JP2012124019A - 平板型固体電解質燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メッシュ部32は波状に形成された金属薄板で構成され、メッシュ部32の山部34または谷部35をアノードまたはカソードに接触する接触面とし、山部34と谷部35とを接続する接続部36に燃料ガスまたは酸化剤ガスが通流するガス流路用の貫通孔38を設け、燃料ガスまたは酸化剤ガスは、貫通孔38を介してメッシュ部32の山部34の延長方向に交差する方向に流通可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
さらに、燃料電池の全面に対して圧力が均一に分散されるため、燃料電池の耐久性を向上させることができる。
(第1実施形態)
(燃料電池スタック)
図1は実施形態における燃料電池の分解斜視図であり、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態の燃料電池スタック10(以下、燃料電池10という)は、セラミックス系の平板型固体電解質膜(以下、電解質膜という)をアノードとカソードとで両側から挟み込んで形成されたセル11と、隣り合うセル11の間に配置される中間部材21と、を備えている。これらセル11及び中間部材21が厚さ方向に沿って交互に積層されて、平面視矩形状の燃料電池10が構成されている。
中間部材21は、セル11のカソード側に配置されるカソード中間部材21aと、アノード側に配置されるアノード中間部材21bと、を備えている。
ガスケット23は、マイカ等により構成された矩形平板状のものであり、その中央部には厚さ方向に沿って貫通する矩形状の貫通孔24が形成されている。すなわち、ガスケット23は、矩形の額縁形状に形成されたシール部29を有している。ものである。
セパレータ22は、矩形平板状の部材であり、面内方向中央部に形成されたメッシュ部32と、メッシュ部32の外側を取り囲む金属部材33とが一体的に形成されたものである。
図1〜図3に示すように、まず金属部材33は、ガスケット23に挟み込まれるシール面を有している。そして、金属部材33の各辺には、セル11の各連通孔12〜15に重なるように金属部材33を厚さ方向に貫通する酸化剤ガス連通孔41、酸化剤排ガス連通孔42、燃料ガス連通孔43、及び燃料排ガス連通孔44がそれぞれ形成されている。
また、金属部材33における酸化剤ガス連通孔41から酸化剤排ガス連通孔42に向かう方向(以下、酸化剤ガスの流通方向Caという)に対向する辺には、外側に向けて突出する端子部39が形成されている。
また、山部34及び谷部35は、その延長方向(稜線方向)を後述する燃料ガス連通孔43から燃料排ガス連通孔44に向かう方向(以下、燃料ガスの流通方向Anという)と一致させた状態で、互いに平行に延在している。
図1〜図4に示すように、アノード中間部材21bにおけるメッシュ部32は、その頂面を構成する複数の山部34及び谷部35と、これら山部34及び谷部35を接続する接続部36と、を有している。山部34及び谷部35は、燃料ガスの流通方向Anに沿って交互に配列されている。また、山部34及び谷部35は、その延長方向(稜線方向)を酸化剤ガスの流通方向Caと一致させた状態で、互いに平行に延在している。すなわち、本実施形態では、カソード中間部材21aのセパレータ22と、アノード中間部材21bのセパレータ22と、の山部34及び谷部35の延長方向がセル11を間に挟んで直交するように配置されている。そして、一方の中間部材21のセパレータ22における山部34と、他方の中間部材21のセパレータ22における谷部35と、によりセル11が厚さ方向両側から挟持されている。この場合、セル11を間に挟んで山部34と谷部35との接触領域(重なる部分)を交差領域Kとしている。
一方、燃料電池10の積層方向一端側には、図示しない燃料ガスの燃料ガス供給手段が配置され、燃料ガス供給手段から供給される燃料ガスが燃料ガス連通路54を通ってアノード中間部材21bと対向するセル11のアノードとで囲まれた空間に供給される。すなわち、アノード中間部材21bと対向するセル11のアノードとで囲まれた空間は、アノードの面内に沿って燃料ガスが流通する燃料ガス流路57を構成している。
これは本実施形態で用いるセラミック系のセル11は、機械的に弱く、セル11面内における温度不均一による応力によって破壊され易いためである。さらにセル11の熱伝導率は2(W/m・K)程度と比較的低く、温度不均一になり易い特性を有している。この場合、中間部材21に耐熱ステンレス(使用可能温度750℃程度)を用いると、熱伝導率がセラミックよりも大きいため温度不均一を緩和する効果がある。ところが、耐熱ステンレスの熱伝導率は26(W/m・K)と金属材料の中では小さいため、燃料電池10を運転可能温度に予熱する際に温度不均一が生じないように長い時間をかけて加熱しなければならない。
