JP2013206804A - 透明導電層付き基体、その製造方法、及びそれを用いたタッチパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】剥離帯電が生じた場合であっても透明電極層の破損が生じにくい透明電極付き基体を提供する。
【解決手段】基体上にパターンの形成された透明導電層を有する透明導電層付き基体であって、前記透明導電層と同一面内に、前記透明導電層の帯電を防止する帯電防止部位3を設けた透明導電層付き基体、前記透明導電層付き基体を使用したタッチパネル用透明導電膜積層体、及びそれを用いたタッチパネル。前記帯電防止部位は、前記透明導電層と同じ材料で形成された高抵抗部位である。
【選択図】図2

Description

本発明は、基体上にパターンの形成された透明導電層(A)を有する透明導電層付き基体に関する。
基体上に透明導電層を形成した透明導電層付きの基体は、発光、受光機能を利用した表示素子等において、重要な機能性部材として数多く用いられている。特に透明導電層を電極形状にパターン化し、電極やスイッチ等の機能を持たせた透明導電層付きの基体は、上記表示素子の薄型化、小型化、高機能化のための必須の部材となっている。
このような透明導電層付きの基体は、一般に、ポリエステル等のプラスチックフィルム又はガラスからなる透明の基体の片面に、ITO層や酸化亜鉛等からなる透明導電層を、他面には、必要に応じてハードコート層(又はアンチグレア層)を形成した構造を有する。また最近では、スパッタリングや蒸着等の大がかりな装置やエネルギーを必要とするITOではなく、熱エネルギーをあまり必要とせず且つ製造装置が簡便な、金属やカーボン等の導電性ナノワイヤーの塗布液を基体に塗工して透明導電層を得る方法も検討されている。この方法は、基体として熱に弱いプラスチックフィルムを使用することができ、ロールツウロール法で製造することができる。特に金属ナノワイヤーは比抵抗が小さく、より低い表面抵抗値の透明電極を形成することが可能な材料として注目を浴びている(例えば特許文献1参照)。
前記透明導電層付きの基体は、表示素子の部材として組み立てるまでの間、異物や汚れの付着、あるいは傷を防止するため、透明導電層とは反対面の面、ハードコート層もしくはアンチグレア層を有する場合はその上に、表面保護フィルムが貼られている。該表面保護フィルムは、表示素子の製造工程において必要に応じて剥離される。しかし該表面保護フィルムはプラスチック(大抵ポリエステル等のフィルムが使用される)素材であることが多く、前記基体としてプラスチックフィルムを使用した場合、剥離の際に剥離帯電が生じ、前記透明導電層の一部を破損させることがあった。また、基体同士の摩擦で発生する摩擦帯電により、前記透明導電層の一部を破損させることがあった。
このような剥離帯電・摩擦帯電の問題は、フィルム加工技術においては日常的な問題であり、前記透明導電層付きの基体の製造過程においては、前述の他、ロールツウロール法におけるプラスチックフィルム巻出しの際、あるいは、パターン化方法の一つであるリフトオフ法においても、剥離帯電・摩擦帯電が生じる場合がある。
この除電方法として、一般的に、コロナ放電型空気イオン化装置(イオナイザ)が広く用いられ、イオンを発生させてプラスに帯電した場所には負のイオンが、負に帯電した場所には正のイオンがクーロン力により引き寄せられ、電気的な中和すなわち除電が行われている。しかしながら、正と負のイオン生成量のアンバランスがあると、完全に静電気を中和させることができないばかりか、逆に帯電させてしまうことも起こりえ、即ち剥離帯電・摩擦帯電においては、完全に除電できないのが現状である。
このような剥離帯電・摩擦帯電による影響を防止する目的として、例えば、表面保護フィルムに帯電防止層を設けた離形フィルムが知られている(例えば特許文献2参照)。しかしながら該方法は、表面保護フィルム自体に帯電防止層が設けられているために、表示素子の組み立て時に剥離された場合、その後の製造工程で生じる静電気に対しては効力を発揮できず、やはり前記透明導電層の一部が破損してしまうことがあった。特に前記透明導電層として金属ナノワイヤーを使用している場合は、金属ナノワイヤーが基体上に適度な間隔を保ちながら互いに絡み合った状態で導電網を形成しているために、ナノワイヤーの接点が静電気により劣化すると電極として機能しないことがある。これにより、場合によっては面内に存在する電極の半数以上が破損してしまうこともあった。
一方、ロールツウロール法におけるフィルム巻出しやリフトオフ法においては、剥離部分が、表面保護フィルムとは反対側の面である透明導電層側のために、剥離帯電が生じた場合透明導電層を直撃するおそれがある。帯電防止を目的とした背面保護フィルムを設けた場合においても、表示素子の組み立て時に剥離された場合、その後の製造工程で生じる静電気に対しては効力を発揮できず、やはり前記透明導電層の一部が破損してしまうことがあった。
特開2008−83899号公報 特開2011−201118号公報
本発明は、剥離帯電が生じた場合であっても透明電極層の破損が生じにくい透明電極付き基体を提供するものである。
本発明者らは、透明電極層、即ちパターンの形成された透明導電層と同一面内に帯電防止部位を設けることで、前記課題を解決できることを見出した。
フィルム加工で使用されるプラスチックフィルムは、通常優れた絶縁体であり、表面の電荷は移動することなく半永久的にその場に留まることが知られている。正負電極が隣接しているとき、表裏逆極性に帯電している場合も同様である。このためプラスチックシート基体同士で剥離帯電しやすく、絶縁耐圧を超えると放電が起こり、透明導電層を破損すると考えられる。
これに対し本発明では、コンデンサーとしてシート上に電荷を留め、また放電時には避雷針として機能するように、帯電防止部位を前記パターン化された透明導電層と同一面内に設けることで、剥離帯電が生じた場合でも透明電極の破損を押さえることができることを見出した。電荷は面内にある帯電防止部位が吸収すると考えられ、従って透明電極層には影響しにくいと考えられる。更に帯電防止部位それ自体を導電性とすることで、より効果的に電荷を留めておくことが可能である。
即ち本発明は基体上にパターンの形成された透明導電層(A)を有する透明導電層付き基体であって、前記透明導電層(A)と同一面内に、前記透明導電層(A)の帯電を防止する帯電防止部位を設ける透明導電層付き基体を提供する。
また本発明は、基体上に、導電性物質を含有する剥離可能な透明導電層を塗布により形成する工程1と、支持体上に、ネガティブの電極パターン、及びネガティブの帯電防止部位に相当するパターンを有する接着層を形成する工程2と、前記基体と前記支持体とを、前記透明導電層と前記接着領域を有する層の該接着領域とが互いに密着するように貼り合わせる工程3と、前記支持体を前記基体から剥離し、前記接着領域を有する層の該接着領域と密着した部分の前記透明導電層を、接着領域を有する層の該接着領域上へと移行させることにより、基体上に透明導電層の電極パターン、及び帯電防止部位を形成する工程4と前記透明導電層の電極パターンを形成した基体全面に、バインダー樹脂を含む塗料を塗布し、透明導電層を基体上に固定化する工程5を有する透明導電層付き基体の製造方法を提供する。
本発明により、表面保護フィルムを剥離した際に生じる剥離帯電による透明電極層の破損が生じにくい透明電極付き基体を得ることができる。
(言葉の定義)
本発明において、パターンの形成された透明導電層(A)とは、後述の導電性物質を含む層であって、電極等の形状に形成されたものを指し、単に「透明導電層(A)」と称する場合もある。一方単に透明導電層とは、パターンの形成されていない、導電性物質を含む薄膜化した層を指す。
(基体)
