JP5050756B2 - ゼンマイ装置および時計 - Google Patents

ゼンマイ装置および時計 Download PDF

Info

Publication number
JP5050756B2
JP5050756B2 JP2007254148A JP2007254148A JP5050756B2 JP 5050756 B2 JP5050756 B2 JP 5050756B2 JP 2007254148 A JP2007254148 A JP 2007254148A JP 2007254148 A JP2007254148 A JP 2007254148A JP 5050756 B2 JP5050756 B2 JP 5050756B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mainspring
torque
wheel
winding
winding number
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007254148A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009085698A (ja
Inventor
理 高橋
信行 廣瀬
正明 前島
正俊 茂木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2007254148A priority Critical patent/JP5050756B2/ja
Priority to US12/207,164 priority patent/US7780342B2/en
Priority to DE602008003279T priority patent/DE602008003279D1/de
Priority to EP08017042A priority patent/EP2042944B1/en
Publication of JP2009085698A publication Critical patent/JP2009085698A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5050756B2 publication Critical patent/JP5050756B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G04HOROLOGY
    • G04BMECHANICALLY-DRIVEN CLOCKS OR WATCHES; MECHANICAL PARTS OF CLOCKS OR WATCHES IN GENERAL; TIME PIECES USING THE POSITION OF THE SUN, MOON OR STARS
    • G04B1/00Driving mechanisms
    • G04B1/10Driving mechanisms with mainspring
    • GPHYSICS
    • G04HOROLOGY
    • G04BMECHANICALLY-DRIVEN CLOCKS OR WATCHES; MECHANICAL PARTS OF CLOCKS OR WATCHES IN GENERAL; TIME PIECES USING THE POSITION OF THE SUN, MOON OR STARS
    • G04B9/00Supervision of the state of winding, e.g. indicating the amount of winding
    • G04B9/02Devices controlled by such state, e.g. device affording protection means against overwinding

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Springs (AREA)
  • One-Way And Automatic Clutches, And Combinations Of Different Clutches (AREA)
  • Measurement Of Predetermined Time Intervals (AREA)

