JP2012132411A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、内燃機関の制御装置に関し、複数種類の燃料が使用される場合においても拡散燃焼を確実に成立させることを目的とする。
【解決手段】本発明の内燃機関の制御装置は、複数種類の燃料を使用可能であり、筒内に噴射した燃料を拡散燃焼させる内燃機関を制御する装置であって、使用される燃料の着火性指標を検出または推定する燃料性状取得手段と、燃料性状取得手段により取得された着火性指標に基づいて、使用される燃料の気化潜熱を算出する気化潜熱算出手段と、気化潜熱算出手段により算出された気化潜熱に基づいて燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
特開2007−56783号公報には、冬期に低セタン価燃料を使用するディーゼル機関の運転状態を制御するディーゼル機関の制御装置において、外気温が低い場合には、低セタン価燃料が使用されていると判断して、メイン噴射時期を進角側に変更する補正またはパイロット噴射量を増量する補正のいずれか一方の補正を実行する技術が開示されている。
特開2007−56783号公報 特開2008−106706号公報
従来、拡散燃焼を行う内燃機関(ディーゼル機関)の燃料としては、軽油が一般に用いられている。これに対し、近年、地球環境問題や資源問題等の観点から、内燃機関に対し代替燃料を使用する必要が生じている。これに伴い、拡散燃焼を行う内燃機関においても、多種多様な燃料に対応可能な内燃機関の開発が望まれている。しかしながら、上記従来の技術は、市販される燃料の特性が季節によって多少変化することを想定しているだけであり、種類の異なる燃料の使用までは想定していない。
拡散燃焼を行うためには、燃料を自着火させる必要がある。このため、従来、拡散燃焼を行う内燃機関では、特性の異なる複数種類の燃料に対応することが困難である。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、複数種類の燃料が使用される場合においても拡散燃焼を確実に成立させることのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
複数種類の燃料を使用可能であり、筒内に噴射した燃料を拡散燃焼させる内燃機関を制御する装置であって、
使用される燃料の着火性指標を検出または推定する燃料性状取得手段と、
前記燃料性状取得手段により取得された着火性指標に基づいて、使用される燃料の気化潜熱を算出する気化潜熱算出手段と、
前記気化潜熱算出手段により算出された気化潜熱に基づいて燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
筒内に、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を行うパイロット噴射手段を備え、
前記燃料噴射量決定手段は、前記パイロット噴射の噴射量を決定することを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、
前記燃料噴射量決定手段は、所定の基準燃料100%の燃料が使用されるとした場合に前記パイロット噴射で発生する熱量と、前記気化潜熱とに基づいて、前記パイロット噴射の噴射量を決定することを特徴とする。
また、第4の発明は、第3の発明において、
前記基準燃料が軽油であることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
燃料中の水分量を検出または推定する水分量取得手段を備え、
前記燃料噴射量決定手段は、前記水分量取得手段により取得された水分量に基づいて、燃料噴射量を補正する手段を含むことを特徴とする。
また、第6の発明は、第1または第2の発明において、
前記内燃機関の排気ガスを吸気系に再循環させる排気ガス再循環を行う排気ガス再循環装置と、
再循環する排気ガスの割合を取得する排気ガス再循環割合取得手段と、
を備え、
前記燃料噴射量決定手段は、所定の燃料特性指標に基づいて燃料噴射量を増量補正する増量手段を含み、
前記増量手段は、前記排気ガス再循環割合取得手段により取得された排気ガス再循環割合が高い場合には、該排気ガス再循環割合が低い場合に比して、増量幅を大きくすることを特徴とする。
また、第7の発明は、第6の発明において、
前記所定の燃料特性指標は、自着火温度、気化潜熱、比熱、低位発熱量のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。
また、第8の発明は、第1または第2の発明において、
前記内燃機関の排気ガスを吸気系に再循環させる排気ガス再循環を行う排気ガス再循環装置と、
再循環する排気ガスの割合を取得する排気ガス再循環割合取得手段と、
前記排気ガス再循環割合取得手段により取得された排気ガス再循環割合に基づいて、圧縮前の筒内のガスの比熱比を算出する比熱比算出手段と、
前記比熱比算出手段により算出された比熱比に基づいて、前記筒内のガスが断熱圧縮された場合の圧縮端での温度を算出する圧縮端温度算出手段と、
を備え、
前記燃料噴射量決定手段は、前記気化潜熱算出手段により算出された気化潜熱と、前記圧縮端温度算出手段により算出された温度とに基づいて、燃料噴射量を決定することを特徴とする。
また、第9の発明は、第8の発明において、
前記排気ガス再循環装置は、前記内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化装置に流入する前の排気ガスを再循環させる第1の装置と、前記排気浄化装置を通過した後の排気ガスを再循環させる第2の装置とを含み、
前記比熱比算出手段は、前記第2の装置のみにより排気ガス再循環が行われている場合または前記第2の装置による排気ガス再循環量が前記第1の装置による排気ガス再循環量より多い場合には、前記第1の装置のみにより排気ガス再循環が行われている場合または前記第1の装置による排気ガス再循環量が前記第2の装置による排気ガス再循環量より多い場合と比べて、比熱比の算出値を小さくする方向に補正することを特徴とする。
第1の発明によれば、燃料の気化潜熱に基づいて燃料噴射量を決定することができるので、気化潜熱の異なる異種の燃料が使用される場合においても、燃料を確実に着火させることができ、良好な拡散燃焼を成立させることができる。
