JP2012128369A - 粘着ラベル及び粘着ラベル作製装置 - Google Patents

粘着ラベル及び粘着ラベル作製装置 Download PDF

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和夫 谷
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Abstract

【課題】十分且つ安定した粘着力が確保されると共に、大型な作製装置を必要とすることなくスピーディーで効率の良い作製が可能とされた粘着ラベルを提供すること。
【解決手段】シート状の基材2と、該基材の一方の面2a側に積層された印字可能層3と、基材の他方の面2b側に積層された粘着層4と、該粘着層を被覆してその粘着を規制するブロッキング防止層5と、を備え、ブロッキング防止層が、放電用電極30との間で発生される放電によって局所的に除去される粘着ラベル1を提供する。
【選択図】図3

Description

本発明は、粘着ラベル及びその作製装置に関するものである。
粘着ラベルは、従来から使い勝手が良く様々な用途で広く使用されており、その基本的構造は基材と、基材の一方の面上に形成された印字層と、印字層とは反対の面である基材の他方の面上に形成された粘着層と、で構成されている。この種の粘着ラベルは、通常重ねられた状態で保存、保管されるため、粘着ラベル同士が互いに貼り付かないように剥離紙によって粘着層が被覆されている場合が多い。そのため、使用時には、この剥離紙を粘着層から剥離する必要がある。しかしながら、剥離した剥離紙を回収してリサイクルすることは実際上困難であるため、剥離紙はほぼ産業廃棄物として処分されてしまうのが現状である。
そこで、近年では環境保全、環境負荷軽減の観点から、剥離紙を利用しない粘着ラベルが用いられるようになってきている。例えば、加熱されることで粘着性が発現される感熱性粘着ラベル(特許文献1参照)や、樹脂フィルムに開口を開けることで粘着性が発現される粘着ラベル(特許文献2参照)等が知られている。
上記特許文献1記載の感熱性粘着ラベルは、基材と、基材の一方の面状に形成された印字層と、基材の他方の面状に形成された感熱性粘着剤からなる粘着層と、を備えている。感熱性粘着剤は、常温では非粘着とされ、加熱による熱活性化によって粘着性を発現するものが採用されている。従って、非加熱時である保存時等においては粘着現象が生じ難く、これによりブロッキングの防止が図られている。
また、上記特許文献2記載の粘着ラベルは、基材と、基材の一方の面上に形成された印字層と、基材の他方の面上に形成された粘着層と、粘着層を被覆する樹脂フィルムと、を備えている。樹脂フィルムは粘着層の全面を覆っているため、保管時等においては粘着現象が生じ難く、これによりブロッキングの防止が図られている。
また、使用時においては、サーマルヘッド等を利用して樹脂フィルムを加熱等することで該樹脂フィルムに開口を開け、この開口から粘着層を露出させることで粘着性を発現させている。
特開2003−95234号公報 特開2006−78733号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の感熱性粘着ラベルの場合、常温下でのブロッキングを完全に防止するためには、ガラス転移点が常温以上となる感熱性粘着剤を用いる必要がある。ところが、このような感熱性粘着剤の場合、粘着性を十分に発現させるためには熱エネルギー量を多く必要とする。また、十分な粘着性を確保するためには、粘着層をある程度厚くする必要があるが、粘着層を厚くしてしまうと感熱性粘着剤が十分な粘着性を発現するのに必要な熱エネルギー量がさらに必要となってしまう。
これらのことから、使用時に粘着層を加熱するための電源として、より大きなものが必要となってしまい、該ラベルの作製装置が大型化し易く、小型化を図ることが困難となってしまう。また、加熱に時間がかかりやすいので、ラベル作製スピードの高速化が難しく、効率の良いラベル作製が困難であった。
