以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、この明細書において、「前」とは電動乗用草刈機の前進方向を、「後」とは後進方向を、「左右」とはそれぞれ、前進方向に向かって「左右」を、「上下」とはそれぞれ、車両の「上下」方向を意味するものとする。図1には、この発明の電動乗用草刈機の一例としての、電動ローンモア(電動乗用草刈機)10の斜視図を示す。電動ローンモア(機体)10は、車体フレーム18、左右の前輪11、左右の後輪(駆動輪)12、運転席13、走行操作レバー(操作部)14(右:14R,左:14L)、モアブレード(不図示)、モアデッキ15などを備えてなる。車体フレーム18は、前後方向に延びた左右一対のビームが一定間隔をもって備えられ、その一対のビームに渡し掛けるように床板を備えてなる。前輪11はその中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備える。ホイールの回転中心には車軸11Aを貫通させる。ホイールは、車軸11Aに対して回転自在となっている(すなわち、前輪11は従動回転する)。
車軸11Aは、前輪ブラケット16の下端部に取り付けられている。前輪ブラケット16は、金属板を門型状に形成してなる。前輪ブラケット16の天面には円筒部17を載置する。円筒部17の中心には回動軸を回動自在に備え、回動軸の下端は前輪ブラケット16にボルトなどで固設する。左右の円筒部17の側面には、横フレーム19の両端を溶接などで固定する。そして、横フレーム19の、左右の円筒部17,17から少し隔たった位置にはそれぞれ車体フレーム18の先端を溶接などで固定する。なお、円筒部17は金属製の円筒、車体フレーム18および横フレーム19は、金属製の角筒である。また、車体フレーム18,18は左右側で対をなしており、それぞれ電動ローンモア10の前進方向に略直線的に延びて配置される。車体フレーム18,18の下面には金属板からなる床板FLを渡して、ボルトなどで下方より固設する。
車体フレーム18の下方で、かつ、前輪11と後輪12との間にはモアデッキ15を備える。モアデッキ15は、楕円状の深皿状に形成され、モアデッキ15内には2つのモアブレード(不図示)を回転自在に備える。モアデッキ15の上面には、モアモータ(作業モータ)WMを2つ載置し、その回転軸をモアデッキ15内に向けて貫通させる。そして、それぞれの回転軸の先端をモアブレードの中央部に嵌合させる。
モアデッキ15の前部の長手方向両側には、補助車輪23を取り付ける。補助車輪23は、その中心に金属製のホイールを備え、ホイールの外側にはゴム製のタイヤを備えてなる。ホイールの回転中心には車軸23Aを貫通させる。ホイールは、車軸23Aに対して回転自在となっている(すなわち、補助車輪23は従動回転する)。なお、芝刈りを行うときは、補助車輪23は常に走行面に接地した状態である。
モアデッキ15は、リンク機構21を介して車体フレーム18に昇降自在に懸架されている。リンク機構21は昇降操作レバー(後述するベッセル40をダンプする傾動操作レバーでもある)27に連結されている。なお、図1では、モアデッキ15は下ろされた状態(補助車輪23が接地した状態)を示している。
電動ローンモア10の前部には、フットレスト(回動部を兼ね備える)FRを設ける。フットレストFRは、運転席13に向き合うように傾斜した面を有し、車幅方向に延びた三角柱状に形成される。
後部ステップBSTの下には不図示のバッテリーを2つ並べて平置きに備える。バッテリーは、リチウムイオン電池を用いることが望ましい。詳しくは、二酸化マンガンリチウム電池、フッ化黒鉛リチウム電池、塩化チオニルリチウム電池、酸化銅リチウム電池、二硫化鉄リチウム電池、ヨウ素リチウム電池など、エネルギー密度が高く、寿命が長いものを用いることが望ましい。2つのバッテリーは直列に接続される。なお、バッテリーの上方には不図示の収納ケースを備え、バッテリーのコントローラ(電圧均等装置)などの電子機器を収納する。バッテリーのコントローラは、バッテリーの微小な電圧の変動を補正するものである。(なお、バッテリーコントローラを後述するフェンダー24L,24R内に収納してもよい。)
車体フレーム18上の前後方向のほぼ中央には座席支持部(支持台)SBを固設する。座席支持部SBの上には、座席取付部材30を介して運転席13を取り付ける。座席取付部材30は、運転席13を車体に取り付けるものである。なお、座席支持部SBの両側には、フェンダー24L,24Rを備える。フェンダー24L,24Rには、その後部が後輪(駆動輪)12の上部と干渉しないように切り欠きが設けられている。また、左右のフェンダー24L,24Rの上面には、ペットボトルなどの飲料容器を収納できる、カップフォルダが設けられている。フェンダー24L,24Rは、強化プラスチック製でカップフォルダなどを一体に形成してなるものである。
運転席13の前方の車体フレーム18の中央付近は平坦に形成され、ステップSTとなる。ステップSTは、運転者が運転席13に乗降するために足をかけるためのものである。
