JP2012123599A - 指示体検出装置および指示体検出方法 - Google Patents

指示体検出装置および指示体検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】指示体の検出の際の誤検出を排除することを可能にしたり、指示体検出用の回路における直流オフセットの影響を軽減したりすることを実現する。
【解決手段】互いに交差する方向に配置された複数の第1の導体と複数の第2の導体とからなる導体パターンを備える。互いに同一のコード長を有する一対のコードである第1および第2のコードからなる送信信号を同一の第1の導体に供給する。信号検出回路は、複数の第2の導体に接続され、導体パターンと指示体との間の静電容量の変化に対応した受信信号を検出する。受信信号と第1のコードに基づく相関値演算用信号との間で第1の相関値を算出し、受信信号と第2のコード列に基づく相関値演算用信号との間で得第2の相関値を算出する。第1の相関値と第2の相関値とを合成した合成相関値を用いて指示体検出を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばタッチパネルに用いられる指示体検出装置および指示体検出方法に関する。より詳細には、静電結合方式により、複数の指示体の位置を正確に検出できるようにした指示体検出装置および指示体検出方法に関する。
従来、タッチパネル等に用いられる指示体の位置検出の方式として、例えば、抵抗膜方式、静電結合方式(静電容量方式)等の種々のセンサ方式が提案されている。近年では、静電結合方式の指示体検出装置の開発が盛んに行われている。
静電結合方式には、表面型(Surface Capacitive Type)と投影型(Projected Capacitive Type)の2種類の方式がある。表面型は、例えばATM(Automated Teller Machine:現金自動預入支払機)等に適用されており、投影型は、例えば携帯電話機等に適用されている。なお、両方式ともセンサ電極と指示体(例えば、指、静電ペン等)との間の静電結合状態の変化を検出して、指示体の位置を検出する。
投影型静電結合方式の指示体検出装置は、並列に配置された複数の電極と指示体との静電結合状態の変化を検出しており、例えばガラスなどの透明基板や透明フィルム上に電極を所定の導体パターンで形成して構成し、指示体が接近した際の指示体と電極との静電結合状態の変化を検出する。従来、このような方式の指示体検出装置に関しては、例えば、特許文献1(特開2003−22158号公報)、特許文献2(特開平9−222947号公報)、特許文献3(特開平10−161795号公報)など、様々な技術が提案されている。なお、特許文献1には、直交拡散コードを用いたコード分割多重化方式を、マルチユーザタッチシステムに適用する技術が記載されている。特許文献2には、疑似ランダムコード(PNコード)を使用した座標入力装置が記載されている。また、特許文献3には、静電容量型座標装置で使用される指示体としてのペンが記載されている。
近年、クロスポイント静電結合方式と呼ばれる方式の指示体検出装置が提案されている。このクロスポイント静電結合方式は、X方向及びY方向のそれぞれに複数の電極を配置して導体パターンを形成しており、各電極が直交する交点(クロスポイント)での静電結合状態を測定する。指が近づくと、指が近づいたクロスポイントではその静電結合状態が変化するため、この静電結合状態が変化したクロスポイントの座標を検出することで、指の位置を検出できる。
特開2003−22158号公報 特開平9−222947号公報 特開平10−161795号公報
ところで、静電結合方式の指示体検出装置は、送信信号を送信導体に供給し、受信導体から得られる電流のうち各クロスポイントおいて指示体を介して流出した電流量を電流の変化量として検出することで、指示体がそのクロスポイントを指示したか否かを検出している。しかし、この電流の変化量は微小なので、指示体検出装置のS/N比を向上することが求められている。
ここで、指示体検出装置のS/N比は、送信信号としてPNコード等の直交コードを使用した場合、各送信導体に供給するPNコードのコード長を長く設定することで向上させることができる。しかしながら、単に同じコード列の繰り返しによって送信信号のコード長を長くしただけでは、指示体が指示する位置を求めるための相関計算で、同じコード列の繰り返しに対応した複数のピークが求まることになり、S/N比の改善には結びつかない。したがって、信号送信の際、長いコードを使用する場合には、同じコード列をそのまま繰り返すのではなく、必要とされる長さのコード列を準備する必要がある。
そこで、本発明の目的は、お互いが所定の関連性を備えた2種類のコードを組み合わせることにより、S/N比を向上させることのできる指示体検出装置および方法を提供することである。
一方、2種類のコードを組み合わせて、送信導体に供給する信号のコード長を長くすると、指示体の検出の追従性を損なう、という問題が発生する。具体的には、ある時刻に指示体が指示したクロスポイントに最初のコード信号の供給が完了した時点で指示体が別のクロスポイントへ移動した場合、2番目のコード信号の供給は別のクロスポイントで行われることになり、指位置を正しく検出できないという問題が発生する。
そこで、本発明の更なる目的は、送信されるコードのコード長が長くなることで送信信号の繰返し周期が長くなっても追従性を損うことのない指示体検出装置および方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は、
第1の方向に配置された複数の第1の導体と、前記第1の方向に対して交差する第2の方向に配置された複数の第2の導体とからなる導体パターンと、互いが同一のコード長を有するとともに互いが所定の関連性を備えたコードである第1および第2のコードからなる送信信号を生成して前記第1の導体に供給するための信号供給回路と、前記複数の第2の導体に接続され、前記導体パターンと指示体との間の静電容量の変化に対応した受信信号を検出するための信号検出回路と、前記信号検出回路で検出された前記受信信号と、前記第1のコードに対応した第1の相関値演算用信号との間で第1の相関値を算出すると共に、前記信号検出回路で検出された前記受信信号と、前記第2のコードに対応した第2の相関値演算用信号との間で第2の相関値を算出する相関演算回路と、前記相関演算回路で算出された前記第1の相関値と、前記第2の相関値とを演算することで合成した合成相関値を算出する合成回路と、を備え、前記合成回路において得られた前記合成相関値に基づいて、前記指示体を検出する指示体検出装置を提供する。
以上のような構成によれば、第1のコードと第2のコードとして、直交性を有しないコードを使用したとしても、前記第1の相関値と前記第2の相関値を求めた際に、ゴースト信号として検出される成分が互いに逆極性となるような、互いが所定の関連性を備えたコードを用いることで、前記第1の相関値と前記第2の相関値との合成相関値からは前記ゴースト信号の成分がキャンセルされることになり、S/N比が改善された指示体検出を行うことができる。
また、第1のコードと第2のコードとして、互いが所定の関連性を備えるとともに、極性反転の関係にある一対のコードを用いることで、合成相関値に含まれる直流オフセット成分を除去することができる。すなわち、第1のコードと第2のコードとは互いに極性反転したビットパターンの関係を有するため、第1の相関値に含まれる直流オフセットと、第2の相関値に含まれる直流オフセットとは、逆極性の値として検出されることになり、第1の相関値と第2の相関値とを演算した合成相関値を求めることで、互いに逆極性の直流オフセット分がキャンセルされる。