また、上記特許文献2に記載の粘着ラベルの場合、粘着層上に樹脂フィルムを直接固着させる構成であるため、粘着層の粘着力が樹脂フィルムの熱変形や熱収縮を阻害し易い。そのため、樹脂フィルムに精度良く十分なサイズの開口を開けることが難しく、必要な粘着性を得ることができない恐れがあった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、十分且つ安定した粘着力が確保されると共に、大型な作製装置を必要とすることなくスピーディーで効率の良い作製が可能とされた粘着ラベル、及びその作製装置を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係る粘着ラベルは、シート状の基材と、該基材の一方の面側に積層された印字可能層と、前記基材の他方の面側に積層された粘着層と、該粘着層を被覆してその粘着を規制するブロッキング防止層と、を備え、前記ブロッキング防止層が、放電用電極との間で発生される放電によって局所的に除去されることを特徴とする。
本発明に係る粘着ラベルによれば、保管時等、粘着層を被覆しているブロッキング防止層が該粘着層の粘着を規制しているので、重ね合わされたり、ロール状に巻回されていたりしても確実にブロッキングが防止されている。
ところで、上記ブロッキング防止層は、放電用電極との間で発生される放電によって局所的に除去可能とされているので、使用時においてはこの放電によりブロッキング防止層の所望する範囲を任意に除去でき、その範囲で粘着層を露出させて粘着性を発現させることができる。これにより、粘着ラベルの貼り付けを行うことができる。
特に、放電を利用してブロッキング防止層を局所的に除去できるので、粘着層の粘着力の影響に左右されずに所望する範囲を任意の形状で精度良く除去でき、十分且つ安定した粘着力を発現する粘着ラベルとすることができる。
しかも、従来の加熱による方法や物理的な方法とは異なり、放電を利用するので、瞬間的にブロッキング防止層を除去して粘着層を露出することができ、スピーディーで効率の良い作製が可能とされている。加えて、粘着層を感熱性にする必要がないので、加熱を行わなくても十分な粘着性を確保することが可能である。そのため、十分な熱エネルギー量で加熱するための電源が不要となり、粘着ラベルを作製するための作製装置の小型化に繋げることができる。
(2)また、上記本発明に係る粘着ラベルにおいて、前記ブロッキング防止層が、前記粘着層上に積層されると共に前記放電用電極との間で放電電圧が印加可能とされ、前記放電発生時に局所的に除去される非粘着性の導体層であっても良い。
この場合には、ブロッキング防止層自身を放電用の電極として利用することができ、放電用電極との間で発生した放電によって該ブロッキング防止層の所望する範囲をより高精度に除去し易い。
(3)また、上記本発明に係る粘着ラベルにおいて、前記ブロッキング防止層上には、前記放電発生時に該ブロッキング防止層と共に除去される不導体層がさらに積層されていても良い。
この場合には、導体層であるブロッキング防止層上にさらに不導体層が積層されているので、保管時等におけるブロッキングの防止効果をより高めることができる。また、ブロッキング防止層を不導体層で保護できるので、該ブロッキング防止層に傷等が付き難い。そのため、ブロッキング防止層と放電用電極との間に発生する放電を正確に制御し易く、ブロッキング防止層の所望する範囲をさらに精度良く除去することが可能である。
(4)また、上記本発明に係る粘着ラベルにおいて、前記基材と前記粘着層との間に積層され、前記放電用電極との間で放電電圧が印加可能とされた導体層を備え、前記ブロッキング防止層が、前記粘着層上に積層され、前記放電発生時に局所的に除去される非粘着性の不導体層であっても良い。
この場合には、基材と粘着層との間に放電用の専用電極として利用できる導体層が設けられているので、この導体層と放電用電極との間で発生する放電を正確に制御し易く、ブロッキング防止層である不導体層の所望する範囲をより高精度に除去し易い。
(5)また、上記本発明に係る粘着ラベルにおいて、前記粘着層が、前記放電用電極との間で放電電圧が印加可能とされた導電性粘着層とされ、前記ブロッキング防止層が、前記導電性粘着層上に積層され、前記放電発生時に局所的に除去される非粘着性の不導体層であっても良い。
