JP6625870B2 - ウエットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物の製造方法及び空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

ウエットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物の製造方法及び空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウエットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物の製造方法及び空気入りタイヤの製造方法に関するものである。
従来、補強性充填剤を含むウエットマスターバッチを用いたゴム組成物は、補強性充填剤とゴム成分を乾式混合して得たゴム組成物と比べて発熱性を低減できることが知られていた。しかし、ウエットマスターバッチはムーニー粘度が高く、他の添加剤を添加し混合するゴム混練工程の際に、混合不良を起こすため、場合によってはゴム混練工程の前に、素練りを行い、ムーニー粘度を予め下げることが必要となるなど、加工性に問題があった。
特許文献1には、ヒドラジド化合物を配合することにより、ウエットマスターバッチの経時的な粘度低下及び初期粘度の上昇を改善できることが開示されているが、ヒドラジド化合物を初期粘度の上昇を改善できる量で添加した場合、ウエットマスターバッチを用いたゴム組成物の発熱性に問題があり改良の余地があった(特許文献1の実施例4,5,12,13参照)。
なお、本発明に係るヒドラジン化合物はいずれも、特許文献1には開示されていないものである。
特開2010−270200号公報
本発明は、以上の点に鑑み、ウエットマスターバッチのムーニー粘度を低減し、ウエットマスターバッチを用いたゴム組成物の発熱性をさらに低減することができるウエットマスターバッチの製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るウエットマスターバッチの製造方法は、補強性充填剤を含有するスラリー溶液とゴムラテックス溶液を、同一の混合容器に仕込んだ後、混合し凝固させて補強性充填剤含有ゴム凝固物を製造する凝固工程と、補強性充填剤含有ゴム凝固物を脱水し可塑化する脱水・可塑化工程を含み、脱水・可塑化工程において、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種のヒドラジン化合物を添加することを特徴とするものである。
Figure 0006625870
式中、R1〜R3は、それぞれ独立して選ばれる水素原子又は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R4は、直鎖状又は分岐状のアルキリデン基を示し、R5は、水素原子又は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。
当該ヒドラジン化合物としては、2−ヒドラジノベンゾチアゾール及び/又はアセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾンを好ましく用いることができる。
ヒドラジン化合物の配合量は、ウエットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部とすることができる。
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、上記ウエットマスターバッチに対して、加硫剤を添加する工程を有するものとする。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、上記ゴム組成物の製造方法により得られたゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程と、得られた未加硫タイヤを加硫成形する工程を有するものとする。
本発明によれば、ウエットマスターバッチのムーニー粘度を低減し、ウエットマスターバッチを用いたゴム組成物の発熱性をさらに低減することができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係るウエットマスターバッチの製造方法は、補強性充填剤を含有するスラリー溶液とゴムラテックス溶液を、同一の混合容器に仕込んだ後、混合し凝固させて補強性充填剤含有ゴム凝固物を製造する凝固工程と、補強性充填剤含有ゴム凝固物を脱水し可塑化する脱水・可塑化工程を含み、脱水・可塑化工程において、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種のヒドラジン化合物を添加することを特徴とするものである。
Figure 0006625870
スラリー溶液の調製(スラリー微分散工程)は、公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されないが、例えば、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、フラッシュブレンドなどの一般的な混合機を使用して補強性充填剤を分散溶媒中に分散させる方法が挙げられる。具体的には、上記のような混合機を使用し、分散溶媒中に補強性充填剤を添加し、撹拌する方法や、補強性充填剤を分散溶媒中に分散させる際に、後述するゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着した補強性充填剤を含有するスラリー溶液を調製する方法などが挙げられる。混合の際には、必要に応じて、混合機などの混合系全体を加温してもよい。
ゴムラテックス粒子が付着した補強性充填剤を含有するスラリー溶液を調製する方法としては、ゴムラテックス溶液が存在する状態で、分散溶媒中に補強性充填剤を分散させればよく、特に限定されないが、例えば、ゴムラテックス溶液を、あらかじめ分散溶媒と混合した後、補強性充填剤を添加し、分散させてもよく、分散溶媒中に補強性充填剤を添加し、次いで所定の添加速度で、あるいは、何回かに分けて、一定量のゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中で補強性充填剤を分散させてもよい。
