JP2012122933A - 時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】持続時間を長くできるぜんまい駆動の時計を提供すること。
【解決手段】ぜんまい10の出力トルクにより回転する第1楕円歯車122と、第1楕円歯車122に噛み合って回転する第2楕円歯車131と、第2楕円歯車131から伝達されるトルクにより回転する輪列20とを備える。第1楕円歯車122および前記第2楕円歯車131は、噛み合い位置Aにおける第1楕円歯車122のピッチ面の回転中心点O1からの径寸法および第2楕円歯車131のピッチ面の回転中心点O2からの径寸法の和が一定となる噛み合わせで設定され、第2楕円歯車131の歯数を第1楕円歯車122の歯数で除した値である速度伝達比は、ぜんまい10が解けるにしたがって、1より大きくなるように設定される。
【選択図】図1
【解決手段】ぜんまい10の出力トルクにより回転する第1楕円歯車122と、第1楕円歯車122に噛み合って回転する第2楕円歯車131と、第2楕円歯車131から伝達されるトルクにより回転する輪列20とを備える。第1楕円歯車122および前記第2楕円歯車131は、噛み合い位置Aにおける第1楕円歯車122のピッチ面の回転中心点O1からの径寸法および第2楕円歯車131のピッチ面の回転中心点O2からの径寸法の和が一定となる噛み合わせで設定され、第2楕円歯車131の歯数を第1楕円歯車122の歯数で除した値である速度伝達比は、ぜんまい10が解けるにしたがって、1より大きくなるように設定される。
【選択図】図1
Description
本発明は、機械式時計や電子制御式機械時計等の時計に関する。
従来、ぜんまいを駆動源として、巻き上げられたぜんまいが解ける際に発生する出力トルクを輪列に伝達して、指針を運針する機械式時計や、電子制御式機械時計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電子制御式機械時計では、ぜんまいにより輪列を介して駆動される磁石付きのロータと、ロータが回転可能に配置されるステータと、ステータの一部に巻き回されるコイルとを有する発電機が設けられている。そして、ぜんまいの出力トルクによって輪列が回転すると、この回転運動がロータに伝達されてロータが回転し、電磁誘導によってコイルに起電力が発生する。そして、この起電力によって制御回路を駆動し、前記コイル両端をショートさせてショートブレーキを加えてロータの回転速度を調速することにより、輪列に制動をかけて当該輪列を調速している。
ところで、ぜんまいの出力トルクは、ぜんまいが解けていくにしたがって、徐々に低下する。このため、特許文献1に記載の電子制御式機械時計では、ぜんまいの出力トルクが低下すると、発電機を駆動するトルクが小さくなる。すると、制御回路などを駆動するために必要な電力が確保できず、ぜんまいで駆動される指針を正確に運針することもできなくなる。すなわち、ぜんまいの巻数が、指針を調速するために必要な最小調速トルクを出力できる所定の巻数以下となると、調速機は、輪列の回転速度を調速することができない。従って、時計において正しい時刻を指示できる期間つまり時計の持続時間が短くなるという問題がある。
また、一般的な機械式時計においても、ぜんまいの出力トルクが低下すると、ぜんまいにより回転される輪列の回転速度を調速することができず、時刻の指示精度が悪くなったり、時計の持続時間が短くなるという問題がある。
本発明の目的は、持続時間を長くできるぜんまい駆動の時計を提供することにある。
本発明の時計は、ぜんまいが収容される香箱車と、前記香箱車を介して伝達された前記ぜんまいの出力トルクにより回転する第1変速車と、前記第1変速車に噛み合って回転する第2変速車と、前記第2変速車から伝達されるトルクにより回転する輪列と、前記輪列によって駆動される指針と、を備え、前記第1変速車および前記第2変速車は、互いに噛み合う歯車のピッチ面の回転中心点からの径寸法が回転方向に向かうにしたがって変化する形状に形成され、かつ、噛み合い位置における前記第1変速車のピッチ面の回転中心点からの径寸法および前記第2変速車のピッチ面の回転中心点からの径寸法の和が一定となる噛み合わせで設定され、前記第2変速車の歯数を前記第1変速車の歯数で除した値である速度伝達比は、前記ぜんまいが解けるにしたがって、1より大きくなるように設定されることを特徴とする。
本発明によれば、ぜんまいが解けるにしたがって、第2変速車の歯数を第1変速車の歯数で除した値の速度伝達比は、1より大きくなるようにつまり減速歯車機構となるように設定されている。これによれば、ぜんまいが解けるにしたがって、ぜんまいの出力トルクが小さくなっていくが、第2変速車および第1変速車は減速歯車機構となるため、第2変速車から輪列に伝達されるトルクをぜんまいの出力トルクよりも大きくすることができる。
従って、本発明では、ぜんまいから第1変速車および第2変速車を介して輪列を駆動するため、指針を正確に運針するために必要な最小調速トルクを輪列に出力する際のぜんまいの巻数を、ぜんまいから輪列に直接トルクを伝達する場合に比べて小さくすることができる。このため、指針を正確に運針し続けることができる時計の持続時間を長くできる。
従って、本発明では、ぜんまいから第1変速車および第2変速車を介して輪列を駆動するため、指針を正確に運針するために必要な最小調速トルクを輪列に出力する際のぜんまいの巻数を、ぜんまいから輪列に直接トルクを伝達する場合に比べて小さくすることができる。このため、指針を正確に運針し続けることができる時計の持続時間を長くできる。
本発明の時計では、前記速度伝達比は、前記ぜんまいの出力トルクが前記輪列を調速可能な最大トルクよりも大きくなる場合に、1より小さくなるように設定されることが好ましい。