本発明によれば、送信信号として、第1のコードと、該第1のコードとは所定の関連性を有する第2のコードを使用することで、直交性を有しないコードを使用した場合であってもS/N比を向上させた指示体検出装置および方法を提供することができる。また、信号送信の際のコード長が長くなることにより送信信号の繰返し周期が長くなっても指示体検出の追従性を損なわない指示体検出装置および方法を提供することができる。
本発明による指示体検出装置の第1の実施の形態の全体の構成例を示すブロック図である。 本発明による指示体検出装置の第1の実施の形態を説明するための図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置における送信部の構成例を示すブロック図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置に用いる送信信号の例としてのコンプリメンタリコードを説明するための図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置に用いる送信信号の例としてのコンプリメンタリコードのビットパターンを説明するための図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置に用いる送信信号の例としてのコンプリメンタリコードの相補的な性質を説明するための図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置における受信部の第一の部分を説明するための図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置における受信部の第2の部分を説明するための図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置における受信部の検出動作を説明するために用いる図である。 第1の実施の形態の指示体検出装置の動作例を説明するためのフローチャートを示す図である。 本発明による指示体検出装置の第2の実施の形態を説明するための図である。 第2の実施の形態の指示体検出装置における送信部の構成例を示すブロック図である。 本発明による指示体検出装置の第3の実施の形態で用いる送信信号のコードパターンを説明するための図である。 第3の実施の形態の指示体検出装置における送信部の構成例を示すブロック図である。 本発明による指示体検出装置の第4の実施の形態における送信部の一部の構成例を示すブロック図である。
以下、本発明による指示体検出装置の実施の形態を、図を参照しながら説明する。
[第1の実施の形態]
この実施の形態の指示体検出装置は、静電結合方式により、指示体の指示入力面での指示位置を検出する。なお、この明細書において、指示入力面における座標位置は、互いに直交するX軸方向およびY軸方向の位置により定めるものとして説明する。また、以下の説明では、ユーザの指を指示体として用いる場合を説明するが、特許文献3に開示された静電ペンや導体棒等を指示体として用いることもできる。また、以下に説明する実施の形態は、指示入力面に同時に存在する複数の指示体、例えば複数本の指をも検出することが可能な例である。
さらに、以下に説明する実施の形態は、指示入力面上における指示体の位置検出を、高速に行えるように工夫された構成を備える。また、送信導体に供給される信号及び受信導体から取り出された信号を、所定のコードが含まれた信号を意味する用語として、コード信号を称することがある。コードについても、ビットパターンに関連する場合にはコード列あるいはビット列と称することがある。
図1に示す指示体検出装置1は、センサ部100と、送信部200と、受信部300と、送信部200及び受信部300の動作を制御する制御回路40とから構成される。
制御回路40は、指示体検出装置1の各部を制御しており、例えばマイクロコンピュータを搭載して構成されている。
受信部300は、受信導体群12を構成する各受信導体から得られる受信信号(電流信号)を増幅すると共に、受信信号に対して信号処理をすることにより、指示体の検出を行うためのものである。受信部300は、受信導体選択回路31と、増幅回路32と、A/D(Analog to Digital)変換回路33と、位置検出回路34とを備えて構成される。位置検出回路34は、A/D変換回路33の出力信号から、指示体の有無や指示位置の位置座標を求めるものであり、演算処理回路35と、出力回路36とからなる。
センサ部100は、送信部200に接続される複数の第1の導体と、受信部300に接続される複数の第2の導体とを備える。以下の説明では、例えば64本の送信導体11Y〜11Y64からなる第1の導体が送信導体であり、送信導体群11を構成する。また、例えば128本の受信導体12X〜12X128からなる第2の導体は、受信導体であり、受信導体群12を構成する。以下、この送信導体及び受信導体の各導体に付けられた番号をインデックス番号と称す。なお、送信導体群11を構成する送信導体の本数、及び受信導体群12を構成する受信導体の本数は、指示入力面100Sのサイズなど、実施の態様に応じて適宜設定される。
送信導体群11を構成する64本の送信導体のそれぞれは、センサ部100のX軸方向(図1の横方向)に延伸して配置された直線状の導体である。受信導体群12を構成する128本の受信導体のそれぞれは、センサ部100のY軸方向(縦方向)に延伸して配置された直線状の導体である。送信導体群11と受信導体群12は、絶縁材を介して対向配置されている。送信導体と受信導体とが交差する点がクロスポイントと称される。
送信導体および受信導体は、例えば、銀パターンやITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)膜からなる透明電極、あるいは銅箔等で形成される。
図2は、送信導体に供給されるコード信号のビット配置を示す。出力コードCsiは、コードAsiの1周期分のビット列(a、a、・・・、a16)が供給された後にコードBsiの1周期分のビット列(b、b、・・・、b16)が供給される。したがって、コードAsiに対してコードBsiは、コードAsiの1周期分の時間td1だけ遅延しているため、コードAsiに基づく相関値とコードBsiに基づく相関値とを演算合成する際には、td1の時間差を考慮して合成相関値が算出される。
図3は、送信部200の構成を示す。送信部200は、送信信号供給回路21と、送信導体選択回路22と、クロック発生回路23、および制御回路40を備える。
送信導体群11を構成する64本の送信導体11Y〜11Y64は、例えば4本ずつからなる16個の送信ブロックTB1〜TB16に分割される。このため、送信信号供給回路21は、16個の異なるコード列を発生する。このために、送信信号供給回路21は、それぞれ同一のコード長を有し、互いが所定の関係を有する一対のコードを発生させるコードAsi発生回路211と、コードBsi発生回路212を備える。
ここで、送信信号の一例として、コンプリメンタリコードを詳述する。コンプリメンタリコードは、一対の種コードに基づいて生成される、互いが所定の関連性を備える一対のコードである。種コードとしては、2ビット、10ビット、26ビットの3個が発見されている。それぞれの種コードに基づいて、2、5×2、13×2(nは1以上の整数)ビットのコード長を有する、一対のコンプリメンタリコードが生成可能である。