スラリー中における補強性充填剤の濃度は特に限定されないが、1〜20質量%であることが好ましい。
補強性充填剤としては、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることが好ましい。すなわち、補強性充填剤は、カーボンブラック単独でも、シリカ単独でも、カーボンブラックとシリカの併用でもよい。好ましくは、カーボンブラック、又はカーボンブラックとシリカの併用である。補強性充填剤の配合量は、特に限定されず、例えばウエットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量部であり、さらに好ましくは30〜80質量部である。
上記カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができる。カーボンブラックの配合量としては、ウエットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、10〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量部である。補強性充填剤中のカーボンブラックの割合は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
シリカとしても、特に限定されないが、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカが好ましく用いられる。シリカを配合する場合、その配合量としては、ゴムのtanδのバランスや補強性などの観点からウエットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。
分散溶媒としては、水であることが好ましく、有機溶媒を含有する水であってもよい。
ゴムラテックス溶液の調製(ゴムラテックス溶液の濃度調整工程)は、公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されないが、例えば、常温でゴムラテックスに対して、水を加えることにより、ゴム成分の固形分濃度(DRC(Dry Rubber Content))を所望の値に、調整することができる。
ゴムラテックスとしては、特に限定されず、天然ゴムラテックスや合成ゴムラテックスを好ましく用いることができるが、溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液であってもよい。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックスでもよく、あるいは、フィールドラテックスを遠心分離などの公知の濃縮法により蛋白質を除去するなどして濃縮した濃縮ラテックスでもよい。また、合成ゴムラテックスとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)などのジエン系ゴムの他、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどの各種ゴムポリマーが、水などの水系溶媒に分散してなるラテックスが挙げられ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、好ましくはジエン系ゴムラテックスを用いることである。ゴムラテックス溶液中におけるDRCは、特に限定されないが、一般には10〜70質量%である。
ゴムラテックス溶液とスラリー溶液は、凝固工程において、同一の混合容器に仕込んだ後、混合し、凝固させる。
ゴムラテックス溶液とスラリー溶液の混合は、公知の混合機を用いて行うことができ、特に限定されないが、例えば、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、スーパーミキサーなどの一般的な混合機を使用して混合する方法が挙げられる。必要に応じて、混合の際に混合機などの混合系全体を加温してもよい。具体的には、上記のような混合機を使用し、混合機中でスラリー溶液を撹拌しながらゴムラテックス溶液を滴下する方法や、ゴムラテックス溶液を撹拌しながらスラリー溶液を滴下する方法などを用いて、ゴムラテックス溶液とスラリー溶液を混合することができる。
凝固は公知の方法を用いて行うことができ、例えば、凝固剤として酸や塩を用いて凝固させてもよく、あるいは凝固剤を添加せずに凝固がなされるものであってもよい。酸としては、特に限定されないが、例えば、有機酸や無機酸が挙げられ、ギ酸、硫酸を好ましく用いることができる。また、塩としては、例えば、有機塩や無機塩が挙げられ、塩化ナトリウムを好ましく用いることができる。
凝固させた後、凝固したゴム凝固物を固液分離工程において、水中から取り出し、補強性充填剤を含有するゴム凝固物を得ることができる。
脱水・可塑化工程としては、公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されないが、脱水機として、遠心分離機やスクリュー押出機等を用いることができる。例えば、スクリュー押出機を使用した場合、脱水しつつ、可塑化することが可能である。また、この際、脱水条件(スクリュー温度、圧縮比等)を調整することで、乾燥を併せて行うことも可能である。すなわち、脱水・可塑化工程とは、凝固工程において得られたゴム凝固物を脱水し、可塑化する工程であり、併せて乾燥を行ってもよい。具体的には、凝固工程において得られたゴム凝固物とヒドラジン化合物をスクリュー押出機に投入し、脱水・可塑化することにより、ウエットマスターバッチを得ることができる。ここで、可塑化とは、熱と、剪断力を加えることにより、ゴム凝固物を柔軟にすることである。
なお、脱水機として、スクリュー押出機以外の脱水機、例えば、遠心分離機などを用いた場合、乾燥や可塑化は行われず、別の工程として可塑化を行う必要がある。この際、可塑化のみ行ってもよく、可塑化と併せて乾燥を行ってもよく、可塑化と乾燥を別の工程で行ってもよい。
可塑化は、公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されないが、上記のようにスクリュー押出機を用いてもよく、バンバリーミキサー等の混練機によって混練することで行ってもよい。この際、可塑化条件(スクリュー温度、圧縮比等)を調整することで、乾燥を併せて行うことも可能である。