左右の後輪12の内側には、それぞれ後輪12を駆動させるための走行モータDMを備える。走行モータDMは、左右の後輪12,12に対して1つずつ備える。なお、走行モータDMは、インホイールモータを適用してもよい。走行モータDMのドライバは、左右いずれかのフェンダー24L,24R内に備える制御ボックス(不図示)に収納される。この制御ボックスには、草刈モータWMのドライバ、バッテリーの制御部など電装品類を収納する。なお、制御ボックスを内装するフェンダー24Lまたはフェンダー24Rは、車幅方向の外側に向けて開閉自在な構造とし、必要に応じて開放して電装品類の交換などを行えるようにする。
走行モータDMのドライバは、走行操作レバー14の傾動量に応じて走行モータDMの回転方向および回転速度を制御する。なお、モアモータWMの回転は、走行モータDMの回転数と連動するように制御される。すなわち、走行スピードを速めると、モアブレードの回転数も速まり、走行スピードを落とすと、モアブレードの回転数も遅くなる。
走行操作レバー14は傾動可能に設けられ、運転者が走行操作レバー14を前に倒すと走行モータDMが前進方向に回転する。一方、走行操作レバー14が後に倒されると走行モータDMは後進方向に回転する。さらに、走行操作レバー14の傾動度合いによって走行モータDMの回転速度が変化する。すなわち、走行操作レバー14を大きく前(後)に倒すと、走行モータDMが前進(後進)方向により早く回転し、走行操作レバー14を小さく前(後)に倒すと、走行モータDMが前進(後進)方向にゆっくりと回転する。運転席13の左右に備える走行操作レバー14L,14Rはそれぞれ左右の走行モータDM,DMの回転動作に対応している。したがって、運転者は、左右の走行操作レバー14L,14Rを前後に適宜操作することで、前後進、左右折、旋回などを行うことができる。このような構成とすることで、車両の左右折、旋回のためのステアリング機構を設ける必要がなく、車両の構成を簡単にすることができる。
運転席13の後方の車体フレーム18には平坦面が形成され、後部ステップBSTとなる。後部ステップBSTは、後述するように、電動ローンモア10がUTV作業時となっているときに、運転者が運転席13に乗降するために用いるものである。
図2(a)〜(c)には、運転席13近傍の詳細を示す。運転席13の底部は、座席取付部材30にネジなどで固定される。座席取付部材30は、金属板を所定の形状にカットした後、折り曲げて、側部30S,30S、天部30U、前部30Fを備える。天部30Uは、その両側にバネ取付部30US,30USを備える。側部30S,30Sの前端部には、それぞれ貫通孔30A,30Aを形成する。また、バネ取付部30USの後部には、それぞれコイルバネ(弾性部材)32の先端を固設する。
座席取付部材30は、座席固定棒31を介して座席支持部SBのブラケット29Aに固定される。ブラケット29AL,29ARはそれぞれ、座席支持部SBの前部上面の左右に直立して設けられる。また、ブラケット29BL,29BRはそれぞれ、座席支持部SBの後部上面の左右に直立して設けられる。座席取付部材30と座席支持部SBとの間には、ベッセル40を備える。ベッセル40は、上面の開放された容器状に形成され、上下逆さまにした状態で座席支持部SBに被せるようにして載置される。
図3(a),(b)にはベッセル40を上下逆にした状態で座席支持部(支持台)SBに被せるように載置した様子を、図4には座席支持部SBの詳細な構造を示す。座席支持部SBは、車体フレーム18の床板(ステップSTと後部ステップBSTとを結ぶ板)の上に固設されている。座席支持部SBは、金属板で形成され、前部28、左右一対の側部29L,29Rとで構成される。前部28は、金属板を逆L字状に折り曲げて形成され、前面には、一対のステー状の保持部28X,28Xを溶接などで固設する。保持部28Xには、ベッセル支持棒64を貫通させるための貫通孔を設ける。側部29L,29Rは、金属板の上下端をそれぞれ反対方向に折り曲げてZ状に形成される。側部29L,29Rはその下端が、それぞれ、車体フレーム18上にボルト(不図示)などで固定されるとともに、その上端が、前部28にボルトなどで固定される。また、側部29L,29Rの後端は、後部フレーム55の前面に当接している。後部フレーム55は、車体フレーム55後部にて、機体を補強するとともに、フェンダー24L,24Rを載置するためのものである。なお、符号54は補強フレームを示し、側部29L,29Rを補強するためのものであり、側部29L,29Rの間に渡し掛けられて固設されている。
ここで、側部29Rの天面29RUの幅は、側部29Lの天面29LUよりも広く形成される。これは、後述する、リミットスイッチ(検知手段)65A,65Bを載置するためである。天面29LUには、運転席13を固定するためのブラケット29AL,29BLを直立させた状態で溶接などによって固定する。天面29RUには、運転席13を固定するためのブラケット29AR,29BRを直立させた状態で溶接などによって固定する。天面29RU上には、ブラケット29ARに一定距離を隔ててリミットスイッチ(検知手段)65Aを設け、ブラケット29BRに一定距離を隔ててリミットスイッチ(検知手段)65Bを設ける。なお、ブラケット29ARとリミットスイッチ65Aとの間に、また、ブラケット29BRとリミットスイッチ65Bとの間には後述するようにコイルバネ32,32が挿入される。