本発明によれば、ぜんまいがフル巻き状態である場合のように、ぜんまいの出力トルクが輪列を調速可能な最大トルクよりも大きくなる場合に、速度伝達比は1より小さくなるように設定される。このため、第1変速車および第2変速車は増速歯車機構となり、第2変速車から輪列に伝達されるトルクをぜんまいの出力トルクよりも小さくできる。従って、本発明によれば、輪列に伝達される最大トルクを、ぜんまいから直接輪列にトルクを出力する場合に比べて小さくできる。よって、輪列を調速するために必要なブレーキ力を小さくでき、指針の調速制御を安定して行うことができる。
本発明の時計では、前記ぜんまいの最大巻き上げ時では、前記第1変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さは、前記第1変速車の最も長い径寸法となり、前記第2変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さは、前記第2変速車の最も短い径寸法となり、前記ぜんまいが解けて前記第1変速車および第2変速車が回転し、前記第1変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さが前記第1変速車の最も短い径寸法となり、前記第2変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さが前記第2変速車の最も長い径寸法となった時点で、第2変速車から輪列に出力されるトルクが前記輪列を調速可能な最小調速トルクになるように前記第1変速車および第2変速車の歯数が設定されることが好ましい。
本発明によれば、ぜんまいの最大巻き上げ時において、第1変速車の回転中心点から噛み合い位置までの長さは、第1変速車の最も長い径寸法となる。また、第2変速車の回転中心点から噛み合い位置までの長さは、第2変速車の最も短い径寸法となっている。このため、ぜんまいの最大巻き上げ時において、第1変速車および第2変速車の速度伝達比は、設定可能な範囲で最小値となり、第1変速車および第2変速車の増速比が最大となる。
これにより、ぜんまいの出力トルクが最も大きなフル巻き時に、第2変速車から輪列に伝達されるトルクを大幅に小さくできる。
一方、前記ぜんまいが解けた場合、第1変速車および第2変速車の減速比が最大となる際に、第2変速車から輪列に出力されるトルクが前記輪列を調速可能な最小調速トルクになるように設定されているので、ぜんまいが解けた際に輪列を調速可能な巻数の下限値を最大限小さくでき、持続時間を最も長くできる。
これにより、ぜんまいの出力トルクが最も大きなフル巻き時に、第2変速車から輪列に伝達されるトルクを大幅に小さくできる。
一方、前記ぜんまいが解けた場合、第1変速車および第2変速車の減速比が最大となる際に、第2変速車から輪列に出力されるトルクが前記輪列を調速可能な最小調速トルクになるように設定されているので、ぜんまいが解けた際に輪列を調速可能な巻数の下限値を最大限小さくでき、持続時間を最も長くできる。
本発明の時計では、前記第1変速車および前記第2変速車は、同一の楕円形状の歯車であることが好ましい。
本発明によれば、第1変速車および第2変速車は、同一サイズの楕円形状の歯車であるので、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減できる。
本発明の時計では、前記第1変速車および前記第2変速車は、アルキメデス渦巻線をピッチ円とする同一の歯車であることが好ましい。
本発明によれば、第1変速車および第2変速車は、アルキメデス渦巻線をピッチ円とする同一の歯車であるので、上述したように、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減できる。
本発明の時計では、前記輪列により駆動されて発電する発電機と、前記発電機が発電した電力により駆動され、前記発電機の回転周期を制御することにより前記輪列に制動を掛けて前記輪列を調速する制御回路とを備えることが好ましい。
本発明によれば、輪列により伝達されたぜんまいの出力トルクによって駆動される発電機と、発電機の回転周期を制御して輪列に制動を掛けて輪列を調速する制御回路とを備える。これによれば、制御回路は、ぜんまいの出力トルクにより駆動された発電機の電力により駆動され、輪列に制動を掛けて、輪列を調速することで、指針の運針を正確に行うことができる。従って、電池等の動力源を用いることなく、ぜんまいを動力源として指針の運針を正確に行うことできる。
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔電子制御式機械時計の概略構成〕
図1は、第1実施形態の電子制御式機械時計1(時計)の概略平面図である。
電子制御式機械時計1は、図1に示すように、ぜんまい10が収容される香箱車11と、第1調速車12と、第2調速車13と、輪列20とを備える。
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔電子制御式機械時計の概略構成〕
図1は、第1実施形態の電子制御式機械時計1(時計)の概略平面図である。
電子制御式機械時計1は、図1に示すように、ぜんまい10が収容される香箱車11と、第1調速車12と、第2調速車13と、輪列20とを備える。
ぜんまい10の外端は、時計1が手巻き時計の場合には、香箱車11の外周に形成された香箱歯車111に固定され、また、時計1が自動巻時計の場合には、香箱車11の内周に当接され、所定値以上のトルクが付加されるとぜんまい10が香箱車11内周に対して滑るように構成されている。
ぜんまい10の内端は、香箱車11の中心に設けられた香箱真112に固定されており、香箱真112は、角穴車(図示略)と一体的に回転可能な香箱真かな113とともに、一体的に回転可能となっている。角穴車は、図示しない巻き上げ部に接続されており、巻き上げ部の一部である巻真や回転錘を回転させると、角穴車が回転し、ぜんまい10が巻き上げられるようになっている。
