〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は回路装置を示している。図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図1に示すこの回路装置2は、本開示の回路装置の一例である。この回路装置2では、機能部4と、出力部6と、プロセッサ8と、メモリ10が備えられ、一例として端子18が設置されている。機能部4、出力部6、プロセッサ8およびメモリ10は、バス20で接続されている。
機能部4は、回路素子や回路を備え、信号処理等の各種処理を行う回路部である。本開示の回路装置の単一(または複数)の機能部の一例である。
出力部6は、出力機能を有する出力手段の一例であり、機能部4と同様に機能部を構成している。この出力部6では、第1の動作モード(たとえば、通常動作)、第2の動作モード(たとえば、評価・デバッグ動作)が実行される。第1の動作モードでは、通常動作で生成される出力信号が生成され、第2の動作モードでは、出力信号およびモニタ信号が生成される。通常動作は、LSI等の回路装置2が持つ本来の機能を実現する動作である。評価・デバッグ動作は、回路装置2の通常動作を含み、回路装置2の評価、デバッグ、解析等のため、モニタ信号を出力する動作である。モニタ信号は、機能部4や出力部6の動作により内部で生成される内部信号である。
プロセッサ8はメモリ10にあるプログラムを実行し、機能部4や出力部6の動作を制御する。この制御動作により、第1の動作モードまたは第2の動作モードが選択される。第2の動作モードの指示がなければ、第1の動作モードが実行される。この実施の形態では、第1の動作モードで回路装置2に通常動作を実行させ、出力部6が既述の出力信号を出力する。このとき、モニタ信号は出力されない。また、第2の動作モードでは回路装置2に通常動作を実行させ、機能部4や出力部6から内部信号であるモニタ信号が出力信号とともに端子18に出力される。モニタ信号および出力信号の出力形態は共用された端子18からたとえば、一定の周期でモニタ信号と出力信号とを交互に出力させればよい。
メモリ10は既述のプログラムを格納する記録媒体であり、たとえば、半導体メモリで構成される。このメモリ10は回路装置2の外部装置として構成されてもよい。
端子18は、出力端子およびモニタ端子に共用されている。従って、第1の動作モードでは、既述の出力信号が出力され、第2の動作モードでは、出力信号およびモニタ信号が出力される。端子18には外部デバイスや測定器が接続され、外部デバイスには既述の出力信号、測定器にはモニタ信号が提供される。図中、端子18は単一で表示しているが、出力形態に応じて複数であってもよいし、単一でもよい。従って、出力部6と端子18とを結ぶ信号線21も出力形態に応じて単一でもよいし、複数であってもよい。
この制御動作の処理手順について、図2を参照する。図2は動作の処理手順を示している。図2に示す処理は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
この処理手順は、本開示のモニタ方法の一例である。図2に示す処理手順では、動作モードを判定する(ステップS11)。第1の動作モードであれば(ステップS12のYES)、第1の動作モードが実行される(ステップS13)。この第1の動作モードでは、回路装置2の本来の機能が実行され、その機能で生成された出力信号が端子18から出力される(ステップS14)。
第1の動作モードでなければ(ステップS12のNO)、第2の動作モードが実行される(ステップS15)。この第2の動作モードでは、回路装置2の本来の機能が実行されるが、その際、機能部4や出力部6で生成された内部信号がモニタ信号として、出力信号とともに端子18から出力される(ステップS16)。
そして、端子18から出力信号と同時に得られるモニタ信号は、機能部4や出力部6の動作状態を表す内部信号であるので、回路装置2の評価やデバッグ、解析等に用いることができる。
この第1の実施の形態について、以下に特徴事項や利点を列挙する。
(1) 端子18がモニタ端子に共用されており、端子18から出力信号およびモニタ信号の双方を得ることができる。モニタ信号を必要とする測定器等の評価装置(たとえば、LSI評価装置180:図5)では、出力信号とモニタ信号とを共通の端子18から得ることができる。測定器側では、端子18から得られる出力信号およびモニタ信号から信号処理によってモニタ信号をサンプリングすればよい。
(2) 端子18を出力端子およびモニタ端子に共用すれば、限られた専用のモニタ端子からモニタ信号を得る場合に比較し、豊富なモニタ信号を出力でき、評価、デバッグ、解析等の処理精度を高めることができる。
(3) 端子18を出力端子およびモニタ端子に共用させるので、回路装置2から専用のモニタ端子を削減することができる。
(4) モニタ端子の削減により、回路装置2のモニタ端子領域を低減できるので、通常出力に用いられる端子の設置等に有効活用できる。
(5) 第2の動作モードでは、出力部6から通常時の出力信号とモニタ信号とを同時に出力させることができる。
(6) 第2の動作モードでは、通常時の出力信号とモニタ信号とを同時に得ることができ、出力信号の出力に対応してモニタ信号の出力のリアルタイム性を向上させることができる。
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態について、図3を参照する。図3は第2の実施の形態に係るLSIを示している。図4はLSIの機能ブロックの構成例を示す図である。図3および図4に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
図3に示すLSI(Large Scale Integration circuit :大規模集積回路)22は、本開示の回路装置の一例である。このLSI22では、動作形態として既述の第1の動作モードの一例である通常モードと、第2の動作モードの一例である評価・デバッグモードとが選択可能であり、出力形態は各動作モードで異なっている。通常モードでは、LSI22に通常の動作が実行される。この通常モードでは、LSI22が持つ本来の機能を実行する動作である。一方、評価・デバッグモードでは、既述の通り、評価やデバッグ、解析等のための動作が実行される。
評価・デバッグモード(評価時)において、このLSI22では、通常モードで用いられる同期系クロックに対し、倍速以上の同期系クロックとして高速クロックをLSI22の内部で生成する。この高速クロックにより、機能ブロックを動作させ、外部デバイス(デバイス91、92、93:図5)に出力するデータに対し、通常の出力信号と、モニタ信号としてLSI22の内部で生成させた内部信号を出力する。これら出力信号とモニタ信号は同時に出力される。そして、モニタ信号を出力するモニタ端子に、通常出力のための端子が共用されている。