図4に、2ビットの種コードを基にした一対のコンプリメンタリコードANおよびBNの生成方法を示す。なお、A,Bの文字に付加された下付きのサフィックスは、一対のコンプリメンタリコードAおよびBのコード長を示す。また、記号「&」は、コード列を連結することを意味する。2ビットの種コードを基にした4ビットのコードAは、2ビットの種コードAの後に、2ビットの種コードBを連結したコードである。また、4ビットのコードBは、2ビットの種コードAの後に、2ビットの種コードBを極性反転して連結したコードである。すなわち、一対のコンプリメンタリコードAおよびBは、種コードAと種コードB、及び種コードAと種コードBの論理反転コードに基づいて生成されるものである。従って、コードAとコードBとの間には所定の関連性が備えられている。コードA、コードBについても同様にして生成することができる。また、10ビットの種コードや26ビットの種コードの場合についても、同様にして、所定のコード長を有する、一対のコンプリメンタリコードを作成することができる。
以上のようにして作成された一対のコンプリメンタリコードANおよびBNのそれぞれのビット列を、最終ビットから先頭ビットへ1ビットずつ移動させた一対のコンプリメンタリコードを複数組作成し、その複数組のそれぞれを構成する一対のコンプリメンタリコードを1ビットずつ互いに同期させて順次出力することで送信信号としてそれぞれの送信導体に供給する。この際、1個の送信信号としては、コンプリメンタリコードA(以下、簡単のため単にコードAという)と、コンプリメンタリコードB(以下、簡単のため単にコードBという)との時分割多重信号とする。以下、このコードAまたはコードBに対し、その最終ビットを先頭ビットへ移動させるとともに、コードをシフトすることを「ローテートする」と称す。従って、それぞれコード長が16ビットの一対のコンプリメンタリコードA16およびB16を、1ビットずつローテートさせることにより、一対のコードを16組作成する。そして、この16組の一対のコードを、16個の異なる送信信号として用いる。
図5(A)および(B)に、この第1の実施形態で用いる、それぞれが16ビットから成る、一対のコードA16およびコードB16のコンプリメンタリコードを例示する。コードAsi(i=0,1,2,・・・,15)は、ローテートの基礎となるコードAs0をその最終ビットからiビット分だけ先頭ビットへローテートさせたコードを示している。例えば、コードAs1は、コードAs0を1ビット分だけローテートしたコードを、コードAs2は、コードAs0を2ビット分だけローテートしたコードを・・・、コードAs15は、コードAs0を15ビット分だけローテートしたコードをそれぞれ示している。以下、この基礎となるコードAs0を「基礎コードAs0」と称す。
同様に、コードBsi(i=0,1,2,・・・,15)は、ローテートの基礎となるコードBs0をiビット分だけローテートさせたコードを示している。したがって、コードAs0とコードBs0、コードAs1とコードBs1、・・・というように、一対のコードAsiとコードBsiとが1個のコード信号として同じ送信導体に供給される。以下、この基礎となるコードBs0を「基礎コードBs0」と称し、コードAs0またはコードBs0の最終ビットからiビット分だけ先頭ビットへローテートすることを単に、「iビット分(数)だけローテートする」と称す。記号a(j=1,2,・・・,16)は、コードAsiのコード列のj−1番目のビットを示し、記号b(j=1,2,・・・,16)は、コードBsiのコード列のj−1番目のビットを示している。
そして、コードAsiのそれぞれについての相関値と、コードBsiのそれぞれについての相関値とを求め、この求めた2つの相関値を演算合成した合成相関値に基づいて、指示体の検出を行う。すなわち、コードAについては、コードAs0,As1,As2,・・・,As15に対応する相関値演算用コードAs0´,As1´,As2´,・・・,As15´を用意する。ここで、コードAsiに対応する相関値演算用コードAsi´とは、基礎コードAs0に対応する相関値演算用コードAs0´を、コードAsiと同じコード長だけローテートさせたコードAsi´(=Asi)である。そして、これら相関値演算用コードAs0´〜As15´のそれぞれと、受信導体から得られる受信信号との相関値(第1の相関値)を求める。同様に、コードBについても、同様に、コードBs0,Bs1,Bs2,・・・,Bs15に対応する相関値演算用コードBs0´,Bs1´,Bs2´,・・・,Bs15´を用意する。ここで、コードBsiに対応する相関値演算用コードBsi´とは、基礎コードBs0に対応する相関値演算用コードBs0´を、コードBsiと同じコード長だけローテートさせたコードBsi´(=Bsi)である。そして、これら相関値演算用コードBs0´〜Bs15´のそれぞれと、受信導体から得られる受信信号との相関値(第2の相関値)を求める。
第1の実施の形態では、送信信号として用いたコードAsiに基づいて受信された信号
と、このコードAsiに対応して生成された相関演算用のコードとの間で算出された第1の相関値と、送信信号として用いたコードBsiに基づいて受信された信号と、このコードBsiに対応して生成された相関演算用のコードとの間で算出された第2の相関値との間に、以下に説明するような相補的な性質が存在することを利用する。
図6(A)には、送信信号としてコードAsiを用いたときに得られた受信信号に対し、相関値演算用コードAsi´を用いて相関演算したときに得られる第1の相関値の表を示す。また、図6(B)には、送信信号としてコードBsiを用いたときに得られる受信信号に対し、相関値演算用コードBsi´を用いて相関演算したときに得られる第2の相関値の表を示す。なお、以下の説明においては、基礎コードAs0およびBs0に対して各コードAs1〜As15および各Bs1〜Bs15がiビットローテートされているコードを「シフトコードi」と称する。また、この基礎コードAs0およびBs0に対応する相関値演算用コードAs0´およびBs0´に対して各コードAs1〜15´および各Bs1〜15´がiビットローテートされているコードiも「シフトコードi」と称する。
この図6(A)および(B)の表から判るように、送信信号として用いたコードと相関演算に用いた相関値演算用コードのシフトコードiが同じ場合に得られる相関値が最大値となる。具体的には、図6(A)に示すように、送信信号として用いたコードAsiと、同じシフトコードiの相関値演算用コードAsi´との第1の相関値は、「16」となっている。従って、相関値演算用コードAsi´に対応するコードAsiは、第1の相関値が最大値「16」を呈するものとして検出できる。
一方、送信信号に用いたコードAsiとシフトコードiが異なる相関値演算用コードAsk´(i≠k:k=0,1,2,・・・,15)との第1の相関値は、「0」(相関無)のみではなく、「0」以外の所定の値(図6(A)では「4」、「-4」)(相関有)が得られてしまう。
ここで、基礎コードに対する送信信号のシフトコードiと、相関演算に用いた相関演算用コードのシフトコードiとが異なる場合には、第1の相関値は、全て値が「0」を呈するのが望ましいが、「0」ではない所定の値(この例では、「4」、「-4」)を呈するものが存在してしまう。これは、使用するコードとして直交性を有しないコードを使用することに起因するものである。以下、このような間違った位置に現れる相関値を、既述したように、「ゴースト信号」と称す。なお、この結果は、図6(B)に示すように、コードBについても同様である。