ぜんまい10の内端は、香箱車11の中心に設けられた香箱真112に固定されており、香箱真112は、角穴車(図示略)と一体的に回転可能な香箱真かな113とともに、一体的に回転可能となっている。角穴車は、図示しない巻き上げ部に接続されており、巻き上げ部の一部である巻真や回転錘を回転させると、角穴車が回転し、ぜんまい10が巻き上げられるようになっている。
第1調速車12は、香箱車11と噛み合い、ぜんまい10が解ける際に発生する出力トルクで回転する。この第1調速車12は、香箱車11と噛み合う円形状の第1平歯車121と、第1平歯車121と一体的に回転する楕円形状の第1楕円歯車122(第1変速車)とを備える。
第1平歯車121は、香箱車11から伝達されるぜんまい10の出力トルクにより回転し、これに伴って、第1楕円歯車122も回転する。
第1楕円歯車122は、本実施形態において、長径寸法と短径寸法との比率が長径寸法を1とした場合、短径寸法が0.7となるように形成されている。
第1平歯車121は、香箱車11から伝達されるぜんまい10の出力トルクにより回転し、これに伴って、第1楕円歯車122も回転する。
第1楕円歯車122は、本実施形態において、長径寸法と短径寸法との比率が長径寸法を1とした場合、短径寸法が0.7となるように形成されている。
第2調速車13は、第1調速車12に噛み合っており、第1調速車12の回転に連動して回転する。すなわち、第2調速車13は、第1調速車12を介して伝達されたぜんまい10の出力トルクにより回転する。この第2調速車13は、第1楕円歯車122と噛み合う楕円形状の第2楕円歯車131(第2変速車)と、第2楕円歯車131と一体的に回転する円形状の第2平歯車132とを備える。
第2楕円歯車131は、第1楕円歯車122と同一サイズに形成されており、第1楕円歯車122から伝達されるトルクにより回転し、これに伴って、第2平歯車132も回転する。
第2楕円歯車131は、第1楕円歯車122と同一サイズに形成されており、第1楕円歯車122から伝達されるトルクにより回転し、これに伴って、第2平歯車132も回転する。
第1楕円歯車122および第2楕円歯車131は、ぜんまい10の最大巻き上げ時に、図2(A)に示すように、第1楕円歯車122の長径軸と、第2楕円歯車131の短径軸と、噛み合い位置Aとが一直線上となるように配置される。ここで、噛み合い位置Aとは、各楕円歯車122,131のピッチ面(ピッチ円)の接点である。
すなわち、第1楕円歯車122の回転中心点O1から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も長い径寸法となり、第2楕円歯車131の回転中心点O2から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も短い径寸法となる。従って、各楕円歯車122,131は、設定可能な最大の増速比の状態となる。そして、第1楕円歯車122は、ぜんまい10の最大巻き上げ時から、第2調速車13が輪列20を調速可能な最小調速トルクTg0を出力可能な巻数まで解けると、反時計回りに90度回転するように設定されている。
なお、第1調速車12および第2調速車13の回転動作の詳細については、後述する。
すなわち、第1楕円歯車122の回転中心点O1から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も長い径寸法となり、第2楕円歯車131の回転中心点O2から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も短い径寸法となる。従って、各楕円歯車122,131は、設定可能な最大の増速比の状態となる。そして、第1楕円歯車122は、ぜんまい10の最大巻き上げ時から、第2調速車13が輪列20を調速可能な最小調速トルクTg0を出力可能な巻数まで解けると、反時計回りに90度回転するように設定されている。
なお、第1調速車12および第2調速車13の回転動作の詳細については、後述する。
輪列20は、第2調速車13を介して伝達されたぜんまい10の出力トルクにより回転する。この輪列20は、第2平歯車132と噛み合う二番車2、二番車2と噛み合う三番車3、二番車2と同軸上に配置されて三番車3と噛み合う四番車4、四番車4と噛み合う五番車5、五番車5と噛み合う六番車6により構成された増速輪列である。二番車2と一体の図示しない筒かなには分針が取り付けられ、筒かなから日の裏車を介して回転が伝達される筒車には時針が取り付けられる。また、四番車4の軸部先端には秒針が取り付けられる。さらに、最も高速となる六番車6の回転は、発電機7のロータ8に伝達される。
発電機7は、図1に示すように、ロータ8と、ロータ8が回転可能に配置されるステータ71と、ステータ71の一部に巻き回されるコイル72とを備えて構成されている。
ステータ71は、図1に示すように、ロータ8が一端側に配置される一対のステータ本体73を備えている。そして、コイル72は、ステータ本体73にそれぞれ巻線されている
ステータ71は、図1に示すように、ロータ8が一端側に配置される一対のステータ本体73を備えている。そして、コイル72は、ステータ本体73にそれぞれ巻線されている
発電機7で発電された電気的エネルギーは、回路基板100に設けられたICや水晶振動子等で構成された制御回路101に供給され、制御回路101を駆動している。制御回路101は、発電機7のコイル72をショートさせてブレーキ力を発生させることで、ロータ8の回転制御を行い、輪列20を調速するように構成されている。
〔第1楕円歯車および第2楕円歯車の回転動作〕