図3に示すLSI22には、一例として、クロック制御ブロック24、CPU26、メモリブロック28、複数の機能ブロック31、32、33、34、35、36、モニタ制御ブロック40が備えられている。これらはバス42で接続されて連係されている。また、図中の矢印を持つ線は、単一または複数の信号線を表している。
クロック制御ブロック24は、動作クロック生成機能と、高速クロック生成機能を備える。動作クロック生成機能では、通常モードで必要とするクロック速度で動作クロックが生成される。また、高速クロック生成機能は、既述の動作クロックの倍速以上の高速なクロックが生成される。このクロック制御ブロック24では、クロック入力端子44にLSI22の外部からのリファレンスクロックRCLKが加えられる。このクロック制御ブロック24では、リファレンスクロックRCLKを基準信号(または同期信号)として複数の動作クロックCLK1、CLK2、CLK3、CLK4、CLK5、高速クロックHCLK1、HCLK2が生成される。動作クロックCLK1、CLK2、CLK3、CLK4、CLK5は、LSI22の各機能ブロック31、32、33、34、35、36の通常モードの動作に用いられる。高速クロックHCLK1、HCLK2は、評価・デバッグモードにおいて、モニタ出力動作のみ用いる。
一例であるクロック制御ブロック24では、クロック生成手段として位相同期ループ(Phase-Locked Loop:PLL)回路241、242、243、244、フリップフロップ(Flip-Flop:FF)245、246、247が備えられている。PLL回路241では動作クロックCLK1が生成され、PLL回路242では動作クロックCLK2が生成される。
PLL回路243、244は高速クロック生成手段の一例であり、評価・デバッグモードにおいて、高速クロックHCLKを生成する。PLL回路243では、PLL回路241で生成された動作クロックCLK1を用いて、高速クロックHCLK1が生成される。PLL回路244では、PLL回路242で生成された動作クロックCLK2を用いて、高速クロックHCLK2が生成される。この高速クロックHCLK2は、機能ブロック33、36に加えられている。このPLL回路243、244は評価・デバッグモードの実行時に動作させ、通常モードでは動作を停止させる。従って、通常モードではPLL回路243、244での電力消費はなく、LSI22の消費電力を増加させることはない。
FF245、246、247はそれぞれ分周手段である。FF245では、PLL241の動作クロックCLK1が分周され、動作クロックCLK3が生成される。FF246では、動作クロックCLK3が分周され、動作クロックCLK4が生成される。FF247では、PLL242の動作クロックCLK2が分周され、動作クロックCLK5が生成される。
機能ブロック31、32、33、34、35、36は複数の回路素子や回路で構成され、それぞれはLSI22の機能を実現する。たとえば、機能ブロック32は、機能ブロック31に対応し、データの入力手段または出力手段を構成している。図4に示すように、この機能ブロック32は、内部バスインターフェース(InterFace :I/F)部3802、入力データ解析部3804、出力データ生成部3806、クロック選択信号生成部3808が備えられている。更に、クロックセレクタ(SEL)3810、セレクタ3811、3812、データ生成部3814、FF3816、3818、3820、INV3822が備えられている。このような構成により、機能ブロック32では、入力データの入力制御や、クロック出力、入力データ、出力データ、モニタイネーブル信号、モニタ信号の出力制御が行われる。
機能ブロック32の内部バスI/F部3802は、機能ブロック32のインターフェース部である。内部バスI/F部3802では、CPU26の制御により、評価・デバッグモードでは、評価・通常モード信号EMと、モニタ選択信号SL1、SL2が生成される。この評価・通常モード信号EMは、評価・デバッグモードにおいて、通常の出力信号とモニタ信号の双方を出力させる制御信号である。この評価・通常モード信号EMはクロック選択信号生成部3808およびデータ生成部3814に加えられている。モニタ選択信号SL1はSEL3811に加えられている。また、モニタ選択信号SL2はSEL3812に加えられている。
クロック選択信号生成部3808には、評価・デバッグモードで、内部バスI/F部3802の評価・通常モード信号EMが加えられ、クロック選択信号が生成される。クロックSEL3810では、このクロック選択信号により、動作クロックCLK1または高速クロックHCLK1の何れか一方が選択される。通常モードでは動作クロックCLK1が選択され、評価・デバッグモードでは高速クロックHCLK1が選択される。選択された動作クロックCLK1または高速クロックHCLK1はデータ生成部3814、FF3820に加えられ、データ生成部3814およびFF3820の同期クロックを構成する。
動作クロックCLK1は、入力データ解析部3804およびFF3816、3818に加えられるとともに、インバータ(Inverter:INV)3822で反転され、端子51から外部に出力されている。
入力データ解析部3804は、入力データの解析手段の一例であり、CPU26からの制御情報を内部バスI/F部3802から受け、入力データを解析する。この入力データ解析部3804には、動作クロックCLK1が加えられるとともに、端子52に加えられた入力データIDがFF3816に加えられ、FF3816の出力がFF3818に加えられている。これらFF3816、3818は分周回路を構成する。つまり、入力データ信号の分周出力が入力データ解析部3804に加えられている。そして、入力データの解析結果が入力データ解析部3804から機能ブロック31に加えられている。また、入力データ解部3804で生成された内部信号S1がセレクタ(Selector:SEL)3811、3812に加えられている。
出力データ生成部3806は、出力データの生成手段の一例であり、内部バスI/F部3802を通してCPU26からの制御情報を受け、出力データを生成する。この出力データ生成部3806は機能ブロック31から出力を受け、動作クロックCLK1に同期し、出力データおよび内部信号S2を生成する。この出力データはデータ生成部3814に加えられ、内部信号S2はSEL3811、3812に加えられる。内部信号S2は、内部信号S1とは生成元が異なり、異なる信号である。
SEL3811、3812はモニタ選択手段の一例であって、モニタ信号である内部信号S1、S2の何れかを選択する。これら内部信号S1、S2の選択には、モニタ選択信号SL1、SL2が用いられる。SEL3811では、モニタ選択信号SL1により内部信号S1、S2の何れかが選択され、モニタ信号M1として出力される。このモニタ信号M1がモニタ制御ブロック40に加えられる。また、SEL3812ではモード選択信号SL2により、内部信号S1、S2の何れかが選択され、モニタ信号M2として出力される。このモニタ信号M2がデータ生成部3814に加えられる。