本発明で使用する基体としては、通常タッチパネル等の電子素子や光学素子用途に使用され、支持体として十分な物理的強度と光透過性を有するものであれば特に限定されない。表面の平滑性や機械的強度の観点から、具体的には、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン等の透明または半透明樹脂のシート又はフィルムが好ましい。これらは、単層であっても多層となっていてもよく、密着性を高める目的でプラズマ等の公知の方法で表面処理されていたり、表面硬度を得る目的で表面コート材でコートされていてもよい。なかでもPETフィルムまたはPENフィルムが、機械的強度の面から特に好ましい。
前記基体の厚みは、薄すぎると取り扱い性が難しく、一方厚すぎる場合では可視光の透過率が低下するおそれがある。従って5μm〜300μmの範囲が、取り扱いが良好で透過率に優れており好ましい。より好ましくは10μm〜250μmの範囲であり、25μm〜200μmがさらに好ましい。
(透明導電層)
本発明で使用する透明導電層に使用する材料は、通常タッチパネル等の電子素子や光学素子の透明電極として使用する材料であれば特に限定はない。
代表的な透明導電層の材料としては、金、銀、銅等の金属類;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物;ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール等の導電性高分子等が挙げられる。
なかでも、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物が好ましい。これらには、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等のうちから、1種類以上のドーパントを用いてもよい。ドーパントの含有量は、金属酸化物や複合酸化物に対して、0.1〜50質量%の範囲が好ましい。0.1質量%未満の含有量では、ドーパントとしての機能を充分に発現できず、50質量%を超える含有量では、金属酸化物や複合酸化物の本来の特性が阻害されてしまうため好ましくない。
(スパッタリング等の方法による透明導電層の形成方法)
上記金属類、金属酸化物、複合酸化物を用いて基体に透明導電層を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーティング法、スプレー法等が採用可能である。例えば、スパッタリング法の場合、酸化物ターゲットを用いた通常のスパッタリング法、あるいは、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法等が用いられる。この時、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、プラズマ照射、イオンアシスト等の手段を併用してもよい。また、本発明の目的を損なわない範囲で、基板に、直流、交流、高周波等のバイアスを印加してもよい。
また、基体に透明導電層を形成する際の温度は、基体の耐熱温度に応じて適宜変更するとよい。例えば基体としてポリエステル系フィルムを使用する場合であれば、150℃以下とすることが好ましい。成膜時の温度を、150℃を超える温度にするには、基体の送り速度を極端に遅くせざるをえず、生産性の点から好ましくない。
また、スパッタリングを行う際の真空度は、0.01〜10Paの範囲で行うのが好ましい。真空度が0.01Paよりも高真空では、安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。また、10Paよりも低い真空度でも、やはり安定な放電が出来ないため、スパッタリングが安定しない。また、蒸着法、CVD法等の他の方法においても同様である。
上記導電性高分子から透明導電層を製造する場合は、適当な溶媒に溶解させて公知の塗工方法を用いればよい。
(塗布法による透明導電層の形成方法)
また、粒子、繊維、鱗片等の形状を有する前記金属類、金属酸化物、複合酸化物を、液体媒体(分散媒)中に分散した透明導電性塗料を、基体上に塗布することによって透明導電層を形成してもよい。
粒子状の形状を有するものとしては、公知の方法により形成された酸化錫、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)等の導電性無機微粒子が用いられる。その中でもITOがより優れた導電性が得られる点で好ましい。あるいは芯材となる微細な物質の表面に透明導電性物質のコーティングを行ったものを用いてもよく、例えばATO、ITO等の無機材料を硫酸バリウム等の透明性を有する微粒子の表面にコーティングしたものを用いることが出来る。あるいは芯材として有機質の導電性微粒子が用いられても良い。この場合は、例えば金属材料を樹脂微粒子表面にコーティングしたもの等が挙げられる。これら微粒子の粒子径は一般に10μm以下が好ましく、1.0μm以下がさらに好ましく、50nmから150nmが一層好ましい。
中でも、繊維状の導電性物質(以下繊維状導電性物質と称す)は、分岐がなく、ほぐれやすく、かつ繊維状物質の均一な分布密度を得やすく、その結果繊維と繊維のからまりの間に大きな開口部を形成し、良好な光透過率を実現することができるため特に好ましい。繊維状導電性物質は、中でもワイヤー状のものが好ましい。このような形状をした導電性物質の例としては、カーボンナノチューブやワイヤー状の導電性金属である金属ナノワイヤーを挙げることができる。本発明において金属ナノワイヤーとは、形状が直線または曲線の細い棒状で、材質が金属であるナノメートルサイズの微細な導電性物質である。微細な導電性物質が繊維状、好ましくはワイヤー状であると、それらが互いに絡み合って網の目状となることで、少ない量の導電性物質であっても良好な電気伝導経路を形成することができ、透明導電層の抵抗値をより低下させることができ好ましい。さらにこのような網の目状を形成した場合、網の目の隙間部分の開口が大きいので、たとえ繊維状の導電性物質そのものが透明でなかったとしても、塗膜として良好な透明性を達成することが可能である。
金属ナノワイヤーの金属として、具体的には鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、オスミウム、イリジウム、白金、金が挙げられ、導電性の観点から銅、銀、白金、金が好ましくい。金属ナノワイヤーの少なくとも一つの断面寸法は、500nm未満であることが好ましく、200nm未満であることがさらに好ましく、100nm未満であることが一層好ましい。金属ナノワイヤーとしては、アスペクト比としては10を越えることが好ましい。アスペクト比としては50を越えることがさらに好ましく、100を越えるアスペクト比を有することが一層好ましい。金属ナノワイヤーの形状や大きさは走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で確認することができる。
金属ナノワイヤーは、当該技術分野で既知の方法で作成、調製が可能である。例えば溶液中で硝酸銀を還元する方法や、前駆体表面にプローブの先端部から印可電圧又は電流を作用させ、プローブ先端部で金属ナノワイヤーを引き出し、該金属ナノワイヤーを連続的に形成する方法等が挙げられる(特開2004−223693公報)。溶液中で硝酸銀を還元する方法としては、より具体的には、銀ナノワイヤーは、エチレングリコール等のポリオール、およびポリビニルピロリドンの存在下で、硝酸銀等の銀塩の液相還元をすることによりにより合成可能である。均一サイズの銀ナノワイヤーの大量生産は、例えば、Xia,Y.etal.,Chem.Mater.(2002)、14、4736−4745 およびXia, Y.etal., Nano letters(2003)3(7)、955−960 に記載される方法に準じて 調製可能であるが、特にこれらに記載の方法に限定されるものではない。
このような導電性を有する金属ナノワイヤーが基体上に適度な間隔を保ちながら互いに絡み合った状態を有し、導電網を形成することで、実質的に透明な導電網が可能である。具体的な金属種や軸長さ、アスペクト比等は使用目的等に応じて適宜定めればよい。