図2から図4は、第1調速車12の第1楕円歯車122、および第2調速車13の第2楕円歯車131がそれぞれ9度ずつ回転する状態をピッチ円で示す図である。また、図5は、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131が回転した際の速度伝達比iの変動を示すグラフである。
図2から図4に示すように、第1楕円歯車122が反時計回りに回転し、第2楕円歯車131が時計回りに回転することで、いずれの回転状態においても、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131の回転中心点O1,O2から噛み合い位置Aまでの径寸法の和は、一定となるように設定される。
図2から図4は、第1調速車12の第1楕円歯車122、および第2調速車13の第2楕円歯車131がそれぞれ9度ずつ回転する状態をピッチ円で示す図である。また、図5は、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131が回転した際の速度伝達比iの変動を示すグラフである。
図2から図4に示すように、第1楕円歯車122が反時計回りに回転し、第2楕円歯車131が時計回りに回転することで、いずれの回転状態においても、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131の回転中心点O1,O2から噛み合い位置Aまでの径寸法の和は、一定となるように設定される。
ここで、第1楕円歯車122と第2楕円歯車131との速度伝達比iとは、第2楕円歯車131の歯数を第1楕円歯車122の歯数で除した値である。具体的に、速度伝達比iは、以下の式(1)で求められる。
[数1]
i=Z2/Z1・・・(1)
Z1は、第1楕円歯車122の歯数であり、Z2は、第2楕円歯車131の歯数である。
i=Z2/Z1・・・(1)
Z1は、第1楕円歯車122の歯数であり、Z2は、第2楕円歯車131の歯数である。
図2(A)から(D)、および図3(A)では、速度伝達比iが1より小さいため、第1調速車12および第2調速車13は増速歯車機構として動作する。
図3(B)から(D)、および図4(A)から(C)では、速度伝達比iが1より大きいため、第1調速車12および第2調速車13は減速歯車機構として動作する。
すなわち、第1楕円歯車122が0°から90°まで回転することで、図5のグラフに示すように、第1調速車12および第2調速車13の速度伝達比iは、1以下の増速領域から1以上の減速領域まで順次増加する。
そして、図2から図4に示すように、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131は、ぜんまい10の最大巻き上げ時から、輪列20を調速可能な最小調速トルクTg0の発生時まで、ぜんまい10が解けるに伴って、それぞれ90度回転する。
図3(B)から(D)、および図4(A)から(C)では、速度伝達比iが1より大きいため、第1調速車12および第2調速車13は減速歯車機構として動作する。
すなわち、第1楕円歯車122が0°から90°まで回転することで、図5のグラフに示すように、第1調速車12および第2調速車13の速度伝達比iは、1以下の増速領域から1以上の減速領域まで順次増加する。
そして、図2から図4に示すように、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131は、ぜんまい10の最大巻き上げ時から、輪列20を調速可能な最小調速トルクTg0の発生時まで、ぜんまい10が解けるに伴って、それぞれ90度回転する。
〔時計の持続性能〕
図6は、最大ブレーキトルクTbおよび最小調速トルクTg0の特性を示すグラフであり、最大ブレーキトルクTbおよび最小調速トルクTg0は、連動して変化する。
ここで、最大ブレーキトルクTbとは、発電機7つまり輪列20を調速可能なトルクの最大値である。つまり、最大ブレーキトルクTbよりも大きなトルクが発電機7に加わると、発電機7で発生するショートブレーキ力では輪列20を一定速度に調速することができず、結果的に、指針が実際の時刻よりも進んでしまうものである。
また、最小調速トルクTg0とは、発電機7つまり輪列20を調速可能なトルクの最小値である。本実施形態では、発電機7で制御回路101等を駆動可能な所定電圧の発電を行うことができる最小トルクの値である。
図6は、最大ブレーキトルクTbおよび最小調速トルクTg0の特性を示すグラフであり、最大ブレーキトルクTbおよび最小調速トルクTg0は、連動して変化する。
ここで、最大ブレーキトルクTbとは、発電機7つまり輪列20を調速可能なトルクの最大値である。つまり、最大ブレーキトルクTbよりも大きなトルクが発電機7に加わると、発電機7で発生するショートブレーキ力では輪列20を一定速度に調速することができず、結果的に、指針が実際の時刻よりも進んでしまうものである。
また、最小調速トルクTg0とは、発電機7つまり輪列20を調速可能なトルクの最小値である。本実施形態では、発電機7で制御回路101等を駆動可能な所定電圧の発電を行うことができる最小トルクの値である。
図6に示すように、発電機7の特性上、最大ブレーキトルクTbが大きいと、最小調速トルクTg0も大きくなり、最大ブレーキトルクTbが小さくなると、最小調速トルクTg0も小さくなる。
例えば、最大ブレーキトルクがTb1の場合、最小調速トルクはTg01となり、最大ブレーキトルクがTb2の場合、最小調速トルクはTg02となる。ここで、Tb1>Tb2であれば、Tg01>Tg02となる。
従って、電子制御式機械時計1においては、最大ブレーキトルクTbを小さくできれば、最小調速トルクはTg0も小さくでき、その分、ぜんまい10の巻数が小さい範囲まで利用でき、持続時間をより長くできる。