この場合には、粘着層自身を放電用の電極として利用でき、放電用電極との間で発生した放電によってブロッキング防止層である不導体層の所望する範囲をより高精度に除去し易い。
(6)本発明に係る粘着ラベル作製装置は、シート状の基材と、該基材の一方の面側に積層された印字可能層と、基材の他方の面側に積層された粘着層と、該粘着層を被覆してその粘着を規制するブロッキング防止層と、を備えた粘着ラベルが巻回されたロール体を軸支する保持部と、前記ロール体から引き出された前記粘着ラベルを送り出すと共に、前記印字可能層に情報を印字する印字部と、前記印字がなされた前記粘着ラベルに対して放電を行って、前記ブロッキング防止層の所定位置を局所的に除去して前記粘着層を露出させる放電部と、前記印字及び前記放電が終了した前記粘着ラベルを所定の長さに切断する切断部と、を備え、前記放電部が、先端部が先鋭化され、該先端部が前記ブロッキング防止層に対して対向配置された放電用電極と、該放電用電極の前記先端部と前記粘着ラベルとの間に放電用電圧を印加して前記放電を発生させる電圧印加部と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る粘着ラベル作製装置によれば、保管時等、粘着ラベルをロール状に巻回したロール体として保持部で軸支しているので、長尺な粘着ラベルであったとしても僅かなスペースを有効に利用して保管することができる。この際、粘着層を被覆しているブロッキング防止層が粘着層の粘着を規制しているのでブロッキングが確実に防止されている。
次に、粘着ラベルを使用する場合には、保持部に軸支されているロール体から引き出された粘着ラベルを印字部により下流側に送り出しながら、印字可能層に各種情報を印字する。続いて、放電部により印字が終了した粘着ラベルに対して放電を行う。つまり、電圧印加部により、ブロッキング防止層に対して対向配置された放電用電極の先端部と粘着ラベルとの間に放電用電圧を印加させ、両者の間に放電を発生させる。これにより、ブロッキング防止層の所定位置を局所的に除去して粘着層を露出させることができ、粘着ラベルに粘着性を発現させることができる。そして、切断部によって、印字及び放電が終了した粘着ラベルを所定の長さに切断することで、印字可能層に情報が印字され、且つ粘着性が発現された粘着ラベルを作製することができる。
特に、放電を利用してブロッキング防止層の所望する範囲を局所的に除去するので、粘着層の粘着力の影響に左右されずに所望する範囲を任意の形状で精度良く除去でき、十分且つ安定した粘着力を発現する粘着ラベルを作製することができる。
しかも、放電を利用するので瞬間的にブロッキング防止層を除去して粘着層を露出させることができるので、スピーディーで効率の良い作製を行うことができる。加えて、粘着層を感熱性にする必要がないので、加熱を行わなくても十分な粘着性を確保することが可能である。そのため、十分な熱エネルギー量で加熱するための電源が不要であるうえ、先端部が先鋭化された放電用電極及び電圧印加部を具備するだけで済むので、装置全体の小型化を図り易い。
(7)また、上記本発明に係る粘着ラベル作製装置において、前記放電部が、前記粘着ラベルの前記ブロッキング防止層を摺動面に摺接させながら該粘着ラベルの移動をガイドすると共に、前記放電用電極を内部に収容する不導体のガイド体を備えていても良い。
この場合には、ガイド体の摺動面を利用して粘着ラベルの移動をガイドできるので、移動中における粘着ラベルの挙動を安定させた状態で放電を行うことができ、ブロッキング防止層の所望する範囲をより高精度に除去し易い。
(8)また、上記本発明に係る粘着ラベル作製装置において、前記放電部が、前記粘着ラベルを前記ガイド体の摺動面に押し付けながら送り出すローラ部を備えていても良い。
この場合には、ローラ部によって粘着ラベルをガイド体の摺動面に押し付けることができるので、粘着ラベルの移動のガイドをより安定して行える。また、粘着ラベルと放電用電極との距離を所望する距離に維持し易く、放電を正確に制御し易い。従って、ブロッキング防止層の所望する範囲をさらに精度良く除去し易い。
本発明に係る粘着ラベルによれば、十分且つ安定した粘着力が確保されると共に、大型な作製装置を必要とすることなくスピーディーで効率の良い作製が可能となる。