第2の発明によれば、燃料の気化潜熱に基づいてパイロット噴射の噴射量を決定することにより、気化潜熱の異なる異種の燃料が使用される場合においても、メイン噴射開始時の筒内温度を十分に上昇させることができる。このため、メイン噴射の燃料を確実に着火させることができ、良好な拡散燃焼を成立させることができる。
第3の発明によれば、所定の基準燃料が使用される場合のパイロット噴射量の適合値を用いて、異種の燃料を使用する場合のパイロット噴射量を高精度に算出することができる。
第4の発明によれば、軽油が使用される場合のパイロット噴射量の適合値を用いて、異種の燃料を使用する場合のパイロット噴射量を高精度に算出することができる。
第5の発明によれば、燃料中に水分が含有される場合においても、拡散燃焼を確実に成立させることができる。
第6の発明によれば、着火性が低く、排気ガス再循環(EGR)の影響を受け易い燃料が使用されている場合においても、拡散燃焼を確実に成立させることができる。
第7の発明によれば、着火性が低く、排気ガス再循環(EGR)の影響を受け易い燃料が使用されている場合においても、拡散燃焼を確実に成立させることができる。
第8の発明によれば、着火性が低く、排気ガス再循環(EGR)の影響を受け易い燃料が使用されている場合においても、拡散燃焼を確実に成立させることができる。
第9の発明によれば、排気浄化装置に流入する前の排気ガスを再循環させる第1のEGR装置と、排気浄化装置を通過した後の排気ガスを再循環させる第2のEGR装置とを備えたシステムにおいても、圧縮前の筒内ガスの比熱比を高精度に推定することができる。このため、そのようなシステムにおいて、着火性が低く、排気ガス再循環(EGR)の影響を受け易い燃料が使用されている場合であっても、拡散燃焼を確実に成立させることができる。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 燃料インジェクタに対する駆動信号を示す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 軽油100%の場合のパイロット噴射量を算出するためのマップである。 燃料の着火性指標(セタン価)と気化潜熱と低位発熱量と密度との関係を示すマップである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 燃料の着火性指標(セタン価)と気化潜熱と低位発熱量と密度との関係を示すマップである。 本発明の実施の形態3においてパイロット噴射量の増量補正項を算出するためのマップである。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4におけるEGR率のマップである。 圧縮前の筒内ガスの比熱比κとEGR率との関係を示すマップである。 実用自発火温度と燃料の組成との関係を示すマップである。 パイロット噴射の正味発熱量と、筒内温度の上昇幅との関係を示すマップである。 圧縮前の筒内ガスの比熱比κとEGR率との関係を示すマップである。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、複数種類の燃料を使用可能であり、筒内に噴射した燃料を拡散燃焼させる内燃機関(圧縮着火式内燃機関)10を備えている。この内燃機関10は、車両等の動力源として好ましく用いられる。内燃機関10の気筒数および気筒配置は特に限定されるものではなく、図1中には一つの気筒の断面が示されている。本実施形態の内燃機関10は、燃料として、軽油、ガソリン、エタノール、およびこれらの混合物を使用可能であるが、本発明では、これらの燃料に限定されず、他の各種燃料を使用可能なものであってもよい。
内燃機関10の気筒には、ピストン11と、吸気弁12と、排気弁13と、筒内に直接に燃料を噴射する燃料インジェクタ14と、グロープラグ15とが設けられている。燃料インジェクタ14は、コモンレール16に接続されている。燃料タンク17内の燃料は、高圧ポンプ18により加圧されてコモンレール16に送られる。コモンレール16内に貯留された高圧の燃料が、各気筒の燃料インジェクタ14へ供給される。
燃料タンク17から高圧ポンプ18への燃料経路の途中には、燃料性状センサ19が設けられている。本実施形態の燃料性状センサ19は、燃料の着火性の指標(例えばセタン価)を検出可能になっている。本実施形態では、この燃料性状センサ19によって燃料の着火性指標を検出するものとするが、本発明では、他のセンサ(例えば筒内圧センサ)の検出結果を用いた推定によって燃料の着火性指標を求めるようにしてもよい。燃料の着火性指標を推定によって求める方法は公知であるため、説明を省略する。
また、内燃機関10の気筒には、吸気通路20と排気通路21とがそれぞれ筒内に連通可能に接続されている。吸気通路20は、ターボチャージャ22のコンプレッサ23に接続されている。排気通路21は、ターボチャージャ22のタービン24に接続されている。タービン24には、可変ノズルベーン25が設けられている。内燃機関10の排気ガスがタービン24を通ってタービン24を駆動し、タービン24がコンプレッサ23を駆動する。エアクリーナ26を通って吸気通路27に吸入された空気は、コンプレッサ23により圧縮されて、吸気通路20に流入する。そして、吸気通路20の途中に設けられたインタークーラ28によって冷却された上で、気筒内に吸入される。吸気通路27には、吸入空気量を検出するエアフローメータ29が設置されている。吸気通路20には、吸入空気量を制御するための電子制御式のスロットル弁30と、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ31と、筒内に流入する空気の温度を検出する吸気温度センサ32とが設置されている。
タービン24の下流側の排気通路33の途中には、排気ガスを浄化する排気浄化装置34が設置されている。排気浄化装置34は、例えば、酸化触媒、パティキュレートフィルタ、NOx触媒、またはこれらの組み合わせなどで構成される。
本実施形態の内燃機関10は、排気ガスを吸気系に再循環させる排気ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)を行うことのできるEGR装置を備えている。このEGR装置は、排気通路21と吸気通路20とを接続するEGR通路35と、このEGR通路35の途中に設けられたEGRクーラ36およびEGR弁37とを備えている。EGRクーラ36は、再循環する排気ガス(以下、「EGRガス」と称する)を冷却する。EGR弁37は、EGR量を制御するための電子制御式の弁である。
