JP4895951B2 - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、EGR装置を備えるディーゼルエンジンの制御装置であって、噴射直後に燃焼が開始する通常燃焼時に燃料を圧縮上死点近傍で噴射する通常噴射時期と、燃料の噴射後着火までの時間が大きくなる大量EGR燃焼時の進角噴射時期とを切り換え得るディーゼルエンジンの制御装置に関するものである。
従来、ディーゼルエンジンには、このディーゼルエンジンの排気通路から所定量のEGRガスをエンジンの吸気通路にEGRパイプを通って還流させる排ガス再循環装置を設けることが知られている。このディーゼルエンジンの排ガス再循環装置では、環流するEGRガスにより燃焼温度の上昇を抑えることができ、これにより有害物質であるNOxの生成量を抑制することができるものとしている。ここで、ディーゼルエンジンでは、シリンダ内が高温・高圧となるピストンの圧縮上死点近傍で燃料を噴射し、燃料の噴射直後に燃焼が開始して火炎が形成され、その火炎に後続の燃料が供給されることで燃焼が継続されるようになっている。
しかし、燃料が着火するか否かはシリンダ内の酸素濃度とも関係があり、比較的多くのEGRガスが還流される大量EGR燃焼時ではそのシリンダ内の酸素濃度が著しく低下して燃料の噴射後、着火までの時間が大きくなってスモーク等を生じさせる不具合があった。そこで近年では、燃料の噴射時期をピストンの圧縮上死点よりも進角させて早期にシリンダ内に燃料を噴射し、その噴射完了後におけるピストンの圧縮上死点近傍で予混合気が着火する、予混合圧縮着火燃焼と称される燃料形態を実現させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この予混合燃焼では、大量EGR燃焼時であっても、燃料の噴射終了後、ある程度の期間(予混合期間)を経て予混合気が着火するので、着火までに予混合気が充分に希薄・均一化される。従って、局所的な燃焼温度が下がりNOx排出量が低減するうえ、空気不足状態での燃焼も回避されるのでスモークの発生も抑制されるようになっている。
この予混合圧縮着火燃焼を生じさせる従来のディーゼルエンジンの制御装置は、図10に示すように、噴射直後に燃焼が開始する通常燃焼時に燃料を圧縮上死点近傍で噴射する通常噴射時期を示す通常噴射目標値が記憶された通常燃焼時噴射タイミングマップと、その通常噴射目標値より進角され燃料の噴射後着火までの時間が大きくなる大量EGR燃焼時の進角噴射時期を示す進角噴射目標値が記憶された大量EGR燃焼時噴射タイミングマップの双方が備えられる。また、この制御装置には、これらのマップとは別にエンジンの回転速度と燃料噴射量からこれら双方のタイミングマップの内からいずれかのマップを採用するかが記憶された更に別の制御マップが備えられる。そして、この制御装置におけるコントローラは、制御マップを用いてエンジンの回転速度と燃料噴射量から通常噴射目標値と進角噴射目標値のいずれを採用するかを決定し、その決定によって選択された通常燃焼時噴射タイミングマップ又は大量EGR燃焼時噴射タイミングマップのいずれかから噴射目標値を読み取り、その目標値に基づいて筒内燃料噴射装置を制御するようになっている。
また、従来では低負荷時に比較的多くのEGRガスを還流させており、このため高負荷状態から低負荷状態に変化した場合には、燃料の噴射時期は図10の制御マップに基づいて直ちに進角するけれども、EGRガスの還流量は急激に増加することはない。このため、上記従来の装置では、図10における制御マップに基づき、採用されるマップが通常燃焼時噴射タイミングマップから大量EGR燃焼時噴射タイミングマップに変更されたとき、或いは大量EGR燃焼時噴射タイミングマップから通常燃焼時噴射タイミングマップに変更されたとき、その一方のマップにおける目標値を他方のマップにおける目標値に徐々に変更させる変更手段を設け、通常噴射時期と進角噴射時期の切換をスムーズに行うようにしている。
特開2006−105046号公報(段落番号[0034]、[0035]、図3及び図6)
しかし、上記従来の制御装置では、通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップのマップ切り換わり時の排ガス性能や、エンジンの動力性能の悪化が問題となっている。また、通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップの他に制御マップまで必要とし、制御プログラムが煩雑になるとともに、メモリ容量を比較的多く必要とする不具合があった。
また、上記従来の制御装置では、一方の噴射時期から他方の噴射時期に変化した場合に、一方の噴射時期を他方の噴射時期に徐々に変更させる変更手段を設けているけれども、その変更は一方の噴射時期を他方の噴射時期に直線的に変更させるものであって、EGRガスの増加量又は減少量に基づいて噴射時期を徐々に変更するようなものではない。このため、一方の噴射時期から他方の噴射時期に変化した場合に生じるいわゆるノッキング現象やNOxやスモークの発生を効果的に減少させることができない未だ解決すべき課題が残存していた。