ブラケット29AL,29AR,29BL,29BRにはそれぞれ、座席固定棒31を貫通させるための貫通孔H1を形成する。ブラケット29AL,29ARは、それぞれの側部29L,29Rの前側に、貫通孔H1が向き合うように機体の幅方向沿って設けられる。同様に、ブラケット29BL,29BRは、それぞれの側部29L,29Rの後側に、貫通孔H1が向き合うように機体の幅方向沿って設けられる。
ベッセル40の底部の左右にはそれぞれ、逃げ穴40BL,40BRが形成されている。逃げ穴40BLは、ベッセル40を座席支持部SBに被せたときに、ブラケット29AL,29BLを逃げるためのものであり、逃げ穴40BRは、ベッセル40を座席支持部SBに被せたときに、ブラケット29AR,29BR、および、リミットスイッチ65A,65Bを逃げるためのものである(逃げ穴40BR,40BLは後述するように、コイルバネ32を逃げるためのものでもある)。したがって、逃げ穴40BRは、逃げ穴40BLよりも大きく形成される。
図5(a),(b)には、運転席13を前進方向に向けて取り付けた(芝刈作業時)詳細を示す。この状態においては、リミットスイッチ65Aは、金属製の座席固定棒31に備える押当部材31Aに当接して押し込まれてONとなっている。リミットスイッチ65AがONとなると、その旨が不図示の配線を介して制御部に電気的に伝達される。この情報によって制御部では、走行操作レバー14L,14Rを前進方向に押して傾けたときが電動ローンモア10の順走方向であることを認識する。これによって、走行モータDMのトランスミッションの設定が前進方向に回転させたときのほうが、後進方向に回転させたときよりも多段階に変速できるように制御する。
押当部材31Aは、円筒状のゴムなどで形成され、座席固定棒31に嵌め込まれる。押当部材31Aは、座席固定棒31をブラケット29AR,29ALに挿入したときにリミットスイッチ65Aを押し込む位置に配置される。押当部材31Aは座席固定棒31との間で摩擦によって左右方向の動きを規制されている。なお、座席固定棒31の両端部には、貫通孔を形成し、ここに抜け止めのための固定ピンPNを挿入する。
一方、運転席13の後部に備えられるコイルバネ32,32はそれぞれ、側部29L,29Rの天面29LU,29RU上に載置される。このときに、運転席13の右側に配置されるコイルバネ32は、ブラケット29BRとリミットスイッチ65Bとの間に配置される(同様に、運転席13の左側に備えるコイルバネ32は、ブラケット29ARとリミットスイッチ65Aとの間に配置される)。
ベッセル40はプラスチック製(または金属製)で、詳しくは、図6(a)〜(d)に示すように形成されている。すなわち、ベッセル40は、一対の側面部40SL,40SRと、第1面部40Fと、第2面部40Jと、底面部40TM,40TL,40TRとで構成された開口を有する容器である。開口の縁に沿って、側面部40SL,40SRと第1面部40Fには、縁部40Dが連続的に設けられている。縁部40Dは、外側に向けて所定量だけカールしてなる。また、第1面部40Fの縁部40Dには、所定の間隔を隔てて直立してステー40AL,40ARが形成されている。ステー40AL,40ARの略中央にはそれぞれ貫通孔が形成されている。この貫通孔にはベッセル支持棒64を貫通させる。ベッセル支持棒64の両端には、ステー40AL,40ARから抜け落ちないように、抜け止め処理が適宜施してある。
側面部40SL,40SRは板状で、それぞれ開口端に向けて所定の角度で外側に傾斜してなる。一方、第1面部40Fは板状で、底面部40TM,40TL,40TRより略直角に立ち上がってなる。底面部40TMは底面の中央に配置され、その右側に底面部40TR、左側に底面部40TLがそれぞれ連続して形成される。底面部40TMと底面部40TL,40TRとの間には、底面を補強するためにそれぞれ所定量の段差が形成されている。すなわち、底面部40TMが底面部40TL,40TRに対して、上げ底状になっている。底面部40TRには、2つの逃げ穴40BR,40BRが形成されている。一方、底面部40TLには、2つの逃げ穴40BL,40BLが形成されている。前述のように、逃げ穴40BRには、ブラケット29AR、リミットスイッチ65A、コイルバネ32(または、ブラケット29BR、リミットスイッチ65B、コイルバネ32)が入り込むことができる。逃げ穴40BLには、ブラケット29ALおよびコイルバネ32(または、ブラケット29BLおよびコイルバネ32)が入り込むことができる。したがって、逃げ穴40BRは、逃げ穴40BLよりも大きく形成される。詳しくは、逃げ穴40BRは逃げ穴40BLに対して車幅方向に長く形成されている。