本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50とを備えている。ECU50には、上述した各種のセンサのほかに、内燃機関10のクランク軸38の回転角度を検出するクランク角センサ39と、車両の運転席のアクセルペダル位置(以下、「アクセル開度」と称する)を検出するアクセルポジションセンサ40とがそれぞれ電気的に接続されている。また、ECU50には、上述した各種のアクチュエータが電気的に接続されている。なお、燃料インジェクタ14は、電子駆動ユニット41を介してECU50に接続されている。ECU50は、各センサの出力に基づき、所定のプログラムに従って各アクチュエータを作動させることにより、内燃機関10の運転を制御する。
燃料インジェクタ14からは、1サイクル中に複数回、燃料を筒内に噴射することができる。図2は、燃料インジェクタ14に対する駆動信号を示す図である。図2に示すように、内燃機関10では、燃料インジェクタ14からの燃料噴射として、メイン噴射のほかに、それに先立つパイロット噴射を行うことができる。図2に示すように、パイロット噴射は、複数回実施することもできる。以下の説明では、パイロット噴射で噴射される燃料の量を「パイロット噴射量」と称する。なお、内燃機関10では、パイロット噴射およびメイン噴射以外の燃料噴射を更に行ってもよい。例えば、メイン噴射より後に、アフター噴射、ポスト噴射などを実施してもよい。
一般に、パイロット噴射を行うことにより、メイン噴射の前にパイロット噴射された燃料の燃焼によって筒内温度を上昇させることができるので、メイン噴射された燃料の拡散燃焼を良好に行わせることができる。しかしながら、ガソリンやエタノールが燃料として用いられる場合には、軽油の場合と同量のパイロット噴射を行っても、メイン噴射の拡散燃焼を良好に行わせることが困難である。これは、ガソリンやエタノールの着火性が軽油と比べて低いことだけでなく、ガソリンやエタノールの気化潜熱が軽油より大きいことが主な原因である。すなわち、ガソリンやエタノールが燃料として用いられる場合には、パイロット噴射された燃料が気化する際に吸収する熱量が大きいために筒内温度が十分に上昇せず、その結果、メイン噴射の良好な拡散燃焼が妨げられる。
上記の事項に鑑みて、本実施形態では、燃料性状センサ19によって検出される着火性指標に基づいて燃料の気化潜熱を算出し、その気化潜熱に基づいてパイロット噴射量を決定することとした。これにより、気化潜熱の大きいガソリンやエタノールが燃料として使用される場合であっても、メイン噴射開始時の筒内温度を十分に高くすることができ、メイン噴射の良好な拡散燃焼を成立させることができる。
図3は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、本ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。なお、本ルーチンは、クランク角に同期してサイクル毎に実行される。
図3に示すルーチンによれば、まず、クランク角センサ39により検出される機関回転速度Neと、アクセルポジションセンサ40により検出されるアクセル開度とが取得される(ステップ100)。続いて、アクセル開度に基づいて機関負荷qfinが算出される(ステップ102)。続いて、軽油100%の燃料が使用されるとした場合のパイロット噴射量qD_pl[mm3]が算出される(ステップ104)。図4は、軽油100%の場合のパイロット噴射量qD_plを算出するためのマップである。図4に示すマップでは、内燃機関10の運転領域が機関回転速度と機関負荷とに応じて複数の領域に区画され、各区画毎にパイロット噴射量が定められている。図4に示すマップでは、機関負荷が高い領域ではパイロット噴射量が多く、機関負荷が低い領域ではパイロット噴射量が少なくなるように定められている。上記ステップ104では、上記ステップ100および102で取得された機関回転速度Neおよび機関負荷qfinと、図4に示すマップとに基づいて軽油100%の場合のパイロット噴射量qD_plが算出される。
次いで、要求パイロット発熱量Q_pl[J]が次式により算出される(ステップ106)。
Q_pl=(LHVD/103−LVD)*qD_pl/103*dD ・・・(1)
上記(1)式中、LHVDは軽油の低位発熱量[MJ/kg]、LVD[kJ/kg]は軽油の気化潜熱、dDは軽油の密度[g/cc]である。上記(1)式が示すように、要求パイロット発熱量Q_plは、軽油100%の場合のパイロット噴射量qD_plの燃料の燃焼によって発生する熱量から当該燃料の気化潜熱を差し引いたものである。すなわち、要求パイロット発熱量Q_plは、軽油100%の場合のパイロット噴射によって筒内のガスに与えられる正味の熱量の値に相当する。
続いて、内燃機関10に対して現在使用されている燃料(以下、「現燃料」と称する)の着火性指標CNが取得される(ステップ108)。前述したように、本実施形態では、着火性指標CN(以下ではセタン価とする)は、燃料性状センサ19により検出される。
次いで、上記ステップ108で取得された着火性指標CNに基づいて、現燃料の気化潜熱LV[kJ/kg]、低位発熱量LHV[MJ/kg]、および密度d[g/cc]がそれぞれ算出される(ステップ110,112,114)。図5は、燃料の着火性指標(セタン価)と気化潜熱と低位発熱量と密度との関係を示すマップである。図5の横軸は、燃料の組成を表しており、左端が軽油100%、中央がガソリン100%、右端がエタノール100%であり、左端と中央の間は軽油とガソリンの混合比率、中央と右端の間はガソリンとエタノールの混合比率を表している。図5に示す関係は、軽油、ガソリン、およびエタノールの物性値により定まる。ECU50には、図5に示すようなマップが予め記憶されている。ステップ110,112,114では、このマップと上記ステップ108で取得された現燃料の着火性指標CNとを照合することに、現燃料の気化潜熱LV、低位発熱量LHV、および密度dがそれぞれ算出される。例えば、着火性指標CNが図5中に示す値であった場合には、気化潜熱LV、低位発熱量LHV、および密度dがそれぞれ図5中に示す値として算出される。この例の場合、現燃料は軽油とガソリンとの混合物である。
上記のようにして取得された現燃料の気化潜熱LV、低位発熱量LHV、および密度dに基づいて、要求パイロット発熱量Q_plを満足するために必要な現燃料のパイロット噴射量q_pl[mm3]が次式により算出される(ステップ118)。