例えば、最大ブレーキトルクがTb1の場合、最小調速トルクはTg01となり、最大ブレーキトルクがTb2の場合、最小調速トルクはTg02となる。ここで、Tb1>Tb2であれば、Tg01>Tg02となる。
従って、電子制御式機械時計1においては、最大ブレーキトルクTbを小さくできれば、最小調速トルクはTg0も小さくでき、その分、ぜんまい10の巻数が小さい範囲まで利用でき、持続時間をより長くできる。
図7は、本実施形態に係るぜんまい10の出力トルクと、第2調速車13の出力トルクと、ぜんまい10の巻数との関係を示すグラフである。
図7のグラフにおいて、横軸は、ぜんまい10のフル巻き時の巻数を「1」、完全に解けた状態の巻数を「0」として、巻数をフル巻き時の巻数に対する割合で示している。図7の縦軸は、ぜんまい10のフル巻き時の出力トルクを「1」、完全に解けた時のトルクを「0」として、出力トルクをぜんまい10のフル巻き時の出力トルクに対する割合で示している。
また、図7のグラフにおいて、ぜんまい10の出力トルクは実線で示し、第2調速車13の出力トルクは点で示す。この点は、図5の第1楕円歯車122の回転角度に対応しており、ぜんまい巻数が「1」の場合は第1楕円歯車122の回転角度0°であり、ぜんまい巻数が小さくなるに従って、0°から90°まで9°間隔で変化した時点をプロットしている。
図7のグラフにおいて、横軸は、ぜんまい10のフル巻き時の巻数を「1」、完全に解けた状態の巻数を「0」として、巻数をフル巻き時の巻数に対する割合で示している。図7の縦軸は、ぜんまい10のフル巻き時の出力トルクを「1」、完全に解けた時のトルクを「0」として、出力トルクをぜんまい10のフル巻き時の出力トルクに対する割合で示している。
また、図7のグラフにおいて、ぜんまい10の出力トルクは実線で示し、第2調速車13の出力トルクは点で示す。この点は、図5の第1楕円歯車122の回転角度に対応しており、ぜんまい巻数が「1」の場合は第1楕円歯車122の回転角度0°であり、ぜんまい巻数が小さくなるに従って、0°から90°まで9°間隔で変化した時点をプロットしている。
ここで、電子制御式機械時計1の持続性能は、ぜんまい10の出力トルクの変動範囲と調速機である発電機7のブレーキ性能とによって決まる。
本実施形態では、ぜんまい10の最大巻き上げ時において、第1調速車12および第2調速車13は増速歯車機構となるため、図7のグラフに示すように、第2調速車13の出力トルクはぜんまい10の出力トルクよりも小さくなる。
ぜんまい10の最大巻き上げ時には、第1楕円歯車122と第2楕円歯車131との速度伝達比iが約0.7(図5参照)となる。このため、図7に示すように、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクがぜんまい10から直接伝達される場合に比べて小さくなる。
本実施形態では、ぜんまい10の最大巻き上げ時において、第1調速車12および第2調速車13は増速歯車機構となるため、図7のグラフに示すように、第2調速車13の出力トルクはぜんまい10の出力トルクよりも小さくなる。
ぜんまい10の最大巻き上げ時には、第1楕円歯車122と第2楕円歯車131との速度伝達比iが約0.7(図5参照)となる。このため、図7に示すように、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクがぜんまい10から直接伝達される場合に比べて小さくなる。
図7の例では、第2調速車13の出力トルクの最大値は、第1楕円歯車122の回転角度が63°の場合であり、この際の出力トルクは0.87である。
このため、輪列20を介して発電機7に伝達されるトルクも小さくなるため、図6のグラフに示す特性で決まっている最大ブレーキトルクTbおよび最小調速トルクTg0において、最大ブレーキトルクTbを小さくでき、これに伴って、最小調速トルクTg0もより小さくできる。
例えば、図7において、最大ブレーキトルクTbが「1」の場合、最小調速トルクTg0が「0.66」であり、その際の持続時間がT1であったとする。また、最大ブレーキトルクTbが「0.87」の場合、最小調速トルクTg0が「0.57」であり、その際の持続時間がT2であったとする。この場合、T2>T1となる。
すなわち、最大ブレーキトルクTbを小さくすることで、最小調速トルクTg0を小さくできれば、時計1の持続時間T2は従来の持続時間T1に比べて長くできる。
このため、輪列20を介して発電機7に伝達されるトルクも小さくなるため、図6のグラフに示す特性で決まっている最大ブレーキトルクTbおよび最小調速トルクTg0において、最大ブレーキトルクTbを小さくでき、これに伴って、最小調速トルクTg0もより小さくできる。
例えば、図7において、最大ブレーキトルクTbが「1」の場合、最小調速トルクTg0が「0.66」であり、その際の持続時間がT1であったとする。また、最大ブレーキトルクTbが「0.87」の場合、最小調速トルクTg0が「0.57」であり、その際の持続時間がT2であったとする。この場合、T2>T1となる。
すなわち、最大ブレーキトルクTbを小さくすることで、最小調速トルクTg0を小さくできれば、時計1の持続時間T2は従来の持続時間T1に比べて長くできる。
さらに、本実施形態では、ぜんまい10が解けた際に、第1調速車12および第2調速車13が減速歯車機構となるように設定しているので、時計1の持続時間T3をT2に比べても長くできる。
すなわち、ぜんまい10が解けるにしたがって、速度伝達比iが大きくなっていき、第2楕円歯車131の回転速度が小さくなっていく。これにより、ぜんまい10から出力されるトルクは低下していくが、図7に示すように、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクはぜんまい10の出力トルクよりも大きくなっていく。このため、第2調速車13の出力トルクが最小調速トルクTg0(0.57)となる巻数をより小さくできる。例えば、図7では、持続時間T2経過時のぜんまい巻数が0.24であるのに対し、持続時間T3経過時の巻数は0.126であり、持続時間T3は持続時間T2に比べて約15%伸ばすことができる。もちろん、従来の持続時間T1に比べるとより大幅に持続時間を伸ばすことができる。
