JP2012127690A - 原子炉容器支持構造および原子炉容器支持構造の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内周側筒状鋼板4と外周側筒状鋼板6とこれらの間に配置される中間筒状鋼板5とを備え、各鋼板の間にコンクリートC1,C2が打設される筒状構造体2の内周側に原子炉容器3が支持されている。原子炉容器支持構造1は、中間筒状鋼板5の内周側に配置される筒状プレート12と、該筒状プレート12の内周側に張り出して原子炉容器3に連結されるラジアルサポートキー(連結部)7が固定された環状プレート13とを有するサポート14を備えている。サポート14が鉛直方向に延びる基礎ボルト(第1棒材)15を介して内周側筒状鋼板4と中間筒状鋼板5との間に打設されるコンクリートC1に固定されるとともに、筒状構造体2の径方向に延在するアンカーボルト(第2棒材)16を介して内周側筒状鋼板4に固定されている。
【選択図】図3
Description
例えば、原子炉容器には、構造体に固定される部材(サポート)が取り付けられており、このサポートが構造体に固定されることで構造体に支持されている。
そして、このサポートは、地震時の鉛直荷重や水平荷重によって変形しないように、構造体に確実に固定され、構造体と一体化される必要がある
このため、サポートは、構造体に固定されるときに、溶接によって固定されている。
そして、サポートと筒状構造体とを溶接せずに固定できることにより、溶接による熱ひずみ(変形)が生じることがなく、サポートと筒状構造体との接合部に変形が生じることを防ぐことができる。
このように構成されることにより、基礎ボルトが、環状プレートを内周側筒状鋼板と中間筒状鋼板との間に打設されるコンクリートに固定することができる。
このように構成されることにより、第1スタッドが、環状プレートを内周側筒状鋼板と中間筒状鋼板との間に打設されるコンクリートに固定することができる。また、環状プレートの下面に複数の第1スタッドが均等に設けられることにより、環状プレートに作用する荷重を、第1スタッドが内周側筒状鋼板と中間筒状鋼板との間に打設されるコンクリートへ分散して伝達させることができる。
このように構成されることにより、アンカーボルトが、筒状プレートを中間筒状鋼板に固定することができる。そして、筒状プレートと中間筒状鋼板との間に充填材,例えばグラウト材やシムなどが充填されることにより、サポートの径方向の位置調整を容易に行うことができる。
このように構成されることにより、ボルトが、添接板を介して筒状プレートを中間筒状鋼板に固定させることができる。
このように構成されることにより、筒状プレートと中間筒状鋼板の厚さが異なる場合でも、筒状プレートと中間筒状鋼板とを確実に固定することができるとともに、シムの厚さを調節してサポートの径方向の位置調整を容易に行うことができる。
このように構成されることにより、第2スタッドが筒状プレートを、中間筒状鋼板と外周側筒状鋼板との間のコンクリートに固定させることができ、ボルトとともにせん断荷重に抵抗することができる。また、筒状プレートの外周面に複数の第2スタッドが均等に接合されることにより、筒状プレートに作用するせん断荷重を中間筒状鋼板と外周側筒状鋼板との間のコンクリートに分散させて伝達させることができる。
このように構成されることにより、ボルトが筒状体および添接板を介してサポートを内周側筒状鋼板に固定することができる。
このように構成されることにより、アンカーボルトが、サポートを中間筒状鋼板に固定することができるとともに、ボルトとともにサポートに作用するせん断荷重に抵抗することができる。
このように構成されることによりにより、リブがサポートに作用するせん断荷重に抵抗することができる。
以下、本発明の実施形態による原子炉容器支持構造について、図1乃至図3に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による原子炉容器支持構造1は、原子炉建屋の構造体である筒状構造体2の内周側に、原子炉容器3を支持するために設けられている。
筒状構造体2は、鉛直方向へ延在する円筒状の内周側筒状鋼板4と外周側筒状鋼板6とこれらの間に配置される中間筒状鋼板5とを備え、内周側筒状鋼板4と中間筒状鋼板5との間に内周側コンクリートC1が打設され、中間筒状鋼板5と外周側筒状鋼板6との間に外周側コンクリートC2が打設されている。