q_pl=Q_pl/(LHV/103−LV)/d*103 ・・・(2)
そして、その算出されたパイロット噴射量q_plに基づき、パイロット噴射制御が実行される(ステップ120)。
以上説明した本実施形態の制御によれば、使用される燃料の種類にかかわらず、パイロット噴射による発熱量を軽油100%の場合と同等に制御することができる。このため、メイン噴射が行われるときの筒内温度を十分に高くすることができるので、使用される燃料の種類にかかわらず、良好な拡散燃焼を成立させることができる。また、燃料タンク17に異種の燃料が給油され、燃料の性状(組成)が連続的に変化したような場合であっても、それに対応してパイロット噴射量を精度良く制御することができる。このため、そのような場合においても、パイロット噴射による燃焼制御を良好に行うことができ、燃焼騒音、NOx、スモークなどの悪化を回避することができる。
なお、パイロット噴射を複数回行う場合には、各回のパイロット噴射量を上記と同様に算出して制御すればよい。また、本実施形態では、パイロット噴射による発熱量が軽油100%の場合と同等になるように制御しているが、現燃料の着火性指標CNなどに応じて、パイロット噴射による発熱量が軽油100%の場合より多くなるように制御してもよい。
また、上述した実施の形態1においては、燃料性状センサ19が前記第1の発明における「燃料性状取得手段」に、要求パイロット発熱量Q_plが前記第3の発明における「熱量」に、それぞれに相当している。また、ECU50が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第1の発明における「気化潜熱算出手段」が、上記ステップ116の処理を実行することにより前記第1の発明における「燃料噴射量決定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図6および図7を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
エタノールを含有する燃料が使用される場合、エタノールは吸湿性が高いため、燃料中に水分が存在する場合がある。水は、気化潜熱が非常に大きく、密度も大きい。このため、燃料中に水分が存在する場合に、水分の存在を考慮しないでパイロット噴射量を決定した場合には、パイロット噴射による発熱量が低下して、メイン噴射の拡散燃焼を良好に行うことができない可能性がある。この点を改善するため、本実施形態では、燃料中に水分に基づいて、パイロット噴射量を補正することとした。
本実施形態のシステム構成は、図1に示す実施の形態1とほぼ同様であるので、図示は省略する。ただし、本実施形態において、燃料性状センサ19には、着火性指標CNを検出するセンサのほかに、燃料中のエタノールの割合を検出可能なアルコールセンサと、燃料中の水分の割合を検出可能な水分センサとが更に含まれているものとする。ただし、本発明では、燃料中のエタノールや水分の割合をセンサにより直接に検出するのではなく、推定によって求めるようにしてもよい。
図6は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、図6において、図3に示すルーチンのステップと同一のステップには、同一の符号を付してその説明を省略または簡略化する。図6のルーチンは、図3のルーチンと比べ、ステップ106,108の間にステップ120,122,124が挿入されていること以外は同じである。
本実施形態では、ステップ106で要求パイロット発熱量Q_plが算出された後、燃料性状センサ19内のアルコールセンサおよび水分センサにより、現燃料中のエタノールの質量割合XEおよび水の質量割合XWがそれぞれ測定される(ステップ120,122)。そして、その測定されたエタノール質量割合XEおよび水質量割合XWの値に基づいて、燃料の着火性指標(セタン価)と気化潜熱と低位発熱量と密度との関係を示すマップが補正される(ステップ124)。図7は、その補正方法を説明するための図であり、図5と同様のマップである。図7のマップにおいて、破線は補正前の曲線を示し、実線は補正後の曲線を示している。図7に示すように、上記ステップ124では、次のように補正される。着火性指標(セタン価)のマップは、右端の位置の値が(A*XE)/(XE+XW)となるように補正される。ただし、Aは補正前のエタノール100%のセタン価である。気化潜熱のマップは、右端の位置の値が(B*XE+C*Xw)/(XE+XW)となるように補正される。ただし、Bは補正前のエタノール100%の気化潜熱であり、Cは水の気化潜熱である。低位発熱量のマップは、右端の位置の値が(D*XE)/(XE+XW)となるように補正される。ただし、Dは補正前のエタノール100%の低位発熱量である。密度は、右端の位置の値が(E*XE+F*Xw)/(XE+XW)となるように補正される。ただし、Eは補正前のエタノール100%の密度であり、Fは水の密度である。
上記のようにしてマップが補正された後は、実施の形態1と同様の処理が実行される。すなわち、燃料性状センサ19により取得された着火性指標CNと、図7に示す補正後のマップとに基づいて、現燃料の気化潜熱LV、低位発熱量LHV、および密度dがそれぞれ算出される(ステップ108,110,112,114)。それらの値と要求パイロット発熱量Q_plの値とに基づいて、前述した(2)式に基づいて現燃料のパイロット噴射量q_plが算出され(ステップ118)、パイロット噴射制御が実行される(ステップ120)。
以上説明した実施の形態2によれば、燃料に水分が含まれる場合には、図7に示すマップが補正されることにより、パイロット噴射量が補正される。このため、水分を含んだエタノールが燃料タンク17に給油された場合であっても、パイロット噴射による発熱量の低下を防止することができる。このため、メイン噴射が行われるときの筒内温度を十分に高くすることができるので、良好な拡散燃焼を成立させることができる。
上述した実施の形態2においては、燃料性状センサ19が前記第5の発明における「水分量取得手段」に相当している。また、ECU50が、上記ステップ120〜124の処理を実行することにより前記第5の発明における「補正する手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図8および図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