本発明の目的は、排ガス性能やエンジンの動力性能を悪化させることなく、吸気における酸素濃度に適した時期に燃料を噴射し得るディーゼルエンジンの制御装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、制御プログラムを単純化させるとともに、メモリ容量を減少し得るディーゼルエンジンの制御装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、図1に示すように、ディーゼルエンジン11の排気通路12から吸気通路18に排ガスを還流可能なEGR装置13と、ディーゼルエンジン11のシリンダ11aに噴射される燃料42の噴射時期を変更可能な筒内燃料噴射装置51と、噴射直後に燃焼が開始する通常燃焼時に燃料を圧縮上死点近傍で噴射する通常噴射時期を示す通常噴射目標値又はその通常噴射目標値より進角され燃料の噴射後着火までの時間が大きくなる大量EGR燃焼時の進角噴射時期を示す進角噴射目標値のいずれかに基づいて筒内燃料噴射装置51を制御するコントローラ22とを備え、コントローラ22は一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時に一方の噴射目標値を他方の噴射目標値に徐々に変更させるように構成されたディーゼルエンジンの制御装置の改良である。
その特徴ある構成は、図3に示すように、通常噴射目標値と進角噴射目標値がエンジンの回転速度と燃料噴射量からなる単一の二次元マップ上に直接記憶され、コントローラ22は、現在の噴射目標値と現在から所定時間前の噴射目標値の差の絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断するところにある。
この請求項1に記載されたディーゼルエンジンの制御装置では、従来から存在した制御マップ上に通常噴射目標値と進角噴射目標値を直接記憶させるので、従来において必要とされた図10における通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップを必要としない。このため、従来において問題となったマップの切り換わりに伴う排ガス性能や動力性能の悪化を最小限に抑えることができる。また、これらの通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップを用いることを前提とするプログラムも不要になって全体の制御プログラムを単純化させることができ、またそれらのマップ及びプログラムが不要になるので従来に比較してメモリ容量を減少させることができる。
ここで、この明細書において、「圧縮上死点近傍」とは、圧縮上死点から例えば低回転域又は中回転域で−5°〜+5°の範囲をいうものである。
上記ディーゼルエンジンの制御装置は、一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時に一方の噴射目標値を他方の噴射目標値に徐々に変更させるように構成され、その通常噴射目標値と進角噴射目標値を単一の二次元マップ上に直接記憶するので、複数のマップを備える図10における従来と異なり、採用するマップを変更したときを一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断できない。
しかし、現在の噴射目標値と現在から所定時間前の噴射目標値の差の絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断するので、メモリ容量を増加させることなく、その切換時を適切に判断することができる。
請求項に係る発明は、請求項に係る発明であって、シリンダ11aから排出される排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段31と、酸素濃度検出手段31の検出出力とエンジン11の回転速度と燃料噴射量とから噴射された燃焼の着火遅れ時間を算出する算出手段とを備え、コントローラ22は、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時に算出手段により算出された着火遅れ時間に基づいて圧縮上死点近傍において着火するように噴射時期を進角させることを特徴とする。
この請求項に記載されたディーゼルエンジンの燃焼制御装置では、EGRガスの増加又は減少に伴う酸素濃度の変化に沿って噴射された燃焼の着火遅れ時間を算出し、その結果に基づいて噴射時期を進角させるので、シリンダ内に噴射した燃料を圧縮上死点近傍において効果的に燃焼させることができ、NOx排出量を低減するとともに、空気不足状態での燃焼も回避することによりスモークの発生を抑制することができる。
請求項に係る発明は、請求項に係る発明であって、図7に示すように、燃焼の着火遅れ時間を算出する算出手段が、エンジン11の回転速度と燃料噴射量とからエンジン11のシリンダ11aに供給される吸気中に含まれであろう酸素濃度を計算する酸素濃度算出手段(図7(a))と、その酸素濃度算出手段の算出結果と酸素濃度検出手段31の検出出力との差dO2を求める酸素濃度差算出手段(図7(b))と、その差dO2から一次遅れモデルの伝達関数を用いて噴射された燃焼の着火遅れ時間Trを導き出す伝達関数算出手段(図7(c))とを備えることを特徴とする。