Description

本発明は、ゼンマイ装置およびこの駆動装置を備えた時計に関する。
従来、機械時計や電子制御式機械時計などの動力源としてゼンマイが使用されている。ここで、ゼンマイの機械エネルギー体積は、巻数が同一の場合、最大出力トルクが大きいほど大きいことが知られている。従って、より大きいトルクのゼンマイを使用するか、輪列の駆動に必要なトルクを小さくすることによってゼンマイの持続時間を延ばすことができるが、出力トルクが大きなゼンマイを使用することで、香箱車から二番車への増速比を大きくしたり、歯車の径や歯のモジュールをより小さくするなどの設計変更が生じてしまう。このような設計、部品の製造は難しい。
そこで、本件出願人は、香箱歯車と角穴車とが奇数の歯車列によって連結されたゼンマイトルク出力装置を開発した(特許文献1)。歯車列により角穴車の回転を香箱車に減速して伝達することによってゼンマイの出力トルクの一部がゼンマイに返還され、この返還されたトルクによってゼンマイが巻上げられる。すなわち、特許文献1の構成により、通常とは異なる特殊なモジュールや径の歯車を設計・製造することなくゼンマイの持続時間を延ばすことが可能となる。
特許第3582383号
しかしながら、特許文献1の構成では、香箱車と角穴車とが歯車列を介して連結されているため、ゼンマイの出力が小さくなった際にゼンマイの出力が巻上げに消費されてしまい、時計の駆動に十分なトルクを確保できなくなるおそれがある。ここで、ゼンマイの最大出力トルクを大きくすれば良いが、時計のような小型機器では香箱車の体積を大きくしてゼンマイの最大出力を大きくすることは難しい。このため、特許文献1の構成では、これ以上ゼンマイの持続時間を延ばすことが難しい。
そこで、本発明の目的は、小型化を阻害することなく、ゼンマイの持続時間をさらに延ばすことができるゼンマイ装置および時計を提供することにある。
本発明のゼンマイ装置は、ゼンマイの内端に連動する内端側車と、前記ゼンマイの外端に連動する外端側車と、前記内端側車および前記外端側車のいずれか一方から他方に向かって前記ゼンマイの出力トルクの一部を伝達するトルク返還部と、前記内端側車と前記外端側車との両方に連動して前記ゼンマイの巻数を示す巻数指標部と、前記ゼンマイが解けて前記巻数指標部が所定の基準巻数を示した際に前記トルク返還部による前記内端側車と前記外端側車とのトルク伝達を係脱するトルク伝達係脱部と、を備えることを特徴とする。
この発明では、ゼンマイの巻数が基準巻数に対して大きいときにのみ、内端側車と外端側車とがトルク返還部を介して連結され、駆動輪列等に伝達されるゼンマイの出力トルクの一部がトルク返還部を介してゼンマイに返還されることによってゼンマイが巻上げられる。一方、ゼンマイの巻数が基準巻数に対して小さいときには、トルク伝達係脱部によって内端側車と外端側車との連結が解除されるので、ゼンマイの出力トルクの全部が駆動輪列等の駆動に充てられる。
ここで、基準巻数は、ゼンマイのトルク特性や、駆動対象の駆動に必要なトルク、トルク返還部による内端側車と外端側車との減速比などに応じて適宜設定できる。
なお、内端側車と外端側車との減速比を適宜調整することにより、ゼンマイから駆動輪列等に出力されるトルクを調整できる。
本発明では、巻数が基準巻数に対して大、つまり駆動対象を駆動するのに必要なトルクを超える余剰のゼンマイ出力トルクがゼンマイの巻上げに利用されるとともに、巻数が基準巻数に対して小のときはトルク返還部によるトルク伝達が中断されてゼンマイの巻上によるトルク消費が節減される。これにより、ゼンマイの解け始めから駆動対象が停止するまでの時間、つまりゼンマイの持続時間を長くすることができる。
加えて、巻数が基準巻数に対して大のときにゼンマイが巻上げられる分、ゼンマイの持続時間を延ばせるうえ、このように余剰のトルクをゼンマイの巻上げに消費することにより、駆動輪列等に過大なトルクが伝達されることを抑制できる。これによって駆動輪列等の耐久性を向上させることができる。
本発明のゼンマイ装置では、前記トルク返還部は、前記内端側車と前記外端側車とのトルク伝達方向とは逆方向へのトルク伝達を規制していることが好ましい。
この発明によれば、竜頭や回転錐などの巻上用部材が回転することによってゼンマイが巻上げられる際に、この巻上用部材の回転によるトルクがトルク返還部を介して駆動輪列等に伝達されないので、駆動輪列や巻数指標部などが誤動作しない。
本発明のゼンマイ装置において、前記トルク返還部は、前記ゼンマイのトルクを受け取るトルク受取車と、前記トルク受取車に同軸に設けられ前記ゼンマイのトルクを前記ゼンマイに向かって戻すトルク戻し車と、前記トルク受取車および前記トルク戻し車にそれぞれ同軸に設けられ、軸方向に相対移動することで結合する一対のクラッチ部材と、前記一方のクラッチ部材に同軸に設けられ前記他方のクラッチ部材の側に螺旋階段状に立ち上がるクラッチ操作カムと、前記一方のクラッチ部材を前記他方のクラッチ部材に向かって付勢して前記一対のクラッチ部材を結合させる付勢部材とを有し、前記トルク伝達係脱部は、前記クラッチ操作カムに係合する係脱レバーを有し、前記係脱レバーは、前記ゼンマイが解けて前記巻数指標部が前記基準巻数を示した際に前記クラッチ操作カムに係合し、前記一対のクラッチ部材の結合は、前記係脱レバーが前記クラッチ操作カムに係合した状態で前記トルク受取車が回転することによって解除されることが好ましい。
この発明では、巻数指標部が基準巻数を示した際に、ゼンマイを格納する香箱車の回転と略同様にゆっくりとしたトルク受取車の回転に伴ってクラッチの結合が解除されることで、内端側車と外端側車との連結が切離される。このように香箱車の回転と略同様にゆっくりと切離し動作が行われることにより、切離し動作に必要となるゼンマイの負荷を小さくできる。
そのうえ、トルク返還部を構成するトルク受取車、トルク戻し車、クラッチ部材、クラッチ操作カム、および付勢部材の各部品は小さく、これらの各部品を効率よく配置することが可能となるので、ゼンマイ装置が大型化しない。
一般にゼンマイの持続時間を長くするためには、ゼンマイの幅、厚み、巻数を増加させてゼンマイの体積を大きくしたり、複数のゼンマイを使用したりすることが行われるが、このような方策ではゼンマイが組み込まれる装置および機器が大型化してしまう。これに対して、本発明ではトルク返還部をスペース効率良く構成できるため、ゼンマイ装置が大型化することなくゼンマイの持続時間を向上させることができる。
本発明のゼンマイ装置において、前記巻数指標部には、前記ゼンマイの巻上用部材による巻上時に動作する巻上部と、前記ゼンマイが解ける際に動作する巻解け部とが設けられ、前記巻数指標部は、前記トルク伝達係脱部を構成するレバーを動作させる第一作用部と、前記ゼンマイが上限巻数まで巻上げられた際に前記巻上部をロックする巻上規制部材を動作させる第二作用部と、前記ゼンマイが下限巻数まで解けた際に前記巻解け部をロックする駆動規制部材を動作させる第三作用部とを有することが好ましい。
この発明では、トルク伝達係脱部、巻上規制部材、および駆動規制部材のそれぞれに係る三つの機能の制御が巻数指標部により集約的に行われるので、構成がさほど複雑とならない。
なお、第二作用部と巻上規制部材とによってゼンマイの巻上げ過ぎによるゼンマイの耐久性低下などが防止され、第三作用部と駆動規制部材とによってゼンマイ出力トルク低下時の誤動作などが防止される。
本発明のゼンマイ装置において、前記巻数指標部には、前記ゼンマイの巻上用部材による巻上時に動作する巻上部と、前記ゼンマイが上限巻数まで巻上げられた際に前記巻上部をロックする巻上規制部材とが設けられ、前記トルク返還部は、同軸上に連結される第一軸および第二軸を有して構成される連結軸と、前記第一軸に連動し前記ゼンマイのトルクを受け取る第一軸側受取車と、前記第二軸に連動し前記ゼンマイのトルクを前記ゼンマイに向かって戻す第二軸側戻し車と、を有し、前記第一軸は、前記ゼンマイの解け始めから前記巻上規制部材によるロックが解除されるまでの間、前記第二軸に対して相対回転可能な所定のバックラッシを有することが好ましい。
この発明では、連結軸が二体とされており、巻上規制部材によるロック状態からゼンマイが解けてロック状態が解除されるまで第一軸と第二軸とが係合しないため、第一軸側受取車の回転が第二軸側戻し車に伝達されない。この状態ではトルク返還機能は働かず、第一軸と第二軸とが係合して一体となってはじめて、トルク返還機能が働く。
ここで仮に、巻上規制部材によるロック時にトルク返還機能を働かせると、トルク返還部はゼンマイを巻上げることができず、また、ゼンマイも解けることができないため、ゼンマイ装置は停止してしまう。つまり、本発明のように巻上規制部材によるロックが解除されるまでトルク返還機能を働かせないことにより、巻上規制機能とトルク返還機能とをそれぞれ有効に両立できる。
本発明のゼンマイ装置において、前記巻数指標部の回転を減速する巻数表示車と、前記巻数表示車に取り付けられる指示部材とを備え、前記トルク伝達係脱部により前記内端側車と前記外端側車とのトルク伝達が係合状態にある際の前記巻数指標部と前記巻数表示車との減速比は、前記トルク伝達係脱部により前記トルク伝達が離脱状態にある際の前記巻数指標部と前記巻数表示車との減速比よりも小さいことが好ましい。
この発明によれば、トルク伝達係脱部による切離し前(係合状態)に指示部材の駆動速度が遅くなることなく、切離し前(係合状態)と切離し後(離脱状態)とで指示部材の駆動速度を均一にできる。これにより、指示部材の指示位置からゼンマイの残りの巻数を容易に把握できる。
本発明のゼンマイ装置において、前記巻数表示車および前記巻数指標部のそれぞれは、前記トルク伝達係脱部により前記係合状態にある際に互いに噛合する第一減速比の歯形と、前記トルク伝達係脱部により前記離脱状態にある際に互いに噛合する第二減速比の歯形とを有し、
前記巻数表示車には、前記巻数指標部と前記巻数表示車とのバックラッシを詰める付勢部材が設けられていることが好ましい。
この発明によれば、巻数表示車および巻数表示車を複数の歯形で構成することによって巻数指標部と巻数表示車との減速比を簡易な構成で切り替えることができるとともに、このような構成に伴って大きくなりがちなバックラッシを付勢部材で詰めることにより、指示部材のふらつきを防止できる。これにより、ゼンマイの巻数の増減に応じて異なる歯形間で指示部材が正転および逆転を繰り返しても指示部材を正確な位置に駆動できる。