側面部40SLには、内側に向けて突出した2つの突出部40EL,40ELが所定間隔をもって形成される。突出部40ELは角が丸まった直方体状に形成される。側面部40SRの内側には、内側に向けて突出した2つの突出部40ER,40ERが所定間隔をもって形成される。突出部40ERは角が丸まった直方体状に形成される。また、側面部40SLには、水平方向に突出した突起RAを備える。この突起RAは、両側面部40SLに1つずつ形成されている。突起RAは、後述するように、ベッセル40をダンプさせる際にリンク部材を取り付けるためのものである。
逃げ穴40BLを使用しないときは、グローメット(閉塞部材)42を取り付けて、逃げ穴40BLを塞ぐ。また、逃げ穴40BRを使用しないときは、グローメット(閉塞部材)41を取り付けて、逃げ穴40BRを塞ぐ。グローメット41,42はそれぞれ、角の丸まった略矩形状のゴム製のキャップで、側部の中央には全周にわたって溝部41S,42Sが形成される。また、グローメット41,42の内側はそれぞれ凹状に形成されて、嵌合部41B,42Bが形成されている。
グローメット41を使用しない時は、嵌合部41Bを突出部40ERに嵌めつける。一方、グローメット42を使用しない時は、嵌合部42Bを突出部40ELに嵌めつける。グローメット41を使用する時は、突出部40ERから取り外して、逃げ穴40BRに嵌めつける。このとき、底面部40TRの板厚部分にグローメット41の溝部41Sが嵌合する。このようにすることで、グローメット41を逃げ穴40BRに確実に取り付けることができる。また、グローメット42を使用する時は、突出部40ELから取り外して、逃げ穴40BLに嵌めつける。このとき、底面部40TLの板厚部分にグローメット42の溝部42Sが嵌合する。このようにすることで、グローメット42を逃げ穴40BLに確実に取り付けることができる。
図7(a)〜(c)には、走行操作レバー14Rの詳細を示す。走行操作レバー14Rは、運転者が握るグリップ部、レバー部14R1、レバー部14R1の下端に設けられる連結部14R2、連結部14R2を回動可能に固定する固定部14R3、固定部14R3が固設されるリンクバー14R4などを備える。レバー部14R1は上部が略直角に曲がった形状の金属製の円筒(または丸棒)である。レバー部14R1の下端には連結部14R2を備える。連結部14R2は厚めの金属板で形成され、2つの貫通孔HX1,HX2を備える。この貫通孔HX1,HX2には、ストッパー50の先端50C,50Dをそれぞれ挿入する。ストッパー50は、金属棒を略コの字状に折り曲げて形成される。2つの先端50C,50Dのうち、先端50Dは、先端50Cよりも長く形成される。先端50C,50Dにはそれぞれ貫通孔50A,50Aが設けられる。
固定部14R3は、矩形の金属板を略直角に2度折り曲げて形成される。両側部14R3S,14R3Sにはそれぞれ、円形の貫通孔である、位置決め孔HA,HBおよび中心孔HCが形成されている。位置決め孔HA,HBの中心は、中心孔HCの中心から等距離である。また、位置決め孔HAの中心と中心孔HCの中心とを結ぶ線と中心孔HCの中心を通る鉛直線とのなす角と、位置決め孔HBの中心と中心孔HCの中心とを結ぶ線と中心孔HCの中心を通る鉛直線とのなす角とは、反対方向で同一角度となるように構成される。
固定部14R3には、所定の隙間をもって連結部14R2が入り込むようになっている。固定部14R3は、リンクバー14R4の上端部に溶接などで固設される。リンクバー14R4の下端には、不図示の回転センサを取り付け、回転センサが検出する回転量や回転方向によって、走行モータDMの駆動を制御している。なお、走行操作レバー14Lの構造も、走行操作レバー14Rと同様である。
連結部14R2を固定部14R3に組み付けるには、連結部14R2を固定部14R3の一対の側部14R3Sの間に挿入し、貫通孔HX2と中心孔HCとを合わせてストッパー50の先端50Dを挿入する(後述するように、中心孔HCがレバー部14R1の回動中心となる)。次に、レバー部14R1をローンモア10の前進方向に倒して、貫通孔HX1と位置決め孔HAとを合わせてストッパー50の先端50Cを挿入する。そして、先端50C,50Dの貫通孔50A,50Aにそれぞれ、抜け止めピン51,51を差し込んでストッパー50の抜け止めをする。これによって、レバー部14R1は、ローンモア10の草刈作業位置となり、レバー部14R1がリンクバー14R4に対して固定され、レバー部14R1の回動に合わせて、リンクバー14R4が回動するようになる(なお、貫通孔HX1と位置決め孔HBとを合わせてストッパー50の先端50Cを挿入すると、ローンモア10のUTV作業位置となる。詳細は後述)。