前記金属ナノワイヤーの分散液を得るための分散媒である液体としては、特に限定されることなく、既知の各種分散媒を使用することができる。例えば、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。また、分散媒の種類により、分散剤を使用することもできる。これら分散媒の中でも、極性を有する分散媒が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のような水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独でも2種類以上の混合したものでも使用することができる。
また、分散媒として水も使用できるが、水の場合は前記有色の透明層(1)が疎水性である場合に水をはじきやすく均一な膜が得られにくい。このような場合には、水にアルコールを混合するか、あるいは疎水性の基体への濡れ性を改善するような界面活性剤を選定し、添加することで均一な膜を得ることが可能である。
用いる分散媒としての液体の量は、特に制限されず、前記金属ナノワイヤーの分散液が塗布に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、前記金属ナノワイヤー100重量部に対して、液体100〜100,000重量部程度と広範囲に設定可能であって、前記金属ナノワイヤーと分散媒の種類、使用する撹拌、分散装置に応じて適宜選択することができる。
前記金属ナノワイヤーの分散媒中への分散は、金属ナノワイヤーと分散媒である液体の混合物に対し必要に応じて公知の分散手法を適用することにより行うことができる。ただし、良好な透明性と導電性を有する透明導電層を形成するためには、金属ナノワイヤーの特性が分散処理前後で大きく変化せず、混合物の透明性が失われないことが重要である。特に金属ナノワイヤーは折れにより導電性の低下や透明性の低下が引き起こされるため、金属ナノワイヤーの形状を破壊しない分散手法の選択が重要である。
前記金属ナノワイヤーの分散液は、導電性能の向上の点においてはバインダー樹脂を含まないことが好ましい。透明導電層においては、バインダー樹脂を用いなければ金属ナノワイヤー同士の接触が阻害されることがない。従って、金属ナノワイヤー相互間の導電性が確保され、得られる透明導電層の電気抵抗値をより低く抑えることができる。
また、本発明の透明導電層付き基体を後述のリフトオフ法で作成する際には、金属ナノワイヤーの分散液がバインダー樹脂を含まなくすることによって、基体上に透明導電性塗膜を形成したときに、次工程において透明導電性塗膜が該基体から容易に剥離可能である点でも好ましい。更に、その後にパターン化された透明導電層の保護層用塗料により基体上への固定化を行う場合は、保護層用塗料を透明導電層に含浸させ基体に到達させることにより行われるため、透明導電性物質の分散液がバインダー樹脂を含まないことは、透明導電層がより間隙を多く含んでいることを意味しており、保護層用塗料の含浸による固定化を阻害しない点で好ましい。
ただし、基体上の塗膜の導電性や、基体からの塗膜剥離性を低下させず、保護層用塗料中の樹脂による透明導電層の固定化工程を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であり、その種類と量は、上記特性が得られる範囲で適宜選択可能である。
このような適量の樹脂を少量配合することにより、基体上の透明導電層塗膜が良好に固定され、パターン形成工程のときに欠落することがなくなる効果がある。このような場合基体上に透明導電層の形成後は、樹脂は透明導電層の基体側に集中しやすく基体に繊維状導電性物質を容易に固定できる傾向にあるが、基体より遠い側で繊維状導電性物質が樹脂に被覆されず露出して導電性物質間に空隙のある状態となりやすい。
上記の添加量範囲において金属ナノワイヤーの分散液は、粘度調整、腐食防止、基体への接着性向上、および導電性物質の分散を制御するために、前記樹脂及びその他の添加剤を含んでもよい。適切な添加剤および結合剤の例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、およびキサンタンゴム(XG)、およびエトキシレート、アルコキシレート、エチレンオキシド、および酸化プロピレンなどの界面活性剤、およびそれらの共重合体、スルホン酸塩、硫酸塩、ジスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル、およびフッ素系界面活性剤が挙げられるがそれだけに限定されない。また金属ナノワイヤーが水系で製造される場合には、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルピロリドン系重合体、セルロース誘導体等の各種水溶性樹脂を用いることができる。
さらに2−アルコキシエタノール、β−ジケトン、アルキルアセテート、等の非ポリマー系有機化合物を膜形成剤として使用することもできる。
前記透明導電層は、用途により所望される物性値が異なる。例えばタッチパネル用の透明電極層として使用する場合は、表面抵抗率が0.01Ω/□〜1000Ω/□であることが好ましく、可視光域において高い透明性を有していることが好ましい。
塗布法として具体的には、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコートなど公知の塗布方法を用いることができる。また、フィルムの製造工程で塗布層を設けるインラインコート方式、フィルム製造後に塗布層を設けるオフラインコート方式により設けることができる。前記繊維状導電性物質の分散液を該塗布法により塗布した後、乾燥させて、透明導電層を得る。
前記透明導電層の膜厚は、用途により適宜調整することができるが、薄くなる程導電性が低下する傾向にあり、一方厚すぎるとヘイズ値の上昇、全光線透過率の低下等で透明性が低下する傾向にある。これらのことから、例えばタッチパネル用の透明電極として使用する場合は、10nm〜10μmの間で適宜調整を行うことが多い。特に金属ナノワイヤーを使用する場合は、ワイヤーそのものが透明ではないために、膜厚の増加によって透明性が低下する傾向が強いので、より薄い膜厚の透明導電層を形成することが多い。この場合きわめて開口部の多い透明導電層であるが、接触式の膜厚計で測定したときに平均膜厚として10nm〜500nmの膜厚範囲がこのましく、30nm〜300nmがより好ましく、50nm〜150nmが最も好ましい。
なお、前記透明導電層は、更に導電性を高める目的で、塗布形成後の透明導電層における繊維状導電性物質同士の交差部分における接触点を増すとともに、接触面積を増やしその接触を確実にするための加圧工程を行うことが可能である。
導電性物質の交差部分を加圧する工程とは、具体的には透明導電層面を加圧する工程であって、網目状に分散している繊維状導電性物質の透明導電層に真上から圧力を加えて、透明導電層を圧縮し、内部の繊維状導電性物質の接触点を増やす工程である。この工程によって繊維状導電性物質間の接触抵抗が下がることになる。
本工程は通常塗膜面を加圧する公知の方法であれば特に制限はないが、塗布によって得られた層を、例えば、加圧可能な2枚の平板間に透明導電層を配置し、一定時間加圧する平板プレス法や、加圧可能な2本のロールの間に透明導電層を挟み込んで線加圧し、ロールを回転させることによって面全体を加圧するカレンダー法などが挙げられる。
ロールによるカレンダー法において、前記透明導電層を加圧する圧力は、500kN/m〜50000kN/m、好ましくは1000kN/m〜10000kN/m、より好ましくは2000kN/m〜5000kN/mである。
(透明導電層のパターン化方法)
前記透明導電層をパターン化して透明導電層(A)を得る方法としては、公知のパターン化方法を選択することができる。例えば、
(A)スクリーン印刷等の各種印刷法等を用い、バインダー樹脂等を用いて導電性物質をパターン状に固定化、透明導電層(A)を得る方法。