図6(A)と図6(B)とにおいて、「0」ではない所定の値(この例では、「4」、「-4」)を呈する第1の相関値と第2の相関値とについて着目してみると、この所定の値を相関値として呈するコードAsiと相関値演算用コードAsk´(i≠k)のシフトコードiの関係と、同じく前記所定の値を相関値として呈するコードBsiと相関値演算用コードBsk´(i≠k)のシフトコードiの関係とは、全く同じであり、また、コードAとコードBとでは、その相関値が逆極性であるという相補的な関係を示していることが判る。したがって、同じシフトコードiの相関値演算用コードAsi´とBsi´とにより相関演算を行い、その結果得られた相関値を加算して合成すると、相関値演算用コードAsi´とBsi´とは異なるコードkだけローテートされたコードAskおよびBskの相関値のうち、「0」でない所定の相関値、すなわちゴースト信号はキャンセルされてゼロになる。したがって、同じシフトコードiの相関値演算用コードAsi´とBsi´に関する相関値の合成相関値に関し、同じシフトコードiのコードAsiおよびBsiについての相関値は2倍になると共に、異なるシフトコードkのコードAskおよびBskについての相関値は全てゼロとなる。
図3に戻り、送信信号供給回路21は、複数の送信導体に対し出力コードCsi(i=0,1,2,・・・,15)を供給するものである。一対のコードAsiおよびBsiのそれぞれを発生するためのコードAsi発生回路211およびコードBsi発生回路212と、このコードAsi発生回路211およびBsi発生回路212から出力された一対のコードAsiおよびBsiを時分割多重するための切替回路213とからなる。コードAsi発生回路211は、16個のコードAs0,As1,As2,・・・,As15を発生する。また、コードBsi発生回路212は、16個のコードBs0,Bs1,Bs2,・・・,Bs15を発生する。コードAsi発生回路211と、コードBsi発生回路212とには、それぞれクロック発生回路23からクロック信号CLKが入力されてコードが生成される。このクロック発生回路23から出力されたクロック信号CLKは、タイミング信号として制御回路40にも入力されて送信信号供給回路21の動作を制御する。
そして、コードAsi発生回路211と、コードBsi発生回路212とは、制御回路40の制御に基づき、クロック発生回路23から入力されたクロック信号CLKに同期して、16個のコードAs0〜As15および16個のコードBs0〜Bs15を先頭ビットから1ビットずつ同期して同時に出力する。したがって、コードAsi発生回路211は、16ビットa〜a16からなるコードAs0〜As15を、コードBsi発生回路212は、16ビットb〜b16からなるコードBs0〜Bs15を周期的に繰り返し発生する。コードAs0〜15およびコードBs0〜Bs15は、切替回路213を介して送信導体選択回路22内の、対応する各スイッチ回路2201〜2216に供給される。
この切替回路213には、制御回路40から制御信号SW1が供給される。この制御信号SW1のハイレベル期間においては、コードAsi発生回路211を後段の送信導体選択回路22に接続し、コードAsi発生回路211から出力されたコードAs0〜As15を出力コードCs0,Cs1,Cs2,・・・,Cs15として出力する。また、制御信号SW1がローレベル期間になると、コードBsi発生回路212を後段の送信導体選択回路22に接続し、コードBsi発生回路212から出力されたコードBs0〜Bs15を出力コードCs0〜Cs15として出力する。
この結果、切替回路213を介して送信導体選択回路22に出力される出力コードCsi(i=0,1,2,・・・,15)は、図2に示すように、一対のコードAsiとコードBsiとが交互に配置された、時分割多重されたコードである。なお、この送信信号供給回路21は、出力コードCs0〜Cs15のデータが予め保持されたROMなどからなる不揮発性メモリで構成し、その不揮発性メモリの読み出しアドレスを制御することで、複数個の出力コードCs0〜Cs15を出力する構成にしてもよい。
図3において、送信導体選択回路22は、16個の送信ブロックTB1,TB2,・・・,TB16のそれぞれに対応する16個のスイッチ回路2201,2202,・・・,2216を備えている。スイッチ回路2201〜2216は、それぞれ1入力4出力のスイッチ回路である。出力コードCs0はスイッチ回路2201に、出力コードCs1はスイッチ回路2202に、・・・、出力コードCs15はスイッチ回路2216に、それぞれ入力される。各スイッチ回路2201〜2216は、入力端が切替回路213に接続されており、4つの出力端がそれぞれ対応する各送信導体に接続されている。そして、各スイッチ回路2201〜2216は、入力された出力コードCs0〜Cs15を供給すべき送信導体を所定の手順で切り替えるようになっている。なお、入力端に接続されていない送信導体は、任意の基準電位又はグラウンドに接続することが望ましい。このように、入力端に接続されていない送信導体を任意の基準電位等に接続することで、隣り合う電極の信号による影響や外来ノイズの影響を低減することができる。
スイッチ回路2201は、送信ブロックTB1に対応する。このスイッチ回路2201は、送信ブロックTB1の4本の送信導体11Y,11Y,11Y,11Yを1本ずつ順次切り替えて、出力コードCs0を供給する。また、スイッチ回路2202は、送信ブロックTB2に対応する。このスイッチ回路2202は、送信ブロックTB2の4本の送信導体11Y,Y,11Y,11Yを1本ずつ順次切り替えて出力コードCs1を供給する。その他のスイッチ回路2203〜2216のそれぞれについても同様であり、対応する送信ブロックTB3〜TB16のそれぞれ4本の送信導体を1本ずつ順次切り替えて、出力コードCs2〜Cs15をそれぞれ供給する。これらスイッチ回路2201〜2216には、制御回路40から制御信号SW2が供給されることで送信導体選択処理が行われる。
図7は、受信部300を構成する受信導体選択回路31,増幅回路32,A/D変換回路33の回路構成を示す。
受信導体選択回路31は、16個の検出ブロックDB1〜DB16に対応する16個のスイッチ回路3101〜3116を備える。スイッチ回路3101〜3116は、それぞれが8入力1出力のスイッチ回路である。これらのスイッチ回路3101〜3116には、それぞれ対応する検出ブロックDB1〜DB16のそれぞれの8本の受信導体から受信信号が選択的に入力される。すなわち、各スイッチ回路3101〜3116は、それぞれ対応する検出ブロックDB1〜DB16のそれぞれの8本の受信導体のうちから1本の受信導体を選択して、後段の増幅回路32のI/V変換回路3201〜3216に供給する。スイッチ回路3101〜3116には、制御回路40から制御信号SW3が供給されることで受信導体の選択動作が制御される。すなわち、スイッチ回路3101〜3116は、送信部200が全ての送信導体に16個の出力コードCs0〜Cs15が供給し終わる毎に、対応する検出ブロックDB1〜DB16の受信導体を、次の受信導体に切り替える。なお、スイッチ回路3101〜3116において選択されていない受信導体は、任意の基準電位又はグラウンドに接続することでノイズ耐性を向上させることができる。
増幅回路32は、検出ブロックDB1〜DB16のそれぞれに対応する16個の電流−電圧変換回路(以下、I/V変換回路という)3201,3202,・・・,3216からなる。この各I/V変換回路3201〜3216には、受信導体選択回路31の各スイッチ回路3101〜3116からの出力信号S〜S16が供給される。受信導体からの受信信号(電流信号)に対して設けられるI/V変換回路3201は、演算増幅器41と、この演算増幅器41の入出力端間にコンデンサ42と抵抗43が接続される。
各I/V変換回路3201〜3216は、対応する各検出ブロックDB1〜DB16から供給された出力信号(電流信号)S〜S16を電圧信号に変換し、増幅して出力する。このI/V変換回路3201〜3216において電圧信号に変換された出力信号S〜S16は、A/D変換回路33に入力される。