図8には、ベッセル40の取付部材81,82を示す。取付部材81は、縦長の金属板の角部を丸めた後、所定の2箇所で屈曲させてなる。具体的には、取付部材81は、端部81A、中間部81B、端部81Cとを連続的に構成し、端部81Aと中間部81Bとの間に屈曲部81Bを、中間部81Bと端部81Aとの間に屈曲部81Bを形成する。このとき、端部81Aの表面が形成する平面と端部81Cの表面が形成する平面とは平行となるように屈曲される(屈曲角度については適宜決定されるものとする)。端部81A,81Cにはそれぞれ貫通孔81Hを形成する。一方、取付部材82は、縦長の金属板の角部を丸めて形成される。両端部には、それぞれ貫通孔82Hを形成する。
取付部材81,82は、それぞれ2つずつ備え、車体フレーム18の床板FL上に固設された把持部材83に嵌めつけられて、収納状態となる。把持部材83は、高張力鋼など弾性のある金属で形成される。また、収納箱84を取付部材81,82に隣接して車体フレーム18上に備える。収納箱84内には、取付部材81,82をベッセル40にノンツールで取り付けるために必要なスナップピンと平頭ピンとの組み合わせを複数収納する(なお、取付部材81,82は、車体フレーム18上に保持することに限定されるものではなく、例えば、後述するフットレストFRの後面FT3に平頭ピンを突設し、そこに掛け止めるようにして保管するようにしてもよい)。
ところで、図9(a),(b)に示すように、側部29Lの前部側面には、取付部材29LEを突設する。取付部材29LEは、断面視で門型状に形成された金属板であり、天面の先端部に貫通孔を備える。一方、フェンダー24Lの前部内側面には、取付部材24LEを突設する。取付部材24LEは、断面視で角張ったU字状に形成された金属板であり、底面の先端部に貫通孔を備える(この取付部材24LEは、フェンダー24Lと一体に形成されてもよい)。そして、取付部材29Lの貫通孔と取付部材24LEの貫通孔とを合わせ、ここにボルトBOを通して取付部材29Lと取付部材24LEとを連結する。なお、フェンダー24Lの後部は、車体フレーム55上に載置して固定する。また、フェンダー24Rと側部29Rとの連結は、フェンダー24Lと側部29Lとの連結と同様の構成である。
図10,11には、リンク機構21とモアデッキ15との連結方法を示す(なお、図10,11では車体フレーム18などは適宜省略してある)。昇降操作レバー27は円筒状または丸棒状に形成され、その下端には円筒形の接続部J1の側面を固設する。接続部J1の一端には、回動棒27Aの一端部を固設する。この回動棒27Aは、電動ローンモア10の幅方向に延設されている。回動棒27Aは、車体フレーム18に適宜、回動自在に取り付けられている。回動棒27Aの反対側の端部には、同様に接続部J2を固設し、その接続部J2の側面には、リンク部材27B2の一端部を固設する。リンク部材27B2は金属板で形成される。このリンク部材27B2には、ピンP10によってリンクプレートLP3の一端部を回動自在に取り付ける。リンクプレートLP3は両端に丸みのある縦長の金属板で形成され、ピンP10とは反対側の端部にピンP9を介してデッキブラケット15Dを連結する(リンクプレートLP3は、デッキブラケット15Dに対して回動自在である)。デッキブラケット15Dは、金属板で形成され、モアデッキ15の上面の左後部の縁部に直立して固設されている。
接続部J1の側面には、リンク部材27B1の一端部を固設する。リンク部材27B1は縦長の金属板で形成される。リンク部材27B1の他端部近傍に貫通孔を形成する。この貫通孔には、ピンP2によってリンクプレートLP4の一端部を回動自在に取り付ける。リンクプレートLP4は両端に丸みのある金属板で形成され、ピンP2とは反対側の端部にピンP1によってデッキブラケット15Bを連結する(リンクプレートLP4は、デッキブラケット15Bに対して回動自在である)。デッキブラケット15Bは、金属板で形成され、モアデッキ15の上面の右後部の縁部に直立して固設されている。
リンク部材27B1の他端部近傍に形成された貫通孔よりやや内側にも貫通孔を形成する。この貫通孔には、ピンP3によってリンク部材21Aの一端部を回動自在に取り付ける。リンク部材21Aは矩形の金属板で縦長に形成される。リンク部材21Aの他端部には貫通孔が形成され、ピンP4によってリンク部材21Bを回動自在に取り付ける。リンク部材21Bは矩形の金属板で縦長に形成される。リンク部材21Bの端部には、リンクバー21Cの端部を貫通して固設する。リンクバー21Cは、電動ローンモア10の車幅方向に延設され、車幅方向の両側にある車体フレーム18に回動自在に取り付けられる。
リンクバー21Cの他端部には、リンク部材21Dを固設する(すなわち、リンクバー21Cは、リンク部材21Dの回動に合わせて動く)。リンク部材21Dは矩形の金属板で縦長に形成される。なお、リンク部材21Bおよびリンク部材21Dは、車体フレーム18の外側に取り付けられている。リンクバー21Cの中央部には、リンク部材21Fの一端部を固設する。リンク部材21Fは矩形の金属板で縦長に形成される。リンク部材21Fの他端部は、ピンP7によってリンクプレートLP5の一端部を回動自在に取り付ける。リンクプレートLP5は両端に丸みのある縦長の金属板で形成され、ピンP7とは反対側の端部にピンP8を介してデッキブラケット15Eを連結する(リンクプレートLP5は、デッキブラケット15Eに対して回動自在である)。デッキブラケット15Eは、一対の金属板で形成され、モアデッキ15の上面の前部中央の縁部に直立して固設されている。リンクプレートLP5は、デッキブラケット15Eの一対の金属板の間に配置される。