乾燥は、公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されないが、スクリュー押出機などを用いて、乾燥と可塑化を併せて行ってもよく、真空乾燥機やエアドライヤーなどの通常の乾燥機を用いて、乾燥のみ行ってもよい。
上述の通り、脱水、可塑化は同一の工程で行ってもよく、別の工程に分けて行ってもよい。また、併せて乾燥を行う場合、脱水、乾燥、可塑化は全て同一の工程で行ってもよく、脱水と乾燥を同一の工程で行い、可塑化を別の工程で行ってもよく、脱水を行い、乾燥と可塑化を脱水とは別の同一の工程で行ってもよく、それぞれ別の工程で行ってもよい。
ヒドラジン化合物の添加は、脱水・可塑化工程において行われれば、特に限定されないが、ゴム凝固物の含水率が1〜70質量%である時に添加することが好ましく、10〜60質量%である時に添加することがより好ましく、20〜60質量%である時に添加することがさらに好ましい。脱水・可塑化工程より前に、ヒドラジン化合物を添加すると、凝固工程や、固液分離工程の際に、ゴム凝固物にヒドラジン化合物が取り込まれず、水中に流れ出てしまい、効果が得られないと考えられる。また、ゴム凝固物の含水率が1〜70質量%である時にヒドラジン化合物を添加することにより、ヒドラジン化合物の分散性が向上し、ヒドラジン化合物による効果に優れると考えられる。
本実施形態で用いる上記ヒドラジン化合物において、上記式(1)で表される化合物は、ベンゾチアゾールとヒドラジンが結合した基本骨格を持つヒドラジン化合物である。上記式(1)中のR1〜R3は、それぞれ独立に選ばれる水素原子又は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、又はn−ペンチル基等が挙げられる。
上記式(1)で表されるヒドラジン化合物としては、特に限定されないが、例えば下記式で表される2−ヒドラジノベンゾチアゾールを好ましく用いることができる。
Figure 0006625870
上記式(2)で表される化合物は、ベンゾチアゾールとヒドラゾンが結合した基本骨格を持つヒドラジン化合物である。上記式(2)中のR4は、直鎖状又は分岐状のアルキリデン基を示す。アルキリデン基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜5のアルキリデン基であることが好ましく、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキリデン基の具体例としては、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基、プロパン−2−イリデン基、ブチリデン基等が挙げられる。R5は、水素原子又は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3である。アルキル基の具体例は、上記式(1)中のR1〜R3と同じである。
上記式(2)で表されるヒドラジン化合物としては、特に限定されないが、例えば下記式で表されるアセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾンを好ましく用いることができる。
Figure 0006625870
上記式(1)又は(2)で表されるヒドラジン化合物は、いずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
ヒドラジン化合物を、脱水・可塑化工程において添加することにより、ムーニー粘度を低減することができるが、その理由は次のように考えられる。すなわち、可塑化の際に、熱をかけながら、ゴム凝固物を剪断することで、ゴム成分の分子鎖が切れるが、その際にヒドラジン化合物が分子鎖の切断を促進して、ムーニー粘度が下がると考えられる。
また、ヒドラジン化合物を配合することにより、発熱性を低減することができるが、その理由は次のように考えられる。すなわち、このヒドラジン化合物中のベンゼン環が、補強性充填剤と相互作用し(例えば、カーボンブラック中のカーボンのグラファイト構造と相互作用し)、またベンゼン環とは反対に位置するヒドラジン又はヒドラゾンが、混練り中に発生したゴム成分中のポリマーラジカルと反応し、ポリマーと補強性充填剤をつなぎ合わせることで、ポリマーの分子運動を抑制し、発熱性を低減できるものと考えられる。
当該ヒドラジン化合物の配合量(2種以上併用する場合は合計量)は、特に限定されないが、ウエットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることがさらに好ましい。0.1質量部以上であればムーニー粘度及び発熱性の低減効果に優れ、5質量部以下であれば、ムーニー粘度及び発熱性の十分な低減効果が得られ、コスト面からもデメリットは生じないからである。
本実施形態に係るウエットマスターバッチの製造方法により得られるウエットマスターバッチは、タイヤ用ゴム組成物等、各種ゴム組成物に配合して用いることができる。
本実施形態に係るゴム組成物には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているプロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。また、ゴム成分や補強性充填剤をさらに追加してもよい。
追加するゴム成分として用いられるジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種を単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。上記ゴム成分は、好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、又はこれらの2種以上のブレンドである。
ジエン系ゴムとしては、上記で列挙したものの分子末端又は分子鎖中において、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、チオール基、スズ含有基、及びハロゲンからなる群から選択された少なくとも1種の官能基が導入されることで、当該官能基により変性された変性ジエン系ゴムを用いてもよい。
ゴム組成物中に含まれるゴム成分のうち、ウエットマスターバッチ由来のゴム成分の割合は、特に限定されないが、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