データ生成部3814は、データ生成手段、データ出力手段であるとともに、クロックに同期させて出力信号またはモニタ信号を出力する手段の一例である。この実施の形態では、通常作モードと評価・デバッグモードとでは異なるデータ生成およびデータ出力をクロックに同期して出力させる。通常モードでは、データ生成部3814の出力データ即ち、機能ブロック32の出力信号のみが選択される。評価・デバッグモードでは機能ブロック32の出力信号と、SEL3812のモニタ信号が交互に選択される。モニタ信号が出力される場合、データ生成部3814にはモニタイネーブル信号MENが生成される。このモニタイネーブル信号MENはモニタ用イネーブル端子53から出力される。
そして、端子54の出力形態は通常モードと、評価・デバッグモードで異なる。通常モードでは、端子54にFF3820を経て出力信号ODが出力される。また、評価・デバッグモードでは、端子54に出力信号およびモニタ信号がFF3820を経て交互に出力される。従って、端子54は、通常モードで出力信号を出力する出力端子であり、評価・デバッグモードでモニタ信号を出力するモニタ端子に共用されている。このLSI22では、説明の簡略化のため、単一の端子54で表記しているが、この端子54は単一でもよいし、複数であってもよい。
このような機能ブロック31と機能ブロック32の関係は、機能ブロック33と機能ブロック34、機能ブロック35と機能ブロック36も同様である。従って、このLSI22には既述の端子51〜54と同様に、機能ブロック34側には端子61、62、63、64、機能ブロック36側には端子71、72、73、74が設けられている。つまり、端子64、74は、通常モードで出力信号を出力する出力端子であり、評価・デバッグモードでモニタ信号を出力するモニタ端子に共用されている。端子64、74は説明の簡略化のため、端子54と同様に単一の端子で表記しているが、各端子64、74のそれぞれは単一でもよいし、複数であってもよい。
モニタ制御ブロック40は従前のモニタ制御ブロックと同様であり、このLSI22ではモニタ制御ブロック40からモニタ信号も得られる構成である。このモニタ制御ブロック40では、SEL401、402とともに内部バスI/F部403が設置されている。内部バスI/F部403では、CPU26の制御により、モニタブロック選択信号が生成され、このモニタブロック選択信号がSEL401、402に加えられている。SEL401では、モニタ用クロックが選択され、モニタクロック端子81から外部に出力される。また、SEL402では、各機能ブロックのモニタ信号が選択され、モニタ端子82から出力される。SEL402で選択されるモニタ信号は、機能ブロック32のSEL3811で選択された機能ブロック32の内部信号S1、S2であり、同様に各機能ブロック33、35の内部信号がモニタ信号として選択される。モニタ端子82は単一の端子で表記しているが、単一でもよいし、複数であってもよい。この実施形態のモニタ制御ブロック40は、機能ブロック32、34、36がモニタ機能を備えているので、LSI22から除いてもよい。
CPU26は、メモリブロック28にあるプログラムを実行する既述のプロセッサの一例であり、クロック制御ブロック24、各機能ブロック31〜36の機能や動作を制御する。このCPU26はLSI22の内部に設置されているが、同様の制御手段をLSI22の外部回路として設置してもよい。このCPU26では、メモリブロック28にあるプログラムを実行し、通常モードまたは評価・デバッグモードが選択され、各モードの何れかを実行する。
メモリブロック28は半導体メモリ等の記録媒体で構成される。このメモリブロック28に代え、LSI22の外部記憶装置を用いてもよい。
次に、このLSI22の評価について、図5、図6および図7を参照する。図5はLSI評価装置の一例を示し、図6は通常モードを示し、図7は評価・デバッグモードを示している。図5において、図3、図4と同一部分には同一符号を付してある。
このLSI評価装置180は本開示のモニタ装置の一例である。図5に示すLSI評価装置180は評価基板182を備えている。この評価基板182では、既述のLSI22とともに、電源部84、外部PLL86、デバイス91、92、93、モニタ用コネクタ101、102が備えられている。
電源部84には外部電源110が接続されている。外部電源110の給電により、電源部84の出力がLSI22に供給されている。外部PLL86には既述のリファレンスクロックRCLKを生成させる。このリファレンスクロックRCLKは、既述のクロック入力端子44に加えられる。
デバイス91、92、93はそれぞれLSI22に接続される外部デバイスである。デバイス91は既述の機能ブロック32側に接続され、既述の端子51、52、53、54に接続されている。デバイス91には、端子51からクロック、端子53からモニタイネーブル信号、端子54から出力データが加えられている。また、LSI22の端子52にはデバイス91から入力データが加えられている。
デバイス92は既述の機能ブロック34側に接続され、既述の端子61、62、63、64に接続されている。また、デバイス93は既述の機能ブロック36側に接続され、既述の端子71、72、73、74に接続されている。デバイス92には、端子61からクロック、端子63からモニタイネーブル信号、端子64から出力データが加えられ、LSI22の端子62にはデバイス92から入力データが加えられている。また、デバイス93には、端子71からクロック、端子73からモニタイネーブル信号、端子74から出力データが加えられ、LSI22の端子72にはデバイス93から入力データが加えられている。
モニタ用コネクタ101には、端子53、63、73および端子54、64、74が接続され、モニタイネーブル信号およびモニタ信号が取り出される。また、モニタ用コネクタ102にはモニタクロック端子81およびモニタ端子82が接続され、モニタ用クロックおよびモニタ信号(モニタデータMD)が取り出される。そして、これらモニタ用コネクタ101、102には測定器112が接続されている。測定器112は本開示のモニタ装置の一例である。この測定器112では、LSI22のモニタ信号をモニタし、モニタ信号を用いて評価、デバッグ、解析等を行うLSI測定器であり、たとえば、ロジックアナライザー等が用いられる。
このようなLSI評価装置180では、端子54、64、74に接続された信号線が分岐され、端子54、64、74がモニタ用コネクタ101を介して測定器112に接続されている。この測定器112にはモニタイネーブル信号MENが加えられている。
評価・デバッグモードでは、既述の高速クロックHCLKが用いられ、測定器112がモニタイネーブル信号MENに基づき、モニタ信号である内部信号S1、S2(図4)がモニタされる。このモニタにより、LSI22の動作が確認される。
この場合、測定器112には、モニタ用制御ブロック40からのモニタ用クロックCLKおよびモニタ信号が加えられ、従前と同様のモニタも行われる。
このLSI評価装置80に設置されたLSI22において、通常モードでは、図6のAに示す動作クロックが得られる。この動作クロックの立ち下がりタイミングに同期することにより、図6のBに示すように出力データ1、2、3・・・が得られる。