この請求項に記載されたディーゼルエンジンの燃焼制御装置では、伝達関数を用いて導き出された噴射時期Trは、図8に示すように、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時にあって、その噴射時期を通常噴射目標値から進角噴射目標値に、実際の酸素濃度を考慮した状態で徐々に変更させるものとすることができる。
請求項に係る発明は、請求項1ないしいずれか1項に係る発明であって、二次元マップにおける燃料噴射量が所定値以下の領域において通常噴射目標値に基づく筒内燃料噴射装置51の制御が行われることを特徴とする。
近年では、減速時に燃料のシリンダ内への噴射を停止させる場合がある。すると、燃料が燃焼しないことから、排気通路には空気が流れ、この排気通路から吸気通路18に還流されるEGRガスは空気になる。従って、減速時の燃料噴射停止時やアイドル時又はレーシング等の燃料添加量が少ない状態において燃料噴射時期を進角させていると、その状態から加速して燃料を噴射させると、シリンダには空気が供給されるのでその加速時当初の燃料は進角された状態で噴射され、早期に着火して排ガス中のNOxを著しく増大させることになる。
この請求項に記載されたディーゼルエンジンの制御装置では、いわゆる極軽負荷時のような燃料噴射量が所定値以下の領域においては通常噴射目標値に基づく制御を行うので、噴射時期は進角されない。そして、極軽負荷状態から加速すると図3の進角噴射領域に至るけれども、この場合にはその噴射時期が徐々に進角され、その進角噴射領域を通過して再び通常噴射領域に至れば再び上死点近傍において燃料が噴射されることになる。このため、減速時に燃料の噴射を停止させたりアイドル状態にした後に加速しても、燃料は上死点近傍において噴射されるので、排ガス中のNOxが増大するような事態を有効に回避することができる。
本発明のディーゼルエンジンの制御装置では、通常噴射目標値と進角噴射目標値をエンジンの回転速度と燃料噴射量からなる単一の二次元マップ上に直接記憶させたので、従来において必要とされた通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップを必要としない。このため、従来において問題となったマップの切り換わりに伴う排ガス性能や動力性能の悪化を最小限に抑えることができる。また、これらの通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップを用いることを前提とするプログラムも不要になって全体の制御プログラムを単純化させることができ、またそれらのマップ及びプログラムが不要になるので従来に比較してメモリ容量を減少させることができる。
この場合、一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時に一方の噴射目標値を他方の噴射目標値に徐々に変更させるけれども、現在の噴射目標値と現在から所定時間前の噴射目標値の差の絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断することにより、メモリ容量を増加させることなくその切換時を適切に判断することができる。
また、シリンダに供給される吸気中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段と、その検出出力と燃料噴射量とから噴射された燃焼の着火遅れ時間を算出する算出手段とを備え、算出された着火遅れ時間に基づいて圧縮上死点近傍において着火するように噴射時期を進角させるようにすれば、シリンダ内に噴射した燃料を圧縮上死点近傍において効果的に燃焼させることができ、NOx排出量を低減するとともに、空気不足状態での燃焼も回避することによりスモークの発生を抑制することができる。
更に、減速時に燃料のシリンダ内への噴射を停止させる場合やレーシング又はアイドル時のような燃料噴射量が所定値以下の領域においては通常噴射目標値に基づく制御を行うようにすれば、噴射時期は進角されない。そして、無負荷状態から加速するとその噴射時期が徐々に進角され、その進角噴射領域を通過して再び通常噴射領域に至れば再び上死点近傍において燃料が噴射されることになる。このため、減速時に燃料の噴射を停止させたりアイドル状態にした後に加速しても、燃料は上死点近傍において噴射されるので、排ガス中のNOxが増大するような事態を有効に回避することができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ディーゼルエンジン11には排気管12と吸気管18が設けられる。排気管12には排気絞り弁17が設けられ、吸気管18には吸気絞り弁19が設けられる。また、このエンジン11には、その排気通路12から吸気通路18に排ガスを還流可能なEGR装置13が設けられる。EGR装置13は、EGRパイプ14と、そのEGRパイプ14に設けられたEGRバルブ16とを備える。そして、各種検出センサ21の検出出力に基づいて、EGRバルブ16、排気絞り弁17及び吸気絞り弁19を制御するコントローラ22が設けられる。
