JP2012124340A - 太陽電池モジュール用封止材組成物及びそれを用いた封止材シート - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係る太陽電池モジュール用封止材組成物の代表的な構成は、シロキサン系化合物とベース樹脂とを必須とし、他に架橋剤や架橋助剤を含有する系であるが、本発明の特徴は、シロキサン系化合物にあるので、まず、シロキサン系化合物について説明し、以下、その他の成分について説明する。
本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物に含まれるシロキサン系化合物は、下記一般式のオリゴマータイプのシロキサン化合物系化合物を含有することを特徴とする。上記オリゴマータイプのシロキサン化合物系化合物は、一般式からも明らかなように、その両末端にメトキシ基を有し、かっこ内に示した特定の繰り返し単位を有するオリゴマーである。
太陽電池モジュール用封止材組成物に含まれるベース樹脂は、例えばポリオレフィン樹脂であり、オレフィンモノマーから構成されるものであれば特に制限されるものではない。したがって、ポリオレフィン系樹脂には、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)の他、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等も含まれるが、上記のように、特に疎水性のポリエチレン樹脂において優れた効果を奏するので、以下、本発明に使用できる低密度ポリエチレンについて説明する。
本発明においては密度が0.940以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いる。直鎖低密度ポリエチレンはエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、本発明においては、その密度が0.940g/cm3以下の範囲内、好ましくは0.900g/cm3以下の範囲内、より好ましくは0.870〜0.890g/cm3の範囲である。この範囲であれば、太陽電池モジュール用封止材とガラス等の透明前面基板との密着性が高まり、透明前面基板の端面からの水分の浸入を抑えることができる。
架橋剤は公知のものが使用でき、特に限定されるものではなく、例えば公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルパーオキシ‐2‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、または、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。架橋剤の含有量としては、組成物中に0.01質量%〜2質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量%〜1.5質量%の範囲である。
本発明においては、好ましくは炭素−炭素二重結合及び/またはエポキシ基を有する多官能モノマー、より好ましくは多官能モノマーの官能基がアリル基、(メタ)アクリレート基、ビニル基である。これによって適度な架橋反応を促進させて太陽電池モジュール用封止材とガラス等の透明前面基板との密着性を向上させているとともに、本発明においては、この架橋助剤が直鎖低密度ポリエチレンの結晶性を低下させ透明性を維持する。これによって、太陽電池モジュール用封止材とガラス等の透明前面基板との密着性のみならず、
透明性と低温柔軟性に優れる太陽電池モジュール用封止材を得ることができ、具体的にはEVAと上記密着性とともに同程度の透明性や低温柔軟性を得ることができる。
本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物においては、ラジカル重合開始剤となる上記の架橋助剤と、それをクエンチするラジカル吸収剤とを併用することにより、架橋の程度を調整することができる。このようなラジカル吸収剤としては、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤や、ヒンダードアミン系の耐候安定化などが例示できる。架橋温度付近でのラジカル吸収能力が高い、ヒンダードフェノール系のラジカル吸収剤が好ましい。ラジカル吸収剤の使用量は、組成物中に0.01質量%〜3質量%含まれることが好ましく、より好ましくは0.05質量部〜2.0質量部の範囲である。この範囲内であれば適度に架橋反応を抑制し、透明基板と太陽電池モジュール用封止材の密着性を向上させることができる。
太陽電池モジュール用封止材組成物には、さらにその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の太陽電池モジュール用封止材組成物から作製された封止材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用封止材組成物中に0.001〜5質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用封止材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