すなわち、ぜんまい10が解けるにしたがって、速度伝達比iが大きくなっていき、第2楕円歯車131の回転速度が小さくなっていく。これにより、ぜんまい10から出力されるトルクは低下していくが、図7に示すように、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクはぜんまい10の出力トルクよりも大きくなっていく。このため、第2調速車13の出力トルクが最小調速トルクTg0(0.57)となる巻数をより小さくできる。例えば、図7では、持続時間T2経過時のぜんまい巻数が0.24であるのに対し、持続時間T3経過時の巻数は0.126であり、持続時間T3は持続時間T2に比べて約15%伸ばすことができる。もちろん、従来の持続時間T1に比べるとより大幅に持続時間を伸ばすことができる。
上述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ぜんまい10が解けるにしたがって、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131の速度伝達比iが1より大きくなるように設定しているので、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクをぜんまい10の出力トルクに比べて大きくすることができる。従って、最小調速トルクTg0を出力できるぜんまいの巻数を従来の巻数よりも小さくでき、その分、持続時間を長くできる。
(1)ぜんまい10が解けるにしたがって、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131の速度伝達比iが1より大きくなるように設定しているので、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクをぜんまい10の出力トルクに比べて大きくすることができる。従って、最小調速トルクTg0を出力できるぜんまいの巻数を従来の巻数よりも小さくでき、その分、持続時間を長くできる。
(2)また、ぜんまい10がフル巻き状態から巻き解ける一定範囲では、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131の速度伝達比iが1より小さくなるように設定しているので、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクをぜんまい10の出力トルクよりも小さくできる。従って、最大ブレーキトルクTbを小さくでき、その分、最小調速トルクTg0も小さくできるので、持続時間をより長くできる。
(3)ぜんまい10のフル巻き時に、第1調速車12および第2調速車13の増速比を最大とし、最小調速トルクTg0が出力される時に、第1調速車12および第2調速車13の減速比を最大としているので、第2調速車13から輪列20に伝達されるトルクの変動幅を小さくでき、輪列20および発電機7を安定して調速できる。
(4)第1楕円歯車122および第2楕円歯車131は、同一サイズの楕円形状の歯車であるので、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減できる。
また、制御回路101は、ぜんまい10の出力トルクにより駆動された発電機7の電力により駆動され、輪列20に制動を掛けて、輪列20を調速することで、指針の運針を正確に行うことができる。従って、電池等の動力源を用いることなく、ぜんまい10を動力源として指針の運針を正確に行うことできる。
また、制御回路101は、ぜんまい10の出力トルクにより駆動された発電機7の電力により駆動され、輪列20に制動を掛けて、輪列20を調速することで、指針の運針を正確に行うことができる。従って、電池等の動力源を用いることなく、ぜんまい10を動力源として指針の運針を正確に行うことできる。
[第2実施形態]
以下、本発明に係る第2実施形態について、図8を参照して説明する。
前記第1実施形態では、第1調速車12および第2調速車13は、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131を備える構成であったが、本実施形態での第1調速車12Aおよび第2調速車13Aは、第1スクロール歯車122A(第1変速車)および第2スクロール歯車131A(第2変速車)を備える点で相違する。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
以下、本発明に係る第2実施形態について、図8を参照して説明する。
前記第1実施形態では、第1調速車12および第2調速車13は、第1楕円歯車122および第2楕円歯車131を備える構成であったが、本実施形態での第1調速車12Aおよび第2調速車13Aは、第1スクロール歯車122A(第1変速車)および第2スクロール歯車131A(第2変速車)を備える点で相違する。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aは、図8に示すように、同一サイズで、ピッチ線が渦巻曲線(中心角が0度から360度まで大きくなるにしたがって、回転中心点O1,O2から外周までの径寸法が大きくなる曲線)に形成される。具体的には、第1スクロール歯車122Aは、回転方向に向かうにしたがって、径寸法が小さくなり、第2スクロール歯車131Aは、回転方向に向かうにしたがって、径寸法が大きくなるように形成される。