EGRパイプ14はエンジン11をバイパスして排気管12及び吸気管18を接続し、EGRバルブ16はEGRパイプ14を通過して排気管12から吸気管18に還流される排ガスの流量を調整するように構成される。EGRバルブ16は図示しないがモータにより弁体を駆動してEGRバルブ16の開度を調節する電動弁が用いられるが、エア駆動型弁等を用いてもよい。図1の符号26は吸気管18に還流される排ガス(EGRガス)を冷却するEGRクーラである。
排気絞り弁17はEGRパイプ14の排気管12への接続部より排気下流側であって触媒より排気上流側の排気管12に設けられ、排気管12を流れる排ガスの流量を調整可能に構成される。また吸気絞り弁19はEGRパイプ14の吸気管18への接続部より吸気上流側の吸気管18に設けられ、吸気管18を流れる吸気の流量を調整可能に構成される。そして、排気絞り弁17は排気管12を絞ることにより排気抵抗を増加させてブレーキをかけるように構成される。吸気絞り弁19は吸気管18を絞ることにより、EGRパイプ14を通って吸気管18に還流される排ガスを増量するとともに、吸気管18を絞ることによりシリンダ11aに供給される混合気の酸素量又は酸素濃度を低減するように構成される。
各種検出センサ21はこの実施の形態では、アクセルペダルの踏込み量を検出するアクセルセンサ21aと、エンジン11の回転速度を検出する回転センサ21bとを有する。また、排気管12には、シリンダ11aから排出される排ガス中に含まれる酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段である酸素濃度センサ31が設けられる。
図2に示すように、上記アクセルセンサ21a,回転センサ21b及び酸素濃度センサ31の各検出出力はI/Oポート22bを介してコントローラ22のCPU22aの制御入力に接続され、CPU22aの制御出力はI/Oポート22cを介してEGRバルブ16,排気絞り弁17及び吸気絞り弁19にそれぞれ接続される。またCPU22aにはメモリ37が接続され、このメモリ37には、EGRバルブ16の開度,排気絞り弁17の閉度及び吸気絞り弁19の閉度の制御マップ、即ち、エンジン回転速度及びエンジン負荷が変化した場合の最適なEGRバルブ16の開度等を示すマップが記憶される。これらのマップは、定常走行状態でEGRバルブ16を開き高負荷時にEGRバルブ16を閉じるようなものであり、このマップは従来から用いられていると同一であるのでここにおける詳細な説明を省略する。
また、このエンジン11には、シリンダ11aに噴射される軽油42の噴射時期及び噴射量の双方を変更可能な筒内燃料噴射装置51が設けられる。筒内燃料噴射装置51は先端部がシリンダ11aに臨みシリンダ11aに軽油42を噴射可能な筒内インジェクタ51aと、内部に軽油42を蓄圧し上記インジェクタ51aに軽油を圧送するコモンレール51bと、このコモンレール51bに軽油42を供給するフィードポンプ51cとを有する。
筒内インジェクタ51aはこのインジェクタ51aに内蔵された電磁弁(図示せず)により燃料である軽油42の噴射量及び噴射時期が調整可能に構成される。また筒内インジェクタ51aは圧送管51dを介してコモンレール51bに連通接続され、コモンレール51bは筒内吐出管51eを介してフィードポンプ51cの吐出口に連通接続され、フィードポンプ51cの吸入口は筒内吸入管51fを介して燃料タンク43に連通接続される。ここで、図1の符号52はコモンレール51b内の軽油42の圧力(燃料圧)を検出する圧力センサである。
図2に示すように、コントローラ22の制御入力には圧力センサ52の検出出力が接続され、コントローラ22の制御出力は筒内インジェクタ51a及びフィードポンプ51cにそれぞれ接続される。また、メモリ37には、噴射直後に燃焼が開始する通常燃焼時に燃料を圧縮上死点近傍で噴射する通常噴射時期を示す通常噴射目標値と、その通常噴射目標値より進角され燃料の噴射後着火までの時間が大きくなる大量EGR燃焼時の進角噴射時期を示す進角噴射目標値の双方が記憶される。コントローラ22は、この通常噴射目標値と進角噴射目標値のいずれかに基づいて筒内燃料噴射装置51を制御するように構成され、大量EGR時には上記筒内燃料噴射装置51にて噴射の時期を進角させるように構成される。
本発明の特徴ある構成は、メモリに記憶される通常噴射目標値と進角噴射目標値が、エンジンの回転速度と燃料噴射量からなる単一の二次元マップ上に直接記憶されたところにある。この単一の二次元マップを図3に例示する。この図3に示すマップでは、その破線で示す範囲に進角噴射目標値が記憶され、それ以外の部分に通常噴射目標値が記憶される。ここで、図3に示すそれぞれの噴射目標値とは、圧縮上死点を基準とした噴射角度により表され、ピストンが圧縮上死点に達する以前に噴射する場合を「+」とその角度を表す数値において表し、ピストンが圧縮上死点を越えた後に噴射する場合を「−」とその角度を表す数値において表すものである。また、図3に示された数値は例示であって、これらに限定されるものではない。そして、この図3に示す二次元マップでは、いわゆるアイドリング時程度の燃料噴射量である場合を示す所定値以下の燃料噴射量の領域において通常噴射目標値が記憶される。この所定値は5mm3/str・cylであることが例示され、この所定値以下の燃料噴射量にあってはコントローラはその通常噴射目標値に基づく筒内燃料噴射装置の制御を行うように構成される。