これに対し、評価・デバッグモードでは、図7のAに示すように、通常モードで同様のクロックCLKが生成される。これにより、LSI22に対向するデバイス91、92、93が動作する。この場合、図7のBに示すように、出力データおよびモニタデータが得られる。この場合、出力データ1、2、3・・・nは、クロックの立ち下がりに同期してが切り替えられる。これら出力データ1、2、3・・・nと交互にモニタデータ1、2、3・・・nが出力され、モニタデータ1、2、3・・・nは、動作クロックの立上りに同期して切り替えられる。端子54、64、74には図7のBに示すように、出力データ1、2・・・nと、モニタデータ1、2・・・nとが交互に出力される。つまり、通常モードに用いられるクロックCLKの1周期区間に高速クロックHCLKは2周期分となっている。このため、この高速クロックHCLKに同期して出力される出力データ1およびモニタデータ1は、通常モードのデータ1(図6のB)の区間で出力される。
この場合、モニタデータ1、2、3・・・を取り込むには、図7のCに示すように、動作クロック(図7のA)の2分周のモニタクロックが用いられ、図7のDに示すモニタイネーブル信号MENが生成される。このモニタイネーブル信号MENにより、出力データとモニタデータとを区別することができる。
評価モードでは、図7のAに示す動作クロックCLKの降下タイミングt1 、t2 ・・・がモニタデータの取り込みタイミングに設定される。つまり、タイミングt1 、t2 ・・・において、モニタイネーブル信号MENのH(高)レベル区間でモニタデータの取り込みが可能となる。
このように、図7に示す動作タイミングは、LSI22に対向するデバイス91、92、93がLSI22が出力するクロックCLKの立上りエッジで動作する場合である。これにより、各デバイス91、92、93は、通常通りの動作を行い、測定器112ではモニタ信号をモニタすることができる。
このモニタデータのサンプリングについて、図8を参照する。図8は測定器112側のモニタデータ抽出回路の一例を示している。図8において、図3、図4および図5と同一部分には同一符号を付してある。
LSI22から出力された出力データおよびモニタデータはモニタ用コネクタ101から図8に示す測定器112に取り込まれる。測定器112のインターフェース部には、複数のサンプリング部121、122、123が設置されている。サンプリング部121、122、123は、モニタ用コネクタ101から出力される出力データおよびモニタデータからモニタデータのみをサンプリングする手段の一例である。この例では、モニタ用コネクタ101から出力されるモニタイネーブル信号MENが用いられ、交互に出力されるデータおよびモニタデータ(図7のB)からモニタデータが抽出される。これらモニタデータはデータ処理部130に加えられる。データ処理部130では、選択されたモニタデータによりLSI22の評価、デバッグ、解析等の処理が実行される。
次に、LSI22の評価およびデバッグの制御動作について、図9を参照する。図9は評価およびデバッグの処理手順の一例を示している。図9に示す処理手順は一例であって、本発明がこの処理手順に限定されるものではない。
図9の処理手順は、本開示のモニタ方法の一例である。この処理手順は、LSI評価装置180を用いてLSI22で実行される。この処理手順には、既述の通常モードと、評価・デバックモードが設定される。
この処理手順を実行させると、設定されたモードの判定処理が実行され(ステップS21)、評価・デバックモードか否かが判定される(ステップS22)。評価・デバッグモードでなければ(ステップS22のNO)、通常モードが実行される(ステップS23)。この通常モードは常時であり、この場合、通常の出力信号、即ち、出力データが対向するデバイス91、92、93に出力され、この処理を終了する。
評価・デバッグモードであれば(ステップS22のYES)、出力信号およびモニタ信号の選択が実行される(ステップS24)。このとき、モニタ信号を出力させるためのタイミングが生成される(ステップS25)。
モニタ出力タイミングであれば(ステップS26のYES)、モニタデータ出力が得られる(ステップS27)。このモニタデータが評価・デバッグに用いられ、LSI22の評価・デバッグが実行される。この実行の後、評価・デバッグモードの終了か否かが判定され(ステップS28)、評価・デバックモードを継続する場合には(ステップS28のNO)、出力タイミングによりモニタデータが継続的に出力される(ステップS26、S27)。そして、評価・デバックモードの終了であれば(ステップS28のYES)、この処理を終了する。
また、モニタ出力タイミングでなければ(ステップS26のNO)、通常データ出力が得られる(ステップS29)。この出力データは、対向するデバイス91、92、93で使用される。この実行の後、評価・デバッグモードの終了か否かが判定され(ステップS30)、評価・デバックモードを継続する場合には(ステップS30のNO)、出力タイミングにより通常データが継続的に出力される(ステップS26、S29)。そして、評価・デバックモードの終了であれば(ステップS30のYES)、この処理を終了する。
この第2の実施の形態について、特徴事項、利点および変形例を列挙する。
(1) 端子54は、通常モードで、出力端子を構成するのに対し、評価・デバッグモードでは通常の動作出力を発生する出力端子であるとともに、モニタ端子に共用される。つまり、評価・デバッグモードで、通常の出力信号とモニタ信号とを交互に出力させることができる。
(2) 通常モードでは既述の動作クロックCLK1が選択されるが、評価・デバッグモードでは、モニタ信号の出力に動作クロックCLK1の倍速以上の高速クロックHCLK1が使用される。通常モードの出力信号への影響を回避できる。
(3) 評価・デバッグモードでは、高速クロックHCLK1が使用され、出力信号とモニタ信号とが共通の端子54から交互に取り出される。端子54にはモニタ信号として内部信号S1、S2が選択されて出力される。多くの内部情報を端子54から出力信号と同時に出力させることができる。つまり、通常時の出力信号と多くの内部信号とをリアルタイムでモニタすることができる。
(4) 端子54はモニタ端子に共用されているので、この内部信号S1、S2を出力させる専用端子は不要である。新たな専用端子を設置することなく、多くの内部信号を出力できる。LSIに対するモニタ信号の取出し制限を受けることがなく、豊富な内部情報をモニタでき、LSIの評価やデバッグ、解析等の精度を上げることができる。
(5) LSI22では、モニタ制御ブロック40が併用されているので、モニタ制御ブロック40からもモニタ信号を出力させている。このため、LSI22から豊富な内部情報を得ることができ、LSI動作を詳細に確認することに寄与する。