軽油やこれに類する燃料が使用されている場合には、吸気へのEGRの導入によって着火性や燃焼安定性が影響を受ける感度はそれほど大きくない。このため、軽油やこれに類する燃料が使用されている場合には、EGR量に応じてパイロット噴射量を厳密に制御する必要性は小さい。これに対し、軽油に比べて着火性の低い燃料が用いられる場合には、EGR量が多くなるほど、メイン噴射の着火のし易さや燃焼安定性が損なわれ易く、EGRに対する感度が大きい。すなわち、パイロット噴射量が不足すると、失火し易くなる。しかしながら、パイロット噴射量が過大になると、燃焼騒音やNOxが増大する。このため、特にガソリンやエタノールを含む燃料が用いられる場合には、EGR量に応じてパイロット噴射量をより高精度に制御することが望まれる。
上記の事項に鑑みて、本実施形態では、次のような制御を行うこととした。本実施形態では、軽油100%の燃料が用いられる場合であってEGR率(排気ガス再循環割合)がゼロとした場合のパイロット噴射量をqD_plとし、このパイロット噴射量qD_plに四つの増量補正項Δqpl_1,Δqpl_2,Δqpl_3,およびΔqpl_4を加算した値を現燃料のパイロット噴射量q_plとしてパイロット噴射制御を実行する。図8は、増量補正項Δqpl_1,Δqpl_2,Δqpl_3,およびΔqpl_4を算出するためのマップである。
増量補正項Δqpl_1は、現燃料の自着火温度が高いほど、大きい値とされる。自着火温度は、エタノール、ガソリン、軽油の順に高く、現燃料の組成によって自着火温度が変化する。現燃料の自着火温度が高いほど、増量補正項Δqpl_1によってパイロット噴射量が増量されるので、失火を抑制することができる。
増量補正項Δqpl_2は、現燃料の気化潜熱が高いほど、大きい値とされる。気化潜熱は、エタノール、ガソリン、軽油の順に大きく、現燃料の組成によって気化潜熱が変化する。現燃料の気化潜熱が大きいほど、増量補正項Δqpl_2によってパイロット噴射量が増量されるので、失火を抑制することができる。
増量補正項Δqpl_3は、現燃料の比熱が高いほど、大きい値とされる。比熱は、エタノール、ガソリン、軽油の順に大きく、現燃料の組成によって比熱が変化する。比熱が大きいほど、パイロット噴射された燃料の温度が沸点に到達するまでに吸収する熱量(顕熱)が大きくなるので、筒内温度が上昇しにくくなり、メイン噴射の燃料が着火しにくくなる。この点に鑑み、現燃料の比熱が大きいほど、増量補正項Δqpl_3によってパイロット噴射量を増量することにより、失火を抑制することができる。
増量補正項Δqpl_4は、現燃料の低位発熱量が小さいほど、大きい値とされる。低位発熱量は、軽油とガソリンではほぼ同じであり、エタノールはそれより小さい。このため、現燃料がガソリンとエタノールの混合物である場合には、その組成によって低位発熱量が変化する。現燃料の低位発熱量が大きいほど、増量補正項Δqpl_4によってパイロット噴射量が増量されるので、失火を抑制することができる。
図8に示すように、増量補正項Δqpl_1,Δqpl_2,Δqpl_3,Δqpl_4の値は、現燃料の組成に基づいて定められるとともに、EGR率が高くなるほど、大きくされる。このようにして増量補正項Δqpl_1,Δqpl_2,Δqpl_3,Δqpl_4を定めることにより、軽油より着火性の低いガソリンやエタノールを含む燃料が使用されている場合であっても、失火を確実に防止することができるとともに、燃焼騒音やNOxの増大を抑制することができる。
図9は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図9に示すルーチンによれば、まず、機関回転速度Neおよびアクセル開度が取得される(ステップ200)。続いて、アクセル開度に基づいて機関負荷qfinが算出される(ステップ202)。次いで、図4に示すマップに基づいて、軽油100%の場合のパイロット噴射量qD_plが算出される(ステップ204)。
続いて、EGR率が推定される(ステップ206)。EGR率は公知の方法により推定することができる。本実施形態の場合には、吸気マニホールド内の二酸化炭素濃度を計測すること、またはEGR弁37の開度などに基づいて、EGR率を推定することができる。
次いで、燃料性状センサ19により検出される現燃料の着火性指標CN(セタン価)が取得される(ステップ208)。更に、燃料性状センサ19内のアルコールセンサにより、現燃料中のエタノールの質量割合が測定される(ステップ210)。そして、取得された着火性指標CNおよびエタノール質量割合に基づいて、現燃料の組成が推定される(ステップ212)。このステップ212では、図5の最上段のマップと同様のマップに基づいて、現燃料の組成を推定することができる。
続いて、上記のようにして推定されたEGR率および現燃料の組成と、図8に示すマップとに基づいて、増量補正項Δqpl_1,Δqpl_2,Δqpl_3,Δqpl_4の値がそれぞれ算出される(ステップ214)。そして、それらの値をステップ204で算出されたパイロット噴射量qD_plに加算することにより、現燃料のパイロット噴射量q_plが算出される。すなわち、次式に基づいて現燃料のパイロット噴射量q_plが算出される(ステップ216)。
q_pl=qD_pl+(Δqpl_1+Δqpl_2+Δqpl_3+Δqpl_4) ・・・(3)
そして、その算出されたパイロット噴射量q_plに基づき、パイロット噴射制御が実行される(ステップ218)。
以上説明した本実施形態の制御によれば、使用される燃料の種類にかかわらず、良好な拡散燃焼を成立させることができ、実施の形態1と同様の効果が得られる。更に、本実施形態によれば、軽油より着火性が低く、EGRの影響を受け易いガソリンやエタノールを含む燃料が使用されている場合であっても、EGR量に応じてパイロット噴射量が適切な値となるように高精度に制御することができる。このため、失火を確実に防止することができるとともに、燃焼騒音やNOxの増大を抑制することができる。
上述した実施の形態3においては、ECU50が、上記ステップ206の処理を実行することにより前記第6の発明における「排気ガス再循環割合取得手段」が、上記ステップ208〜216の処理を実行することにより前記第6の発明における「増量手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態4.