本発明の時計は、前述のゼンマイ装置を備え、前記ゼンマイを動力源として動作することを特徴とする。
この発明によれば、前述のゼンマイ装置を備えることにより、前述した作用及び効果を享受できる。すなわち、小型を維持しつつ、ゼンマイの最大持続時間を延ばすことが可能となる。
ここで、前述のようにゼンマイの出力トルクが大きいときにはゼンマイの出力トルクの一部がゼンマイの巻上げに消費されるため、駆動輪列等に過大なトルクが掛からない。このため、歯車列や軸受などの耐久性が向上する。なお、脱進器を備える機械時計の場合、過大なトルクによる外乱が防止されることで計時精度が向上し、電子制御式機械時計の場合、過大なトルクが作用しないことで発電機の電磁ブレーキ必要量を低減できるので発電機を小型化できる。
以上の本発明によれば、ゼンマイの出力トルクの一部がゼンマイに返還されてゼンマイが巻上げられる構成において、ゼンマイの持続時間をより一層延ばすことが可能となる。
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態の時計について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した構成と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
なお、本実施形態の時計は、電子制御式機械時計とされ、以下にそれぞれ説明する巻数表示機構(パワーリザーブ機構)、巻上規制機構、運針停止機構、およびトルク返還機構を有している。
〔1.電子制御式機械時計の基本機構〕
本実施形態の時計の基本機構に係る構成について簡略に説明する。
図1〜図3は、本実施形態の時計の縦断面図である。本実施形態の時計の時計体(ムーブメント)は、動力源としてのゼンマイを格納する香箱車1(図1)と、各番車2〜6(図1〜図3)と、ローター7を有して構成される発電機30(図3)と、発電機30からの電力供給により駆動する図示しない回路基板とを備えている。
香箱車1や各番車3〜6、ローター7は、地板100と輪列受101とに支持されている。二番車2は地板100と二番受102とに支持されている。地板100には文字板103が取り付けられている。
香箱車1は、図1に示すように、ゼンマイ1A、香箱歯車1B、香箱真1Cおよび香箱蓋1Dを有している。
ゼンマイ1Aの外端は外端側車としての香箱歯車1Bに固定され、ゼンマイ1Aの内端は香箱真1Cに固定されている。香箱真1Cは、角穴ネジ111によって地板100に固定され、内端側車としての角穴車11と一体で回転する。
香箱車1に格納されるゼンマイ1Aのトルクは、香箱歯車1Bを介して二番車2に出力される。香箱歯車1Bに対する二番かな2Aの増速比は9.8とされており、香箱車1は9.8時間で一周し、二番車2は1時間で一周する。
二番車2(図1)と、三番車3(図2)と、四番車4(図1)と、五番第一中間車5A(図1)と、五番第二中間車5B(図1)と、五番車5(図3)と、六番車6(図3)と、ローター7(図3)とは、香箱歯車1Bから出力されるトルクが順次伝達される増速輪列を形成しており、ローター7は1秒で8周する。二番車2からローター7までの増速比は28,800であり、香箱車1からローター7までの増速比は282,240である。
上記の二番車2からローター7までは、指針を駆動する駆動輪列を構成している。図1に示すように、二番車2に固定された筒かな20には分針26が固定されており、四番車4には秒針25が固定されている。また、筒かな20の回転が日の裏車22を介して1/12に減速されて伝達される筒車23には、時針27が固定されている。
発電機30は、図3に示すように、軸周りに永久磁石71が固定されたローター7と、ステータ部311および巻線部312(図2)を有するコイルブロック31とを備えている。ローター7は、ローターかな7Aと、永久磁石71と、ローター7の回転数変動を抑制するための円形状の慣性板72とを有している。
図示しない回路基板に実装された電子回路は、発電機30からの電力供給によって駆動される。この電子回路により、正確な時間標準が作られ、この時間標準に基づいてローター7の回転が制御される。
電子回路は、発電機30からの交流出力を昇圧および整流する昇圧整流回路、整流された電力を充電するコンデンサ、時間標準を作る水晶発振回路および分周回路、発電波形からローター7の回転を検出する回転検出回路、時間標準とローター7の回転とを比較する回転数比較回路、回転数比較結果に基づいて電磁ブレーキの時間間隔を制御する電磁ブレーキ制御回路などを含んで構成されている。
電磁ブレーキ制御回路は、回転数比較回路による比較結果に基づいてコイルブロック31をショートする電磁ブレーキの時間間隔を制御する。この電磁ブレーキの制動力によって、発電機30の回転周期は一定に保たれる。つまり、電磁ブレーキが必要となる速度でローター7を回転させるゼンマイのトルク領域でのみ、駆動輪列の回転速度が一定となり、時針27、分針26、および秒針25が正確に運針される。
以上のように、電子制御式機械時計では、ゼンマイの機械エネルギーにより駆動輪列および指針が駆動されるとともに、ゼンマイの機械エネルギーの一部が変換された電気エネルギーにより調速が行われる。
〔2.ゼンマイ巻上げ機構〕
次に、図4を参照してゼンマイ1Aの巻上げ機構について説明する。
角穴車11は、図示しない巻上用部材としての竜頭に接続された巻真12の操作によって、巻真12と四角い穴で案内されるつづみ車13、つづみ車13と噛合うキチ車14、丸穴車15、角穴第一中間車16、角穴第二中間車17を介して回転する。この角穴車11の回転により香箱真1C(図1)が回転することでぜんまい1Aが巻上げられる。
角穴車11には、角穴車11を時計回り方向(文字板とは反対側から見た場合)には回転させるが反時計回り方向には回転させないこはぜ(図示せず)が設けられている。こはぜがワンウェークラッチの役目を果たすので、ゼンマイ1Aが巻き解ける方向には角穴車11が回転しない。
〔3.巻数表示機構〕
次に、巻数表示機構(パワーリザーブ機構)について説明する。
図5は、巻数表示機構を文字板103とは反対側から見た平面図であり、図6、図7は巻数表示機構の縦断面図である。この巻数表示機構は、ゼンマイ1Aの巻上げ量とゼンマイ1Aが解けた量とを加減算する加減算用輪列(図5〜図7)と、加減算用輪列により算出されるゼンマイ1Aの巻数を表示する巻数表示部(図9、図10)とを備えている。
図5〜図7に示した加減算用輪列は、角穴車11からのトルクを伝達する巻上部としての巻上輪列と、香箱歯車1Bからのトルクを伝達する巻解け部としての巻解け輪列とを備えている。以下、これら巻上輪列と駆動輪列とについてそれぞれ説明する。
〔3−1.巻上輪列の構成〕
巻上輪列は、図5、図6に示すように、角穴車11、第一遊星伝え車85、第二遊星伝え車84、第二太陽車83、遊星車82、太陽歯車810と一体に係合する巻数指標部としての太陽真81を有している。
遊星車82は、遊星中間車86に設けられたピン861に軸支されており、第二太陽車83のかな83Aと太陽歯車810とにそれぞれ噛み合っている。
図8は、太陽真81の上面図(A)、側面図(B)、および下面図(C)である。太陽真81は、丸軸をカットした断面トラック形状の軸部811と、巻数指標部としての太陽カム812と、太陽かな813とを有して構成されている。
太陽真81は、太陽歯車810(図6)に形成されたトラック形状の孔に挿通されており、これによって太陽真81と太陽歯車810とは一体に係合している。
太陽カム812の周面には、第一作用部812A、第二作用部812B、および第三作用部812Cが形成されている。また、太陽カム812の周面には、後述する巻数制限レバー40およびトルク伝達係脱レバー59がそれぞれ圧接されている。
〔3−2.巻解け輪列の構成〕
巻解け輪列は、図5、図7に示すように、香箱歯車1B、第三遊星伝え車89、第四遊星伝え車88、第五遊星伝え車87、遊星中間車86を有している。
〔3−3.巻数表示部の構成〕
図9は巻数表示部を文字板側から見た平面図、図10は巻数表示部の縦断面図である。
巻数表示部は、図10に示すように、太陽かな813の回転を減速する巻数表示車としての巻印車80と、巻印車80に取り付けられる指示針28(図10)とを有している。
太陽真81の回転は太陽かな813によって巻印車80に伝えられ、指示針28により、ゼンマイ1Aの残りの巻数が表示される。
巻印車80は、太陽かな813に噛み合う扇形の巻印車ラック801を有している。
本実施形態では、図9に示すように、太陽かな813および巻印車80のそれぞれの歯形は減速比の異なる3種の歯形で構成されている。これら3種の歯形の減速比は、第一減速比としてのA群が15:72、B群が15:80、C群が15:90となっている。
このように減速比の異なる歯形を有する歯車同士を噛ませる場合、噛み合う箇所に隣接する歯への接触を避けるためバックラッシを大きくする必要がある。このため、本実施形態では地板100に設けられたバネ802によって巻印車ラック801を図9の反時計回り方向に付勢し、バックラッシを詰めている。これによって指示針28のふらつきを防止できる。バネ802の先端部は巻印車ラック801に固着されたピン801Aに係止されている。
〔3−4.巻上時の動作〕
ゼンマイ1Aの巻上げ操作により角穴車11(図6)が回転すると、角穴車11の回転は、順次、第一遊星伝え車85、第二遊星伝え車84、第二太陽車83に減速されて伝達される。ここで、香箱歯車1Bの回転が遅いことから、香箱歯車1Bに連動し巻解け輪列を構成する遊星中間車86は停止状態とみなせるため、第二太陽車83の回転は遊星車82から太陽歯車810に伝達される。これによって太陽真81が回転し、太陽真81に連動して指示針28が図9の矢印方向(反時計回り方向)に回動する。
〔3−5.巻解け時の動作〕
一方、ゼンマイ1Aが解ける際には、巻上時に動作する角穴車11から第二太陽車83までは停止している。ゼンマイ1Aが出力するトルクは、香箱歯車1B(図7)から順次、第三遊星伝え車89、第四遊星伝え車88、第五遊星伝え車87、遊星中間車86へと減速されて伝達される。この際、遊星中間車86のピン861に設けられた遊星車82は、第二太陽車83のかな83Aの周りを自転しながら公転する。この遊星車82の遊星運動によって太陽歯車810および太陽真81が巻上時とは逆方向に回転し、指示針28が図9の時計回り方向に回動する。