具体的に、複合材料は、熱伝導率が約2000(W/m・K)である高熱伝導率材料として、黒鉛の結晶を銅の中に配合したものであり、その配合割合によって熱膨張係数は7〜17×10−6となるため、セル11(セラミッ)の11×10−6と一致させることが可能である。この場合、複合材料の熱伝導率は500(W/m・K)と耐熱ステンレスに比べて約20倍であり、温度差の減少作用によりセル11の破壊を抑制できるので、加熱時間を大幅に短縮することができる。
また、銅または銅合金は、その熱伝導率がステンレスに比べて15倍の390(W/m・K)であるため、温度差減少効果で加熱時間を短縮することができる。ただし、熱膨張係数が17.7程度とセル11に比べて大きいため、熱膨張差を吸収するためにセル11と中間部材21との間に平面シール構造及び位置決め構造が必要となる。
なお、銅合金の使用可能温度は燃料電池10の作動温度よりも高い(700℃程度)ため、中間部材21としてそのまま使用可能である。一方で、銅及び複合材料の使用可能温度は燃料電池10の作動温度よりも低い(470℃程度)ため、表面に銀やニッケル、金等のメッキや、ニッケルによるクラッド等の耐酸化処理を施す必要がある。
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、図1に示す燃料電池10を所定温度に加熱しつつ、酸化剤ガス供給手段から酸化剤ガスを供給し、燃料ガス供給手段から燃料ガスを供給する。
酸化剤ガス供給手段から供給された酸化剤ガスは、燃料電池10に形成された酸化剤ガス連通路52を流通し、切欠き部31から酸化剤ガス流路56内に流入する。図5に示すように、酸化剤ガス流路56に流入した酸化剤ガスは、カソードの面内を酸化剤排ガス連通孔26に向けて流通する。すなわち、酸化剤ガスは、接続部36に形成された貫通孔38を通って、メッシュ部32の山部34及び谷部35の配列方向(山部34及び谷部35の延長方向に直交する方向)に沿って流通する。この際に、酸化剤ガスは、山部34及び谷部35の貫通孔37を通って対向するセル11のカソードに到達する。
一方、燃料ガス流路57内を流通する燃料ガスがアノードに到達すると、アノードに到達した燃料ガスと、アノードまで移動した酸化物イオンとが結合する。この反応過程において、電子を放出することで発電が行われる(H2+O2−→H2O+2e−)。
この構成によれば、従来のようにメッシュや発泡金属により集電部材を形成する場合と異なり、セル11との接触が点接触ではなく線接触または面接触となるため、セル11との接触面積を向上させることができる。そのため、セパレータ22の電気抵抗を低減させ、燃料電池10で発電された電力を効率的に集電できる。この場合、セル11との接触面積を向上させるために、燃料電池10の積層方向に沿って大きな圧力を負荷する必要もないので、セル11の要求強度を低下させて薄型化及び軽量化を実現できる。そして、セル11を薄型化することで、セル11の電気抵抗を低下させ、発電効率を向上させることができる。さらに、セル11を薄型化することで、熱容量を低下させることができるので、加熱時間を短縮させ、燃料電池10の起動を速やかに行うことができる。
さらに、セル11の全面に対して圧力が均一に分散されるため、燃料電池10の耐久性を向上させることができる。
この構成によれば、反応ガスの流路内において反応ガスのガス流れに適度な抵抗を与えることができる。すなわち、メッシュや発泡金属等に反応ガスを流通させる場合に比べて流路抵抗を少なく、また山部34及び谷部35の延長方向に沿って反応ガスを流通させる場合に比べて流路抵抗を多くすることができる。よって、反応ガスの素通りを少なくして、セル11の全域に亘って反応ガスを行渡らせることができる。したがって、反応ガスの利用率を向上させ、燃料電池10の発電効率を向上させることができる。
また、酸化剤ガスと燃料ガスの出入口(連通孔12〜14,25〜28,41〜44)、及びカソード中間部材21aとアノード中間部材21bとの端子部39を、燃料電池10の積層方向回りに90度異ならせることができるので、レイアウト性を向上させることができ、構成の簡素化を図ることができる。
さらに、本実施形態の燃料電池10では、隣り合うセル11において、同極を対向させた状態で積層することで、これセル11間で囲まれた領域を反応ガスの流路56,57とすることができる。そのため、異なる電極を対向させた状態でセル11を積層させる場合と異なり、電極間を区画する必要がないので、各流路を拡大できる。さらに、反応ガスの流路56,57の両面で発電を行うことができるので、通路断面積に対する反応面積を増加させることができる。また、隣り合うセルに対して、同様の条件で反応ガスを供給することができるため、セル11間での発電効率の均一化を図ることができる。これにより、燃料利用率を向上させ、高効率な燃料電池10を提供できる。
図6は、本発明の変形例におけるメッシュ部の斜視図である。なお、図6では、説明を分かりやすくするため、上述した中間部材21のうち、メッシュ部32のみを示している。