(6) LSI22では、モニタ制御ブロック40を設置しているが、端子54からモニタ信号を出力させるので、モニタ制御ブロック40を省略してもよい。このようなモニタ制御ブロック40を省略すれば、モニタ制御ブロック40に代え、基板上にLSI22に求められる他の機能ブロックの設置の自由度が高められる。
(7) LSI22では、外部デバイスに対するインターフェースを持つ機能ブロック32、34、36のそれぞれにモニタ機能を備える構成としたが、これに限定されない。このようなモニタ機能は必要に応じて設置すればよく、また、他の機能ブロック31、33、35に既述のモニタ機能を設置してもよい。
(8) 評価時にはLSI内部にて通常の倍速以上の同期系クロックを生成し、その高速なクロックで機能ブロックを動作させることで、各デバイスに接続された外部端子から出力するデータに対し、通常信号と内部信号を出力し、その一方を測定器でサンプリングすることで、内部信号をモニタすることができることを特徴とする。
(9) 評価基板182(図5)では、LSI22から各デバイス91、92、93に出力データを伝送する信号線が評価基板182上でそれぞれ分岐され、その一方は各デバイス91、92、93に接続され、他方が評価基板182上のコネクタ101に接続されている。斯かる構成により、出力信号およびモニタ信号が各デバイス91、92、93および測定器112に伝送される。出力信号とモニタ信号の区別に使用されるモニタイネーブル信号MENを伝送する信号線も同様にモニタ用コネクタ101に接続されている。つまり、評価・デバッグ時には、高速なクロックが使用され、モニタ用コネクタ101に接続された測定器112ではモニタイネーブル信号MENを用いてLSI22の内部信号をモニタすることができる。これにより、測定器112では、デバイス91、92、93とともに動作しているLSI22の動作を確認できる。
(10) LSI22では、クロック制御ブロック24内に、より高速なクロックを生成するためのPLL回路243、244が備えられ、外部デバイス(たとえば、デバイス91、92、93:図5)とインターフェースを持つ各機能ブロック32、34、36内に、内部信号を選択する機能部(たとえば、内部バスI/F3802)、データ生成部3814、クロック選択信号生成部3808、クロック選択部であるクロックSEL3810が設置されている。外部デバイスに対する端子54、64、74に通常のデータとモニタ信号(選択された内部信号S1、S2)を交互に出力することができる。それにより、より多くのモニタ信号を同時にモニタすることが可能であり、より豊富なデバッグ情報を得ることができる。
(11) より高速なクロックを生成するためのPLL回路243、244は評価・デバッグモード時にのみ動作させればよい。このため、LSI22が製品となり、デバイスに実装される場合には、このPLL回路243、244は通常モードでは動作させる必要がないため、消費電流が増加することはない。効率的な評価・デバッグ動作を実現できる。
(12) 評価・デバッグモードでは、対向デバイスは通常通りの動作が行われ、既述のモニタ取り込みタイミングで、モニタ信号をモニタすることができる。
(13) LSIの評価、デバッグ、解析等を行う際に、より多くの内部信号を同時にモニタすることが可能となり、より豊富なデバッグ情報を得ることができる。たとえば、あるLSIの端子数はたとえば、236本(この236本の端子数において、入力端子:63本、出力端子:106本、双方向端子:67)とすれば、モニタ信号出力に適用可能な端子は、出力端子の47本、双方向端子の33本である。これらの端子について、内部信号をモニタ信号として出力できる時間や、モニタ信号を常時出力できない端子を想定してモニタ出力に利用できる出力端子を計算する。この場合、モニタ信号出力に利用できる出力端子はその本数に対し80〔%〕、同様に双方向端子は50〔%〕とすれば、出力端子でモニタ端子に共用できる本数は、モニタ専用端子の16本のみに比較し、約4倍以上の端子数となる。即ち、出力端子の効率的な利用とともに、既存の出力端子を利用して豊富なモニタ情報を得ることができる。
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態について、図10を参照する。図10は第3の実施の形態に係るLSIを示している。図10に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。図10において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
図10に示すLSI22の機能ブロック32には、モニタタイミング生成部3823が搭載されている。このモニタタイミング生成部3823は、CPU26(図3)からのレジスタ設定等で、モニタ信号を出力するタイミングやその出力時間を任意に設定することが可能である。その他の構成は第2の実施の形態のLSI22(図3)および機能ブロック32(図4)と同様であるので、その説明を割愛する。
斯かる構成とすれば、モニタ信号のタイミングを変更することができる。即ち、LSI22に対向するデバイス91、92、93(図3)の外部特性や、動作タイミングにモニタ信号のタイミングを変更することができる。
このモニタタイミング生成部3823を備えた場合の動作について、図11および図12を参照する。図11は既述の各デバイス91、92、93(図3)がクロックの立ち下がり(降下)エッジで動作する場合である。また、図12は既述の各デバイス91、92、93(図3)の外部特性が厳しい場合である。
図11のAは動作クロックを示す。図11のBは出力データおよびモニタデータであり、動作クロック(図11のA)に同期し、モニタデータ1、2、3・・・と出力データ1、2、3・・・が交互に出力される。この場合、モニタデータを取り出すためのモニタクロックには、図11のCに示すように、動作クロックを2分周した高速クロックを用いればよい。この場合、モニタタイミング生成部3823では、動作クロックを2分周した高速クロックが生成される。データ生成部3814には、図11のDに示すように、高速クロックに同期し、モニタデータ1、2、3・・・の時間幅をHレベルとするモニタイネーブル信号MENが生成される。この場合、たとえば、モニタイネーブル信号MENのHレベル区間で到来するモニタクロック(図11のC)の立ち上がりエッジがモニタデータの取り込みタイミングt1 、t2 、t3 ・・・に設定されている。このタイミングt1 、t2 、t3 ・・・により、モニタデータ1、2、3・・・が測定器112(図5)に取り込まれる。
各デバイス91、92、93(図3)の外部特性が厳しい場合には、図12に示す動作とすればよい。この場合、図12のAは動作クロックを示す。図12のBは出力データおよびモニタデータであり、動作クロック(図12のA)の立ち下がりに同期し、モニタデータ1、2、3・・・と出力データ1、2、3・・・が交互に出力される。この場合、出力データ1、2、3・・・の時間幅が長く設定され、その分だけ、各モニタデータ1、2、3・・・の時間幅は短くなっている。