内周側筒状鋼板4は、その高さが中間筒状鋼板5および外周側筒状鋼板6に対して低くなるように形成されている。
図2に示すように、ラジアルサポート7は、原子炉容器3の周囲に周方向へ配列された複数のラジアルサポートキー7aを備えている。そして、複数のラジアルサポートキー7aは、互いに連結されているとともに、原子炉容器3と環状プレート13に交互に固定されている。
そして、環状プレート13には、上下方向へ貫通し基礎ボルト15が挿通される複数の貫通孔13cが周方向へ所定の間隔をあけて形成されている。
また、環状プレート13の下面13aには、下方に突出する複数のリブ17が設けられている。リブ17は、略三角形状に形成された鋼板であって、環状プレート13の周方向へ所定の間隔をあけて配列されている。
基礎ボルト15は、下端部15a側が内周側コンクリートC1に埋設され、上端部15b側が内周側コンクリートC1から上方へ突出するように設置されている。また、基礎ボルト15は、筒状構造体2の周方向へ所定の間隔をあけて複数配列されている。
そして、基礎ボルト15は、上端部15b側がそれぞれ環状プレート13の貫通孔13cに挿通され、基礎ボルト15にナット15cが螺合されることによって環状プレート13を固定している。
アンカーボルト16は、径方向外側の端部16a側が外周側コンクリートC2に埋設され、径方向内側の端部16b側が中間筒状鋼板5の内側へ突出するように設置されている。なお、中間筒状鋼板5には、アンカーボルト16が挿通される貫通孔5cが形成されている。
また、アンカーボルト16は、周方向および鉛直方向へ所定の間隔をあけて複数配列されている。
そして、アンカーボルト16は、径方向内側の端部16b側がそれぞれ筒状プレート12の貫通孔12cに挿通され、アンカーボルト16にナット16cが螺合されることによって筒状プレート12を固定している。
また、筒状プレート12と中間筒状鋼板5との間には、グラウトやシムなどの充填材18が充填されている。この充填材18は、筒状プレート12と中間筒状鋼板5との間隔を調整して、サポート14の径方向の位置調整を行うために設けられている。
(筒状鋼板設置工程)
まず、内周側筒状鋼板4、中間筒状鋼板5および外周側筒状鋼板6を互いに径方向へ所定の間隔をあけて設置する。
(第1コンクリート打設工程)
続いて、内周側筒状鋼板4と中間筒状鋼板5との間、及び、中間筒状鋼板5と外周側筒状鋼板6との間に、サポート14、基礎ボルト15およびアンカーボルト16が設置される位置よりも下側のコンクリートを打設する。
続いて、基礎ボルト15およびアンカーボルト16とともにサポート14を所定の位置に設置し、位置調整を行う。このとき、必要に応じてサポート14の仮留めを行う。
(第2コンクリート打設工程)
続いて、内周側筒状鋼板4と中間筒状鋼板5との間、及び、中間筒状鋼板5と外周側筒状鋼板6との間に、コンクリートを打設し、基礎ボルト15およびアンカーボルト16をコンクリートに埋設する。
コンクリートが硬化した後に、筒状プレート12と中間筒状鋼板5との間に充填材18を充填してサポート14の径方向の位置を調整する。
このようにしてサポート14が筒状構造体2に固定される。
第1実施形態による原子炉容器支持構造1によれば、サポート14が基礎ボルト15を介して内周側コンクリートC1に固定されるとともに、アンカーボルト16を介して内周側筒状鋼板4に固定されている。これにより、基礎ボルト15がサポート14に作用する面外の曲げ荷重に抵抗することができるとともに、アンカーボルト16がサポート14に作用するせん断荷重に抵抗することができる。そして、サポート14と筒状構造体2とを溶接せずに一体化することができるため、溶接による熱ひずみ(変形)が生じることがなく、サポート14と筒状構造体2との接合部に変形が生じることを防ぐことができる。
また、環状プレート13の下面13aにはリブ17が設けられていることにより、サポート14に作用するせん断荷重に対抗することができる。
図4に示すように、第2実施形態による原子炉容器支持構造1では、第1実施形態の基礎ボルト15(図3参照)に代わって、環状プレート13の下面13aに複数のスタッド(第1スタッド、第1棒材)22が設けられている。
スタッド22は、環状プレート13の下面全面に、設置されている。このスタッド22は、予めサポート14を製作する際に取り付けておくことが好ましく、これにより、現場における作業を少なくすることができる。
