JP2012126866A - ゴムマスターバッチの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム組成物での不均一な架橋による物性低下を抑えながら、加硫時間の短縮と耐スコーチ性を両立する。
【解決手段】加硫剤と加硫促進剤の少なくとも一方からなる加硫系配合剤を芯材とし、融点125〜160℃の樹脂を膜材として、湿式カプセル化法によりカプセル化した加硫系配合剤粒子を含む水分散液と、ゴムラテックスとを混合することにより、前記加硫系配合剤を含むゴムマスターバッチを製造することを特徴とするゴムマスターバッチの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】加硫剤と加硫促進剤の少なくとも一方からなる加硫系配合剤を芯材とし、融点125〜160℃の樹脂を膜材として、湿式カプセル化法によりカプセル化した加硫系配合剤粒子を含む水分散液と、ゴムラテックスとを混合することにより、前記加硫系配合剤を含むゴムマスターバッチを製造することを特徴とするゴムマスターバッチの製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ゴムマスターバッチ及びその製造方法、並びに該ゴムマスターバッチを含むゴム組成物に関するものであり、特に加硫剤や加硫促進剤を含むゴムマスターバッチの製造方法に関するものである。
天然ゴムやスチレンブタジエンゴムなどのゴム成分を含むゴム組成物には、カーボンブラック等の充填剤をはじめとする各種添加剤に加えて、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤が配合されており、バンバリミキサ等で混練りすることに調製されている。かかるゴム組成物は、一般に所定形状に成形した後、加熱により加硫することでゴム製品とされる。その際、通常、加硫工程は160℃以上の温度に加熱することにより行われる。
ゴム製品の生産性を上げるためには、加硫時間を短くすることが有効であり、そのためには、加硫速度の速い加硫促進剤を用いたり、加硫促進剤を増量したりする方策がある。しかしながら、これらの方策では、加硫工程前におけるゴム組成物の混練り時や押出機等による成形加工時にも加硫が進行してしまい、スコーチ(焼け)が生じて、加工性が損なわれるという問題がある。すなわち、混練り時や成形加工時にも、通常100〜120℃程度まで加熱されることから、その際の熱で早期加硫するおそれがある。このように加硫時間の短縮による生産性の向上と、耐スコーチ性とを両立することは困難である。
かかる問題を解決するために、従来、加硫剤や加硫促進剤を、所定以上の温度で溶融する樹脂を用いて被覆するマイクロカプセル化技術が提案されている(下記特許文献1,2参照)。加硫剤や加硫促進剤を樹脂で被覆することにより、樹脂が融解するまでは加硫剤や加硫促進剤がゴム成分に直接接触するのを防止して加硫反応を抑えることができ、耐スコーチ性を向上することができる。そして、加硫時には、樹脂が融解することにより加硫剤や加硫促進剤とゴム成分との接触が可能となって加硫が進行するので、温度に応じて加硫を制御して、加硫時間の短縮と耐スコーチ性を両立することができる。
上記のようなマイクロカプセル化技術としては、流動層コーティング法、噴霧乾燥法、乾式混合法などの乾式法や、コアセルべーション法、液中乾燥法、界面重合法、in situ法などの湿式法がある。しかしながら、乾式法では、空隙のない皮膜を形成することが難しく、加硫時間の短縮と耐スコーチ性とを両立することが困難である。また、湿式法では、カプセル粒子生成後の乾燥時にカプセル粒子が凝集し、100μm以下のカプセル粒子を製造することが困難であったり、スプレードライで乾燥する際にノズルが詰まったりして、所望のカプセル粒子を得られないという問題がある。得られたカプセル粒子が大きすぎると、ゴム組成物に添加したときに、ゴム組成物中で異物となったり、局部的に架橋が進行して架橋の不均一につながり、結果として、破断強度などの物性の低下を招くおそれがある。
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、ゴム組成物での不均一な架橋による物性低下を抑えながら、加硫時間の短縮と耐スコーチ性を両立することを目的とする。
本発明に係るゴムマスターバッチの製造方法は、加硫剤及び加硫促進剤から選択された少なくとも1種の加硫系配合剤を芯材とし、融点125〜160℃の樹脂を膜材として、湿式カプセル化法によりカプセル化した加硫系配合剤粒子を含む水分散液と、ゴムラテックスとを混合することにより、前記加硫系配合剤を含むゴムマスターバッチを製造することを特徴とするものである。
本発明に係るゴムマスターバッチは、上記方法により製造されたものである。また、本発明に係るゴム組成物は、該ゴムマスターバッチを配合してなるものである。
本発明によれば、湿式カプセル化法によりカプセル化した加硫系配合剤を、乾燥前の水分散液の状態で、ゴムラテックスと混合することにより、加硫系配合剤の凝集を抑えながら、加硫系配合剤を含むゴムマスターバッチが得られる。そのため、該ゴムマスターバッチを配合してなるゴム組成物において、不均一な架橋による物性低下を抑えながら、加硫系配合剤をカプセル化したことによる加硫時間の短縮と耐スコーチ性の両立を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明に係る実施形態では、樹脂を使ってカプセル化された加硫系配合剤粒子(即ち、カプセル粒子)を含む水分散液と、ゴムラテックスと、を混合することにより、加硫系配合剤を含むゴムマスターバッチを製造することを特徴とする。
上記加硫系配合剤は、カプセル粒子の芯材を構成するものであり、加硫剤と加硫促進剤の少なくとも一方からなる。これらの加硫系配合剤を樹脂によりカプセル化することによって、加硫反応を制御することができる。