また、コントローラ22は、一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時に一方の噴射目標値を他方の噴射目標値に徐々に変更させるように構成される。そして、コントローラ22は、現在の噴射目標値と現在から所定時間前の噴射目標値の差の絶対値が所定値以上のときであるときに、一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断する。また、コントローラ22は、シリンダ11aに供給される吸気中の酸素濃度を検出する酸素濃度センサ31の検出出力と、エンジンの回転速度と、アクセルセンサ21aの検出出力から求められる燃料噴射量とから噴射された燃焼の着火遅れ時間を算出する。このためコントローラは着火遅れ時間を算出する算出手段としても機能し、このコントローラ22は、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時には、その算出された着火遅れ時間に基づいて噴射された燃料が圧縮上死点近傍において着火するように噴射時期を進角させるように構成される。
このように構成されたディーゼルエンジンの燃焼制御装置の動作を説明する。
コントローラ22は、エンジン11の回転速度及び燃料噴射量に基づいてEGRバルブ16を制御し、定常走行状態ではそのEGRバルブ16を開いて排ガスの一部を吸気系に再循環させてその排ガスの持つ熱容量により最高燃焼温度を低下させてNOxを低減する。一方、コントローラ22は、エンジンの回転速度及び燃料噴射量に基づいてエンジン11が高負荷時であると判断されたときには、EGRバルブ16を閉じて排ガスの再循環を停止してエンジン11の空気不足を解消することによりエンジン11からの黒煙の排出を減少させるようにEGR装置13を制御する。
また、コントローラ22は、EGR装置13を制御するとともに、筒内燃料噴射装置51を制御する。筒内燃料噴射装置51の制御は、図3に示すようにエンジン11の回転速度と燃料噴射量からなる単一の二次元マップ上に直接記憶された噴射目標値に従って行われる。具体的に、図3に示された単一の二次元マップ上には、「−」とその角度を表す数値において表され噴射された燃料が噴射期間内に圧縮上死点近傍で着火するような通常噴射時期を示す通常噴射目標値、及び「+」とその角度を表す数値において表されその通常噴射目標値より進角された進角噴射時期を示す進角噴射目標値が記憶される。そして、コントローラ22は、エンジン11の回転速度と燃料噴射量をそのマップに照らし合わせてそれに対応する噴射目標値に従って筒内燃料噴射装置51を制御する。
即ち、シリンダ11a内に噴射された燃料が着火するか否かはそのシリンダ11a内の酸素濃度とも関係があり、図4に示すように、シリンダ11a内の酸素濃度が減少すると、噴射された燃料が着火するまでの時間が長くなる傾向にある。このため、比較的多くのEGRガスが還流されるとそのシリンダ11a内の酸素濃度が著しく低下して燃料の着火が遅れることになる。そこで、大量のEGRガスを還流できる低負荷走行時では、燃料の噴射時期をピストン11bの圧縮上死点よりも進角させて早期にシリンダ11a内に燃料を噴射し、燃料の噴射完了後におけるピストン11bの圧縮上死点近傍で予混合気が着火するようにするものである。これにより、大量のEGRガスを還流できる低負荷走行時では、図5に示すように、燃料の噴射からその着火までの間の着火遅れの期間内に予混合気が充分に希薄・均一化され、局所的な燃焼温度が下がりNOx排出量が低減するとともに、空気不足状態での燃焼も回避されるのでスモークの発生も抑制することができる。
一方、例えば、高負荷状態から低負荷状態に変化した場合に燃料の噴射時期は図3に示すマップに基づいて直ちに進角するけれども、EGRガスの還流量は急激に増加することはない。このため、コントローラ22は、一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時に一方の噴射目標値を他方の噴射目標値に徐々に変更させる。ここで、コントローラ22は、現在の噴射目標値と現在から所定時間前の噴射目標値の差の絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断する。即ち、通常噴射目標値と進角噴射目標値を単一の二次元マップ上に直接記憶すると、複数のマップを備える従来と異なり採用するマップを変更したときを切換時と判断できない。このため、本発明の制御装置では、現在の噴射時期と現在から所定時間前の噴射時期の差の絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断するものである。
ここで、一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断する具体的なフローチャートを図6に示す。即ち、コントローラ22は、現在の噴射目標値(Tbase(N))と現在から所定時間前の噴射目標値(Tbase(N-5))の差、即ち圧縮上死点を基準とした噴射目標値の差ΔTを求める。この差ΔTが所定値未満であるときは、図6に「State1」と記載された通常の図3に示すマップによる制御が選択される。一方、その差ΔTの絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断し、その差が圧縮上死点以前であることを示す「+」である場合には、図に「State2」と記載された通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時であると判断する。一方、その差ΔTが圧縮上死点以降であることを示す「−」である場合には、図に「State3」と記載された進角噴射目標値から通常噴射目標値への切換時である判断される。