A/D変換回路33は、16個のA/D変換器3301,3302,・・・,3316を備える。各I/V変換回路3201〜3216において電圧信号に変換された出力信号は、対応する各A/D変換器3301〜3316に供給されて、クロック信号CLKのタイミングに従ってサンプリングされる。そして、各A/D変換器3301〜3316は、サンプリング値が8ビットのデジタルサンプルデータDS、DS、・・・、DS16に変換して出力する。
このデジタルサンプルデータDS〜DS16は、それぞれセンサ部100の送信導体に供給されたコード列の各ビットに応じた信号となる。ただし、各受信導体には、16個の出力コードCs0〜Cs15が同期して同時に16本の送信導体に供給されることにより得られる電流が重畳されて流れるので、出力信号S〜S16のデジタルサンプルデータDS〜DS16は、16個の出力コードCs0〜Cs15の各ビットの値が合成(加算)された値となっている。具体的には、各デジタルサンプルデータDS〜DS16は、コードAs0〜As15のビットaの値が合成された値、コードAs0〜As15のビットaが合成された値…、コードAs0〜As15のビットa16が合成された値、コードBs0〜Bs15のビットbが合成された値、コードBs0〜Bs15のビットbが合成された値、…、コードBs0〜Bs15のビットb16が合成された値が、各ビットが各送信導体に供給されたタイミングに応じて受信導体に現れることになる。A/D変換回路33から出力された各デジタルサンプルデータDS〜DS16は、図1に示す位置検出回路34の演算処理回路35に供給される。
図8において、位置検出回路34は、A/D変換回路33から出力されたデジタルサンプルデータDS〜DS16から、指示体の存在あるいは指示位置検出を行うものであり、演算処理回路35と、出力回路36とからなる。演算処理回路35は、16個の相関演算回路35101,35102,・・・,35116と、16個の合成回路35201,35202,・・・,35216とからなる。
相関演算回路35101〜35116は、A/D変換回路33から入力されたデジタルサンプルデータに対し相関演算を行うための回路である。各相関演算回路35101〜35116には、それぞれ対応するA/D変換回路33の各A/D変換器3301〜3316からデジタルサンプルデータDS〜DS16が入力され、コードAs0〜As15およびコードBsi0〜Bs15に対応した相関演算を行う。そして、コードAs0〜As15についての相関演算の結果である相関値と、コードBs0〜Bs15についての相関演算の結果である相関値とを、対応する合成回路35201〜35216のそれぞれに供給する。各合成回路35201,35202,・・・,35216は、対応する相関演算回路35101〜35116から供給されたコードAs0〜As15についての相関値と、コードBs0〜Bs15についての相関値に関し、同じシフトコード長iの相関値演算用コードで相関演算して得られた相関値同士を加算合成する。そして、各合成回路35201〜35216は、それぞれその加算合成の結果を合成相関値として出力回路36に供給する。
出力回路36は、演算処理回路35から入力された合成相関値に基づいて、指示体の指示位置に応じた出力データを指示体検出装置1の出力信号としてパーソナルコンピュータなどの外部装置へ送出するための回路であり、記憶回路361と位置算出回路362とからなる。記憶回路361は、演算処理回路35において算出された各合成相関値(RMs0,RM2,・・・,RMs15と称する)を一時記憶するための記憶回路である。出力回路36は、演算処理回路35から出力された各合成相関値(RMs0〜RMs15)をこの記憶回路361にマッピングする。位置算出回路362は、記憶回路361に記憶された全ての合成相関値と基準値refとを比較して、指示体の有無および指示体の位置座標を検出するための回路である。すなわち、位置算出回路362は、基準値refとの比較に基づいて、その合成相関値が記憶された記憶回路361のアドレス位置から、対応する位置座標を求め、出力信号としてパーソナルコンピュータなどの外部装置へ送出する。このように、位置算出回路362は、各合成相関値と基準値refとを比較することで、各クロスポイントについて独立して指示体の検出が可能であるため、位置算出回路362は、指示入力面100Sに対して同時に複数の指示体によって位置指示された場合においても、その複数の指示体が指示する位置を同時に検出することができる。
図9は、合成相関値の生成について示す。合成回路35201〜35216のそれぞれにおいて、同じシフトコードi同士の相関値演算用コードAsi´とBsi´により相関演算して得られた相関値(RAsi及びRBsiと称する)同士が加算合成されて合成相関値(RMs0〜RMs15)が得られる。例えば、図9(A)に示す相関値(RAs0)と図9(B)に示す相関値(RBs0)との合成相関値は、同じシフトコードiのコードAs0およびBs0については2倍になると共に、異なるシフトコードのコードAs1〜As15およびBs1〜Bs15についての合成相関値は全てゼロとなる(図9(C))。
ところで、この基準値refは、指示体検出装置1毎の固体差や環境要因(温度等)などに起因するばらつきにより、変化してしまうことがある。
そこで、本発明の指示体検出装置では、出力回路36は、指示体19がセンサ部100の指示入力面100Sにないときに演算処理回路35の合成回路35201〜35216で得られる合成相関値を基準値refとして記憶回路361に予め記憶する。以下、この合成相関値をオフセット値という。
そして、出力回路36は、合成相関値を記憶回路361に記憶する際に、それぞれの合成回路35201〜35216で算出された合成相関値から、この記憶してあるオフセット値(基準値ref)を減算する。出力回路36は、その減算結果の値を、各クロスポイントの合成相関値として記憶回路361に記憶する。このようにすれば、記憶回路361に記憶される合成相関値は、指示体19がセンサ部100の指示入力面100Sにないときには全てゼロになる。そして、指示体19がセンサ部100の指示入力面100S上に接触しているときに記憶回路361に記憶される合成相関値は、例えば負の値となる。
そして、位置算出回路362は、記憶回路361に記憶されている合成相関値を参照し、この記憶回路361に負の値を示す合成相関値が記憶されているか否かを検出する。そして、位置算出回路362は、記憶回路361に負の値を示す合成相関値が記憶されていることを検出したときには、当該負の値を示す合成相関値の記憶回路361のアドレス位置に対応するクロスポイントを指示体19が指示しているものと判断する。
記憶回路361に記憶された合成相関値が負の値になっているかどうかは、指示体の存在の有無を判定するための基準値(スレッショールド値)をゼロに設定して、合成相関値とスレッショールド値とを比較するようにすればよい。しかし、ノイズ分などに反応しないようにして、より確実に判定するために、合成相関値と比較するスレッショールド値は、検出されるノイズなどから予め定めておくと良い。また、オフセット値を求める際にノイズの状況を確認して自動的に設定するようにしても良い。
なお、合成相関値とスレッショールド値とを比較し、合成相関値がこのスレッショールド値を超えた場合に指示体19による位置指示があったことを判断する場合を例示して説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、合成相関値の変化があったクロスポイントの領域の面積や形状、また、合成相関値の時間的な変化量に基づいて指示体の接触を検出することもできる。また、それぞれのクロスポイント毎に平均化フィルタなどの処理を施したり、注目するクロスポイントの周囲の合成相関値を用いた空間フィルタを適用しても良い。