加硫剤としては、硫黄、硫黄化合物、過酸化物などが挙げられ、その中でも、特に、硫黄、硫黄化合物が好ましい。ここで、硫黄化合物としては、例えば、塩化硫黄、二塩化硫黄、高分子多硫化物、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィドなどが挙げられる。
加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DPBS)、N,N−ジシクロヘキル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)などのスルフェンアミド系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBZTD)などのチウラム系加硫促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾールの塩(亜鉛塩(ZnMBT)、ナトリウム塩(NaMBT)、シクロヘキシルアミン塩(CMBT)など)、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール系加硫促進剤;1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3−ジ−オルトトリルグアニジン(DOTG)、1−オルトトリルビグアニド(OTBG)、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩などのグアニジン系加硫促進剤;ヘキサメチレンテトラミン(H)、n−ブチルアルデヒドアニリン(BAA)、アセトアルデヒドアンモニア(AA)などのアルデヒド−アミン系加硫促進剤;チオウレア、トリメチルチオ尿素(TMU)、N,N’−ジフェニルチオ尿素(CA)、N,N’−ジエチルチオ尿素(DEU)、N,N’−ジブチルチオ尿素、エチレンチオウレア(EU)などのチオウレア系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaEDC)、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸ナトリウム(NaBDC)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnBDC)、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛(ZnPDC)、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEPDC)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル(TeEDC)、ジメチルジチオカルバミン酸銅(CuMDC)、ジメチルジチオカルバミン酸鉄(FeMDC)、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン(PPDC)、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリンなどのジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などが挙げられる。これらの中でも、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、特に好ましくはスルフェンアミド系加硫促進剤を用いることである。
以上列挙した加硫剤及び加硫促進剤は、本実施形態における加硫系配合剤として、いずれか1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
かかる加硫系配合剤について、粒径は特に限定するものではないが、均一な架橋を実現するために、平均粒径が1〜100μmであることが好ましい。なお、比較的大きな粒状で市販されている薬品については、事前に粉砕機などで粉砕して使用することが好ましい。ここで、平均粒径は、(株)島津製作所製レーザー回折式粒度分布計「SALD−2200」(水溶媒、粒子屈折率:1.85)を用い、超音波で1分間分散後に測定した値である。
上記樹脂は、カプセル粒子の膜材(外殻)を構成するものであり、融点が125〜160℃である熱可塑性樹脂が用いられる。このような融点を持つ樹脂を膜材として用いることにより、加硫工程前の混練り時や成形加工段階における熱で膜材が融解するのを防止して耐スコーチ性を高めるとともに、加硫時には膜材が融解することで芯材である加硫系配合剤がゴム成分に直接接触して加硫反応に寄与することができる。すなわち、融点が125℃未満の樹脂では、加硫工程前の段階で曝される温度により膜材が融解し、芯材が溶出するので耐スコーチ性を改善することが難しい。また、融点が160℃を超える樹脂では、加硫工程中に曝される温度でも膜材が融解せず、芯材が溶出できないので、加硫に悪影響を及ぼす。該樹脂の融点は、より好ましくは130〜150℃である。ここで、樹脂の融点は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定(DSC)法により昇温速度20℃/分にて測定される値である。
該樹脂としては、上記融点を有する各種熱可塑性樹脂が挙げられ、例えば、ゼラチン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらは、いずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記樹脂を使ってカプセル化された加硫系配合剤粒子を含む水分散液は、一般的なマイクロカプセル化法、ここでは水を媒体とする湿式カプセル化法を用いて調製することができる。このような湿式カプセル化法としては、従来公知の各種方法、例えば、界面重合法、in situ重合法、コアセルべーション法、液中乾燥法などを適用することができる。カプセル化の手法自体は、公知の方法に従えばよい。