図6において「State2」として記載された通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時であると判断されると、コントローラ22は、燃料噴射時期を通常噴射目標値から進角噴射目標値に徐々に変更させるように燃料噴射装置を制御する。この際、酸素濃度検出手段である酸素濃度センサ31の検出出力とエンジンの回転速度と燃料噴射量とから噴射された燃料の着火遅れ時間を算出し、この着火遅れ時間だけ上死点より以前に燃料をシリンダ11a内に噴射して圧縮上死点近傍において着火するようにその噴射時期を進角させる。この進角すべき噴射時期Trの算出は算出手段として機能するコントローラ22において行われ、図7に示すように、この算出手段は、エンジン11の回転速度と燃料噴射量とからエンジン11のシリンダ11aに供給される吸気中に含まれであろう酸素濃度を計算する酸素濃度算出手段(図7(a))と、その酸素濃度算出手段の算出結果と酸素濃度検出手段31の検出出力との差dO2を求める酸素濃度差算出手段(図7(b))と、その差dO2から一次遅れモデルの伝達関数を用いて噴射された燃焼の着火遅れ時間Trを導き出す伝達関数算出手段(図7(c))とを備える。即ち、この算出手段は伝達関数を用いるものであって、酸素濃度の相違から算出される圧縮上死点近傍で着火するような噴射タイミングを推奨噴射タイミングとし、この推奨噴射タイミングに近くなるような酸素濃度の遅れ具合にあうような伝達関数モデルを求めたものである。
具体的に説明すると、この噴射時期Trの算出手順は、図7(a)に示すように、先ず、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時であると判断されたときの燃料噴射量とエンジン11の回転速度から、定常運転時であればエンジン11のシリンダ11aに供給される吸気中に含まれであろう酸素濃度を計算する。この計算は燃料噴射量とエンジン11の回転速度から得られる酸素濃度が記憶されたマップにその燃料噴射量とエンジン11の回転速度を照らし合わせることにより行われる。次に図7(b)に示すように、その計算酸素濃度と酸素濃度検出手段である酸素濃度センサの検出出力との差dO2を求める。これは、図4に示すように酸素濃度と着火遅れとの間に関連があるため、酸素濃度に基づいて噴射時期を進角させようとするものである。
次に、図7(c)に示すように、計算と実測された酸素濃度の差dO2を伝達関数(K1/T1s+1)に代入し、それにより一次遅れを算出する。これとは別に、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時であると判断されたときの燃料噴射量とエンジン11の回転速度を図3に示す二次元マップに照らし合わせてそのときの噴射目標値(Tbase)を得る。そして、その噴射目標値(Tbase)と、切換と判断されたときの1計算周期前の噴射目標値(Tini)との差を基準値とする。そして先に得られた1次遅れの値からこの基準値を引いて初期値をゼロとした場合の1次遅れの値を求める。そして、このようにして得られた1次遅れの値を更に2つの伝達関数(K2/T2s+1)及び(K3/T3s+1)により着火遅れ時間を算出する。そして得られた着火遅れ時間から先の1計算周期前の噴射目標値(Tini)を基準とした噴射時期Trを求める。このようにして得られた噴射時期Trは、図8に示すように、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時にあって、その噴射時期を通常噴射目標値から進角噴射目標値に、実際の酸素濃度を考慮した状態で徐々に変更させるものとなる。ここで、伝達関数における定数であるK1〜K3及びT1〜T3は、前述した図示しない理想の推奨噴射タイミングに近くなるように求められる。
図6に戻って、「State2」と記載された通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時に行われる噴射時期Trに基づく燃料噴射装置の制御は、その切換時に行われる噴射時期Trが進角噴射目標値に達せずに、その噴射時期Trと進角噴射目標値の差が所定値以上であれば、所定時間継続して行われる。従って、その切換時に行われる噴射時期Trが噴射目標値に達してしまった場合、その噴射時期Trと進角噴射目標値の差が所定値未満となった場合、及び噴射時期Trに基づく燃料噴射装置の制御が所定時間を超えた場合には、図に「State1」と記載された通常のマップによる制御に戻る。