本発明に係る粘着ラベル作製装置によれば、十分且つ安定した粘着力が確保された粘着ラベルをスピーディーで効率良く作製することができるうえ、小型な装置とすることができる。
本発明に係る実施形態を説明するための図であり、粘着ラベル作製装置の構成図である。 図1に示す粘着ラベルの拡大断面図である。 図1に示す粘着ラベル作製装置を構成する放電部の構成図である。 本発明に係る粘着ラベルの変形例を示す拡大断面図である。 本発明に係る粘着ラベルの別の変形例を示す拡大断面図である。 本発明に係る粘着ラベルのさらに別の変形例を示す拡大断面図である。 本発明に係る粘着ラベルのさらに別の変形例を示す拡大断面図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の粘着ラベル作製装置10は、ロール体Rから引き出された粘着ラベル1に対して印字を行った後、粘着性を発現させた状態で所定の長さに切断する装置である。
なお、本実施形態では図1に示す状態において、紙面に対して左側を前方F、右側を後方、上側を上方、下側を下方とする。そして、粘着ラベル1は前方F側に送り出されるものとする。
(粘着ラベル)
はじめに、上記粘着ラベル1について説明する。
この粘着ラベル1は、図2に示すように、長尺なシート状の基材2と、基材2の一方の面2a上に積層された印字可能層3と、基材2の他方の面2b上に積層された粘着層4と、粘着層4を被覆してその粘着を規制すると共に後述する放電用電極30との間で発生される放電によって局所的に除去されるブロッキング防止層5と、を備えている。
印字可能層3は、例えば加熱によって発色する感熱性記録層であり、基材2の一方の面2a上に全面に亘って形成されている。粘着層4は、例えば水、溶剤や熱等を用いなくても常温で僅かな圧力を短時間で加えるだけで粘着性が発現される感圧性粘着剤からなる層であり、基材2の他方の面2b上に全面に亘って形成されている。
なお、感圧性粘着剤としては、凝集力と弾性力とを共に有し、且つ高い粘着性を有する一方、容易に剥離可能とされるものが好ましい。
但し、粘着層4は、感圧性粘着剤からなるものに限定されず、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリイソブチレンゴム等のゴム系粘着剤や、ガラス転移点の低いモノマーと高いモノマーとを共重合した非架橋系のアクリル系粘着剤や、高凝集力のシリコーンと高粘着力のシリコーンレジンとからなるシリコーン系粘着剤等からなるものであっても構わない。
ブロッキング防止層5は、粘着層4上に全面に亘って形成される層であり、後述する放電用電極30との間で放電電圧が印加可能とされ、放電発生時に放電用電極30の先端部30aに対向する部分が局所的に除去される非粘着性の導体層とされている。このブロッキング防止層5は、放電用電極30との間で放電用電圧が印加され、放電を発生させるための陰極側の電極となるものであり、接地された状態となっている(図3参照)。
なお、ブロッキング防止層5としては、例えばスパッタリング法、蒸着法、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)やレーザ堆積法等の多種多様な方法によって形成された金属膜、金属フィルムや金属シート等からなる。
金属の種類としては、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、カーボン(C)等が挙げられる。特に、電気伝導度が低く、軟質且つ低コストのものが好ましく、例えばアルミニウムや銅等が良い。
(粘着ラベル作製装置)
続いて、上記粘着ラベル作製装置10について説明する。
この粘着ラベル作製装置10は、図1に示すように、粘着ラベル1が巻回された上記ロール体Rを軸支する保持部11と、ロール体Rから引き出された粘着ラベル1を前方F側に送り出すと共に、印字可能層3に情報を印字する印字部12と、印字がなされた粘着ラベル1に対して放電を行って、ブロッキング防止層5の所望する位置を局所的に除去して粘着層4を露出させる放電部13と、印字及び放電が終了した粘着ラベル1を所定の長さに切断する切断部14と、を備えている。