界面重合法は、液相と油相との界面で起こる重合反応によって、芯材を被覆する膜材を形成する方法であり、親水性モノマーと疎水性モノマーをそれぞれ親水性液体(水)と疎水性液体(油)に溶解し、両者の界面において重合反応を生じさせることにより、膜材を形成する。例えば、芯材としての加硫系配合剤が分散した疎水性液体に疎水性モノマーを溶解しておき、これを水に注入して激しく攪拌することにより水相中に分散させてO/W分散系を得る。この分散系に親水性モノマーを注入することにより、水相と油相の界面で両モノマーの反応が起こり、芯材を被覆するように樹脂が形成される。これにより、カプセル粒子である加硫系配合剤粒子が水に分散した水分散液が得られる。
in situ(インサイチュ)重合法は、界面重合法とは異なり一種類のモノマーだけを芯材の分散液中に溶解させておいて重合させることにより膜材を形成する方法である。例えば、芯材としての加硫系配合剤が分散した疎水性液体に疎水性モノマーを溶解しておき、これを水に注入して激しく攪拌することにより水相中に分散させてO/W分散系を得て、その後、所定時間加温などの重合させるプロセスを経ることにより該モノマーを重合させて芯材を被覆する。これにより、カプセル粒子である加硫系配合剤粒子が水に分散した水分散液が得られる。
コアセルべーション法は、膜材を形成する樹脂の溶液からその樹脂に富んだ相が分離する現象を利用した方法である。例えば、膜材である樹脂が溶解した水溶液に、芯材としての加硫系配合剤を分散させておき、これに上記樹脂を溶かすことのできない液体(貧溶媒)を注入していく。すると、樹脂の溶解度が低下するために、樹脂が芯材を取り囲むように析出してくるので、カプセル粒子である加硫系配合剤粒子が水に分散した水分散液が得られる。
液中乾燥法は、芯材が分散している膜材物質溶液を、水又は油の媒体中に分散し、しかる後、加熱又は減圧によって膜材物質が溶解している溶媒を除去して膜材を形成する方法である。例えば、膜材である樹脂が溶解した溶液に芯材としての加硫系配合剤を分散させておき、これを水中に注入して攪拌する。これにより芯材が分散した油滴が水相中に分散した分散系が得られる。この分散系の温度を上げることにより、樹脂が溶解している油相が蒸発し、これにより、樹脂が芯材を取り囲むように析出するので、カプセル粒子である加硫系配合剤粒子が水に分散した水分散液が得られる。
このようにして得られるカプセル粒子の水分散液(以下、カプセル分散液ということがある)において、カプセル粒子の濃度は、特に限定されないが、1〜50質量%であることが好ましい。
該カプセル粒子において、上記芯材に対する膜材の被覆量は、10〜50質量%であることが好ましい。被覆量が10質量%未満では、膜厚が薄く、耐スコーチ性の改良効果が不十分となるおそれがある。逆に、50質量%を超えると、加硫工程において加硫系配合剤が溶出にしくく加硫速度が遅くなるおそれがあり、また、ゴム組成物中に占める異物としての樹脂の比率が多くなってしまう。
該カプセル粒子の粒径は特に限定するものではないが、平均粒径が1〜100μmであることが好ましい。ここで、カプセル粒子の平均粒径については、ゴムマスターバッチ化する前の段階であれば、上記の加硫系配合剤の粒径と同様にレーザー回折法で測定できるが、ゴムマスターバッチ化後ではこの方法では測定できない。そのため、ゴムマスターバッチ中におけるカプセル粒子の平均粒径は、エネルギー分散型X線分析装置搭載走査電子顕微鏡(SEM+EDX)を使用し、サンプルを切断してその断面のイオウ元素をマッピングし、その大きさを測定することによりカプセル粒子の粒径とし、無作為抽出した20個のカプセル粒子についての粒径の相加平均とする。
上記カプセル分散液と混合するゴムラテックスとしては、ジエン系ゴムラテックスが好ましく用いられる。ジエン系ゴムラテックスとしては、天然ゴムラテックスでも、合成ゴムラテックスでもよい。天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックスでもよく、あるいはまた、フィールドラテックスを遠心分離などの公知の濃縮法により蛋白質を除去するなどして濃縮した濃縮ラテックスでもよい。また、合成ゴムラテックスとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)などの各種ゴムポリマーが、水に分散してなるラテックスが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくは、天然ゴムラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックスを用いることである。ゴムラテックス中におけるゴム成分の含有率は、特に限定されないが、一般には10〜70質量%である。
上記カプセル分散液とゴムラテックスとの混合方法は、特に限定されず、例えば、ホモミキサー中でカプセル分散液を攪拌しながらゴムラテックスを滴下する方法、ホモミキサー中でゴムラテックスを攪拌しながらカプセル分散液を滴下する方法、所定の流速を持つカプセル分散液流とゴムラテックス流とを合流させて混合する方法などを用いることができる。
このようにして混合した後、凝固し、脱水乾燥することで、加硫系配合剤を含むゴムマスターバッチが得られる。凝固は公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩の凝固剤を用いて凝固させてもよく、あるいはまた凝固剤を添加せずに凝固がなされるものであってもよい。また、乾燥も公知の方法を用いて行うことができ、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤーなどの通常の乾燥機を用いて行うことができ、また混練機を用いて機械的せん断力をかけながら乾燥させてもよい。
該ゴムマスターバッチ中における加硫系配合剤とゴム成分との比率は特に限定されないが、例えば、ゴム成分100質量部に対して、加硫系配合剤(膜材としての樹脂を除く質量)を0.1〜400重量部とすることができ、より好ましくは0.5〜100重量部である。