図5に示すように、第3実施形態による原子炉容器支持構造31では、第1実施形態のアンカーボルト16(図3参照)の代わりに、添接板32を介して高力ボルト(第2棒材)33で筒状プレート12と中間筒状鋼板5とを接合している。
本実施形態では、中間筒状鋼板5が上下方向に分割されていて、上下に分割された中間筒状鋼板5の間に筒状プレート12が配設されている。
ここで、本実施形態では、筒状プレート12は、中間筒状鋼板5よりも厚い鋼板で形成されているため、中間筒状鋼板5と添接板32との間に、厚さを調整するシム34が設けられている。なお、筒状プレート12が、中間筒状鋼板5よりも薄い鋼板で形成されている場合は、筒状プレート12と添接板32との間にシム34を設けてもよい。
また、筒状プレート12の外周側にスタッド35が接合されていて、外周側コンクリートC2に埋設されていることにより、サポート14に作用するせん断荷重に対して抵抗することができる。
また、シム34の厚さを調整することにより、筒状構造体2に対するサポート14の位置を調整することができる。
図6に示すように、第4実施形態による原子炉容器支持構造41では、第3実施形態の基礎ボルト15(図4参照)の代わりに、第2実施形態と同様に環状プレート13の下面13aにスタッド(第1スタッド、第1棒材)22が設けられている。
第4実施形態による原子炉容器支持構造41によれば、第3実施形態と同様の効果を奏する。
図7に示すように、第5実施形態による原子炉容器支持構造51では、環状プレート13の内周側に下方へ突出するように筒状体52が接合されている。そして、筒状体52は、内周側筒状鋼板4の上部に位置し、第2筒状プレート52と内周側筒状鋼板4にわたって配される添接板53を介して、内周側筒状鋼板4と高力ボルト(第2棒材)54で接合されている。
なお、図7では、添接板53が第2筒状プレート52と内周側筒状鋼板4の両側に配されているが、片側(ナットが締結される側)だけに配されていてもよい。
第2筒状プレート52は、例えば溶接などによって予め環状プレート13に溶接されている。
また、筒状プレート12は、中間筒状鋼板5の内周側に配設され、中間筒状鋼板5との間には充填材18が充填されている。この充填材18によって、サポート14の径方向の位置が調整される。
図8に示すように、第6実施形態による原子炉容器支持構造61では、第5実施形態の基礎ボルト15(図7参照)の代わりに、第2実施形態と同様に環状プレート13の下面13aにスタッド(第1スタッド、第1棒材)22が設けられている。
第6実施形態による原子炉容器支持構造61によれば、第5実施形態と同様の効果を奏する。
例えば、上述した実施形態では、環状プレート13の下面13aにリブ17が設けられているが、リブ17が設けられていない構成としてもよい。
また、上述し第5実施形態および第6実施形態では、筒状プレート12は中間筒状鋼板5に固定されていないが、第1実施形態のように、筒状プレート12とアンカーボルト16で中間筒状鋼板5に固定してもよい。
また、上述した実施形態では、高力ボルト33,54を使用しているが、高力ボルト33,54以外のボルトを使用してもよい。
また、上述した実施形態では、リブ17は、略三角形状に形成された鋼板としているが、これ以外の形状に形成されていてもよい。
2 筒状構造体
3 原子炉容器
4 内周側筒状鋼板
5 中間筒状鋼板
6 外周側筒状鋼板
7 ラジアルサポート(連結部)
12 筒状プレート
13 環状プレート
13a 下面
14 サポート
15 基礎ボルト(第1棒材)
16 アンカーボルト(第2棒材)
17 リブ
18 充填材
22 スタッド(第1スタッド、第1棒材)
32,53 添接板
33,54 高力ボルト(第2棒材)
34 シム
35 スタッド(第2スタッド)
52 筒状体
Claims (11)
- 内周側筒状鋼板と外周側筒状鋼板とこれらの間に配置される中間筒状鋼板とを備え、前記内周側筒状鋼板と前記中間筒状鋼板との間、及び、前記中間筒状鋼板と前記外周側筒状鋼板との間に、コンクリートが打設される筒状構造体の内周側に、原子炉容器を支持するための原子炉容器支持構造であって、
前記中間筒状鋼板の内周側に配置される筒状プレートと、該筒状プレートの内周側に張り出して、前記原子炉容器に連結される連結部が固定された環状プレートとを有するサポートを備え、