印字部12は、例えばプラテンローラ20及びサーマルヘッド21を有しており、保持部11の前方F側に配設されている。プラテンローラ20は、図示しない制御部によって駆動が制御されており、駆動時に前方Fに回転させられるローラである。サーマルヘッド21は、粘着ラベル1の幅方向に延在するように形成され、その表面には幅方向に沿って多数の図示しない発熱素子が設けられている。そして、これら発熱素子を利用して印字可能層3を適宜加熱して発色させることで、印字が可能とされている。
なお、このサーマルヘッド21は図示しないコイルバネ等によって付勢されており、粘着ラベル1を挟んでプラテンローラ20の周面に所定の接触圧で接している。これにより、粘着ラベル1を前方F側に送り出しながら印字を行うことが可能とされている。
切断部14は、粘着ラベル1を上下に挟んで互いに刃先が向かい合うように配設された固定刃25及び可動刃26を有するカッター機構であり、印字部12と放電部13との間に配設されている。固定刃25は粘着ラベル1の下方に配設され、可動刃26は粘着ラベル1の上方に配設されている。但し、粘着ラベル1の上方に固定刃25を配設し、下方に可動刃26を配設しても構わない。
可動刃26は、固定刃25に対して接近離間可能にスライド自在とされており、固定刃25との間で粘着ラベル1を上下に挟みこみながら切断することが可能とされている。そして、この可動刃26は、前方F側に配置されている放電部13による放電が終了した後、固定刃25に接近するようにスライド移動して粘着ラベル1を切断するように制御されている。
放電部13は、図1及び図3に示すように、放電用電極30、交流電源部(電圧印加部)31、スペーサ(ガイド体)32及びプラテンローラ(ローラ部)33を有しており、印字部12の前方F側に配設されている。
なお、図1においては、図示を簡略化するため放電用電極30、交流電源部31の図示を省略している。
放電用電極30は、粘着ラベル1との間に放電を発生させるための陽極側の電極であって、針状電極とされている。この放電用電極30は、先端部30aが先鋭化されており、この先端部30aをブロッキング防止層5に対してギャップGを開けた状態で対向配置されるように粘着ラベル1に対して略垂直に配設されている。
なお、放電用電極30の材料としては、タングステン(W)等のような硬い金属を用いることが好ましい。
交流電源部31は、放電用電極30に電気的接続されており、図示しない制御部からの指示を受けて、放電用電極30の先端部30aと粘着ラベル1との間に放電用電圧を印加し、両者の間に放電を発生させる。
スペーサ32は、粘着ラベル1の前方F側への移動をガイドすると共に、放電用電極30と粘着ラベル1の導体層であるブロッキング防止層5との直接的な接触を防止するための不導体からなる部材である。スペーサ32の上端面は、粘着ラベル1のブロッキング防止層5が摺接する摺動面32aとされており、該摺動面32aを利用して粘着ラベル1が滑らかに移動するようにガイドしている。
なお、スペーサ32の材料としては、潤滑性に優れたフッ素樹脂を用いることが好ましい。
また、このスペーサ32には、上記放電用電極30を内部に収容する収容孔35が上下を貫通するように形成されている。そして、放電用電極30は先端部30aが摺動面32aよりも上方に突出しない状態でこの収容孔35内に収容されている。
プラテンローラ33は、図示しない制御部によって駆動が制御されており、駆動時に前方Fに回転させられるローラであって、スペーサ32の上方に配設され、駆動時に粘着ラベル1をスペーサ32の摺動面32aに押し付けながら前方F側に送り出すことが可能とされている。
特に、このプラテンローラ33は、放電用電極30よりも後方側(上流側)近くにおいて、図示しないコイルバネ等からの付勢力を受けて粘着ラベル1をスペーサ32の摺動面32aに押し付けており、放電用電極30の先端部30aとブロッキング防止層5との上記ギャップG、即ち電極間距離が所望する距離となるように調整する役割も果している。
(粘着ラベルの作製)
次に、このように構成された粘着ラベル作製装置10を利用して、粘着ラベル1に印字を行うと共に粘着性を発現させる場合について説明する。