以上のように本実施形態であると、一般的な湿式カプセル化法を利用して作製したカプセル粒子の水分散液を、従来のようにそのまま乾燥させるのではなく、ゴムラテックスと混合した上で、凝固乾燥させており、カプセル粒子とゴム成分の複合体を生成させている。このように乾燥時に系内にカプセル粒子とともにゴム成分を併存させることにより、カプセル粒子が乾燥時に凝集して大きなカプセル粒子が形成されるという不具合を防止することができ、加硫工程での不均一な架橋を抑制して、物性低下を抑えることができる。
本実施形態に係るゴム組成物は、上記で得られたゴムマスターバッチを含むものである。ゴム組成物には、該ゴムマスターバッチの他、充填剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、活性剤、滑剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。また、該ゴム組成物中に含まれるゴム成分としては、上記ゴムマスターバッチから配合されるものとは別に、通常の天然ゴムやジエン系合成ゴム(例えば、上記のIR、BR、SBR、CR、NBR等)などの各種ゴムポリマーを配合してもよい。また、ゴムマスターバッチに含ませる加硫系配合剤が、加硫促進剤のみである場合、ゴム組成物には、通常、加硫剤が別途添加される。ゴムマスターバッチに含ませる加硫系配合剤が、加硫剤のみである場合、ゴム組成物には、通常、加硫促進剤が別途添加される。一部の加硫促進剤のみを上記ゴムマスターバッチに含ませておき、他の加硫促進剤や加硫剤を別途添加してもよく、逆に一部の加硫促進剤のみをゴムマスターバッチとは別に添加してもよい(従って、この場合、ゴムマスターバッチには加硫剤と一部の加硫促進剤が含まれる)。ゴム組成物中に占める加硫剤の含有量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、ゴム組成物中に占める加硫促進剤の含有量としては、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
上記充填剤としては、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることが好ましい。かかる充填剤の配合量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、10〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量部である。なお、シリカを配合する場合、シランカップリング剤を配合してもよい。
該ゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダーなどのゴム用混練機を用いて、常法に従い混練することで調製される。混練に際しては、上記カプセル粒子の膜材である樹脂の融解を抑えるために、120℃以下で行うことが好ましい。このようにして得られるゴム組成物の用途は、特に限定されず、トレッドやサイドウォール等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種ゴム組成物に用いることができる。
特には、タイヤに用いることが好適であり、常法に従い加硫成形することにより、各種空気入りタイヤのゴム部分(トレッドゴムやサイドウォールゴムなど)を構成することができる。加硫工程では、上記膜材を構成する樹脂の融点よりも高温で行う必要があり、例えば、該樹脂の融点にもよるが、140〜200℃で行うことが好ましく、より好ましくは150〜180℃で行うことである。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[ゴムマスターバッチの調製]
・ゴムマスターバッチ1:
加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)を、ピンミルを使用して、14000rpmで機械的粉砕処理することにより、平均粒径が30μmである加硫促進剤粉末が得られた。融点が135℃であるポリプロピレン樹脂(PP、三井化学(株)製「NP055」)3gをジクロロメタン150mLに溶解させ、そこへ、上記加硫促進剤粉末を20gを添加し攪拌した。次いで、この溶液を1000mLの水に添加し、30分間攪拌してO/W分散液を得た。その後、この分散液を50℃に加温して約2時間開放系で攪拌することによりジクロロメタンを蒸発させ、これにより、ポリプロピレン樹脂で被覆された加硫促進剤のカプセル粒子を含む水分散液を得た。得られたカプセル分散液は、ポリプロピレン樹脂で被覆された加硫促進剤のカプセル粒子(被覆率15質量%)23gを、水1000mL中に有するものである。このカプセル分散液を天然ゴムラテックス(株式会社レヂテックス製「LA−NRラテックス」、ゴム濃度=60質量%)167gとともに攪拌し、ギ酸で凝固、乾燥させることにより、ゴムマスターバッチ1を作製した。得られたゴムマスターバッチ1は、天然ゴム100質量部に加硫促進剤(樹脂分3質量部を除く)を20質量部含有するものである。ゴムマスターバッチ1中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は39μmであった。
・ゴムマスターバッチ1:
加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)を、ピンミルを使用して、14000rpmで機械的粉砕処理することにより、平均粒径が30μmである加硫促進剤粉末が得られた。融点が135℃であるポリプロピレン樹脂(PP、三井化学(株)製「NP055」)3gをジクロロメタン150mLに溶解させ、そこへ、上記加硫促進剤粉末を20gを添加し攪拌した。次いで、この溶液を1000mLの水に添加し、30分間攪拌してO/W分散液を得た。その後、この分散液を50℃に加温して約2時間開放系で攪拌することによりジクロロメタンを蒸発させ、これにより、ポリプロピレン樹脂で被覆された加硫促進剤のカプセル粒子を含む水分散液を得た。得られたカプセル分散液は、ポリプロピレン樹脂で被覆された加硫促進剤のカプセル粒子(被覆率15質量%)23gを、水1000mL中に有するものである。このカプセル分散液を天然ゴムラテックス(株式会社レヂテックス製「LA−NRラテックス」、ゴム濃度=60質量%)167gとともに攪拌し、ギ酸で凝固、乾燥させることにより、ゴムマスターバッチ1を作製した。得られたゴムマスターバッチ1は、天然ゴム100質量部に加硫促進剤(樹脂分3質量部を除く)を20質量部含有するものである。ゴムマスターバッチ1中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は39μmであった。