一方、図6において「State3」として記載された進角噴射目標値から通常噴射目標値への切換時であると判断された場合には、コントローラ22は、燃料噴射時期を進角噴射目標値から通常噴射目標値に徐々に変更させるように燃料噴射装置を制御する。この手順を図9に示す。図9に示すように、先ず、進角噴射目標値から通常噴射目標値への切換時であると判断されたときの燃料噴射量とエンジン11の回転速度を図3に示す二次元マップに照らし合わせてそのときの噴射目標値(Tbase)を得る。そして、その噴射目標値(Tbase)と1計算周期前の噴射目標値(Tini)との差を求める。そして、その差を伝達関数(K4/T4s+1)に代入して着火遅れ時間を算出する。そして得られた着火遅れ時間から先の1計算周期前の噴射目標値(Tini)を基準とした噴射時期Taを求める。このようにして得られた噴射時期Taは、図8に示すように、進角噴射目標値から通常噴射目標値への切換時あって、その噴射時期を進角噴射目標値から通常噴射目標値に徐々に変更させるものとなる。
図6に戻って、「State3」と記載された進角噴射目標値から通常噴射目標値への切換時に行われる噴射時期Taに基づく燃料噴射装置の制御は、その切換時に行われる噴射時期Taが通常噴射目標値に達せずに、その噴射時期Taと通常噴射目標値の差が所定値以上であれば、所定時間継続して行われる。従って、その切換時に行われる噴射時期Taが通常噴射目標値に達してしまった場合、その噴射時期Taと通常噴射目標値の差が所定値未満となった場合、及び噴射時期Taに基づく燃料噴射装置の制御が所定時間を超えた場合には、図に「State1」と記載された通常のマップによる制御に戻る。
ここで、「State2」と記載された通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時に行われる噴射時期Trに基づく燃料噴射装置の制御と、「State3」と記載された進角噴射目標値から通常噴射目標値への切換時に行われる噴射時期Taに基づく燃料噴射装置の制御は、用いる伝達関数が異なることから、互いに異なることになる。これは、EGRバルブ16を開放した場合に吸気通路18に還流するEGRガスの還流速度と、EGRバルブ16を閉止した場合に吸気通路18からその還流されたEGRガスが抜け出す速度が相違することから、それぞれの伝達関数モデルをそれらの事情にあわせて変えるものである。従って、それぞれの伝達関数モデルを変えることにより、それぞれの場合において、実際の酸素濃度を考慮して噴射時期が最適化され、噴射された燃料が圧縮上死点近傍で確実に着火するようにコントローラ22により燃料噴射装置51を制御させることができることになる。
このように構成されたディーゼルエンジンの制御装置では、通常噴射目標値と進角噴射目標値をエンジンの回転速度と燃料噴射量からなる単一の二次元マップ上に直接記憶させるので、従来において必要とされた図10における通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップを必要としない。このため、従来において問題となったマップの切り換わりに伴う排ガス性能や動力性能の悪化を最小限に抑えることができる。また、これらの通常燃焼時噴射タイミングマップや大量EGR燃焼時噴射タイミングマップを用いることを前提とするプログラムも不要になって全体の制御プログラムを単純化させることができ、またそれらのマップ及びプログラムが不要になるので従来に比較してメモリ容量を減少させることができる。この場合、コントローラ22は、現在の噴射目標値と現在から所定時間前の噴射目標値の差の絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断することにより、メモリ容量を増加させることなく、その切換時を適切に判断することができる。
そして、コントローラ22が、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時に算出手段により算出された着火遅れ時間に基づいて圧縮上死点近傍において着火するように噴射時期を進角させるので、シリンダ内に噴射した燃料を圧縮上死点近傍において効果的に燃焼させることができ、NOx排出量を低減するとともに、空気不足状態での燃焼も回避することによりスモークの発生を抑制することができる。
一方、近年では、減速時に燃料のシリンダ内への噴射を停止させる場合がある。すると、燃料が燃焼しないことから、排気通路には空気が流れ、この排気通路から吸気通路18に還流されるEGRガスは空気になる。従って、減速時に燃料の噴射を停止させるものにあって、いわゆるアイドル状態において燃料噴射時期を進角させていると、その状態から加速して燃料を噴射させると、シリンダには空気が供給されるのでその加速時当初の燃料は進角された状態で噴射され、早期に着火して排ガス中のNOxを著しく増大させることになる。
しかし、この制御装置では、二次元マップにおける燃料噴射量が所定値以下の領域において通常噴射目標値に基づく筒内燃料噴射装置51の制御が行われるようにしたので、いわゆる減速時やレーシング時又はアイドル時のような燃料噴射量が所定値以下の領域においては通常噴射目標値に基づく制御を行うので、噴射時期は進角されない。そして、無負荷状態から加速すると図3の進角噴射領域に至るけれども、この場合にはその噴射時期が徐々に進角され、その進角噴射領域を通過して再び通常噴射領域に至れば再び上死点近傍において燃料が噴射されることになる。このため、減速時に燃料の噴射を停止させたりアイドル状態にした後に加速しても、燃料は上死点近傍において噴射されるので、排ガス中のNOxが増大するような事態を有効に回避することができる。