次に、図10を参照して、この第1の実施の形態における指示体検出装置の処理動作の流れを説明する。指示体検出装置の位置検出処理は繰り返し行われるものであるが、図10では、指示入力面100Sの全クロスポイントについての1回分の処理動作についてのフローチャートを示す。すなわち、コードAsi、Bsiの生成から、これらのコードに基づいて指示体の位置が検出されるまでの処理を示す。
先ず、送信信号供給回路21は、クロック信号CLKに同期してコードAsi(As0〜As15)およびコードBsi(Bs0〜Bs15)の生成する(ステップS101)。次に、コードAsi発生回路211およびコードBsi発生回路212から出力されたコードは、切替回路213を介して、図2に示される、時分割多重化されたコード列とされる。切替回路213から出力されるコードは、送信導体選択回路22によって生成された各送信ブロック(TB1〜TB16)を構成する送信導体に、所定の選択手順に従って順次供給される(ステップS103)。
受信導体選択回路31によって生成された各受信ブロック(DB1〜DB16)を構成する受信導体は、所定の選択手順に従って順次選択される。選択された受信導体によって受信された信号は、増幅回路32、A/D変換回路33を介して位置検出回路34に供給されることで、受信信号から指示体が指示している位置を算出し、その位置データを保持する(ステップS104)。
そして、図2に示す、時分割多重化された、コードAsiの一周期分の全ビット及びコードBsiの一周期分の全ビット、すなわち、コードCsiの一周期分のデータが全て送信されたことを確認する(ステップS105)。コードCsiの一周期分のデータが全て送信されると、指示入力面100Sの全クロスポイントについて、1回分の送信処理が完了したことになる。
コードCsiの一周期分のデータの全てが未だ送信されてはいないとステップS105で判別したときには、ステップS103に戻り、このステップS103以降の処理を繰り返す。
ステップS105で、コードCsiの一周期分のデータの全てが送信されたことが確認されると、演算処理回路35を構成する相関演算回路(35101〜35116)によって、コードAsiに対応して設定された相関演算用コードと受信信号との相関値と、コードBsiに対応して設定された相関演算用コードと受信信号との相関値が算出される。また、これらの相関値が合成されることで、各送信導体に送信されるコードが直交性を有するコード(例えば、PNコード)でない場合でも、直交性を有しないことに起因するゴースト信号の影響を効果的に排除することができる(ステップS106)。
演算処理回路35を構成する合成回路(35201〜35216)から出力されたデータは位置検出回路34を構成する記憶回路361に供給されたメモリにビットマッピングされる。位置検出回路362では、メモリにビットマッピングされたデータを参照することで指示体の指示入力面100S上での有無あるいは指示体が指示する位置を算出する(ステップS107)。上述の各ステップが繰り返し実行される
なお、この第1の実施の形態における送信導体及び受信導体の選択切り替えは、送信導体の切り替えを降順に、受信導体の切り替えを昇順にする場合を例示して説明したが、本発明はこれに限られない。送信導体選択回路を設けずに、すべての送信導体に同時に送信信号を供給し、また受信導体選択回路を設けずに、すべての受信導体から同時に受信信号を得られるように構成することもできる。また、送信導体の切り替えを昇順に、受信導体の切り替えを降順にしたり、各送信ブロック及び受信ブロックごとに切り替えの降順または昇順にしたり、切り替えの順番をランダムにしても良い。
〔第1の実施形態の変形例〕
上述の実施の形態では、2ビットの種コードから作成した、それぞれが16ビットのコンプリメンタリコードA,Bを用いた場合を例示して説明した。しかし、コードA,Bのビット長は、16ビットに限られるものではない。また、コードA,Bは、2ビットの種コードのみに基づいて作成するものに限られず、8ビットの種コードあるいは26ビットの種コードに基づいて作成することができることは言うまでもない。
また、上述の実施の形態では、記憶回路361に相関値を書き込む際に、オフセット値をそれぞれの相関値から減算する場合を例示して説明した。しかし、本発明はオフセット値を記憶回路361に相関値を書き込む際に減算する場合に限られない。例えば記憶回路361には、演算処理回路35の相関演算回路35101〜35116および合成回路36201〜36216のそれぞれで算出された合成相関値をそれぞれ記憶しておき、位置算出回路362で位置算出する際に、オフセット値をそれぞれの相関値から減算するようにしても良い。
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態において例示した、図2に示す信号送信用のコード列については、送信導体に供給される送信信号である出力コードCsiは、一周期分のコードAsiの後に一周期分のコードBsiが配置される。したがって、コードBsiは、コードAsiに対してコードAsiの1周期分の時間td1だけ遅延している。したがって、指示入力面100Sにおいて、指示体19を高速に移動させた場合、時間td1の影響によって、コードAsiが送信導体に供給されたときの指示体19の指示位置と、コードBsiが送信導体に供給されたときの指示体19の指示位置とが異なる場合がある。
すると、コードAsiに基づく相関値と、コードBsiに基づく相関値とは、指示体19が同一の位置にある場合に得られる相関値と比較して、値が異なってしまう。その結果、コードAsiの相関値及びコードBsiの相関値から算出された指示体19の位置を示すピーク信号や、指示体の誤検出を生じさせるゴースト信号の位置がずれてしまい、図9(A),(B)に示したような絶対値が同じ値とはならない。これによって、合成相関値には、指示体の誤検出を生じさせるゴースト信号がキャンセルされずに残ってしまい、誤検出の原因となる場合がある。
そこで、第2の実施の形態においては、図11(a)に示す第1の実施の形態で例示した出力コードCsiに換えて、図11(b)に例示する出力コードMsiを用いる。この出力コードMsi(i=0,1,2,・・・,15)では、一対のコードAsiとコードBsiのそれぞれのコードを構成するビットの配置を所定の規則に従ってスクランブルしている。第2の実施の形態におけるMsiのビット列は、コードAsiの1ビット及びコードBsiの1ビットが例えば交互に配置されたコードとなる。この出力コードMsiを用いれば、合成相関値は、各コードが供給された時刻の時間差を1ビット分の時間td2にすることができる。この時間td2は、時間td1に対して非常に短いので、指示体19の高速移動に対しても、指示体の誤検出を生じさせるゴースト信号がキャンセルされずに残ってしまう問題を解決することができる。
なお、コードAsiとコードBsiとの間でビットスクランブルする際には、2ビット単位、3ビット単位など、必ずしも1ビットを単位としてスクランブルさせる必要はない。コードAsi,Bsiのコード長よりも小さければ、任意の単位長でビット入れ替えすることができる。また、同じ単位長を使用する必要は無く、コードAsiと、コードBsiを構成する各ビットが全体としてスクランブルして配置されていれば良い。
以下に、この第2の実施の形態の構成の要部について説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成を備える部分には、同一の参照番号を付与してその説明を割愛する。