モアデッキ15の上面の前端部には、一対のデッキブラケット15A,15Cを備える。デッキブラケット15A,15Cは、デッキブラケット15Eを挟んで両側に一定の間隔をもって固設する。デッキブラケット15Aには、リンクプレートLP1の一端部をピンP5によって回動自在に取り付ける。リンクプレートLP1は縦長の金属板で形成され、ピンP5とは反対側の端部にピンP12を介してブラケットBK1を回動自在に連結する。デッキブラケット15Cには、リンクプレートLP2の一端部をピンP6によって回動自在に取り付ける。リンクプレートLP2は縦長の金属板で形成され、ピンP6とは反対側の端部にピンP11を介してブラケットBK2を回動自在に連結する。なお、ブラケットBK1,BK2の取り付けについては後述する。
なお、リンク機構21は、昇降操作レバー27とモアデッキ15とを連結する部材の総称であり、具体的には、リンク部材27B1,27B2、リンクプレートLP1〜LP5、リンク部材21A,21B,21D,21F、リンクバー21Cを指す。リンク機構21は、モアデッキ15を昇降させるための昇降リンクバーの役割を主とするが、ベッセル40を取付部材81,82を介して車体フレーム18に取り付けたときには、ベッセル40をダンプさせるための傾動リンクバーとしても機能する。
また、ピンP1〜P12は、上記リンク機構21を連結するためのものであり、全て、平頭ピンで形成され、その先端に直径方向に貫通孔を形成して、スナップピンで抜け止めを施すようにする。
昇降操作レバー27を後方に向けて回動すると、接続部J1が後方に向けて回動するとともにリンク部材27B1が上向きに回動し、リンクプレートLP4を介してモアデッキ15の右後部を上昇させる。一方、リンク部材27B1が上向きに回動することで、リンク部材21Aを前方に押し、リンク部材21Aはリンク部材21Bを前方に向けて回動させる。これによって、リンクバー21Cが前方に向けて回動し、リンク部材21Fを上方に回動させる。リンク部材21Fが上方に回動することで、リンクプレートLP5を引き上げ、モアデッキ15の前部は上昇する。一方、接続部J1が後方に回動することで回動棒27Aを介して接続部J2も後方に回動する。これによって、リンク部材27B2が上向きに回動し、リンクプレートLP3を介してモアデッキ15の左後部を上昇させる。
昇降操作レバー27を前方に向けて回動すると、接続部J1が前方に向けて回動するとともにリンク部材27B1が下向きに回動し、リンクプレートLP4を介してモアデッキ15の右後部を下降させる。一方、リンク部材27B1が下向きに回動することで、リンク部材21Aを後方に引っ張り、リンク部材21Aはリンク部材21Bを後方に向けて回動させる。これによって、リンクバー21Cが後方に向けて回動し、リンク部材21Fを下方に回動させる。リンク部材21Fが下方に回動することで、リンクプレートLP5を押し下げ、モアデッキ15の前部は下降する。一方、接続部J1が前方に回動することで回動棒27Aを介して接続部J2も前方に回動する。これによって、リンク部材27B2が下向きに回動し、リンクプレートLP3を介してモアデッキ15の左後部を下降させる。
なお、リンク機構21には、不図示のストッパーを備え、モアデッキ15を上昇させた状態で保持する機能を有するものとする。また、芝刈作業時には、モアデッキ15を下降して補助車輪23が接地した状態とし、非芝刈作業時には、モアデッキ15を上昇させた状態とする。
図12,13には、フットレストFT付近の詳細な構造を示す。フットレスト(回動部も兼ねる)FTは、金属製板で中空の略三角柱状に形成され、前面FT1、後面FT3、一対の側面FT2,FT2などで構成される。前面FT1は、運転席13に向けて傾斜してなり、運転者が運転中に足を載せるためのものである。前面FT1と後面FT3とは所定の角度を持って連続して形成され、その接続部分は丸みを帯びている。前面FT1の下端は、所定の角度で折れ曲がって、車体フレーム18との連結部FT1Eとなっている。この連結部FT1Eには、車体フレーム18とネジ止めするための貫通孔HL2が2箇所形成されている。この貫通孔HL2はボルトB1によってフットレストFTを車体フレーム18に固定するためのものである(図14参照)。連結部FT1Eよりやや上側の前面FT1上には、別の貫通孔HL1が2箇所形成されている。この貫通孔HL1には、ボルトを介してベッセル40を固定する(詳細は後述)。