(B)基体上に前記透明導電層を形成したのちに、該透明導電層全面に、多くは光または熱により硬化可能なエッチングレジスト層を形成し、パターンとして残したい部分にのみ光または熱を供給し硬化したのち、非固定化領域を、適切な溶媒で洗浄あるいはレーザー照射により導電性物質を断線あるいは除去するか、ブラッシング、あるいは粘着性のあるローラー等で除去することにより、透明導電層(A)を形成する方法。
(C)基体上に前記透明導電層を形成したのちに、別途準備したネガティブパターン化された接着領域を有する層を有するシートを、前記透明導電層に貼り付けたのち剥離して、基体上に透明導電層(A)を形成する方法。
(D)基体上に前記透明導電層を形成したのちに、導電性物質除去剤を含有する液をパターン電極を形成する上で不要となる部分にパターン印刷した後、上記(A)と同様の方法を用いて不要部分を除いて透明導電層(A)を得る方法。
等がある。本発明においては(B)又は(C)の方法が、高精細にパターン化された透明導電層(A)を、容易にかつ低コストで形成することができ好ましい。なおスパッタリング法等により得た透明導電層のパターン化方法は(B)が適しており、塗布法により得た透明導電層のパターン化方法は(B)または(C)が適している。
前記(B)の方法において使用する光または熱により硬化可能なレジスト塗料としては、汎用の酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ等をエッチングするために使用されているレジスト塗料を使用することができる。中でも、露光によりパターンを形成させることができることから、フォトリソグラフィ用のレジスト塗料を使用することが好ましい。パターンを露光する際の露光条件も、前記レジスト塗料に適した露光条件で行うことが好ましい。また、現像に使用する現像液は、硝酸、過硫酸アンモニウム、及びその同等物、あるいは過マンガン酸カリウム等の酸化剤等を使用することができる。
また、前記(C)の方法は、具体的に以下の工程1〜工程6で説明する。
工程1:基体上に透明導電層を塗布により形成する。
工程2:支持体上に、ネガティブパターン化された接着領域を有する層を形成する。
工程3:前記基体と前記支持体とを、前記透明導電層と前記接着領域を有する層の該接着領域とが互いに密着するように貼り合わせる。
工程4:前記支持体を前記基体から剥離し、前記接着領域を有する層の該接着領域と密着した部分の前記透明導電層を、接着領域を有する層の該接着領域上へと移行させることにより、基体上に透明導電層のパターンを形成する。
工程5:前記透明導電層のパターンを形成した基体全面に、保護層用塗料を塗布し、透明導電層を基体上に固定化する。
なお本発明においてネガティブパターンとは、基体上に形成すべき透明導電層のパターン(ポジティブパターン)と、ネガとポジの逆になった同縮尺のパターンを表すものとする。
工程1は前述の通りである。
工程2即ち支持体上に、ネガティブパターン化された接着領域を有する層を形成する工程において、「支持体上に形成されたネガティブパターン化された接着領域を有する層」は、即ち、前記有色の透明層(1)上に形成された透明導電層を部分的に剥離するための剥離材である。(以後「支持体上に予めネガティブパターン化された感熱接着剤層を有する剥離材」を単に「剥離材」と称する場合がある。)
剥離材としては、シート状の支持体上に透明導電層を部分的に剥離するためのネガティブパターン化された接着領域を有する層が形成されているものならば広く使用することができる。このような剥離材の作製方法としては、支持体上に接着機能を有し、あるいは発現しうる機能性塗膜を一様に形成した後、光等で部分的にかつパターン化して接着機能を発現あるいは失活させて行うことができる。あるいは最初から接着剤を用いて支持体上にネガティブパターンを直接印刷して剥離材を作製してもよい。
接着剤をネガティブパターン化して支持体上に印刷するためには、ネガティブパターンに対応した印刷版の作製が必要となる。このため光硬化性組成物等の一様な機能性塗膜を、部分的な光照射等でその接着機能を部分的に発現あるいは失活させる方法を用いる方が、種々のパターンに容易に切り替え可能な点で好ましい。
このような剥離材の作製は、例えば支持体上に接着性を有する光硬化性組成物を塗布して均一な塗膜を形成し、ネガティブパターン状にマスキングを行ったまま光照射し、ネガティブパターン以外の塗膜部分を硬化させ、該部分の接着性を失わせて、ネガティブパターン状の接着領域を作製することで行うことができる。
剥離材の作製に使用できる接着性を有する光硬化性組成物としては、例えばアクリル酸アルキルエステル系やメタクリル酸アルキルエステル系などポリマー内に光重合性の不飽和結合を導入した重合性ポリマーに、たとえばテトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの光重合性の多官能オリゴアーを添加し、光照射による硬化収縮や弾性率の低下を利用したものなどが使用できる。
このような剥離材を用いて実際の剥離工程を行う場合には、該基材の接着機能を有する層に予め光照射を行い、特定のパターンに接着性を発現あるいは接着性を失わせて、透明導電層の部分的剥離を行うことができる。あるいは光未照射の剥離材を透明導電層に貼り合わせて後、マスキングを介して貼り合わせ面に光照射を行い、部分的に接着性を発現あるいは接着性を失わせて、透明導電層の部分的剥離を行うこともできる。
単一パターンの剥離材を多量に作製する場合には、光照射のような均一塗膜に部分的な接着領域を作製するプロセスが不要な、支持体上への直接印刷を用いる方が製造効率の点で好ましい。特に接着剤として感熱接着剤を用いると、常温では接着性の無い通常の印刷塗膜でありながら、剥離工程中に加えられる加熱手順によって一時的に接着機能が発現され、温度低下後は速やかに接着機能が失われるため、剥離工程前後の剥離材の取り扱い性が良好である。
剥離材として支持体上にネガティブパターン化された感熱接着剤層を直接印刷する方法を用いる時は、本発明で使用する剥離材は、支持体上に、ネガティブパターン化された感熱接着剤層を有している。剥離材は、支持体上に感熱接着剤と溶剤を含有する感熱接着剤層用塗料を、基体上に形成すべき所望の導電性パターンに対して、反対のネガティブパターンを形成して塗布することにより形成することができる。
感熱接着剤は、常温では粘着性を全く示さないが、加熱する事により粘着性が発現する。支持体上に形成する感熱接着剤層の感熱接着剤としては、前記基体上に形成された透明導電層と、支持体の双方に対して親和性があり、両者を強力に接着できる感熱接着剤であれば、特に限定されることなく公知の種々の感熱接着剤を用いることができる。粘着性の発現する温度としては、基体が熱可塑性プラスチックである場合は該熱可塑性プラスチックのガラス転移温度を大きく上回らない温度で粘着性を発現することが好ましい。またその温度に加温されたときに透明導電層の金属ナノワイヤーの間隙に浸透し良好に密着することが好ましい。さらに加熱の後には、常温程度で支持体を剥離する際に、金属ナノワイヤーと支持体の両方に強い接着力を示すことが好ましい。
そのような感熱接着剤としては、例えば、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、塩酢ビ(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体)系接着剤、アクリル系接着剤等を挙げることができる。中でも常温以上のガラス転移温度Tgを持ち、カルボン酸基、スルホン酸基などの酸基を有し、非晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を主剤とする感熱接着剤が好ましく、ガラス転移温度としては20〜100℃の範囲が好ましい。また、感熱温度を操作する目的で、上記主剤と相溶性を有し、ガラス転移温度Tgが異なる樹脂を適量配合してもよい。