前記サポートが鉛直方向に延びる第1棒材を介して前記内周側筒状鋼板と前記中間筒状鋼板との間に打設される前記コンクリートに固定されるとともに、前記筒状構造体の径方向に延在する第2棒材を介して前記内周側筒状鋼板または前記中間筒状鋼板に固定されていることを特徴とする原子炉容器支持構造。 - 前記第1棒材は、下端部側が前記内周側筒状鋼板と前記中間筒状鋼板との間に打設される前記コンクリートに埋設され、上端部側が前記環状プレートに形成された貫通孔に挿通されて前記環状プレートを固定する基礎ボルトであることを特徴とする請求項1に記載の原子炉容器支持構造。
- 前記第1棒材は、前記環状プレートの下面に接合されて前記内周側筒状鋼板と前記中間筒状鋼板との間に打設される前記コンクリートに埋設される第1スタッドであることを特徴とする請求項1に記載の原子炉容器支持構造。
- 前記第2棒材は、前記径方向外側の端部側が前記中間筒状鋼板に形成された貫通孔に挿通されるとともに前記中間筒状鋼板と前記外周側筒状鋼板との間に打設されるコンクリートに埋設され、前記径方向内側の端部側が前記筒状プレートに形成された貫通孔に挿通されて前記筒状プレートを固定するアンカーボルトであり、
前記中間筒状鋼板と前記筒状プレートとの間には、充填材が充填されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の原子炉容器支持構造。 - 前記中間筒状鋼板が上下方向に2つに分割されて前記筒状プレートの上下にそれぞれ配されるとともに、前記筒状プレートおよび前記中間筒状鋼板にわたって添接板が配設されていて、
前記第2棒材は、前記筒状プレートと前記添接板とを連結するボルト、及び、前記分割体と前記添接板とを接合するボルトであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の原子炉容器支持構造。 - 前記添接板と、前記筒状プレートまたは前記中間筒状鋼板との間に配されて、前記添接板と、前記筒状プレートまたは前記中間筒状鋼板との間隔を調整可能なシムを備えることを特徴とする請求項5に記載の原子炉容器支持構造。
- 前記筒状プレートの外周面には、前記内周側筒状鋼板と前記中間筒状鋼板との間に打設されるコンクリートに埋設される第2スタッドが接合されていることを特徴とする請求項5または6に記載の原子炉容器支持構造。
- 前記サポートは、前記環状プレートの内周側から下方に突出し前記内周側筒状鋼板の上部に配設される筒状体を備え、該筒状体および前記内周側筒状鋼板にわたって添接板が配設されていて、
前記第2棒材は、前記第2筒状プレートと前記添接板とを連結するボルト、及び、前記内周側筒状鋼板と前記添接板とを接合するボルトであり、
前記筒状プレートと前記中間筒状鋼板との間には、充填材が充填されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の原子炉容器支持構造。 - 前記第2棒材は、前記ボルトと、前記径方向外側の端部側が前記中間筒状鋼板に形成された貫通孔に挿通されるとともに前記中間筒状鋼板と前記外周側筒状鋼板との間に打設されるコンクリートに埋設され、前記径方向内側の端部側が前記筒状プレートに形成された貫通孔に挿通されて前記筒状プレートを固定するアンカーボルトであることを特徴とする請求項8に記載の原子炉容器支持構造。
- 前記環状プレートの下面には、下方に突出するリブが設けられていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の原子炉容器支持構造。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の原子炉容器支持構造の施工方法であって、
前記内周側筒状鋼板、前記外周側筒状鋼板および前記中間筒状鋼板を設置する筒状鋼板設置工程と、
前記内周側筒状鋼板と前記中間筒状鋼板との間、及び、前記外周側筒状鋼板と前記中間筒状鋼板との間に、前記サポート、前記第1棒材および前記第2棒材が設置される位置より下側に前記コンクリートを打設する第1コンクリート打設工程と、
前記サポートを前記第1棒部材とともに設置し、前記第2棒材を介して前記内周側筒状鋼板または前記中間筒状鋼板に固定するサポート設置工程と、
前記サポート、前記第1棒材および前記第2棒材が設置された位置に前記コンクリートを打設する第2コンクリート打設工程と、を備えることを特徴とする原子炉容器支持構造の施工方法。
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