次に、図10乃至図14を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
図10は、本実施形態においてパイロット噴射を行うためにECU50が実行するルーチンのフローチャートである。図10に示すルーチンによれば、まず、機関回転速度Neおよびアクセル開度が取得される(ステップ300)。続いて、アクセル開度に基づいて機関負荷qfinが算出される(ステップ302)。次いで、圧縮開始前の筒内のガスの温度(以下、「圧縮開始前温度」と称する)T1が取得される(ステップ306)。本実施形態では、吸気温度センサ32の検出値に基づいて圧縮開始前温度T1を求めることができる。
続いて、圧縮開始前のシリンダ容積V1が算出される(ステップ306)。圧縮開始前シリンダ容積V1は、吸気弁12が閉じた時点でのシリンダ容積である。吸気弁12の開弁特性を可変とする可変動弁機構(図示せず)が内燃機関10に設けられている場合には、吸気弁閉じ時期(IVC)に基づいて内燃機関10の諸元の幾何学的関係から圧縮開始前シリンダ容積V1を算出することができる。また、機械圧縮比可変機構(図示せず)が内燃機関10に設けられている場合には、その機械圧縮比の値を更に用いることによって圧縮開始前シリンダ容積V1を算出することができる。
次いで、EGR率が推定される(ステップ308)。図11は、EGR率のマップである。図11に示すマップでは、内燃機関10の運転領域が機関回転速度と機関負荷とに応じて複数の領域に区画され、各区画毎にEGR率が定められている。具体的には、機関負荷が高い領域ではEGR率が低く、機関負荷が低い領域ではEGR率が高くなるように定められている。本実施形態において、ECU50は、図11に示すマップに基づいてEGR率を制御する。したがって、このステップ308では、ステップ300,302で取得された機関回転速度Neおよび機関負荷qfinを図11のマップと照合することにより、EGR率を求めることができる。
続いて、上記ステップ308で求められたEGR率に基づいて、圧縮前の筒内のガス(すなわち、空気とEGRガスとの混合物)の比熱比κが推定される(ステップ310)。図12は、圧縮前の筒内ガスの比熱比κとEGR率との関係を示すマップである。EGR率が高いほど、圧縮前の筒内ガスの二酸化炭素濃度は高くなる。二酸化炭素は比熱比が小さいため、図12に示すように、EGR率が高いほど圧縮前の筒内ガスの比熱比κは小さくなる。このステップ310では、図12のマップに基づいて、比熱比κが算出される。
次いで、上記比熱比κの筒内ガスが圧縮端(圧縮上死点)まで断熱圧縮されたとした場合の温度(以下、「圧縮端温度」と称する)T2が、上記の処理で取得された圧縮開始前温度T1、圧縮開始前シリンダ容積V1、および比熱比κに基づき、次式に従って算出される(ステップ312)。
T2=T1*(V1/V2)κ-1 ・・・(4)
ただし、上記(4)式中、V2は、圧縮端でのシリンダ容積(燃焼室容積)である。V2の値はECU50に予め記憶されている。なお、機械圧縮比可変機構が内燃機関10に設けられている場合には、機械圧縮比に応じてV2が定まるので、機械圧縮比の値を用いることによって圧縮端シリンダ容積V2を算出することができる。
続いて、燃料性状センサ19により現燃料の着火性指標CNが取得される(ステップ314)。そして、その着火性指標CNと図5に示すマップとに基づいて、現燃料の気化潜熱LV、低位発熱量LHV、および密度dがそれぞれ算出される(ステップ316,318,320)。これらの処理は実施の形態1と同様である。
更に、上記着火性指標CNに基づいて、現燃料の実用自発火温度が推定される(ステップ322)。実用自発火温度とは、内燃機関10の実際の運転においてメイン噴射のみで自発火する最低の温度を予め実験等により燃料の組成毎に求めた値である。この実用自発火温度は、燃料自身の自発火温度にほぼ比例する。図13は、実用自発火温度と燃料の組成との関係を示すマップである。図13のマップの横軸は、図5のマップの横軸と対応している。このステップ322では、上記着火性指標CNと図13のマップとに基づいて、現燃料の実用自発火温度Tautoを算出することができる。
圧縮上死点での筒内温度(≒メイン噴射開始時の筒内温度)が上記実用自発火温度Tauto以上になれば、メイン噴射の燃料の拡散燃焼を確実に成立させることができる。そのためには、上記実用自発火温度Tautoと上記圧縮端温度T2との温度差の分をパイロット噴射の熱量によって上昇させればよい。そこで、パイロット噴射に要求される温度上昇幅Tpl_reqを次式により定義し、算出する(ステップ324)。
Tpl_req=Tauto−T2 ・・・(5)
次いで、上記ステップ324で算出された要求温度上昇幅Tpl_reqを達成するために必要なパイロット噴射の正味発熱量QE_reqが算出される(ステップ326)。図14は、パイロット噴射の正味発熱量と、筒内温度の上昇幅との関係を示すマップである。この関係は熱力学的に導出することができる。このステップ326では、要求温度上昇幅Tpl_reqを図14のマップに照合することにより、要求されるパイロット噴射の正味発熱量QE_reqが算出される。
続いて、これまでの処理で取得された、現燃料の気化潜熱LV、低位発熱量LHV、および密度dと、要求されるパイロット噴射の正味発熱量QE_reqとに基づいて、現燃料の要求パイロット噴射量qpl_reqが次式により算出される(ステップ328)。
qpl_req=QE_req/(LHV/103−LV)/d*103 ・・・(6)