後面FT3の下端部の両側には、それぞれフラップ部FT4,FT4を略直角に内側に折り曲げて備える。フラップ部FT4には、その略中央に貫通孔FT4Hを形成する。側面FT2は略三角形状で、前面FT1と後面FT3とを側方から連結するように設けられる。側面FT2には下端部に切り欠きFT2Cが形成されている。この切り欠きFT2Cは、フットレストFTを機体に組み付けたとき、横フレーム19を逃げるためのものである。また、切り欠きFT2Cのやや上方には、貫通孔HL3を形成する。この貫通孔HL3は、ベッセル40を取り付けるためのものである(詳細は後述)。
横フレーム19の前面には、所定の間隔を隔てて、一対のブラケットBK1,BK2を固設する。ブラケットBK1には、ピンP12によって、前述のリンクプレートLP1の一端部が回動自在に取り付けられている。また、ブラケットBK2には、ピンP11によって、前述のリンクプレートLP2の一端部が回動自在に取り付けられている。フットレストFTは、一対のフラップ部FT4,FT4にそれぞれ形成された貫通孔FT4HにピンP11,12を貫通させて、ブラケットBK1,BK2に回動自在に取り付ける。このとき、フラップ部FT4,FT4は、リンクプレートLP1,LP2よりも内側に取り付けられる(すなわち、車幅方向の外側から順に、ブラケットBK1、リンクプレートLP1、フラップ部FT4となる。また、車幅方向の外側から順に、ブラケットBK2、リンクプレートLP2、フラップ部FT4となる)。なお、フットレストFTは、ピンP11,P12に対して回動自在に取り付けるものとする。
横フレーム19の左右両端部には、円筒部17がそれぞれ固設されており、それぞれの円筒部17から車幅方向の内側に所定の距離をもってステーS1,S2を固設する。このステーS1,S2は、取付部材82を回動自在に取り付けるためのものである(詳細は後述)。ステーS1,S2の略中央には、それぞれ貫通孔S1H,S2Hを形成する。なお、符号21DHは、リンク部材21Dに形成された貫通孔、符号21BHは、リンク部材21Bに形成された貫通孔を示す。
次に、電動ローンモア10でUTV作業をする際(UTV作業時)について、図1〜14を参照しつつ説明する。まず、フットレストFTを車体フレーム18に固定しているボルトB1,B1を外し、フットレストFTを回動自在にする。次に、座席固定棒31の固定ピンPNを抜き、座席固定棒31をブラケット29AL,29ARから外して、運転席13を座席支持部SBから外す。そして、ベッセル40をベッセル支持棒64の回りに回動させて、開口を上向きとしてステップST上に載置する。このとき、ベッセル40の第2面部40JとフットレストFTの前面FT1とが重なる(したがって、ベッセル40の第2面部40Jの水平面からの傾斜角度と、フットレストFTを車体フレーム18上に載置したときの前面FT1の水平面からの傾斜角度とを略同じとするように設計する必要がある)。また、グローメット41を逃げ穴40BRに、グローメット42を逃げ穴40BLにそれぞれ嵌めつける。
そして、ベッセル40の第2面部40Jの先端をフットレストFTに固定する。詳しくは、図15に示すように、フットレストFTの前面FT1の下端部に形成された2つの貫通孔HL1,HL1をベッセル40の第2面部40Jの先端に形成された2つの貫通孔HL3,HL3に合わせて、ボルトBT1を通して締め付けて固定する。また、フットレストFTの両側面部FT2に1つずつ形成された貫通孔HL2をベッセル40の両側面部40Jに1つずつ形成された貫通孔HL4に合わせて、ボルトによって締め付けて固定する(したがって、ベッセル40の両側面部40J,40Jの間隔が、フットレストFTの両側面部FT2,FT2の距離よりもわずかに大きくなるように設計する必要がある)。また、ベッセル支持棒64をベッセル40のステー40AL,40ARから抜く。
次に、図16(a)に示すように、ベッセル40の左側面部40Jにある突起RAに取付部材82の一端にある貫通孔82Hと取付部材81の一端にある貫通孔81Hをこの順に通す。そして、突起RAの先端部の直径方向に形成された貫通孔にスナップピンを通して抜け止めをする(取付部材81,82は突起RAに対して回動自在である)。さらに、取付部材82の他端の貫通孔82HとステーS2の貫通孔S2Hとを合わせて、平頭ピンHPNを挿入し、平頭ピンHPNの先端部の直径方向に形成された貫通孔にスナップピンを通して抜け止めをする(取付部材82はステーS2に対して回動自在である)。そして、取付部材81の他端の貫通孔81Hとリンク部材21Dの貫通孔21DHとを合わせて、平頭ピンHPNを挿入し、平頭ピンHPNの先端部の直径方向に形成された貫通孔にスナップピンを通して抜け止めをする(取付部材81はリンク部材21Dに対して回動自在である)。
同様に、図16(b)に示すように、ベッセル40の右側面部40Jにある突起RAに取付部材82の一端にある貫通孔82Hと取付部材81の一端にある貫通孔81Hをこの順に通す。そして、突起RAの先端部の直径方向に形成された貫通孔にスナップピンを通して抜け止めをする(取付部材81,82は突起RAに対して回動自在である)。さらに、取付部材82の他端の貫通孔82HとステーS1の貫通孔S1Hとを合わせて、平頭ピンHPNを挿入し、平頭ピンHPNの先端部の直径方向に形成された貫通孔にスナップピンを通して抜け止めをする(取付部材82はステーS1に対して回動自在である)。そして、取付部材81の他端の貫通孔81Hとリンク部材21Bの貫通孔21BHとを合わせて、平頭ピンHPNを挿入し、平頭ピンHPNの先端部の直径方向に形成された貫通孔にスナップピンを通して抜け止めをする(取付部材81はリンク部材21Bに対して回動自在である)。