はじめに、保管時等においては、粘着ラベル1をロール状に巻回したロール体Rとして保持部11で軸支しているので、長尺な粘着ラベル1を僅かなスペースを有効に利用して保管することができる。この際、粘着層4を被覆しているブロッキング防止層5が粘着層4の粘着を規制しているので、ブロッキングが確実に防止されている。
次に、粘着ラベル1を使用する場合には、制御部が印字部12のプラテンローラ20及び放電部13のプラテンローラ33を共に駆動させる。
まず、印字部12のプラテンローラ20の回転によって、保持部11に軸支されているロール体Rから引き出された粘着ラベル1がプラテンローラ20とサーマルヘッド21との間に挟まれた状態で前方F側に送り出される。また、制御部はこれと同時にサーマルヘッド21を作動させて、多数の発熱素子を発熱させる。これにより、前方F側に送り出される粘着ラベル1の印字可能層3に対して各種の文字や図形等の情報を明瞭に印字することができる。そして、印字可能層3に印字がなされた粘着ラベル1は、固定刃25と可動刃26との間を通過しながら放電部13に移動する。
放電部13に移動した粘着ラベル1は、図3に示すようにスペーサ32の摺動面32aに押し付けられながらプラテンローラ33の回転によってさらに前方F側に送り出される。この際、粘着ラベル1は、潤滑性に優れたスペーサ32の摺動面32aによってガイドされるので、移動中における挙動が安定した状態で滑らかに移動する。
また、制御部は、粘着ラベル1が放電部13に移動してきたタイミングで交流電源部31を作動させる。すると、交流電源部31は、粘着ラベル1のブロッキング防止層5に対して対向配置された放電用電極30の先端部30aとブロッキング防止層5との間に放電用電圧を印加させ、両者の間に放電を発生させる。これにより、ブロッキング防止層5の所望する位置を局所的に除去して粘着層4を露出させることができ、粘着ラベル1に粘着性を発現させることができる。
なお、図示の例では放電を間欠的に行って、粘着ラベル1の長手方向(移動方向)に沿って間隔を開けながら平面視略円形状の開口部36を複数形成することでブロッキング防止層5を除去した場合を例に挙げている。
但し、この場合に限られず、放電を連続的に行って移動方向に沿ってライン状の開口部を形成しても構わない。
上記放電が終了した後、制御部は切断部14の可動刃26を作動させて、該可動刃26を固定刃25に向けてスライド移動させる。すると、スライドした可動刃26は、粘着ラベル1を固定刃25との間で上下に挟み込みながら切断する。これにより、粘着ラベル1を所定の長さに切断することができ、印字可能層3に情報が印字され、且つ粘着性が発現された粘着ラベル1を作製することができる。
特に、本実施形態の粘着ラベル作製装置10によれば、放電を利用してブロッキング防止層5の所望する範囲を局所的に除去するので、粘着層4の粘着力に影響に左右されずに所望する範囲を任意の形状で精度良く除去でき、十分且つ安定した粘着力を発現する粘着ラベル1を作製することができる。
しかも、放電を利用するので瞬間的にブロッキング防止層5を除去して粘着層4を露出させることができるので、スピーディーで効率の良い作製を行うことができる。また、粘着層4を感熱性にする必要がないので、加熱を行わなくても十分な粘着性を確保することが可能である。そのため、十分な熱エネルギー量で加熱するだけの電源が不要であるうえ、先端部30aが先鋭化された放電用電極30及び交流電源部31を具備するだけで済むので、装置全体の小型化を図り易い。
また、ブロッキング防止層5自身を放電用の電極(陰極)として利用することができ、放電用電極30との間で発生した放電によって該ブロッキング防止層5の所望する範囲をより高精度に除去し易い。
また、スペーサ32の摺動面32aを利用して粘着ラベル1の移動をガイドできるので、移動中における粘着ラベル1の挙動を安定させた状態で放電を行うことができる。更に、プラテンローラ33によって粘着ラベル1を摺動面32aに押し付け、粘着ラベル1と放電用電極30との間のギャップGを適切な電極間距離に維持できるので、放電を正確に制御し易い。これらのことから、ブロッキング防止層5の所望する範囲を非常に精度良く除去し易い。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、サーマルヘッド21を利用して印字可能層3に印字を行ったが、印字可能であればこの場合に限定されるものではない。例えば、インクジェット方式で印字可能層3に印字を行っても構わない。この場合には、インクを吐出するノズル孔が形成されたインクジェットヘッドを具備する印字部とすれば良い。