なお、上述した実施の形態では、酸素濃度検出手段として酸素濃度センサを用いる場合を説明したが、酸素濃度検出手段は、吸入空気量と噴射量から求めても良い。
また、上述した実施の形態では、酸素濃度検出手段がシリンダ11aから排出される排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出センサである場合を説明したが、酸素濃度検出手段としての酸素濃度検出センサを吸気管に設け、シリンダに供給される吸入空気における酸素濃度を検出するようにしても良い。このように酸素濃度検出センサを吸気管に設ければシリンダに供給される吸気中の酸素濃度の検出精度が向上して、着火時期を上死点付近に制御する精度を向上させることができる。
本発明のディーゼルエンジンの制御装置の構成図である。 そのコントローラ周囲における接続状態を示す図である。 その通常噴射目標値と進角噴射目標値が直接記憶された単一の二次元マップを示す図である。 その酸素濃度と着火遅れ時間との関係を示す図である。 その燃料噴射と燃焼との時間的関係を示す図である。 その一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断するフローチャートを示す図である。 その通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時における噴射時期の計算手順を示す図である。 その噴射時期と時間との関係を示す図である。 その進角噴射目標値から通常噴射目標値への切換時における噴射時期の計算手順を示す図である。 従来の通常噴射目標値が記憶されたマップと進角噴射目標値が記憶されたマップとそれらを選択するための制御マップとを示す図である。
符号の説明
11 ディーゼルエンジン
11a シリンダ
12 排気通路
13 EGR装置
18 吸気通路
22 コントローラ
31 酸素濃度検出センサ(酸素濃度検出手段)
42 燃料
51 筒内燃料噴射装置

Claims (4)

  1. ディーゼルエンジン(11)の排気通路(12)から吸気通路(18)に排ガスを還流可能なEGR装置(13)と、前記ディーゼルエンジン(11)のシリンダ(11a)に噴射される燃料(42)の噴射時期を変更可能な筒内燃料噴射装置(51)と、噴射直後に燃焼が開始する通常燃焼時に燃料(42)を圧縮上死点近傍で噴射する通常噴射時期を示す通常噴射目標値又は前記通常噴射目標値より進角され燃料(42)の噴射後着火までの時間が大きくなる大量EGR燃焼時の進角噴射時期を示す進角噴射目標値のいずれかに基づいて前記筒内燃料噴射装置(51)を制御するコントローラ(22)とを備え、前記コントローラ(22)は一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時に一方の噴射目標値を他方の噴射目標値に徐々に変更させるように構成されたディーゼルエンジンの制御装置において、
    前記通常噴射目標値と前記進角噴射目標値がエンジンの回転速度と燃料噴射量からなる単一の二次元マップ上に直接記憶され
    前記コントローラ(22)は、現在の噴射目標値と現在から所定時間前の噴射目標値の差の絶対値が所定値以上のとき一方の噴射目標値から他方の噴射目標値への切換時であると判断する
    ことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
  2. シリンダ(11a)から排出される排気中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出手段(31)と、前記酸素濃度検出手段(31)の検出出力とエンジン(11)の回転速度と燃料噴射量とから噴射された燃焼の着火遅れ時間を算出する算出手段とを備え、
    コントローラ(22)は、通常噴射目標値から進角噴射目標値への切換時に前記算出手段により算出された着火遅れ時間に基づいて圧縮上死点近傍において着火するように噴射時期を進角させる請求項記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  3. 燃焼の着火遅れ時間を算出する算出手段が、
    エンジン(11)の回転速度と燃料噴射量とから前記エンジン(11)のシリンダ(11a)に供給される吸気中に含まれであろう酸素濃度を計算する酸素濃度算出手段と、
    前記酸素濃度算出手段の算出結果と酸素濃度検出手段(31)の検出出力との差(dO2)を求める酸素濃度差算出手段と、
    前記差(dO2)から一次遅れモデルの伝達関数を用いて噴射された燃焼の着火遅れ時間を導き出す伝達関数算出手段と
    を備える請求項記載のディーゼルエンジンの燃焼制御装置。
  4. 二次元マップにおける燃料噴射量が所定値以下の領域において通常噴射目標値に基づく筒内燃料噴射装置(51)の制御が行われる請求項1ないしいずれか1項に記載のディーゼルエンジンの制御装置。
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