また、追加する補強性充填剤としては、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることが好ましい。すなわち、補強性充填剤は、カーボンブラック単独でも、シリカ単独でも、カーボンブラックとシリカの併用でもよい。好ましくは、カーボンブラック、又はカーボンブラックとシリカの併用である。
補強性充填剤を追加する場合、その配合量(ウエットマスターバッチ由来の配合量と追加分の配合量の合計量)は、特に限定されず、例えばゴム組成物中に含まれるゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量部であり、さらに好ましくは30〜80質量部である。
カーボンブラックの配合量(ウエットマスターバッチ由来の配合量と追加分の配合量の合計量)としては、ゴム組成物中に含まれるゴム成分100質量部に対して、10〜80質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量部である。補強性充填剤中のカーボンブラックの割合は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
シリカを配合する場合、その配合量(ウエットマスターバッチ由来の配合量と追加分の配合量の合計量)としては、ゴムのtanδのバランスや補強性などの観点からゴム組成物中に含まれるゴム成分100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。
ゴム組成物中に含まれる補強性充填剤のうち、ウエットマスターバッチ由来の補強性充填剤の割合は、特に限定されないが、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
上記加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄成分が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はゴム組成物中に含まれるゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ゴム組成物中に含まれるゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
当該ゴム組成物の製造方法は、上記ウエットマスターバッチの製造方法により得られたウエットマスターバッチに対して、加硫剤を添加する工程を有するものとすることができる。詳細には、ゴム混練工程において、加硫剤を添加し、常法に従い混練することにより作製することができ、例えば、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、ゴム混練工程の第一混合段階(ノンプロ練り工程)で、ヒドラジン化合物と補強性充填剤を含有するウエットマスターバッチに対し、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加して混練し、次いで、得られた混合物に、ゴム混練工程の最終混合段階(プロ練り工程)で加硫剤及び加硫促進剤を添加して混練することにより、ゴム組成物を調製することができる。
当該ゴム組成物の製造方法により得られたゴム組成物は、乗用車用、トラックやバスの大型タイヤなど各種用途、サイズの空気入りタイヤのトレッド部、サイドウォール部、ビード部、タイヤコード被覆用ゴムなどタイヤの各部位に適用し、空気入りタイヤの作製に用いることができる。
当該空気入りタイヤの製造方法は、上記ゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程と、得られた未加硫タイヤを加硫成形する工程を有するものとすることができる。すなわち、常法に従い、例えば、押出加工によってゴム組成物を、所定の形状に成形し、他の部品と組み合わせて、未加硫タイヤを作製し、得られた未加硫タイヤを例えば140〜180℃で加硫成形することにより、空気入りタイヤを作製することができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、スラリー微分散工程において、シルバーソン社製撹拌機フラッシュブレンド(フラッシュブレンドの条件:3600rpm、30min)を使用し、水中にカーボンブラックを添加し分散させることにより、カーボンブラックの濃度が5質量%のスラリー溶液を得た。
なお、比較例7、実施例9,10においては、0.5質量%に調整した希薄ラテックス溶液に対して、カーボンブラック50質量部を添加し、次いで50℃に保持しながらシルバーソン社製撹拌機フラッシュブレンド(フラッシュブレンドの条件:3600rpm、30min)を使用してカーボンブラックを分散させることにより、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を得た。
次いで、下記表1,2に示す配合(質量部)に従い、凝固工程(温度=90℃)において、カワタ社製混合機(スーパーミキサーSMV−20)を使用し、ゴムラテックス溶液とスラリー溶液を混合し、pHが4となるまで、凝固剤を添加し、凝固させた。その後、固液分離工程において、凝固した補強性充填剤を含有するゴム凝固物を取り出した。
なお、比較例7、実施例9,10において、ゴムラテックス溶液(固形分)の配合量は、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液に含まれるゴムラテックスの固形分とゴムラテックス溶液の固形分の合計量が、表2に示す配合量(質量部)となるようにした。
凝固剤としては、下記のものを用いた。
・凝固剤:ナカライテスク(株)製「ギ酸(85質量%、一級)」を10質量%溶液に希釈し、pH1.2に調整した。
次いで、脱水・可塑化工程(温度=200℃)として、スクリュー押出機であるスクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM製V―02型)を使用し、得られたゴム凝固物とヒドラジン化合物を脱水機の材料投入口からベルトフィダーを用いて一定速度で投入し、含水率が1.5質量%以下になるまで脱水し、乾燥し、可塑化することにより、ウエットマスターバッチを得た。