このような短い時間幅のモニタデータを取り出すには、モニタクロックをより高速化すればよい。この場合、モニタタイミング生成部3823では、動作クロックを4分周した高速クロックが生成される。また、データ生成部3814には、図12のDに示すように、高速クロックに同期し、モニタデータ1、2、3・・・の時間幅をHレベルとするモニタイネーブル信号MENが生成される。この場合、たとえば、モニタイネーブル信号MENのHレベル区間で到来するモニタクロック(図12のC)の立ち上がりエッジがモニタデータの取り込みタイミングt1 、t2 、t3 ・・・に設定されている。このタイミングt1 、t2 、t3 ・・・により、モニタデータ1、2、3・・・が測定器112(図5)に取り込まれる。
このように、出力データ1、2、3・・・とモニタデータ1、2、3・・・とが交互に出力される。そして、測定器112には、出力データの出力タイミングと同時にモニタデータ1、2、3・・・が取り込まれ、LSI22の評価、デバッグ、解析等の処理が迅速に行われる。
このように、モニタタイミングをモニタタイミング生成部3823で生成すれば、タイミングの異なるより多くのインターフェースに適用することができる。しかも、対向するデバイスが要求する外部特性等の条件に合わせたモニタタイミングを設定できる。また、出力端子だけでなく、入出力の切り替えタイミングが規定された双方向端子においても、出力データとモニタデータの交互取出し機能を適用することができる。
この第3の実施の形態について、特徴事項や利点等を列挙する。
(1) LSI22では、モニタタイミング生成部3823が各機能ブロック32、34、36に備えられる。このため、CPU26からのレジスタ設定等で、モニタ信号を出力するタイミング、および、出力時間を任意に設定することができる。このため、対向デバイス(たとえば、デバイス91、92、93)の外部特性や、動作タイミングに合わせてモニタ信号の出力タイミングの設定や変更することができ、出力信号やモニタ信号を最適な出力タイミングや出力幅に設定できる。
(2) 対向デバイスの外部特性や、動作タイミングにモニタ信号の出力タイミングを合わせることができ、各種のインターフェースに利用できる。
〔第4の実施の形態〕
第4の実施の形態について、図13を参照する。図13は第4の実施の形態に係るLSIの構成例を示している。図13に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
この第4の実施の形態は、第3の実施の形態の機能ブロック32の具体的な構成例である。図13に示す機能ブロック32は、内部バスI/F部3802に複数の設定値を格納する設定レジスタ3824を備えている。これら設定レジスタ3824は、設定値を記憶する記憶手段の一例であり、CPU26の処理により情報設定が行われる。この設定レジスタ3824には評価・デバッグモードか通常モードかを表すモード設定値、モニタ出力タイミング、モニタ出力幅、モニタ選択情報等が格納される。
また、モニタタイミング生成部3823には、比較回路3826、3828および記憶部3830が備えられている。記憶部3830には、第1のテーブル3832、第2のテーブル3834が備えられている。テーブル3832にはタイミング情報が格納されている。また、テーブル3834には、モニタの出力幅情報が格納されている。比較回路3826は、設定レジスタ3824の設定値と、テーブル3832のタイミング情報を比較し、その比較結果を表す制御情報を出力する。また、比較回路3828は、設定レジスタ3824の設定値と、テーブル3834のモニタ出力幅を比較し、その比較結果を表す制御情報を出力する。これら制御情報はデータ生成部3814に加えられ、データ生成部3814から出力されるモニタ信号のタイミング、出力幅が制御される。
設定レジスタ3824には、図14に示すように、モード選択として、“評価" は評価・デバッグモード、“通常" は通常モードが設定される。評価・デバッグモードが選択された場合、モニタ出力タイミング、モニタ出力幅、何れの内部信号をモニタするかのモニタ選択等が設定される。モニタ出力タイミングについて、タイミング値N=1、2、3・・・が設定される。モニタ出力幅について、モニタ出力幅を表すM=1、2、3・・・が設定される。セレクタ3811、3812のモニタ選択1、2について、セレクタ3811には値L=1、2、3・・・が選択されて設定され、セレクタ3812には選択値S=1、2、3・・・が設定される。即ち、値L、Sはモニタ信号の選択情報である。
更に、この実施の形態では、SEL3811の出力側に第1のマスク回路3836、SEL3812の出力側に第2のマスク回路3838が備えられている。マスク回路3836、3838は、通常モードでモニタ信号をマスクし、評価・デバッグモードでモニタ信号を出力する出力切替え手段の一例である。この実施の形態では、設定レジスタ3824から通常モードを選択する選択信号が発せられると、各マスク回路3836、3838でモニタ信号がマスクされる。つまり、通常モードではモニタ信号は出力されない。
図14に示す設定レジスタ値3824は、CPU26で設定された一例である。この一例では、モニタ出力タイミングにはN=3が設定され、またモニタ出力幅にはM=2が設定されている。
テーブル3832には、図15のAに示すように、数値N=1、2・・・に対し、1サイクル目、2サイクル目、3サイクル目・・・のタイミングが格納される。また、テーブル3834には、図15のBに示すように、数値M=1、2・・・に対し、1/2サイクル、1/4サイクル・・・のタイミングが格納される。
このように、設定レジスタ3824の設定値と、テーブル3832のタイミング情報とが比較回路3826で比較され、タイミングを表す制御出力が得られる。この制御出力がデータ生成部3814に加えられ、モニタ信号の生成タイミングが制御される。
また、設定レジスタ3824に設定されたモニタ出力幅とテーブル3834のモニタ出力幅が比較回路3828で比較され、モニタ出力幅の制御情報が得られる。この制御情報がデータ生成部3814に加えられ、モニタ信号の出力幅が制御される。
次に、この実施の形態のLSI22の動作制御について、図16を参照する。図16は処理手順の一例を示している。図16に示す処理手順は一例であり、斯かる処理手順に本発明が限定されるものではない。
この処理手順は、本開示のモニタ方法の一例である。この処理手順を開始すると、モニタ出力の判定を行う(ステップS41)。この判定において、モニタ出力が選択されない場合には(ステップS42のNO)、通常データ出力が選択され(ステップS43)、通常の出力信号が出力される。
モニタ出力であれば(ステップS42のYES)、モニタ信号の選択設定が実行され(ステップS44)、CPU26から設定レジスタ3824の設定が行われる。この場合、モニタ選択1、モニタ選択2に対し、既述の設定値L、Sの値が設定される。即ち、CPU26からのレジスタ設定で、出力するモニタ信号が選択される。