図9は、第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aがそれぞれ90度ずつ回転する状態をピッチ円で示す図である。
ぜんまい10の最大巻き上げ時において、図9(A)に示すように、第1スクロール歯車122Aの回転中心点O1から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も長い径寸法となり、第2スクロール歯車131Aの回転中心点O2から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も短い径寸法となる。そして、第1スクロール歯車122Aが反時計回りに回転し、第2スクロール歯車131Aが時計回りに回転することで、いずれの回転状態においても、第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aの回転中心点O1,O2から噛み合い位置Aまでの径寸法の和は、一定となるように設定される。
図9(A)および(B)では、第1スクロール歯車122Aと第2スクロール歯車131Aとの速度伝達比iが1より小さくなり、図9(C)から図9(D)では、速度伝達比iが1より大きくなる。
このように、第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aは、ぜんまい10の最大巻き上げ時から、指針を駆動可能な最小調速トルクTg0の発生時まで、ぜんまい10が解けるに伴って、それぞれ340度回転する。
以上のような構成においても、前記第1実施形態と同様の時計1の持続性能を有する。
ぜんまい10の最大巻き上げ時において、図9(A)に示すように、第1スクロール歯車122Aの回転中心点O1から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も長い径寸法となり、第2スクロール歯車131Aの回転中心点O2から噛み合い位置Aまでの長さ寸法は、最も短い径寸法となる。そして、第1スクロール歯車122Aが反時計回りに回転し、第2スクロール歯車131Aが時計回りに回転することで、いずれの回転状態においても、第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aの回転中心点O1,O2から噛み合い位置Aまでの径寸法の和は、一定となるように設定される。
図9(A)および(B)では、第1スクロール歯車122Aと第2スクロール歯車131Aとの速度伝達比iが1より小さくなり、図9(C)から図9(D)では、速度伝達比iが1より大きくなる。
このように、第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aは、ぜんまい10の最大巻き上げ時から、指針を駆動可能な最小調速トルクTg0の発生時まで、ぜんまい10が解けるに伴って、それぞれ340度回転する。
以上のような構成においても、前記第1実施形態と同様の時計1の持続性能を有する。
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aは、同一の歯車であるので、上述したように、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減できる。
本実施形態によれば、第1スクロール歯車122Aおよび第2スクロール歯車131Aは、同一の歯車であるので、上述したように、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減できる。
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、ぜんまい10のフル巻き時に第1調速車12および第2調速車13が設定可能な最大増速比となり、最小調速トルクTg0が出力される時に第1調速車12および第2調速車13が設定可能な最大減速比となるように、各変速車の歯数を設定していたが、この設定に限定されない。すなわち、第1実施形態においては、第1楕円歯車122が0°から90°まで回転する範囲で設定していたが、例えば、18°から72°の範囲で回転するようにしてもよいし、54°から90°の範囲で回転するようにしてもよい。少なくとも、ぜんまい10が解けるにしたがって、速度伝達比が1よりも大きくなる状態、つまり減速歯車機構となるように設定すればよい。
ただし、前記各実施形態のように、第1調速車12および第2調速車13を増速領域から減速領域まで変化させたほうが、最大ブレーキトルクTbも低下できる点で好ましい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、ぜんまい10のフル巻き時に第1調速車12および第2調速車13が設定可能な最大増速比となり、最小調速トルクTg0が出力される時に第1調速車12および第2調速車13が設定可能な最大減速比となるように、各変速車の歯数を設定していたが、この設定に限定されない。すなわち、第1実施形態においては、第1楕円歯車122が0°から90°まで回転する範囲で設定していたが、例えば、18°から72°の範囲で回転するようにしてもよいし、54°から90°の範囲で回転するようにしてもよい。少なくとも、ぜんまい10が解けるにしたがって、速度伝達比が1よりも大きくなる状態、つまり減速歯車機構となるように設定すればよい。
ただし、前記各実施形態のように、第1調速車12および第2調速車13を増速領域から減速領域まで変化させたほうが、最大ブレーキトルクTbも低下できる点で好ましい。
さらに、本発明に係る各変速車の具体例は、前記各実施形態に限らず、回転に伴って速度伝達比を可変できるものであればよい。
前記各実施形態では、電子制御式機械時計1について例示したが、本発明を電子制御式機械時計1に限らず、ぜんまいおよびテンプ等を有する機械式時計に適用してもよい。