以上のように、ゼンマイ1Aの巻上時には巻上輪列(図6)によって太陽真81が所定方向に回転し、ゼンマイ1Aが解ける際には巻解け輪列(図7)によって太陽真81が巻上時とは逆方向に回転する。このような巻上輪列および巻解け輪列により加減算された太陽真81の回転位置から、ゼンマイ1Aの巻数を読み取ることが可能である。つまり、ゼンマイ1Aの巻数は巻数指標部としての太陽真81の回転位置によって規定される。
〔4.巻上げ規制機構〕
次に、図11を参照し、ゼンマイ1Aの巻上を所定の上限巻数に制限する巻上規制機構について説明する。
この巻上規制機構は、巻数制限レバー40が動作することで機能する。巻数制限レバー40は、前述の太陽真81の太陽カム812によって制御される。
ここで、巻数制限レバー40は、地板100に支持される軸部40Aと、係止ピン100Aに係止されるU字状のバネ部40Bと、バネ部40Bの付勢力により太陽カム812に圧接されるカム係合部41と、ゼンマイ1Aの巻上を規制する巻上規制部42と、後述する運針規制部43とを有している。なお、本実施形態では巻上規制部42と運針規制部43とを一体に有する巻数制限レバー40が設けられているが、巻上規制部を有するレバーと運針規制部を有するレバーとがそれぞれ太陽カム812により制御されていても良い。
巻数制限レバー40に形成された長孔44には、第五遊星伝え車87の軸が挿通されている。
図11は、ゼンマイ1Aがフルに巻上げられる前の所定の上限巻数(本実施形態では「7.7」)までゼンマイ1Aが巻上げられた際に、巻数制限レバー40のカム係合部41が太陽カム812の第二作用部812Bに係合した状態を示す。このとき、巻数制限レバー40の巻上規制部42が第一遊星伝え車85の歯形に入ることで第一遊星伝え車85の回転がロックされるので、それ以上のゼンマイ1Aの巻上は規制される。
以上の巻上規制機構により、竜頭を回転させる操作をゼンマイ1Aが最後まで巻上げられた後も続けた際に、竜頭から伝わるそのトルクがローター7の回転周期に作用して指針が進み調速制御不能となったり、ゼンマイ1Aの耐久性が落ちたりすることを防止できる。
〔5.運針停止機構〕
次に、図12を参照し、ゼンマイ1Aが解けるのを所定の下限巻数に制限する運針停止機構について説明する。
図12は、図11の状態から太陽真81が時計回り方向に約245度回転し、巻数制限レバー40のカム係合部41が太陽カム812の第三作用部812Cに係合した状態を示す。このとき、太陽真81はゼンマイ1Aの巻数が下限巻数「2.1」であることを示しており、巻数制限レバー40の運針規制部43が第三遊星伝え車89の歯形に入ることで第三遊星伝え車89の回転がロックされる。これにより、第三遊星伝え車89と輪列を構成する香箱歯車1Bの回転が停止し、各番車2〜6などの駆動輪列および指針の運針も停止する。
このような運針停止機構により、ゼンマイ1Aの出力トルクがローター7を毎秒8回転させる必要量を下回る前に運針が停止するので、指針の遅れによる時刻の誤表示を防止できる。
以上述べた巻上規制機構および運針停止機構により、太陽カム812の回転は、巻数制限レバー40のカム係合部41が第二作用部812Bに係合する位置と、カム係合部41が第三作用部812Cに係合する位置との間の範囲に制限される。これによってゼンマイ1Aの使用巻数が2.1巻〜7.7巻の範囲に設定されている。
〔6.トルク返還機構〕
次に、トルク返還機構を構成するトルク返還部について説明する。
〔6−1.トルク返還機構の基本構成〕
図13は、前述の巻数制限レバー40等とトルク返還部90とを示す平面図である。また、図14は、トルク返還部90の縦断面図である。なお、図14の左右両側に同一の香箱車1を示す。
トルク返還部90は、香箱歯車1Bと角穴車11とを連結する3つの歯車からなる歯車列を有している。この歯車列は具体的に、香箱歯車1Bに噛み合うトルク返還車50、TR第一伝え車96、角穴車11に噛み合うTR第二伝え車97から構成されている。トルク返還部90を構成する歯車の数は、奇数とすることによって香箱歯車1Bと角穴車11とを同じ回転方向にする必要がある。
本実施形態における香箱歯車1Bから角穴車11までの減速比は5.0であり、香箱歯車1Bから出力されるゼンマイ1Aのトルクの一部がトルク返還車50、TR第一伝え車96、TR第二伝え車97を介して角穴車11へ伝達される。これによってゼンマイ1Aが巻上げられる。
以下に具体的な減速比を示す。括弧内は歯数を示す。
香箱歯車(147枚) −トルク受取車(37枚) 減速比:0.25
トルク返還かな(10枚) −TR第一伝え歯車(39枚) 減速比:3.9
TR第一伝えかな(10枚)−TR第二伝え歯車(22枚) 減速比:2.2
TR第二伝え歯車(22枚)−角穴車(51枚) 減速比:2.3
香箱歯車1Bが1回転する間、角穴車11が0.2回転巻上げられる。
つまり、1/0.8=1.25から、トルク返還部90によってゼンマイ1Aの持続時間は1.25倍となる。
〔6−2.トルク伝達係脱部の構成〕
ここで、本実施形態では、ゼンマイ1Aのトルクを常時返還するのではなく、ゼンマイ1Aの巻数が所定の基準巻数(本実施形態では「5巻」)より大のときにのみトルク返還を実施し、ゼンマイ1Aの巻数が基準巻数よりも小のときに香箱歯車1Bと角穴車11との連結を解除するトルク伝達係脱機構を備えている。
このトルク伝達係脱機構は、前述した太陽カム812(図8)と、図13に示すトルク伝達係脱レバー59と、トルク返還車50とを有して構成されている。
〔6−2−1.トルク返還車の構成〕
トルク返還車50は、図14に示すように、香箱歯車1Bと噛み合うトルク受取車51、トルク受取車51に圧入される略角筒状の軸52、軸52に挿入される第一クラッチ部材53、第一クラッチ部材53に圧入されるクラッチ操作カム54、トルク戻し車としてのトルク戻しかな55、トルク戻しかな55に圧入される第二クラッチ部材56、第一クラッチ部材53を第二クラッチ部材56に付勢する皿状のバネ57の7体構造である。
図15は、軸52の上面図(A)および側面図(B)である。軸52は断面略四角形の角軸部521を有し、この角軸部521の軸方向に沿って第一クラッチ部材53が案内される。
図16は、第一クラッチ部材53の斜視図である。第一クラッチ部材53は、6枚の三角歯531と、軸52が挿入される略四角形の孔532と、軸周りに沿って形成された溝533とを有している。ここで、第二クラッチ部材56も第一クラッチ部材53と同様の6枚の三角歯を有しており、バネ57の付勢力によって第一、第二クラッチ部材53,56は三角歯同士は噛み合わせられている。
香箱歯車1Bからトルク受取車51にトルクが伝達される際には、第一、第二クラッチ部材53,56の三角歯同士が互いに係合し、これによって香箱歯車1Bからのトルクは角穴車11に伝達される。一方、竜頭操作などによるゼンマイ1Aの巻上時、角穴車11からの回転が第一クラッチ部材53に伝達された際には、第一、第二クラッチ部材53,56の三角歯が滑り合い第一クラッチ部材53が上下するため、香箱歯車1Bと角穴車11との連結が解除される。すなわち、第一、第二クラッチ部材53,56によって巻上げ時の角穴車11からのトルク伝達を断つスリップ機構が構成されている。
図17は、クラッチ操作カム54の斜視図である。クラッチ操作カム54は360度の螺旋階段形状に形成されている。
〔6−2−2.トルク伝達係脱レバーの構成〕
本実施形態のトルク伝達係脱レバー59は、図13に示すように、太陽カム812に係合する太陽係合レバー部591と、クラッチ操作カム54(図14)に係合するクラッチ係合レバー部592との二体構造である。これらの太陽係合レバー部591とクラッチ係合レバー部592とはピン59Aで固定されるとともに、軸部59Bで地板100に軸支されている。
太陽係合レバー部591は、係止ピン100Aに係止されるバネ部591Cと、バネ部591Cの付勢力により太陽カム812に圧接される係合部591A,591Bとを有している。
〔6−2−3.TR第一伝え車の構成〕
図14を参照し、TR第一伝え車96を説明する。TR第一伝え車96は、第一軸961と、第一軸961が内部に挿入される筒状の第二軸962との二体で構成される連結軸と、第一軸961に固定されトルク戻しかな55と噛み合う第一軸側受取車としての第一軸側受取車963と、第二軸962に固定されTR第二伝え車97に噛み合う第二軸側戻し車964とを有している。
第一軸961には伝え車9610が固着されており、この伝え車9610の周方向の一部(ここでは90度の範囲)には、第二軸962側に向かって突出する突出部961Aが形成されている。一方、第二軸962の端部における周方向の一部(ここでは90度の範囲)にも、第一軸961側に向かって突出する突出部962Aが形成されている。
図18は、図14のXVIII−XVIII線における第一軸961、第二軸962の断面図である。第一軸、第二軸の突出部961A,962Aは、図14のXVIII−XVIII線断面の両側から反対方向に突出しており、これによって第一軸961と第二軸962とは180度のバックラッシBKを有している。
なお、このようなバックラッシBKは、TR第一伝え車96に設けられている必要はなく、トルク返還部90を構成するトルク返還車50、TR第一伝え車96、TR第二伝え車97のいずれかに設けられていれば良い。
竜頭操作などによるゼンマイ1Aの巻上げ時に角穴車11が回転すると、TR第二伝え車97、第二軸側戻し車964が順次回転し、第二軸962が図18の時計回り方向に回転する。これにより、図18のように突出部961A,962A同士が係合するため、TR第一伝え車96からトルク返還車50に回転が伝達される。但し、竜頭操作などでゼンマイ1Aを巻上げた際には前述のトルク返還車50におけるスリップ機構が働くため、角穴車11の回転は香箱歯車1Bには伝達されない。
そして、図18の状態からゼンマイ1Aが解けて運針される際には、トルク返還車50のトルク戻しかな55から第一軸961に回転が伝達され、第二軸962の位置はそのままで第一軸961だけが図18の時計回り方向に回転する。図18の状態から第一軸961が180度回転して、図19のように第一軸、第二軸の突出部961A,962A同士が係合するまでの4.8時間は第一軸側受取車963と第二軸側戻し車964とのトルク伝達が切離されているため、トルク返還機構は働かない。
