端子にオフ電圧を印加し、対象RFポート以外のシャントFETの制御端子にオン電圧を印加する。
以上のとおり、本実施の形態で用いられるスイッチ部150の構成および作用について概略的に説明した。しかしながら、本実施の形態のスイッチ部150は、上述した形態のスイッチ部に限定されない。たとえば、高周波スイッチ153に含まれるRFポートの数は、通信モードの形態に応じて適宜変更されうる。
次に、図5および図6を参照して、本実施の形態における高周波スイッチ回路の制御方法について説明する。
図5は本実施の形態における高周波スイッチ回路の制御方法を説明するためのフローチャートであり、図6は本実施の形態における高周波スイッチ回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。なお、図6は、本実施の形態の高周波スイッチ回路に時分割複信(TDD)システムが接続された場合についての動作の一例を示す。
図6に示すとおり、TDDシステムでは、通信モードがRX1、TX1、RX1、・・・のように切り替わる。これに対して、スイッチ部150の受信側のシリーズFET(図4のSE1)はオン、オフ、オン、・・・になるように制御され、送信側のシリーズFET(図4のSE2)はオフ、オン、オフ、・・・になるように制御される。以下では、通信モードがRX1からTX1に切り替わったのち、再びTX1からRX1に切り替わる期間を例示して、本実施の形態の高周波スイッチ回路の制御方法を説明する。
図5に示すとおり、本実施の形態の高周波スイッチ回路の制御方法では、まず、クロック選択用パルス信号をアクティブにする(ステップS101)。具体的には、図6に示すとおり、パルス生成部120は、モード制御信号がRX1からTX1に変化してから遅延時間td後にクロック選択用パルス信号をアクティブ(ハイ)にする。なお、本実施の形態では、クロック選択用パルス信号はハイ・アクティブ信号である。しかしながら、クロック選択用パルス信号はロー・アクティブ信号であってもよい。
次に、チャージポンプに基準クロック信号を供給する(ステップS102)。具体的には、図6に示すとおり、クロック選択用パルス信号がアクティブである期間(期間ta)は基準クロック信号が選択される。したがって、チャージポンプ140には3.6MHzの基準クロック信号が供給される。この間、チャージポンプ140では、基準クロック信号の周波数に応じた速度で負電荷を出力キャパシタCoutに蓄積し、負電圧を生成する。そして、出力キャパシタCoutに蓄積された負電荷は、スイッチ部150のSE1のゲート端子に転送されることにより、負電圧をSE1に印加してSE1をオフする。チャージポンプ140からの負電荷の転送は、チャージポンプ140の出力キャパシタCoutの電位とSE1のゲート端子の電位とが同電位(オフ電圧)になったときに終了する。基準クロック信号がチャージポンプ140に供給され始めてからチャージポンプ140の出力電圧がオフ電圧に達するまでにtcの時間を要する。本実施の形態では、tcは約2μsである。
一方、送信側では、スイッチ部150のデコーダ151がモード制御信号をデコードして、レベルシフタ152によりSE2にオン電圧が印加されている。
次に、チャージポンプに低速クロック信号を供給する(ステップS103)。具体的には、パルス生成部120は、クロック選択用パルス信号がハイになってからta後に、クロック選択用パルス信号をローにする。ここで、チャージポンプ140が確実にオフ電圧を生成するためには、taはtc以上の長さに設定する必要がある。一方、貫通電流を低減する見地からは、taはtcに近い値に設定することが望ましい。本実施の形態では、taは5〜10μsである。クロック選択用パルス信号がローである期間は低速クロック信号が選択される。したがって、チャージポンプ140には、基準クロック信号より周波数が低い56KHzの低速クロック信号が供給される。この間、チャージポンプ140では、低速クロック信号の周波数に応じた速度で負電荷を出力キャパシタCoutに蓄積し、オフ電圧を維持する。したがって、チャージポンプ140の出力キャパシタCoutの電位とスイッチ部150のSE1のゲート端子の電位とは同電位に維持され、スイッチ部150のSE1はオフ状態を維持する。
次に、FETをオンする(ステップS104)。具体的には、スイッチ部150のデコーダ151がモード制御信号をデコードして得られた通信モード(RX1)に応じて、レベルシフタ152がSE1にオン電圧を印加する。このとき、SE1のゲート端子に蓄積された負電荷は放電し、それに伴ってチャージポンプ140の出力キャパシタCoutの電位は上昇する。
以上のとおり、本実施の形態における高周波スイッチ回路の制御方法について説明した。本実施の形態の高周波スイッチ回路の制御方法では、まず、クロック選択用パルス信号をアクティブにし、チャージポンプ140に基準クロック信号を供給して、スイッチ部150のSE1をオフにする。次に、チャージポンプ140に低速クロック信号を供給して、SE1のオフ状態を維持する。そして、SE1にオン電圧が印加されるとSE1はオンする。
(実施例)
以下、本実施の形態の高周波スイッチ回路200を通信システムに適用した場合の実施例について説明する。しかしながら、本発明は、本実施例によって何ら限定されるものではない。
実験では、以下の条件の下で本実施の形態の高周波スイッチ回路200の平均消費電流を測定した。
発振器100で3.6MHzの基準クロック信号を生成し、分周期110で基準クロック信号を64分周して56KHzの低速クロック信号を生成した。
モード制御信号を入力して通信モードを切り替え、クロック選択用パルス信号を生成した。チャージポンプ140に基準クロック信号を5μsにわたり供給したのち、低速クロック信号を供給した。
通信モードを切り替えて、以上の工程を数サイクル繰り返した。その際、高周波スイッチ回路200で消費される平均電流を測定した。その結果、高周波スイッチ回路200における平均消費電流は45μAであった。