また、切断部14は、印字部12と放電部13との間に配設されている必要はなく、放電部13のさらに前方F側に配設されていても構わない。また、放電用電極30は、粘着ラベル1の長手方向又は幅方向に沿って複数配設されていても構わない。
また、上記実施形態において、図4に示すように、ブロッキング防止層5上に不導体層6がさらに積層された粘着ラベル1としても構わない。この不導体層6は、放電発生時にブロッキング防止層5と共に局所的に除去されるものであって、常温で物理的、化学的に安定であることが好ましく、例えば樹脂フィルム等である。
より具体的には、汎用樹脂として多くの用途に利用されているポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)等のオリフィン系樹脂からなる樹脂フィルムや、これらの樹脂フィルムを積層(例えば、PEフィルムとPPフィルムとを積層)した多層ポリオレフィン(PO)フィルム、ポリスチレン(PS)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムや、PSフィルムとPETフィルムとをさらに積層したハイブリッドフィルムや、エチレン/酢酸ビニル共重合(EVA)系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、植物系原料であるポリ乳酸(PLA)系樹脂等からなる樹脂フィルム等が挙げられる。
このように構成された粘着ラベル1の場合には、導体層であるブロッキング防止層5上にさらに不導体層6が形成されているので、保管時等におけるブロッキングの防止効果をより高めることができる。また、ブロッキング防止層5を不導体層6で保護できるので、該ブロッキング防止層5に傷等が付き難い。そのため、ブロッキング防止層5と放電用電極30との間に発生する放電を正確に制御し易く、ブロッキング防止層5の所望する範囲をさらに精度良く除去することができる。
なお、図5に示すように、ブロッキング防止層5と不導体層6とからなる層を多層に積層した粘着ラベル1としても構わない。このようにすることで、ブロッキングの効果をさらに高めることができる。また、多層に積層することで厚みが増すが、導体層であるブロッキング防止層5が厚み途中に介在されるので、放電を確実に行うことができ、粘着層4を露出させることができる。
また、上記実施形態では、ブロッキング防止層5を導体層とし、放電を行う際の電極(陰極)としてこのブロッキング防止層5自体を利用できる場合を例に挙げたが、この場合に限られるものではない。
例えば、図6に示すように、基材2と粘着層4との間に導体層41を積層し、粘着層4上にブロッキング防止層として不導体層42を積層した粘着ラベル40としても構わない。なお、この場合の導体層41及びブロッキング防止層として機能する不導体層42の具体例としては、上記した場合と同様である。
このように構成された粘着ラベル40の場合には、基材2と粘着層4との間に放電用の専用電極(陰極)として導体層41が設けられているので、この導体層41と放電用電極30との間で発生する放電を正確に制御し易い。従って、この場合であっても放電によってブロッキング防止層である不導体層42の所望する範囲を高精度に除去し易い。
また、上記実施形態では、単なる粘着性を具備する粘着層4を利用したが、さらに導電性を具備する導電性粘着層を利用しても構わない。
例えば、図7に示すように、基材2の他方の面2b上に放電用電極30との間で放電電圧が印加可能とされた導電性粘着層51を積層し、この導電性粘着層51上にブロッキング防止層として不導体層52を積層した粘着ラベル50としても構わない。
なお、この場合のブロッキング防止層として機能する不導体層52の具体例としては、上記した場合と同様である。一方、導電性粘着層51としては、例えば感圧型粘着剤に、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、錫(Sn)等の金属微粒子や、カーボン繊維や、カーボン微粒子或いは樹脂の微粒子に金属を被膜したもの等、を含有させたもの等が挙げられる。