〔6−3.トルク伝達状態の係脱〕
以下、本実施形態におけるトルク返還部90によるトルク伝達の係脱について説明する。図13は、竜頭操作などでゼンマイ1Aが巻上げられ、巻数制限レバー40の巻上規制部42が第一遊星伝え車85をロックした状態を示す。この状態では、太陽カム812の第二作用部812Bに巻数制限レバー40のカム係合部41が係合している。また、太陽カム812の第一作用部812Aには、トルク伝達係脱レバー59の太陽係合レバー部591の係合部591Aが係合している。この状態では、クラッチ係合レバー部592の先端部は図13、図14に示すようにトルク返還車50から離れており、第一、第二クラッチ部材53,56は結合している。つまり、トルク返還車50はトルク伝達可能な状態にあるが、TR第一伝え車96の第一軸、第二軸961,962のバックラッシBKにより(図18参照)、トルク返還部90による香箱歯車1Bと角穴車11との連結は解除されている。
この状態からゼンマイ1Aが解けて運針が行われる際に、太陽真81は1時間で約5度、図13の時計回り方向に回転するため、巻上規制部42が約2時間で第一遊星伝え車85から外れる。このようにゼンマイ1Aの巻上げが規制されていない状態となった後、TR第一伝え車96の第一軸961と第二軸962とが係合する。これによってトルク返還部90による香箱歯車1Bと角穴車11との連結が行われる。すなわち、トルク返還部90によってゼンマイ1Aのトルクの一部がゼンマイ1Aに返還されることにより、ゼンマイ1Aが巻上げられる。
図13のようにトルク伝達係脱レバー59の第一係合部591Aが太陽カム812の第一作用部812Aに位置している状態から、太陽カム812が図13の時計回り方向に回転すると、太陽カム812との接点は第一係合部591Aから第二係合部591Bに切り替わり、図20のように第二係合部591Bが太陽カム812の第一作用部812Aに圧接された状態となる。この図20の状態でも、クラッチ係合レバー部592の先端部はトルク返還車50から離れており(図14)、トルク返還部90によるトルク伝達状態が係合状態に維持されている。
その後、図20の状態から太陽カム812がさらに時計回り方向に回転して基準巻数「5巻」を示すと(図13の状態から120度回転した状態)、図21のように太陽係合レバー部591の係合部591Bが太陽カム812の第一作用部812Aから降り、トルク伝達係脱レバー59が図20の反時計回り方向に回動する。この際、クラッチ係合レバー部592の先端部が図14の矢印方向に移動してクラッチ操作カム54の螺旋階段形状における最も低い部分(図17のL)に載る。これにより、クラッチ係合レバー部592による第一、第二クラッチ部材53,56の切離し操作が開始する。その後、香箱歯車1Bのゆっくりとした回転に連動してクラッチ操作カム54が回転することにより、図22および図23のようにクラッチ係合レバー部592に対してクラッチ操作カム54が下降する。このクラッチ操作カム54と共に第一クラッチ部材53がバネ力に抗して下降することにより、第一、第二クラッチ部材53,56の結合が解除され、トルク返還部90による香箱歯車1Bと角穴車11とのトルク伝達が離脱状態に切離される。なお、下降した第一クラッチ部材53の溝533にクラッチ係合レバー部592の先端部が入ることにより、第一、第二クラッチ部材53,56は離間した状態に維持される。
そして、図21の状態からさらに太陽カム812が時計回り方向に回転してゼンマイ1Aの巻数が下限巻数「2.1」になると、図12のように運針規制部43が第三遊星伝え車89をロックする。これによって運針が停止される。
〔6−4.巻数指示針の運針〕
前述のように、太陽真81が基準巻数に対して大きいとき、つまりトルク伝達係脱レバー59による切離し前、トルク返還部90によってゼンマイ1Aは香箱歯車1Bが1回転する毎に0.2巻、巻上げられる。一方、太陽真81が基準巻数に対して小さいとき、つまりトルク伝達係脱レバー59による切離し後には、ゼンマイ1Aは巻上げられない。このため、切離し前ではゼンマイ1Aを巻上げる分、太陽真81の回転が巻数が切離し後に比べて2割遅い。ここで、太陽かな813および巻印車ラック801のA群の歯形とC群の歯形(図9)とではA群の歯形の方が減速比が2割小さい。これにより、指示針28がゼンマイ1Aの持続時間において均等に運針される。
なお、本実施形態ではB群の歯形が設けられていることにより、太陽かな813と巻印車ラック801との噛み合いにおいてA群の歯形からC群の歯形へと円滑に移行する。但しこのB群の歯形は設けられていなくてもよい。
また、このように減速比が異なる歯形を設けることは必ずしも必要ではなく、例えば指示針28が示す文字板の目盛を太陽かな913の回転速度に応じて振ってもよい。
〔7.ゼンマイ持続時間〕
図24は、ゼンマイ1Aの巻数(横軸)とゼンマイ1Aから出力され駆動輪列(二番車2〜ローター7)に伝達されるトルク(縦軸)との関係を示す。駆動輪列を駆動するために必要なトルクは、経時劣化や衝撃等を考慮すると例えば約0.0069(N・m)であり、このトルク約0.0069(N・m)に対応する下限巻数2.1巻から、ゼンマイ1Aを最後まで巻上げきらない上限巻数7.7巻までが、本実施形態のゼンマイ1Aの使用範囲に設定されている。
図24におけるトルク約0.0118(N・m)からトルク0までの曲線(実線)は、ゼンマイ1Aを上限まで巻上げた状態(7.7巻)からトルク返還部90を機能させないで駆動輪列を駆動し、ゼンマイ1Aが解け終えるまでの巻数およびトルクを示している。ゼンマイ1Aの持続時間は、巻数と、香箱歯車1Bおよび二番車2の増速比9.8とを掛けることで求められるから、次式により、トルク返還部90を機能させない場合の持続時間は54.9時間となる。
(上限巻数(7.7)−下限巻数(2.1))×9.8=54.9時間
ここで、本実施形態のようにゼンマイ1Aの巻数が基準巻数「5巻」より大きいときにトルク返還部90を機能させると、香箱歯車1Bが1回転する毎に角穴車11が0.2回転巻上げられるので、トルク返還部90が機能している間の持続時間は1.25倍となる。このトルク返還機能中のトルクカーブを図24に破線で示した。なお、図24では、TR第一伝え車96におけるバックラッシBKによりトルク返還部90が機能しない時間は考慮していない。
トルク返還機能中に駆動輪列に伝達されるトルクは、次式により求められる。
ゼンマイ出力トルク − ゼンマイ出力トルク/(減速比・効率)
=トルク返還機能中に駆動輪列に伝達されるトルク
なお、本実施形態では減速比5、効率70%とする。
トルク伝達係脱レバー59による切離し前(7.7巻〜5巻)の持続時間と、トルク伝達係脱レバー59による切離し後(5巻〜2.1巻)の持続時間とはそれぞれ次のようになる。
切離し前 2.7巻×1.25×9.8=33.1時間
切離し後 2.9巻×9.8=28.4時間
これらの合計時間から、本実施形態におけるゼンマイ1Aの最大持続時間は61.5時間となり、トルク返還機構を機能させていない際の持続時間54.9時間よりも6.6時間増加する。
本実施形態において仮に、トルク返還部90を巻数7.7巻からゼンマイが解け終えるまで常時機能させた際のトルクカーブを図24に二点鎖線で示す。この場合、駆動輪列の駆動に必要なトルク約0.0069(N・m)以上で動作するように、ゼンマイを厚くしたり、ゼンマイの巻数を増やしたりしてゼンマイの最大出力トルクを大きくする必要が生じる。つまり、香箱車が大型化してしまう。
本実施形態では、TR第一伝え車96のバックラッシBKにより、ゼンマイ1Aが解けて第一軸961、第二軸962が係合するまではトルク返還部90が働かないため、トルク返還部90によるゼンマイの持続時間の増加分6.6時間のうち1.2時間が短縮されるが、それでもゼンマイ1Aの最大持続時間は60.3時間となる。
ここで、平日に時計を装着し、土曜および日曜に時計を装着しない時計の使われ方において、ゼンマイの最大持続時間が60時間超のため、金曜日の夜7時から月曜の朝7時までの60時間、竜頭の巻上げ操作を不要にできる。つまり、週末に竜頭の巻上げ操作を行うことなく、月曜朝に時計が動作しているため、月曜朝の針合わせが不要となる。すなわち、ゼンマイの最大持続時間が60時間を越えることは、60時間以下に対して大きな有意差を持つ。
〔8.本実施形態による効果〕
以上の本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)ゼンマイ1Aの出力トルクの一部をゼンマイ1Aに戻すトルク返還部90を備える構成において、太陽真81の太陽カム812により制御されるトルク伝達係脱レバー59が設けられているので、ゼンマイ1Aの巻数が基準巻数(5巻)に対して大、つまり駆動輪列を駆動するのに必要なトルクを超える余剰のゼンマイ出力トルクがゼンマイ1Aの巻上げに利用されるとともに、巻数が基準巻数に対して小のときはトルク返還部90によるトルク伝達が中断されてゼンマイ1Aの巻上によるトルク消費が節減される。これにより、ゼンマイ1Aの解け始めから駆動輪列および指針が停止するまでの時間、つまりゼンマイ1Aの持続時間を長くすることができる。
(2)加えて、巻数が基準巻数に対して大のときにゼンマイ1Aが巻上げられる分、ゼンマイ1Aの持続時間を延ばせるうえ、このように余剰のトルクをゼンマイ1Aの巻上げに消費することにより、駆動輪列に過大なトルクが伝達されることを抑制できる。これによって駆動輪列の耐久性を向上させることができる。
さらに、駆動輪列に過大なトルクが作用しないことで発電機30の電磁ブレーキ必要量を低減できるので、発電機30を小型化できる。
(3)トルク返還車50の第一、第二クラッチ部材53,56がスリップ機構を構成し、角穴車11と香箱歯車1Bとの減速方向とは逆方向へのトルク伝達が規制されているので、竜頭操作によりゼンマイ1Aが巻上げられる際に、この竜頭の回転によるトルクがトルク返還部90を介して駆動輪列等に伝達されない。このため、竜頭操作時に指針が誤動作しない。また、太陽真81が示すゼンマイ巻数を正確に維持できる。