感熱接着剤には、必要に応じて、ブロッキング防止剤として、ポリオレフィン系樹脂粒子を添加することができる。なかでも、ポリエチレン樹脂粒子またはポリプロピレン樹脂粒子の添加が好ましく、より具体的には、高密度ポリエチレン樹脂粒子、低密度ポリエチレン樹脂粒子、変性型ポリエチレン樹脂粒子、分解型低密度ポリエチレン樹脂粒子、分解型ポリプロピレン樹脂粒子の添加が好ましい。また、これらポリエチレン樹脂粒子、分解型ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子および分解型ポリプロピレン樹脂粒子の重量平均粒子径は0.1〜25μmであるが、粒子が扁平状、リン片状の場合は長軸長が3〜25μmの範囲が好ましく、分子量は1,000〜29,000の範囲、融点は100〜150℃の範囲にあることがそれぞれ好ましい。
感熱接着剤層用塗料に用いる溶剤は、感熱接着剤に使用するバインダー樹脂を良好に溶解または分散すれば、特に限定なくいずれの非腐食性溶媒も使用可能である。より適切な溶媒の例としては、水、アルコール類、ケトン類の他、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物類、シクロヘキサン等の炭化水素、またはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。さらに溶媒は、揮発性であり、200℃以下の沸点を有することが好ましく、150℃下がより好ましく、100℃ 以下の沸点を有することがさらに好ましい。
前記剥離材に使用する支持体としては、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂などのプラスチックからなるシートを用いることができる。なかでも透明導電層と感熱接着剤層とを互いに密着させ加熱貼り合わせる工程において、熱変形を起こさないものが好ましい。
前記支持体は本発明の目的を妨げない程度に着色していても良く、さらに単層で使うこともできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして使っても良い。このうち透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフタレートフィルムが最も適している。
前記支持体の厚みは、薄いと耐熱性が乏しく、厚いと熱容量が大きくなり感熱接着剤の加熱による粘着性の発現に長い加熱時間が必要となるため、5μm〜100μmが好ましい。さらに好ましくは、10μm〜50μmであり、15μm〜30μmの膜厚であることがさらに好ましい。
前記支持体上の感熱接着剤層は、基体上に得ようとする所望の透明導電性パターンを反転した、いわゆるネガティブパターン状に形成する。
接着剤のネガティブパターン形成方法としては、公知の印刷方法が使用でき、加熱により粘着性を発現した感熱接着剤層が、次工程において基体上の透明導電層に良好に接着するための十分な感熱接着剤の厚みを形成できれば、特に制限はなく公知の方法を使用できる。例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等が使用できる。また、感熱接着剤層の厚みは、0.05μm〜5.0μmが好ましく、0.1μm〜2.0μmがより好ましく、0.2μm〜1.0μmがさらに好ましい。
このような前記剥離材を用いると、パターン化のための光照射処理や、要剥離部分の湿式処理による除去等の処理が不要となる。前記剥離材はロール状の支持体に感熱接着剤層用塗料の塗布又は印刷によって連続的に形成することが可能であり、これをそのまま次工程である剥離工程に用いることができる。
(透明導電層のパターニング工程)
透明導電層のパターニング工程は、工程3即ち前記基体と前記支持体とを、前記透明導電層と前記感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせる工程と、工程5即ち前記支持体を前記基体から剥離し、前記感熱接着剤層と密着した部分の前記透明導電層を、感熱接着剤層上へと移行させることにより、基体上に所望の透明導電層を残してパターンを形成する工程とからなる。
貼り合わせを行う工程においては、前記透明導電層を設けた基体と、前記剥離材とを、透明導電層と感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせ加熱及び加圧する。特に透明導電層がバインダー樹脂を含まず、あるいは含んでいても含有量が少ないときは感熱接着剤層の加熱、加圧により、感熱接着剤は軟化し透明導電層の金属ナノワイヤーの間隙、あるいは繊維状導電性物質の網目内に浸透して、感熱接着剤と透明導電層内の金属ナノワイヤーが接着する。
その後、貼り合わせ部分の感熱接着剤層を常温程度に冷却後、前記剥離材を前記基体から剥離し、前記感熱接着剤層と接着した部分の透明導電層を、支持体上でネガティブパターン化された感熱接着剤層上へと剥離、転写させることにより、基体上に透明導電層のポジティブパターンが残り、基体上に所望の透明導電層のパターンが完成する。
本発明の製造方法における貼り合わせ方法としては、貼り合わせ時における加熱、加圧により基体の熱変形を発生することのない方法であれば、特に限定されることはない。例えば、加熱、加圧可能な2枚の平板間に、前記透明導電層を有する基体と前記剥離材における支持体上の感熱接着剤層とを配置して、一定時間加熱加圧する平板ラミネート法や、どちらか一方、または両方が加熱可能な2本のロール対のニップ間に、前記透明導電層を有する基体と前記剥離材を搬送し挟み込んで、加熱、線加圧し、ロールを回転させることによって面全体を加圧するロールラミネート法などが挙げられる。
特に、後者のロールラミネート法は、ロールツーロールでの連続処理が可能であり、優れた生産効率を有する。ロールラミネート方式のロールは、前述の通り、どちらか一方または両方が加熱可能なロールであればよい。またロールの材質は、使用する基体あるいは支持体が熱変形を生じずに、透明導電層と感熱接着材層が良好に熱接着することができれば特に限定されることはない。具体的には、金属ロールが主体の剛体ロールと、耐熱ゴム製が主体の弾性ロールの組み合わせが好ましく、金属/金属、金属/弾性、弾性/弾性の全ての組み合わせが使用可能である。中でも、ロール対のニップ間で感熱接着剤の粘着性を発現させるため、ニップ巾が広く、加熱時間が長くできる弾性/弾性、弾性/金属のロール対が好ましい。
また、貼り合わせ時の処理条件としては、基体が熱可塑性プラスチックの場合は基体の熱変形を発生させずに感熱接着剤の透明導電層に対する粘着性を発現させる温度、圧力条件を適宜選択すればよい。例えば、処理温度は70℃〜150℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましく、90℃〜120℃がさらに好ましい。圧力はロール線圧で、10kN/m〜60kN/mの範囲で良好な転写状態が得られる最小線圧を選択すればよい。また、必要に応じて、貼り合わせ前に感熱接着剤層部分を予備加熱してもよい。
前記剥離材を前記基体から剥離する工程においては、貼り合わせた透明導電層付き基体と、前記剥離材とを常温程度まで冷却し、前記剥離材を前記基体から剥離する。前記剥離材の支持体上に形成された感熱接着剤層のネガティブパターンに対応し、剥離工程で感熱接着剤層と接着された透明導電層は、感熱接着剤層と共に基体から剥離され、感熱接着剤の形成された部分に対応していない透明導電層は基体上に透明導電層のポジティブパターンとして残り、透明導電層のパターンが基体上に完成する。なお剥離前に冷却用の空気を吹き付ける等の冷却手段を講じることは、剥離を良好に行い未剥離部分の発生等のパターニング欠陥を防ぐ目的で有効である。
(帯電防止部位)
本発明においては、前記透明導電層(A)と同一面内に、前記透明導電層(A)の帯電を防止する帯電防止部位を設けることが特徴である。(以下、単に帯電防止部位と称する)