この設定の後、モニタ信号の出力幅設定が実行される(ステップS45)。この設定も、CPU26から設定レジスタ3824の設定が行われる。この場合、モニタ信号の出力幅Mの値が設定される。即ち、出力データに対してモニタ出力をどれ位のデータ幅で出力するかが、CPU26によるレジスタ設定で実行される。
この出力幅設定の後、モニタ信号の出力タイミングの設定が行われる(ステップS46)。即ち、CPU26からのレジスタ設定で、設定レジスタ3824に対し、モニタ出力タイミングNの値が設定される。この設定ではモニタ信号をどのタイミングで出力するかが設定される。
この出力タイミング設定の後、評価・デバッグモード設定が行われる(ステップS47)。この評価・デバッグモード設定では、評価・デバッグモードを実行するか否かの設定が行われる。
このような設定を経て、モニタ信号の出力タイミングが監視される(ステップS48)。モニタ出力タイミングであれば(ステップS48のYES)、モニタデータ出力の処理を実行する(ステップS49)。また、モニタ出力タイミングでなければ(ステップS48のNO)、通常データ出力の処理を実行する(ステップS50)。
これらの出力処理毎に、評価・デバッグモードの終了が監視される(ステップS51、ステップS52)。評価・デバッグモードを実行する場合には(ステップS51、S52のNO)、ステップS48に戻り、モニタデータ出力または通常データ出力の処理を継続する。また、評価・デバッグモードを終了する場合には(ステップS51、S52のYES)、出力動作を終了する。
このような処理手順により、設定レジスタ3824に対する既述の各レジスタ設定で設定したタイミングや出力幅を持つモニタ信号が出力される。
この処理手順によれば、モニタ出力幅およびモニタ出力タイミングが、外部のデバイス91、92、93の動作に影響を及ぼさない値に設定でき、その値は設定レジスタ3824に任意に設定できる。各設定値は、内部記憶手段であるテーブル3832、3834に設定された値と比較され、最適な出力タイミングや出力幅に制御でき、確定させることができる。
そして、テーブル3832、3834に格納された値はレジスタ設定値と比較回路3826、3828で比較され、その比較結果がデータ生成部3814に送出される。これによりデータ生成部3814では、設定されたタイミングおよび出力幅で出力データおよびモニタデータが生成される。これら出力データおよびモニタデータは、出力信号およびモニタ信号として共用される端子54、64、74から出力される。
次に、このような出力信号およびモニタ信号の出力機能について、実際のインターフェースの場合に言及する。この場合、LSI22に対向するデバイス91、92、93の外部特性について、図17を参照する。図17は、対向デバイスの外部特性例を示している。この外部特性では、図17のAに示すように、出力クロックが50〔MHz〕であり、その周期T1 が20〔ns〕である。これに対し、出力データでは、図17のBに示すように、バスフリー時間T2 とデータ確定時間T3 を有する。この場合、データ確定時間T3 では、セットアップ時間T4 が4〔ns〕、ホールド時間T5 が8〔ns〕である。
データ確定時間T3 =12〔ns〕は、出力データを確定していなければならない時間的範囲となる。これに対し、バスフリー時間T2 の時間範囲では出力データ以外の出力があっても、即ち、モニタ信号が出力されても、出力データを受けるデバイス側に影響を及ぼさない時間である。
このような外部特性を持つデバイスであれば、バスフリー時間T2 に対し、モニタデータ即ち、モニタ信号を出力させればよい。この場合の設定例を図18に示す。図18において、Aは設定レジスタ3824の設定レジスタ値、Bはテーブル3832のタイミング値、Cはテーブル3834の出力幅値を示している。
既述の通り、CPU26からのレジスタ設定により、モニタ出力タイミングにN=3を設定すれば、テーブル3832のN=3と比較される。この比較の結果、モニタ出力タイミングには3cycle目が選択される。同様に、CPU26からのレジスタ設定により、モニタ出力幅M=2が設定すれば、テーブル3834のM=2と比較される。この比較の結果、モニタ出力幅には、1/4cycleが選択される。これらの設定値から、データ生成部3814に、出力幅および出力タイミングを持つモニタデータが生成され、このモニタデータを表す出力信号がたとえば、端子54から出力される。
この出力データおよびモニタデータについて、図19を参照する。図19は既述の設定値による動作タイミングを示している。
図19のAは出力クロックを示し、この出力クロックは対向デバイスの外部特性の出力クロック(図17のA)と同一である。この出力クロックに同期することにより、図19のBに示すように、モニタデータ1、2・・・と出力データ1、2・・・が交互に出力される。モニタデータと出力データが出力クロックの周期T1 内で生成される。
モニタクロックには、図19のCに示すように、モニタ出力幅には、1/4cycleが選択され、これに対応し、出力クロックを4分周した高速クロックが生成されている。そして、モニタデータを出力データと区別するためのモニタイネーブル信号MENは、図19のDに示すように、モニタデータ1、2・・・に対応する時間幅で生成されている。従って、モニタデータは、図19のB、Cの比較から明らかなように、モニタデータの出力幅には既述のM=2により1/4cycle、その出力タイミングはモニタクロックの3cycle目である。
このように対向デバイスの外部特性に合致するように、出力データおよびモニタデータがモニタ端子に共用された端子54(64、74)から出力される。モニタデータは、対向デバイスの動作に何らの影響を与えることがなく、出力信号と同時に豊富なモニタ情報が得られる。このようなモニタデータを用いれば、LSIの評価や解析等の処理を効率良く且つ高精度に行うことができる。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、モニタ信号の出力に共用できる端子として既述の端子54、64、74等の出力端子を例示したが、これに限定されない。入出力の切り替えタイミングが明確であれば、入出力に用いられる双方向端子をモニタ信号の出力に共用させてもよい。
(2) 上記実施の形態では、回路装置としてLSI22(第2、第3および第4の実施の形態)を例示したが、これに限定されない。本開示の回路装置は、SRAMのインターフェース部に適用することができる。一般的なインターフェースとして知られる従来のSRAMインターフェースには、SRAMインターフェース機能を司る機能ブロックに対し、第4の実施の形態と同様の構成を用いればよい。即ち、従来のSRAMインターフェースに対し、評価・デバッグモードで、高速なクロックを選択するクロック選択信号生成部3808、クロック選択部(クロックSEL3810)を実装する。更に、出力データに対して内部信号を選択して出力するデータ生成部3814、モニタタイミング生成部3823を実装する。つまり、SRAMインターフェースにおいても、出力データを出力させる端子54をモニタ信号の取出しに共用することができる。