・ゴムマスターバッチ2:
ジクロロメタン150mLに溶解させるポリプロピレン樹脂の量を8gとし、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ2を得た。得られたゴムマスターバッチ2において、加硫促進剤のカプセル粒子は、ポリプロピレンによる被覆率が40質量%である。ゴムマスターバッチ2中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は47μmであった。
ジクロロメタン150mLに溶解させるポリプロピレン樹脂の量を8gとし、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ2を得た。得られたゴムマスターバッチ2において、加硫促進剤のカプセル粒子は、ポリプロピレンによる被覆率が40質量%である。ゴムマスターバッチ2中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は47μmであった。
・ゴムマスターバッチ3:
被覆する樹脂を融点が150℃であるポリプロピレン樹脂(PP、三井化学(株)製「NP805」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ3を得た。得られたゴムマスターバッチ3において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点150℃のポリプロピレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ3中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は37μmであった。
被覆する樹脂を融点が150℃であるポリプロピレン樹脂(PP、三井化学(株)製「NP805」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ3を得た。得られたゴムマスターバッチ3において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点150℃のポリプロピレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ3中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は37μmであった。
・ゴムマスターバッチ4:
被覆する樹脂を融点が135℃である高密度ポリエチレン樹脂(HDPE、ビックケミージャパン(株)製「CERAFLOUR950」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ4を得た。得られたゴムマスターバッチ4において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点135℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ4中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は39μmであった。
被覆する樹脂を融点が135℃である高密度ポリエチレン樹脂(HDPE、ビックケミージャパン(株)製「CERAFLOUR950」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ4を得た。得られたゴムマスターバッチ4において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点135℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ4中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は39μmであった。
・ゴムマスターバッチ5(比較例):
被覆する樹脂を融点が105℃である低密度ポリエチレン樹脂(LDPE、三井化学(株)製「NL500」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ5を得た。得られたゴムマスターバッチ5において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点105℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ5中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は42μmであった。
被覆する樹脂を融点が105℃である低密度ポリエチレン樹脂(LDPE、三井化学(株)製「NL500」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ5を得た。得られたゴムマスターバッチ5において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点105℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ5中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は42μmであった。
・ゴムマスターバッチ6(比較例):