(4)トルク返還車50は前述した7体構造とされ、トルク伝達係脱レバー59がクラッチ操作カム54に係合した状態でトルク受取車51が回転することによって第一、第二クラッチ部材53,56の結合が解除される。つまり、香箱車1の回転と略同様にゆっくりとしたトルク受取車51の回転に伴って角穴車11と香箱歯車1Bとの連結が切離されることにより、切離し動作に必要となるゼンマイ1Aの負荷を小さくできる。
(5)そのうえ、トルク返還車50を構成する各部品は小さく、これらの各部品を効率よく配置することが可能となるので、ゼンマイ装置が大型化することなくゼンマイ1Aの持続時間を向上させることができる。
(6)太陽カム812が第一〜第三作用部812A,812Cを有しており、トルク伝達係脱レバー59、巻上規制部42、および運針規制部43のそれぞれに係る三つの機能の制御が太陽カム812により集約的に行われるので、構成がさほど複雑とならない。
(7)仮に、巻上規制部42によるロック時にトルク返還機能を働かせると、トルク返還部90はゼンマイ1Aを巻上げることができず、また、ゼンマイ1Aも解けることができないため、ゼンマイ装置は停止してしまう。このため、TR第一伝え車96の軸が第一軸961および第二軸962の二体で構成され、これらの第一軸961と第二軸962とがバックラッシBKを有している。この構成により、巻上規制部42によるロック状態からゼンマイ1Aが解けてロック状態が解除されるまでトルク変換機能が働かないので、ゼンマイの巻上規制機構と、トルク返還機構とをそれぞれ有効に両立できる。
(8)トルク伝達係脱レバー59による切離し前における太陽かな813と巻印車ラック801との減速比は、トルク返還部90によってゼンマイ1Aが巻上げられる分、トルク伝達係脱レバー59による切離し後の前記減速比よりも小さいため、切離し前と切離し後とで指示針の運針速度を均一にできる。これにより、指示針28の指示位置からゼンマイ1Aの残りの巻数を容易に把握できる。
(9)巻印車ラック801および太陽かな813を複数の歯形(A群、C群)で構成することによって太陽かな813と巻印車80との減速比を簡易な構成で切り替えることができるとともに、このような構成に伴って大きくなりがちなバックラッシをバネ802で詰めることにより、指示針28のふらつきを防止できる。これにより、ゼンマイ1Aの巻数の増減に応じて異なる歯形間で指示針28が正転および逆転を繰り返しても指示針28を正確な位置に駆動できる。
〔第二実施形態〕
図25は、本発明の第二実施形態に係る時計の部分平面図である。第一実施形態の時計は水晶発振回路を備える電子制御式機械時計であったが、本実施形態の時計は、駆動輪列に連動する調速器により機械的に時間標準を作る機械時計である。
本実施形態の時計体(ムーブメント)は、香箱車1と、図示を省略するが指針を駆動する駆動輪列を形成する各番車と、ガンギ車、アンクルによる脱進器、およびテンプを有する調速器とを備えている。このような機械時計において、第一実施形態と同様の巻数表示機構(パワーリザーブ機構)と、巻上規制機構と、運針停止機構と、トルク返還機構とが搭載されている。
巻数表示機構における巻数指標部は、前述の太陽かな812により構成されている。
巻数制限機構は、巻数制限レバー40を有して構成されている。
トルク返還機構は、香箱歯車1Bと角穴車11とを連結するトルク返還部90と、この香箱歯車1Bと角穴車11との連結を係脱するトルク伝達係脱レバー59とを有している。
このような本実施形態においても、第一実施形態と同様に、太陽かな812の位置に基づいてトルク伝達係脱レバー59が動作し、これによってトルク返還車50による香箱歯車1Bと角穴車11との連結が係脱される。これにより、ゼンマイ1Aの体積を大きくするなどの方策をとらずに、ゼンマイ1Aの持続時間を延ばすことができる。そのほか、本実施形態の構成により、第一実施形態と同様の効果が得られる。
〔第三実施形態〕
図26は、本発明の第三実施形態に係る機械時計の部分平面図である。本実施形態では巻上規制機構および運針停止機構が設けられていない。この点を除いて、本実施形態の機械時計の構成は第二実施形態の機械時計の構成と同様である。
本実施形態では、巻上規制機構および運針停止機構に係る巻数制限レバー40(図24)と、太陽カム812´の第二作用部812Bおよび第三作用部812Cとが設けられていない。また、本実施形態では、TR第一伝え車96´の軸が第一実施形態とは異なり、一体に形成されている。
ここで、前述の電子制御式機械時計では高い運針精度が求められるとともに、竜頭操作による巻上げ過ぎによってロータが早回しされたり、ゼンマイ出力トルクが電磁ブレーキによる制動が必要となるトルク領域を下回ると運針が正確でなくなるという問題があるため、巻上規制機構および運針停止機構により、ゼンマイの巻数を一定範囲に制限していた。これに対して機械時計では、竜頭操作によるゼンマイ1Aの巻上げ過ぎによりテンプが振動できる範囲を超える振り当り現象を起こしても、脱進器の周期が大きくずれることはなく、大きな時刻狂いが発生しにくい。また、ゼンマイ1Aの出力トルクが低下した場合も、振動周期は大きくずれることはなく、大きな時刻狂いは発生しにくい。つまり、機械時計では電子制御式機械時計よりも巻上規制機構および運針停止機構の必要性が低い。
但し、ゼンマイ1Aの巻上げ過ぎによるゼンマイ1Aの耐久性低下を防止するため、機械時計においても、第二実施形態のように巻上規制機構を設ける意義は十分にある。
本実施形態においても、第一、第二実施形態と同様に太陽カム812´の回転位置に応じてトルク返還部90´およびトルク伝達係脱レバー59が機能するため、第一、第二実施形態と同様の効果が得られる。ここで、本実施形態ではTR第一伝え車96´の軸にバックラッシがないため、ゼンマイ1Aの巻解け開始時からトルク返還部90´が機能する。このため、第一実施形態のようにTR第一伝え車96のバックラッシによってゼンマイ1Aの持続時間が短縮されることなく、ゼンマイ1Aの持続時間をより延ばすことが可能となる。また、巻解け開始時の大きなトルクがゼンマイの巻上に消費され、駆動輪列に作用しないので、歯車列や軸受の耐久性が向上する。
〔本発明の変形例〕
本発明のゼンマイ装置は、前記各実施形態で例示した時計以外にも、オルゴールや玩具等、ゼンマイを動力源にした機器に適用できる。オルゴールの場合、ゼンマイの内端が内端側車としての軸に固定されている構成のものが一般的であり、ゼンマイの内端に連動する軸とゼンマイの外端に連動する外端側車とを連結するトルク返還部と、トルク返還部による内端側車と外端側車との連結を係脱するトルク伝達係脱部とを備えることにより、前記各実施形態と同様の効果が得られる。
なお、トルク伝達係脱部による切離し動作が行われる基準巻数は、ゼンマイの最大出力トルク、駆動輪列の駆動に必要なトルク、トルク返還部による内端側車と外端側車との減速比などを考慮して適宜決められる。
以上、本発明を実施するための最良の構成について具体的に説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形および改良を加えることができるものである。
上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の第一実施形態に係る時計の香箱車および駆動輪列等を示す縦断面図。 前記時計の香箱車および駆動輪列等を示す縦断面図。 前記時計の駆動輪列およびローター等を示す縦断面図。 前記時計の巻上部等を示す縦断面図。 前記時計が具備する巻数表示機構を文字板とは反対側から示す平面図。 前記巻数表示機構を構成する巻上輪列を示す縦断面図。 前記巻数表示機構を構成する巻解け輪列を示す縦断面図。 前記巻数表示機構が有する太陽真を示す図。 前記巻数表示機構を構成する巻数表示部を文字板側から示す平面図。 前記巻数表示部を示す縦断面図。 前記時計が具備する巻数制限機構を説明するための平面図(巻上規制時)。 前記時計が具備する巻数制限機構を説明するための平面図(運針停止時)。 前記時計が具備するトルク返還機構を説明するための平面図(伝達状態)。 前記トルク返還機構が備えるトルク返還部を示す縦断面図(伝達状態)。 前記トルク返還部が有するトルク返還車の軸を示す図。 前記トルク返還車が有する第一クラッチ部材を示す斜視図。 前記トルク返還車が有するクラッチ操作カムを示す斜視図。 図14のXVIII−XVIII線におけるTR第一伝え車の第一軸および第二軸の断面図(非係合時)。 図14のXVIII−XVIII線におけるTR第一伝え車の第一軸および第二軸の断面図(係合時)。 トルク伝達係脱レバーによって前記トルク返還部のトルク伝達状態が切り替わる直前の状態を示す平面図。 トルク伝達係脱レバーにより前記トルク返還車によるトルク伝達が解除された状態を示す平面図。 前記トルク返還部を示す縦断面図(非伝達状態)。 図22とは異なる方向から前記トルク返還部を示す縦断面図(非伝達状態)。 ゼンマイの巻数(横軸)とゼンマイから出力され駆動輪列に伝達されるトルク(縦軸)との関係を示すグラフ。 本発明の第二実施形態に係る機械時計の要部を示す平面図。 本発明の第三実施形態に係る機械時計の要部を示す平面図。
符号の説明
1A・・・ゼンマイ(動力源)、1B・・・香箱歯車(外端側車)、11・・・角穴車(内端側車)、28・・・指示針(指示部材)、40・・・巻数制限レバー、41・・・カム係合部、42・・・巻上規制部(巻上規制部材)、43・・・運針規制部(駆動規制部材)、50・・・トルク返還車、51・・・トルク受取車、53・・・第一クラッチ部材、54・・・クラッチ操作カム、55・・・トルク戻しかな(トルク戻し車)、56・・・第二クラッチ部材、57・・・バネ(付勢部材)、59・・・トルク伝達係脱レバー(トルク伝達係脱部)、80・・・巻印車(巻数表示車)、81・・・太陽真(巻数指標部)、90,90´・・・トルク返還部、96,96´・・・TR第一伝え車、97・・・TR第二伝え車、591・・・太陽係合レバー部、592・・・クラッチ係合レバー部、801・・・巻印車ラック、802・・・バネ(付勢部材)、812,812´・・・太陽カム、812A・・・第一作用部、812B・・・第二作用部、812C・・・第三作用部、961・・・第一軸、962・・・第二軸、963・・・第一軸側受取車、964・・・第二軸側戻し車、BK・・・バックラッシ。