図12に示す第2の実施の形態における送信信号供給回路21Aは、図3に示す第1の実施の形態における送信信号供給回路21と比較して、制御回路40から出力される制御信号SW4が切替回路213に供給されることで、切替回路213に供給された、コードAsi発生回路211から出力されたコードAs0〜As15と、コードBsi発生回路212から出力されたコードBs0〜Bs15が、図11(b)に例示されるように、コードAs0〜As15とコードBs0〜Bs15のビット配置が所定の規則に基づいてスクランブルされる。切替回路213でビットスクランブルされた出力コードMs1〜Ms15は、送信導体選択回路22に供給される。
第2の実施の形態における受信部では、第1の実施の形態とはビット配置が異なるため、このビット配置を第1の実施の形態で例示したビット配置に変換することで第1の実施の形態で示す相関演算処理などの各信号処理を適用することができる。このビット配置の変換は、例えば、第1の実施の形態で示す演算処理回路35での演算処理とともに行なうことができる。なお、ビット配置を所定のルールに基づいて送信前の元のビット配置に戻すための変換処理は既知の技術で実現される。
[第3の実施の形態]
第1および第2の実施の形態では、送信すべき一対のコードとして、コンプリメンタリコード(Asi及びBsi)を用いた。第3の実施の形態では、ハードウエア構成は、第1および第2の実施の形態と同様とするも、送信すべき一対のコードが、第1および第2の実施の形態でのコードとは異なり、各ビットの極性が逆極性である一対のコードを用いる。すなわち、第3の実施の形態においては、あるコードを第1のコードとしたとき、この第1のコードと同一のコード長であって、かつ第1のコードを構成する各ビットを極性反転させたコードを第2のコードとし、この第1のコードと第2のコードを一対のコードとして送信信号とする。以下に説明においては、第1のコードを正極性のコード、第2のコードを逆極性のコードと称する。
そして、この第3の実施の形態においては、第1及び第2の実施の形態での信号処理と同様に、正極性のコードについての相関値を算出するための相関値演算用コードとの相関演算を行ったときの相関値と、逆極性のコードについての相関値を算出するための相関値演算用コードとの相関演算を行ったときの相関値とを算出し、その算出した2つの相関値を合成回路において合成する。そして、その合成相関値を用いて指示体の検出を行う。
この構成によれば、受信の際に発生する直流オフセット分が、正極性のコードについての相関値と、逆極性のコードについての相関値とは、互いに逆極性となる。従って、この2つの相関値についての合成相関値を求めると、受信の際に発生する直流オフセット分についての相関値の成分はキャンセルされる。
以下、第3の実施の形態の一例を説明する。
図13は、第3の実施の形態に適用するコード列を示す。送信ブロック数に対応した16行×16列のアダマール行列が例示される。このアダマール行列を構成する各行(あるいは各列)の16ビットPN,PN,・・・,PN16からなる各アダマールコードを16個の正極性のコード列(第1のコード列)として用いる。この16個のアダマールコード(D〜D16)は、互いに直交関係を有するコード列であり、例えばPNコードが使用される。以下、この正極性のコードを送信コードD〜D16と称す。なお、以下の説明においては、便宜上、16ビットからなるPN〜PN16が、それぞれの送信コード(D,D,・・・,D16)の1周期分のデータとなる。
正極性のコードと逆極性のコードとからなる、一対のコードの送信導体への供給は、第1の実施の形態のように、1周期分毎に正極性のコードと逆極性のコードとを時分割多重化することで、交互に送信導体に供給する方法と、第2の実施の形態のように、所定の規則に従ってビットスクランブルを行うことで、ビット配置を入れ替えて送信導体に供給する方法のいずれもが可能である。この第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、ビット配置を入れ替えたビット列を送信導体に供給する形態を例示して説明する。
この第3の実施の形態を例示する構成は、第2の実施の形態を例示する構成と比較して、信号送信に用いる一対のコードが異なっているものの、送信部及び受信部の動作は同一である。なお、第3の実施の形態の構成の説明においては、第1および第2の実施の形態と同一部分には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する
図14において、第3の実施の形態の構成における送信信号供給回路21Bでは、アダマールコード発生回路215と、極性反転回路216と、切替回路213とを備える。
アダマールコード発生回路215は、図12に示すコードAsi発生回路211あるいはコードBsi発生回路212に相当する。極性反転回路216は、入力されたコード列の極性を反転して出力するための回路で、検出ブロックと同数、すなわちこの例では16個の反転コード器からなる。アダマールコード発生回路215では、互いが直交性を有する16個のアダマールコードからなる送信コードD〜D16を生成する。これら16個の送信コードD〜D16は、切替回路213に供給される。また、極性反転回路216にも供給されて各送信コードの極性が反転された後に切替回路213に供給させる。切替回路213では、制御回路40から出力される制御信号SW5に基づいて切替回路213に供給される各ビットが所定の規則に基づいてビットスクランブルされる。すなわち、アダマールコード発生回路215および極性反転回路216から供給された32ビットのコードが所定の規則に基づいてスクランブル処理されて各ビットの位置が入れ替えられる。第2の実施の形態と同様に、切替回路213によってビット配置が変換された出力コードM1〜M16は送信導体選択回路22の各スイッチ回路2201〜2216を介して送信導体に供給される。
第3の実施の形態における受信部は、第2の実施の形態と同様の構成を備える。すなわち、切替回路213にて所定の規則に基づいてビットスクランブルされたビット列を元のビット列に戻した後に所定の相関演算を行うことで指示体の位置を求める。
[第4の実施の形態]
この第4の実施の形態は、上述の第2の実施の形態に示す構成と、第3の実施の形態に示す形態を組み合わせることで、指示体の高速移動時における誤検出を生じさせるゴースト信号の排除と、受信部の回路における直流オフセットの除去を、一層効果的に行う。すなわち、この第4の実施の形態における指示体検出装置は、信号送信のための一対のコードとしてコンプリメンタリコードA及びBを用い、この一対のコードのそれぞれについて反転コードを生成することで正極性及び負極性の一対のコードを生成する。
第4の実施の形態における送信部200Cにおいては、送信信号供給回路21Cの構成が、第1の実施の形態と構成および第2の実施の形態と異なる。なお、以下の第4の実施の形態の構成例の説明において、第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同一部分には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図15に示すこの第4の実施の形態における送信信号供給回路21Cは、第1および第2の実施の形態で用いたコードAsi発生回路211およびコードBsi発生回路212と、第3の実施の形態で用いた極性反転回路216と同一の構成の極性反転回路217,218と、時分割多重処理、あるいは時分割多重処理とビットスクランブル処理を同時に行うための切替回路213Cとを備える。コードAsi発生回路211は、生成したコードAs0〜As15を切替回路213Cに供給すると共に、極性反転回路217に供給する。極性反転回路217は、コードAs0〜As15のそれぞれの各ビットaを極性反転した出力コードを切替回路213Cに供給する。同様に、コードBsi発生回路212は、生成したコードBs0〜Bs15を切替回路213Cに供給すると共に、極性反転回路218に供給する。極性反転回路218は、コードBs0〜Bs15のそれぞれの各ビットbを極性反転した出力コードを切替回路213Cに供給する。