そして、その算出された要求パイロット噴射量qpl_reqに基づき、パイロット噴射制御が実行される(ステップ330)。
以上説明した本実施形態の制御によれば、使用される燃料の種類にかかわらず、良好な拡散燃焼を成立させることができ、実施の形態1と同様の効果が得られる。特に、本実施形態によれば、EGR率に基づいて算出した圧縮前の筒内ガスの比熱比κを用いて圧縮端温度T2を算出し、現燃料の実用自発火温度Tautoに足りない分の温度上昇幅Tpl_reqをパイロット噴射によって補完することができるように要求パイロット噴射量qpl_reqを算出する。このため、メイン噴射時の筒内温度を確実に燃料の実用自発火温度Tauto以上にすることができる。よって、軽油より着火性が低く、EGRの影響を受け易いガソリンやエタノールを含む燃料が使用されている場合であっても、EGR量に応じてパイロット噴射量が適切な値となるように高精度に制御することができる。このため、失火を確実に防止することができる。また、パイロット噴射量を必要以上に多くすることがないので、燃焼騒音やNOxの増大を抑制することができる。更に、本実施形態では、前述した実施の形態3のような補正値(Δqpl_1〜Δqpl_4)の適合を行う必要がなく、内燃機関10の諸元等の情報を用意するだけでよいので、制御系を高精度かつ容易に構築することができる。
なお、上述した例では、パイロット噴射された燃料の顕熱を考慮しなかったが、顕熱を考慮に入れてパイロット噴射量を算出してもよい。また、前述した実施の形態2のように、燃料中に水分が含まれる場合を考慮してパイロット噴射量を算出してもよい。
実施の形態5.
次に、図15を参照して、本発明の実施の形態5について説明するが、上述した実施の形態4との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を簡略化または省略する。
本実施形態のシステム構成は、図示は省略するが、図1に示す実施の形態1の構成が備えるEGR装置(以下、「高圧EGR装置」と称する)に加えて、第2のEGR装置(以下、「低圧EGR装置」と称する)を更に備えているものとする。低圧EGR装置は、排気浄化装置34の下流側の排気通路33とコンプレッサ23の上流側の吸気通路27とを接続する低圧EGR通路と、この低圧EGR通路に設けられたEGR弁とを含み、排気浄化装置34を通過した後の排気ガスをコンプレッサ23の上流側に還流させることができるように構成されている。ECU50は、内燃機関10の運転状態に応じて、高圧EGR装置によるEGR(以下、「高圧EGR」と称する)を行うか、低圧EGR装置によるEGR(以下、「低圧EGR」と称する)を行うかを制御する。また、高圧EGRと低圧EGRとの移行時などには、高圧EGRと低圧EGRとの両方を行うようにしてもよい。
図15は、圧縮前の筒内ガスの比熱比κとEGR率との関係を示すマップである。図15中、破線は高圧EGRの場合を示し、実線は低圧EGRの場合を示している。この図に示すように、低圧EGRの場合には、高圧EGRの場合と比べて、比熱比κは小さくなる。これは、次の理由による。高圧EGR装置による高圧EGRガスは、タービン24の上流側の排気ガスであり、排気浄化装置34に入る前の排気ガスである。これに対し、低圧EGR装置による低圧EGRガスは、排気浄化装置34を通過した後の排気ガスである。排気浄化装置34では、排気ガス中のCOや煤が酸化されて二酸化炭素となる。よって、低圧EGRガス中の二酸化炭素濃度は、高圧EGRガス中の二酸化炭素濃度より高い。このため、低圧EGRの場合には、高圧EGRの場合と比べ、圧縮前の筒内ガス中において、比熱比の小さい二酸化炭素の濃度が高くなる。その結果、圧縮前の筒内ガスの比熱比κも小さくなる。
本実施形態は、前述した実施の形態4と比べ、図10のステップ310で比熱比κを算出する方法が異なること以外は同じである。本実施形態では、上記の事項に鑑み、高圧EGR装置と低圧EGR装置との双方を備えたシステムにおいて、比熱比κを高い精度で推定するために、低圧EGRのみが行われている場合(または低圧EGR量が高圧EGR量より多い場合)には、同じEGR率で高圧EGRのみが行われている場合(または高圧EGR量が低圧EGR量より多い場合)と比べて、比熱比κを小さい値として算出する。具体的には、図15に示すマップに基づいて比熱比κを算出する。なお、低圧EGRと高圧EGRとの双方が行われている場合には、低圧EGRの場合の比熱比と高圧EGRの場合の比熱比とを低圧EGR量と高圧EGR量との割合で重みを付けて平均すればよい。
本実施形態は、上述した点以外については、実施の形態4と同じであるので、説明を省略する。本実施形態によれば、高圧EGR装置と低圧EGR装置との2系統のEGR装置が設けられている場合であっても、圧縮前の筒内ガスの比熱比κを精度良く推定することができるので、実施の形態4のような制御を正確に実行することができる。
また、上述した実施の形態4および5においては、制御精度を更に高めるために、次のような制御を行うようにしてもよい。
(1)EGRガスはEGR通路を通って筒内に還流するので、過渡運転時にEGR率が変化した場合、圧縮前の筒内ガスに占めるEGRガスの割合が実際に変化するまでには時間遅れが生ずる。そこで、EGR率に基づいて圧縮前の筒内ガスの比熱比κを算出するに際し、この時間遅れを考慮する。この制御は、1次遅れ系により実現することができ、時定数は内燃機関10の運転状態に応じて設定すればよい。また、低圧EGRは、高圧EGRと比べ、EGRガスが通る経路が長く、時間遅れがより長くなる。このため、低圧EGRの実行時は、高圧EGRの実行時と比べ、上記の時定数は大きい値に設定する。このような制御を行うことにより、過渡運転時のEGRに対してもより高精度な制御が可能となる。