次に、本発明の太陽電池モジュール用封止材及びそれを用いた太陽電池モジュールの一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面封止材3、太陽電池素子4、背面封止材5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、少なくとも前面封止材3として、本発明の太陽電池モジュール用封止材(以下単に「封止材シート」ともいう)を使用する。
<封止材シートの製造>
下記表1の組成の組成物を混合して溶融し、常法Tダイ法により厚さ460から480μmとなるように成膜して太陽電池モジュール用の未架橋の単層の封止材シートを得た。成膜温度は90℃〜100℃とした。
LLDPE1:エチレンと1−ヘキセンとの共重合体であり、密度0.88g/cm3、190℃でのメルトマスフローレート(MFR)30g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。ポリスチレン換算の数平均分子量53000。
LLDPE2:エチレンと1−ヘキセンとの共重合体であり、密度0.88g/cm3、190℃でのメルトマスフローレート(MFR)8g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。ポリスチレン換算の数平均分子量77000。
架橋剤(TBEC):t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(アルケマ吉富株式会社製、商品名ルペロックスTBEC)
架橋助剤(TAIC):トリアリルイソシアヌレート(Statomer社製、商品名SR533)
UV吸収剤A:チバ・ジャパン株式会社製、商品名CHIMASSORB81
UV吸収剤B:ケミプロ化成株式会社製、商品名KEMISORB102
耐候安定剤A:チバ・ジャパン株式会社製、商品名Tinuvin770
耐候安定剤B:ADEKA株式会社製、商品名Adekastab LA−81
酸化防止剤:チバ・ジャパン株式会社製、商品名Irganox1076
シランカップリング剤A(SC剤A):信越化学工業株式会社製、商品名KBM1003
シランカップリング剤B(SC剤B):信越化学工業株式会社製、商品名KBM503
シロキサン系化合物C(SC剤C、上記一般式におけるRがメタクリロキシ基):信越化学工業株式会社製、商品名X−40−2655A、数平均分子量610
シロキサン系化合物D(SC剤D、上記一般式におけるRがメタクリロキシ基):信越化学工業株式会社製、商品名X−40−9272B、数平均分子量620
シロキサン系化合物E(SC剤E、上記一般式におけるRがビニル基):信越化学工業株式会社製、商品名X−40−9270
次に、これらの未架橋の太陽電池モジュール用封止材を120℃、真空加熱ラミネータで処理した後、150℃オーブンで30分加熱架橋を行ない、それぞれの実施例及び比較例について架橋後の太陽電池モジュール用封止材を得た。この架橋後の太陽電池モジュール用封止材について、下記の試験条件におけるガラス密着維持率を評価した。その結果をまとめて表2に示す。
ガラス密着サンプル作製方法:ガラス基板(白板フロート半強化ガラス JPT3.2 75mm×50mm×3.2mm)に封止材を上記方法(57段落)で密着させる。
剥離試験方法:ガラス基板上に密着している封止材を15mm幅にカットし、剥離試験機(テンシロン万能試験機 RTF−1150−H)にて垂直剥離(50mm/min)試験を行いガラス密着強度を測定する。
耐久試験方法:SUV照射前を初期ガラス密着強度とし、SUV照射後のガラス密着強度の初期剥離強度に対しての維持率を測定する。SUV照射はアイ スーパー UVテスターSUV−W151を用いて温度63℃、湿度50%の環境下で照度100m/cm2で行い、照射時間は49時間とした。
2 透明前面基板
3 前面封止材
4 太陽電池素子
5 背面封止材
6 裏面保護シート
Claims (5)
- 前記一般式中、Rがメタクリロキシ基、アクリロキシ基、ビニル基、アクリル基から選ばれるいずれかである請求項1記載の太陽電池モジュール用封止材組成物。
- 前記シロキサン系化合物と、密度0.940g/cm3以下の低密度ポリエチレン樹脂と、架橋剤と、架橋助剤と、を含有する請求項1又は2記載の太陽電池モジュール用封止材組成物。
- 請求項1から3いずれか記載の太陽電池モジュール用封止材組成物からなる単層の封止材シート、又は、該太陽電池モジュール用封止材組成物からなる密着強化層を備える多層の封止材シートであって、前記多層の封止材シートの場合に前記密着強化層が最外層に設けられている太陽電池モジュ−ル用の封止材シート。
- 請求項4記載の単層の封止材シートと、ガラス基板と、が積層されているか、又は、請求項4記載の多層の封止材シートにおける密着強化層と、ガラス基板と、が対向するように積層されている太陽電池モジュール。
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