次に、運転席13を元の位置(前向き)から水平面で180度回転させて後向きにし、左右のコイルバネ32,32を、ブラケット29ARとリミットスイッチ65Aとの間の天面29RU上と、ブラケット29ALに隣接して天面29LU上にそれぞれ載置する。そして、座席取付部材30の両側部30S,30Sにそれぞれ形成された貫通孔30Aをブラケット29BL,29BRの貫通孔H1,H1に合わせて、座席固定棒31の両端をそれぞれ挿入した後、座席固定棒31の両端部の貫通孔に固定ピンPNを挿入して抜け止めをする。このとき、座席固定棒31の押当部材31Aがリミットスイッチ65Bの先端に当接して押し込み、スイッチをONとする。
リミットスイッチ65BがONとなると、その旨が不図示の配線を介して制御部に電気的に伝達される。この情報によって制御部では、走行操作レバー14L,14Rを後進方向に押して傾けたときが電動ローンモア10の順走方向であることを認識する。これによって、走行モータDMのトランスミッションの設定が後進方向に回転させたときのほうが、前進方向に回転させたときよりも多段階に変速できるようになる。言い換えると、UTV作業時の順走方向は芝刈作業時の逆走方向であるため、制御部が、走行モータDMのトランスミッションの設定を変更し、UTV作業時の順走方向に走行モータDMが回転するときに、より多段階となるようにする。
さらに、走行操作レバー14Lの方向を変える。走行操作レバー24Lのストッパー50の先端50C,50Dにある抜け止めピン51,51をそれぞれ抜く。そして、先端50Cを位置決め孔HAおよび貫通孔HX1から抜くようにストッパー50をスライドさせる。なお、このとき、ストッパー50の先端50Dは中心孔HCおよび貫通孔HX2からは抜かない程度にストッパー50をスライドさせる。そして、先端50Dを回動中心として、レバー部14R1を後方に回動させて、貫通孔HX1と位置決め孔HBとを合わせ、ここに先端50Cを貫通させるようにしてストッパー50をスライドさせる。その後、先端50C,50Dの貫通孔50A,50Aに抜け止めピン51,51をそれぞれ挿入して、ストッパー50の抜け止めをする。走行操作レバー14Rの方向を変える手順も同様である。
UTV作業時に電動ローンモア10を走行させるには、走行操作レバー14L,14Rを適宜操作する。このとき、走行操作レバー14L,14Rの傾動量と走行モータDMの回転速度との関係は、前述の、芝刈作業時のそれと同一とする。
このようにして、図17に示すように、電動ローンモア10をUTV作業用として使用することができる。ベッセル40には、ゴルフ場の芝に散布する不定形物質の肥料や除草剤(物体)などを積載することができる。また、これに代えて、土や枯葉などを積載するようにしてもよい。
そして、図18に示すように、ベッセル40をダンプするには、前述のようにして、モアデッキ15を上昇させる要領で昇降操作レバー27を後方に向けて回動させる。これによって、リンク部材21B,21Dが前方に向けて回動する。すると、リンク部材21B,21Dに連結された取付部材81,81を上昇させ、取付部材81,81が両側よりベッセル40を上昇させる。ここで、取付部材82の一端部が、ステーS1,S2に回動自在に取り付けられているので、ベッセル40は、ステーS1,S2を回動支点として前側に向けてダンプする。このとき、フットレストFTは、車体フレーム18との連結を解除してあるとともに、ベッセル40と連結されているので、ベッセル40のダンプに連動して前側に向けて回動する。このときのフットレストFTの回動支点は、ピンP11,P12である。これによって、ベッセル40に積載された固形の肥料や除草剤(物質)などが排出される。なお、ベッセル40のダンプに連動してモアデッキ15も上昇する。
そして、排出を終了したら、昇降操作レバー27を前方に向けて回動する。これによって、リンク部材21B,21Dが後方に向けて回動する。すると、リンク部材21B,21Dに連結された取付部材81,81を下降させ、取付部材81,81が両側よりベッセル40を下降させて、ステップST上に載置される。このとき、フットレストFTは、ベッセル40の回動に連動して後側に向けて回動する。
なお、この発明はフットレストを設けず回動部を車体フレーム18の前端に回動自在に取り付け、この回動部にベッセル40の先端部を取り付けて、車体フレーム18に対して前側にダンプするように構成してもよい。また、リンク機構21は、昇降リンクバーと傾動リンクバーの2役を兼ねたが、この発明はこれに限定されるものではなく、昇降リンクバーとこれを操作するレバー、傾動リンクバーとこれを操作するレバーというように2組の異なる操作系を備えるようにしてもよい。