前記帯電防止部位は、前記透明導電層(A)が透明電極の場合には、電極として作用しない程度の高抵抗部位である。前記導電性部位は導電性物質で形成されていることが好ましく、また、本願の透明導電層付き基体を例えばタッチパネル用途等に使用する場合には視認性が問題となるため、透明であるかまたは前記透明導電層(A)と同等の屈折率を有することが好ましい。このような観点から、前記透明導電層(A)と異素材でも構わないが、前記透明導電層(A)で使用される導電性物質と同じ材料で形成されていると、視認性の問題が解消され好ましい。
(同一面内の定義)
本発明における帯電防止部位は、前記透明導電層(A)の同一面内に設置する。具体的には、前記透明導電層(A)が例えば、前記基体上に直接形成される場合には、前記帯電防止部位も前記基体上に設置される。また、前記基体と、前記透明導電層(A)との間に、1つあるいは複数層の層が存在する場合は、前記透明導電層(A)が形成された層上に設置される。
前記帯電防止部位は、前記パターン化された透明導電層と同一面内であり、且つ前記パターン化された透明導電層に重ならない部位であれば、特に限定なく設けることができるが、例えばX−Y方式タッチパネルで使用するX電極とY電極は、通常異なる透明な絶縁基板上に形成され、十分な解像度を達成するため、X電極とY電極が積層された時に、隣接するX電極とY電極が操作面から見て重なることのないように、かつできるだけX電極とY電極の隙間が空かないように(空くことで視認性の問題が生じる)設計される。従って、前記帯電防止部位は、できるだけX電極あるいはY電極のパターンに隣接して設置することが好ましい。
(高抵抗部位の定義 形状)
本発明における帯電防止部位は、一定距離内において該部位が電極として機能しない程度に高抵抗値を有しておれば、どのような形状で形成されていてもよい。例えば、基体上の導電性物質が連続層をなしていて微小な穴や細線溝が多数形成してあってもよいし、導電性物質がドット状に不連続に存在していてもよい。また穴、細線溝、ドット状等の形状は、規則性を有していても不規則であってもよく、特に決まりはない。
高抵抗値とは、本願の透明導電層付き基体の用途にもよるが、例えば本願の透明導電層付き基体をタッチパネル等の電極として使用する場合は、下記測定方法における抵抗値が 10Ω 以上であることが好ましく、 10Ω 以上であることがより好ましく、1010Ω 以上であることがさらに好ましく、電極として機能しないと判断することができる。
(抵抗値の測定方法)
抵抗値の測定方法は、デジタルテスターを使用して測定する。本発明においては、HIOKI製「1116 X−Y C HiTESTER 」を用いて測定した。
前記透明導電層(A)の任意の部位に、デジタルテスターの、マイナス表示の端子が接続されたテスター棒を接触させ、前記帯電防止部位の任意の部位にはプラス表示の端子が接続されたテスター棒を接触させる。この状態で測定した抵抗値を、本発明における抵抗値とした。
前記帯電防止部位の形成方法は、量産性を考慮すると、高抵抗となるようなパターンを使用して帯電防止部位を形成させる方法、あるいは、導電性物質を含む薄膜化した層(透明導電層)に傷をつけて高抵抗化させる方法とがあげられる。
前者の方法は、高抵抗となるようなパターンをあらかじめ作成し帯電防止部位を形成する方法であり、具体的には、前記透明導電層(A)と同一面内に直接、高抵抗となるようなパターンで印刷する印刷法や、前述リフトオフ法やエッチング法を使用し、高抵抗となるようなパターンを印刷で形成し、該印刷パターンで帯電防止部位を形成させる方法とがある。
印刷法あるいは印刷パターンで使用する印刷手法は、平版、凸版、グラビア、スクリーン等の製版を用いた印刷方法、インクジェット記録方法等があげられる。中でもグラビア印刷による方法は、網点の大きさや密度ばかりでなく、深さも調整してこれら網点による二次元的なパターンをより精密に調整することができ好ましい。
またこれらの方法は、前記透明導電層(A)と前記帯電防止部位とを同時に作成することができるため好ましい。同時に作成する方法は、前記帯電防止位置の位置ずれを防止する観点からも好ましい方法である。
例えばグラビア印刷の場合は、基体上に前記透明導電層(A)に対応したベタ印刷を行うグラビアセルパターンと、前記帯電防止部位に対応した点描や線描(ストライプ、ヘアライン等)ドット、幾何学模様等を有するパターンを形成した領域の印刷を行うグラビアセルパターンとを同一のシリンダー中に有するグラビアシリンダーを用いて、基体上に透明導電層用塗料のグラビア印刷によって製造することでおこなうことができる。
また、前記パターン化方法における(B)のエッチングの方法の場合は、エッチングレジスト層として、前記透明導電層(A)パターンと帯電防止部位の前記帯電防止部位に対応するパターンとを同時に形成することで、電極のパターン化と帯電防止部位の形成を同時に行うことができる。
また、前記パターン化方法における(D)のリフトオフの方法の場合は、前述の工程2として、支持体上に、ネガティブの電極パターン、及びネガティブの帯電防止部位に相当するパターンを有する接着層を形成し、前述の工程4として、前記支持体を前記基体から剥離し、前記接着領域を有する層の該接着領域と密着した部分の前記透明導電層を、接着領域を有する層の該接着領域上へと移行させることにより、基体上に透明導電層の電極パターン、及び帯電防止部位を形成することで、基体上に透明導電層のパターン、及び、帯電防止部位を同時に形成させることができる。
一方、後者の、導電性物質を含む薄膜化した層(透明導電層)に傷をつけて高抵抗化させる方法は、パーシャルエッチング法、レーザーを使用する方法等がある。
(視認性の改良も兼ねる場合)
本願の透明導電層付き基体を例えばタッチパネル用途等に使用する場合には、前述の通り視認性が問題となる。このことから、前記帯電防止部位の前記パターンや前記傷は、視認できない程度に小さいことが好ましい。
人の視認できる径は50μ以下といわれており、例えば前記形状がドットであるならば、その径100μm以下であり、好ましくは80μm以下、より好ましく50μm以下であると、視認の問題もなく、且つ、電極として機能しない程度に高抵抗化させることができる。特にこの方法は、例えば前記透明導電層の導電性物質が繊維状であったときに生じる、導電性パターン部と非導電性パターン部の境界が明確に視認されるといった問題も解消することができ好ましい。本願の帯電防止部位を、視認性を解消の目的も兼ねて設置する場合は、前記透明導電層の電極パターンの周囲に、前記帯電防止部位全面に、目視では視認できない微小パターンを設けた前記帯電防止部位を設けることが好ましい。
前記帯電防止部位は、最も破損が生じやすい、前記透明導電層(A)のもっとも細い部分に近い部分に形成されると、本発明の効果を最もよく発揮することができる。
また、電極パターンを囲むように形成することもでき好ましい。電極パターンを囲むように形成することで、プラスチックの基体の貯まった電荷が電極に伝わるのを防止する壁となり、本発明の効果を更に発揮することができる。特に前記透明導電層(A)のもっとも細い部分はもっとも静電気の影響により断線が生じやすい部位であるために、該部位については、両側に細線と略平行に前記帯電防止部位を設けることが好ましい。例えばタッチパネルの最も一般的な電極形状であるダイヤモンドパターンにおいては、ダイヤモンド形状の静電エレメント静電エレメントを接続するブリッジの両側に少なくとも前記帯電防止部位を設ければよい。(図3参照)。このとき、細線の面積1に対して0.5以上の帯電防止部位が存在すると好ましく、1.0以上であるとなお好ましく、2.0以上であるとさらに好ましく、破損を防ぐのに効果的である。
(保護層)
本発明の透明導電層付き基体は、前述の通り、前記透明導電層(A)を保護する目的で保護層を設けることが好ましい。保護層は、前述の方法で透明導電層(A)を得た場合は、所望のパターンを形成した後に、前記基体上全面に保護層用塗料の塗布を行うことにより得られる。
また、パターン化が後日となる場合には、移送時や保存時の保護を目的で、パターン前に保護層を設ける。