被覆する樹脂を融点が165℃であるエチルセルロース(EC、昭和化学(株)製「エチルセルロース」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ6を得た。得られたゴムマスターバッチ6において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点165℃のエチルセルロースにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ6中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は37μmであった。
被覆する樹脂を融点が165℃であるエチルセルロース(EC、昭和化学(株)製「エチルセルロース」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ6を得た。得られたゴムマスターバッチ6において、加硫促進剤のカプセル粒子は、融点165℃のエチルセルロースにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ6中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は37μmであった。
・ゴムマスターバッチ7:
加硫促進剤に代えて硫黄(鶴見化学工業(株)製「5%油処理粉末イオウ」)を20g用い、その他はゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ7を得た。該硫黄としては、予めピンミルを使用して、14000rpmで機械的粉砕処理することにより、平均粒径が10μmである硫黄粉末を用いた。得られたゴムマスターバッチ7は、天然ゴム100質量部に硫黄(樹脂分3質量部を除く)を20質量部含有するものであり、該マスターバッチに含まれる硫黄のカプセル粒子は、融点135℃のポリプロピレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ7中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は14μmであった。
加硫促進剤に代えて硫黄(鶴見化学工業(株)製「5%油処理粉末イオウ」)を20g用い、その他はゴムマスターバッチ1と同様にして、ゴムマスターバッチ7を得た。該硫黄としては、予めピンミルを使用して、14000rpmで機械的粉砕処理することにより、平均粒径が10μmである硫黄粉末を用いた。得られたゴムマスターバッチ7は、天然ゴム100質量部に硫黄(樹脂分3質量部を除く)を20質量部含有するものであり、該マスターバッチに含まれる硫黄のカプセル粒子は、融点135℃のポリプロピレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ7中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は14μmであった。
・ゴムマスターバッチ8:
ジクロロメタン150mLに溶解させるポリプロピレン樹脂の量を8gとし、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ8を得た。得られたゴムマスターバッチ8において、硫黄のカプセル粒子は、ポリプロピレンによる被覆率が40質量%である。ゴムマスターバッチ8中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は17μmであった。
ジクロロメタン150mLに溶解させるポリプロピレン樹脂の量を8gとし、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ8を得た。得られたゴムマスターバッチ8において、硫黄のカプセル粒子は、ポリプロピレンによる被覆率が40質量%である。ゴムマスターバッチ8中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は17μmであった。
・ゴムマスターバッチ9:
被覆する樹脂を融点が150℃であるポリプロピレン樹脂(PP、三井化学(株)製「NP805」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ9を得た。得られたゴムマスターバッチ9において、硫黄のカプセル粒子は、融点150℃のポリプロピレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ9中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は12μmであった。
被覆する樹脂を融点が150℃であるポリプロピレン樹脂(PP、三井化学(株)製「NP805」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ9を得た。得られたゴムマスターバッチ9において、硫黄のカプセル粒子は、融点150℃のポリプロピレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ9中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は12μmであった。
・ゴムマスターバッチ10:
被覆する樹脂を融点が135℃である高密度ポリエチレン樹脂(HDPE、ビックケミージャパン(株)製「CERAFLOUR950」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ10を得た。得られたゴムマスターバッチ10において、硫黄のカプセル粒子は、融点135℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ10中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は14μmであった。