Claims (8)

  1. ゼンマイの内端に連動する内端側車と、
    前記ゼンマイの外端に連動する外端側車と、
    前記内端側車および前記外端側車のいずれか一方から他方に向かって前記ゼンマイの出力トルクの一部を伝達するトルク返還部と、
    前記内端側車と前記外端側車との両方に連動して前記ゼンマイの巻数を示す巻数指標部と、
    前記ゼンマイが解けて前記巻数指標部が所定の基準巻数を示した際に前記トルク返還部による前記内端側車と前記外端側車とのトルク伝達を係脱するトルク伝達係脱部と、を備える
    ことを特徴とするゼンマイ装置。
  2. 請求項1に記載のゼンマイ装置において、
    前記トルク返還部は、前記内端側車と前記外端側車とのトルク伝達方向とは逆方向へのトルク伝達を規制している
    ことを特徴とするゼンマイ装置。
  3. 請求項1または2に記載のゼンマイ装置において、
    前記トルク返還部は、前記ゼンマイのトルクを受け取るトルク受取車と、前記トルク受取車に同軸に設けられ前記ゼンマイのトルクを前記ゼンマイに向かって戻すトルク戻し車と、前記トルク受取車および前記トルク戻し車にそれぞれ同軸に設けられ、軸方向に相対移動することで結合する一対のクラッチ部材と、前記一方のクラッチ部材に同軸に設けられ前記他方のクラッチ部材の側に螺旋階段状に立ち上がるクラッチ操作カムと、
    前記一方のクラッチ部材を前記他方のクラッチ部材に向かって付勢して前記一対のクラッチ部材を結合させる付勢部材とを有し、
    前記トルク伝達係脱部は、前記クラッチ操作カムに係合する係脱レバーを有し、
    前記係脱レバーは、前記ゼンマイが解けて前記巻数指標部が前記基準巻数を示した際に前記クラッチ操作カムに係合し、
    前記一対のクラッチ部材の結合は、前記係脱レバーが前記クラッチ操作カムに係合した状態で前記トルク受取車が回転することによって解除される
    ことを特徴とするゼンマイ装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のゼンマイ装置において、
    前記巻数指標部には、前記ゼンマイの巻上用部材による巻上時に動作する巻上部と、前記ゼンマイが解ける際に動作する巻解け部とが設けられ、
    前記巻数指標部は、前記トルク伝達係脱部を構成するレバーを動作させる第一作用部と、前記ゼンマイが上限巻数まで巻上げられた際に前記巻上部をロックする巻上規制部材を動作させる第二作用部と、前記ゼンマイが下限巻数まで解けた際に前記巻解け部をロックする駆動規制部材を動作させる第三作用部とを有する
    ことを特徴とするゼンマイ装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のゼンマイ装置において、
    前記巻数指標部には、前記ゼンマイの巻上用部材による巻上時に動作する巻上部と、前記ゼンマイが上限巻数まで巻上げられた際に前記巻上部をロックする巻上規制部材とが設けられ、
    前記トルク返還部は、同軸上に連結される第一軸および第二軸を有して構成される連結軸と、前記第一軸に連動し前記ゼンマイのトルクを受け取る第一軸側受取車と、前記第二軸に連動し前記ゼンマイのトルクを前記ゼンマイに向かって戻す第二軸側戻し車と、を有し、
    前記第一軸は、前記ゼンマイの解け始めから前記巻上規制部材によるロックが解除されるまでの間、前記第二軸に対して相対回転可能な所定のバックラッシを有する
    ことを特徴とするゼンマイ装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のゼンマイ装置において、
    前記巻数指標部の回転を減速する巻数表示車と、前記巻数表示車に取り付けられる指示部材とを備え、
    前記トルク伝達係脱部により前記内端側車と前記外端側車とのトルク伝達が係合状態にある際の前記巻数指標部と前記巻数表示車との減速比は、前記トルク伝達係脱部により前記トルク伝達が離脱状態にある際の前記巻数指標部と前記巻数表示車との減速比よりも小さい
    ことを特徴とするゼンマイ装置。
  7. 請求項6に記載のゼンマイ装置において、
    前記巻数表示車および前記巻数指標部のそれぞれは、前記トルク伝達係脱部により前記係合状態にある際に互いに噛合する第一減速比の歯形と、前記トルク伝達係脱部により前記離脱状態にある際に互いに噛合する第二減速比の歯形とを有し、
    前記巻数表示車には、前記巻数指標部と前記巻数表示車とのバックラッシを詰める付勢部材が設けられている
    ことを特徴とするゼンマイ装置。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のゼンマイ装置を備え、
    前記ゼンマイを動力源として動作する
    ことを特徴とする時計。
JP2007254148A 2007-09-28 2007-09-28 ゼンマイ装置および時計 Active JP5050756B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007254148A JP5050756B2 (ja) 2007-09-28 2007-09-28 ゼンマイ装置および時計
US12/207,164 US7780342B2 (en) 2007-09-28 2008-09-09 Spring device and timepiece
DE602008003279T DE602008003279D1 (de) 2007-09-28 2008-09-26 Federvorrichtung und Uhr
EP08017042A EP2042944B1 (en) 2007-09-28 2008-09-26 Spring device and timepiece