上述した実施形態では、メッシュ部32を矩形波状に屈曲形成した場合について説明したが、これに限らず、図6に示すような湾曲面が連続してなる波状等、適宜設計変更が可能である。具体的に、図6に示すメッシュ部32は、薄板状の部材が波状に屈曲形成されてなるものであり、山部34及び谷部35と、これら山部34及び谷部35を接続する接続部36と、を有している。山部34及び谷部35は、その延長方向(稜線方向)に沿って延在する梁状に形成され、波状に形成されたメッシュ部32の頂面を構成している。すなわち、山部34及び谷部35が、ガスケット23を間に挟んで配置されるセル11の電極同士(カソード同士またはアノード同士)に線接触している。
この構成によれば、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することに加え、第1実施形態の矩形波状のメッシュ部32に比べてバネ定数を低くすることができる。そのため、セル11の温度変動等により生じる反りや歪み、また寸法バラツキ等をより効果的に吸収して、セパレータ22とセル11との全面において良好な接触状態を維持することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態におけるメッシュ部の斜視図である。
図7に示すように、本実施形態のメッシュ部32は、山部34及び谷部35に枝葉部61が形成されている。これら枝葉部61は、山部34及び谷部35の延長方向に直交する方向に向けてそれぞれ延在し、山部34及び谷部35とともに、セパレータ22及びガスケット23を間に挟んで配置されるセル11の電極同士(カソード同士またはアノード同士)に接触可能に構成されている。なお、メッシュ部32は、機械加工や、打ち抜き加工、エッチング加工等で貫通孔38を形成する際に、貫通孔38を横断するように枝葉部61に相当する部分を残存させ、その後山部34及び谷部35の曲げ加工時にこれら山部及び35と平行になるように曲げ加工を行うことで作製できる。
例えば、上述した実施形態では、メッシュ部32と金属部材33とをセパレータ22として一体的に形成する場合について説明したが、これに限らず、メッシュ部32と金属部材33とを別体で形成しても構わない。この場合、金属部材33をガスケット23と同様に矩形枠状に形成し、その内側にメッシュ部32を配置する構成が可能である。
また、上述した実施形態では、本発明の燃料電池をセル11と中間部材21とを交互に積層した燃料電池スタック10を例にして説明したが、単層の燃料電池にも適用可能である。すなわち、セル11の両側に中間部材21を配置し、その積層体をエンドプレートにより挟み込むことで、単層の燃料電池を作製できる。
さらに、上述した実施形態では、各中間部材21のセパレータ22を直交させて配置する構成について説明したが、これに限らず、同方向に沿って配置しても構わない。
Claims (6)
- 平板型固体電解質の表裏面のうち、一方の面に燃料極、他方の面に酸化剤極を設けた燃料電池と、
前記燃料極または前記酸化剤極に接触して前記燃料電池からの電力を集電する集電部材と、を備えた平板型固体電解質燃料電池において、
前記集電部材は波状に形成された金属薄板で構成され、
前記集電部材の山部または谷部を前記燃料極または前記酸化剤極に接触する接触面とし、
前記山部と前記谷部とを接続する接続部に燃料ガスまたは酸化剤ガスが通流するガス流路用の第1の孔を設け、
前記燃料ガスまたは前記酸化剤ガスは、前記第1の孔を介して前記集電部材の前記山部の延長方向に交差する方向に沿って流通可能に構成されていることを特徴とする平板型固体電解質燃料電池。 - 前記金属薄板における前記接触面に前記燃料極及び前記酸化剤極を露出させる第2の孔を設け、前記第2の孔を前記燃料極及び前記酸化剤極の反応部とすることを特徴とする請求項1記載の平板型固体電解質燃料電池。
- 前記燃料極及び前記酸化剤極のそれぞれに前記集電部材を設けるとともに、前記集電部材の接触面が前記燃料電池の表裏面の面内位置で少なくとも部分的に重なっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の平板型固体電解質燃料電池。
- 前記燃料極及び前記酸化剤極のそれぞれに前記集電部材を設けるとともに、前記集電部材は前記延長方向が交差するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の平板型固体電解質燃料電池。
- 前記山部及び前記谷部には、前記延長方向に交差する方向に沿って延在する枝葉部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の平板型固体電解質燃料電池。
- 前記燃料電池と前記集電部材とが交互に複数積層され、
前記集電部材を間に挟んで隣接する前記燃料電池は、前記燃料極同士及び前記酸化剤極同士がそれぞれ対向配置されるとともに、前記燃料極同士の間に燃料ガス流路が形成される一方、前記酸化剤極同士の間に酸化剤ガス流路が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の平板型固体電解質燃料電池。
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