そして、この第4の実施の形態では、切替回路213Cには、制御回路40から制御信号SW6が供給されて、コードAs0〜As15、コードAs0〜As15の極性が反転したコード、コードBs0〜Bs15、およびコードBs0〜Bs15の極性が反転したコードを、ビットスクランブルして順次出力する。送信導体選択回路22の各スイッチ回路2201〜2216は、切替回路213Cから出力された出力コードMM1〜M16を順次切り替えて送信導体に供給する。なお、第4の実施の形態のおいては、第1の実施の形態および第2の実施の形態と比較し、切替回路213Cに供給されるコードの長さが2倍となる。
第4の実施の形態における受信部が備える位置検出回路内の演算処理回路では、送信信号供給回路21Cで生成された各コードに対応した処理が行われる。すなわち、ビットスクランブルされたコード配置を元のコード配置に戻すとともに、コードAsiとそのコードの極性を反転したコードのそれぞれと、コードAsiに対応した相関演算用コードとの相関演算を行い相関値を算出する。同様にして、コードBsiとそのコードの極性を反転したコードのそれぞれと、コードBsiに対応した相関演算用コードとの相関演算を行うことでそれぞれの相関値を算出する。このようにして算出した4種類の相関値を、第1の実施の形態及び第2の実施の形態で行われる相関値の合成処理を行う。上述の信号処理は、例えば、第1の実施例の形態の構成として示す演算処理回路35に時分割処理させることで実現できる。
具体的には、演算処理回路35に入力信号の切替回路を具備した演算処理回路(図示せず)を備え、送信信号供給回路21Cで生成されたコードに対応した受信信号の内、第1段階の信号処理として、コードAsi発生回路21で生成されたコードAs0〜As15とコードBsi発生回路で生成されたコードBs0〜Bs15に対応したそれぞれの相関演算用コードと受信信号との相関演算処理を行う。これは、第1の実施の形態の構成での処理手続きと同一である。時分割処理の第2段階として、前記の入力信号切替回路を介して極性反転回路217および極性反転回路218で生成された、極性が反転したコードに対応した受信信号を対象として上述の相関演算処理を行う。この処理で得られた各相関値は出力回路36に時分割処理データを取り扱うためのメモリ回路を具備した出力回路(図示せず)に供給されて処理される。
また、切替回路213Cで所定の規則に基づいたビットスクランブル処理が行われる場合には、既述したように、演算処理回路にて所定の規則に基づいてビットスクランブル処理されたビット列を元のビット列に変換した後に上述の相関演算処理を行う。また、出力回路では、第1の実施の形態の構成で示す出力回路36での処理と、第2の実施の形態の構成で示す出力回路36での処理が行われることで、指示体検出におけるゴースト信号の発生の排除と直流オフセット分のキャンセルのための処理が同時に行われる。
[その他の変形例]
上述した第1〜第4の実施の形態では、一対のコード列は、そのまま送信導体に供給するようにしたが、一対のコード列のそれぞれを、例えば周波数変調(FSK:Frequency Shift Keying)や位相変調(PSK:Phase Shift Keying)を施して送信導体に供給するようにしても良い。このように、所定の変調を施した送信信号を供給する場合には、受信部では、周波数変調や位相変調された一対のコード列を復調した後、上述した受信信号処理を実行するようにすれば良い。このように、送信信号に所定の変調を施して供給する場合には、例えば、第1の実施の形態における受信部300においては、A/D変換回路32の前段にその変調に対応する復調回路を設ける構成にし、復調後の受信信号に対し相関演算等をする構成にする。このように送信信号に対し所定の変調を施して送受信することで、さらにS/Nの向上を図ることができる。
1…指示体検出装置、11…送信導体群、11Y…送信導体、12…受信導体群、12X…受信導体、200…送信部、21…送信信号供給回路、22…送信導体選択回路、23…クロック発生回路、300…受信部、31…受信導体選択回路、32…増幅回路、33…A/D変換回路、34…位置検出回路、35…演算処理回路、36…出力回路、40…制御回路、211…コードAsi発生回路、212…コードBsi発生回路、215…アダマールコード発生回路、216…極性反転回路

Claims (7)

  1. 第1の方向に配置された複数の第1の導体と、前記第1の方向に対して交差する第2の方向に配置された複数の第2の導体とからなる導体パターンと、
    互いが同一のコード長を有するとともに互いが所定の関連性を備えたコードである第1および第2のコードからなる送信信号を生成して前記第1の導体に供給するための信号供給回路と、
    前記複数の第2の導体に接続され、前記導体パターンと指示体との間の静電容量の変化に対応した受信信号を検出するための信号検出回路と、
    前記信号検出回路で検出された前記受信信号と、前記第1のコードに対応した第1の相関値演算用信号との間で第1の相関値を算出すると共に、前記信号検出回路で検出された前記受信信号と、前記第2のコードに対応した第2の相関値演算用信号との間で第2の相関値を算出する相関演算回路と、
    前記相関演算回路で算出された前記第1の相関値と、前記第2の相関値とを演算することで合成した合成相関値を算出する合成回路と、
    を備え、
    前記合成回路において得られた前記合成相関値に基づいて、前記指示体を検出する指示体検出装置。
  2. 前記信号供給回路は、前記第1および第2のコードを構成するビットの配置を互いに入替えて出力することを特徴とする請求項1に記載の指示体検出装置。
  3. 前記信号供給回路は、前記第1のコードの出力に引き続いて第2のコードを出力することを特徴とする請求項1に記載の指示体検出装置。
  4. 前記信号供給回路は、前記送信信号の前記第1のコードと前記第2のコードとの間で、所定ビット数を単位として、互いのビット配置を入れ替えて出力する
    ことを特徴とする請求項1に記載の指示体検出装置。
  5. 前記第1および第2のコードは、コンプリメンタリコードである
    ことを特徴とする請求項1に記載の指示体検出装置。
  6. 前記第2のコードは、前記第1のコードを極性反転させたコードである
    ことを特徴とする請求項1に記載の指示体検出装置。
  7. 第1の方向に配置された複数の第1の導体と、前記第1の方向に対して交差する第2の方向に配置された複数の第2の導体とからなる導体パターン上で、指示体が指示した位置を検出するための指示体検出方法であって、
    互いが同一のコード長を有するとともに、互いが所定の関連性を備えたコードである第1および第2のコードからなる送信信号を生成して前記第1の導体に供給し、
    前記複数の第2の導体に接続され、前記導体パターンと指示体との間の静電容量の変化に対応した受信信号を検出し、
    前記信号検出回路で検出された前記受信信号と、前記第1のコードに対応した第1の相関値演算用信号との間で第1の相関値を算出すると共に、前記信号検出回路で検出された前記受信信号と、前記第2のコードに対応した第2の相関値演算用信号との間で第2の相関値を算出し、
    前記相関演算回路で算出された前記第1の相関値と、前記第2の相関値とを演算することで合成した合成相関値を算出し、
    前記合成回路において得られた前記合成相関値に基づいて前記指示体を検出するようにしたこと特徴とする指示体検出方法。
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