図20は、斯かる回路構成からなるSRAMインターフェースの動作タイミングを示している。図20のAはクロック、図20のBは出力端子であるADD端子のデータ出力であり、上記した機能によりアドレスデータとモニタデータとを交互に出力させている。図20のCは双方向端子であるA/DQ端子に得られるデータ出力である。既述したように、規則性のあるアドレスデータ、各データ1、2、3・・・nとモニタデータとが交互に出力されている。図20のDはアドレス信号、図20のEはチップ選択に用いられるチップイネーブル信号、図20のFはデータ出力を有効にするアウトプットイネーブル信号、図20のGはメモリへのデータ書込みに用いるライトイネーブル信号、図20のHは出力データが出力できるまでの待機信号である。図20のHでは高インピーダンス(Hi−Z)を示している。そして、図20のIは高速なモニタクロックであり、図20のJはモニタイネーブル信号である。
このようなモニタイネーブル信号(図20のJ)と高速なモニタクロック(図20のI)を用いれば、図20のB、図20のCの出力データに含まれるモニタデータを取り込むことができる。これにより、ADD端子〔8:0〕は、9〔ビット〕のアドレスデータ、A/DQ端子〔15:0〕の16〔ビット〕のアドレスまたはデータに用いられているので、これらをモニタ端子に共用すれば、24〔ビット〕のモニタデータを取出しに利用できる。共用された出力端子や双方向端子の利用により、効率的なモニタデータの出力が可能である。
この場合、SRAMインターフェースは必要に応じて動作させ、継続して使用されないインターフェースである。そこで、不使用時間では、ADD端子およびA/DQ端子をモニタ端子に使用でき、図21に示すように、モニタデータの出力のみに利用できる。図21において、A、B・・・Jは図20と同様であるので、その説明を割愛する。
(3) 上記実施の形態では、各機能ブロック32、34、36に対し、各デバイス91、92、93とのインターフェースを持つ端子54、64、74を出力端子およびモニタ端子に共用させ、上記機能を適用しているが、これに限定されない。LSI22等の回路装置に内蔵される1つの機能ブロックや、4以上の機能ブロックに上記機能を適用してもよい。
〔比較例〕
比較例のLSIおよびLSI評価装置について、図22および図23を参照する。図22はLSIを示し、図23はLSI評価装置を示している。
図22に示すLSI1022には、クロック制御ブロック1024、CPU1026、メモリブロック1028、複数の機能ブロック1031、1032、1033、1035およびモニタ制御ブロック1040が備えられている。これらの機能部はバス1042で接続されている。
このLSI1022では、モニタ用クロックMCLKがモニタクロック端子1081から出力される。また、各機能ブロック1032等から出力されるモニタ信号はモニタ端子1082から出力される。
このようなLSI1022では、モニタ端子1082に得られるモニタデータMDにより、LSI1022の評価、デバッグ、解析等が行われる。また、LSI1022に異常状態が発生した際のデバッグや、解析用にLSI1022の内部信号がモニタ信号として出力される。モニタ端子1082は、モニタ信号を得るための端子であり、LSI1022の本来の機能には無関係な専用端子である。
このLSI1022の評価やデバッグに用いるLSI評価装置1180は、図23に示すように、評価基板1182を備える。この評価基板1182には、既述のLSI1022、電源部1084、外部PLL1086、デバイス1091、1092、1093およびモニタ用コネクタ1102が搭載されている。LSI1022は外部電源1110に接続された電源部1084から給電される。モニタ用コネクタ1102にはロジックアナライザー等の測定器1112が接続されている。
このように比較例では、LSI1022の評価はそれぞれのインターフェースに対し対向するデバイス1091、1092、1093も実装された状態で行われる。そのため、各デバイス1091、1092、1093に接続された各端子は、そのインターフェース以外に使用することができない。モニタ端子1082は評価基板1182上のモニタ用コネクタ1102に接続されており、評価時には、そのコネクタ1102に測定器1112を接続することで、出力される内部信号のモニタを行い、LSI1022の動作を確認する。つまり、各機能ブロック1032、1033、1035内の信号のうち、評価、デバッグ、解析等を効率的に行うために必要な内部信号は、各機能ブロック内で選択され、モニタ信号としてモニタ制御ブロック1040に出力する。これは各ブロック間の信号線の数を少なくし、論理合成などを容易に行うためである。モニタ制御ブロック1040に出力する内部信号を選択するモニタ選択信号は、CPU1026からのレジスタ設定等で設定される。
モニタ制御ブロック1040では、各機能ブロック1031、1032、1033、1035からのモニタ信号の中から何れの機能ブロック1031、1032、1033、1035からのモニタ信号を専用のモニタ端子1082に出力するかを選択する。その選択に使用するモニタブロック選択信号もCPU1026からのレジスタ設定等で設定する。また、測定器1112でモニタするために必要なモニタ用クロックも、モニタ信号に合わせて同様に選択され、モニタ出力端子1081から出力される。これにより、専用のモニタ端子1082からLSI1022の内部の任意の内部信号をモニタ信号として測定器1112で観測することができ、LSI1022の動作を確認できる。
ところで、LSI1022と接続されているデバイス1091、1092、1093は、デバイス1091、1092、1093毎に許容する動作速度やタイミングが異なり、LSI1022はそれに適合するように、出力クロックの速度や出力データの位相を生成し出力している。そのため、LSI1022内部は複数のクロック周波数で動作しているが、設計の容易性や品質確保を考慮し、可能な限り同期系即ち、同一クロックまたは、その分周周波数で動作するように回路が構成される。
このようなLSI1022の評価やデバッグ、解析等の精度を上げるには、モニタ端子の数が多ければ、豊富なデバッグ情報等、モニタデータを得ることができる。しかし、LSIでは、実装する機能によってサイズが決定される。このサイズによって、端子数の上限値も決定される。端子数が制限されると、自ずとモニタに使用可能な専用のモニタ端子の数も限られる。限られた数のモニタ端子では、十分なモニタデータが得られないか、モニタに時間を要するといった不都合がある。
また、LSIの多機能化、および回路構成の複雑化は、LSIの評価、デバッグ、解析等を効率的に行うために、LSIからより多くの内部信号をリアルタイムにモニタすることが要請されている。
このような要請や既述の不都合は、既述の実施の形態によって解決されていることは明らかである。
以上説明したように、回路装置、モニタ装置およびモニタ方法の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。