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007254148A JP5050756B2 (ja) 2007-09-28 2007-09-28 ゼンマイ装置および時計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009085698A JP2009085698A (ja) 2009-04-23
JP5050756B2 true JP5050756B2 (ja) 2012-10-17

Family

ID=39951429

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007254148A Active JP5050756B2 (ja) 2007-09-28 2007-09-28 ゼンマイ装置および時計

Country Status (4)

Country Link
US (1) US7780342B2 (ja)
EP (1) EP2042944B1 (ja)
JP (1) JP5050756B2 (ja)
DE (1) DE602008003279D1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH702847B1 (fr) * 2010-03-17 2014-11-14 Oris Sa Dispositif indicateur de la réserve de marche d'une pièce d'horlogerie.
CH705079A1 (fr) 2011-06-10 2012-12-14 Haute Ecole Arc Source d'énergie mécanique pour mouvement horloger à couple de sortie prédéfini.
JP2015500480A (ja) * 2011-12-09 2015-01-05 カルティエ クリエイション ステューディオ ソシエテ アノニム 大気圧において動作するように設けられた時計ムーブメントを低圧力雰囲気で動作するように適合させる方法
EP2657794B1 (fr) * 2012-04-25 2017-02-01 ETA SA Manufacture Horlogère Suisse Arbre et ressort de barillet
EP2871537B1 (fr) * 2013-11-06 2017-01-04 ETA SA Manufacture Horlogère Suisse Montre à réserve de marche améliorée
EP2876507B1 (en) 2014-06-23 2016-05-18 Dmitrii Maksimovich Ponomarev Timepiece
EP3070535B1 (de) * 2015-03-18 2020-04-29 Glashütter Uhrenbetrieb GmbH Federhaus mit im wesentlichen konstantem drehmoment
CH713389B1 (fr) * 2017-01-27 2020-11-30 Richemont Int Sa Système de liaison d'un arbre à une pièce.

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US223418A (en) * 1880-01-06 Elijah waeb
JP3496544B2 (ja) 1998-04-17 2004-02-16 セイコーエプソン株式会社 ゼンマイ装置および時計
US6877893B2 (en) * 1998-07-14 2005-04-12 Elmar Mock Timepiece with mechanical regulation
EP1055981B1 (en) * 1998-11-17 2008-12-31 Seiko Epson Corporation Electronically controlled mechanical watch and method of preventing overcharge
JP3582383B2 (ja) 1998-11-17 2004-10-27 セイコーエプソン株式会社 ゼンマイトルク出力装置およびこれを用いた機械時計
DE60037638T2 (de) * 1999-08-26 2008-12-24 Seiko Epson Corp. Zeitmessgerät

Also Published As

Publication number Publication date
DE602008003279D1 (de) 2010-12-16
US7780342B2 (en) 2010-08-24
US20090086584A1 (en) 2009-04-02
EP2042944A2 (en) 2009-04-01
EP2042944B1 (en) 2010-11-03
JP2009085698A (ja) 2009-04-23
EP2042944A3 (en) 2009-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5050756B2 (ja) ゼンマイ装置および時計
JP5844873B2 (ja) 改良されたパワーリザーブを有する腕時計
JP6040063B2 (ja) トルク調整装置、ムーブメントおよび機械式時計
US6439762B2 (en) Mainspring device and a winding protection structure
JP2008268177A (ja) 時計
CN111552165B (zh) 钟表
JP7263968B2 (ja) 時計
JP7327181B2 (ja) 時計
JP2011164052A (ja) ぜんまい装置および時計
JP3804563B2 (ja) ぜんまい装置およびこのぜんまい装置を備えた時計
CN113176721B (zh) 钟表
US11868091B2 (en) Watch
JP2012122933A (ja) 時計
JP2003279667A (ja) 時 計
JP2806943B2 (ja) 指針表示式発電時計
JP2011226389A (ja) 内燃機関の始動装置
JP2004271325A (ja) 電子制御式機械時計
JP2003227883A (ja) ぜんまいを動力とする時計
JP2001116856A (ja) ゼンマイ装置、それを有した時計および電子機器
JP3460688B2 (ja) 計時装置
JP2021063746A (ja) 時計
JP3531473B2 (ja) 時計および時計の針合わせ制御方法
JP2000098056A (ja) ぜんまい動力表示機構及び時計
JP2004333272A (ja) 電子制御式機械時計
WO2000033143A1 (fr) Appareil horaire

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100917

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120626

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120709

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5050756

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150803

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350