被覆する樹脂を融点が135℃である高密度ポリエチレン樹脂(HDPE、ビックケミージャパン(株)製「CERAFLOUR950」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ10を得た。得られたゴムマスターバッチ10において、硫黄のカプセル粒子は、融点135℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ10中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は14μmであった。
・ゴムマスターバッチ11(比較例):
被覆する樹脂を融点が105℃である低密度ポリエチレン樹脂(LDPE、三井化学(株)製「NL500」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ11を得た。得られたゴムマスターバッチ11において、硫黄のカプセル粒子は、融点105℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ11中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は15μmであった。
被覆する樹脂を融点が105℃である低密度ポリエチレン樹脂(LDPE、三井化学(株)製「NL500」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ11を得た。得られたゴムマスターバッチ11において、硫黄のカプセル粒子は、融点105℃のポリエチレンにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ11中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は15μmであった。
・ゴムマスターバッチ12(比較例):
被覆する樹脂を融点が165℃であるエチルセルロース(EC、昭和化学(株)製「エチルセルロース」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ12を得た。得られたゴムマスターバッチ12において、硫黄のカプセル粒子は、融点165℃のエチルセルロースにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ12中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は12μmであった。
被覆する樹脂を融点が165℃であるエチルセルロース(EC、昭和化学(株)製「エチルセルロース」)に代え、その他は上記ゴムマスターバッチ7と同様にして、ゴムマスターバッチ12を得た。得られたゴムマスターバッチ12において、硫黄のカプセル粒子は、融点165℃のエチルセルロースにより被覆されており、被覆率は15質量%である。ゴムマスターバッチ12中に含まれるカプセル粒子の平均粒径は12μmであった。
[ゴム組成物の調製]
下記表1,2に示す配合(質量部)に従って、常法に従い、バンバリーミキサーを使用してゴム組成物を調製した。詳細には、まず、第1混合段階で、ゴムマスターバッチ、ポリプロピレン、カプセル化加硫促進剤、カプセル化硫黄、加硫促進剤および硫黄を除く成分を添加して混練し(排出温度160℃)、次いで、得られた混合物に、第2混合段階でこれらの残りの成分を添加し混練して(排出温度100℃)調製した。なお、表中のゴムマスターバッチの配合量についての括弧内の数値はゴム成分の量である。
下記表1,2に示す配合(質量部)に従って、常法に従い、バンバリーミキサーを使用してゴム組成物を調製した。詳細には、まず、第1混合段階で、ゴムマスターバッチ、ポリプロピレン、カプセル化加硫促進剤、カプセル化硫黄、加硫促進剤および硫黄を除く成分を添加して混練し(排出温度160℃)、次いで、得られた混合物に、第2混合段階でこれらの残りの成分を添加し混練して(排出温度100℃)調製した。なお、表中のゴムマスターバッチの配合量についての括弧内の数値はゴム成分の量である。
表1,2中の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:天然ゴムラテックス(株式会社レヂテックス製「LA−NRラテックス」)をオーブンで蒸発乾燥させたもの
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製「シースト3」
・老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
・ステアリン酸:工業用ステアリン酸
・酸化亜鉛:1号亜鉛華
・ポリプロピレン:三井化学(株)製「NP055」
・加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)。上記機械的粉砕処理した平均粒径30μmの加硫促進剤粉末を使用。
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「5%油処理粉末イオウ」。上記機械的粉砕処理した平均粒径10μmの硫黄粉末を使用。
・カプセル化加硫促進剤:ゴムマスターバッチ1の調製方法において加硫促進剤粒子のカプセル分散液を遠心分離し、その後80℃のオーブンで24時間乾燥して得られたカプセル化物(加硫促進剤に対するポリプロピレンの被覆率=15質量%)。カプセル粒子の平均粒径を上記レーザー回折法により測定したところ、140μmであり、カプセル粒子が凝集していることが確認された。
・天然ゴム:天然ゴムラテックス(株式会社レヂテックス製「LA−NRラテックス」)をオーブンで蒸発乾燥させたもの
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製「シースト3」
・老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
・ステアリン酸:工業用ステアリン酸
・酸化亜鉛:1号亜鉛華
・ポリプロピレン:三井化学(株)製「NP055」