前記各実施形態では、電子制御式機械時計1について例示したが、本発明を電子制御式機械時計1に限らず、ぜんまいおよびテンプ等を有する機械式時計に適用してもよい。
1…電子制御式機械時計(時計)、7…発電機、10…ぜんまい、11…香箱車、20…輪列、101…制御回路、122…第1楕円歯車(第1変速車)、122A…第1スクロール歯車(第1変速車)、131…第2楕円歯車(第2変速車)、131A…第2スクロール歯車(第2変速車)。
Claims (6)
- ぜんまいが収容される香箱車と、
前記香箱車を介して伝達された前記ぜんまいの出力トルクにより回転する第1変速車と、
前記第1変速車に噛み合って回転する第2変速車と、
前記第2変速車から伝達されるトルクにより回転する輪列と、
前記輪列によって駆動される指針と、を備え、
前記第1変速車および前記第2変速車は、互いに噛み合う歯車のピッチ面の回転中心点からの径寸法が回転方向に向かうにしたがって変化する形状に形成され、かつ、噛み合い位置における前記第1変速車のピッチ面の回転中心点からの径寸法および前記第2変速車のピッチ面の回転中心点からの径寸法の和が一定となる噛み合わせで設定され、
前記第2変速車の歯数を前記第1変速車の歯数で除した値である速度伝達比は、前記ぜんまいが解けるにしたがって、1より大きくなるように設定される
ことを特徴とする時計。 - 請求項1に記載の時計において、
前記速度伝達比は、前記ぜんまいの出力トルクが前記輪列を調速可能な最大トルクよりも大きくなる場合に、1より小さくなるように設定される
ことを特徴とする時計。 - 請求項1または請求項2に記載の時計において、
前記ぜんまいの最大巻き上げ時では、前記第1変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さは、前記第1変速車の最も長い径寸法となり、前記第2変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さは、前記第2変速車の最も短い径寸法となり、
前記ぜんまいが解けて前記第1変速車および第2変速車が回転し、前記第1変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さが前記第1変速車の最も短い径寸法となり、前記第2変速車の回転中心点から前記噛み合い位置までの長さが前記第2変速車の最も長い径寸法となった時点で、第2変速車から輪列に出力されるトルクが前記輪列を調速可能な最小調速トルクになるように前記第1変速車および第2変速車の歯数が設定される
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の時計において、
前記第1変速車および前記第2変速車は、同一の楕円形状の歯車である
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の時計において、
前記第1変速車および前記第2変速車は、アルキメデス渦巻線をピッチ円とする同一の歯車である
ことを特徴とする時計。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の時計において、
前記輪列により駆動されて発電する発電機と、
前記発電機が発電した電力により駆動され、前記発電機の回転周期を制御することにより前記輪列に制動を掛けて前記輪列を調速する制御回路とを備える
ことを特徴とする時計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010275606A JP2012122933A (ja) | 2010-12-10 | 2010-12-10 | 時計 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CH707787A1 (fr) * | 2013-03-25 | 2014-09-30 | Richemont Int Sa | Organe régulateur pour montre bracelet et procédé d'assemblage d'un organe régulateur pour montre bracelet. |
CN105988355A (zh) * | 2015-03-19 | 2016-10-05 | Eta瑞士钟表制造股份有限公司 | 包括模拟显示器驱动装置的钟表机芯 |
-
2010
- 2010-12-10 JP JP2010275606A patent/JP2012122933A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CH707787A1 (fr) * | 2013-03-25 | 2014-09-30 | Richemont Int Sa | Organe régulateur pour montre bracelet et procédé d'assemblage d'un organe régulateur pour montre bracelet. |
WO2014154467A1 (fr) | 2013-03-25 | 2014-10-02 | Richemont International Sa | Organe régulateur pour montre bracelet et procédé d'assemblage d'un organe régulateur pour montre bracelet |
CN105988355A (zh) * | 2015-03-19 | 2016-10-05 | Eta瑞士钟表制造股份有限公司 | 包括模拟显示器驱动装置的钟表机芯 |
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