このように構成された粘着ラベル50の場合には、導電性粘着層51を放電用の電極(陰極)として利用できるので、同様に放電用電極30との間で発生する放電によってブロッキング防止層である不導体層52の所望する範囲を高精度に除去し易い。
R…ロール体
1、40、50…粘着ラベル
2…基材
3…印字可能層
4…粘着層
5…ブロッキング防止層
10…粘着ラベル作製装置
11…保持部
12…印字部
13…放電部
14…切断部
30…放電用電極
31…交流電源部(電圧印加部)
32…スペーサ(ガイド体)
32a…ガイド体の摺動面
33…プラテンローラ(ローラ部)
41…導体層
42、52…不導体層(ブロッキング防止層)
51…導電性粘着層

Claims (8)

  1. シート状の基材と、
    該基材の一方の面側に積層された印字可能層と、
    前記基材の他方の面側に積層された粘着層と、
    該粘着層を被覆してその粘着を規制するブロッキング防止層と、を備え、
    前記ブロッキング防止層は、放電用電極との間で発生される放電によって局所的に除去されることを特徴とする粘着ラベル。
  2. 請求項1に記載の粘着ラベルにおいて、
    前記ブロッキング防止層は、前記粘着層上に積層されると共に前記放電用電極との間で放電電圧が印加可能とされ、前記放電発生時に局所的に除去される非粘着性の導体層であることを特徴とする粘着ラベル。
  3. 請求項2に記載の粘着ラベルにおいて、
    前記ブロッキング防止層上には、前記放電発生時に該ブロッキング防止層と共に除去される不導体層がさらに積層されていることを特徴とする粘着ラベル。
  4. 請求項1に記載の粘着ラベルにおいて、
    前記基材と前記粘着層との間に積層され、前記放電用電極との間で放電電圧が印加可能とされた導体層を備え、
    前記ブロッキング防止層は、前記粘着層上に積層され、前記放電発生時に局所的に除去される非粘着性の不導体層であることを備えていることを特徴とする粘着ラベル。
  5. 請求項1に記載の粘着ラベルにおいて、
    前記粘着層は、前記放電用電極との間で放電電圧が印加可能とされた導電性粘着層とされ、
    前記ブロッキング防止層は、前記導電性粘着層上に積層され、前記放電発生時に局所的に除去される非粘着性の不導体層であることを特徴とする粘着ラベル。
  6. シート状の基材と、該基材の一方の面側に積層された印字可能層と、基材の他方の面側に積層された粘着層と、該粘着層を被覆してその粘着を規制するブロッキング防止層と、を備えた粘着ラベルが巻回されたロール体を軸支する保持部と、
    前記ロール体から引き出された前記粘着ラベルを送り出すと共に、前記印字可能層に情報を印字する印字部と、
    前記印字がなされた前記粘着ラベルに対して放電を行って、前記ブロッキング防止層の所定位置を局所的に除去して前記粘着層を露出させる放電部と、
    前記印字及び前記放電が終了した前記粘着ラベルを所定の長さに切断する切断部と、を備え、
    前記放電部は、
    先端部が先鋭化され、該先端部が前記ブロッキング防止層に対して対向配置された放電用電極と、
    該放電用電極の前記先端部と前記粘着ラベルとの間に放電用電圧を印加して前記放電を発生させる電圧印加部と、を備えていることを特徴とする粘着ラベル作製装置。
  7. 請求項6に記載の粘着ラベル作製装置において、
    前記放電部は、前記粘着ラベルの前記ブロッキング防止層を摺動面に摺接させながら該粘着ラベルの移動をガイドすると共に、前記放電用電極を内部に収容する不導体のガイド体を備えていることを特徴とする粘着ラベル作製装置。
  8. 請求項7に記載の粘着ラベル作製装置において、
    前記放電部は、前記粘着ラベルを前記ガイド体の摺動面に押し付けながら送り出すローラ部を備えていることを特徴とする粘着ラベル作製装置。
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