なお、比較例6においては、凝固工程において、ヒドラジン化合物を添加した。
また、比較例2〜4においては、バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、天然ゴム(NR)とカーボンブラックとヒドラジン化合物を乾式混合し(排出温度=160℃)、ドライマスターバッチを得た。
次いで、バンバリーミキサーを使用し、下記表1,2に示す配合(質量部)に従い、まず、第一混合段階で、得られたウエットマスターバッチ又はドライマスターバッチと、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。
表1,2中の各成分の詳細は以下の通りである。
・ゴムラテックス溶液:ゴムラテックスとして天然ゴムラテックス(Golden Hope社製「フィールドラテックス」DRC=31.2質量%、質量平均分子量Mw=23.2万)を使用し、DRCが25質量%になるように、常温で水を加えて濃度を調整した。
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・ヒドラジン化合物A:東京化成工業(株)製「2−ヒドラジノベンゾチアゾール」
・ヒドラジン化合物B:東京化成工業(株)製「アセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾン」
・ヒドラジド化合物:東京化成工業(株)製「2,2−ジメチルプロピオン酸ヒドラジド」
・NR:RSS#3
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「1号亜鉛華」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・ワックス:日本精蝋(株)「OZOACE0355」
・老化防止剤A:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・老化防止剤B:大内新興化学工業(株)製「RD」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーNS−P」
得られたウエットマスターバッチについてはムーニー粘度を、ゴム組成物については発熱性を評価した。評価方法は次の通りである。
・ムーニー粘度:JIS K6300に準拠して、(株)東洋精機製作所製ロータレスムーニー測定機を用い、ウエットマスターバッチを100℃で1分間予熱後、4分後のトルク値をムーニー単位で測定した値であり、表1においては比較例1の値を100とし、表2においては比較例7の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを示す。なお、比較例2〜4においては、ドライマスターバッチについて測定した。
・発熱性:JIS K6394に準拠して、UBM社製レオスペクトロメーターE4000を使用し、150℃×30分で加硫した試験片について、温度80℃、静歪み10%、動歪み2%、周波数50Hzの条件で損失係数tanδを測定し、表1においては比較例1の値を100とし、表2においては比較例7の値を100とした指数で表示した。指数が小さいほどtanδが小さく、発熱性が低いため低燃費性に優れることを示す。
Figure 0006625870
Figure 0006625870
結果は、表1、2に示す通りであり、比較例1〜6と実施例1〜8との対比より、ウエットマスターバッチの製造方法の脱水・可塑化工程において、上記ヒドラジン化合物を添加して得られたウエットマスターバッチを使用することにより、ウエットマスターバッチのムーニー粘度の低減効果、及びウエットマスターバッチを用いたゴム組成物の発熱性をさらに低減する効果が認められた。
また、比較例7と実施例9、10との対比より、スラリー溶液として、希薄ラテックス溶液を添加し得られた、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を使用した実施例9、10においても、同様にムーニー粘度及び発熱性の低減効果が認められた。
本発明は、タイヤ用ゴム組成物等、各種ゴム組成物に配合して用いられるウエットマスターバッチを製造するのに好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. 補強性充填剤を含有するスラリー溶液とゴムラテックス溶液を、同一の混合容器に仕込んだ後、混合し凝固させて補強性充填剤含有ゴム凝固物を製造する凝固工程と、
    前記補強性充填剤含有ゴム凝固物を脱水し可塑化する脱水・可塑化工程を含み、
    前記脱水・可塑化工程において、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種のヒドラジン化合物を添加することを特徴とするウエットマスターバッチの製造方法。
    Figure 0006625870
    (式中、R1〜R3は、それぞれ独立に選ばれる水素原子又は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R4は、直鎖状又は分岐状のアルキリデン基を示し、R5は、水素原子又は直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示す。)
  2. 前記ヒドラジン化合物が、2−ヒドラジノベンゾチアゾール及び/又はアセトンベンゾチアゾリル−2−ヒドラゾンであることを特徴とする請求項1に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  3. ウエットマスターバッチ中のゴム成分100質量部に対して、前記ヒドラジン化合物の配合量が0.1〜5質量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のウエットマスターバッチの製造方法により得られたウエットマスターバッチに対して、加硫剤を添加する工程を有するゴム組成物の製造方法。
  5. 請求項4に記載のゴム組成物の製造方法により得られたゴム組成物を用いて未加硫タイヤを作製する工程と、
    得られた未加硫タイヤを加硫成形する工程を有する、空気入りタイヤの製造方法。
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