保護層用塗料は塗布後、溶媒成分を乾燥させ、必要に応じ含有される樹脂成分を硬化し保護層を形成することによって行われる。本工程によって透明導電層(A)の表面が被覆され保護されるとともに、保護層用塗料は透明導電層中の前記繊維状導電性物質の間隙を充填しつつ基体に到達し、硬化したときに透明導電層(A)全体を基体上に強固に固定化し、透明導電層付き基体を形成する。
前記保護層用塗料は、バインダー樹脂を含む。バインダー樹脂は、そのまま高分子量の樹脂状であってもよく、重合、架橋プロセスを経て高分子量の樹脂となる、いわゆる硬化性樹脂を使用してもよい。塗膜の耐久性、耐擦過性の観点から、可視光線または紫外線、電子線、加熱等により硬化しうるものが好ましい。具体的には、バインダー樹脂と反応性モノマーあるいは反応性オリゴマーとを含む塗料、あるいは、反応性モノマーあるいは反応性オリゴマーからなる塗料等が挙げられる。
バインダー樹脂として固体高分子マトリクスの形成に用いる有機ポリマーは、炭素骨格に結合した極性官能基を有するものが好ましい。極性官能基としては、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、ニトリル基、アミノ基、燐酸基、スルホニル基、スルホン酸基、ポリアルキレングリコール基、およびアルコール性水酸基などが例示される。バインダーとして有用なポリマーの例には、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびセルロースなどがある。また、無機ポリマーの例には、テトラアルコキシシランの加水分解・縮合により生成するシロキサン系ポリマーがある。
重合によって有機ポリマーからなる固体高分子マトリクスを形成する場合、単量体である重合性の有機モノマーもしくはオリゴマーの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、グリシジルアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどで代表されるアクリレートおよびメタクリレート型のモノマーおよびオリゴマー;モノ(2−メタクロイルオキシエチル) アシッドホスフェート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエンなどの他のビニルモノマー;ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのエポキシド化合物、などがある。
重合によって無機ポリマーからなる固体高分子マトリクスを形成する場合、単量体である重合性の無機モノマーの例は、Si、Ti、Zr、Al、Sn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pb、Ag、In、Sb、Pt、Auなどの金属の鉱酸塩、有機酸塩、アルコキシド、および錯体(キレート)である。これらは加水分解または熱分解を経て重合し、最終的に無機物(金属酸化物、水酸化物、炭化物、金属など)になるので、本発明では無機モノマーとして扱う。これらの無機モノマーは、その部分加水分解物の状態で使用することもできる。次に各金属化合物の具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
上記のポリマー系バインダー(有機ポリマー、無機ポリマー)樹脂、またはポリマー系バインダーを形成する有機または無機のモノマーまたはオリゴマーの1種または2種以上を必要により有機溶媒で溶解または希釈して、粘度が25cps以下、好ましくは10cps以下の液体を調製し、第1工程で形成された塗膜の含浸に使用する。この液体の粘度が25cpsより高いと、塗膜含浸時に、基体に達するように塗膜内部に十分に液体が浸透せず、目的とする密着性および膜強度の向上効果を得ることができない。また、液体が高粘度であると、過剰の液体が第1工程で形成された透明導電層(A)の上に堆積して、導電性微粉末を含有しない絶縁性の層を形成するので、導電性が著しく低下する。
溶解または希釈に用いる有機溶媒は特に制限されず、上記バインダーまたはバインダーを形成するモノマーを溶解可能であれば、液状有機化合物、および水も溶媒として使用可能である。
この含浸用液体としても用いられる保護層用塗料には、必要により、硬化触媒(熱硬化の場合) 、光重合開始剤(紫外線硬化の場合)、架橋剤、加水分解触媒(例、酸)、重合開始剤、安定剤(例えば、酸化防止剤および製品寿命長期化のための紫外線安定剤、および保存期間改善のための重合防止剤)界面活性剤、pH調整剤などを添加することができる。さらに金属ナノワイヤーの腐食を防止する腐食防止剤をさらに含んでもよい。
適切な溶媒の例として、水、アルコール類、ケトン類、環状エーテル化合物類(テトラヒドロフラン等)、炭化水素( 例えば、シクロヘキサン) 、または芳香族系溶剤( ベンゼン、トルエン、キシレン等) が挙げられる。さらに好ましくは、溶媒は、揮発性であり、200℃ 以下、150℃ 以下、または100℃ 以下の沸点を有する。
保護層を形成する方法としては公知のウェットコート方法であれば特に制限はない。具体的には、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコートなどが挙げられる。
保護層用塗料によって透明導電層(A)を含浸しつつ保護層を形成するとき、塗布、乾燥後の保護層の膜厚は、保護層用塗料塗布前の透明導電層(A)に対して薄すぎると耐擦過性、耐摩耗性、耐候性等の保護層としての機能が低下し、厚すぎると導体としての接触抵抗が増加する。
保護層用塗料の塗布は透明導電層(A)の膜厚が50〜150nmの範囲で形成されているときは、塗布、乾燥後の膜厚が30〜150nmであることが好ましく、透明導電層(A)の膜厚を考慮して表面抵抗率、ヘイズ等が所定の値を実現出来るよう調整することができる。40〜175nmがより好ましく、50〜150nmが最も好ましい。保護層用塗料の乾燥後の膜厚は、透明導電層(A)の膜厚にもよるが、30nm以上の膜厚であると金属ナノワイヤーが保護層表面に露出し過ぎず保護層による保護機能がより良好に働く傾向にあり、150nm以下の膜厚であると透明導電性物質の表面に厚すぎる被膜が形成されずより良好な導電性能が確保できる傾向にある。
保護層用塗料を、透明導電層(A)によってその一部が被覆された基体上に全面塗布することにより、透明導電層部分には保護層用塗料が浸漬しつつ基体の全面を覆うことになる。保護層用塗料の塗布を最後に行うことにより、透明導電層(A)を保護層用塗料で固定化してから導電性パターンを形成する場合に比較して、パターン化透明導電性フィルムの表面をより平滑にすることができ、保護層用塗料が浸漬で透明導電層内にも侵入することにより光学的に均質な透明導電層付き基体を形成することができる。
以下に、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
(銀ナノワイヤーの合成)
銀ナノワイヤーは、Y.Sun、B.Gates、B.Mayers、& Y.Xia,“Crystalline silver nanowires by soft solution processing” 、Nano letters 、 (2002) 、2(2) 165〜168に記載されるポリオールを用いた方法の後、ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下で、エチレングリコールに硫酸銀を溶解し、これを還元することによって合成されたナノワイヤーである。すなわち本発明においてはCambrios Technologies Corporation 米国仮出願第60/815,627号に記載される修正されたポリオール方法によって、合成されたナノワイヤーを用いた。
(透明導電層(A)の作製)