・加硫促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)。上記機械的粉砕処理した平均粒径30μmの加硫促進剤粉末を使用。
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「5%油処理粉末イオウ」。上記機械的粉砕処理した平均粒径10μmの硫黄粉末を使用。
・カプセル化加硫促進剤:ゴムマスターバッチ1の調製方法において加硫促進剤粒子のカプセル分散液を遠心分離し、その後80℃のオーブンで24時間乾燥して得られたカプセル化物(加硫促進剤に対するポリプロピレンの被覆率=15質量%)。カプセル粒子の平均粒径を上記レーザー回折法により測定したところ、140μmであり、カプセル粒子が凝集していることが確認された。
・カプセル化硫黄:ゴムマスターバッチ7の調製方法において硫黄粒子のカプセル分散液を遠心分離し、その後80℃のオーブンで24時間乾燥して得られたカプセル化物(硫黄に対するポリプロピレンの被覆率=15質量%)。カプセル粒子の平均粒径を上記レーザー回折法により測定したところ、120μmであり、カプセル粒子が凝集していることが確認された。
得られた各ゴム組成物について、耐スコーチ性、加硫速度、破断強度を測定した。測定方法は以下の通りである。
・耐スコーチ性:JIS K6300−1に準拠したムーニースコーチ試験機(L形ロータ)を用い、予熱1分、温度125℃で測定時のt5値を求め、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、焼けが生じにくく、耐スコーチ性に優れることを示す。
・加硫速度:JIS K6300−2に準拠した振動式加硫試験機を用いて160℃で測定し、t10(分)を求めた。この値が小さいほど加硫速度が速いことを示す。
・破断強度:160℃×30分で加硫した試験片について、JIS K6251に準拠して引張試験(ダンベル3号)を実施して破断強度を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど、破断強度が高いことを示す。
結果は表1,2に示す通りであり、実施例1〜8であると、加硫促進剤や硫黄を所定の融点を持つ樹脂でマイクロカプセル化したので、耐スコーチ試験における125℃では樹脂が融解せず、加硫促進剤や硫黄がゴム成分に直接接触するのを防止して加硫反応を抑えることができ、コントロールである比較例1に対して、耐スコーチ性が向上した。一方、加硫試験における160℃では樹脂が融解し、加硫促進剤や硫黄が溶出することにより加硫を進行させることができ、比較例1と同等の加硫速度を確保することができた。そのため、速い加硫時間を確保しつつ、耐スコーチ性を向上することができた。また、かかるカプセル化した加硫促進剤や硫黄を、ゴムラテックスとともにウェットマスターバッチ化したことにより、カプセル化物の凝集を防ぐことができ、従って、比較例1に対して破断強度も維持されていた。
これに対し、ゴム混練時にポリプロピレンを添加した比較例2,6では、比較例1に対して耐スコーチ性の改善効果は得られなかった。比較例3,7では、所定の融点を持つ樹脂でカプセル化した加硫促進剤や硫黄を用いたことにより、耐スコーチ性を向上させることはできたが、カプセル化後の乾燥時にカプセル粒子が凝集したことによってゴム組成物の加硫時に不均一な架橋が生じたためか、破断強度が低下していた。
比較例4,8では、マイクロカプセル化した加硫促進剤や硫黄を、更にゴムラテックスとともにマスターバッチ化したものであったが、加硫促進剤や硫黄を被覆した樹脂の融点が低すぎて、耐スコーチ性の改善効果は得られなかった。比較例5,9では、マイクロカプセル化した加硫促進剤や硫黄を、更にゴムラテックスとともにマスターバッチ化したものであったが、加硫促進剤や硫黄を被覆した樹脂の融点が高すぎて、加硫時の熱でも十分に融解せず、そのため、加硫速度の遅いものであり、破断強度も低下していた。
Claims (7)
- 加硫剤及び加硫促進剤から選択された少なくとも1種の加硫系配合剤を芯材とし、融点125〜160℃の樹脂を膜材として、湿式カプセル化法によりカプセル化した加硫系配合剤粒子を含む水分散液と、ゴムラテックスとを混合することにより、前記加硫系配合剤を含むゴムマスターバッチを製造することを特徴とするゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記芯材に対する前記膜材の被覆量が10〜50質量%であることを特徴とする請求項1記載のゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記樹脂が、ゼラチン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコールからなる群から選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記ゴムラテックスがジエン系ゴムラテックスであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
- 前記湿式カプセル化法が、界面重合法、in situ重合法、コアセルべーション法又は液中乾燥法であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法により製造されたゴムマスターバッチ。
- 請求項6に記載のゴムマスターバッチを配合してなるゴム組成物。
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JP2016149973A (ja) * | 2015-02-17 | 2016-08-22 | 住友ゴム工業株式会社 | ラテックスの採取方法、キク科に属する植物の栽培方法、空気入りタイヤの製造方法及びゴム製品の製造方法 |
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-
2010
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