一方、比較例として、チャージポンプに3.6MHzの基準クロック信号を常時供給した場合について同様に平均消費電流を測定した。その結果、平均消費電流は115μAであった。すなわち、比較例に対して、本実施の形態では約60%の消費電流が削減された。
以上のとおり、説明した本実施の形態は、以下の効果を奏する。
(a)本発明の高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法によれば、受信時だけではなく送信時においても消費電力を低減することができる。したがって、UMTSのような通信システムでチャージポンプを常時動作させておく必要がある場合にも消費電力を低減することができる。
(b)所定のアクティブ期間は、クロック選択用パルス信号がアクティブになってからチャージポンプがオフ電圧を生成するまでにかかる時間よりも長いので、チャージポンプは確実にオフ電圧を生成することができる。
(c)スイッチ部は、複数のスイッチ素子を備え、外部から入力されたモード制御信号をデコードした結果に基づいて、複数のスイッチ素子のオン/オフを制御する。したがって、複数のRFポートとアンテナとの間を任意に切り替えることができる。
(d)スイッチ部は、モード制御信号をデコードした結果に基づいて所定の負電圧または所定の正電圧をスイッチ素子に印加するレベルシフタを有する。したがって、モード制御信号の変化に応じて所定の負電圧または所定の正電圧をスイッチ素子に印加することができる。
(e)パルス生成部は、モード制御信号が変化したのちにクロック選択用パルス信号を生成する。したがって、モード制御信号が変化したのちの適切なタイミングにクロック選択用パルス信号を生成することができる。
(f)高周波スイッチ回路は、基準クロック信号を生成する発振器と、基準クロックを分周して低速クロック信号を生成する分周器とを有する。したがって、別途低速クロック信号用の発振器を用意する必要がないので、高周波スイッチ回路内の発振器の個数を削減することができる。
以上のとおり、実施の形態において、本発明の高周波スイッチ回路および高周波スイッチ回路の制御方法を説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
たとえば、本実施の形態では、基準クロック信号を分周して低速クロック信号を生成した。しかしながら、低速クロック信号は、基準クロック信号を生成した発振器とは別の発振器で生成されてもよい。
また、本実施の形態では、基準クロック信号から基準クロック信号より周波数が低い低速クロック信号へクロック信号を一度切り替える場合を主に説明した。しかしながら、基準クロック信号から互いに周波数の異なる複数の低速クロック信号へ段階的に切り替えることもできる。
100 発振器(発振手段)、
110 分周器(分周手段)、
120 パルス生成部(パルス生成手段)、
130 クロック選択部(クロック選択手段)、
140 チャージポンプ(降圧手段)、
150 スイッチ部(スイッチング手段)、
200 高周波スイッチ回路。

Claims (8)

  1. 所定のアクティブ期間を有するクロック選択用パルス信号を生成するパルス生成手段と、
    前記クロック選択用パルス信号がアクティブのとき基準クロック信号を選択する一方で、前記クロック選択用パルス信号がアクティブではないとき前記基準クロック信号よりも周波数が低い低速クロック信号を選択するクロック選択手段と、
    前記クロック選択手段で選択されたクロック信号の周波数に応じた速度で負電荷をキャパシタに蓄積して所定の負電圧を生成する降圧手段と、
    前記所定の負電圧が印加されてオフ状態を維持する少なくとも1つのスイッチ素子を備えるスイッチング手段と、
    を有する、高周波スイッチ回路。
  2. 前記所定のアクティブ期間は、前記クロック選択用パルス信号がアクティブになってから前記降圧手段が前記所定の負電圧を生成するまでにかかる時間よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の高周波スイッチ回路。
  3. 前記スイッチング手段は、複数のスイッチ素子を備え、外部から入力されたモード制御信号をデコードした結果に基づいて、前記複数のスイッチ素子のオン/オフを制御することを特徴とする請求項1または2に記載の高周波スイッチ回路。
  4. 前記スイッチング手段は、前記モード制御信号をデコードした結果に基づいて前記所定の負電圧または所定の正電圧を前記スイッチ素子に印加するレベルシフタをさらに有することを特徴とする請求項3に記載の高周波スイッチ回路。
  5. 前記パルス生成手段は、前記モード制御信号が変化したのちに前記クロック選択用パルス信号を生成することを特徴とする請求項3または4に記載の高周波スイッチ回路。
  6. 前記基準クロック信号を生成する発振手段と、
    前記基準クロック信号を分周して前記低速クロック信号を生成する分周手段と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高周波スイッチ回路。
  7. クロック選択用パルス信号をアクティブにする段階と、
    前記クロック選択用パルス信号がアクティブである期間、降圧手段に基準クロック信号を供給し、前記降圧手段が生成した所定の負電圧をスイッチ素子に印加して当該スイッチ素子をオフ状態にする段階と、
    前記降圧手段に前記基準クロック信号よりも周波数が低い低速クロック信号を供給し、前記スイッチ素子のオフ状態を維持する段階と、
    を有する、高周波スイッチ回路の制御方法。
  8. 前記クロック選択用パルス信号がアクティブである期間は、前記クロック選択用パルス信号がアクティブになってから前記降圧手段が前記所定の負電圧を生成するまでにかかる時間よりも長いことを特徴とする請求項7に記載の高周波スイッチ回路の制御方法。
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