透明導電層(A)に使用する導電性物質は金属ナノワイヤーを使用した。金属ナノワイヤーとして、上記方法で合成された短軸径約70nm〜80nm、アスペクト比100以上の銀ナノワイヤーを水性媒体中に0.1%w/v含有する水分散体(Cambrios Technologies Corporation社製 ClearOhmTM, Ink−A AQ)を、2本リバースロール塗工機を使用し、前記有色の透明層(1)上にウエット厚み20μmに塗布、乾燥し、ロール状の塗布物として透明導電層の形成された基体を得た。
これを透明導電層付き基体(PN)と称す。
(ネガティブパターン化された感熱接着剤層を有する支持体からなる剥離用材の作製)
パターンを形成する方法としては、リフトオフ法を使用した。具体的には、 CRISVON NT−810−45(DIC社製ポリウレタン樹脂、45%溶液)100重量部をメチルエチルケトン 62.5重量部、トルエン 62.5重量部に溶解させ感熱接着剤とした。このポリウレタン樹脂の代表的物性値は、粘弾性測定(昇温速度3℃/分)で得られるtanδのピーク値から得られるガラス転移温度が42℃、引っ張り速度300mm/分で得られる引張破断強度が277×10E5Pa、引張破断伸度が665%、高圧式フローテスター(ダイス:1φ×1L、加圧:98N)の測定で得られる流動開始温度が90℃である。
上記の感熱接着剤用液を厚み23μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製テイジンテトロンフィルムG2)を支持体としてその上にパターン印刷を行った。
ここで基体に形成した導電層パターンは、一辺の長さが3.5mmで内角が90度であるダイヤモンド形状の静電エレメントのパターンと、この各静電エレメントを接続するブリッジの線幅100μmとしたパターン線を14本並列した電極パターンである(図1参照)。実施例用としては、図2に拡大図として参照される、前記ブリッジの両側に細線の幅が100μm×長さ600μmの帯電防止部位を長手方向両側に隣接させた電極パターンを使用した。一方比較例用としては、図3に拡大図として参照される、帯電防止部位が存在しない電極パターンを使用した。
前記支持体上には、透明導電層によって形成されるべきパターンに対して、そのネガティブパターンをグラビア印刷法にて印刷した。印刷塗膜を乾燥後、感熱接着剤層の厚みが0.5μm〜1.0μmとなるように塗布を行い、ネガティブイメージ状に感熱接着剤がパターン印刷された剥離用基材を得た。
(透明導電層(A)のパターニング工程)
前記ロール状の塗布物として作成した透明導電層の形成された基体と、ネガティブパターン化された感熱接着剤層を有する剥離用基材とを走行させつつ、透明導電層と感熱接着剤層が互いに向き合うように重ね、金属製加熱ロールと、耐熱シリコンロールによる加熱、加圧ニップを持つラミネーターを使用して、加熱ロール温度115℃、ロールニップ圧(線圧)30kN/m、速度3m/分の条件で連続的に貼り合わせを行った。貼り合わせた材料を走行させながら、貼り合わせ部分の温度が室温程度まで下がった時点で、基体から支持体を連続的に剥離し、基体上にパターン化された透明導電層(A)を有するロール状のフィルム基体を得た。
(保護層用塗料の塗布による保護層の形成)
保護層用塗料として、紫外線硬化樹脂(Cambrios Technologies Corporation社製、不揮発分40%)100部を、ソルミックスAP−1(日本アルコール販売社製)1950部、イソプロピルアルコール975部、ダイアセトンアルコール975部の混合溶剤によく溶解させ保護層用塗料とした。
保護層用塗料は、パターン付き透明導電層付き基体の透明導電層(A)の全面に、2本リバースロール塗工機を使用し、該保護層用塗料で透明導電層(A)中の網目状ナノワイヤーの間隙を充填しつつ、ウエット厚み10μmに塗布、乾燥し、その後紫外線を照射して乾燥厚み約0.2μmの保護層塗膜を形成し、ロール状の透明導電層付き基体を得た。
なお、図2の電極パターンを有する実施例用の透明導電層付き基体を「透明導電層付き基体(1)」とし、図3の電極パターンを有する比較例用の透明導電層付き基体を「透明導電層付き基体(H1)」と称す。
ロール状の「透明導電層付き基体(1)」、「透明導電層付き基体(H1)」を、ラインスピード3m/分で基体を巻き出し、剥離帯電を発生させた。湿度40%以下の環境で剥離帯電値を測定すると、−10kVの帯電値を示した。
(断線率の測定方法)
断線率は、図1に示す電極パターンの両端を測定部位として、デジタルテスターHIOKI製「1116 X−Y C HiTESTER 」を用いて測定した。線抵抗値10Ω以上を断線と判断した。サンプル数は、図1における14本の電極パターンを28個、計392本の電極パターンに対して行った。
その結果、「透明導電層付き基体(1)」は、392本中断線したものは22本で、断線率は2%であった。一方、「透明導電層付き基体(H1)」は、392本中断線は202本で、断線率は52%であった。このことから、帯電防止部位を設けることで、透明電極層の破損が生じにくい透明電極付き基体を得ることができる。
本発明より製造された透明導電層付き基体は、有機/無機エレクトロルミネッセンス電極、電磁波シールド、電子ペーパー用電極、色素増感型太陽電池用電極、液晶電極等に用いることができ、とりわけタッチパネル用透明電極に好適に用いることができる。
実施例及び比較例で使用した、一辺の長さが3.5mmで内角が90度であるダイヤモンド形状の静電エレメントのパターンと、この各静電エレメントを接続するブリッジの線幅100μmとしたパターン線を14本並列した電極パターンの模式図である。 実施例で使用した、ブリッジの両側に細線の幅が100μm×長さ600μmの帯電防止部位を長手方向両側に隣接させた電極パターンの拡大図である。 比較例で使用した、帯電防止部位が存在しない電極パターンの拡大図である。
1 ダイヤモンド形状の静電エレメント
2 ブリッジ
3 帯電防止部位

Claims (8)

  1. 基体上にパターンの形成された透明導電層(A)を有する透明導電層付き基体であって、前記透明導電層(A)と同一面内に、前記透明導電層(A)の帯電を防止する帯電防止部位を設けることを特徴とする透明導電層付き基体。
  2. 前記帯電防止部位が、前記透明導電層(A)と同じ材料で形成された高抵抗部位である請求項1に記載の透明導電層付き基体。
  3. 前記透明導電層(A)が、バインダー樹脂及び導電性物質を含有する請求項1または2に記載の透明導電層付き基体。
  4. 前記導電性物質が繊維状導電性物質である請求項3に記載の透明導電層付き基体。
  5. 前記透明導電層(A)のパターンが電極パターンである請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電層付き基体。
  6. 基体上に、導電性物質を含有する剥離可能な透明導電層を塗布により形成する工程1と、
    支持体上に、ネガティブの電極パターン、及びネガティブの帯電防止部位に相当するパターンを有する接着層を形成する工程2と、
    前記基体と前記支持体とを、前記透明導電層と前記接着領域を有する層の該接着領域とが互いに密着するように貼り合わせる工程3と、
    前記支持体を前記基体から剥離し、前記接着領域を有する層の該接着領域と密着した部分の前記透明導電層を、接着領域を有する層の該接着領域上へと移行させることにより、基体上に透明導電層の電極パターン、及び帯電防止部位を形成する工程4と
    前記透明導電層の電極パターンを形成した基体全面に、バインダー樹脂を含む塗料を塗布し、透明導電層を基体上に固定化する工程5
    を有することを特徴とする透明導電層付き基体の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電層付き基体を使用したタッチパネル用透明導電膜積層体。
  8. 請求項7に記載のタッチパネル用透明導電膜積層体を有するタッチパネル。
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