(2)可変動弁機構や機械圧縮比可変機構が内燃機関10に設けられている場合において、圧縮開始前シリンダ容積V1を算出するに際し、可変動弁機構や機械圧縮比可変機構の作動遅れを考慮する。これにより、過渡運転時に吸気弁閉じ時期や機械圧縮比が変化する場合においても、高精度な制御が可能となる。
10 内燃機関
11 ピストン
12 吸気弁
13 排気弁
14 燃料インジェクタ
16 コモンレール
17 燃料タンク
18 高圧ポンプ
19 燃料性状センサ
20 吸気通路
21 排気通路
22 ターボチャージャ
23 コンプレッサ
24 タービン
27 吸気通路
30 スロットル弁
31 吸気管圧力センサ
32 吸気温度センサ
33 排気通路
34 排気浄化装置
35 EGR通路
37 EGR弁
38 クランク軸
50 ECU

Claims (9)

  1. 複数種類の燃料を使用可能であり、筒内に噴射した燃料を拡散燃焼させる内燃機関を制御する装置であって、
    使用される燃料の着火性指標を検出または推定する燃料性状取得手段と、
    前記燃料性状取得手段により取得された着火性指標に基づいて、使用される燃料の気化潜熱を算出する気化潜熱算出手段と、
    前記気化潜熱算出手段により算出された気化潜熱に基づいて燃料噴射量を決定する燃料噴射量決定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 筒内に、メイン噴射に先立ってパイロット噴射を行うパイロット噴射手段を備え、
    前記燃料噴射量決定手段は、前記パイロット噴射の噴射量を決定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記燃料噴射量決定手段は、所定の基準燃料100%の燃料が使用されるとした場合に前記パイロット噴射で発生する熱量と、前記気化潜熱とに基づいて、前記パイロット噴射の噴射量を決定することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記基準燃料が軽油であることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の制御装置。
  5. 燃料中の水分量を検出または推定する水分量取得手段を備え、
    前記燃料噴射量決定手段は、前記水分量取得手段により取得された水分量に基づいて、燃料噴射量を補正する手段を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記内燃機関の排気ガスを吸気系に再循環させる排気ガス再循環を行う排気ガス再循環装置と、
    再循環する排気ガスの割合を取得する排気ガス再循環割合取得手段と、
    を備え、
    前記燃料噴射量決定手段は、所定の燃料特性指標に基づいて燃料噴射量を増量補正する増量手段を含み、
    前記増量手段は、前記排気ガス再循環割合取得手段により取得された排気ガス再循環割合が高い場合には、該排気ガス再循環割合が低い場合に比して、増量幅を大きくすることを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記所定の燃料特性指標は、自着火温度、気化潜熱、比熱、低位発熱量のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項6記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記内燃機関の排気ガスを吸気系に再循環させる排気ガス再循環を行う排気ガス再循環装置と、
    再循環する排気ガスの割合を取得する排気ガス再循環割合取得手段と、
    前記排気ガス再循環割合取得手段により取得された排気ガス再循環割合に基づいて、圧縮前の筒内のガスの比熱比を算出する比熱比算出手段と、
    前記比熱比算出手段により算出された比熱比に基づいて、前記筒内のガスが断熱圧縮された場合の圧縮端での温度を算出する圧縮端温度算出手段と、
    を備え、
    前記燃料噴射量決定手段は、前記気化潜熱算出手段により算出された気化潜熱と、前記圧縮端温度算出手段により算出された温度とに基づいて、燃料噴射量を決定することを特徴とする請求項1または2記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記排気ガス再循環装置は、前記内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化装置に流入する前の排気ガスを再循環させる第1の装置と、前記排気浄化装置を通過した後の排気ガスを再循環させる第2の装置とを含み、
    前記比熱比算出手段は、前記第2の装置のみにより排気ガス再循環が行われている場合または前記第2の装置による排気ガス再循環量が前記第1の装置による排気ガス再循環量より多い場合には、前記第1の装置のみにより排気ガス再循環が行われている場合または前記第1の装置による排気ガス再循環量が前記第2の装置による排気ガス再循環量より多い場合と比べて、比熱比の算出値を小さくする方向に補正することを特徴とする請求項8記載の内燃機関の制御装置。
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